JPH1060409A - 赤外線吸収材料、それを用いたインキ及び印刷物 - Google Patents

赤外線吸収材料、それを用いたインキ及び印刷物

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JPH1060409A
JPH1060409A JP21351596A JP21351596A JPH1060409A JP H1060409 A JPH1060409 A JP H1060409A JP 21351596 A JP21351596 A JP 21351596A JP 21351596 A JP21351596 A JP 21351596A JP H1060409 A JPH1060409 A JP H1060409A
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JP
Japan
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absorbing material
ink
infrared absorbing
ytterbium
infrared
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JP21351596A
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English (en)
Inventor
Shinji Tajima
真治 田島
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 赤外領域にのみ吸収を持ち、可視光領域では
吸収を行わない素材であって、近赤外領域での吸収特性
がさらに優れたYbPO4 をベースとした赤外線吸収材
料、並びにこの赤外線吸収材料を用いたインキ及び印刷
物の提供。 【解決手段】 イッテルビウムの一部をイッテルビウム
より高いデバイ温度を有する少なくとも1種の元素、例
えばアルカリ金属やアルカリ土類金属で置換したリン酸
イッテルビウムからなる赤外線吸収材料。この赤外線吸
収材料からなる顔料とビヒクルとを含有する赤外線吸収
インキ。この赤外線吸収材料からなる顔料を含有する印
刷層を有する印刷物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、肉眼で視認するこ
とは実質的にできないが、赤外線を吸収することによ
り、光学的に識別可能なコードパターン及び検知マーク
等のマークを形成するための素材として用いられる赤外
線吸収性に優れた赤外線吸収材料に関する。特に本発明
は、975nm付近の近赤外領域における吸収特性が優
れた赤外線吸収材料に関する。さらに本発明は、前記赤
外線吸収性の材料を用いたインキ及び不可視パターン等
の印刷層を有する印刷物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、光学読み取りを利用したコードパ
ターンとしてのバーコードが、主として物流管理システ
ムのために広く利用されている。例えば、POS(販売
時点管理)システム用のJANコードや配送伝票、荷分
け伝票、納品用のバーコードタグなどの光学的データキ
ャリアとして、バーコードは広く用いられている。
【0003】これら従来のバーコードの光学読み取り用
の光源光として650nm、800nm又は950nm
付近に発光波長を持つ半導体レーザー又は発光ダイオー
ドが主として用いられている。そのため、光源光の波長
域が制約されるために、バーコードは、可視光領域に吸
収帯のあるカーボンブラックを用いたインキ、又はシア
ン・グリーン系統の赤色/赤外波長域に吸収特性を持つ
インキにより印刷、又はプリントされている。
【0004】又、バーコードの印刷の方式は、活版、オ
フセット、フレキソ、グラビア又はシルク印刷等で、主
として、ソース・マーキングと呼ばれる大量印刷に適用
される。バーコードのプリントの方式は、ドットインパ
クト、熱転写、ダイレクトサーマル、電子写真、インク
ジェットプリント等で、主として、インストア・マーキ
ングと呼ばれる個別印刷、或いは、小ロットの情報コー
ドラベルの製造に適用されている。
【0005】しかし、こうした可視の情報コードはデザ
イン上の制約を印刷物にもたらすとしてこれを排除する
要求が強い。そこで、可視光領域に吸収帯を持たないイ
ンキを印刷又はプリントすることにより情報コードを透
明化し、目視での判定を困難にしようとする試みがなさ
れている。
【0006】こうした透明化の試みの1つとして、可視
光線領域外の赤外線を主に吸収するインキを用いて、赤
外線パターンを形成することが知られている〔例えば特
開昭60−260674、特開昭61−86752号、
特開昭63−116286号、特開平3−154187
号、特開平3−227378号、特開平3−27538
9号、特開平4−70349号、特開平5−93160
号、特開平6−297889号参照〕。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来用いられている赤
外線領域に吸収域をもつ色素は、シアニン色素、フタロ
シアニン系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン
系色素、ジルオール系色素、トリフェニルメタン系色素
などがある。しかし、これらは600nm以上の波長領
域に吸収帯を持つためにシアンカラーであるか、または
可視領域(380nm〜700nm)に30〜40%の
吸収があるために、若干赤みがかったクリーム色を呈し
ている。よって、完全に透明なバーコードを形成するこ
とができなかった。さらにはこれらの色素は染料である
為に、IDキャリアとしての耐光性が期待できないとい
う欠点もあった。また、赤外線吸収顔料としてシアンフ
ィルターガラスを用いるものもあるが、この場合、ガラ
スはCu2+イオンを含んでおり、550nmから吸収が
始まるためにシアンカラーを呈していた。このような現
状から、透明な不可視バーコードを提供するために、赤
外線は吸収するが、可視光線は吸収しない材料の提供が
望まれている。
【0008】ところで、赤外線吸収コードパターンとは
別の分野においても、赤外線吸収性の材料を使用できる
分野がある。例えば、オーバー・ヘッド・プロジェクタ
ー(OHP)用の透明シートに、光学的検知方法を用い
た複写機にて画像を形成するに際して、この透明シート
の紙送りタイミング等の設定のために、透明シートの縁
端部に検知マークが設けられる。光学的検知は例えばL
EDとフォトトランジスタを組み合わせて行われ、検知
マークとして赤外線吸収性の材料を用いることができる
と考えられる。
【0009】ところが、従来は、例えば特開平3−99
878号公報に記載されているように、検知マークは不
透明な材料から形成されていた。しかし、不透明な検知
マークは、OHPで目的とする画像とともに映し出され
てしまい、映し出された画像を見にくくするという欠点
があった。そこで、透明ではあるが、光学的に検知し得
る検知マークが提供されれば、このような欠点は解消さ
れる。
【0010】そこで本発明者は、先に、赤外領域にのみ
吸収を持ち、可視光領域には吸収性がない新たな素材と
してYbPO4 (リン酸イッテルビウム)を見出し、特
許出願した〔特開平7−53946号〕。ところが、Y
bPO4 をインキ顔料とする場合、微細な粒子が必要で
ある。これは、顔料のインキへの馴染みを良くするため
やインキによる印刷層の厚みが薄いことによる。ところ
が、上記出願に記載の方法で得られるYbPO4 の粒子
径は数十μmであり、これを粉砕しても平均粒子径は約
1μmである。また、それ以上の粒子径になるように粉
砕することは事実上困難であった。さらに、YbPO4
は粉砕することにより、原因は明らかでないが、近赤外
領域での吸収特性が大幅に低下するという問題もあっ
た。
【0011】そこで本発明の目的は、赤外領域にのみ吸
収を持ち、可視光領域では吸収を行わない素材であっ
て、近赤外領域での吸収特性がさらに優れたYbPO4
をベースとした赤外線吸収材料を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、上記赤外線吸収材料を用い
た肉眼では視認不可能であり、かつ赤外線吸収特性、耐
候性、耐光性、インキ化特性、印刷適性、プリント適性
及び耐候性に優れたインキを提供することにある。本発
明のさらなる目的は、上記赤外線吸収材料を用いた肉眼
では視認不可能な印刷層を有する印刷物を提供すること
にある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、イッテルビウ
ムの一部をイッテルビウムより高いデバイ温度を有する
少なくとも1種の元素で置換したリン酸イッテルビウム
からなることを特徴とする赤外線吸収材料に関する。上
記本発明において、イッテルビウムより高いデバイ温度
を有する元素は、例えば、アルカリ金属及びアルカリ土
類金属である〔請求項2記載の赤外線吸収材料〕。さら
に、上記本発明において、イッテルビウムより高いデバ
イ温度を有する元素を、吸収した光子エネルギーの結晶
内部エネルギーへのフォノン散乱を増加させるに有効な
量を含有させる〔請求項3記載の赤外線吸収材料〕。ま
た本発明は、前記本発明の赤外線吸収材料からなる顔料
とビヒクルとを含有することを特徴とする赤外線吸収イ
ンキに関する。さらに本発明は、前記本発明の赤外線吸
収材料からなる顔料を含有する印刷層を有することを特
徴とする印刷物に関する。上記印刷層が不可視パターン
〔請求項6記載の印刷物〕や不可視情報パターン〔請求
項7記載の印刷物〕であることができる。
【0013】
【発明の実施の態様】以下本発明について説明する。本
発明の赤外線吸収材料は、リン酸イッテルビウムに含ま
れるイッテルビウムの一部をイッテルビウムより高いデ
バイ温度を有する少なくとも1種の元素で置換したもの
である。各元素が有するデバイ温度は、例えば、A.I.P.
Handbook, 3rd ed. に一覧表として記載されている。イ
ッテルビウムのデバイ温度は120Kであり、これより高い
デバイ温度を有する元素(以下、この元素を「置換元
素」と呼ぶ)を用いる。置換元素の例として、アルカリ
金属及びアルカリ土類金属を挙げることができ、例え
ば、Li(344K)、Na(158K)、Be(1440K) 、Mg(400K)、Ca(2
30K)を例示することができる(括弧内はデバイ温度であ
る)。但し、これらの元素に限定する意図はない。置換
元素のイッテルビウムとの置換量は、この赤外線吸収材
料が吸収した光子エネルギーの結晶内部エネルギーへの
フォョン散乱を増加させるに有効な量とすることが適当
である。そのような有効量は、置換元素の種類により変
化するので、置換元素の種類に応じて適宜決定できる。
【0014】以下、本発明の赤外線吸収材料の製造方法
について説明する。本発明の赤外線吸収材料は、イッテ
ルビウムアルコキシド及び置換元素のアルコキシドをリ
ン酸(H3 PO4 )で加水分解して生成させることがで
きる。イッテルビウムアルコキシドとしては、例えばト
リブトキシイッテルビウムを用いることができる。ま
た、置換元素のアルコキシドは、置換元素の種類に応じ
て適宜選択することができ、例えば、置換元素がカルシ
ウムの場合、ジエトキシカルシウムを用いることができ
る。
【0015】トリブトキシイッテルビウム〔Yb(C4
9 O)3 〕は、例えば、1モルの酸化イッテルビウム
〔Yb2 3 〕微粉末(市販品、例えば信越化学製)と
6モルの酢酸とを真空脱水反応させて、酢酸イッテルビ
ウム〔Yb(CH3 COO)3 〕を沈殿として得、さら
にこの酢酸イッテルビウムとトリブトキシバリウム〔B
a(C4 9 O)2 〕(市販品もあるが、n−ブタノー
ルに金属バリウムを溶解することでも得られる)とを溶
媒(例えば、n−ブタノール)中で還流することで得ら
れる。同様にして、置換元素のアルコキシドも入手でき
る。例えば、ジエトキシカルシウムは、窒素雰囲気中、
70℃のエタノールに金属カルシウムを添加溶解するこ
とにより調製できる。
【0016】イッテルビウムアルコキシドとして1モル
のトリブトキシイッテルビウム〔Yb(C4
9 O)3 〕を用い、置換元素のアルコキシドとして1.5
モルのジエトキシカルシウム〔Ca(C2 5 O)2
を用いた反応を以下に示す。 Yb(C4 9 O)3 +1.5 Ca(C2 5 O)2 +2
3 PO4 →YbCa1.5(PO4)2 +3 C4 9 OH+
3 C2 5 OH
【0017】上記加水分解反応は、超音波の存在下で行
うと反応を速めることができ、好ましい。超音波の周波
数は、エネルギーが十分であり、超音波発生源を確保し
易いという観点から、例えば1〜2000kHzの範囲
であることが適当である。好ましくは5〜100kHz
の範囲である。さらに、上記加水分解には、アルカリ触
媒を存在させることが、結晶化を促進するという観点か
らは好ましい。アルカリ触媒としては、例えばアンモニ
ア等を挙げることができる。アルカリ触媒の量は、触媒
の種類等を考慮してにより適宜決定できるが、例えばア
ンモニアの場合、10-6〜10-2モル当量の範囲とする
ことが適当である。好ましくは10-5〜10-3モル当量
の範囲である。
【0018】さらに上記加水分解は、溶媒の存在下で行
うことが適当であり、そのような溶媒として、例えばベ
ンゼン、トルエン、ブタノール、プロパノール、ヘキサ
ノール、オクタノール、ノナノール、デカノール又はそ
れらの混合溶媒を挙げることができる。さらに、加水分
解のために少量の水を添加する。また、加水分解の温度
は0℃〜50℃の範囲とすることが、超音波の伝達を効
率良くするという観点から適当である。さらに反応時間
は、反応温度や触媒量、超音波、アルコキシドのアルコ
ールの炭素数等を考慮して適宜決定できるが、例えば1
0分間〜10時間の範囲であることが適当である。
【0019】上記加水分解反応を利用した製造方法で
は、比較的粒子径の小さい赤外線吸収材料を得ることが
できる。例えば、0.1μm以下の粒子径を有する赤外
線吸収材料を得ることができる。この粒子は、凝集を防
止し、所望の粒子径を維持する目的及び粒子表面の溶媒
や酸、塩基等に対する化学的安定性や物理強度を向上す
る等の目的でさらにカップリング剤により表面処理す
る。表面処理は、上記加水分解終了後、好ましくは同一
の反応容器内で行うことが好ましい。表面処理は、赤外
線吸収材料が分散された溶媒中に添加混合することによ
り、赤外線吸収材料表面に吸着された少量の水、好まし
くはアルコキシドのアルコールと当量程度の水により選
択的に粒子表面で加水分解され、表面処理を行うことが
できる。表面処理して得られた赤外線吸収材料は遠心分
離等により溶媒中からウエットケーキとして容易に回収
することができる。得られたウエットケーキは、そのま
まインキ製造に用いることができる。但し、必要により
乾燥することもできる。
【0020】また、上記本発明の赤外線吸収材料は、カ
ップリング剤による表面処理の前に熱処理することで赤
外線吸収性の改善することができる。処理条件は、熱処
理された赤外線吸収材料の赤外線吸収性の改善の程度に
より適宜決定することができる。但し、実用的には、例
えば、700℃〜1000℃の温度、好ましくは800
〜900℃の温度で行うことが適当である。また熱処理
時間は、赤外線吸収性の改善に十分な時間とすることが
でき、例えば、1〜6時間程度である。熱処理の雰囲気
は、例えば空気中、常圧で行うことが適当である。
【0021】熱処理された赤外線吸収材料は、良好なイ
ンキ化特性を得るという観点から、湿式粉砕して、粒子
径を小さくすることが好ましい。特に、一般には、熱処
理により粒子径が増大することから、湿式粉砕すること
が好ましい。湿式粉砕は、熱処理された赤外線吸収材料
を有機溶剤と混合スラリー化したものを粉砕機を用いて
行う。粉砕機としては、例えば、転動ボールミル(例え
ば、チューブミル、コンパートメントミル、コニカルミ
ル、ポットミル)、振動ボールミル(円振動ミル、ジャ
イラトリー振動ミル)、遊星ミル(ハイスイングボール
ミル)、遠心流動化ミル(CFミル)、攪拌ミル(タワ
ーミル、サンドグラインダ、パールミル、アトライタ、
アクアマイザ、コ・ボールミル)等を挙げることができ
る。
【0022】上記有機溶剤としては、インキ溶剤との相
溶性という観点から、メチルエチルケトン(MEK)、
トルエン、キシレン、酢酸エチル等を用いることができ
る。湿式粉砕におけるスラリー濃度は、例えば、40〜
60%(固形分比)の範囲とすることができる。上記湿
式粉砕は、赤外線吸収材料の平均粒子径が1μm以下、
好ましくは0.8μm以下、より好ましくは0.5μm
以下になるまで行うことが適当である。平均粒子径を1
μm以下とすることで、インキ化特性等に優れたものと
することができる。
【0023】上記湿式粉砕をカップリング剤の存在下で
行うことが好ましい。カップリング剤の存在下で湿式粉
砕して表面処理することにより、粉砕中の再凝集を防止
して、より微細な粒子とすることができる。さらに、上
記表面処理により粒子表面の溶媒や酸、塩基等に対する
化学的安定性や物理強度を向上することもできる。表面
処理して得られた赤外線吸収材料の粒子は遠心分離等に
より溶媒中からウエットケーキとして容易に回収するこ
とができる。得られたウエットケーキは、そのままイン
キ製造に用いることができる。但し、必要により乾燥す
ることもできる。
【0024】カップリング剤は、赤外線吸収材料及びイ
ンキビヒクルとなる樹脂と結合するものであれば特に限
定はない。例えば、シラン化合物、チタン化合物、ジル
コニウム化合物、アルミニウム化合物、金属キレート化
合物などを挙げることができる。特に、化学的特性が安
定(溶剤に対して強い耐性がある)であり、物理強度も
強く、さらにインキビヒクルとの接着性の良い官能基が
種々付加されており、選択の度合いが大きいという観点
からは、シランカップリング剤であることが好ましい。
【0025】シランカップリング剤としては以下のもの
を例示することができる。但し、これらに限定されるも
のではないことは勿論である。テトラメトキシシラン
(TMOS)、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミ
ノプロピルメチルジメトキシシラン、アミノシラン、γ
−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β
−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシ
プロピルトリメトキシシラン、アミノシラン、γ−メル
カプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキ
シシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセ
トシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、
ヘキサメチルジシラザン、γ−アニリノプロピルトリメ
トキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、オクタデシ
ルジメチル〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕ア
ンモニウムクロライド、γ−クロロプロピルメチルジメ
トキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキ
シシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロ
シラン、トリメチルクロロシラン。
【0026】さらにシランカップリング剤以外にも、ジ
ルコニウムカップリング剤、アルミニウムカップリング
剤、チタンカップリング剤を用いることができる。赤外
線吸収材料に対するカップリング剤の量は、赤外線吸収
材料の粒子径やカップリング剤の種類により適宜決定出
来るが、例えば一般には赤外線吸収材料100重量部に
対してカップリング剤0.1〜10重量部の範囲である
ことが適当である。
【0027】上記本発明の赤外線吸収材料は、置換元素
を含まないYbPO4 粒子に比べて975nm近傍の近
赤外領域の吸収ピークが強くなる。例えば、図1に置換
元素を含まないYbPO4 粒子の反射率スペクトルと置
換元素として15%のCaを含む本発明の赤外線吸収材料
の反射率スペクトルを示す。置換元素を含まないYbP
4 粒子に比べて置換元素として15%Caを含むを本発
明の赤外線吸収材料は975nm近傍の吸収ピークが増
加している。YbPO4 粒子中のYb3+は、イオン状態
で赤外領域に、Yb3+ 27/2 35/2 の遷移に基
づく吸収帯を持つ。さらにこの結晶中にCa2+イオンの
ような置換元素イオンが存在すると、Yb3+イオンによ
り結晶中の内部振動になった赤外線エネルギーが、再び
Yb3+イオンを励起して赤外線として放出するよりも速
くCa2+イオンの荷電子が内部エネルギーをフォノン散
乱して熱振動に変えてしまうので、見かけの吸収力が高
くなる。また、図2に示すように、Ca2+イオン量が増
すと、975nm近傍の吸収ピークが増加する。尚、Y
3+イオンによる吸収は、遷移金属イオンによる着色と
異なり、ブロードとならず可視領域吸収を有しないため
に着色しない。
【0028】本発明の赤外線吸収材料は、上述のような
図1に示すように約975nmをピークとする赤外領域
の照射光に対する吸収が強く、かつ400〜700nm
の可視領域には吸収を有さない。従って、この赤外線吸
収材料を用いたインキ等によってバーコードを形成する
と、吸収を行うバーの部分(印刷部)と、反射を行うス
ペースの部分(非印刷部)の間に、照射赤外光の吸収/
反射の反射光の濃淡が形成され、バーコードのシグナル
を読み取ることができるが、肉眼で視認することはでき
ない。さらに、本発明の赤外線吸収材料を用いたインキ
等によって検知マークを形成すると、吸収を行う検知マ
ーク(印刷部)と、反射を行う非印刷部の間に、照射赤
外光の吸収/反射の反射光の濃淡が形成され、検知マー
クが認識されるが、肉眼で視認することはできない。
【0029】本発明の赤外線吸収材料を、マークのうち
でもコードパターンの印刷に適したプリント方式であ
る、オフセット印刷、熱転写プリント、インジェクトプ
リント、電子写真式プリント用の、オフセットインキ、
熱転写リボンインキ、インクジェットインキ、トナーイ
ンキの顔料として用いる場合には、上記本発明の赤外線
吸収材料は、平均粒子径が0.01μm〜0.1μmで
あり、最大粒子径が0.5μm以下である粉末であるこ
とが好ましい。上記方式により得られる印刷膜厚もしく
はプリント膜厚が通常約1〜2μmであり、最大でも3
μm程度であることから、赤外線吸収材料の平均粒子径
を上記範囲のサブミクロンオーダーとすることにより、
印刷ムラを抑制することができるからである。また、検
知マークをグラビア印刷するためのグラビアインキにお
いても同様である。
【0030】さらに、インキ特性を考慮すると、バイン
ダー成分が無極性のオフセットインキ、熱転写リボンイ
ンキ、トナーインキに対しては、赤外線吸収材料の粉末
の表面に親油性コートを施して、インキバインダーへの
粒子の分散性を向上させることが好ましい。分散性を向
上させることにより、形成したマークの読み取りを良好
に行うことができる。
【0031】即ち、オフセット印刷においては印刷中に
インキから赤外線吸収材料粉末が析出したり、赤外光の
吸収部分が印刷されない抜けの状態の発生を防止するこ
とができる。また、熱転写リボンにおいては、均一なコ
ート層のリボンコーティングを得ることができ、プリン
ト時に転写不良が発生することを防止することができ
る。さらに、電子写真式プリントのトナーにおいても、
トナーインキのYbPO4 粒子粉末の含有状態を均一に
保つことができ、安定な吸収レベルを有するマークを得
ることができる。
【0032】又、赤外線吸収材料(15%Ca置換)の
屈折率を測定したところ1.505であった。このこと
から、本発明の赤外線吸収材料をインキ化する際に用い
るインキビヒクルは、赤外線吸収材料との屈折率差がそ
れほど大きくならないものが適当である。そのような観
点から、上記インキビヒクルとしては屈折率が1.3〜
1.7の範囲であるものが適当である。
【0033】本発明のオフセット及び活版インキにおい
て、ビビクルを構成する樹脂としては、一般的には、蛋
白質、ゴム、セルロース類、シエラック、コパル、でん
粉、ロジン等などの天然樹脂、ビニル系樹脂、アクリル
系樹脂、スチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ノボ
ラック型フェノール樹脂等の熱可塑性樹脂、レゾール型
フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタ
ン樹脂、エポキシ、不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹
脂などがあげられる。さらにビヒクル中に、必要に応じ
て、印刷皮膜の柔軟性・強度安定化のための可塑剤、粘
度調整、乾燥性のための溶剤、さらに乾燥、粘度、分散
性、各種反応剤等の助剤を適宜添加することができる。
【0034】但し、形成されたマークが油脂成分により
汚染物質を吸着することが望ましくないことから、好適
には、常温で液体の油脂成分を用いない光重合硬化型も
しくは電子線硬化型インキを用いて形成する。これらイ
ンキの硬化物の主成分はアクリル系樹脂である。従っ
て、上記インキはアルキルモノマーを含有するものであ
り、具体的には、市販されている以下のアクリルモノマ
ーを挙げることができる。
【0035】単官能アクリレートとしては、2- エチル
ヘキシルアクリレート、2- エチルヘキシルEO付加物
アクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレ
ート、2- ヒドロキシエチルアクリレート、2- ヒドロ
キシプロピルアクリレート、2- ヒドロキシエチルアク
リレートのカプロラクトン付加物、2- フェノキシエチ
ルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアク
リレート、ノニルフェノールEO付加物アクリレート、
ノニルフェノールEO付加物にカプロラクトン付加した
アクリレート、2- ヒドロキシ- 3- フェノキシプロピ
ルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレー
ト、フルフリルアルコールのカプロラクトン付加物アク
リレート、アクリロイルモルホリン、ジシクロペンテニ
ルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジ
シクロペンテニルオキシエチルアクリレート、イソボル
ニルアクリレート、4,4- ジメチル- 1,3- ジオキ
ソランのカプロラクトン付加物のアクリレート、3- メ
チル- 5,5- ジメチル- 1,3- ジオキソランのカプ
ロラクトン付加物のアクリレートなどが用いられ得る。
【0036】一方、多官能アクリレートとしては、ヘキ
サンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコール
ジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレー
ト、トリプロピレングリコールジアクリレート、ヒドロ
キシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジアク
リレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコー
ルエステルのカプロラクトン付加物ジアクリレート、
1,6- ヘキサンジオールのジグリシジルエーテルのア
クリル酸付加物、ヒドロキシピバルアルデヒドとトリメ
チロールプロパンのアセタール化合物のジアクリレー
ト、2,2- ビス〔4- (アクリロイロキシジエトキ
シ)フェニル〕プロパン、2,2- ビス〔4-(アクリ
ロイロキシジエトキシ,フェニル〕メタン、水添ビスフ
ェノールAエチレンオキサイド付加物のジアクリレー
ト、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ト
リメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリス
リトールトリアクリレート、トリメチロールプロパンプ
ロピレンオキサイド付加物トリアクリレート、グリセリ
ンプロピレンオキサイド付加物トリアクリレート、ジペ
ンタエリスリトールヘキサアクリレート・ペンタアクリ
レート混合物、ジペンタエリスリトールの低級脂肪酸お
よびアクリル酸のエステル、ジペンタエリスリトールの
カプロラクトン付加物アクリレート、トリス(アクリロ
イロキシエチル)イソシアヌレート、2- アクリロイロ
キシエチルホスフェートなどが用いられ得る。
【0037】これらの樹脂又はモノマーからなるインキ
は無溶剤性で、電磁波や電子線照射により連鎖的重合反
応を起こして硬化する。このうち、紫外線照射型のもの
については、光重合開始剤と、必要に応じて増感剤およ
び助剤として、重合禁止剤、連鎖移動剤などを添加す
る。
【0038】光重合開始剤としては、1)直接光分解型
としてアリールアルキルケトン、オキシムケトン、アシ
ルホスフィンオキシド等、2)ラジカル重合反応型とし
てベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体等、
3)カチオン重合反応型としてアリールジアゾニウム
塩、アリールヨードニウム塩、アリールスルホニウム
塩、アリールアセトフェノン等があり、その他に4)エ
ネルギー移動型、5)光レドックス型、ならびに6)電
子移動型のものが用いられ得る。
【0039】また、電子線硬化型のものについては、前
述した紫外線照射型と同様な樹脂又はモノマーを用い
て、光重合開始剤を必要とせず、必要に応じて各種助剤
が添加され得る。
【0040】インクジェットインキは、本発明の赤外線
吸収材料及び上記ビビクル以外に水及び水性有機溶媒を
含有するものであることができる。水は、イオン交換水
以上の純度であればよい。
【0041】水溶性有機溶媒は、インキの乾燥防止及び
浸透性付与を目的とし、例えば、エチレングリコール、
ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリ
セリンの如き多価アルコール類:N−アルキルピロリド
ン類:酢酸エチル、酢酸アミルの如きエステル類:メタ
ノール、エタノール、プロパノール、ブタノールの如き
低級アルコール類:メタノール、ブタノール、フェノー
ルのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加
物の如きグリコールエーテル類等が挙げられる。これら
の水溶性有機溶媒は、上記溶媒例に限定されるものでは
なく、溶媒の吸湿性、保湿性、染料溶解性や浸透性、イ
ンキの粘度や氷点などを考慮して、適宜、単独もしくは
複数で使用される。これらの水溶性有機溶媒の使用料
は、インキの0.1〜70重量%の範囲が好ましい。
【0042】インクジェット記録装置のシステムに要求
される諸条件を満たすために、必要に応じて、インキの
成分として従来から知られている添加物を添加すること
も可能である。これらの添加物としては、pH調製剤とし
てのアルコールアミン類、アンモニウム塩類、金属水酸
化物:比抵抗調製剤としての有機塩類、無機塩類:酸化
防止剤:防腐剤:防カビ剤:金属封鎖剤としてのキレー
ト剤等が挙げられる。
【0043】上記組成に加えて、噴封ノズル部の閉塞や
インキ吐出方向の変化などが生じない程度に、ポリビニ
ルアルコール、ポリビニルビロリドン、カルボキシメチ
ルセルロース、スチレンアクリル酸樹脂、スチレンマレ
イン酸樹脂等の水溶性樹脂を添加することもできる。
【0044】熱転写リボンインキ並びに検知マークを印
刷するためのグラビアインキ及びスクリーンインキに
は、本発明の赤外線吸収材料粉末以外に、ビビクルとし
て合成樹脂、ワックス、および必要に応じて溶剤や着色
剤を配合して調製する。合成樹脂は、サーマルヘッドの
電圧、融点などを考慮した上で適当なものを単独または
混合して用いる。具体例をあげれば、ポリエチレン、ポ
リスチレン、ポリプロピレン、ポリブチン、石油樹脂、
塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、塩化ビニリデ
ン樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネー
ト、フッ素樹脂、ポリビニルホルマール、ポリビニルブ
チラール、アセチルセルロースプラスチック、ニトロセ
ルロース、ポリアセタールなどである。ワックスは、ミ
ツロウ、触ロウ、イボタロウ、羊毛ロウ、セラックワク
ス、カルナバワックス、モンタンワックス、パラフィン
ワックス、キャンデリラワックス、ベトロラクタム、マ
イクロクリスタリンワックスなどから適宜選択して用い
ることができる。
【0045】溶剤は、熱転写リボンインキ組成物を通常
の印刷方法で塗布できるインキとする場合に用いる。ベ
ンゼン、キシレン、トルエン、トリクレン、ホワイトス
ピリット、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、メタノール、
エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチ
ルシクロヘキサン、メチルエチルケトン、エチルセロソ
ルブ、ブチルセロソルブ、シクロヘキサノンなどがその
例である。特に、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メ
タノール、エタノール、キシレンおよびトルエンが用い
られることが好ましい。
【0046】上記熱転写リボンインキをベースフィルム
上に設けた熱転写シートとすることができる。ベースフ
ィルムの材料には、常用のものを使用すればよい。具体
的には、ポリエスチル、ポリプロピレン、セロファン、
アセテート、ポリカーボネートなどのプラスチックのフ
ィルム、およびコンデンサー紙、パラフィン紙などの紙
類を使用することができる。
【0047】電子写真方式の場合のトナーインキの構成
成分は本発明の赤外線吸収材料、ビビクル、必要に応じ
て帯電制御剤、オフセット防止剤、外添剤(流動化剤)
からなる。ビビクルはポリスチレン樹脂、スチレン−ア
クリル系共重合体、スチレン−ブタジェン系共重合体、
ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン系
樹脂などの熱可塑性樹脂を挙げることができる。接触帯
電性は、アミノ基などの電子供与性の置換基を含むもの
は正帯電を帯びやすく、フッ素、カルボキシル基などの
電子受容性置換基を有するものは負帯電を帯びやすい。
【0048】帯電制御剤は正帯電用にはニグロシン系染
料、第4級アンモニウム系化合物など、負帯電トナーに
はアルキルサルチル酸の金属錯体、アゾ系含金属錯体な
どが用いられる。その他添加剤として、熱ロール定着の
オフセット防止剤として低分子量ポリエチレン、低分子
量ポリプロピレンなどが用いられる。
【0049】さらに本発明のインキには、組成物中に非
可逆性を有する消色性着色剤を含有させることができ
る。この場合の消色性着色剤は、可視光域において可視
状態を維持し、消色のための操作、たとえば近赤外線の
照射などの操作によって非可逆的に不可視状態に変化す
る着色剤である。このような消色性着色剤を含有するイ
ンキ組成物でコードパターンを形成すると、印刷画像を
肉眼で識別することが可能であり、印刷精度を向上させ
ることができる。その後、消色操作を行うことによっ
て、コードパターンを不可視状態に変化させることがで
きる。
【0050】具体例としては、下記構造式、で示される
消色性着色剤IR820B(昭和電工製)やシアニン系
色素とテトラブチルアンモニウム・ブチルトリフェニル
ボレートなどの有機ホウ素アンモニウム塩を共存するこ
とにより近赤外光を吸収して両者がカップリングし、不
可逆的に透明になるものがある。
【0051】
【化1】
【0052】本発明の赤外線吸収材料は、図2に示すよ
うに約975nmに鋭い吸収を示す。そこで、この赤外
線吸収材料を用いて形成したコードパターン又は検知マ
ークに、照射光源として、例えば半導体レーザーのパル
ス状の赤外光又は発光ダイオードの赤外発光に対して9
00nm以下の光及び1000nm以上の光を吸収する
バンドパスフィルターをコーティングしたレンズ等を受
光センサー側に取り付けて赤外線を照射すると、鋭い吸
収シグナルとして識別できる。
【0053】本発明は、前記赤外線吸収材料を用いた不
可視パターン及び不可視情報パターンを包含する。ここ
で、パターンは非情報パターン及び情報パターンを包含
する。非情報パターンとしては検知マーク等を挙げるこ
とができる。また、情報パターンとしては、コードパタ
ーンを挙げることができる。コードパターンとしては、
バーコードを例示でき、バーコードは1次元のバーコー
ド以外に2次元コード等であってもよい。特に本発明で
は、高い解像度が得られることから、2次元コードに有
効である。
【0054】又、検知マークとは、光学的検知方法を用
いた複写機にて画像を形成する際に、光学的に検知され
ない透明シートの紙送りタイミング等の設定のために設
けられるマークである。検知マークの形状や検知マーク
を設ける透明シート上の位置については、特に制限はな
い。例えば、特開昭58−106550号、同58−1
05157号、同59−7367号及び特開平3−99
878号公報に記載されているような、検知マークが挙
げられる。
【0055】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいてさらに説明
する。
【0056】実施例1 酸化イッテルビウム〔Yb2 3 〕微粉末(信越化学
製)7.9重量部と7.2重量部の酢酸とを140℃で
30分間還流反応させて酢酸イッテルビウム〔Yb(C
3 COO)3 〕・nH2 Oを沈殿として得て、90
℃、12時間真空乾燥して無水粉とした。次に得られた
酢酸イッテルビウム無水粉と17.9重量部のトリn−
ブトキシバリウム〔Ba(C4 9 O)2 〕(金属バリ
ウム(純正化学製)をn−ブタノールに溶解して作製)
とを1000重量部のn−ブタノール中、160℃で1
時間還流置換させて、トリn−ブトキシイッテルビウム
〔Yb(C4 9 O)3 〕溶液を得て、酢酸バリウム沈
殿と遠心分離(3500rpm、30分間)により分離
した。また、ジエトキシカルシウム〔Ca(C2
5 O)2 〕を以下のようにして調製した。窒素パージし
た雰囲気中で70℃のエタノール中に金属カルシウムを
添加し、〔Ca(C2 5 O)2 〕を調製した。上記で
得られたトリn−ブトキシイッテルビウム溶液1000
重量部とジエトキシカルシウム4重量部とリン酸5重量
部とを100重量部のn−ブタノールに溶解した溶液と
にそれぞれ1000重量部と100重量部のトルエンを
加えて、50%ブタノール溶媒としてから混合し、さら
に1×10-4重量部のアンモニアを加えた水1.62重
量部を添加し、20kHzの超音波を与えながら加水分
解反応を行った。その結果、30分後透明な微細結晶と
してリン酸カルシウムイッテルビウム(Yb:Ca=1
00:15)が生成した。
【0057】次いで上記リン酸カルシウムイッテルビウ
ムを含む溶媒中にシランカップリング剤であるSi(C
3 O)3 (CH2 =C(CH3 )−COOCH2 CH
2 CH2 )をリン酸カルシウムイッテルビウム100重
量部に対して1重量部添加して表面処理を行った。表面
処理されたリン酸カルシウムイッテルビウムは、遠心分
離(3500rpm、30分間)することによりウエッ
トケーキ(固形分19%)として回収された(収率:7
5%)。上記で得られたウエットケーキの分光反射率を
測定した結果を図1に示す。尚、測定は、島津製作所製
自記分光光度計UV3101PCを用い、硫酸バリウム
の反射率を100%として行った。
【0058】比較例1 実施例1と同様にして得られたトリn−ブトキシイッテ
ルビウム溶液1000重量部と4.2重量部のリン酸ト
リn−ブトキシドを100重量部のn−ブタノールに溶
解した溶液とにそれぞれ1000重量部と100重量部
のトルエンを加えて、50%ブタノール溶媒としてから
混合し、さらに1×10-4重量部のアンモニアを加えた
水1.62重量部を添加し、20kHzの超音波を与え
ながら加水分解反応を行った。その結果、30分後透明
な微細結晶としてリン酸イッテルビウムが生成した。
【0059】次いで上記リン酸イッテルビウムを実施例
1と同様にしてシランカップリング剤で処理して表面処
理されたリン酸イッテルビウムのウエットケーキ(固形
分18%)を回収した(収率:74%)。得られたYb
PO4 のウエットケーキの分光反射率を測定した結果
を、実施例1の結果とともに図1に示す。
【0060】実施例2 ジエトキシカルシウムの量を8重量部とした以外は実施
例1と同様にしてリン酸カルシウムイッテルビウム(Y
b:Ca=100:30)が生成した。次いで得られた
リン酸カルシウムイッテルビウムを実施例1と同様にし
てシランカップリング剤で処理して表面処理されたリン
酸カルシウムイッテルビウムのウエットケーキ(固形分
20%)を回収した(収率:76%)。得られたリン酸
カルシウムイッテルビウムのウエットケーキの分光反射
率を測定した結果を、実施例1の結果とともに図2に示
す。
【0061】実施例3 実施例1で得たウエットケーキ(固形分72%)17重
量部を、アクリレートモノマー2重量部、アクリレート
オリゴマー4重量部、ワックス3重量部及び増感剤0.
5重量部からなるオフセットビヒクルに添加混合して、
真空ブレンダー中にてフラッシングし、溶媒成分を除去
し、オフセット用インキを調製した。このインキを用い
て、PETフィルム(厚さ188μm)上にバーコード
をオフセット印刷した。得られたバーコードは、肉眼で
は認識できなかった。このバーコードを光源として赤外
発光ダイオード(SHARP、GL480、ピーク発光
波長950nm)を用い、受光部としてフォトダイオー
ド(SHARP、PD413PI、ピーク発光波長96
0nm)を用いて、読み取り試験を行った。その結果、
バーコード情報を読み取ることができた。
【0062】実施例4 実施例2で得たウエットケーキ(固形分72%)42重
量部を、MMA(メチルメタクリレート)13重量部、
シクロヘキサノン26重量部およびスワゾール1000
19重量部を加えて作成したビヒクルと混合し、シル
クスクリーンインキを得た。このインキを白PETフィ
ルム(厚さ188μm)上に250メッシュのバーコー
ドスクリーン版を用いてシルク印刷した。得られたバー
コードは、実施例3と同様に、肉眼では認識できなかっ
た。さらに、このバーコードを実施例3と同様の光源お
よび受光部を用いて、読み取り試験を行った。その結
果、バーコード情報を読み取ることができた。
【0063】実施例5 実施例2で得たウエットケーキ(固形分72%)58.
5重量部を、アクリル樹脂14重量部、トルエン27.
5重量部及び沈降防止剤3重量部と攪拌してグラビアイ
ンキを得た。得られたインキを、PETシート(厚さ1
00μm)の縁端部にグラビア印刷して、光学的検知マ
ークを有する透明OHPシートを得た。このOHPシー
トのグラビア印刷した検知マークの部分も透明であっ
た。得られた透明OHPシートを光感応型シート検知装
置付の複写機でプリントテストを行った。その結果、シ
ートの検知性及び紙送り性ともに良好であった。さら
に、画像を形成したシートは、検知マークの部分が透明
であることから、OHPでの使用時の画像も見やすいも
のであった。
【0064】
【発明の効果】本発明によれば、975nm付近の近赤
外領域の吸収ピークの強度が改善された赤外線吸収材料
を提供することができる。この赤外線吸収材料は、赤外
線吸収コードパターンや赤外線吸収検知マーク等の赤外
線吸収マークの形成用として優れた材料である。特に本
発明による赤外線吸収材料は、光源として赤外発光ダイ
オードやガリウム・砒素半導体レーザーを用いた場合、
吸収ピーク付近の波長が光源光のピーク波長に大変近
く、さらに受光素子であるフォトダイオードの分光感度
特性が吸収特性とほぼ一致することから、近赤外吸収特
性を信号として利用し易いという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1及び比較例1の赤外線吸収材料の分
光反射率のスペクトルを示す。
【図2】 実施例1及び実施例2の赤外線吸収材料の分
光反射率のスペクトルを示す。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イッテルビウムの一部をイッテルビウム
    より高いデバイ温度を有する少なくとも1種の元素で置
    換したリン酸イッテルビウムからなることを特徴とする
    赤外線吸収材料。
  2. 【請求項2】 イッテルビウムより高いデバイ温度を有
    する元素がアルカリ金属及びアルカリ土類金属である請
    求項1記載の赤外線吸収材料。
  3. 【請求項3】 イッテルビウムより高いデバイ温度を有
    する元素を、吸収した光子エネルギーの結晶内部エネル
    ギーへのフォノン散乱を増加させるに有効な量含む請求
    項1または2記載の赤外線吸収材料。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の赤
    外線吸収材料からなる顔料とビヒクルとを含有すること
    を特徴とする赤外線吸収インキ。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の赤
    外線吸収材料からなる顔料を含有する印刷層を有するこ
    とを特徴とする印刷物。
  6. 【請求項6】 印刷層が不可視パターンである請求項5
    記載の印刷物。
  7. 【請求項7】 印刷層が不可視情報パターンである請求
    項5記載の印刷物。
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