JPH09130323A - 試験機能を有する移動体通信システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 より通常の通信に近い状態で試験を行うこと
により、確実に異常を検出することができる移動体通信
システムを提供すること。 【構成】 複数の無線基地局を含む移動体通信システム
において、通信チャネル情報を外部から指定可能であ
り、受信信号を折り返して送信する手段を有する試験用
移動機と、試験用移動機から離れた位置にある試験すべ
き基地局の通信チャネルの情報を試験用移動機に送出
し、該基地局の通信チャネルを経由して、試験用移動機
に対して試験信号を送受信し、信号品質をチェックする
試験装置とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、試験機能を有する
移動体通信システムに関するものであり、特に、実際の
通信形態に近い状態で試験を行うことが可能な、試験機
能を有する移動体通信システムに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の、自動車・携帯電話等の移動体通
信システムにおける通信路の故障試験は、各無線基地局
に設置されている試験用移動機を使用して該無線基地局
の試験を行うものであった。図２は、従来の試験機能を
有する移動体通信システムを示すブロック図である。交
換機１１には、多数の無線基地局装置１４が収容されて
おり、該基地局装置の近傍、例えば同じ建物内には、試
験用移動機１５が設置されている。この試験用移動機は
外部からの制御により、通信チャネルを指定できるよう
に構成されている。交換機１１には、試験装置１２も収
容されており、該試験装置１２は、試験すべき通信チャ
ネルの空きを確認した後、基地局装置１４および試験用
移動機１５に対して、試験するチャネル情報を送出する
（図２に矢印付き実線で示す）。その後、試験装置１
２、交換機１１、基地局装置１４を経由して試験用移動
機に試験信号を送出する。（図２に矢印付き点線で示
す） 試験用移動機１５は指定されたチャネルで信号を受信
し、内部で折り返してそのまま返送する。試験装置１２
は、返送されてきた試験信号の誤り率等を検出し、該誤
り率が所定値以下であれば正常と判断する。試験装置１
２は、所定の周期で、通信量の少ない夜間等に、このよ
うな通信チャネルの試験を全てのチャネルについて自動
的に行う。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前記したような従来の
通話チャネル試験方式においては、基地局装置と試験用
移動機とが非常に接近しているために、例えば、基地局
装置のアンテナ、アンテナに接続するケーブル、無線送
信機のパワーアンプ等に異常が発生しても、漏れ電波等
により、通信が正常に行われてしまい、試験結果が正常
となってしまうという問題点があった。本発明の目的
は、前記のような従来技術の問題点を解決し、より通常
の通信に近い状態で試験を行うことにより、確実に異常
を検出することができる移動体通信システムを提供する
ことにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、複数の無線基
地局を含む移動体通信システムにおいて、通信チャネル
情報を外部から指定可能であり、受信信号を折り返して
送信する手段を有する試験用移動機と、試験用移動機か
ら離れた位置にある任意の基地局の試験すべき通信チャ
ネルの情報を試験用移動機に送出する手段と、該基地局
の通信チャネルを経由して、試験用移動機に対して試験
信号を送受信し、信号品質をチェックする試験手段とを
備えることを特徴とする。本発明は、上記のような構成
により、試験装置は例えば隣接する他の基地局の通信チ
ャネルの試験を行うので、基地局における漏れ電波等に
より誤動作することがなく、異常を確実に検出すること
が可能となる。また、従来の試験方式においては、各基
地局にそれぞれ試験用移動機が必要であるが、本発明の
方式においては、１つの試験用移動機を使用して、周辺
の複数の基地局の試験を行うことができるので、試験用
移動機数の削減が可能である。

【０００５】

【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施例を図面を
参照して詳細に説明する。図１は本発明を適用した移動
体通信システムの構成を示すブロック図である。交換機
１には、多数の無線基地局装置３、４、６、他の交換機
および他の通信網との中継回線等が収容されており、更
に、試験装置２も接続されている。交換機１は、各呼に
対して各基地局３、４、６等において移動機との通信に
使用する通信チャネルを割り当て、通信の相手先との接
続制御を行う。各基地局装置３、４、６は交換機１から
指定された通信チャネルを使用して、通信データを送受
信する。なお、隣接する基地局同士は同じ通話チャネル
を使用しないように制御される。

【０００６】基地局装置Ｂ４の近傍、例えば同じ建物内
には、試験用移動機５が設置される。この試験用移動機
５は外部からの制御により、通信チャネルを任意に指定
できるように構成されている。また、試験用移動機５は
指定された受信チャネルで信号を受信し、内部で折り返
して、指定された受信チャネルと対応する送信チャネル
で返送する。なお、信号方式がデジタルの場合には、試
験用移動機内において一旦復調した受信デジタルデータ
をバッファに保管し、送信タイミングに同期して、保管
されているデータを読み出して送信する。また、信号方
式がアナログの場合には、受信し、ベースバンド信号に
復調した信号を折り返し、変調して対応する送信チャネ
ルから送信する。

【０００７】試験装置２は、例えばコンピュータシステ
ムから成り、交換機の制御装置との間で情報のやり取り
を行い、まず、試験すべき基地局（基地局装置Ａ３）の
試験すべき通信チャネルの空きを確認する。また、試験
装置２は、交換機１、基地局装置４を介して、試験用移
動機５に対して試験するチャネル情報ａを送出する（図
１に矢印付き実線で示す）。その後、試験装置２は、交
換機１に対して、基地局装置Ａ３を経由して試験装置２
と試験用移動機５との通信回線を接続させる。この際、
使用する通信チャネルは、試験用移動機５に送出したチ
ャネル情報ａと同じチャネルにする。

【０００８】接続が完了すると、試験装置２は該回線
に、例えば所定ビット長の試験信号ｂを送出する。この
試験信号ｂは、交換機１、基地局装置Ａ３を経由して試
験用移動機５で受信される。試験用移動機５において
は、指定された受信チャネルで信号を受信し、内部で折
り返して、指定された受信チャネルと対応する送信チャ
ネルで返送する。返送された試験信号ｃは基地局装置Ａ
３、交換機１を経由して試験装置２に到達する。試験装
置２は受信した試験信号を送信した試験信号と比較し、
例えばビット誤り率を求める。そして該誤り率が所定値
以上である場合には異常と判定し、再度、接続経路内の
各装置ごとに折り返し試験等を行い、故障位置の調査、
保守者への通知等の処理を行う。

【０００９】試験装置２は、所定の周期で、通信量の少
ない夜間等に、このような通信チャネルの試験を全ての
通信チャネルについて自動的に行う。なお、試験用移動
機５のアンテナは、基地局装置のアンテナと同様に障害
物のない高所に設置できるので、隣接する複数の基地局
装置の試験が可能である。また、基地局装置の試験を行
う際に、どの試験用移動機を使用するかは、予め指定し
ておく。更に、隣接しない基地局同士は同じ通信チャネ
ルを使用する可能性があるが、試験を行う際には、試験
用移動機５と通信可能な周囲の基地局装置においては、
試験チャネルを通信に使用しないように制御する必要が
ある。

【００１０】図５は、各無線基地局装置Ａ〜Ｊのカバー
エリアを示す説明図である。従来の試験方式では、図に
示した１０局の基地局装置に対してそれぞれ試験用移動
機を設置していたので、１０個の試験用移動機が必要で
あったが、本発明においては、例えば基地局Ｅに試験用
移動機を設置すると、周辺のＡ、Ｂ、Ｄ、Ｆ、Ｈ、Ｉの
６つの局の試験を行うことが可能である。また基地局Ｅ
の試験のために、基地局Ｆに試験用移動機を設置する
と、基地局Ｃ、Ｇ、Ｊの試験も可能となる。従って、本
発明の試験方式によれば、図示する１０個の基地局装置
に対して、最小限２個の試験用移動機を設置すれば足り
る。

【００１１】図３は、本発明の第２の実施例のシステム
構成を示すブロック図である。第１の実施例において
は、試験用移動機５は、チャネル情報を受信するために
基地局装置Ｂ４に有線で接続されていたが、第２の実施
例は、移動体通信システムを利用して、試験用移動機５
を無線で接続した例である。試験装置２は、試験すべき
チャネル情報ａをデジタル信号の特殊なフォーマットで
送出するか、あるいはデジタル信号を例えばＦＳＫ変調
したアナログ信号を送出し、試験用移動機５は、特殊な
フォーマットを検出するか、あるいは、復調したアナロ
グ信号を更にＦＳＫ復調することにより、通常の呼接続
により受信した信号の中から試験チャネル情報ａを抽出
する手段を有している。

【００１２】このような構成にすれば、試験用移動機を
固定する必要がなくなり、任意の場所に設置、移動が可
能となる。また、試験チャネル情報を通常の呼接続によ
り転送できるので、試験用移動機を接続するためのハー
ドウェアが必要なくなる。なお、図３においては、チャ
ネル情報を基地局装置Ｂから送出しているが、基地局装
置Ａも含め、通常の呼接続制御によって決定された任意
の基地局装置から転送可能である。

【００１３】図４は、本発明の第３の実施例のシステム
構成を示すブロック図である。第１、第２の実施例にお
いては、試験用移動機５を設けていたが、第３の実施例
は、基地局装置に備えられている既存の送受信装置を利
用して試験を行うようにした例である。例えば基地局装
置Ａのチャネルを試験する場合には、隣接する基地局装
置Ｂに試験チャネル情報を送出し、基地局装置Ｂは、受
信したチャネル情報に基づき、該チャネルを既存の受信
装置で受信する。そして、復調した信号を既存の送信装
置を使用して送信する。このような構成にすれば、基地
局装置を制御する交換機において、試験のために通常の
呼制御とは異なる特殊な基地局制御を行う必要がある
が、基地局装置内において信号を折り返す回路のみを設
けるのみでよく、試験用の送受信装置やアンテナが不要
となる。また、折り返し回路を設けず、基地局Ｂ側の信
号を試験装置まで引き込んで、上りと下りの回線を個別
に試験してもよい。

【００１４】以上、実施例を説明したが、本発明は以下
に示すような変形例も考えられる。無線回線の信号形態
はデジタルでもアナログでも本発明を同様に実施可能で
ある。アナログ信号の場合には、試験装置にアナログ試
験信号の発生および受信回路が必要である。アナログ試
験信号としては、デジタル信号をＦＳＫ変調したデータ
を試験信号として送出し、試験用移動機で折り返された
信号を受信してＦＳＫ復調し、そのビット誤り率を測定
するようにしてもよい。

【００１５】実施例は、移動機側において信号を折り返
す例を開示したが、移動機において受信信号のビット誤
り率等を検出して検出結果を別ルートで試験装置に転送
すると共に、新たに試験信号を発生させて試験チャネル
に送出してもよい。このようにすれば、上りと下りの通
信回線を個別に試験することができる。試験装置は、移
動体通信システム内に１つのみ設け、複数の交換機を経
由して基地局装置の試験を行ってもよい。試験用移動機
は基地局装置と接続されている例を開示したが、試験用
移動機は試験装置からチャネル情報を受信可能であれ
ば、有線の電話網、他の無線網など任意の通信網に収容
されていてもよい。なお、本発明は、自動車・携帯電
話、ＰＨＳ、ポケットベル、移動体データ通信網等、複
数の基地局を有する任意の移動体通信システムに適用可
能である。

【００１６】

【発明の効果】本発明によれば、試験用移動機は離れた
位置にある他の基地局の通信チャネルの試験を行うの
で、漏れ電波等により誤動作することがなく、他の基地
局の異常を確実に検出することが可能となるという効果
がある。また、従来の試験方式においては、各基地局に
それぞれ試験用移動機が必要であるが、本発明の方式に
おいては、１つの試験用移動機を使用して、周辺の複数
の基地局の試験を行うことができるので、試験用移動機
数が削減できるという効果もある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の移動体通信システムの構成を示すブロ
ック図である。

【図２】従来の移動体通信システムを示すブロック図で
ある。

【図３】本発明の第２の実施例のシステム構成を示すブ
ロック図である。

【図４】本発明の第３の実施例のシステム構成を示すブ
ロック図である。

【図５】各無線基地局装置Ａ〜Ｊのカバーエリアを示す
説明図である。

【符号の説明】

１、１１…交換機、２、１２…試験装置、３…基地局装
置Ａ、４…基地局装置Ｂ、５、１５…試験用移動機、６
…基地局装置Ｃ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数の無線基地局を含む移動体通信シス
   テムにおいて、 通信チャネル情報を外部から指定可能であり、受信信号
   を折り返して送信する手段を有する試験用移動機と、 試験用移動機から離れた位置にある任意の基地局の試験
   すべき通信チャネルの情報を試験用移動機に送出する手
   段と、該試験すべき基地局の通信チャネルを使用して、
   前記試験用移動機に対して試験信号を送受信し、信号品
   質をチェックする試験手段とを備えることを特徴とする
   試験機能を有する移動体通信システム。
2. 【請求項２】 前記試験用移動機は、基地局の近傍に設
   置され、基地局と交換機とを接続する回線を介して通信
   チャネル情報を受信することを特徴とする請求項１に記
   載の試験機能を有する移動体通信システム。
3. 【請求項３】 前記試験用移動機は、通常の通信に使用
   する基地局の送受信手段を制御することにより実現する
   ことを特徴とする請求項１に記載の試験機能を有する移
   動体通信システム。