JP2001167730A - 放電灯 - Google Patents

放電灯

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JP2001167730A
JP2001167730A JP34696999A JP34696999A JP2001167730A JP 2001167730 A JP2001167730 A JP 2001167730A JP 34696999 A JP34696999 A JP 34696999A JP 34696999 A JP34696999 A JP 34696999A JP 2001167730 A JP2001167730 A JP 2001167730A
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electron
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discharge lamp
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Munemitsu Hamada
宗光 浜田
Masaru Matsuoka
大 松岡
Akira Takeishi
明 武石
Makoto Takahashi
誠 高橋
Masatada Yodogawa
正忠 淀川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱陰極放電灯および冷陰極放電灯について、
従来に比べ効率を著しく向上させると共に、従来と同等
以上の寿命を実現する。 【解決手段】 本発明の放電灯は、希ガスが封入された
バルブと、電極とを有し、この電極が電子放出材料を含
む。この電子放出材料は、Ba、SrおよびCaの少な
くとも1種からなる第1成分と、Ta、Zr、Nb、T
iおよびHfの少なくとも1種からなる第2成分とを金
属元素成分として含み、かつ、酸窒化物ペロブスカイト
を含有する。前記電極を熱陰極動作させるとき、封入ガ
ス圧を60〜270Paとし、冷陰極動作させるとき、封
入ガス圧を1300〜20000Paとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱陰極放電灯およ
び冷陰極放電灯に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、省エネルギー、省資源の社会的要
求が高まりつつあり、それに対応して、一般照明用光源
やディスプレイの省エネルギー化が積極的に進められて
いる。例えば、白熱電球から、よりエネルギー効率が高
く寿命も長い電球形蛍光ランプへの置き換えや、ブラウ
ン管から、よりエネルギー消費量の少ない液晶ディスプ
レイヘの置き換えが急速に進んでいる。それに伴って、
電球形蛍光ランプ用や、液晶ディスプレイのバックライ
ト光源用として、蛍光ランプの利用が急速に進んでい
る。同様に、ブラウン管の陰極線管やプラズマディスプ
レイ、蛍光表示管などについても、エネルギー効率が高
く省エネルギー化が可能な電極が要求されている。
【0003】従来、蛍光ランプの電極としては、BaO
を主成分とする酸化物電極が一般に利用されている。こ
のような電極は、例えば特開昭59−75553号公報
に記載されている。しかし、BaOを主成分とする酸化
物電極は、電子放出性がよい反面、比抵抗が高い。その
ため、大きな電子放出電流を得ようとすると高温になっ
てしまい、その結果、蒸気圧が高くなって蒸発が多くな
るので、寿命が短くなるという問題が生じる。また、B
aOを主成分とする酸化物電極では、Baの炭酸塩を塗
布したタングステンコイルに電流を流して炭酸塩を酸化
物とし、その際に脱炭酸を行う必要がある。しかし、こ
の電極を細管化した蛍光ランプに適用する場合、脱炭酸
が不十分となりやすく、その結果、ランプのバルブ内に
炭酸ガスが残留して放電が不安定になったり、輝度維持
率が極端に悪化したりするという問題が生じる。
【0004】また、米国特許第2,686,274号明
細書には、Ba2TiO4などのセラミックスを還元処理
することにより半導体化した棒状の電極が記載されてい
るが、この種のセラミック半導体電極には、熱衝撃に弱
い、Hgイオンや希ガスイオンによるスパッタリングに
よって劣化しやすい、使用可能な電流密度が小さい、と
いう問題があった。
【0005】このような従来の蛍光ランプ用電極に対
し、本発明者らは、一端が開放し一端が閉じた円筒状の
容器内にセラミック半導体を収容した構造の電極を提案
し、また、この電極について、およびこの電極を用いた
放電灯について、様々な改良を加えている(特公平6−
103627号公報、特許第2628312号、特許第
2773174号、特許第2754647号、特開平4
−43546号公報、特開平6−267404号公報、
特開平9−129177号公報、特開平10−1218
9号公報、特開平6−302298号公報、特開平7−
142031号公報、特開平7−262963号公報、
特開平10−3879号公報)。これらの電極は、耐ス
パッタリング性が良好であり、また、蒸発しにくいた
め、劣化しにくく長寿命であるという特徴をもつ。しか
し、耐スパッタリング性および蒸発しにくさについて
は、さらなる改良が望まれる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】熱陰極放電灯では、一
般に封入ガス圧が低いほど輝度が高くなる。しかし、封
入ガス圧を低くすると、電極の寿命が短くなってしまう
という問題がある。
【0007】例えば、WO97/48121号公報に
は、「バルブ内面に蛍光体が塗布され、Ba,Sr,C
aの少なくとも一種からなる第1成分と、Zr,Tiの
少なくとも一種からなる第2成分と、Ta,Nbの少な
くとも一種からなる第3成分を含む導電性酸化物でアグ
リゲート型多孔体構造からなり、その表面にTaまたは
Nbの炭化物、窒化物、酸化物の少なくとも一種からな
る導体層または半導体層を形成した電子放出材料を有底
円筒状の容器に収容したセラミック陰極を有し、前記バ
ルブ内に希ガスが封入され、前記希ガスの封入圧が10
Torr〜170Torrであるセラミック陰極蛍光放
電ランプ」が記載されている。この放電ランプは、上記
セラミック陰極を熱陰極動作させるタイプである。同公
報では、細管ランプにおいて高輝度および長寿命を実現
したことを発明の効果としている。
【0008】同公報の実施例では、外径4mm、内径3m
m、長さ100mmのバルブを有する放電ランプを用い、
周波数30kHz、電圧80V、ランプ電流30mAで点灯さ
せ、アーク放電寿命および輝度を測定している。ここで
アーク放電寿命とは、アーク放電が持続できなくなり、
グロー放電に移行するまでに要する時間である。この実
施例では、封入ガス圧10Torr(1330Pa)以上とす
れば、4000時間前後のアーク放電寿命が得られてい
るが、封入ガス圧を5Torr(667Pa)としたときに
は、アーク放電寿命が1000時間前後まで短くなって
しまい、輝度も低くなってしまっている。
【0009】一方、冷陰極放電灯は、細管化が容易で、
高効率、低消費電力、長寿命である点で、例えば液晶デ
ィスプレイ用途に多く用いられている。冷陰極放電灯の
発光効率を向上させるために、例えば特開平9−356
84号公報および特開平11−273617号公報に
は、電極にエミッタ(電子放出材料)を設けることが提
案されている。
【0010】冷陰極放電灯では、封入ガス圧を低くする
と、発光効率が向上する。また、始動電圧を低くできる
ことによりトランスの負荷を低減できる。しかし、冷陰
極放電灯において封入ガス圧を低くすると、電極がスパ
ッタされやすくなり、寿命が短くなってしまう。
【0011】本発明の目的は、熱陰極放電灯および冷陰
極放電灯について、従来に比べ効率を著しく向上させる
と共に、従来と同等以上の寿命を実現することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的は、下記(1)
〜(9)の本発明により達成される。 (1) 希ガスが封入されたバルブと、電極とを有し、
この電極が電子放出材料を含み、この電子放出材料が、
Ba、SrおよびCaの少なくとも1種からなる第1成
分MIと、Ta、Zr、Nb、TiおよびHfの少なく
とも1種からなる第2成分MIIとを金属元素成分として
含み、かつ、酸窒化物ペロブスカイトを含有するもので
あり、前記バルブ内における希ガスの圧力が60〜27
0Paであって、前記電極が熱陰極動作を行う放電灯。 (2) 希ガスが封入されたバルブと、電極とを有し、
この電極が電子放出材料を含み、この電子放出材料が、
Ba、SrおよびCaの少なくとも1種からなる第1成
分MIと、Ta、Zr、Nb、TiおよびHfの少なく
とも1種からなる第2成分MIIとを金属元素成分として
含み、かつ、酸窒化物ペロブスカイトを含有するもので
あり、前記バルブ内における希ガスの圧力が1300〜
20000Paであって、前記電極が冷陰極動作を行う放
電灯。 (3) 前記電子放出材料が、前記酸窒化物ペロブスカ
イトとしてMIII2N型結晶を含む上記(1)または
(2)の放電灯。 (4) 前記電子放出材料が、MI 4II 29型結晶、M
III 26型結晶、MIII3型結晶、MI 5II 415
結晶、MI 7II 622型結晶およびMI 6IIII 418
結晶から選択される少なくとも1種の複合酸化物を含む
上記(3)の放電灯。 (5) 前記電子放出材料が、Ce、TbおよびPrの
少なくとも1種からなる第3成分MIIIを金属元素成分
として含む上記(1)〜(3)のいずれかの放電灯。 (6) 前記電子放出材料が、前記酸窒化物ペロブスカ
イトとして、MIIIが固溶したMIII2N型結晶を含
む上記(5)の放電灯。 (7) 前記電子放出材料が、MI 4II 29型結晶、M
III 26型結晶、MIII3型結晶、MI 5II 415
結晶、MI 7II 622型結晶およびMI 6IIII 418
結晶から選択される少なくとも1種の複合酸化物を含
み、前記複合酸化物にMIIIが固溶していることがある
上記(6)の放電灯。 (8) 前記電子放出材料において、第1成分と第2成
分との合計に対し、第1成分のモル比をXとし、第2成
分のモル比をYとしたとき、 0.8≦X/Y≦1.5 である上記(1)〜(7)のいずれかの放電灯。 (9) 前記電子放出材料において、第2成分の一部
が、炭化物および/または窒化物として含有されている
上記(1)〜(8)のいずれかの放電灯。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明で用いる電子放出材料が含
有する上記酸窒化物は、蒸気圧が低く、しかも、電気抵
抗を低くできる。そのため、BaOを主成分とする従来
の電極材料に比べ、より大きな電子放出電流を流すこと
が可能であり、しかも、蒸発による電極劣化が少ない。
また、本出願人による前記WO97/48121号公報
等に記載されているBa−Zr−Ta系複合酸化物から
なる電極に比べても、電極劣化が少なくなる。したがっ
て、熱陰極動作を行う電極に適用したときに、従来の電
極よりも高い輝度が得られ、しかも、電極寿命が著しく
長くなる。
【0014】本発明では、上記酸窒化物を含有する電子
放出材料を熱陰極放電灯に適用する場合に、封入ガス圧
を60〜270Paと従来の熱陰極放電灯に比べ著しく低
くするので、発光効率が著しく向上する。しかも、この
とき、放電灯の寿命は従来の熱陰極放電灯と同等以上と
なる。
【0015】上記酸窒化物は、イオンスパッタリングさ
れても消耗しにくい。したがって、陰極降下電圧が大き
いためにイオンスパッタリングが激しくなる冷陰極動作
においても、消耗が少なく長寿命が実現する。
【0016】本発明では、上記酸窒化物を含有する電子
放出材料を冷陰極放電灯に適用する場合に、従来市販さ
れている冷陰極放電灯に比べ、封入ガス圧を1300〜
20000Paと比較的低くするので、発光効率が著しく
向上し、また、始動電圧を低くすることができる。しか
も、このとき、放電灯の寿命は従来の冷陰極放電灯と同
等以上となる。
【0017】本発明で用いる電子放出材料において上記
のような高特性が実現するのは、上記酸窒化物を含有す
るためである。ただし、上記酸窒化物は、動作温度が高
くなると酸窒化物が分解して窒素が解離する傾向があ
る。放電灯に適用したとき酸窒化物が分解してしまう
と、管電圧が上昇して寿命が短くなってしまう。これに
対し、上記第3成分を添加すれば、酸窒化物からの窒素
の解離を抑制できるので、動作温度が高い場合でも長寿
命を実現できる。
【0018】なお、ペロブスカイト構造をもつ上記酸窒
化物は、Journal of Materials Science,29,(1994),pp4
686-4693に記載されている。この文献では、アンモニア
気流中において1000℃で焼成することにより上記酸
窒化物を製造しているが、同文献では、このようにして
製造した酸窒化物を誘電体としてしか評価していない。
酸窒化物は還元性雰囲気中でも安定な化合物であるた
め、内部電極を卑金属から構成した積層セラミックコン
デンサに適している。
【0019】また、特開昭63−252920号公報
(米国特許第4,964,016号明細書が対応)に
は、式AB(O,N)3で表される導電性ペロブスカイ
トが記載されている。上記式において、元素Aは、IA
族およびIIA族の金属、イットリウムおよびランタノイ
ドから選ばれる金属を示し、元素Bは、IVA族ないしI
B族の遷移金属から選ばれる金属を示す。同公報では、
この導電性ペロブスカイトを、金属Aと金属Bとの混合
酸化物に対し約700〜900℃の温度でアンモニア気
流中において焼成することにより製造している。同公報
では、この導電性ペロブスカイトをセラミックコンデン
サの電極に使用することを提案しており、同公報には電
子放出材料に適用する旨の記載も示唆もない。同公報に
記載された導電性ペロブスカイトの組成は、本発明で用
いる電子放出材料に含有される上記酸窒化物の組成と重
なる。しかし、同公報では、本発明で限定する組成をも
つ酸窒化物ペロブスカイトの具体的開示はない。また、
本発明において限定する組成を用いて、同公報に記載さ
れた条件でアンモニア気流中において焼成すると、比抵
抗が高くなりすぎて、電子放出材料として好ましい特性
は得られない。
【0020】このように、ペロブスカイト構造をもつ酸
窒化物自体は知られているが、これを電子放出材料とし
て使用することは、本発明者らが全く新規に提案するこ
とであり、この酸窒化物を電極に用いたときに上記効果
が実現することは、従来全く知られていない。すなわ
ち、本発明で用いる電子放出材料が含有する上記酸窒化
物は、電子放出材料としてはこれまで知られていなかっ
た。
【0021】以下、本発明で用いる電子放出材料につい
て詳細に説明する。
【0022】電子放出材料 本発明で用いる電子放出材料は、Ba、SrおよびCa
の少なくとも1種からなる第1成分と、Ta、Zr、N
b、TiおよびHfの少なくとも1種からなる第2成分
と金属元素成分として含む。また、動作温度が高く上記
酸窒化物における窒素解離を抑制する必要がある場合に
は、Ce、TbおよびPrの少なくとも1種からなる第
3成分も、金属元素成分として添加される。第1成分
は、低仕事関数の電子放出成分である。第2成分は、電
子放出材料の低抵抗化および高融点化のために必要な成
分である。第3成分は、上記酸窒化物からの窒素の解離
を抑えて電子放出材料の劣化を抑制するために必要な成
分である。第1成分のうち好ましい元素はBaであり、
Baは第1成分の50〜100原子%、特に70〜10
0原子%を占めることが好ましい。第2成分のうち好ま
しい元素はTaおよび/またはZr、特にTaであり、
Taは第2成分の50〜100原子%、特に70〜10
0原子%を占めることが好ましい。
【0023】本発明で用いる電子放出材料は、ペロブス
カイト構造を有する酸窒化物、すなわち酸窒化物ペロブ
スカイト(オキシナイトライドペロブスカイト)を含有
する。上記第1成分をMI、上記第2成分をMII、第3
成分をMIIIでそれぞれ表したとき、この酸窒化物は、
III2N型結晶を少なくとも含む。MIIIを含有す
る場合には、MIII2N型結晶にMIIIが固溶してい
ることが好ましい。電子放出材料をX線回折により解析
すると、通常、MIII酸化物のピークは存在しないの
で、その場合には上記第3成分はMIII2N型結晶中
に固溶していることが明らかである。なお、出発原料と
して比較的多量のMIII酸化物を用いると、X線回折に
おいてMIII酸化物の弱いピークが観測されることもあ
るが、MIII酸化物は電子放出に寄与しないため、存在
しないほうが好ましい。MIIIがMIII2N型結晶中
に固溶していることは、X線回折におけるピークのシフ
トおよびピーク強度比の変化によっても確認することが
できる。ピーク強度比としては、通常、(001)面の
回折強度と(110)面の回折強度との比をみればよ
い。MIII2N型結晶中においてMIIIが置換するサ
イトは明らかではないが、主としてMIを置換している
と考えられる。MIII2N型結晶において、酸素と窒
素との比は2:1に限定されない。実際の生成物は、酸
素や窒素の欠陥が存在することにより、MIII2+δ
1-δ’として表されるものとなる。ここでδおよび
δ’は、好ましくは−0.5〜0.95、より好ましく
は0〜0.7である。δおよびδ’がこのような範囲に
存在すれば、電子放出材料の蒸発およびスパッタリング
による消耗の抑制効果が高くなる。なお、MIII2
型結晶は、MIII(O,N)3型結晶と表すこともでき
る。
【0024】第3成分をMIIIで表したとき、本発明で
用いる電子放出材料中において MIII/(MI+MII+MIII) は好ましくは0.5〜20モル%、より好ましくは2.
5〜10モル%である。金属元素成分中におけるMIII
の比率が低すぎても高すぎても、MIII添加による効果
が不十分となる。
【0025】本発明で用いる電子放出材料中には、上記
酸窒化物ペロブスカイトのほか、酸化物が含まれていて
もよい。酸化物としては例えば、MI 4II 29型結晶、
III 26型結晶、MIII3型結晶、MI 5II 415
型結晶、MI 7II 622型結晶およびMI 6IIII 418
型結晶等の複合酸化物の少なくとも1種が挙げられる。
なお、MI 6IIII 418型結晶としては、例えばBa6
ZrTa418が挙げられる。MIIIを含有する場合、X
線回折による解析から、これらの複合酸化物中にも、通
常、MIIIが固溶していると考えられる。
【0026】電子放出材料は、上記酸窒化物のほか、炭
化物および/または窒化物、特にTaC等のMII炭化物
を含有していてもよい。この炭化物や窒化物は、後述す
るように、電子放出材料製造の過程で第2成分の一部が
炭化物や窒化物となる結果、含有されるものである。こ
れらの炭化物および窒化物は、高融点で導電性の高い物
質であるため、これらが含まれていても電子放出特性や
耐スパッタリング性は全く損なわれない。なお、第2成
分のうち例えばTaは炭化物となりやすく、Zrは窒化
物となりやすい。
【0027】電子放出材料中の各結晶の存在は、X線回
折により確認することができる。本発明で用いる電子放
出材料の典型的なX線回折パターンを、図11に示す。
図11に示すパターンは、TaCを除き、実質的にMI
II2N型結晶の単一相からなる電子放出材料のもの
である。本発明で用いる電子放出材料は、MIII2
型結晶を主成分とすることが好ましく、実質的にこの結
晶だけから構成されることがより好ましい。ただし、上
述したように、炭化物および/または窒化物が含まれて
いても問題はない。なお、MIII2N型結晶が主成分
であるとは、X線回折パターンにおいてそれぞれの結晶
の最大ピーク強度を比較したとき、MII I2N以外の
結晶の最大ピーク強度がMIII2N型結晶の最大ピー
ク強度の50%以下、好ましくは30%以下であること
を意味する。ただし、例えばBaZrO3とBa5Ta4
15とのように、最大ピーク位置がほぼ一致する2種ま
たはそれ以上の酸化物が同時に生成している場合には、
2番目に大きなピークの強度を用いて、MIII2N型
結晶の最大ピークとの比較を行う。
【0028】電子放出材料において、第1成分、第2成
分の合計に対し、第1成分のモル比をX、第2成分のモ
ル比をYとしたとき、好ましくは 0.8≦X/Y≦1.5 であり、より好ましくは 0.9≦X/Y≦1.2 である。X/Yが小さすぎる場合、放電により第1成分
が早期に枯渇してしまうほか、耐スパッタリング性が不
十分となる。一方、X/Yが大きすぎる場合、放電中に
電子放出材料の蒸発およびスパッタリングによる飛散が
生じやすくなる。そのため、いずれの場合でも、例えば
放電灯に適用した場合には管壁黒化による輝度低下が生
じやすくなる。
【0029】電子放出材料は、第1成分、第2成分およ
び第3成分以外の金属元素成分を含有していてもよい。
このような金属元素成分としては、Mg、Sc、Y、L
a、V、Cr、Mo、W、Fe、NiおよびAlの少な
くとも1種が挙げられる。本明細書では、これらの元素
を元素Mと呼ぶ。元素Mは、焼結性向上のために必要に
応じて添加される。電子放出材料中における元素Mの含
有量は、酸化物換算で好ましくは10質量%以下、より
好ましくは5質量%以下である。元素Mの含有量が多す
ぎると、電子放出材料の融点が低くなってしまうため、
高温使用時の蒸気圧が高くなって寿命が短くなる。一
方、元素M添加による効果を十分に発揮させるために
は、元素Mの含有量は0.5質量%以上とすることが好
ましい。なお、酸化物換算での含有量とは、化学量論組
成の酸化物、すなわち、MgO、Sc 23、Y23、L
23、V25、Cr23、MoO3、WO3、Fe
23、NiOおよびAl23に換算して求めた含有量で
ある。
【0030】元素Mは、前記酸窒化物中においてMI
一部またはMIIの一部と置換されているか、または置換
されずに、酸化物、窒化物、炭化物などとして前記酸窒
化物と混合された状態となっている。なお、前記酸窒化
物結晶においてMIの一部またはMIIの一部が他の金属
元素で置換されていることは、X線回折におけるピーク
のシフトおよびピーク強度比の変化により確認すること
ができる。
【0031】本発明で用いる電子放出材料の室温におけ
る比抵抗は、通常、10-6〜103Ωmなので、誘電体と
はならない。そして、動作温度(通常、熱陰極では90
0〜1400℃程度、冷陰極では700〜1000℃程
度)において電子放出材料として優れた性能を示す。す
なわち、大きな放電電流を流すことによって高温となっ
た場合でも、蒸気圧が低いために消耗が少ない。
【0032】電子放出材料の製造方法 本発明で用いる電子放出材料は、従来知られている酸窒
化物の製造方法を利用して製造することができる。すな
わち、例えば前記Journal of Materials Science,29,(1
994),pp4686-4693に示されるように、酸化物や炭酸塩な
どの原料化合物を混合した後、アンモニア気流中で焼成
することにより、上記酸窒化物を得ることができる。た
だし、前述したように、前記Journal of Materials Sci
ence,29,(1994),pp4686-4693に記載された条件で焼成し
た場合には比抵抗が高くなりすぎるため、アンモニア気
流中で焼成する場合には、焼成温度を好ましくは110
0℃以上、より好ましくは1200℃以上とする。な
お、被焼成物の溶融を防ぐためには、焼成温度を好まし
くは2000℃以下、より好ましくは1700℃以下と
する。
【0033】しかし、アンモニア気流中で焼成する場
合、排ガスの中にアルカリ性の強いアンモニアが含まれ
るため、製造装置の耐腐食性に留意する必要があり、ま
た、アンモニアが環境中に放出されないように、硫酸な
どを使用したトラップを排気口に配置する必要がある。
そのため、大量生産に不向きであり、また、設備コスト
が高くなる。
【0034】そこで、本発明者らは、アンモニア気流を
使用せずに酸窒化物ペロブスカイトを生成できる製造方
法を探索した結果、少なくとも原料粉末を含有する被焼
成物と炭素とを近接配置した状態で、窒素ガス含有雰囲
気中において焼成すれば、酸窒化物ペロブスカイトを生
成できることを見いだした。この方法では、安定で扱い
やすい窒素ガスを利用できるため、アンモニア気流を利
用する方法の問題点が解消される。この方法は、酸窒化
物ペロブスカイトの製造方法としては全く新規なもので
あり、本発明者らが初めて提案する方法である。なお、
この方法における被焼成物は、原料粉末そのものであっ
てもよく、原料粉末を含有する塗膜であってもよく、原
料粉末の成形体であってもよい。また、この場合の原料
粉末は、酸化物および/または焼成により酸化物を生成
する出発原料であってもよく、これを焼成して複合酸化
物を生成させた中間生成物であってもよい。
【0035】この方法において、被焼成物と炭素とを近
接配置する手段は特に限定されず、例えば、少なくとも
一部が炭素から構成されている焼成炉を用いたり、炉中
にバルク状、粒状、粉末状の炭素を入れた状態で被焼成
物を焼成したり、被焼成物に粒状、粉末状の炭素を混合
して焼成したり、被焼成物を少なくとも一部が炭素から
なる容器(匣)に入れて焼成したり、これら各手段の2
種以上を併用したりすればよい。これらのうちでは、被
焼成物中の原料粉末と炭素とをほぼ均一に接触させるこ
とが容易であって、かつ、被焼成物を窒素気流にさらし
やすいことから、特に、被焼成物に粒状や粉末状の炭素
を混合して焼成する方法が好ましい。ただし、比較的薄
い塗膜を焼成する際には、塗膜中に炭素粉末を分散させ
なくてもよい。塗膜が薄い場合には、焼成炉や容器から
塗膜中の原料粉末に十分に炭素を供給でき、また、薄い
塗膜に炭素粉末を分散させると、炭素粉末が塗膜の密度
や平坦性などに影響を与えるおそれがあるからである。
【0036】なお、少なくとも一部が炭素で構成された
炉としては、例えば、断熱材の少なくとも一部を炭素で
構成した炉が挙げられ、また、電気炉では、発熱体だ
け、または発熱体および断熱材をそれぞれ炭素で構成し
た炉が挙げられる。また、炭素からなる上記容器として
は、被焼成物に対する窒素ガスの接触を阻害しないよう
に、少なくとも一端が開放された容器を用いる。
【0037】また、炭素単体に替えて、炭素化合物を利
用することもできる。例えば、通常、成形体や塗膜には
有機化合物からなるバインダが含まれるが、焼成する際
に脱バインダを不十分にすることにより、バインダから
炭素を供給して酸窒化物を形成することもできる。ま
た、原料粉末中に有機化合物を入れたり、炉中に有機化
合物を入れて焼成したりすることによっても、酸窒化物
の生成は可能である。しかし、酸窒化物を安定して製造
でき、かつ、有機化合物の残留に起因する電子放出材料
の特性低下を招く心配がないことから、炭素単体を利用
する方法がより好ましい。
【0038】以下、本発明で用いる電子放出材料を粉
末、焼結体または膜として得る方法のそれぞれについ
て、詳細に説明する。
【0039】粉末および焼結体の製造方法1A 本発明で用いる電子放出材料を粉末または焼結体として
得るに際しては、酸窒化物の生成を上記した条件で行え
ばよく、そのほかの工程は特に限定されず、例えば図1
(A)、図1(B)、図2、図3(A)および図3
(B)にそれぞれ工程の流れを示す方法を利用すること
ができる。まず、図1(A)に示す各工程について説明
する。
【0040】秤量工程 秤量工程では、金属元素成分の出発原料を、最終組成に
応じて秤量する。出発原料として用いる化合物は、酸化
物および/または焼成により酸化物となる化合物、例え
ば炭酸塩、蓚酸塩などを用いればよいが、通常、第1成
分を含む化合物には、BaCO3、SrCO3およびCa
CO3を用いることが好ましく、第2成分を含む化合物
には、Ta25、ZrO2、Nb25、TiO2およびH
fO2を用いることが好ましく、第3成分を含む化合物
には、CeO2、Tb47、Pr611を用いることが好
ましい。また、前記元素Mの出発原料としては、MgC
3、Sc23、Y23、La23、V25、Cr
23、MoO3、WO3、Fe2 3、NiOおよびAl2
3を用いることが好ましい。なお、第3成分を添加す
る場合において、最終的に焼結体を得る場合には、第3
成分の出発原料の一部または全部を、後の粉砕工程にお
いて添加してもよい。
【0041】混合工程 混合工程では、秤量した出発原料を混合し、原料粉末を
得る。混合には、ボールミル法、摩擦ミル法、共沈法な
どの方法を用いることができる。混合後、脱水加熱乾燥
法または凍結乾燥法などで乾燥する。
【0042】この混合工程では、必要に応じ出発原料に
炭素を添加する。炭素は、出発原料の混合の際に同時に
湿式混合してもよく、出発原料同士を混合した後に添加
して乾式混合してもよい。炭素は比重が比較的小さく、
分散媒中に分散しにくいため、湿式混合を行う場合には
必要に応じ分散剤を添加する。分散媒は水系であっても
有機系であってもよいが、環境への負荷を考慮すると、
水系のものを利用することが好ましい。
【0043】炭素の添加量は、出発原料に対し好ましく
は50質量%以下、より好ましくは20質量%以下であ
る。添加量が多すぎると、電子放出に寄与しない炭化物
や窒化物が多量に生成しやすくなるため、好ましくな
い。また、焼成後に炭素が多量に残留して、電子放出材
料として使用する際に蒸発してガス化しやすくなる点で
も、好ましくない。一方、炭素からなる容器および炭素
を含む炉材を利用しない場合において炭素の添加量が少
なすぎると、酸窒化物を生成することが困難となる。そ
のためこの場合には、炭素の添加量を出発原料に対し好
ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%とす
る。炭素の種類は特に限定されず、グラファイトや無定
型炭素などのいずれであってもよい。混合物中における
炭素の平均粒径は、好ましくは1mm以下、より好ましく
は500μm以下である。平均粒径が大きすぎると、混
合物中において均一に分散しにくくなるほか、反応しに
くくなるので、焼成後に残留しやすくなる。炭素粉末の
平均粒径は小さいほうが好ましいが、小さすぎると取り
扱いおよび分散が困難となるので、好ましくは0.01
μm以上とする。なお、炭素粉末の分散性を向上させる
ために、分散剤を用いてもよい。
【0044】酸窒化物生成工程 酸窒化物生成工程では、原料粉末を窒素ガス含有雰囲気
中で、好ましくは窒素気流中で焼成し、酸窒化物ペロブ
スカイトを含む電子放出材料を得る。このとき、前述し
たように、必要に応じ、少なくとも一部が炭素で構成さ
れた炉や容器を用いたり、炉中に炭素を配置したり、こ
れらを併用したりする。焼成温度は、好ましくは800
〜2000℃、より好ましくは1100〜1700℃で
ある。焼成温度が低すぎると酸窒化物が生成されにくく
なり、焼成温度が高すぎると炭化物や窒化物の生成量が
多くなって、いずれの場合でも電子放出材料としての性
能が不十分となりやすい。また、焼成温度が高すぎる
と、被焼成物が溶融するおそれもある。焼成時間(温度
保持時間)は、通常、0.5〜5時間程度とすればよ
い。この焼成は、粉末の状態で行ってもよく、取り扱い
を容易にするために粉末を成形した状態で行ってもよ
い。この焼成によりペロブスカイト構造の酸窒化物が生
成される。また、このとき、酸窒化物以外に、前記第2
成分の炭化物および/または窒化物も同時に生成される
ことがあり、特に炭化物は生成されやすい。ただし、こ
れらの炭化物および窒化物は、導電性が高くかつ融点が
高いので、電子放出材料中に含まれていても問題はな
い。
【0045】なお、原料粉末に混合された炭素粉末は、
窒素ガス含有雰囲気中での焼成により反応して消耗する
ため、混合量が適切であれば焼成体中に実質的に残存し
ない。したがって、焼成後、電子放出材料から炭素粉末
を除去する必要はないが、例えば粒径の大きな炭素粉末
を比較的多量に用いた場合などには、必要に応じて除去
作業を行ってもよい。
【0046】上記窒素ガス含有雰囲気としては、窒素1
00%であることが最も好ましいが、Ar等の不活性ガ
ス、CO、H2等の還元性ガス、炭素を構成成分とする
ガス(例えばベンゼンや一酸化炭素など)が含まれてい
てもよい。ただし、その場合でも、窒素が全体の50%
以上を占めることが好ましい。炭素を構成成分とするガ
スは、窒素に比べ一般に取り扱いが難しい上、酸窒化物
ペロブスカイトを安定して生成させることが難しい。
【0047】窒素気流中で焼成する場合、被焼成物近傍
での単位面積当たりの窒素ガス流量、すなわち、被焼成
物近傍の空間において、窒素気流の流れる方向と垂直な
断面における単位面積あたりの窒素ガス流量は、0.0
001m/s以上、特に0.001m/s以上とすることが好
ましい。この程度の流量で被焼成物に窒素ガスを供給す
ることにより、被焼成物中において酸窒化物が迅速かつ
均一に生成しやすくなる。なお、上記流量は被焼成物が
飛散しない範囲内で設定すればよく、その具体的な上限
は特にないが、通常は5m/sを超える流量とする必要は
ない。
【0048】上記酸窒化物は、酸素ガス含有雰囲気中で
加熱した場合に分解されやすいため、焼成雰囲気は低酸
素分圧に保つことが好ましい。酸窒化物の分解されやす
さは加熱温度によっても異なるので、焼成温度に応じて
酸素分圧を適切に制御すればよいが、好ましくは5.0
×103Pa以下、より好ましくは1.0×103Pa以下、
さらに好ましくは0.1×103Pa以下である。なお、
上記酸素分圧の好ましい下限は特になく、酸素分圧がゼ
ロであってもよいが、通常の焼成装置を用いた場合、焼
成雰囲気中の酸素分圧は一般に0.1Pa以上となる。
【0049】粉砕工程 粉砕工程では、酸窒化物生成工程で得られた電子放出材
料を粉砕し、電子放出材料粉末を得る。この粉砕には、
ボールミルや気流粉砕を利用すればよい。粉砕工程を設
けることにより、電子放出材料の粒径を小さくでき、か
つ、粒度分布を狭くできるので、電子放出性の向上およ
びそのばらつきを小さくできる。したがって、粉砕工程
は設けることが好ましい。
【0050】最終的に焼結体を得る場合には、次の成形
工程に進む。その場合には、前述したように、第3成分
の出発原料の一部または全部をこの粉砕工程で添加して
もよい。第3成分の出発原料が存在する状態で酸窒化物
生成処理を行うと、上記酸窒化物が生成しにくくなるこ
とがある。これは、第2成分の出発原料が第3成分の出
発原料と反応して上記酸窒化物以外の結晶が生成される
ためと考えられる。これに対し、酸窒化物生成処理後に
第3成分の出発原料の一部または全部、特に全部を添加
し、続く焼結工程において第3成分を酸窒化物に固溶さ
せれば、このような問題の発生を防ぐことができる。
【0051】粉砕後、造粒工程を必要に応じて設ける。
造粒工程では、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ
エチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキサイ
ド(PEO)などの有機系バインダを含む水溶液を用い
て粉砕粉を顆粒化する。造粒手段は特に限定されず、例
えば、噴霧乾燥法、押出造粒法、転動造粒法や、乳鉢、
乳棒を用いる方法などを利用することができる。
【0052】成形工程 成形工程では、目的とする電極形状の成形体を圧縮成形
により得る。
【0053】焼結工程 焼結工程では、成形体を焼成し、焼結体(電極)を得
る。焼結工程では、既に生成している酸窒化物の分解を
防ぐため、酸窒化物生成工程と同様に、窒素ガス含有雰
囲気中で焼成を行う。ただし、この焼結工程では、被焼
成物である成形体に対し炭素を近接配置する必要はな
い。このときの窒素ガス含有雰囲気は、酸窒化物生成工
程の説明に記載した窒素ガス含有雰囲気と同様であり、
酸素分圧についても同様である。焼成温度は、好ましく
は、800〜2000℃、さらに好ましくは1100〜
1700℃で行う。焼成温度が低すぎると焼結体の密度
が不十分となりやすく、焼成温度が高すぎると、組成ず
れが生じたりセッターと反応したりしやすい。焼成時間
は、通常、0.5〜5時間程度とすればよい。
【0054】なお、図1(A)に示す方法において、混
合工程の直後に成形工程を設けることにより、焼結工程
が酸窒化物生成工程を兼ねる構成としてもよい。ただ
し、その構成において出発原料に炭素粉末を混合する場
合、成形体中に炭素粉末が存在することになる。そのた
め、成形体を焼結する際に成形体中の炭素が反応して、
炭素の消耗により焼結体の寸法精度や密度が影響を受け
るおそれがある。これに対し図1(A)の方法では、酸
窒化物生成工程で炭素を消耗させた後に成形するため、
成形体を焼結する際に炭素消耗による影響を心配する必
要がない。
【0055】焼結体(粉末)の製造方法1B 図1(B)に示す方法は、第3成分を添加する場合にお
いて選択可能な方法である。この方法は、第3成分の出
発原料を、秤量工程において添加せずに第1の粉砕工程
において添加し、成形前に固溶工程を設ける点が、図1
(A)に示す方法と異なる。この固溶工程では、第3成
分の出発原料を添加した被焼成物を窒素含有雰囲気中で
焼成することにより、酸窒化物に第3成分を固溶させ
る。固溶工程における窒素ガス流量、酸素分圧および焼
成温度に関する好ましい条件は、酸窒化物生成工程と同
様である。この固溶工程において、炭素粉末を混合して
焼成すると、電子放出に寄与しないTaC等の炭化物が
生成しやすいため、炭素粉末を混合する必要はない。た
だし、少なくとも一部が炭素から構成されている焼成炉
や容器を用いる場合には特に問題はない。この方法で
は、製造方法1Aの粉砕工程の説明において述べたよう
に、酸窒化物生成後に第3成分の出発原料を添加するた
め、酸窒化物生成工程において第3成分出発原料が酸窒
化物の生成を阻害するおそれがない。ただし第3成分の
出発原料は、秤量工程と第1の粉砕工程とにおいて分割
して添加してもよい。
【0056】製造方法1Bでは、固溶工程後に第2の粉
砕工程を設け、電子放出材料粉末を得る。そして、最終
的に焼結体を得る場合には、製造方法1Aと同様に成形
工程および焼結工程を設ける。
【0057】なお、図1(B)に示す方法において、第
1の粉砕工程の直後に成形工程を設けることにより、焼
結工程が、第3成分を固溶させる固溶工程を兼ねる構成
としてもよい。
【0058】焼結体の製造方法2 図2に示す方法は、酸窒化物生成工程の前に複合酸化物
生成工程を設けると共に、酸窒化物生成工程が焼結工程
を兼ねる点が、図1(A)に示す方法と異なる。上記製
造方法1A、1Bのように、BaCO3などの反応性の
高い材料を含む出発原料を用いて比較的高温の熱処理に
より酸窒化物を直接生成させた場合、焼成時に炉材、例
えばジルコニア製のセッター、と出発原料とが反応する
ことがある。焼成時に炉材と出発原料とが反応すると、
炉材が消耗したり、電子放出材料の特性や形状(成形体
の場合)が影響を受けることがある。これに対し、酸窒
化物生成工程の前に、比較的低温の熱処理により複合酸
化物を生成させる複合酸化物生成工程を設ければ、この
ような問題の発生が抑えられる。以下、図2に示す各工
程について説明する。
【0059】秤量工程 図1(A)に示す秤量工程と同様にして行う。ただし、
第3成分の出発原料の一部または全部を、後の粉砕工程
において添加してもよい。
【0060】混合工程 炭素を混合しないほかは図1(A)に示す混合工程と同
様にして行う。
【0061】複合酸化物生成工程 原料粉末を、空気中等の酸化性雰囲気中で焼成し、MI 5
II 415等の複合酸化物を含む中間生成物を生成させ
る。この中間生成物中に含有される複合酸化物として
は、本発明で用いる電子放出材料に含まれ得る前記複合
酸化物の少なくとも1種が挙げられる。この焼成により
得られる中間生成物は、実質的に複合酸化物だけから構
成されていることが好ましい。焼成温度は、好ましくは
800〜1700℃、より好ましくは800〜1500
℃、さらに好ましくは900〜1300℃とする。焼成
温度が低すぎると、MI 5II 415等の複合酸化物が生
成しにくい。一方、焼成温度が高すぎると、焼結が進ん
で粉砕しにくくなり、また、複合酸化物の溶融や分解が
生じることもある。焼成時間は、0.5〜5時間程度と
すればよい。この焼成は、粉末の状態で行ってもよく、
取り扱いを容易にするために粉末を成形した状態で行っ
てもよい。なお、複合酸化物生成工程は、還元性雰囲気
中で行ってもよい。還元性雰囲気中で焼成しても、上記
複合酸化物を生成することができる。ただし、還元性雰
囲気とするためには雰囲気制御が必要になること、最終
的に得られる電子放出材料の性能が複合酸化物生成工程
における焼成雰囲気に依存しないことから、通常、空気
中で焼成することが好ましい。
【0062】粉砕工程 図1(A)に示す粉砕工程と同様にして行う。また、こ
のとき、図1(A)に示す混合工程と同様に、必要に応
じ炭素を混合する。また、前述したように、この工程に
おいて第3成分の出発原料の一部または全部を添加して
もよい。
【0063】成形工程 図1(A)に示す成形工程と同様にして行う。
【0064】酸窒化物生成工程 図1(A)に示す酸窒化物生成工程と同様な条件で焼成
し、酸窒化物を含む電子放出材料の焼結体を得る。
【0065】焼結体(粉末)の製造方法3A 図3(A)に示す方法は、酸窒化物生成工程の前に複合
酸化物生成工程を設ける点で図2に示す方法と同様であ
る。しかし、図2の方法では、酸窒化物生成工程が焼結
工程を兼ねるのに対し、図3(A)の方法では、酸窒化
物生成処理の後に第2の粉砕工程において粉砕して粉末
とし、この粉末を成形して焼成することにより焼結体を
得る点が、図2の方法と異なる。図2の方法において粉
砕工程で炭素を添加する場合、成形体を焼結する際に成
形体中の炭素が反応するため、炭素の消耗により焼結体
の寸法精度や密度が影響を受けるおそれがある。これに
対し図3(A)の方法では、酸窒化物生成工程で炭素を
消耗させた後に成形するため、成形体を焼結する際に炭
素消耗による影響を心配する必要がない。以下、各工程
について説明する。
【0066】秤量工程 図2に示す秤量工程と同様にして行う。第3成分の出発
原料は、その一部または全部を、後の第1の粉砕工程お
よび/または第2の粉砕工程において添加してもよい。
【0067】混合工程 図2に示す混合工程と同様にして行う。
【0068】複合酸化物生成工程 図2に示す複合酸化物生成工程と同様にして行い、複合
酸化物を生成させる。
【0069】第1の粉砕工程 図2に示す粉砕工程と同様にして行う。
【0070】酸窒化物生成工程 図2に示す酸窒化物生成工程と同様にして行い、酸窒化
物を含む電子放出材料を得る。この工程における焼成
は、粉末の状態で行ってもよく、取り扱いを容易にする
ために粉末を成形した状態で行ってもよい。
【0071】第2の粉砕工程 炭素を混合しないほかは上記第1の粉砕工程と同様にし
て行い、電子放出材料の粉末を得る。
【0072】成形工程 図2に示す成形工程と同様にして行う。
【0073】焼結工程 図1に示す焼結工程と同様に、酸窒化物の分解を防げる
条件で成形体を焼成し、焼結体を得る。
【0074】焼結体(粉末)の製造方法3B 図3(B)に示す方法は、第3成分を添加する場合にお
いて選択可能な方法である。この方法は、図1(A)の
方法に対する図1(B)の方法と同様に、上記製造方法
3Aにおいて、第2の粉砕工程で第3成分の出発原料の
一部または全部を添加すると共に、第2の粉砕工程と成
形工程との間に、固溶工程および第3の粉砕工程を設け
る方法である。
【0075】膜の製造方法1 電子放出材料を膜として得るに際しては、酸窒化物の生
成を上記した条件で行えばよく、そのほかの工程は特に
限定されず、例えば図4〜図7にそれぞれ工程の流れを
示す方法を利用することができる。まず、図4に示す各
工程について説明する。
【0076】秤量工程 図1(A)に示す秤量工程と同様にして行う。第3成分
の出発原料の一部または全部は、後の粉砕工程において
添加してもよい。
【0077】混合工程 図1(A)に示す混合工程と同様にして行えばよい。な
お、混合物中における炭素の平均粒径は、塗膜の厚さや
塗膜に要求される緻密さなどに応じて適宜決定すればよ
い。
【0078】スラリー調製工程 スラリー調製工程では、出発原料の混合物をスラリー化
する。上記混合工程において湿式混合を行う場合には、
混合工程がスラリー調製工程を兼ねる構成とすることが
好ましい。スラリー化に用いる分散媒は、上記混合工程
において説明したように、水系であっても有機系であっ
てもよい。
【0079】スラリー調製工程では、必要に応じてバイ
ンダを添加する。バインダの種類は特に限定されず、有
機系分散媒に対しては、例えばエチルセルロース、ポリ
ビニルブチラール等の通常の各種バインダから適宜選択
すればよく、水系分散媒に対しては、例えばポリビニル
アルコール、セルロース、水溶性アクリル樹脂などを用
いればよい。
【0080】スラリー中の固形分濃度、あるいはスラリ
ーの粘度は、塗膜形成方法に応じて適宜決定すればよい
が、通常、スラリー粘度は0.01〜105mPa・s程度
とすることが好ましい。
【0081】塗膜形成工程 この工程では、調製したスラリーを用いて基材表面に塗
膜を形成する。基材構成材料は特に限定されず、各種金
属やセラミックス等のいずれであってもよい。
【0082】塗膜形成方法は特に限定されず、必要とさ
れる塗膜厚さなどに応じ、例えば、印刷法、ドクターブ
レード法、スプレー法などの各種方法から適宜選択すれ
ばよい。
【0083】酸窒化物生成工程 酸窒化物生成工程では、上記塗膜を窒素ガス含有雰囲気
中で焼成し、酸窒化物ペロブスカイトを含有する電子放
出材料膜を得る。この工程における好ましい条件は、図
1(A)に示す方法における酸窒化物生成工程と同様で
ある。
【0084】膜の製造方法2 図5に示す方法は、塗膜形成前に酸窒化物ペロブスカイ
トを生成させる点が、図4に示す方法と異なる。図4に
示す方法において塗膜中に炭素粉末が含まれる場合、焼
成時に塗膜中の炭素が反応するため、炭素の消耗により
電子放出材料膜の寸法精度や密度が影響を受けるおそれ
がある。これに対し図5に示す方法では、塗膜形成前に
設けた酸窒化物生成工程で炭素を消耗させた後に塗膜を
形成するため、炭素消耗による影響を心配する必要がな
い。以下、各工程について説明する。
【0085】秤量工程 図4に示す秤量工程と同様にして行う。第3成分の出発
原料の一部または全部は、後の粉砕工程において添加し
てもよい。
【0086】混合工程 図4に示す混合工程と同様にして行う。
【0087】酸窒化物生成工程 この方法では、出発原料および必要に応じて添加される
炭素の混合物を、粉末の状態で、または取り扱いを容易
にするために必要に応じて成形した状態で、図4に示す
酸窒化物生成工程と同様な条件で焼成し、酸窒化物ペロ
ブスカイトを含む電子放出材料を得る。
【0088】粉砕工程 粉砕工程では、電子放出材料を必要に応じて粉砕する。
この粉砕には、ボールミルや気流粉砕を利用すればよ
い。
【0089】スラリー調製工程 電子放出材料を用いるほかは図4に示すスラリー調製工
程と同様にして行う。なお、直前に設ける粉砕工程にお
いて湿式粉砕を利用すれば、粉砕工程がスラリー調製工
程を兼ねる構成とできる。
【0090】塗膜形成工程 図4に示す塗膜形成工程と同様にして行う。
【0091】熱処理工程 熱処理工程では、塗膜を乾燥すると共に、バインダが添
加されている場合には脱バインダも行う。熱処理は、8
0℃以上、通常、150〜2000℃で0.5〜20時
間程度行えばよい。この熱処理により塗膜が焼結して緻
密化してもよいが、電子放出材料膜は緻密な焼結体でな
いほうが好ましい場合もある。その場合には、粒子が焼
結しない処理条件、例えば1600℃以下で0.5〜5
時間程度とすることが好ましい。
【0092】熱処理の際の雰囲気は、既に生成している
酸窒化物ペロブスカイトの分解が生じないように適宜決
定すればよい。すなわち、比較的低温で熱処理する場合
には、空気中等の酸化性雰囲気であってもよいが、比較
的高温の場合には、窒素ガスやAr等の不活性ガスなど
からなる非酸化性雰囲気とすることが好ましい。その場
合の雰囲気中の酸素分圧は、酸窒化物生成工程の説明に
記載した範囲とすることが好ましい。また、より高温で
熱処理する場合には、酸窒化物生成工程の場合と同様
に、塗膜に対し炭素を近接配置し、かつ、窒素ガス含有
雰囲気中で熱処理を行うことが好ましい。すなわち、少
なくとも一部が炭素で構成された容器や炉を用いたり、
炉中に炭素を配置したり、これらを併用したりすればよ
い。このときの窒素ガス含有雰囲気における好ましい条
件は、酸窒化物生成工程の説明において記載した窒素ガ
ス含有雰囲気についての好ましい条件と同様である。
【0093】なお、図1(A)の方法に対する図1
(B)の方法と同様に、図5の方法において粉砕工程で
第3成分の出発原料の一部または全部を添加すると共
に、粉砕工程とスラリー調製工程との間に、固溶工程お
よび第2の粉砕工程を設けてもよい。
【0094】膜の製造方法3 図6に示す方法は、複合酸化物生成工程においてMI 5
II 415等の複合酸化物をいったん生成させた後、この
複合酸化物を含む粉末を原料粉末として用いる点が、図
4に示す方法と異なる。図4に示す方法では、出発原料
の粉末をスラリー化して基材表面に塗膜を形成し、この
塗膜中において酸窒化物を生成させるので、焼成中に塗
膜と基材とが反応してしまい、電子放出材料膜の特性低
下を招くことがある。これに対し図6に示す方法では、
いったん複合酸化物を生成させて、この複合酸化物を含
有する粉末を含む塗膜を焼成するため、塗膜と基材とが
反応しにくい。したがって、基材との反応を極端に嫌う
場合、図6に示す方法は有効である。以下、図6に示す
各工程について説明する。
【0095】秤量工程 図4に示す秤量工程と同様にして行う。第3成分の出発
原料の一部または全部は、後の粉砕工程において添加し
てもよい。
【0096】混合工程 炭素を添加しないほかは図4に示す混合工程と同様にし
て行う。
【0097】複合酸化物生成工程 原料粉末を、図2に示す複合酸化物生成工程と同様に、
I 5II 415等の複合酸化物を含む中間生成物を得
る。
【0098】粉砕工程 図4に示す粉砕工程と同様にして行うが、図4に示す混
合工程と同様に、必要に応じ炭素を混合する。
【0099】スラリー調製工程 中間生成物を用いるほかは図4に示すスラリー調製工程
と同様にして行う。
【0100】塗膜形成工程 図4に示す塗膜形成工程と同様にして行う。
【0101】酸窒化物生成工程 図4に示す酸窒化物生成工程と同様にして行い、酸窒化
物ペロブスカイトを生成させる。
【0102】膜の製造方法4 図7に示す方法は、塗膜形成前に酸窒化物生成工程を設
けて酸窒化物ペロブスカイトを生成させる点が、図6に
示す方法と異なる。あるいは、複合酸化物生成工程にお
いていったん複合酸化物を生成させた後、この複合酸化
物を含む粉末を原料粉末として用いる点が、図5に示す
方法と異なるともいえる。したがって、炭素の消耗によ
る塗膜の寸法精度や密度への影響は、図7に示す方法に
おいても心配する必要がない。以下、各工程について説
明する。
【0103】秤量工程 図6に示す秤量工程と同様にして行う。第3成分の出発
原料の一部または全部は、後の第1の粉砕工程および/
または第2の粉砕工程において添加してもよい。
【0104】混合工程 図6に示す混合工程と同様にして行う。
【0105】複合酸化物生成工程 図6に示す複合酸化物生成工程と同様にして行い、複合
酸化物を生成させる。
【0106】第1の粉砕工程 図6に示す粉砕工程と同様にして行う。
【0107】酸窒化物生成工程 図6に示す酸窒化物生成工程と同様にして行い、酸窒化
物を含む電子放出材料を得る。
【0108】第2の粉砕工程 炭素を添加しないほかは図6に示す粉砕工程と同様にし
て行う。
【0109】スラリー調製工程 電子放出材料を用いるほかは図6に示すスラリー調製工
程と同様にして行う。
【0110】塗膜形成工程 図6に示す塗膜形成工程と同様にして行う。
【0111】熱処理工程 図5に示す熱処理工程と同様にして行う。
【0112】なお、図1(A)の方法に対する図1
(B)の方法と同様に、図7の方法において第2の粉砕
工程で第3成分の出発原料の一部または全部を添加する
と共に、第2の粉砕工程とスラリー調製工程との間に、
固溶工程および第3の粉砕工程を設けてもよい。
【0113】電極 上記電子放出材料は、熱陰極として動作する電極または
冷陰極として動作する電極に適用される。
【0114】熱陰極動作の電極の例を図8に示す。この
電極は、一端が開放し一端が閉じた筒状の容器1内にセ
ラミック半導体からなる顆粒2を収容した構造である。
上記電子放出材料は、この電極のセラミック半導体とし
て使用されるが、これに加え、筒状の容器1に使用して
もよい。この電極は、通電当初は冷陰極として機能し、
自己発熱により熱陰極動作に移行するタイプである。
【0115】また、このほかの熱陰極としては、例え
ば、上記電子放出材料を棒状の焼結体とし、この焼結体
をタングステンコイルの中空部に挿入して固定すること
により、熱陰極を構成してもよい。また、線状体(コイ
ル状やダブルコイル状のフィラメントなど)や板状体で
ある基材の表面に、電子放出材料膜を形成して熱陰極と
することもできる。基材構成材料としては、例えばW、
Mo、Ta、Ni、Zr、Ti等の各種金属、またはこ
れらの少なくとも1種を含有する合金、あるいは、Zr
2、Al23、MgO、AlN、Si34等のセラミ
ックス、またはこれらの少なくとも1種を含有するセラ
ミックス(SIALON等)を用いることができる。また、こ
のほか、酸窒化物含有粉末または焼成により酸窒化物が
生成する原料粉末を含有する塗膜と、導電材料を含有す
る塗膜とを、印刷法やシート法により積層し、これを焼
成して積層型の電極としてもよい。
【0116】従来、冷陰極にはNi等からなる金属製の
筒状体を用いることが一般的であり、エミッタを利用す
る場合には、上記筒状体を電極基材として、その周面に
例えばBaOからなるエミッタの塗膜を設ける。本発明
を冷陰極放電灯に適用する場合には、従来のエミッタ塗
膜の替わりに、上記電子放出材料を含有する塗膜を電極
基材表面に設ければよい。なお、電極基材の構成材料と
しては、Niのほか、例えばW、Ti、Zr、Mo、T
a等の高融点金属、またはこれらの少なくとも1種を含
有する合金を好ましく用いることができる。
【0117】本発明で用いる電子放出材料を膜として利
用する場合、膜の厚さは、通常、5〜1000μm程度
とすればよい。電子放出材料膜中における電子放出材料
粒子の平均粒径は、好ましくは0.05〜20μm、よ
り好ましくは0.1〜10μmである。膜中における平
均粒径をさらに小さくしようとすると、取り扱いが困難
な微小粒子を用いなければならなくなる。また、このよ
うな微小粒子は凝集して2次粒子となりやすく、そのた
め、粒度分布が広くなってしまい、均一な塗膜を形成し
にくくなる。一方、膜中における平均粒径が大きすぎる
と、電子放出材料粒子の脱落が生じやすく、また、塗布
の際の作業性も悪くなり、また、電子放出性も悪くな
る。
【0118】放電灯 図9に、図8に示す電極を有する熱陰極動作の放電灯の
構成例を示す。なお、同図には管端部付近だけを示して
ある。この放電灯は、細管化が可能な構造を有するもの
である。
【0119】この放電灯は、内面に蛍光体が塗布され、
気密封止されたバルブ9を有する。バルブ9内には、希
ガス(He、Ne、Ar、KrおよびXeの少なくとも
1種)が封入されている。バルブ9内における希ガスの
圧力は、60〜270Pa、好ましくは60〜200Paで
ある。希ガスの圧力をこの範囲に設定することにより、
発光効率の著しい向上が可能となり、しかも、十分に長
い寿命が実現する。
【0120】バルブ9の端部には、リード線5が挿通さ
れている。バルブ9内に存在するリード線5の端部に
は、リード線拡大部6が形成されている。リード線拡大
部6には、導電性パイプ7が接続されている。なお、他
の手段によりリード線5を導電性パイプ7に接続するこ
とが可能であれば、リード線拡大部6を設けなくてもよ
い。導電性パイプ7は、電気伝導度の高い材料から構成
すればよいが、真空中においてガス放出の少ない材料、
例えばNiを用いれば、放電灯製造時に不純物を含むガ
スの発生が抑えられ、安定した放電が可能となるので、
好ましい。ただし、導電性パイプ7をセラミックスから
構成してもよい。導電性パイプ7内には、これと接して
容器1が配置され、容器1内には電子放出材料2が充填
されている。また、導電性パイプ7内の容器1とリード
線拡大部6との間には、水銀ディスペンサ材料3を充填
した金属パイプ4が配置されている。金属パイプ4は、
両端が開放された筒状体であり、Ni等の金属から構成
すればよい。導電性パイプ7の金属パイプ4を包囲する
部分には、スリット状の開口(図示せず)が形成されて
いる。水銀ディスペンサ材料3中の水銀は、金属パイプ
4に対する高周波加熱などにより蒸気とされ、金属パイ
プ4とリード線拡大部6との間および金属パイプ4と容
器1との間を通り、上記開口を経て放電空間10に放出
される。なお、上記開口は、水銀蒸気の放出が可能であ
ってかつ容器1の保持を妨げないものであれば、スリッ
ト状に限らずどのような形状であってもよい。また、水
銀ディスペンサ材料3を設けることも必須ではなく、封
止の過程で水銀をバルブ内に供給する構成としてもよ
い。
【0121】図10に、冷陰極動作の放電灯の構成例を
示す。なお、同図には管端部付近だけを示してある。
【0122】この放電灯は、内面に蛍光体9Aが塗布さ
れ、気密封止されたバルブ9を有する。バルブ9内に
は、希ガスが封入されている。バルブ9内における希ガ
スの圧力は、1300〜20000Pa、好ましくは26
00〜13000Paである。希ガスの圧力をこの範囲に
設定することにより、発光効率の著しい向上が可能とな
り、しかも、十分に長い寿命が実現する。
【0123】バルブ9の端部には、リード線5が挿通さ
れている。バルブ9内に存在するリード線5の端部に
は、バルブ端部を塞ぐステム9Bを貫通して内部導入線
6Aが設けられている。内部導入線6Aには、電極基材
となる導電性パイプ7が接続されている。導電性パイプ
7の内周面には、電子放出材料膜2Aが形成されてい
る。この放電灯は、封止の過程で水銀をバルブ内に供給
する構造である。
【0124】なお、本発明は、図9および図10に示す
構造の放電灯に限らず適用可能である。例えば、前記各
公報において本発明者らが既に提案している各種構造の
放電灯への適用が可能である。
【0125】
【実施例】実施例1(熱陰極放電灯) 図1(A)に示す方法を利用し、以下に示す手順で電子
放出材料の粉末を製造した。
【0126】まず、第1成分としてBa、第2成分とし
てTaおよびZrを選択し、これらの出発原料としてB
aCO3、Ta25およびZrO2を準備した。
【0127】次いで、Ba、TaおよびZrのモル比率
が Ba:Ta:Zr=1:0.8:0.2 となるように上記出発原料を秤量し、ボールミルにより
20時間湿式混合した。
【0128】次いで、混合物を乾燥した後、平均粒径5
0μmの炭素粉末を出発原料に対し5質量%加えて乾式
混合し、圧力10MPaで成形した。得られた成形体に、
酸窒化物生成処理を施した。この処理では、上面が開放
した炭素製の容器に成形体を入れ、容器との間に隙間を
設けて炭素製の蓋をかぶせ、窒素気流中において130
0℃で2時間焼成した。窒素ガスは、炉中の成形体近傍
空間において窒素気流の流れる方向と垂直な断面におけ
る単位面積当たりの窒素ガス流量が0.01m/sとなる
ように供給した。なお、焼成雰囲気中の酸素分圧は、2
0Paとした。得られた電子放出材料をボールミルにより
20時間湿式粉砕し、乾燥して、平均粒径0.8μmの
電子放出材料粉末を得た。
【0129】この粉末に対しX線回折を行ったところ、
図11に示すような酸窒化物ペロブスカイト(MIII
2N型結晶)のピークと第2成分炭化物のピークとが
認められた。
【0130】また、酸窒化物生成工程において、窒素ガ
ス流量を0.001m/sとしたほかは上記と同様にして
電子放出材料粉末を製造し、これについてX線回折を行
ったところ、炭化物は生成しておらず、Ba(Ta0.8
Zr0.2)O2Nであると考えられるMIII2N型結晶
の単相であった。
【0131】また、酸窒化物生成工程において、窒素ガ
ス流量を0.001m/sとし、1200℃で2時間焼成
したほかは上記と同様にして電子放出材料粉末を製造
し、これについてX線回折を行ったところ、炭化物は生
成しておらず、MIII2N型結晶と、BaZrO3
たはこれにTaが固溶していると考えられるMIII3
型結晶とが認められた。
【0132】なお、電子放出材料粉末の窒素含有量およ
び酸素含有量をガス分析計(堀場製作所製のEMGA−
650A)により調べたところ、MIII2N型結晶
は、M III2+δN1-δ’においてδ=0.5、δ’
=0.5であることがわかった。
【0133】次いで、各電子放出材料粉末にポリエチレ
ンオキサイドの1%水溶液を加えてスラリーとした。こ
のスラリーを、ステムにマウントしたタングステンのダ
ブルコイルフィラメントに塗布し、空気中において10
0℃で30分間乾燥して、電極を得た。なお、電子放出
材料の塗布量は1.0mgとした。この塗布量は、通常の
1/5であるが、これは、短時間にランプ寿命の評価を
するためである。
【0134】次に、この電極を、バルブの全長100m
m、外径8mm、封入ガスAr、封入物Hg(封入量5m
g)、駆動電源周波数30kHz、ランプ電流120mAの放
電灯に組み込み、測定用サンプルとした。なお、封入ガ
ス圧を表1に示す範囲で変えて、各粉末について複数の
サンプルを作製した。水銀の蒸気圧は数パスカルなの
で、表1では水銀蒸気圧を含めて封入ガス圧としてあ
る。
【0135】比較のために、市販のランプに使用されて
いるBaO系電子放出材料{(Ba,Sr,Ca)O+
ZrO2}を用いた放電灯サンプルも作製した。
【0136】これらのサンプルについて連続点灯試験を
行い、発光効率およびランプ寿命を評価した。結果を表
1に示す。表1に示す発光効率は、BaO系電子放出材
料を用い、かつ、封入ガス圧を270Paとしたサンプル
の発光効率を100%として表した相対値である。ま
た、表1に示すランプ寿命は、アーク放電が不安定にな
ってランプ電圧が20%以上変動するまでの時間であ
る。
【0137】
【表1】
【0138】表1から、従来のエミッタであるアルカリ
土類金属酸化物を用いた場合、封入ガス圧を270Pa以
下にすることにより発光効率は上がるが、ランプ寿命が
著しく短くなることがわかる。これに対しBa(Ta
0.8Zr0.2)O2.50.5を含有する電子放出材料を用い
た本発明のサンプルでは、封入ガス圧を270Pa以下に
してもランプ寿命が十分に長い。本発明のサンプルは、
封入ガス圧60Paまでは従来のエミッタの場合と同等以
上のランプ寿命を示し、封入ガス圧60Paのときの発光
効率は、ランプ寿命が同じ比較サンプルの1.7倍にも
達している。
【0139】実施例2(冷陰極放電灯) 実施例1で製造した電子放出材料の一部を用い、図10
に示す構造の冷陰極放電灯サンプルを作製した。電極
は、基材としてNi製の円筒を用い、この基材の内周面
に、実施例1と同様にして電子放出材料膜を形成するこ
とにより作製した。なお、電子放出材料の塗布量は2mg
とした。この電極を、バルブの全長100mm、外径3m
m、封入ガスAr(封入ガス圧5300Pa)、封入物H
g(封入量2mg)、駆動電源周波数30kHzの放電灯に
組み込み、測定用サンプルとした。なお、水銀の蒸気圧
は数パスカルなので、ここでは水銀蒸気圧を含めて封入
ガス圧とした。
【0140】また、比較のために、電子放出材料の塗膜
を形成せずに、電極基材そのものを電極として利用した
サンプルも作製した。
【0141】これらのサンプルについて連続点灯試験を
行い、発光効率およびランプ寿命を評価したところ、図
12〜図14に示す結果が得られた。図12〜図14に
おいて、電子放出材料としてBa(Ta0.8Zr0.2)O
2.50.5を用いた本発明サンプルは(A)で表示し、電
子放出材料としてBaO系電子放出材料を用いたサンプ
ルは(B)で表示し、電子放出材料を用いずにNi製円
筒を電極としたサンプルを(C)で表示してある。
【0142】図12に、(A)〜(C)のそれぞれにつ
いて、ランプ電流とランプ電圧との関係を示す。ランプ
条件(バルブ寸法および封入ガス圧)が同じであれば、
ランプ電圧が低いほど発光効率が高いことになる。ラン
プ電流と輝度とはほぼ比例するので、ランプ電流(輝
度)が同じであってランプ電圧が低ければ、より少ない
電力で同等の輝度が得られる、すなわち効率が高いこと
になる。図12から、Ni製円筒のみの(C)では、ラ
ンプ電圧が高く発光効率が低くなるが、電子放出材料を
コーティングしたものは、ランプ電圧が下がるため発光
効率が上がることがわかる。そして、BaO系電子放出
材料をコーティングした(B)に比べ、本発明の電子放
出材料をコーティングした(A)のほうが、ランプ電圧
がより低く、発光効率がより高くなることがわかる。
【0143】図13に、(A)〜(C)のそれぞれにつ
いて、点灯時間とランプ電圧との関係を示す。なお、こ
の結果は、ランプ電流5mAのときのものである。図13
において、Ni製円筒を用いた(C)では、ランプ電圧
は10000時間を経ても安定しているが、ランプ電圧
が高く、発光効率は低い。また、BaO系電子放出材料
をコーティングした(B)では、最初はランプ電圧が低
いが、3000時間以上経過するとBaO等と封入水銀
とがアマルガム化して水銀の枯渇を生じる。その結果、
ランプ電圧が上昇し、最終的にはランプが点灯しなくな
った。一方、本発明サンプルである(A)は、1000
0時間経過後も低いランプ電圧を維持しており、発光効
率が高く寿命も長いことがわかる。
【0144】図14に、(A)〜(C)のそれぞれにつ
いて、点灯時間と輝度維持率との関係を示す。なお、こ
の結果は、ランプ電流5mAのときのものである。図14
において、BaO系電子放出材料をコーティングした
(B)は、2000時間経過後に輝度維持率が85%ま
で低下してしまう。これは、BaO等と水銀とのアマル
ガム化により、バルブの管壁の変色が進むためと考えら
れる。これに対し本発明サンプルである(A)は、10
000時間経過後も約90%の輝度維持率を示してお
り、Ni製円筒を用いた(C)よりも輝度維持率が良好
である。図12からわかるように(A)はランプ電圧が
低いため、電極のイオンスパッタリングによる消耗が少
なく、その結果、電子放出材料と水銀とのアマルガム化
により進行する管壁の変色が、抑制されたためと考えら
れる。
【0145】なお、図13および図14では、ランプ電
流5mAのときの結果を示したが、図12に示すランプ電
流の範囲(1〜10mA)のすべてにおいて、図13およ
び図14と同様に本発明による効果が認められた。
【0146】また、図12〜図14には、封入ガス圧を
5300Paとした場合の結果を示したが、封入ガス圧1
300〜20000Paの範囲においても図12〜図14
に示される結果と同様に、本発明によりランプの効率が
向上すると共に、寿命が長くなることを確認している。
【0147】また、上記各実施例では、第1成分として
Ba、第2成分としてTaおよびZrを用いたが、Ba
の少なくとも一部に替えてSrおよびCaの少なくとも
1種を用いた場合、また、TaおよびZrの少なくとも
一部に替えてNb、TiおよびHfの少なくとも1種を
用いた場合、また、第3成分としてCe、TbおよびP
rの少なくとも1種を用いた場合でも、上記実施例と同
様な効果を得られた。
【0148】
【発明の効果】本発明で用いる電子放出材料は、上記し
た酸窒化物を含有するため、電子放出特性が良好であ
り、しかも、高温での蒸発が少なく、また、イオンスパ
ッタリングされたときの消耗が少ない。そのため、この
電子放出材料を用いる本発明の放電灯は、封入ガス圧を
従来になく低圧にして、従来に比べ発光効率を著しく向
上させた場合でも、従来と同等以上のランプ寿命を示
す。したがって、本発明によれば、極めて高効率の放電
灯が実用化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)および(B)は、本発明で用いる電子放
出材料を粉末または焼結体として製造する際の工程を示
すフローチャートである。
【図2】本発明で用いる電子放出材料を焼結体として製
造する際の工程を示すフローチャートである。
【図3】(A)および(B)は、本発明で用いる電子放
出材料を粉末または焼結体として製造する際の工程を示
すフローチャートである。
【図4】電子放出材料膜の製造工程を示すフローチャー
トである。
【図5】電子放出材料膜の製造工程を示すフローチャー
トである。
【図6】電子放出材料膜の製造工程を示すフローチャー
トである。
【図7】電子放出材料膜の製造工程を示すフローチャー
トである。
【図8】電極の構成例を示す断面図である。
【図9】熱陰極動作の放電灯の構成例を示す断面図であ
る。
【図10】冷陰極動作の放電灯の構成例を示す断面図で
ある。
【図11】本発明で用いる電子放出材料のX線回折パタ
ーンである。
【図12】冷陰極放電灯におけるランプ電流とランプ電
圧との関係を示すグラフである。
【図13】冷陰極放電灯における点灯時間とランプ電圧
との関係を示すグラフである。
【図14】冷陰極放電灯における点灯時間と輝度維持率
との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 容器 2 電子放出材料 2A 電子放出材料膜 3 水銀ディスペンサ材料 4 金属パイプ 5 リード線 6 リード線拡大部 6A 内部導入線 7 導電性パイプ 9 バルブ 9A 蛍光体 9B ステム 10 放電空間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 武石 明 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 高橋 誠 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 淀川 正忠 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 Fターム(参考) 5C015 AA03 BB02 CC02 CC03 CC04 CC14

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 希ガスが封入されたバルブと、電極とを
    有し、この電極が電子放出材料を含み、 この電子放出材料が、Ba、SrおよびCaの少なくと
    も1種からなる第1成分MIと、Ta、Zr、Nb、T
    iおよびHfの少なくとも1種からなる第2成分MII
    を金属元素成分として含み、かつ、酸窒化物ペロブスカ
    イトを含有するものであり、 前記バルブ内における希ガスの圧力が60〜270Paで
    あって、前記電極が熱陰極動作を行う放電灯。
  2. 【請求項2】 希ガスが封入されたバルブと、電極とを
    有し、この電極が電子放出材料を含み、 この電子放出材料が、Ba、SrおよびCaの少なくと
    も1種からなる第1成分MIと、Ta、Zr、Nb、T
    iおよびHfの少なくとも1種からなる第2成分MII
    を金属元素成分として含み、かつ、酸窒化物ペロブスカ
    イトを含有するものであり、 前記バルブ内における希ガスの圧力が1300〜200
    00Paであって、前記電極が冷陰極動作を行う放電灯。
  3. 【請求項3】 前記電子放出材料が、前記酸窒化物ペロ
    ブスカイトとしてM III2N型結晶を含む請求項1ま
    たは2の放電灯。
  4. 【請求項4】 前記電子放出材料が、 MI 4II 29型結晶、 MIII 26型結晶、 MIII3型結晶、 MI 5II 415型結晶、 MI 7II 622型結晶および MI 6IIII 418型結晶 から選択される少なくとも1種の複合酸化物を含む請求
    項3の放電灯。
  5. 【請求項5】 前記電子放出材料が、Ce、Tbおよび
    Prの少なくとも1種からなる第3成分MIIIを金属元
    素成分として含む請求項1〜3のいずれかの放電灯。
  6. 【請求項6】 前記電子放出材料が、前記酸窒化物ペロ
    ブスカイトとして、MIIIが固溶したMIII2N型結
    晶を含む請求項5の放電灯。
  7. 【請求項7】 前記電子放出材料が、 MI 4II 29型結晶、 MIII 26型結晶、 MIII3型結晶、 MI 5II 415型結晶、 MI 7II 622型結晶および MI 6IIII 418型結晶 から選択される少なくとも1種の複合酸化物を含み、前
    記複合酸化物にMIIIが固溶していることがある請求項
    6の放電灯。
  8. 【請求項8】 前記電子放出材料において、第1成分と
    第2成分との合計に対し、第1成分のモル比をXとし、
    第2成分のモル比をYとしたとき、 0.8≦X/Y≦1.5 である請求項1〜7のいずれかの放電灯。
  9. 【請求項9】 前記電子放出材料において、第2成分の
    一部が、炭化物および/または窒化物として含有されて
    いる請求項1〜8のいずれかの放電灯。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013001625A (ja) * 2011-06-21 2013-01-07 Showa Denko Kk 誘電体組成物及びその製造方法

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