JPH09131711A - プレキャストコンクリート基礎の製造方法とそれに使用する型枠 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 コンクリートの周り具合を充分監視しなが
ら、なおかつ、設置スペースの少なくて済むコンパクト
な基礎コンクリートの製造方法とそれに使用する型枠を
提供する。 【解決手段】 逆Ｔ字形の基礎コンクリートを横向き状
態で成型するものであり、前記コンクリートのフーチン
グ部分と布部分の双方からコンクリートを充填する。ま
た、底面枠(11)と、側面枠(14)及び上面枠(24)を備え、
側面枠(14)と上面枠(24)を回動させて、コンクリート(2
6)の上方を開放して取り出すものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、主として住宅用
に使用される断面逆Ｔ字形のプレキャストコンクリート
基礎の製造方法と、それに使用する製造用の型枠に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】図４は、このようなプレキャストコンク
リート製基礎の一例を示し、このように幅広のフーチン
グ部(３)とそのフーチング部(３)より立ち上がった布部
(４)とからなる断面逆Ｔ字形の基礎コンクリート(５)の
成型用型枠として、図５のように、上下逆向きの状態で
成型するものがある。この型枠は、基本的に、基礎コン
クリート(５)の左右両側面を成型する一対の側面枠(１)
(１)と底面枠(２)とからなり、打設したコンクリートが
硬化した後、両側面枠(１)(１)を外方へ後退移動させて
クレーンなどで吊り上げて脱型するものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記のように、上部が
広くなったＴ字形の状態でコンクリートを打設すること
によって、コンクリートの回りを良くし、また、基礎の
天端となる部分が型枠の底面によってきれいな平滑面に
なり易いといった利点がある。

【０００４】しかしながら、このように逆Ｔ字形の状態
でコンクリートを充填して成型するものにおいては、相
対的に充填されるコンクリートの上部側が重くなり、か
つ、外方に拡がっていることから、その重さを支えるた
めに各側面枠(１)(１)を外側から支えるための強固な補
強フレームが必要となり、このために装置全体が大型化
する。

【０００５】しかも、それら側面枠(１)(１)は、補強フ
レームとともに外方へ移動させて硬化したコンクリート
を取り出すように構成することになるから、即ち、上記
のように補強フレームがあると、これらの側面枠を回転
させて開くことは困難であり、このように外方へ移動さ
せてコンクリートが取り出せるようにする必要があるた
め、側方にそれぞれ大きな空間が必要となって、それだ
け設置スペースが大きくなる欠点がある。

【０００６】また、逆Ｔ字形の正立状態でコンクリート
を充填する場合に比較してコンクリートの周りは比較的
良好になるとはいっても、底までの深さが非常に深いこ
とから、その底の部分でのコンクリートの周り具合を監
視できない欠点がある。特に、型枠の底面部側は、成型
された基礎コンクリートの天端を形成するものであっ
て、仕上がりの良好さを要求されるものであり、このよ
うに天端部分の周り具合が充分確認できないことは、不
良品が発生する虞がある。

【０００７】この発明は、このような従来の欠点を解消
して、コンクリートの周り具合を充分監視しながら、な
おかつ、設置スペースの少なくて済むコンパクトな基礎
コンクリートの製造方法とそれに使用する型枠を提供す
ることを目的とするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明の製造方法では、フーチング部と布部とか
らなる断面逆Ｔ字形のコンクリート基礎の製造法であっ
て、前記布部がほぼ水平となった横向きのコンクリート
充填空間を備えた型枠を用いて、フーチング部となる部
分の上端と布部となる部分の上面との双方からコンクリ
ートを充填することを特徴とするものである。

【０００９】同じく、この発明の製造用型枠は、フーチ
ング部と布部とからなる断面逆Ｔ字形のコンクリート基
礎の製造用型枠であって、前記布部がほぼ水平となった
横向きのコンクリート充填空間の底面を構成する底面枠
と、その底面枠の一方の端部側におけるフーチング部側
の側面を構成する側面枠と、同じく底面枠の他方の端部
側における布部側の側面からその上面を通って前記フー
チング部に跨る上面枠とからなり、それら上面枠上端と
側面枠上端との間及び上面枠の布部に対応する部分にそ
れぞれコンクリート充填用の開口が形成され、更に、前
記側面枠及び上面枠は、それらの下端側を支点として外
方へ開閉自在とされていることを特徴とする。

【００１０】

【発明の実施の形態】この発明の実施例を示す図１にお
いて、(11)は、底面枠であって、横向き状態で成型され
る前記基礎コンクリート(５)の布部(４)からフーチング
部(３)の一方の側面に沿った形状の板材からなるもので
ある。(12)は、この側面枠(11)の布部分からフーチング
部分の一部を支持するように、その底面枠(11)の下側に
取付けた下向きコの字形の支持脚を示している。(13)は
下向きの溝形鋼からなる土台フレームであって、前記底
面枠(11)のフーチング部に対応する水平部分に沿って、
その底面枠(11)の下側に設けられている。

【００１１】(14)は、前記底面枠(11)のフーチング部側
の端部より上方に立ち上がった一方の側面枠であって、
成型される基礎コンクリートのフーチング部の底面を形
成するような垂直な板材からなるものである。この側面
枠(14)は、図２で示すように、その下端部分において、
前記土台フレーム(13)の側面部分に、軸(15)を中心とし
てその上端が外方へ倒れるように開閉自在に枢着されて
いる。

【００１２】底面枠(11)の他方の端部側においては、前
記支持脚(12)の端部より突出した突出部(17)において、
回動フレーム(16)の下端が、軸(18)を介して、垂直面方
向に回動自在に枢着されている。この回動フレーム(16)
は、上方に垂直に立ち上がり、その垂直部分の内側に、
成型される基礎コンクリートの天端部分を形成する垂直
板(19)が固着されている。更に、回動フレーム(16)の上
端は、直角に内方に折り曲げられるとともに、更にフー
チング部分に沿うように屈曲して斜め上方に立ち上げら
れ、この屈曲部分に跨って、成型される基礎コンクリー
トの布部の下端部分とフーチング部の上面部分に対応す
るような断面くの字形の屈曲板(20)が内側に固着されて
いる。この屈曲板(20)の上端と前記側面枠(14)との間
に、第一のコンクリート充填用開口部(21)が開口され、
同じく、屈曲板(20)の他方の端部側と前記垂直板(19)と
の間に、広い第二のコンクリート充填用開口部(22)が開
口されている。上記回動フレーム(16)は、成型される基
礎長手方向に間隔を置いて複数取付けられ、更にそれら
の回動フレーム(16)間に補強用の連結棒(23)が取付けら
れている。

【００１３】この実施例では、これら回動フレーム(1
6)、垂直板(19)、屈曲板(20)及び連結棒(23)によって、
この発明の上面枠(24)を構成している。そして、この上
面枠(24)は、回動フレーム(16)を支持する前記軸(18)を
支点として、その上端側を上方へ回動させながら外方へ
開くようになっている。また、回動フレーム(16)の先端
部分は、前記屈曲板(20)の上端よりも更に水平方向へ外
方へ延びて、図２で示すように、側面板(14)の上端に係
合する係合凹部(25)を備え、これによって、それら側面
板(14)と屈曲板(20)との間の間隔を保持するようにして
いる。

【００１４】図２は、上記のような底面枠(11)、側面枠
(14)及び上面枠(24)によって囲まれる横向きＴ字形のコ
ンクリート充填空間内へコンクリート(26)を充填した状
態を示している。

【００１５】コンクリート(26)は、前記側面枠(14)と屈
曲板(20)との間の開口部(21)と上面枠(24)の開口部(22)
の双方から流し込んで充填されるもので、第一の開口部
(21)から充填されるコンクリートは、成型される基礎コ
ンクリートのフーチング部分を構成するが、その下側へ
のコンクリートの回りは第二の開口部(22)側からある程
度監視することができ、また、それほど深くないから、
コンクリートの周りも良好である。

【００１６】他方、第二の開口部(22)から充填される布
部分のコンクリートは、底が浅いため、また、開口面積
も充分広く取れることから、コンクリート周り具合を確
認しながら作業できる。特に、成型される基礎コンクリ
ートの天端の部分は前記垂直部分(19)の内側に該当する
が、この部分はこの第二の開口部(22)から非常に見やす
く良好な仕上がりを期待することができる。

【００１７】なお、コンクリートの充填に際しては、基
礎コンクリート長手方向の両端面を形成するための端面
枠が取付けられるが、この実施例では省略している。

【００１８】打設されたコンクリートが硬化した後は、
図３で示すように、まず、上面枠(24)を上方に回動さ
せ、次いで、側面枠(14)を外方へ倒すようにして回動さ
せることにより、打設されたコンクリート(26)の上方空
間を開放し、クレーン等で吊り上げて取り出すものであ
る。

【００１９】

【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、逆Ｔ字
形の基礎コンクリートを、横向き状態で充填するように
しているから、Ｔ字形の倒立状態で打設する従来のもの
と異なって、その上部側を補強するための大型の支持フ
レームが不要であり、それだけ全体をコンパクトに構成
できる。また、実施例で示すように、各枠部材を外方に
回動させて開くことによって硬化した基礎コンクリート
を取り出すことができ、このため、枠部材を外方へ水平
に移動させるような構造を取る必要がなく、このことか
ら側方に大きな移動スペースを必要とせず、また、上記
のように各枠材を回転させる場合でも、基礎コンクリー
トを上方へ引き上げるだけの角度だけ回動させればよい
から、広い設置スペースを必要としない利点がある。

【００２０】加えて、上記のように横向き状態で打設す
ることによって、上方からコンクリートを充填するため
の大きな開口部を取ることができ、これによって、コン
クリートの周り具合を充分監視しながら充填作業を行
え、高品質のものを安定して製造できるという効果があ
る。

【００２１】更に、このようなコンパクトな構成である
から、型枠設備と建築の現場付近に持ち込んで製造する
ことが容易となり、このようにすることによって、基礎
コンクリートの運搬コストを低減できるという効果が得
られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施例を示す製造用型枠の要部の斜
視図である。

【図２】同じくこの実施例の製造用型枠の横断面図であ
って、基礎コンクリートを充填した状態を示す。

【図３】硬化した基礎コンクリートの取り出し方法を示
す製造用型枠の横断面図である。

【図４】製造される基礎コンクリートの一例を示す斜視
図である。

【図５】従来の製造用型枠の概略横断面図である。

【符号の説明】 (11) 底面枠 (14) 側面枠 (21) コンクリート充填用開口部 (22) コンクリート充填用開口部 (24) 上面枠 (26) コンクリート

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 フーチング部と布部とからなる断面逆Ｔ
   字形のコンクリート基礎の製造法であって、前記布部が
   ほぼ水平となった横向きのコンクリート充填空間を備え
   た型枠を用いて、フーチング部となる部分の上端と布部
   となる部分の上面との双方からコンクリートを充填する
   ことを特徴とするプレキャストコンクリート基礎の製造
   方法。
2. 【請求項２】 フーチング部と布部とからなる断面逆Ｔ
   字形のコンクリート基礎の製造用型枠であって、前記布
   部がほぼ水平となった横向きのコンクリート充填空間の
   底面を構成する底面枠と、その底面枠の一方の端部側に
   おけるフーチング部側の側面を構成する側面枠と、同じ
   く底面枠の他方の端部側における布部側の側面からその
   上面を通って前記フーチング部に跨る上面枠とからな
   り、それら上面枠上端と側面枠上端との間及び上面枠の
   布部に対応する部分にそれぞれコンクリート充填用の開
   口が形成され、更に、前記側面枠及び上面枠は、それら
   の下端側を支点として外方へ開閉自在とされていること
   を特徴とするプレキャストコンクリート基礎の製造用型
   枠。