JP3891449B2 - 赤外線吸収材料の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、肉眼で視認することは実質的にできないが、赤外線を吸収することにより、光学的に識別可能なコードパターン及び検知マーク等のマークを形成するための素材として用いられる赤外線吸収性に優れた材料であって、微細な粒子からなり、インキ化特性にも優れた赤外線吸収材料及びその製造方法に関する。特に本発明は、975nm付近の近赤外領域における吸収特性が優れた赤外線吸収材料に関する。さらに本発明は、前記赤外線吸収性の材料を用いたインキ及び不可視パターンに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光学読み取りを利用したコードパターンとしてのバーコードが、主として物流管理システムのために広く利用されている。例えば、POS(販売時点管理)システム用のJANコードや配送伝票、荷分け伝票、納品用のバーコードタグなどの光学的データキャリアとして、バーコードは広く用いられている。
【0003】
これら従来のバーコードの光学読み取り用の光源光として650nm、800nm又は950nm付近に発光波長を持つ半導体レーザー又は発光ダイオードが主として用いられている。そのため、光源光の波長域が制約されるために、バーコードは、可視光領域に吸収帯のあるカーボンブラックを用いたインキ、又はシアン・グリーン系統の赤色/赤外波長域に吸収特性を持つインキにより印刷、又はプリントされている。
【0004】
又、バーコードの印刷の方式は、活版、オフセット、フレキソ、グラビア又はシルク印刷等で、主として、ソース・マーキングと呼ばれる大量印刷に適用される。バーコードのプリントの方式は、ドットインパクト、熱転写、ダイレクトサーマル、電子写真、インクジェットプリント等で、主として、インストア・マーキングと呼ばれる個別印刷、或いは、小ロットの情報コードラベルの製造に適用されている。
【0005】
しかし、こうした可視の情報コードはデザイン上の制約を印刷物にもたらすとしてこれを排除する要求が強い。そこで、可視光領域に吸収帯を持たないインキを印刷又はプリントすることにより情報コードを透明化し、目視での判定を困難にしようとする試みがなされている。
【0006】
こうした透明化の試みの1つとして、可視光線領域外の赤外線を主に吸収するインキを用いて、赤外線パターンを形成することが知られている〔例えば特開昭60−260674、特開昭61−86752号、特開昭63−116286号、特開平3−154187号、特開平3−227378号、特開平3−275389号、特開平4−70349号、特開平5−93160号、特開平6−297889号参照〕。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来用いられている赤外線領域に吸収域をもつ色素は、シアニン色素、フタロシアニン系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素、ジルオール系色素、トリフェニルメタン系色素などがある。しかし、これらは600nm以上の波長領域に吸収帯を持つためにシアンカラーであるか、または可視領域(380nm〜700nm)に30〜40%の吸収があるために、若干赤みがかったクリーム色を呈している。よって、完全に透明なバーコードを形成することができなかった。さらにはこれらの色素は染料である為に、IDキャリアとしての耐光性が期待できないという欠点もあった。また、赤外線吸収顔料としてシアンフィルターガラスを用いるものもあるが、この場合、ガラスはCu2+イオンを含んでおり、550nmから吸収が始まるためにシアンカラーを呈していた。このような現状から、透明な不可視バーコードを提供するために、赤外線は吸収するが、可視光線は吸収しない材料の提供が望まれている。
【0008】
ところで、赤外線吸収コードパターンとは別の分野においても、赤外線吸収性の材料を使用できる分野がある。例えば、オーバー・ヘッド・プロジェクター(OHP)用の透明シートに、光学的検知方法を用いた複写機にて画像を形成するに際して、この透明シートの紙送りタイミング等の設定のために、透明シートの縁端部に検知マークが設けられる。光学的検知は例えばLEDとフォトトランジスタを組み合わせて行われ、検知マークとして赤外線吸収性の材料を用いることができると考えられる。
【0009】
ところが、従来は、例えば特開平3−99878号公報に記載されているように、検知マークは不透明な材料から形成されていた。しかし、不透明な検知マークは、OHPで目的とする画像とともに映し出されてしまい、映し出された画像を見にくくするという欠点があった。そこで、透明ではあるが、光学的に検知し得る検知マークが提供されれば、このような欠点は解消される。
【0010】
そこで本発明者は、先に、赤外領域にのみ吸収を持ち、可視光領域には吸収性がない新たな素材としてYbPO4 (リン酸イッテルビウム)を見出し、特許出願した〔特開平7−53946号〕。
ところが、YbPO4 をインキ顔料とする場合、微細な粒子が必要である。これは、顔料のインキへの馴染みを良くするためやインキによる印刷層の厚みが薄いことによる。ところが、上記出願に記載の方法で得られるYbPO4 の粒子径は数十μmであり、これを粉砕しても平均粒子径は約1μmである。また、それ以上の粒子径になるように粉砕することは事実上困難であった。さらに、YbPO4 は粉砕することにより、原因は明らかでないが、近赤外領域での吸収特性が大幅に低下するという問題もあった。
【0011】
そこで本発明の目的は、近赤外領域での吸収特性に優れ、かつインキへの馴染みが良好で、薄い印刷層にも対応できる、より微細なYbPO4 粒子からなる赤外線吸収材料の製造方法を提供することにある。
【0012】
また、本発明の目的は、上記製造方法により得られるYbPO4 を用いた肉眼では視認不可能であり、かつ赤外線吸収特性、耐候性、耐光性、インキ化特性、印刷適性、プリント適性及び耐候性に優れたインキを提供することにある。
【0013】
また、本発明の別の目的は、透明OHPシートに付すことができる透明な検知マークを提供するために、赤外線は吸収するが、可視光線は吸収しない材料を提供することにある。即ち、赤外線を吸収することにより光学的に検知可能であり、しかも可視光線を吸収しないことにより透明である検知マークを提供できる材料及びこの材料を用いたインキを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、YbPO4 を加熱処理し、得られたYbPO4 を界面活性剤の存在下湿式粉砕し、次いで粉砕したYbPO4 をカップリング剤で処理することを特徴とする微細なYbPO4 粒子からなる赤外線吸収材料の製造方法に関する。
さらに本発明は、上記製造方法により得られた赤外線吸収材料を含有するインキ、不可視パターン及び不可視情報パターンに関する。
以下本発明について説明する。
【0015】
本発明の製造方法において用いるYbPO4 は、従来から公知の方法により製造されたものであることができる。例えば、前記特開平7−53946号に記載のYbPO4 を原料として、より高い赤外線吸収性を有する微細なYbPO4 粒子を得ることができる。また、市販のYbPO4 を本発明の製造方法の原料に用いることもできる。尚、原料であるYbPO4 粒子の赤外線吸収性が高ければ、より高い赤外線吸収性を有するYbPO4 粒子を得ることができる。
【0016】
また、原料であるYbPO4 は、イッテルビウムアルコキシドとリン酸アルコキシドとを加水分解して生成させることで製造したものであることもできる。
イッテルビウムアルコキシドとしては、例えばトリブトキシイッテルビウムを用いることができる。また、リン酸アルコキシドとしては、例えばリン酸トリブトキシドを用いることができる。リン酸トリブトキシド〔PO4 (C4 9 O)3 〕は市販(例えば、高純度化学研究所製)され、容易に入手できる。
【0017】
また、リン酸アルコキシドとしてオルトリン酸(H3PO4)とアルコールとの反応生成物を用いることもできる。オルトリン酸は通常約15%の水分を含み、このようなオルトリン酸をアルコールに溶解してリン酸アルコキシドを生成させ、得られる生成物をそのままYbPO4 粒子生成反応に用いることができる。
【0018】
また、トリブトキシイッテルビウム〔Yb(C4 9 O)3 〕は、例えば、1モルの酸化イッテルビウム〔Yb2 3 〕微粉末(市販品、例えば信越化学製)と6モルの酢酸とを真空脱水反応させて、酢酸イッテルビウム〔Yb(CH3 COO)3 〕を沈殿として得、さらにこの酢酸イッテルビウムとトリブトキシバリウム〔Ba(C4 9 O)2 〕(市販品もあるが、n−ブタノールに金属バリウムを溶解することでも得られる)とを溶媒(例えば、n−ブタノール)中で還流することで得られる。
【0019】
本発明の製造方法におけるYbPO4 の加熱処理の条件は、加熱処理されたYbPO4 の赤外線吸収性の改善の程度により適宜決定することができる。但し、実用的には、例えば、700℃〜1000℃の温度、好ましくは800〜900℃の温度で行うことが適当である。また加熱処理時間は、赤外線吸収性の改善に十分な時間とすることができ、例えば、1〜6時間程度である。加熱処理の雰囲気は、例えば空気中、常圧で行うことが適当である。
【0020】
加熱処理されたYbPO4 は、界面活性剤の存在下湿式粉砕する。湿式粉砕することにより粒子径を小さくして良好なインキ化特性が得られる。特に、加熱処理により増大した粒子径を湿式粉砕することにより微細化できる。
湿式粉砕は、加熱処理されたYbPO4 を界面活性剤と共に有機溶剤と混合スラリー化したものを粉砕機を用いて行う。粉砕機としては、例えば、転動ボールミル(例えば、チューブミル、コンパートメントミル、コニカルミル、ポットミル)、振動ボールミル(円振動ミル、ジャイラトリー振動ミル)、遊星ミル(ハイスイングボールミル)、遠心流動化ミル(CFミル)、攪拌ミル(タワーミル、サンドグラインダ、パールミル、アトライタ、アクアマイザ、コ・ボールミル)等を挙げることができる。
【0021】
上記有機溶剤としては、YbPO4 粒子の凝集を防止しつつ粉砕できるという観点及びインキ溶剤との相溶性という観点から、疎水性有機溶剤であることが好ましい。疎水性有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン(MEK)、ベンゼン、トルエン、キシレン、酢酸エチル等を挙げることができる。
上記界面活性剤としては、上記疎水性有機溶剤中に親水性のYbPO4 粒子を良好に分散できるものであることが好ましい。そのような界面活性剤として、陰イオン系界面活性剤である、例えば、ポリカルボン酸型高分子活性剤を挙げることができ、ホモゲノールL−18、ホモゲノールL−95、ホモゲノールL−100(いずれも花王(株)製)として市販されているものを挙げることができる。
【0022】
湿式粉砕におけるスラリー濃度、即ちYbPO4 濃度は、例えば、40〜60%(固形分比)の範囲とすることができる。また、界面活性剤の濃度は、スラリー濃度や界面活性剤及び有機溶剤の種類により適宜決定されるが、通常1〜10%の範囲であることが、YbPO4 粒子の分散状態を良好に維持しつつ、粉砕できるという観点から、適当である。
上記湿式粉砕は、YbPO4 粒子の平均粒子径が1μm以下、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.4μm以下になるまで行うことが適当である。平均粒子径を1μm以下、好ましくは0.5μm以下とすることで、インキ化特性等に優れたものとすることができる。
【0023】
尚、加熱処理したYbPO4 を親水性有機溶剤中で予め湿式粉砕し、次いで前記親水性有機溶剤を除去した後、前記疎水性有機溶剤中での湿式粉砕を行うことが、良好に粉砕できるという観点から好ましい。前記親水性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール等のアルコール類であることができる。親水性有機溶剤中での湿式粉砕は、スラリー濃度、即ちYbPO4 濃度は、例えば、40〜60%(固形分比)の範囲とすることができる。親水性有機溶剤中での湿式粉砕は、例えば、YbPO4 粒子の平均粒子径が10μm以下、好ましくは5μm以下となるまで行うことが好ましい。親水性有機溶剤中での湿式粉砕後、遠心分離法、蒸留法や加熱乾燥法等により親水性有機溶剤を除去し、次いで疎水性有機溶剤中での湿式粉砕に供する。
【0024】
上記湿式粉砕の後、粉砕したYbPO4 をカップリング剤で処理する。この処理は、粉砕したYbPO4 スラリーにカップリング剤又はカップリング剤を溶剤で希釈したものとを混合することにより行うことができる。カップリング剤による処理は、加熱下、例えば70〜120℃で行うことが好ましい。界面活性剤の存在下分散状態を良好に維持しつつ十分に粉砕されたYbPO4 粒子の表面をカップリング剤で処理することにより、より微細な粒子を得ることができる。さらに、上記表面処理により粒子表面の溶媒や酸、塩基等に対する化学的安定性や物理強度を向上することもできる。
表面処理して得られたYbPO4 粒子は遠心分離等により溶媒中からウエットケーキとして容易に回収することができる。得られたウエットケーキは、そのままインキ製造に用いることができる。但し、必要により乾燥することもできる。
【0025】
カップリング剤は、YbPO4 粒子及びインキビヒクルとなる樹脂と結合するものであれば特に限定はない。例えば、シラン化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、金属キレート化合物などを挙げることができる。特に、化学的特性が安定(溶剤に対して強い耐性がある)であり、物理強度も強く、さらにインキビヒクルとの接着性の良い官能基が種々付加されており、選択の度合いが大きいという観点からは、シランカップリング剤であることが好ましい。
【0026】
シランカップリング剤としては以下のものを例示することができる。但し、これらに限定されるものではないことは勿論である。
テトラメトキシシラン(TMOS)、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、アミノシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライド、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン。
【0027】
さらにシランカップリング剤以外にも、ジルコニウムカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、チタンカップリング剤を用いることができる。
YbPO4 粒子に対するカップリング剤の量は、YbPO4 粒子の粒子径やカップリング剤の種類により適宜決定出来るが、例えば一般にはYbPO4 粒子100重量部に対してカップリング剤0.1〜10重量部の範囲であることが適当である。
【0028】
上記本発明の製造方法により得られるYbPO4 粒子は、熱処理前に比べて975nm近傍の近赤外領域の吸収ピークが強くなる。例えば、図2に熱処理前後のYbPO4 粒子の反射率スペクトルを示す。熱処理により、975nm近傍の吸収ピークが倍増している。YbPO4 粒子中のYb3+は、イオン状態で赤外領域に、Yb3+ 27/2 35/2 の遷移に基づく吸収帯を持つ。さらに、この吸収は、遷移金属イオンによる着色と異なり、ブロードとならず可視領域吸収を有しないために着色しない。
【0029】
本発明の製造方法により得られるYbPO4 粒子は、図2に示すように約975nmをピークとする赤外領域の照射光に対する吸収が強く、かつ400〜700nmの可視領域には吸収を有さない。
従って、このYbPO4 粒子を用いたインキ等によってバーコードを形成すると、吸収を行うバーの部分(印刷部)と、反射を行うスペースの部分(非印刷部)の間に、照射赤外光の吸収/反射の反射光の濃淡が形成され、バーコードのシグナルを読み取ることができるが、肉眼で視認することはできない。さらに、本発明の赤外線吸収材料を用いたインキ等によって検知マークを形成すると、吸収を行う検知マーク(印刷部)と、反射を行う非印刷部の間に、照射赤外光の吸収/反射の反射光の濃淡が形成され、検知マークが認識されるが、肉眼で視認することはできない。
【0030】
本発明のYbPO4 粒子を、マークのうちでもコードパターンの印刷に適したプリント方式である、オフセット印刷、熱転写プリント、インジェクトプリント、電子写真式プリント用の、オフセットインキ、熱転写リボンインキ、インクジェットインキ、トナーインキの顔料として用いる場合には、上記本発明のYbPO4 粒子は、平均粒子径が0.01μm〜0.1μmであり、最大粒子径が0.5μm以下である粉末であることが好ましい。上記方式により得られる印刷膜厚もしくはプリント膜厚が通常約1〜2μmであり、最大でも3μm程度であることから、YbPO4 粒子の平均粒子径を上記範囲のサブミクロンオーダーとすることにより、印刷ムラを抑制することができるからである。また、検知マークをグラビア印刷するためのグラビアインキにおいても同様である。
【0031】
さらに、インキ特性を考慮すると、バインダー成分が無極性のオフセットインキ、熱転写リボンインキ、トナーインキに対しては、YbPO4 粒子の粉末の表面に親油性コートを施して、インキバインダーへの粒子の分散性を向上させることが好ましい。分散性を向上させることにより、形成したマークの読み取りを良好に行うことができる。
【0032】
即ち、オフセット印刷においては印刷中にインキからYbPO4 粒子粉末が析出したり、赤外光の吸収部分が印刷されない抜けの状態の発生を防止することができる。また、熱転写リボンにおいては、均一なコート層のリボンコーティングを得ることができ、プリント時に転写不良が発生することを防止することができる。さらに、電子写真式プリントのトナーにおいても、トナーインキのYbPO4 粒子粉末の含有状態を均一に保つことができ、安定な吸収レベルを有するマークを得ることができる。
【0033】
又、YbPO4 の屈折率を測定したところ1.505であった。このことから、本発明のYbPO4 粒子をインキ化する際に用いるインキビヒクルは、YbPO4 との屈折率差がそれほど大きくならないものが適当である。そのような観点から、上記インキビヒクルとしては屈折率が1.3〜1.7の範囲であるものが適当である。
【0034】
本発明のオフセット及び活版インキにおいて、ビビクルを構成する樹脂としては、一般的には、蛋白質、ゴム、セルロース類、シエラック、コパル、でん粉、ロジン等などの天然樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等の熱可塑性樹脂、レゾール型フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ、不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂などがあげられる。さらにビヒクル中に、必要に応じて、印刷皮膜の柔軟性・強度安定化のための可塑剤、粘度調整、乾燥性のための溶剤、さらに乾燥、粘度、分散性、各種反応剤等の助剤を適宜添加することができる。
【0035】
但し、形成されたマークが油脂成分により汚染物質を吸着することが望ましくないことから、好適には、常温で液体の油脂成分を用いない光重合硬化型もしくは電子線硬化型インキを用いて形成する。これらインキの硬化物の主成分はアクリル系樹脂である。従って、上記インキはアルキルモノマーを含有するものであり、具体的には、市販されている以下のアクリルモノマーを挙げることができる。
【0036】
単官能アクリレートとしては、2- エチルヘキシルアクリレート、2- エチルヘキシルEO付加物アクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、2- ヒドロキシエチルアクリレート、2- ヒドロキシプロピルアクリレート、2- ヒドロキシエチルアクリレートのカプロラクトン付加物、2- フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノールEO付加物アクリレート、ノニルフェノールEO付加物にカプロラクトン付加したアクリレート、2- ヒドロキシ- 3- フェノキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フルフリルアルコールのカプロラクトン付加物アクリレート、アクリロイルモルホリン、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、4,4- ジメチル- 1,3- ジオキソランのカプロラクトン付加物のアクリレート、3- メチル- 5,5- ジメチル- 1,3- ジオキソランのカプロラクトン付加物のアクリレートなどが用いられ得る。
【0037】
一方、多官能アクリレートとしては、ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのカプロラクトン付加物ジアクリレート、1,6- ヘキサンジオールのジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物、ヒドロキシピバルアルデヒドとトリメチロールプロパンのアセタール化合物のジアクリレート、2,2- ビス〔4- (アクリロイロキシジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2- ビス〔4- (アクリロイロキシジエトキシ,フェニル〕メタン、水添ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物のジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド付加物トリアクリレート、グリセリンプロピレンオキサイド付加物トリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート・ペンタアクリレート混合物、ジペンタエリスリトールの低級脂肪酸およびアクリル酸のエステル、ジペンタエリスリトールのカプロラクトン付加物アクリレート、トリス(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、2- アクリロイロキシエチルホスフェートなどが用いられ得る。
【0038】
これらの樹脂又はモノマーからなるインキは無溶剤性で、電磁波や電子線照射により連鎖的重合反応を起こして硬化する。このうち、紫外線照射型のものについては、光重合開始剤と、必要に応じて増感剤および助剤として、重合禁止剤、連鎖移動剤などを添加する。
【0039】
光重合開始剤としては、1)直接光分解型としてアリールアルキルケトン、オキシムケトン、アシルホスフィンオキシド等、2)ラジカル重合反応型としてベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体等、3)カチオン重合反応型としてアリールジアゾニウム塩、アリールヨードニウム塩、アリールスルホニウム塩、アリールアセトフェノン等があり、その他に4)エネルギー移動型、5)光レドックス型、ならびに6)電子移動型のものが用いられ得る。
【0040】
また、電子線硬化型のものについては、前述した紫外線照射型と同様な樹脂又はモノマーを用いて、光重合開始剤を必要とせず、必要に応じて各種助剤が添加され得る。
【0041】
インクジェットインキは、本発明のYbPO4 粒子粉末及び上記ビビクル以外に水及び水性有機溶媒を含有するものであることができる。水は、イオン交換水以上の純度であればよい。
【0042】
水溶性有機溶媒は、インキの乾燥防止及び浸透性付与を目的とし、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンの如き多価アルコール類:N−アルキルピロリドン類:酢酸エチル、酢酸アミルの如きエステル類:メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールの如き低級アルコール類:メタノール、ブタノール、フェノールのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物の如きグリコールエーテル類等が挙げられる。これらの水溶性有機溶媒は、上記溶媒例に限定されるものではなく、溶媒の吸湿性、保湿性、染料溶解性や浸透性、インキの粘度や氷点などを考慮して、適宜、単独もしくは複数で使用される。これらの水溶性有機溶媒の使用料は、インキの0.1〜70重量%の範囲が好ましい。
【0043】
インクジェット記録装置のシステムに要求される諸条件を満たすために、必要に応じて、インキの成分として従来から知られている添加物を添加することも可能である。これらの添加物としては、pH調製剤としてのアルコールアミン類、アンモニウム塩類、金属水酸化物:比抵抗調製剤としての有機塩類、無機塩類:酸化防止剤:防腐剤:防カビ剤:金属封鎖剤としてのキレート剤等が挙げられる。
【0044】
上記組成に加えて、噴封ノズル部の閉塞やインキ吐出方向の変化などが生じない程度に、ポリビニルアルコール、ポリビニルビロリドン、カルボキシメチルセルロース、スチレンアクリル酸樹脂、スチレンマレイン酸樹脂等の水溶性樹脂を添加することもできる。
【0045】
熱転写リボンインキ並びに検知マークを印刷するためのグラビアインキ及びスクリーンインキには、本発明のYbPO4 粒子粉末以外に、ビビクルとして合成樹脂、ワックス、および必要に応じて溶剤や着色剤を配合して調製する。合成樹脂は、サーマルヘッドの電圧、融点などを考慮した上で適当なものを単独または混合して用いる。具体例をあげれば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリブチン、石油樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、塩化ビニリデン樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、フッ素樹脂、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、アセチルセルロースプラスチック、ニトロセルロース、ポリアセタールなどである。ワックスは、ミツロウ、触ロウ、イボタロウ、羊毛ロウ、セラックワクス、カルナバワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、キャンデリラワックス、ベトロラクタム、マイクロクリスタリンワックスなどから適宜選択して用いることができる。
【0046】
溶剤は、熱転写リボンインキ組成物を通常の印刷方法で塗布できるインキとする場合に用いる。ベンゼン、キシレン、トルエン、トリクレン、ホワイトスピリット、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチルシクロヘキサン、メチルエチルケトン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、シクロヘキサノンなどがその例である。特に、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、キシレンおよびトルエンが用いられることが好ましい。
【0047】
上記熱転写リボンインキをベースフィルム上に設けた熱転写シートとすることができる。ベースフィルムの材料には、常用のものを使用すればよい。具体的には、ポリエスチル、ポリプロピレン、セロファン、アセテート、ポリカーボネートなどのプラスチックのフィルム、およびコンデンサー紙、パラフィン紙などの紙類を使用することができる。
【0048】
電子写真方式の場合のトナーインキの構成成分は本発明のYbPO4 粒子粉末、ビビクル、必要に応じて帯電制御剤、オフセット防止剤、外添剤(流動化剤)からなる。ビビクルはポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル系共重合体、スチレン−ブタジェン系共重合体、ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂を挙げることができる。接触帯電性は、アミノ基などの電子供与性の置換基を含むものは正帯電を帯びやすく、フッ素、カルボキシル基などの電子受容性置換基を有するものは負帯電を帯びやすい。
【0049】
帯電制御剤は正帯電用にはニグロシン系染料、第4級アンモニウム系化合物など、負帯電トナーにはアルキルサルチル酸の金属錯体、アゾ系含金属錯体などが用いられる。その他添加剤として、熱ロール定着のオフセット防止剤として低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンなどが用いられる。
【0050】
さらに本発明のインキには、組成物中に非可逆性を有する消色性着色剤を含有させることができる。この場合の消色性着色剤は、可視光域において可視状態を維持し、消色のための操作、たとえば近赤外線の照射などの操作によって非可逆的に不可視状態に変化する着色剤である。このような消色性着色剤を含有するインキ組成物でコードパターンを形成すると、印刷画像を肉眼で識別することが可能であり、印刷精度を向上させることができる。その後、消色操作を行うことによって、コードパターンを不可視状態に変化させることができる。
【0051】
具体例としては、下記構造式、で示される消色性着色剤IR820B(昭和電工製)やシアニン系色素とテトラブチルアンモニウム・ブチルトリフェニルボレートなどの有機ホウ素アンモニウム塩を共存することにより近赤外光を吸収して両者がカップリングし、不可逆的に透明になるものがある。
【0052】
【化1】
Figure 0003891449
【0053】
本発明のYbPO4 粒子は、図2に示すように約975nmに鋭い吸収を示す。そこで、このYbPO4 粒子を用いて形成したコードパターン又は検知マークに、照射光源として、例えば半導体レーザーのパルス状の赤外光又は発光ダイオードの赤外発光に対して900nm以下の光及び1000nm以上の光を吸収するバンドパスフィルターをコーティングしたレンズ等を受光センサー側に取り付けて赤外線を照射すると、鋭い吸収シグナルとして識別できる。
【0054】
本発明は、前記YbPO4 粒子を用いた不可視パターン及び不可視情報パターンを包含する。ここで、パターンは非情報パターン及び情報パターンを包含する。非情報パターンとしては検知マーク等を挙げることができる。また、情報パターンとしては、コードパターンを挙げることができる。コードパターンとしては、バーコードを例示でき、バーコードは1次元のバーコード以外に2次元コード等であってもよい。特に本発明では、高い解像度が得られることから、2次元コードに有効である。
【0055】
又、検知マークとは、光学的検知方法を用いた複写機にて画像を形成する際に、光学的に検知されない透明シートの紙送りタイミング等の設定のために設けられるマークである。検知マークの形状や検知マークを設ける透明シート上の位置については、特に制限はない。例えば、特開昭58−106550号、同58−105157号、同59−7367号及び特開平3−99878号公報に記載されているような、検知マークが挙げられる。
【0056】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに説明する。
【0057】
実施例1
市販のリン酸イッテルビウム〔信越化学製〕微粉末100重量部を800℃の電気炉(雰囲気:空気、常圧)中で2時間加熱焼成した。
次いで、加熱焼成したリン酸イッテルビウムに100重量部のイソプロピルアルコールを添加してスラリー状とし、遊星ボールミルによって1000rpm、100分間湿式粉砕した。得られたスラリーを80℃3時間乾燥させることによりイソプロピルアルコールを除去した。
次いで、得られた乾燥物に100重量部のトルエンを添加してスラリー状とし、さらに界面活性剤であるホモゲールL−18(花王製)を5重量部添加した。このスラリーを遊星ボールミルにより1000rpm、100分間湿式粉砕した。
次いで、得られたスラリーにシランカップリング剤(KBM503:γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学製)を0.2重量部を添加して、80℃でビーカー内で攪拌して表面処理した。表面処理されたリン酸イッテルビウムは、遠心分離(3500rpm、30分間)することによりウエットケーキ(固形分60%)として回収された。
【0058】
上記で得られたYbPO4 のウエットケーキ中の結晶のX線回折パターンを測定し(測定装置:リガク,RINT−1500)、図1に示す。その結果、この結晶は極めて結晶性が高いことが分かる。
さらに、上記で得られたYbPO4 のウエットケーキの分光反射率を測定した結果を図2に示す。また、原料に用いたYbPO4 の分光反射率も同様に測定したところ、図示しないが、975nmの吸収が、図2の約1/2であった。尚、測定は、島津製作所製自記分光光度計UV3101PCを用い、硫酸バリウムの反射率を100%として行った。
また、上記で得られたYbPO4 のウエットケーキ中の結晶の粒子径を粒度分布計(Photal粒度分布測定装置PAR−III)により測定した。その結果を図3に示す。その結果、上記ウエットケーキには平均粒子径が0.40μmのYbPO4 結晶が含まれている事が分かる。
【0059】
参考例
実施例1と同様にして得た、加熱焼成したリン酸イッテルビウムに100重量部のトルエンを添加してスラリー状とし、得られたスラリーにシランカップリング剤(γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学製)を1重量部を添加した。このスラリーをボールミルにより1000rpm、100分間湿式粉砕した。得られた表面処理されたリン酸イッテルビウムは、遠心分離(3500rpm、30分間)することによりウエットケーキ(固形分72%)として回収された。得られたYbPO4 のウエットケーキ中の結晶の粒子径を実施例1と同様にして測定した。その結果を図4に示す。その結果、上記ウエットケーキには平均粒子径が0.83μmのYbPO4 結晶が含まれている事が分かる。
【0060】
実施例2
実施例1で得たウエットケーキ(固形分60%)30重量部を、アクリレートモノマー2重量部、アクリレートオリゴマー4重量部、ワックス3重量部及び増感剤0.5重量部からなるオフセットビヒクルに添加混合して、真空ブレンダー中にてフラッシングし、溶媒成分を除去し、オフセット用インキを調製した。このインキを用いて、白PETフィルム(厚さ188μm)上にバーコードをオフセット印刷した。得られた印刷層の分光反射率を測定し、結果を図5に示す。
【0061】
得られたバーコードは、肉眼では認識できなかった。このバーコードを光源として赤外発光ダイオード(SHARP、GL480Q、ピーク発光波長950nm)を用い、受光部としてフォトダイオード(SHARP、PD413PI、ピーク限度波長960nm)を用いて、読み取り試験を行った。その結果、バーコード情報を読み取ることができた。
【0062】
実施例3
実施例1で得たウエットケーキ(固形分60%)100重量部を、MMA(メチルメタクリレート)30重量部、シクロヘキサノン28重量部、イソホロン28重量部およびスワゾール1000 14重量部を加えて作製したビヒクルと混合し、シルクスクリーンインキを得た。このインキを白PETフィルム(厚さ188μm)上に200メッシュのバーコードスクリーン版を用いてシルク印刷した。得られた印刷層の分光反射率測定結果を図6に示す。
【0063】
得られたバーコードは、実施例2と同様に、肉眼では認識できなかった。さらに、このバーコードを実施例2と同様の光源および受光部を用いて、読み取り試験を行った。その結果、バーコード情報を読み取ることができた。
【0064】
実施例4
実施例1で得たウエットケーキ(固形分60%)70重量部を、アクリル樹脂14重量部、トルエン27.5重量部及び沈降防止剤3重量部と攪拌してグラビアインキを得た。得られたインキを、PETシート(厚さ100μm)の縁端部にグラビア印刷して、光学的検知マークを有する透明OHPシートを得た。このOHPシートのグラビア印刷した検知マークの部分も透明であった。この検知マークの分光反射率測定結果を図7に示す。
【0065】
得られた透明OHPシートを光感応型シート検知装置付の複写機でプリントテストを行った。その結果、シートの検知性及び紙送り性ともに良好であった。さらに、画像を形成したシートは、検知マークの部分が透明であることから、OHPでの使用時の画像も見やすいものであった。
【0066】
実施例5
実施例1で得たウエットケーキ(固形分60%)100重量部を、ガラスビーズアトライターにEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)10重量部、エステルワックス35重量部、パラフィンワックス49重量部、分散剤2.4重量部及び酸化防止剤0.2重量部と共に加えて分散させ、リボンインキを得た。得られたインキを100℃で溶融し、PETフィルム(厚さ6μm)にリボンコーターによって塗布することで、透明インクリボンを作製した。得られたインクリボンは、バーコードプリンター(オートニックス製:BC−12W)によってミラーコート紙上にバーコードを熱転写プリントした。このときの分光反射率測定結果を図8に示す。
得られたバーコードは、実施例2と同様に、肉眼では認識できなかった。さらに、このバーコードを実施例2と同様の光源および受光部を用いて、読み取り試験を行った。その結果、バーコード情報を読み取ることができた。
【0067】
【発明の効果】
本発明によれば、975nm付近の近赤外領域の吸収ピークの強度が改善され、かつインキ特性に優れた微細なYbPO4 粒子を製造することができる。このYbPO4 粒子は、赤外線吸収コードパターンや赤外線吸収検知マーク等の赤外線吸収マークの形成用として優れた材料である。
特に本発明の製造方法により得られたYbPO4 粒子は、光源として赤外発光ダイオードやガリウム・砒素半導体レーザーを用いた場合、吸収ピーク付近の波長が光源光のピーク波長に大変近く、さらに受光素子であるフォトダイオードの分光感度特性が吸収特性とほぼ一致することから、近赤外吸収特性を信号として利用し易いという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で得たYbPO4 の結晶のX線回折パターンを示す。
【図2】 実施例1で得たYbPO4 粉末の分光反射率のスペクトルを示す。
【図3】 実施例1で得たYbPO4 の結晶の粒度分布を示す。
【図4】 参考例で得たYbPO4 の結晶の粒度分布を示す。
【図5】 実施例2で得た印刷層の分光反射率のスペクトルを示す。
【図6】 実施例3で得た印刷層の分光反射率のスペクトルを示す。
【図7】 実施例4で得た検知マークの分光反射率のスペクトルを示す。
【図8】 実施例5で得たバーコードの分光反射率のスペクトルを示す。

Claims (10)

  1. YbPO4粉末を、700℃〜1000℃の温度で加熱処理し、得られたYbPO4粉末を界面活性剤の存在下湿式粉砕し、次いで粉砕したYbPO4粉末をカップリング剤で処理することを特徴とする微細なYbPO4粒子からなる赤外線吸収材料の製造方法。
  2. YbPO4の平均粒子径が0.5μm以下になるまで湿式粉砕する請求項1または2記載の製造方法。
  3. 湿式粉砕を界面活性剤の存在下、疎水性有機溶剤中で行う請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 界面活性剤が陰イオン系界面活性剤である請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 加熱処理したYbPO4を親水性有機溶剤中で湿式粉砕し、次いで前記親水性有機溶剤を除去した後、疎水性有機溶剤中での湿式粉砕を行う請求項3記載の製造方法。
  6. カップリング剤がシランカップリング剤である請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. YbPO 4 粉末を、700℃〜1000℃の温度で加熱処理し、得られたYbPO 4 粉末を界面活性剤の存在下湿式粉砕し、次いで粉砕したYbPO 4 粉末をカップリング剤で処理することにより得られた平均粒子径が0.5μm以下のYbPO4粒子からなる赤外線吸収材料及びビヒクルを含有することを特徴とするインキ。
  8. ビヒクルの屈折率が1.3〜1.7の範囲である請求項7記載のインキ。
  9. YbPO 4 粉末を、700℃〜1000℃の温度で加熱処理し、得られたYbPO 4 粉末を界面活性剤の存在下湿式粉砕し、次いで粉砕したYbPO 4 粉末をカップリング剤で処理することにより得られた平均粒子径が0.5μm以下のYbPO4粒子からなる赤外線吸収材料を含有することを特徴とする不可視パターン。
  10. 不可視情報パターンである、請求項9に記載の不可視パターン。
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