JPH11246570A - 二弗化スズナフタロシアニン結晶及びそれを用いた近赤外線吸収材 - Google Patents

二弗化スズナフタロシアニン結晶及びそれを用いた近赤外線吸収材

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JPH11246570A
JPH11246570A JP10050375A JP5037598A JPH11246570A JP H11246570 A JPH11246570 A JP H11246570A JP 10050375 A JP10050375 A JP 10050375A JP 5037598 A JP5037598 A JP 5037598A JP H11246570 A JPH11246570 A JP H11246570A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 可視部の着色が少なく、近赤外領域で高い吸
収を示す近赤外線吸収色素を提供する。 【解決手段】 Cu−Kα線によるX線回折スペクトル
において、ブラッグ角2θ(±0.3°)8.5°、1
3.9°、14.6°及び25.8°にピークを有する
二弗化スズナフタロシアニン。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な結晶形を有
する二弗化スズナフタロシアニンに関するものである。
さらに、この二弗化スズナフタロシアニンを近赤外線吸
収色素として用いる事を特徴とする近赤外線吸収材に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来から、ナフタロシアニン化合物は近
赤外部に大きな吸収を示し、近赤外線吸収色素として広
く使用されている。近年、光学文字読み取り装置OCR
(Optical Character Reade
r)、イメージスキャナー、バーコードリーダー等の記
号を読みとる装置の性能が向上すると共に、OCRによ
る帳票のデータ入力や文字を読み取りフャイリングシス
テム、あるいは商品の値札や工場での行程管理等をバー
コードで行うシステム等が急速に普及している。しかし
ながら、装置やシステムの性能向上につれ、高速処理や
微細な画像データ処理が増加し、これらのシステムに於
ける読み取り誤差や、読み取りできないケースが多くな
っている。更にテレホンカード、クレジットカード、チ
ケット、プリペードカードなどのカード類の普及、定期
券や切符の磁気カード化等により、従来、有価証券や証
書類、身分証明書や免許証で問題になっていた偽造防止
対策がこれらのカードにも必要となり、近赤外線吸収色
素を用いた対策が種々提案されている。
【0003】また、近年、ビルの省エネ対策や植物栽培
用ビニールハウス等の温度調整や植物育成調整等を目的
にした熱線遮断フィルムが注目を集めており、近赤外線
吸収色素を用いた熱線遮断フィルムが種々提案されてい
る。ここで、用いられる近赤外線吸収材の特性としては
赤外部に幅広い安定した吸収スペクトルを持ち、読み取
り誤差の少ない検出性能を有し耐光堅牢度が良好で、且
つ着色度が少なく、より透明なこと等が要求され、今尚
より優れた近赤外線吸収材の開発が強く望まれている。
【0004】このような状況の中、ナフタロシアニン化
合物は比較的容易に合成できること700〜100
0nmの近赤外域に吸収を有すること中心金属により
可視部及び近赤外部の吸収が変化し近赤外に大きな吸収
を持つことから、近赤外線吸収材としての種々のナフタ
ロシアニン化合物の開発が提案されている。しかしなが
ら近赤外領域が狭かったり、耐光堅牢度などの耐久性が
十分でない、あるいは製造コストが高く実用性がないな
どの問題点を有するものが多く、幅広い分野で使用でき
るナフタロシアニン化合物の開発が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】特にバーコードリーダ
の光源には830、925、940、950nm等、近
赤外領域で種々の光源が用いられており、これらの光源
に対し使用可能な近赤外領域に幅広い吸収を有し可視部
の着色の少なく、耐久性に優れた近赤外線吸収化合物が
望まれていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
課題を解決しうるナフタロシアニン化合物を見いだすた
めに種々検討した結果、X線回折スペクトルにおいて、
ブラッグ角2θ(±0.3°)8.5°,13.9°,
14.6°及び25.8°に主たるピークを有する新規
結晶二弗化スズナフタロシアニンが可視部の色調が淡い
黄色で着色度が小さく、且つ、750nm〜950nm
近赤外部の波長域で極めてフラットな波形で、高い色素
強度を有し、近赤外部での検出性能が極めて良好で、か
つ優れた耐久性を有することを見いだした。すなわち、
本発明はCu−Kα線によるX線回折スペクトルにおい
て、ブラッグ角2θ(±0.3°)8.5°,13.9
°,14.6°及び25.8°に主たるピークを有する
新規結晶二弗化スズナフタロシアニン及びこの化合物を
近赤外線吸収材として含有する種々の近赤外線吸収材に
係わるものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の二弗化スズナフタロシア
ニン化合物は従来の二弗化スズナフタロシアニンとは全
く異なる結晶形を有するものであって、図1に示すよう
にX線回折スペクトルにおいて、ブラック角2θ(±
0.3°)8.5°,13.9°,14.6°及び2
5.8°に主たるピークを有している。尚、製造条件の
違い、X線回折スペクトルの測定手法等で強度の割合、
位置等が多少変動することもある。本発明による二弗化
スズナフタロシアニン化合物は上記の如く従来にない新
規なX線回折パターンを示すが、その基本構造は次の式
(1)で表される。
【0008】
【化2】
【0009】また上記X線回折スペクトルは下記の条件
(以下同様)で測定したものである。 X線管球 Cu 電圧 40kV 電流 30mA スタート角度 3.00 deg ストップ角度 40.00 deg ステップ角度 0.05 deg 測定時間 0.50 sec.
【0010】二弗化スズナフタロシアニンは、例えば、
次のようにして製造することができる。1,3−ジイミ
ノベンゾ(f)イソインドリン、または2,3−ジシア
ノナフタレンを弗化第一スズ(弗化スズ(II))と加熱
する公知の方法に従って容易に合成することができる。
この化合物をトルエン中にてソルベントミリング処理を
実施し、本発明の新規結晶形の二弗化スズナフタロシア
ニンを得ることができる。
【0011】ソルベントミリングの条件は常温で直径約
1mmのガラスビーズの入ったトルエン中にて微粒子化
処理をする事によって得られる。次に上記新規結晶形の
二弗化スズナフタロシアニンの微分散液を熱溶融転写用
インクに添加し近赤外線吸収インクとし、このインク液
をポリエチレンテレフタレートフィルムに塗布し感熱転
写フィルムを得ることができる。また、同様に上記新規
結晶形の二弗化スズナフタロシアニンの近赤外線吸収色
素をインクジェット用インクに添加して近赤外線吸収イ
ンクジェット用インクを得ることができる。更に、また
種々のバインダー樹脂と混合し各種の印刷インクや塗布
用のインクを得ることができ、かつ塗布または混練りし
て近赤外光を吸収するフィルム等の樹脂組成物を形成す
ることができる。
【0012】インク用の樹脂としてはガムロジン、ウッ
ドロジン、トール油ロジン、セラック、ギルソナイト等
の天然樹脂や石灰ロジン、亜鉛硬化ロジン、エステルガ
ム、マレイン酸樹脂、フマル酸樹脂、二量化ロジン、重
合ロジン等の天然樹脂誘導体や、フェノール樹脂、ロジ
ン変性フェノール樹脂、キシレン樹脂、尿素樹脂、メラ
ミン樹脂、ケトン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油樹
脂、テルペン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、アルキド樹
脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、
塩化ビニル、酢酸ビニル共重合樹脂、ポリ酢酸ビニル、
ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、塩素化
ポリプロピレン、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポ
リウレタン、セルロース誘導体等の合成樹脂、等が挙げ
られる。
【0013】熱溶融性インクにはワックス及び熱可塑性
樹脂を用いるが、ワックスとしては融点が50〜100
℃、好ましくは50〜90℃の範囲のものが用いられ、
例えば、天然ワックスとしてはキャンデラワックス、カ
ルナバワックス、ライスワックス、木ろう、などの植物
系ワックス、みつろう、ラノリン、鯨ろう、等の動物系
ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セシレン
等の鉱物系ワックス、パラフィンワックス、マイクロク
リスタリンワックス、ペトロラクタム等の石油系ワック
ス、合成ワックスとしてはフィッシャートロピッシュワ
ックス、ポリエチレンワックスなどの合成炭化水素、モ
ンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マ
イクロクリスタリンワックス誘導体等の変性ワックス、
酸化ひまし油、硬化ひまし油誘導体等の水素化ワック
ス、ラノリン酸、パルミチン酸、ミルスチン酸、ステア
リン酸、1,2−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸が
ある。また熱可塑性樹脂としては、軟化点が200℃以
下、好ましくは180℃以下のものであり、例えば、ポ
リ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、エチレン
−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル
共重合体、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル、ポ
リアミド、エチルセルロース、エポキシ樹脂、キシレン
樹脂、ケトン樹脂、石油樹脂、ロジンもしくはその誘導
体、クマロンインデン樹脂、テルペン樹脂、ポリウレタ
ン樹脂、スチレン−ブタジエンゴム、ポリビニルブチラ
ール、ニトリルゴム、アクリルゴム、エチレン−プロピ
レンゴム、等の合成ゴムが挙げられる。
【0014】塗布用の透明基材としては光学的に透明な
樹脂であればよく、例えば、アクリル樹脂、メタクリル
樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビ
ニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ
プロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、
エポキシ樹脂などが挙げられる。混練り用フィルムの素
材としては光学的に透明で当該請求項1の色素をうまく
分散できる樹脂であればよく、例えば、アクリル樹脂、
メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹
脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン
樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチ
レン樹脂、エポキシ樹脂およびこれらの共重合体などが
挙げられる。
【0015】
【実施例】以下に実施例によって本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り以下
の実施例によって制限されるものではない。なお実施例
中の「部」は「重量部」を意味する。
【0016】実施例1 2,3−ジシアノナフタレン(mp252−253℃)
1.78gと弗化第一スズ0.78g及び、触媒として
モリブデン酸アンモニウム0.5gをキノリン溶媒20
ml中に分散させ、加熱環流下に10時間攪拌した。得
られた反応液を室温まで冷却後、メタノール100ml
を加え環流下3時間攪拌した。反応液を濾過し、得られ
た結晶をN−メチル−2−ピロリドン100ml中に分
散させ200℃で2時間攪拌後100℃まで冷却し、結
晶を濾過した。さらにN−メチル−2−ピロリドンによ
る同様の処理を4回繰り返して、二弗化スズナフタロシ
アニン1.56gを得た。この時のIR測定結果を図3
に示す。この合成物をトルエン中にて、ソルベントミリ
ング処理を実施し、X線回折スペクトルにおいてブラッ
グ角2θ(±0.3°)8.5°,13.9°,14.
6°及び25.8°にそれぞれピークを有する二弗化ス
ズナフタロシアニンの新規結晶を得た。このX線回折ス
ペクトルを図1に示す。
【0017】次に得られた二弗化スズナフタロシアニン
結晶を下記インク組成Aに従ってトルエン分散液の形
で、下記熱溶融転写インクの固形分に対し1%になるよ
うに添加し近赤外線吸収インクを得た。このインク組成
の塗布液を7μmのポリエチレンテレフタレートフィル
ムにバーコーター法で膜厚が3μmになるように塗布し
乾燥して感熱転写フィルムを得た。
【0018】
【表1】 インク組成A 二弗化スズナフタロシアニン X 部(固形分に対し1%添加) ウレタンワックス 70.4 部(日本精蝋社製 HAD5080) カツバナワックス 10.6 部(天然ワックス) エチレン酢酸ビニル共重合物 19.0 部(三井ポリケミカル社製 EV220 ) IPA Y 部 合 計 1000 部
【0019】上記条件で作製した感熱転写フィルムを用
い印字装置(大倉電気社製、TH−PMD)にて受像紙
(王子油化合成紙社製、ユポFPG#150)に印字し
た。このサンプルの印字部の可視部から近赤外部の反射
スペクトルを分光光度計(日立製作所社製、U−350
0)を用い、酸化アルミニウム製の副白板を基準とし反
射スペクトルを測定し、併せて反射率のλmin の色素強
度K/S値比(クベルカムンクの式((1−R)2 /2
R;Rは反射率)によって求められる)を算出し、以下
に示す比較例1に示す公知の結晶形の二弗化スズナフタ
ロシアニンのK/S値を100として、その相対比を求
め、その結果を表−1、及び図4に示す。また耐光堅牢
度(JIS L0843に従って)をキセノンフェード
メータで20時間照射後の近赤外部での色素強度K/S
値が照射前を100とした時のK/S比(残存する近赤
外吸収色素濃度の指標として)を併せて表−1に示す。
【0020】
【表2】
【0021】実施例2 実施例1のインク組成Aに変えて、下記赤色インクであ
る。クロモフタールRed A3Rを10部添加し、本
発明の新規結晶形二弗化スズナフタロシアニンを印字し
た時の近赤外部での最小反射率が約50%になるように
調整したインク組成Bとした以外は、実施例1と同様の
条件で印字物を作製し、反射スペクトル測定及び色差Δ
E*ab の結果を以下に示す。なお色差ΔE*ab はJIS
−28729に従ってC光源で計算される値である。
【0022】
【表3】 インク組成B(赤色インク) クロモフタール Red A3R 10.0 部(Ciba-Gy 社製 C.I.R-177) 二弗化スズナフタロシアニン X 部(印字時近赤外部最小反射率 約50%になるよう添加) ウレタンワックス 70.4 部(日本精蝋社製 HAD5080) カツバナワックス 10.6 部(天然ワックス) エチレン酢酸ビニル共重合物 19.0 部(三井ポリケミカル社製 EV220 ) IPA Y 部 合 計 1000 部
【0023】実施例3 実施例1でソルベントミリング処理をしたトルエン分散
液を下記ポリエステル樹脂20%溶液に固形分に対し色
素濃度が1%になるように添加し近赤外線吸収インクを
得た。このインク組成の塗布液を約100μmのポリエ
チレンテレフタレートフィルムにバーコーダ法で膜厚が
5μmになるように塗布、乾燥して近赤外線吸収フィル
ムを得た。このサンプルを可視部から近赤外部(400
nm〜1500nm)の透過率スペクトルを分光光度計
(日立製作所製、U−3500)を用いて測定した。ま
た耐光堅牢度(JIS L0843に従って)をキセノ
ンフェードメータで20時間照射後の近赤外部での堅牢
度を見た。この結果、実施例1と同様に近赤外部に幅広
(750〜950nm)の吸収を持ち耐光堅牢度も極め
て良好であった。
【0024】
【表4】 インク組成C 二弗化スズナフタロシアニン X 部(固形分に対し1%添加) *バイロン #200 20%溶液 100 部(東洋紡社製ポリエステル 樹脂) *溶媒 トルエン+メチルエチルケトン=1:1
【0025】比較例1 実施例1のソルベントミリング処理前の、二弗化スズナ
フタロシアニン化合物のX線回折スペクトルは、図2に
示すように、ブラッグ角2θ(±0.3°)7.7°,
10.2°,14.2°,21.5°,24.3°,2
6.3°及び28.7°にそれぞれ主たるピークを有
し、本発明の結晶形とは異なる二弗化スズナフタロシア
ニンである。この結晶形の二弗化スズナフタロシアニン
を用い、実施例1に於けるトルエン微分散液をメタノー
ル微分散液に変えた以外は、実施例1と同様の条件で印
字物を作製し、反射スペクトル測定し、併せて色素強度
K/S値を100として表−1及び図4に示す。
【0026】比較例2 実施例2の本発明の結晶形二弗化スズナフタロシアニン
に変えて比較例1の結晶形二弗化スズナフタロシアニン
に変えた以外は実施例2と同様の条件で印字物を作製
し、反射スペクトル測定し、以下の比較例3を標準とし
色差ΔE*ab を求め、この結果を表−2及び図5に示
す。
【0027】
【表5】
【0028】比較例3 実施例2のインク組成Bに於いて二弗化スズナフタロシ
アニンの近赤外線吸収材を無添加にした以外は実施例2
と同様の条件で印字物を作製し、これを色差の標準とし
て表−2に示す。
【0029】表−1及び図4の結果からもわかるように
実施例1の本発明の結晶形を有する化合物は比較例1に
記載の結晶形に比べ近赤外部での色素強度が約3倍と極
めて高いことがわかる。また近赤外部での反射スペクト
ルも750nm〜950nmの幅広く一定した近赤外線
検出可能波長域を合わせて有することから、例えば、検
出光源の780nm、800nm、830nm、880
nm、925、940や950nm等の半導体、発光ダ
イオード、その他赤外発行ダイオードを用いたスキャナ
ー等が使用可能である。また表−1の結果からもわかる
ように本発明の二弗化スズナフタロシアニンは極めて良
好な耐光堅牢度を示し、色相も淡い黄色であることか
ら、見えないインクへの応用や、色相や彩度を変えるこ
とのない、着色インクへの配合に適し、且つ、カード類
や種々の印刷物のように長期間使用するため耐光堅牢度
を重要視する用途に用いられる近赤外線吸収色材として
極めて有用である。
【0030】表−2及び図5の結果から、本発明の結晶
形を有する近赤外線吸収材は着色インクと配合した実施
例2の結果からもわかるよう、着色インク色相への影響
が少なく、赤外線吸収色素無添加の比較例3に比べ、Δ
E:ab が従来品の結晶形化合物に比べ小さく、色相変化
が小さいことがわかる。このため本発明品を添加しても
色の変化が少ないことから、偽造防止等のために本発明
品を用いることは極めて有用である。
【0031】
【発明の効果】以上詳述したように本発明は、従来には
ない特定の結晶形を有する二弗化スズナフタロシアニン
を提供するものであり、さらに、この二弗化スズナフタ
ロシアニンを近赤外線吸収色材として近赤外インクに用
いた場合、従来の結晶形に比べ、可視部の着色が低く、
極めて高い色素強度を持つものが得られ、併せて近赤外
の波長域に安定した反射スペクトルを有し、且つ良好な
耐光堅牢度を有する印字物が得られる事から、バーコー
ドや偽造防止や改竄防止等の対策に使用する近赤外線吸
収色材として特に有用である。また、ポリエステル、ポ
リエチレン、塩化ビニル等の樹脂に含有させた、赤外線
遮断フィルムとして、ビルの省エネ対策や植物栽培用ビ
ニールハウス等の温度調整や植物育成調整等を目的とし
た熱線遮断フィルムとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の二弗化スズナフタロシアニン結晶のX
線回折スペクトル。
【図2】従来の二弗化スズナフタロシアニン結晶のX線
回折スペクトル。
【図3】二弗化スズナフタロシアニンのIRスペクト
ル。
【図4】実施例1及び比較例1の可視・近赤外吸収スペ
クトル。
【図5】実施例2及び比較例2の可視・近赤外吸収スペ
クトル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 尾澤 鉄男 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Cu−Kα線によるX線回折スペクトル
    において、ブラッグ角2θ(±0.3°)8.5°,1
    3.9°,14.6°及び25.8°にピークを有する
    下記式(1)で表される二弗化スズナフタロシアニン。 【化1】
  2. 【請求項2】 請求項1記載のナフタロシアニンを近赤
    外線吸収材として含有することを特徴とする近赤外線吸
    収材。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のナフタロシアニンを含有
    してなる近赤外線吸収インク。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のナフタロシアニンを、着
    色インクに含有させてなる近赤外線吸収インク。
  5. 【請求項5】 少なくとも請求項1記載のナフタロシア
    ニンを樹脂中に分散して含有させてなる近赤外線吸収組
    成物。
  6. 【請求項6】 請求項5の記載の近赤外線吸収組成物を
    基材上に薄層として形成してなる近赤外線吸収感熱複写
    材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008202000A (ja) * 2007-02-22 2008-09-04 Sanyo Shikiso Kk 金属ナフタロシアニン顔料、近赤外線吸収材及び近赤外線吸収インク

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JP2008202000A (ja) * 2007-02-22 2008-09-04 Sanyo Shikiso Kk 金属ナフタロシアニン顔料、近赤外線吸収材及び近赤外線吸収インク

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