JPH09140391A - 微生物によるアミノ酸の製造法 - Google Patents

微生物によるアミノ酸の製造法

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JPH09140391A
JPH09140391A JP6895596A JP6895596A JPH09140391A JP H09140391 A JPH09140391 A JP H09140391A JP 6895596 A JP6895596 A JP 6895596A JP 6895596 A JP6895596 A JP 6895596A JP H09140391 A JPH09140391 A JP H09140391A
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亜季 及川
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Abstract

(57)【要約】 【構成】水性媒体中アンモニアおよび/またはアンモニ
ウム塩の存在下、アルデヒドシアンヒドリンに該シアン
ヒドリンのシアノ基を加水分解する能力を有する微生物
を作用させることによる、アミノ酸の製造法。 【効果】本発明は、原料のシアンヒドリンまたはこれを
構成するアルデヒドと青酸を原理的に全量R体またはS
体いずれか一方のアミノ酸に変換することが可能な、工
業的要望を満足し得る新規な技術を提供するものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は微生物の作用により、ア
ンモニアおよびアンモニウム塩等の存在下、アルデヒド
シアンヒドリンから直接的にアミノ酸を製造する方法に
関する。本発明によって製造される天然型または非天然
型のアミノ酸、特にその光学活性体は食品や医農薬原料
として重要な化合物が多い。
【0002】
【従来の技術とその課題】光学活性アミノ酸は発酵法、
酵素法、有機合成法、天然物からの抽出、またはそれら
の技術の組み合わせによる様々な手法により工業生産さ
れている。酵素法に関し、微生物のニトリルの加水分解
活性を利用した光学活性なアミノ酸を製造する方法とし
ては、アミノニトリルまたはその誘導体を出発物質に用
いる方法〔Anne M. et.al, Biotechnology Letters,
, 865-870 (1985)、Tek C. B. et.al, Applied Micro
biology and Biotechnology, 37, 184-190 (1992)、特
開平1-317392号、同 1-317393 号、同 1-317394 号、同
3-117493 号および同 2-31694号各公報参照〕が提案さ
れている。
【0003】しかし、原料となるアミノニトリルは、一
般に中性以上のpHでは極めて不安定であり、収率の低
下を引き起こすと共に、蒸留や水溶液からの抽出、分離
が困難であるという問題がある。また、アミノニトリル
は部分的に水溶液中でラセミ化する性質があると考えら
れるものの〔Anne M. et.al, Biotechnology Letters,
, 865-870 (1985)〕、その速度は遅い。一方、アミノ
ニトリルのラセミ化作用を有するアミノニトリルラセマ
ーゼを光学特異的ニトリル加水分解活性を有する微生物
と組み合わせることにより、光学活性アミノ酸の収率向
上を図る手法も開発されている〔特表昭63-500004 号お
よび特表平3-500484号各公報参照〕が、未だ大幅な収率
向上は認められていない。
【0004】
【課題を解決するための手段】このような状況に鑑み、
本発明者らは微生物のニトリル加水分解活性を利用し
て、原料シアンヒドリンをアミノ酸に変換する方法、特
に原料シアンヒドリンを一方の光学活性なアミノ酸に変
換する方法を開発すべく鋭意研究を行った結果、この変
換反応が、全く意外にも、水性媒体中、アンモニアおよ
び/またはアンモニウム塩の存在下に、該微生物をシア
ンヒドリンに作用させることにより極めて効率よく行え
ることを見い出し、本発明を完成した。
【0005】すなわち、本発明は、水性媒体中、アンモ
ニアおよび/またはアンモニウム塩の存在下に、一般式
(1)で示されるシアンヒドリンに該シアンヒドリンの
シアノ基を加水分解する能力を有する微生物または該処
理物を作用させることにより、該シアンヒドリンを一般
式(2)で示されるアミノ酸に変換せしめることを特徴
とする微生物によるアミノ酸の製造法、である。
【0006】 R1 (CH2 )n−CH(OH)CN (1) R1 (CH2 )n−CH(NH2 )COOH (2)
【0007】式中、R1 は置換または無置換のアルキル
基、フェニル基、ピリジル基、フリル基またはチエニル
基、および nは0〜4の整数を表す。
【0008】また、本発明は、一般式(1)で示される
シアンヒドリンに代えてこれを構成するアルデヒドと青
酸を使用しても、これらと該シアンヒドリンとの間で速
やかに解離平衡が形成され、同様に目的が達成される。
【0009】上記したところを要旨とする本発明の反応
機構は明らかではないが、アルデヒドとアンモニアまた
はアンモニウムイオンが水性媒体中でシッフ塩基を形成
し、このシッフ塩基の炭素原子に青酸が可逆的に求核反
応してアミノニトリルを若干量生成せしめ、これがニト
リルの加水分解活性酵素の基質になるものと考えられ
る。この条件下で形成されるアミノニトリルはシッフ塩
基との間で解離平衡状態にあるものと推測され、未反応
のアミノニトリルはこの系により繰り返しラセミ化し、
最終的には全てのシッフ塩基が光学活性アミノ酸に変換
されるものと推察される。
【0010】それ故、本発明においては、原料のシアン
ヒドリンまたはこれを構成するアルデヒドと青酸を原理
的に全量R体またはS体いずれか一方のアミノ酸に変換
することが可能である。
【0011】一般式(1)〜(2)におけるR1 で表さ
れる各種の基の置換基としては、例えば、アルキル基、
アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル
基、塩素、臭素等のハロゲン、ヒドロキシル基、アミノ
基、ニトロ基、チオール基などが挙げられる。
【0012】本発明で得られる一般式(2)で示される
アミノ酸の代表例としては、RまたはS体のフェニルグ
リシン、p−ヒドロキシフェニルグリシン、o−クロル
フェニルグリシン、m−クロルフェニルグリシン、p−
クロルフェニルグリシン、2−ピリジルグリシン、3−
ピリジルグリシン、4−ピリジルグリシン、2−フリル
グリシン、3−フリルグリシン、2−チエニルグリシ
ン、3−チエニルグリシン、β−フェニルアラニン、チ
ロシン、アラニン、セリン、バリン、ロイシン、メチオ
ニン、α−アミノ−n−酪酸、α−アミノ−β−フェニ
ル酪酸、α−アミノ−γ−フェニル酪酸、α−アミノ−
n−バレリアン酸、α−アミノ−i−バレリアン酸およ
びα−アミノヘキサン酸などを挙げることができる。
【0013】アンモニウム塩としては、反応を阻害しな
い化合物であれば無機・有機塩いずれでもよく、例え
ば、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硫酸水素ア
ンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウ
ム、硝酸アンモニウム、燐酸アンモニウム、燐酸水素二
アンモニウム、燐酸二水素アンモニウム、硼酸アンモニ
ウム、酢酸アンモニウムなどを挙げることができ、アン
モニアはアンモニアガスまたはアンモニア水として使用
できる。また、これらアンモニアおよびアンモニウム塩
は2種以上併用してもよい。
【0014】水性媒体は水または緩衝液、例えば、燐酸
緩衝液、硼酸緩衝液、炭酸緩衝液であり、基質の溶解性
向上等、必要により、メタノール、エタノールなどの水
可溶性有機溶媒やトルエン、酢酸エチル、n−ヘキサ
ン、t−ブタノール、1−ヘプタノール、2−オクタノ
ール、メチルシクロヘキサノール、クロロホルム、四塩
化炭素、ジクロルエタン、ジメチルエーテル、ジエチル
エーテル、ベンゼン、エトキシベンゼン、メチルベンゾ
エート、エチルベンゾエート、ジメチルフタレートなど
の水不溶性有機溶媒を、目的とする生成物の種類に応じ
適宜併用することができる。これらの有機溶媒はそれぞ
れ単独で、あるいは2種以上混合して使用することがで
きる。特に、水不溶性有機溶媒の併用は、α−ヒドロキ
シ酸の生成を完全に阻止しながら高い光学純度のアミノ
酸を再現性よく製造することができるので好ましい。
【0015】本発明で使用される微生物は、一般式
(1)で示されるシアンヒドリンのシアノ基に対し加水
分解活性をもつものであれば特に制限されず、例えば、
アシネトバクター (Acinetobacter)属、アルカリゲネス
(Alcaligenes)属、オーレオバクテリウム (Aureobacte
rium) 属、バクテリジウム (Bacteridium)属、ブレビバ
クテリウム (Brevibacterium) 属、カセオバクター (Ca
seobacter)属、ゴルドナ (Gordona)属、ノカルディア
(Nocardia) 属、シュードモナス (Pseudomonas)属およ
びロドコッカス (Rhodococcus)属に属する微生物を挙げ
ることができる。
【0016】具体的には、アシネトバクター エスピー
(Acinetobacter sp.) BC9-2 (FERMBP-3317) 、アルカ
リゲネス エスピー (Alcaligenes sp.) BC12-2 (FERM
P-11263)、オーレオバクテリウム テスタセウム (Aure
obacterium testaceum) IAM1561、バクテリジウム エ
スピー (Bacteridium sp.) CBS 496、ブレビバクテリウ
ム エスピー (Brevibacterium sp.) CBS 498 、カセオ
バクター エスピー (Caseobacter sp.) BC23 (FERM P-
11261)、ゴルドナ テラエ (Gordona terrae)MA-1 (FER
M BP-4535) 、ノカルディア アステロイデス (Nocardi
a asteroides)IFO 3384 、シュードモナス エスピー
(Pseudomonas sp.) BC13-2 (FERM BP-3319)、ロドコッ
カス エスピー (Rhodococcus sp.) HT40-6 (FERM BP-5
231)および同 SK92 (FERM BP-3324)などを挙げることが
できる。
【0017】これらの微生物のうち、BC9-2 、BC12-2、
BC23、MA-1、BC13-2、HT40-6およびSK92株は、本出願人
により自然界から分離採取されたものであり、上記寄託
番号にて工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託され
ており、その菌学的性質は、特開平5-192189号公報、同
6-237789 号公報等に記載されている。
【0018】また、その他の菌株も公知であり、FERM P
-760 は工業技術院生命工学工業技術研究所から、IAM
12340 、IAM 1561、は東京大学分子細胞生物研究所か
ら、CBS 496 、CBS 498 は Centraalbureau voor Schi
mmelcultures から、IFO 3384は財団法人発酵研究所か
ら容易に入手することができる。
【0019】次に、本発明の実施態様について説明す
る。本発明に使用される微生物の培養は、資化し得る炭
素源(グリセロール、グルコース、サッカロース、ラク
トース、フラクトースなど)、窒素源(肉エキス、酵母
エキス、麦芽エキスなど)、および各微生物の生育に必
須の無機塩(塩化マグネシウム、硫酸マンガン、硫酸亜
鉛、塩化鉄など)を含有した通常の培地を用いて行われ
る。培養の初期、または中期に生育を阻害しない濃度の
ニトリル類(o−アミノベンゾニトリル、1−シクロヘ
キセニルアセトニトリル、ケイ皮酸ニトリル、n−ブチ
ロニトリルなど)、アミド類(ε−カプロラクタムな
ど)等の添加は、より高い酵素活性が得られるので好ま
しい。
【0020】培養はpH4〜10、温度5〜50℃の範
囲で、好気的条件下1〜7日間程度活性が最大となるま
で行えばよい。
【0021】加水分解および水和反応は、基質である一
般式(1)で示されるシアンヒドリンまたは該シアンヒ
ドリンを構成するアルデヒドと青酸の水溶液または緩衝
液にアンモニア、アンモニウム塩等を溶解した後、上記
に準じて培養した微生物の菌体または菌体処理物(乾燥
菌体、菌体の破砕物、粗・精製酵素、固定化菌体・酵素
など)を混合して行う。
【0022】基質の濃度はシアンヒドリンの濃度とし
て、通常0.05〜6.0重量%、好ましくは0.2〜
2.0重量%の範囲である。アンモニアおよびアンモニ
ウムの濃度は、通常0.1Mから飽和濃度の範囲であ
る。反応液のpHは6〜12、好ましくは8〜11、特
に好ましくは9〜11の範囲であり、通常、上記のpH
範囲で使用可能な燐酸緩衝液、ほう酸緩衝液、炭酸緩衝
液等を、その濃度10〜400mM、好ましくは20〜
100mMの範囲で使用する。
【0023】本発明における目的生成物の回収は、反応
終了液から菌体などの不溶物を除去した後に、陽イオ
ン、陰イオン交換樹脂で吸着回収する方法、濃縮後に等
電点付近で冷却晶析する方法など公知の方法により行う
ことができる。
【0024】
【実施例】本発明を実施例により更に詳細に説明する。 実施例1 (1)培養 ゴルドナ テラエ MA-1 菌株を、誘導剤として0.0
3重量%o−アミノベンゾニトリルを添加した下記の培
地で、30℃、72時間好気的に培養した。培地から遠
心分離により菌体を採取し、50mMリン酸緩衝液(p
H8.2)で洗浄した後、少量の同じ緩衝液に再懸濁し
濃菌体液を作成した。
【0025】培地組成(pH7.5) グリセロール 20g 酵母エキス 3g 燐酸一カリウム 6.8g 燐酸二ナトリウム 7.1g 硫酸ナトリウム 2.8g 塩化マグネシウム 0.4g 塩化カルシュウム 0.04g 硫酸マンガン 0.03g 塩化鉄 0.006g 硫酸亜鉛 0.003g 蒸留水 1000ml
【0026】(2)加水分解反応 30mMのマンデルニトリルと1M硫酸アンモニウムを
含む5mlの50mM燐酸緩衝液(pH7.0,8.0)お
よび50mM硼酸緩衝液(pH8.0、9.0、9.5、1
0.0)に上記培養菌体をOD630 =2.0になるよう
に懸濁し、30℃、24時間振盪しながら反応させた。
【0027】(3)分析 反応終了後、反応液を遠心し菌体を除去した後、上清液
中の生成物を液体クロマトグラフィー(カラム;Wakosi
l ODS 5C18、溶出液;0.1M燐酸、モニター波長;2
54nm)で定量した。また、フェニルグリシンの光学純
度は SUMICHIRAL OA-5000 (溶出液;1mM硫酸銅、モ
ニター波長;254nm、カラム温度30℃)を用いて測
定した。結果を表−1に示す。
【0028】
【0029】実施例2 30mMのマンデロニトリルと1Mの表−2に示すアン
モニウム塩を含む5mlの50mM硼酸緩衝液(pH1
0.0)に、実施例1と同様に調整した菌体をOD630
=2.0となるように添加し、30℃、24時間振盪し
て反応させた。生成したフェニルグリシンの生成量を実
施例1と同様にして定量した。尚、比較のためアンモニ
ウム塩を添加しない反応系と菌体を添加しない反応系
(硫酸アンモニウム添加区)についても検討を行った。
結果を表−2に示す。
【0030】
【0031】実施例3 実施例1と同様にして表−3に示す菌株を培養し菌体を
得た。次に、50mM硼酸緩衝液(pH10.0)に各
菌体をOD630 =5〜10となるように懸濁し、実施例
1と同様にして加水分解反応および上清液中の生成物の
定量を行った。結果を表−3に示す。
【0032】
【0033】実施例4 20mMマンデロニトリルと1M硝酸アンモニウム塩を
含む50mM硼酸緩衝液(pH10.0)15mlに、
それぞれ5mlのトルエン、メチルシクロヘキサノー
ル、クロロホルム、n−ヘキサン/トルエン=90/1
0、トルエン/メチルシクロヘキサノール=50/50
を添加し、15分間攪拌後、実施例1と同様にして調製
したゴルドナ テラエ MA-1 菌体をOD630 =5とな
るように添加し、30℃、24時間攪拌しながら反応さ
せた。生成したフェニルグリシンおよびマンデル酸の量
を実施例1と同様にして定量した。結果を表−4に示
す。
【0034】
【0035】実施例5 10mMベンズアルデヒド、10mMシアン化カリウム
および1M硝酸アンモニウム塩を含む50mM硼酸緩衝
液(pH10.0)15mlに、5mlのトルエンを添
加し、15分間攪拌した。これに実施例1と同様にして
調製したゴルドナ テラエ MA-1 菌体をOD630 =5
となるように添加し、30℃、24時間攪拌しながら反
応させた。生成したフェニルグリシンおよびマンデル酸
の量を実施例1と同様にして定量した。その結果、8.
9mMのR−フェニルグリシン(94%ee)が生成
し、マンデル酸の生成は認められなかった。
【0036】実施例6 表−5に示す菌株を実施例1と同様に培養、集菌した。
0.5M硫酸アンモニウムとそれぞれ20mMの3−ピ
リジンカルボキシアルデヒドシアンヒドリン、2−フル
アルデヒドシアンヒドリンおよび2ーチオフェンカルボ
キシアルデヒドシアンヒドリンを含む5mlの硼酸緩衝
液(pH10)に菌体をOD630 =10〜20で混合
し、30℃、24時間振とうして反応させた。生成物の
定量分析は、化学合成したラセミ体の3−ピリジルグリ
シン、2−フリルグリシンおよび2−チエニルグリシン
を標準として、実施例1と同様の分析条件で高速液体ク
ロマトグラフィーを用いて行った。結果を表−5に示
す。
【0037】
【0038】実施例7 実施例6と同じ菌株を用い、0.5M硫酸アンモニウム
とそれぞれ20mMのプロピオンアルデヒドシアンヒド
リン、ブチルアルデヒドシアンヒドリンおよびイソブチ
ルアルデヒドシアンヒドリンを含む5mlの硼酸緩衝液
(pH10)に菌体をOD630 =10〜20で混合し、
30℃、24時間振とうして反応させた。生成物の定量
分析は市販および化学合成したラセミ体のα−アミノ−
n−酪酸、α−アミノ−n−バレリアン酸およびα−ア
ミノ−i−バレリアン酸を標準として、高速液体クロマ
トグラフィー(カラム;Wakosil ODS 5C18, 溶出液;
0.1M燐酸:アセトニトリル=95:5、モニター波
長;208nm)で行った。結果を表−6に示す。
【0039】
【0040】実施例8 ロドコッカス エスピー SK92 菌株を実施例1と同様に
培養、集菌した。0.5M硫酸アンモニウムと10mM
のα−ヒドロキシ−4−フェニルブチロニトリルを含む
5mlの硼酸緩衝液(pH10)に菌体をOD630 =1
5で混合し、30℃、24時間振とうして反応した。生
成物の定量分析は化学合成したラセミ体のα−アミノ−
γ−フェニル酪酸を標準として、高速液体クロマトグラ
フィー(カラム;Wakosil ODS 5C18, 溶出液;0.1
M燐酸:アセトニトリル=80:20、モニター波長;
254nm)で行った。 結果 α−アミノ−γ−フェニル酪酸生成量 8mM
【0041】実施例9 実施例8と同じ菌株を用い、0.5M硫酸アンモニウム
と20mMのプロピオンアルデヒドシアンヒドリンを含
む5mlの硼酸緩衝液(pH10)に菌体をOD630
15で混合し、、30℃、24時間、振とうして反応さ
せた。生成物の定量分析は実施例7と同様に行い、光学
純度の分析は市販のラセミ体およびS体のα−アミノ−
n−酪酸を標準として光学分割カラム(MCI gel CRS-10
W, 溶出液;2mMCuSO4 :アセトニトリル=95:
5,モニター波長;208nm) 2 本を直列に接続した高速
液体クロマトグラフィーにより行った。 結果 α−アミノ−n−酪酸生成量 13mM 光学純度 84%ee(S体)
【0042】
【発明の効果】本発明は、原料のシアンヒドリンまたは
これを構成するアルデヒドと青酸を原理的に全量、R体
またはS体いずれか一方のアミノ酸に変換することが可
能な、工業的要望を満足し得る新規な技術を提供するも
のである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12P 13/22 C12R 1:01) (C12P 41/00 C12R 1:01) (72)発明者 平田 祐司 神奈川県横浜市鶴見区大黒町10番1号 日 東化学工業株式会社中央研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水性媒体中、アンモニアおよび/または
    アンモニウム塩の存在下に、一般式(1)で示されるシ
    アンヒドリンに該シアンヒドリンのシアノ基を加水分解
    する能力を有する微生物または該処理物を作用させるこ
    とにより、該シアンヒドリンを一般式(2)で示される
    アミノ酸に変換せしめることを特徴とする微生物による
    アミノ酸の製造法。 R1 (CH2 )n−CH(OH)CN (1) R1 (CH2 )n−CH(NH2 )COOH (2) 〔式中、R1 は置換または無置換のアルキル基、フェニ
    ル基、ピリジル基、フリル基またはチエニル基、および
    nは0〜4の整数を表す〕
  2. 【請求項2】 一般式(1)で示されるシアンヒドリン
    に代えて該シアンヒドリンを構成するアルデヒドと青酸
    を用いる請求項1記載の微生物によるアミノ酸の製造
    法。
  3. 【請求項3】 一般式(2)で示されるアミノ酸が光学
    活性を有する請求項1または2記載の微生物によるアミ
    ノ酸の製造法。
  4. 【請求項4】 水性媒体が、これに水不溶性有機溶媒を
    加えた不均一混合媒体である請求項1または2記載の微
    生物によるアミノ酸の製造法。
  5. 【請求項5】 微生物がアシネトバクター (Acinetobac
    ter)属、アルカリゲネス (Alcaligenes)属、オーレオバ
    クテリウム (Aureobacterium) 属、バクテリジウム (Ba
    cteridium)属、ブレビバクテリウム (Brevibacterium)
    属、カセオバクター (Caseobacter)属、ゴルドナ (Gord
    ona)属、ノカルディア (Nocardia) 属、シュードモナス
    (Pseudomonas)属またはロドコッカス (Rhodococcus)属
    に属する微生物である請求項1または2記載の微生物に
    よるアミノ酸の製造法。
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Cited By (3)

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