JPH09129177A - 電極およびその製造方法 - Google Patents

電極およびその製造方法

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JPH09129177A
JPH09129177A JP28100295A JP28100295A JPH09129177A JP H09129177 A JPH09129177 A JP H09129177A JP 28100295 A JP28100295 A JP 28100295A JP 28100295 A JP28100295 A JP 28100295A JP H09129177 A JPH09129177 A JP H09129177A
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健 増田
Yasutoshi Yamaguchi
安敏 山口
Haruo Taguchi
春男 田口
Akira Takeishi
明 武石
Munemitsu Hamada
宗光 浜田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ある特定の材料からなる電極を用いることによ
り、ランプ管壁の温度を抑制し、安定した放電を維持す
ること。 【解決手段】Ba,Sr,Caの少なくとも一種をそれぞれBaO,
SrO,CaOに換算してモル比でx含む第一成分と、Zr,Tiの
少なくとも一種をそれぞれZrO2,TiO2に換算してモル比
でy含む第二成分と、Ta,Nbの少なくとも一種をそれぞれ
1/2(Ta2O5),1/2(Nb2O5)に換算してモル比でz含む第三成
分が、0.8≦x/(y+z)≦2.0で表記される範囲にあり、か
つ第二成分が0.05≦y≦0.6、第三成分が0.4≦z≦0.95の
範囲にある顆粒からなり、表面にTaまたはNbの炭化物ま
たは窒化物の少なくとも一種が形成された20〜300
μmの径を有する顆粒からなる電極材料を導電性容器に
収容したことを特徴とする電極。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液晶用バックライト等の
蛍光ランプあるいは種々の放電灯に用いられる電極およ
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、低消費電力で軽薄化が可能な液晶
ディスプレイが急速に広まりつつある。これにともな
い、液晶ディスプレイの光源として小型蛍光ランプの開
発が盛んにおこなわれている。
【0003】一般に蛍光ランプは、熱電子放出によるア
ーク放電を利用した熱陰極ランプと、二次電子放出によ
るグロー放電を利用した冷陰極ランプに分けることがで
きる。熱陰極ランプは冷陰極ランプに比べ陰極降下電圧
が小さく、電力に対する発光効率が良い。また熱電子放
出のため電流密度を大きくとれ、冷陰極に比べ高輝度化
が可能である。
【0004】従来の熱陰極用ランプの電極として、タン
グステンコイルに遷移金属の一部とバリウムを含むアル
カリ土類金属を塗布した電極(特開昭59-75553号公報に
記載)、アルミン酸バリウムを含む易電子放射物質を多
孔質タングステンに含浸した電極(特開昭63-24539号公
報に記載)が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし従来の熱陰極ラ
ンプでは、放電中に生じたHgイオンやArイオンが電極に
衝突し電子放射性物質を飛散させる、いわゆるイオンス
パッタリングによる電極の劣化が顕著であった。この結
果、放電中に電子放射性物質が枯渇し、安定したアーク
放電が長期にわたって維持できない。さらに飛散した電
子放射性物質によりランプのガラス内壁が黒化する、い
わゆる管壁黒化により光束維持率が早期に低下するとい
う欠点を有していた。
【0006】また、蛍光ランプの小型化、低電流化にと
もない、それに用いられる電極サイズも小さくなるが、
従来の熱陰極ランプでは電極の小型化によって、放電中
に電極全体が均等な温度に上昇し、アークスポットが形
成され難く、放電が安定しないという欠点を有してい
た。
【0007】本発明者等は、これらの問題を解決する電
極材料を特開平2-186550号公報において、またその電極
材料、電極材料製造方法および電極を特開平6-267404号
公報や特願平6-89058号明細書において提案した。これ
らは耐熱衝撃性に優れた特性を有する電極材料および電
極であったが、反面、蛍光ランプとして用いた場合、連
続点灯においてランプ管壁の温度が上昇しやすい欠点を
有し、用途が限られていた。
【0008】そこで本発明は、連続点灯においてランプ
の管壁黒化が少なく、ランプ管壁温度の上昇を抑え、放
電中のアークスポットの移動が少ない電極およびその製
造方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明はBa,Sr,Caの少な
くとも一種をそれぞれBaO,SrO,CaOに換算してモル比でx
含む第一成分と、Zr,Tiの少なくとも一種をそれぞれZrO
2,TiO2に換算してモル比でy含む第二成分と、Ta,Nbの少
なくとも一種をそれぞれ1/2(Ta2O5),1/2(Nb2O5)に換算
してモル比でz含む第三成分からなる電極材料を導電性
容器に収容した電極に関するものである。
【0010】具体的に本発明に係る電極に収容される電
極材料は、第一成分と第二成分と第三成分はそれぞれモ
ル比で、0.8≦x/(y+z)≦2.0で表記される範囲にあり、
かつ第二成分は0.05≦y≦0.6、第三成分は0.4≦z≦0.95
の範囲にあり、かつ表面にTaまたはNbの炭化物または窒
化物の少なくとも一種が形成されている20μm〜300μm
の径を有する顆粒からなることを特徴とするものであ
る。
【0011】第一成分は主に低仕事関数の電子放射性物
質である。また第二成分は電極材料の高融点化のための
成分であり、第三成分は電極材料表面に形成される炭化
物または窒化物の供給源となる。
【0012】ここで、第一成分が上記範囲の下限より少
なくなるような場合、電子放射性物質の量が充分でなく
早期に枯渇して点灯不能となる。一方、上記範囲の上限
より多くなるような場合、放電中、電極材料成分の蒸発
が顕著となり、ランプの管壁黒化が激しく、輝度が低下
し実用上好ましくない。
【0013】また、第二成分が上記範囲の下限より少な
いと還元性雰囲気中の焼成の際、電極材料が顆粒の状態
を保てず、放電が不安定となる。一方、上記範囲の上限
より多いと管電圧が高く、消費電力が大きくなり、実用
的でない。
【0014】さらに、第三成分が上記範囲の下限より少
ないと還元性雰囲気中の焼成により、電極材料表面に炭
化物または窒化物が形成されにくい。一方、上記範囲の
上限より多いと還元性雰囲気中の焼成により、電極材料
成分の蒸発が激しくなり、製造上で問題になる。
【0015】通常、上記電極材料の各成分のモル比を上
記範囲内とすることにより、必要かつ十分な特性が得ら
れるが、第一成分を0.8≦x/(y+z)≦1.6、かつ第二成分
をy=0.1〜0.4、第三成分をz=0.6〜0.9となるようなモル
比とすることにより、放電中10時間以上アークスポッ
トの移動がなく、更に安定した特性の電極材料を得るこ
とができる。
【0016】電極材料表面に形成される相は炭化物また
は窒化物いずれでもよいし、Ta-Nb-C,Ta-N-C,Ta-Nb-N-C
などの固溶体でもよい。また、特開平6-333534号公報に
おいて、HfCなどの炭化物を含有する高圧放電ランプ用
電極が、管壁の黒化を防ぐ効果があることが記載されて
いるが、本発明に係る電極の電極材料表面の炭化物また
は窒化物もイオンスパッタリングに強く、熱衝撃に優れ
ているため、連続点灯におけるランプ管壁の黒化が少な
い。
【0017】顆粒の形状は図2のSEM写真から見られ
るような球状に限らず、不規則な塊状の顆粒でもよい。
顆粒の形状が不規則な塊状であっても、電極材料が顆粒
構造を有することで、選択的に顆粒部分に熱がこもる。
この結果、特願平6−89058号明細書に記載したよ
うにアークスポットが確実に形成されアーク放電が容易
に維持できる。
【0018】電極は、図1に示す工程で製造する。全体
の製造工程は通常のセラミックの製造方法の場合と同様
である。原料としては通常Ta2O5,Nb2O5,ZrO2,TiO2,BaCO
3,SrCO3,CaCO3などを用いるが、それ以外の酸化物、炭
酸塩、シュウ酸塩などを用いてもよい。これらを所定比
秤量した後、ボールミル法、凍結乾燥法、摩擦ミル法、
共沈法などの方法で混合を行う。得られた粉末を仮焼す
るが、この際、粉末の状態でも粉末を成形した状態でも
よい。焼成後の粉末をボールミル法などの方法で微粉砕
を行う。微粉砕により得られた粉末をポリビニルアルコ
ール(PVA)、ポリエチレングリコール(PEG)、
ポリエチレンオキサイド(PEO)などの有機系バイン
ダーを含む水溶液を用いて造粒し造粒粉を得る。この
際、噴霧乾燥法、押出造粒法、転動造粒法あるいは乳
鉢、乳棒を用いて造粒するが、造粒法は特に限定されな
い。
【0019】ここで、後述するように電極材料の平均顆
粒径は20μm〜300μmが好ましく、還元性雰囲気中の焼
成による電極材料の縮率は10〜30%なので、造粒後、得
られた造粒粉の平均粒子径は22μm〜430μmに整粒する
ことが好ましい。
【0020】本発明に係る電極は上記造粒粉を容器に充
填し焼成することにより得られるが、この際造粒粉を加
圧せずに容器に充填する。焼結電極のように成形後焼成
すると、熱電子放出のための充分な蓄熱作用が得られず
放電始動時に予熱回路を用いることが必要となる。造粒
粉を加圧せずに容器に充填する本発明の電極では、予熱
回路を用いることがなく速やかにアーク放電を開始させ
ることができる。
【0021】上記造粒粉が充填された容器の焼成温度は
1400〜2000℃が好ましい。これが1400℃未満であると、
電極表面にTaまたはNbの炭化物または窒化物が形成され
ない。また、2000℃を越えると、顆粒の状態を保持でき
ない。焼成雰囲気については、例えば主に炭化物を電極
材料表面に形成する場合、ベンゼンや一酸化炭素を含む
アルゴンや窒素などの不活性ガスを流して焼成する。ま
た、試料をカーボン粉末に埋没させて不活性ガスを流し
て焼成してもよい。主に窒化物を電極材料表面に形成す
る場合は、水素や一酸化炭素などの還元性ガスを含む窒
素ガスを流して焼成する。このように還元性雰囲気中で
焼成することにより、TaまたはNbの炭化物もしくは窒化
物が電極材料表面に形成される。
【0022】このような工程を経て製造された本発明の
電極のSEM写真を図2に示す。この際、噴霧乾燥法を
用いて造粒をおこない、導電性の円筒状容器に造粒粉を
充填し還元性雰囲気で焼成した。画像解析(高精細画像
解析ファイルシステムIP-1000 旭化成(株)製)より
算出した電極材料の平均顆粒径は直径約50μmであり、
電極材料表面にはTaまたはNbの炭化物または窒化物が形
成されている。
【0023】次に本電極を用いた蛍光ランプについて説
明する。図3は本発明の電極を用いた蛍光ランプ管端部
の断面図である。1はバルブで、円筒状の細長いガラス
管で形成されている。バルブ1の両端は封止され、内部
に放電空間2を構成している。バルブ1の両端部には導
体のリード線3が設けてあり、リード線3の放電空間側
の先端部には容器4を保持するための保持部5が設けて
ある。保持部5は弾性のある導電性材料で形成され、容
器4の外周を挟持するように構成されている。水銀ディ
スペンサー6はニッケルなどの金属製パイプ7内に充填
されており、保持部5とリード線3の間に形成された巻
付部8により取り付けられている。水銀ディスペンサー
6は一般的な蛍光ランプの製造で用いられるものであ
り、高周波誘導加熱炉等で加熱されて、水銀蒸気を放電
空間2に充満させるように動作する。
【0024】容器4には電極材料9が収容され、本発明
に係る電極を構成している。容器4は導電性材料で形成
されることが好ましいが、これに限らず、導電性材料で
なくとも、その表面に導電性物質がコーティングあるい
は被覆されている材料で形成されていてもよい。例え
ば、Ba-Ta-Zr-O系の磁器表面に焼成によって、導電性の
表面析出層を被覆させたものでも良い。また容器4は電
極材料9を支持できる形状であればよく、例えば筒状、
半球状、カップ状等の容器を用いることができる。放電
空間2にはアルゴンガスが封入されており、リード線3
を通じて両電極間に電位差を与えることで放電が開始す
る。
【0025】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示す。
【0026】(実施例1)BaCO3,SrCO3,CaCO3,ZrO2,TiO
2,Ta2O5,Nb2O5を出発原料として、これらを所定比とな
るように秤量した後、ボールミル法により20時間程度湿
式混合し、80〜130℃の乾燥器にて乾燥した後、成形圧1
00MPa程度で成形した。これを大気中で800〜1300℃にて
2時間仮焼した。得られた粉末をボールミル法により20
時間微粉砕し、80〜130℃の乾燥器にて乾燥後ポリビニ
ルアルコールを含む水溶液を加え、乳鉢、乳棒を用いて
造粒をおこなった。得られた造粒粉をふるいにより平均
顆粒径約90μmに整粒し、Ba-Ta-Zr-O系の有底円筒状磁
器に加圧せずに充填した後、これをカーボン粉末に埋設
させ、窒素を流しながら焼成することにより、表1〜表
4に示す組成の電極材料を有する電極を作製した。
【0027】次に上記方法により得られた電極を用いて
蛍光ランプを作製し、その連続点灯試験を行った。
【0028】ここで、蛍光ランプの連続点灯試験におけ
る評価方法を説明する。液晶表示用のバックライトの光
源として蛍光ランプを用いる場合、直下型方式でもエッ
ジライト方式でもランプの管壁温度は90℃以下が望まし
い。90℃を超えるとバックライトの構成部品である反射
板、拡散板、導光板の劣化が激しく、実用的でない。
【0029】しかしながら、蛍光ランプの管壁温度は点
灯時間の経過とともに上昇する。これは点灯時間が長く
なるにしたがい、管電圧が上昇し、ランプ電力が大きく
なるためである。この様子を模式的に図4に示す。図4
よりランプ寿命の目安として管壁温度が90℃となる時間
1を測定し、連続寿命試験の評価とした。ランプ管壁
の温度は以下に記す方法で測定した。まずバルブ上の温
度分布を赤外線放射型のサーモグラフティ装置により測
定した。その結果、ランプ管端部付近のバルブ上の位置
が最も高かった。そこで25℃一定に保った空間におい
て、貼付け型のK熱電対をランプ管端部付近のバルブ上
の位置、すなわち熱電対貼付け部10(図3)に、直接
取り付け管壁温度を測定した。
【0030】ランプ形状および連続点灯試験の条件は以
下の通りである。
【0031】ランプ長:100mm ランプ外径:3mmφ 管電流:15mA インバーター:30kHz(予熱回路なし)
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】試料12,21,22,23,26,39,63,65,67,92,111,
112はいずれもt1≦1500hrである。これらの電極表面を
微小領域X線解析装置およびSEM観察により分析した
結果、TaまたはNbの炭化物または窒化物の相は確認でき
なかった。この結果、イオンスパッタリングにより電極
材料が早期に劣化しt1は短くて実用的でないことが判
明した。
【0037】試料7,15,27,33,40,74,77,80,95,117,118
はいずれもt1≦800hrである。図5に試料15の放電開始
前の電極のSEM写真を示す。また、図6に試料18(t
1=5000hr)の放電開始前の電極のSEM写真を示す。図
6の試料18と比較すると、図5の試料15では電極材料が
一体となり、顆粒の状態を保っていない。試料7,15,27,
33,40,74,77,80,95,117,118では還元性雰囲気中での焼
成により顆粒の状態を保持できず、このためアークスポ
ットを形成するための充分な熱が蓄えらない。その結
果、放電が不安定になりt1が短くて実用的でない。
【0038】また、試料1,2,3,4,5,6,47,48,49,86,99,1
00では電子放射性物質であるBaO,SrO,CaOの不足により
1が短く、実用的でない。さらに試料45,46,83,84,85,
98,123,124はランプ管壁の黒化が激しく管面輝度が低下
し、光束維持率の低下が顕著なため実用上好ましくな
い。
【0039】試料8〜11,13,14,16〜20,24,25,28〜32,34
〜38,41〜44,50〜62,64,66,68〜73,75,76,78,79,81,82,
87〜91,93,94,96,97,101〜110,113〜116,119〜122の電
極表面を微小X線解析装置およびSEM観察により分析
した結果、TaまたはNbの炭化物または窒化物の少なくと
も1種が確認できた。また、図6に試料18の電極部のS
EM写真を示したが、電極材料が顆粒状を保持してお
り、試料8〜11,13,14,16〜20,24,25,28〜32,34〜38,41
〜44,50〜62,64,66,68〜73,75,76,78,79,81,82,87〜91,
93,94,96,97,101〜110,113〜116,119〜122においてはい
ずれも顆粒状の電極材料を形成していることが認められ
た。
【0040】以上のことから、試料8〜11,13,14,16〜2
0,24,25,28〜32,34〜38,41〜44,50〜62,64,66,68〜73,7
5,76,78,79,81,82,87〜91,93,94,96,97,101〜110,113〜
116,119〜122では還元性雰囲気中の焼成により、顆粒の
状態を保ちながら電極材料表面にTaまたはNbの炭化物ま
たは窒化物が形成される。その結果、t1はいずれも210
0hr以上であり管壁黒化も少ないという利点が得られ
る。
【0041】(実施例2)本発明の電極を用いて蛍光ラ
ンプを構成した場合について、管電流と平均顆粒径の組
み合わせで、アークスポットを形成する顆粒数を観察し
た結果を表5に示す。ここで、試験に用いた電極は、表
1の試料18である。なお、顆粒数の観察はキーエンス
社製ハイパーマイクロスコープを用いた。アークスポッ
トを形成する顆粒数が1個のとき、すなわちアークスポ
ットと平均顆粒径の大きさがほぼ一致するとき、アーク
スポットの移動が少なく最も安定である。また、安定な
アーク放電を維持できる管電流領域は5mA〜500mAであ
り、表5より平均顆粒径が20μm〜300μmの範囲にある
とき、安定したアークスポットを形成し、放電を長期に
わたり維持できる。使用管電流領域では、平均顆粒径20
μm未満のときアークスポットが頻繁に移動するため放
電が不安定であり、平均顆粒径300μmより大きいとき熱
電子放出するための充分な熱が得られず、グロー放電に
移行し易い。なお、表5において、放電不足とはアーク
スポットが5分以内に移動した場合をいい、安定とはア
ークスポットが10時間以上移動しなかった場合をい
い、グロー放電とはアークスポットを形成せず、電極全
体が放電する場合をいう。
【0042】
【表5】
【0043】(実施例3)表1の試料18の電極を用いて
蛍光ランプを構成した場合の平均顆粒径とt1の関係を
図7に示す。ただし、連続点灯試験のランプ条件は実施
例1と同じである。図7より管電流15mAでは、平均顆粒
径が約70μmの電極材料からなる電極のときt1は極大点
をもつ。また、表5の放電中の電極の観察の結果からわ
かるように、管電流15mAでは約70μmの平均顆粒径であ
るときアークスポットは最も安定する。このように、ア
ークスポットが安定であると、管壁温度の上昇を抑制
し、安定したアーク放電を長期にわたり維持することが
できる。
【0044】以上の結果から、本請求項1の組成範囲に
ある顆粒からなる電極について、ランプの使用管電流値
に応じた顆粒径を選択し、蛍光ランプ用の電極材料とし
て用いることにより、黒化が少なく、管壁の温度上昇の
少ない安定したアーク放電を長期にわたって維持できる
ことが認められた。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、蛍光ランプの電極
として本発明の電極を用いることにより、黒化が少な
く、ランプ管壁の温度上昇を抑制し、安定したアーク放
電を長期にわたり維持することが可能になる。また、蛍
光ランプの電流値に応じた顆粒径を選択することで、効
率的に熱電子を取り出すことができるため、アークスポ
ットの移動の少ない安定したアーク放電の実現が可能に
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電極材料および電極の製造方法の工程
図である。
【図2】本発明の電極のSEM写真の一例である。
【図3】本発明の電極を用いた蛍光ランプ管端部の断面
図である。
【図4】蛍光ランプにおける連続点灯時間とランプ管壁
温度の関係である。
【図5】試料15に係る電極の放電開始前のSEM写真
である。
【図6】試料18に係る電極の放電開始前のSEM写真
である。
【図7】試料18に係る電極の平均顆粒径とt1の関係
である。
【符号の説明】
1 バルブ 2 放電空間 3 リード線 4 容器 5 保持部 6 水銀ディスペンサー 7 金属製パイプ 8 巻付部 9 電極材料 10 熱電対張り付け部
フロントページの続き (72)発明者 武石 明 東京都中央区日本橋一丁目13番1号ティー ディーケイ株式会社内 (72)発明者 浜田 宗光 東京都中央区日本橋一丁目13番1号ティー ディーケイ株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Ba,Sr,Caの少なくとも一種をそれぞれBaO,
    SrO,CaOに換算してモル比でx含む第一成分と、Zr,Tiの
    少なくとも一種をそれぞれZrO2,TiO2に換算してモル比
    でy含む第二成分と、Ta,Nbの少なくとも一種をそれぞれ
    1/2(Ta2O5),1/2(Nb2O5)に換算してモル比でz含む第三成
    分が、0.8≦x/(y+z)≦2.0で表記される範囲にあり、か
    つ第二成分が0.05≦y≦0.6、第三成分が0.4≦z≦0.95の
    範囲にあり、表面にTaまたはNbの炭化物または窒化物の
    少なくとも一種が形成された20μm〜300μmの径を有す
    る顆粒からなる電極材料を導電性容器に収容しているこ
    とを特徴とする電極。
  2. 【請求項2】上記電極材料の原料を混合して仮焼きし粉
    砕後、造粒した造粒粉を導電性容器に充填して、還元性
    雰囲気中で焼成することを特徴とする請求項1の電極の
    製造方法。
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