JPH09127060A - 溶液の質量分析に関する方法と装置 - Google Patents

溶液の質量分析に関する方法と装置

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JPH09127060A
JPH09127060A JP7280159A JP28015995A JPH09127060A JP H09127060 A JPH09127060 A JP H09127060A JP 7280159 A JP7280159 A JP 7280159A JP 28015995 A JP28015995 A JP 28015995A JP H09127060 A JPH09127060 A JP H09127060A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】差動排気部と質量分析部との間に設けたスリッ
トによる微小液滴、中性粒子、あるいは光子のカット
と、質量分析部導入直前でのイオンの小幅な偏向の組み
合わせにより、シグナルを低下させることなくノイズを
大幅に低減し、検出下限の指標となるシグナルのノイズ
に対する比を大幅に改善する方法で検出器におけるノイ
ズの低減。 【解決手段】制限板による微小液滴、中性粒子、あるい
は光子のカットと、質量分析部導入直前でのイオンの小
幅な偏向の組み合わせたイオン光学系 【効果】シグナルを低下させることなくノイズを大幅に
低減し、検出下限の指標となるシグナルのノイズに対す
る比を大幅に改善する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶液中に存在する
物質を大気圧あるいはそれに準じる圧力下でイオン化す
るイオン化法、またはイオン源、およびこのイオン化
法、またはイオン源を用いた質量分析法、または質量分
析計に関するものであって、液体クロマトグラフ/質量
分析計、キャピラリー電気泳動装置/質量分析計、プラ
ズマ質量分析計にも関する。
【0002】
【従来の技術】従来の技術としては、三つ挙げられる。
【0003】第1の従来例は、特開平2ー248854
(米国特許4,999,492)に記載されている、プラ
ズマ質量分析計に用いられている方法である。参考図を
図16に示した。この方法では、誘導結合プラズマによ
り生成したイオンを差動排気部を通して高真空中に導入
する。このとき、主にプラズマにより発生した高速の中
性粒子や光子によるノイズを低減するために、差動排気
部のイオン取り出し細孔7からイオンを引き出しレンズ
19で引き出した後に偏向器20で偏向して質量分析部
への取り込み口12を通して質量分析部13に導入し、
直進する高速の中性粒子や光子の一部をカットしてい
た。
【0004】第2の従来例は、特開平7−85834で
ある。参考図を図17に示した。この例では、プラズマ
質量分析計ばかりでなく、溶液中の混合試料溶液を分離
するための液体クロマトグラフの検出器に質量分析計を
用いる液体クロマトグラフ/質量分析計や、同様に溶液
中の混合試料溶液を分離するためのキャピラリー電気泳
動装置の検出器に質量分析計を用いるキャピラリー電気
泳動装置/質量分析計に適用している。この場合には、
主に検出器のノイズの原因となるのは、高速の中性粒子
や光子ではなく、差動排気部を通して高真空中に流入し
てくる微小液滴となる。というのも、液体クロマトグラ
フ/質量分析計やキャピラリー電気泳動装置/質量分析
計では、基本的に溶液を噴霧して帯電液滴をつくり、そ
こから溶媒分子を気化させて試料分子のイオンを生成さ
せる方法であるので、必ずしも生成した帯電液滴を完全
に気化できるわけではなく当然気化されない微小液滴も
出てくる。それが差動排気部から高真空部に流入して検
出器に到達して大きなノイズの原因となるわけである。
この例では、イオンを偏向して集束する静電レンズとし
て、二重円筒型の静電レンズを用いている。このとき、
内筒電極10には多数の開口部が開いており、内筒電極
10と外筒電極11の電圧を変化させることにより、内
筒電極10の開口部よりしみだした電界を用いてイオン
を偏向および集束し、ノイズの原因となる微小液滴など
を除去していた。
【0005】また、第3の例としてヨーロッパ公開特許
0237249に記載の方法が挙げられる。参考図を図
18に示した。この方法では、高周波電場を利用した3
組の四重極を用いている。1組めの四重極26はイオン
源24で生成しレンズ25で集束されたイオンの質量分
析あるいは集束の役目であり、2組めの四重極27には
ある曲率を持たせて屈曲させており、質量分析を行う3
組めの四重極28の後に検出器14を配置している。2
組めの四重極27にある曲率を持たせて屈曲させること
によって、電荷を持つイオンはこの曲がった四重極内を
通過するが、電荷を持たない中性粒子や液滴はまっすぐ
進行し、これらは質量分析を行う3組めの四重極28の
後に配置された検出器14に到達しないことになり、そ
れだけ検出器14におけるノイズレベルは低減した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の第1の例では、
イオンの偏向量を増加させれば、それだけ確実に中性粒
子あるいは光子などの質量分析部への流入を防ぐことが
でき、それだけ検出器により得られるノイズレベルを低
減することができる。しかし、イオンの偏向量を増加さ
せると、それだけイオンを偏向させた後に質量分析部の
取り込み口12に再度集束させることが困難となる。こ
れは、質量分析部の取り込み口12において、イオンビ
ームの幅が広がってしまったり、質量分析部の取り込み
口12に入射する角度が大きくなるためである。質量分
析部の取り込み口12でのイオンの集束状態が悪いと、
質量分析部におけるイオンの透過率が悪くなり、測定す
べき試料のイオン強度、すなわちシグナルが低下してし
まうことになる。従って、この方法では、イオンを大き
く偏向させて高速の中性粒子あるいは光子に由来するノ
イズを低減させようとしても、シグナルも同時に低下し
てしまい、最終的に検出感度の指標となるシグナルのノ
イズに対する比を大幅に改善することができなかった。
【0007】また、この例では、質量分析計として四重
極質量分析計を用いているが、イオントラップ質量分析
計などの特殊な質量分析計を用いる場合には、この問題
はさらに深刻となる。四重極質量分析計では、質量分析
部の取り込み口12は直径が3mm程度と比較的大き
い。従って、質量分析部の取り込み口12での集束状態
が悪い、すなわちイオンビームが質量分析部の取り込み
口12で広がってしまってもイオンの透過率の低下はそ
れほどおおきくない。しかし、一対のエンドキャップ電
極とリング電極で囲まれた領域にイオンを閉じこめるタ
イプのイオントラップ質量分析計では、内部での高周波
電界の乱れをあまり大きくしないために、エンドキャッ
プ電極に設けるイオンの取り込み口はあまり大きくでき
ない。通常、四重極質量分析計の場合より小さく、直径
が1.3mm程度となる。したがって、イオントラップ
質量分析計では、イオンを上記のような方法で偏向した
場合、取り込み口でイオンビームが広がっていると、イ
オンの透過率の低下が著しいことが確認された。
【0008】上記の第2の例でも、イオンを大きく偏向
させて液滴や中性粒子に由来するノイズを低減させよう
としても、シグナルも同時に低下してしまい、最終的に
検出感度の指標となるシグナルのノイズに対する比を大
幅に改善することはできなかった。
【0009】また、第3の例では、装置が非常に複雑に
なると同時に高価になることである。四重極自体にも数
ミクロンメートルレベルの機械加工精度とともに二組め
の四重極の電極には曲率をつけることが要求され、しか
も3組の四重極には高周波電源を用いなければならな
い。特に、ノイズの大幅な低減を図るべく、2組めの電
極に大きな曲率をつける場合には大きな加工上の問題が
発生していた。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明では、溶液試料を
供給する試料供給器と,該試料溶液を霧化する霧化器
と,霧化された該試料溶液中の所定の物質をイオン化
し,電荷を帯びた粒子と中性粒子とからなる粒子流を形
成するイオン発生器と,該粒子流を真空分析部へ導くた
めの細孔と該細孔に電圧を印加するための電源とからな
る差動排気部と,該粒子流に含まれる該電荷を帯びた粒
子を集束するための集束レンズと,該電荷を帯びた粒子
を偏向するための偏向器と,偏向された該電荷を帯びた
粒子の物理量を測定する質量分析器からなる質量分析装
置であって,該集束レンズと該質量分析器との間に該粒
子流の流路を制限する制限板を設けたことにより上記の
問題を解決する。
【0011】より詳細には,イオンの偏向量をあまり大
きくすることなく、液滴,溶媒分子,大気のガス分子,
イオンを含む,電荷を帯びた粒子と電気的に中性な粒子
からなる粒子流の中で,検出器におけるノイズの原因と
なる微小液滴、中性粒子、あるいは光子(これはプラズ
マ質量分析計の場合のみ)を,イオンの物理量の一つで
ある質量を電荷で割った値を分析する質量分析部に導入
される前に効率良くカットするようにすればよい。その
ために、差動排気部のイオン取り出し細孔から引き出し
たイオンを集束レンズによりいったん集束させ、その集
束点にノイズの原因となる液滴、中性粒子、あるいは光
子(これはプラズマ質量分析計の場合のみ)の多くをカ
ットする制限板すなわちスリットを位置させる。こうす
ることによって、イオンはこのスリット位置において集
束しているのでスリットを効率良く通過するが、電場に
よる集束作用のない微小液滴、中性粒子、あるいは光子
(これはプラズマ質量分析計の場合のみ)は差動排気部
のイオン取り出し細孔を通過後空間的に広がるので、こ
のスリット部分でその多くが効率良くカットされること
になる。このスリットを通過後、イオンが偏向を受けて
質量分析部に導入されるのに対して、スリット位置にお
いてその多くをカットされた微小液滴、中性粒子、ある
いは光子(これはプラズマ質量分析計の場合のみ)はま
っすぐ進み、質量分析部の器壁に衝突して排気される。
また、このような構成にすることによって、複雑な構成
ではなく、単純で安価な構成で目的を達成することがで
きる。
【0012】以上を簡単にまとめると、従来の方法で
は、イオンを大きく偏向させることによってのみシグナ
ルのノイズに対する比を改善しようとしているのに対し
て、本発明では、スリットによる微小液滴、中性粒子、
あるいは光子のカットと、イオンの小幅な偏向の組み合
わせにより、シグナルのノイズに対する比を大幅に改善
する。
【0013】ノイズの原因となる液滴の中には,電荷を
帯びたものも存在する。これらの帯電液滴は,質量分析
部において分析可能なイオンに比べると極めて大きな質
量を有しているので,細孔を通して真空中に流入する際
に,流れにより大きな運動エネルギーを得る。これらの
帯電液滴は静電レンズにより軌道を曲げられるが,イオ
ンに比べると軌道の偏向量が少なくなる。従って,イオ
ンと帯電液滴では,静電レンズによる集束位置が異なる
ので,イオンの集束位置付近にスリットを配置すること
により,帯電液滴の大部分を除去することが可能であ
る。
【0014】
【発明の実施の形態】図1は、大気圧化学イオン化法と
呼ばれる大気圧あるいはそれに準じる圧力下でイオンを
生成させる、いわゆる大気圧イオン化法を用いた場合の
液体クロマトグラフ/質量分析計の実施例である。ま
た、図2には、参考のために本発明のポイントであるス
リット9がある部分の拡大図を示した。これは、他の大
気圧イオン化法(静電噴霧により帯電液滴を生成させる
エレクトロスプレー法、加熱噴霧により帯電液滴を生成
させる大気圧スプレー法、音速のガスを用いて帯電液滴
を生成させるソニックスプレー法など)を用いた場合で
も同様の議論となると同時に、キャピラリー電気泳動装
置/質量分析計でも同様な効果が期待できる。
【0015】液体クロマトグラフ1により分離された溶
液中の試料は、配管2を通ってまず霧化器3によって微
粒化される。この霧化器3では、試料溶液を加熱噴霧や
ガス噴霧によって微粒化する。その後100から500
℃程度に加熱された気化器4に導入され、さらに微細化
される。生成した微小液滴や分子は針電極5先端に高電
圧を印加することによって発生するコロナ放電領域に導
入され、この領域でコロナ放電とそれに続くイオン分子
反応により帯電液滴を含むイオンが生成される。
【0016】この帯電液滴を含むイオンは、50から1
50℃程度に加熱された差動排気部におけるイオン取り
込み細孔6(細孔直径0.25mm程度、長さ20mm
程度)を通過して差動排気部内に導入される。その後、
差動排気領域を通過したイオンは差動排気部のイオン取
り出し細孔7(細孔直径0.2mm程度、長さ0.5mm
程度)から、静電レンズ8により引き出される。通常、
この領域は荒引きポンプ17で10から0.1Torr
に排気される。ここで、この差動排気部では差動排気部
のイオン取りこみ細孔6と差動排気部のイオン取り出し
細孔7の間に、細孔が設けられた電極をもうひとつ設け
る場合もある。これは、差動排気部のイオン取りこみ細
孔から差動排気部に流入する際に発生する超音速流領域
(分子間の衝突がない領域で、それだけ温度が冷える領
域)を圧縮して、流入する液滴の気化効率を低下させな
いためである。
【0017】図2には、差動排気部のイオン取り込み細
孔6から四重極質量分析部までの拡大図を示した。差動
排気部のイオン取り込み細孔6とイオン取り出し細孔7
の間には、通常、イオンの透過率を向上させるためと溶
媒和していないイオンを生成させるために、電圧を印加
する。差動排気部のイオン取り出し用細孔7から引き出
されたイオンは、いったん静電レンズ8により集束され
る。図1では、その一例として、非常にポピュラーな静
電レンズであるアインツエルレンズが設けられている。
これは、3枚の電極からなり、両側の電極は同電位と
し、中心の電極の電位を変化させることによりイオンの
焦点距離を変化させるものである。この3枚の電極の中
心軸付近には、同じ径の穴(この系では7mm程度の
穴)が開いており、この部分をイオンが通過する。ま
た、ここで使用しているアインツエルレンズの差動排気
部のイオン取り出し細孔7側の電極は頭が突き出ている
が、これは差動排気部のイオン取り出し細孔7からのイ
オンの引き出し効率を上げるためである。また、アイン
ツエルレンズの反対側の電極には、差動排気部のイオン
取り出し細孔からイオンと同時に流入してくる微小液
滴、中性粒子を絞りこむためのスリット9がレンズの焦
点位置に設けられている。このスリット9には、中心に
直径2mm程度の穴が開いており、差動排気部のイオン
取り出し用細孔から流入し空間的に広がった微小液滴、
中性粒子の多くをカットし、質量分析部側にできるだけ
流入しないようにしてある。スリット9の穴は、イオン
の集束状況を考えると、0.5mmから5mm程度がよ
く、これは静電レンズ8の中心径よりも小さくなってい
る。図3の概念図に示したように、スリット9は電荷を
持たない微小液滴、中性粒子をカットする役目がある
が、イオンについては前段に設けた静電レンズ8により
その焦点距離を変化させ、スリット位置において集束さ
せれば、スリット9を設けたことによるイオン透過率の
低下の心配は全くない。また、このとき、スリット9の
前にある静電レンズ8の開口径よりも、スリット9の開
口径は小さくなければスリットの意味はない。すなわ
ち、差動排気部のイオン取り出し細孔7から静電レンズ
8によりイオンを引き出し集束した段階で、微小液滴、
中性粒子の絞りこみを行っているところに本発明の大き
な意味がある。これを、静電レンズ8の開口径を2mm
と小さくして、微小液滴、中性粒子の絞りこみも兼ねよ
うとすると、この静電レンズ8部分ではイオンは集束さ
れていないので、イオンが静電レンズ8の器壁に衝突し
て消滅しイオンの透過率が大きく減少してしまい、最終
的にシグナルのノイズに対する比を大幅に改善すること
は困難となる。また、差動排気部のイオン取り出し細孔
7の直後に微小液滴、中性粒子の絞りこみを行ってしま
うと、質量分析部のイオン取り込み口12までの距離が
ある場合には、微小液滴、中性粒子が再度空間的に広が
ってしまい、質量分析部のイオン取り込み口に微小液
滴、中性粒子が流入してしまうことになる。イオンを偏
向する直前に、ノイズの原因となる微小液滴、中性粒子
の絞りこみを行うことが最も効果的となる。このため,
スリット9は,図2に示したように集束レンズ8に付加
させても良いが,イオンを偏向させる静電レンズ(ある
いは偏向器)の内部に設けても良い。
【0018】スリット9は金属などの導体で,かつ所定
の電位に保たれていることが望ましい。スリット9の電
位が変動すると,イオンの軌道が影響されるためであ
る。従って,図示されていないが,スリット9は接地さ
れるかあるいは電源に接続されている。スリット9の電
位はイオンがスリット9を透過できる電位,即ち正イオ
ンを分析する場合には差動排気部のイオン取り出し細孔
7よりも低く,また,負イオンを分析する場合には細孔
7よりも高く保たれる。
【0019】上記では、ノイズの原因となる液滴や中性
分子をカットするために円孔の開いた板を用いたが、図
4のように2枚の板を置いたり、図5のように偏向する
側に板を置くことによっても同様の効果が生じる。
【0020】このスリット9を通過したイオンは、円筒
の形状をした内筒電極10、外筒電極11に多数の開口
部を設けた二重円筒状の静電レンズに入る(図6参
照)。この静電レンズは、イオンを偏向すると同時に集
束させた後、質量分析部に導入する作用を持つ。図1に
おける円筒電極の大きさは、それぞれ、内筒電極10
(長さ100mm程度、内径18mm程度、幅10mm
程度の開口部が4つづつ90度の位相で4組設けてあ
る)、外筒電極11(長さ100mm程度、内径22m
m程度)である。このとき、外筒電極11にはイオンガ
イド内部の真空を良くするため、多数の排気用の開口部
が設けられている。差動排気部のイオン取り出し細孔7
の中心軸から4mm程度偏向されたイオンは質量分析部
の取り込み口12から質量分析部に導入され、質量分
析、検出される。図1では、四重極質量分析部13を用
いた場合を示している。このタイプの偏向器では、外筒
電極に内筒電極よりも高い電圧を印加し、内筒電極の開
口部よりしみ出した電界を用いて偏向を行う。
【0021】図2に、イオン取り込み口6から四重極質
量分析部までの印加する電圧の例を示した。正イオンを
測定する場合、イオン取り込み細孔6には250〜13
0V、イオン取り出し細孔7には130Vの固定電圧、
3枚の電極よりなる静電レンズ8には左から0V、90
V、0Vが印加される。このとき、偏向するための電極
である外筒電極、内筒電極には、それぞれ460V、−
130Vが印加される。質量分析部が納められているシ
ールドケースは接地されている。負イオンを測定する場
合には,各々の電極に印加する電圧の極性を反転させ
る。
【0022】また、偏向方向を重力とは反対方向にする
ことにも大きな意味がある。すなわち、極端に大きな液
滴が真空中に導入されてしまった場合には、この液滴は
そのまま重力方向に落下してくれるからである。さら
に、この偏向部分を効率良く排気できるように、このレ
ンズの下あたりにメインの排気系である真空ポンプを持
ってくることは重要である。通常、この領域はターボ分
子ポンプ(排気速度数百リットル/分)で10ー5から
10ー6Torr程度に排気される。イオンは検出器1
4で検出後、増幅器15で増幅され、データ処理装置1
6に転送される。通常、マススペクトルやクロマトグラ
ムの形で出力される。
【0023】ここで、先に示した二重円筒型の偏向レン
ズにおける、スリットを設けていない場合の差動排気部
のイオン取り出し細孔7から質量分析部12のイオン取
り込み口までのイオン透過率とイオンの偏向量との関係
を図7に示した。このとき、偏向量が0mmのときの値
でイオン透過率を正規化している。この結果からわかる
ように、偏向量が4mmまでと小さい場合には、イオン
透過率の低下はほとんど観測されていない。しかし、こ
れが7mm、10mmと大きくなってくると、イオン透
過率がそれぞれ約1/2、1/3と大きく低下している
ことがわかる。また、図7には、合わせて、スリットを
設けていない場合のノイズレベル(測定したマススペク
トル上における質量/電荷の値として100から150
のノイズを足し合わせたもの)と偏向量との関係を示し
た。このとき、偏向量が0mmのときの値でノイズレベ
ルを正規化している。偏向量が7mm、10mmと大き
くなると、ノイズレベルが0mmや4mmに比較して格
段に低くなっていることがわかる。一方、先に述べた条
件のスリットを設けた場合の結果を図8に示した。偏向
量が0mmのときにはノイズレベルの低下は期待できな
いが、4mmのときのノイズレベルは、スリットを設け
ていない場合の1/10程度になっていることがわか
る。しかも、イオンの透過率の減少はほとんど観測され
ていない。以上の結果は、スリットを設けて差動排気部
のイオン取り込み口から流入してくる微小液滴や中性粒
子の多くをカットすることとイオンのみを小幅に偏向す
るというふたつの技術を有機的に組み合わせることによ
って、シグナルを落とすことなくノイズを大幅に低減で
き、最終的に大幅にシグナルのノイズに対する比を大幅
に改善できることを示している。
【0024】以上の結果を踏まえて、実際の液体クロマ
トグラフ/質量分析計のデータを取得した。図9は、従
来の装置の場合と本発明の場合における大気圧化学イオ
ン化法をイオン源に用いた場合に得られるトータルイオ
ンクロマトグラムの比較である。試料には、ステロイド
を用いた。このトータルイオンクロマトグラムというの
は、ある質量範囲を繰り返しスキャンして得られたマス
スペクトル上のイオンを足し合わせ、その時間変化を観
測したものである。従って、試料が存在すればそれに関
するイオンが観測されることになる。このときの測定条
件は、以下の通りである。分離するための液体クロマト
グラフのための移動相には、A:水、B:メタノールと
し、90%A、10%Bの状態から100%Bの状態に
10分間で変化させるグラジエント分析モードを使用し
た。試料は、コルチゾン、コルチゾール、コルチゾン酢
酸、コルチコステロン、テストステロン、メチルテスト
ステロン、テストステロンアセテート、テストステロン
プロピオネートの8種類で、試料量は約140pmol
である。イオンを偏向しないでしかもスリットを設けな
い場合には、7成分を液体クロマトグラフにより分離し
ているのにも関わらず、そのうち3成分はノイズが高い
ため明確に認識できない。ところが、本発明を用いた装
置、すなわちイオンを偏向してしかもスリットを設けた
場合には、ノイズが大幅に低減できているため、導入量
が同じであるのにも関わらず、導入した7成分が全て明
確に検出できている。また、シグナルは落ちず、ノイズ
が1/5以下と大幅に低減されているため、最終的にシ
グナルのノイズに対する比は5倍以上の改善となってい
ることがわかる。
【0025】次の例は、大気圧イオン化法の一種である
エレクトロスプレー法を用いた場合である。装置の構成
図を図10に示した。この方法では、まず、液体クロマ
トグラフ1から溶出した試料溶液を金属製キャピラリー
29に導入する。この金属製キャピラリーに対向する電
極であるイオン取り込み口6を有する電極との間に高電
圧を印加すると、試料溶液は金属製キャピラリーの先端
から静電噴霧される。この時、生成したイオンを含む液
滴をイオン取り込み口から導入する。後の装置構成、測
定原理は図1の場合と同様である。図11には、エレク
トロスプレー法を用いた液体クロマトグラフ/質量分析
計により得られたトータルイオンクロマトグラムの結果
を示した。試料には、アンジオテンシンI、アンジオテ
ンシンIIIをそれぞれ約70pmol用いた。このとき
の測定条件は、以下の通りである。分離するための液体
クロマトグラフのための移動相には、A:0.1%TF
A、90%水、10%メタノール、B:0.1%TF
A、40%水、60%メタノールを用い、100%Aの
状態から100%Bの状態に30分間で変化させるグラ
ジエント分析モードを使用した。本発明を用いた場合と
そうでない場合の比較をおこなうと、アンジオテンシン
I、アンジオテンシンIIIのシグナル強度は同じであるに
も関わらず、ノイズレベルが1/5以下に大幅に低減し
ていることがわかる。即ち、本発明を用いることによっ
て、シグナルのノイズに対する比が5倍以上改善された
ことになる。
【0026】上記の場合は、液体クロマトグラフ/質量
分析計を中心とした有機化合物の分析の場合であるが、
キャピラリー電気泳動装置/質量分析計の場合にも同様
の効果がある。
【0027】また、溶液中の金属などをプラズマにより
イオン化して生成したイオンを質量分析計で検出するプ
ラズマ質量分析計の場合にも有効となる。この場合に
は、微小液滴、中性粒子に加えて、プラズマから発生す
る光子も検出器におけるノイズの大きな原因となる。こ
の光子の除去にも、本発明の上記のスリットとイオンの
小幅な偏向の組み合わせは非常に有効となる。
【0028】ところで、先の例では、質量分析部に四重
極質量分析部13を用いた場合について述べてきたが、
この代わりに、イオントラップ質量分析計などの他の質
量分析計を用いても先に述べたような効果を期待でき
る。この例を図12に示した。イオントラップ質量分析
計は、碗状のエンドキャップ電極一対22とその間にあ
るリング状電極23より構成された質量分析計で、高周
波電場を用いて質量分析を行う。
【0029】以下に,正イオンを分析する場合のイオン
トラップ質量分析計の動作について説明する。図示して
はいないが,リング電極23や,質量分析部へのイオン
の導入の制御を行い,かつ質量分析部の高周波電場が静
電レンズの電場に影響を与えないよう遮蔽するゲート電
極30に印可される電圧は制御装置により制御されてい
る。図19は,リング電極23に印加される高周波電場
の振幅とゲート電極30に印加される電圧を示してい
る。リング電極23にイオンを閉じ込めるための高周波
が印加され,かつゲート電極30に差動排気部のイオン
取り出し細孔よりも低い電圧が印加された条件では,イ
オンはゲート電極30を通過してイオントラップ内に導
入され,閉じ込められる(図19A)。その後,リング
電極23にイオン閉じ込めるための高周波が印加された
まま,ゲート電極30に差動排気部のイオン取り出し細
孔7よりも高い電圧が印加されると,イオンはゲート電
極30を通過できなくなるのでイオントラップへのイオ
ンの流入が止まる。イオントラップ内部には所定の圧力
のヘリウムガスが満たされており,イオントラップ内に
閉じ込められたイオンはヘリウムガスとの衝突により運
動エネルギーを失い,ポテンシャルの低いイオントラッ
プ中心部に集まる(図19B)。リング電極23に印加
される高周波電界の振幅を徐々に大きくすると,イオン
の質量を電荷で割った値が小さいイオンから順に軌道が
不安定になり,イオントラップ外に排出される(図19
C)。
【0030】この場合にも、イオン源側に位置するエン
ドキャップ電極のイオン取り込み口21にイオンを導入
する前に、イオントラップ質量分析部へのイオンの導入
の制御やイオントラップ質量分析部からの高周波電場の
影響をなくするためのゲート電極30を介して、スリッ
トによる微小液滴や中性粒子の除去とイオンの小幅な偏
向を組み合わせることにより、ノイズ低減に大きく貢献
する。特に、イオントラップ質量分析計では本発明は四
重極質量分析計の場合以上に有効となる。四重極質量分
析計では、質量分析部の取り込み口12は直径が3mm
程度と比較的大きい。従って、質量分析部の取り込み口
12での集束状態が悪い、すなわちイオンビームがこの
部分で広がってしまっていてもイオンの透過率の低下は
それほどおおきくない。しかし、イオントラップ質量分
析計では、内部での高周波電界の乱れをあまり大きくし
ないために、エンドキャップ電極に設けるイオンの取り
込み口はあまり大きくできない。通常、四重極質量分析
計の場合より小さく、直径が1.3mm程度となる。従
って、イオントラップ質量分析計では、イオンを従来の
ような方法で偏向した場合、取り込み口でイオンビーム
が広がっていると、イオンの取り込み口での集束状態が
悪いためイオンの透過率の低下が著しくなる。このよう
な観点からも、本発明をイオントラップ質量分析計に適
用することは非常に有効となる。
【0031】また、ここではイオンを偏向して集束する
のに、二重円筒型の静電レンズを使用しているが、図1
3に示すように、米国特許4,999,492に開示され
ているような別のタイプの偏向器20にとスリット9を
組み合わせることも有効である。ここで開示されている
偏向器20は図13に示すような形状をしている。この
ようなタイプの偏向器の前にスリットを設ければ、二重
円筒型の静電レンズの場合と同様な効果が出る。また、
この場合にも、図14(板状スリットを2枚用いた場
合)、図15(偏向する方向にスリットを設けた場合)
に示すような場合も考えられる。しかしながら,図13
から図15に示したタイプの偏向器を実際に設計する
と,次のような問題点が生じることが明らかとなった。
すなわち,この偏向器では,電極に印加する電位により
イオンを偏向させる電界を発生させるが,各々の電極が
遮蔽されていないため,各々の電極により発生する電界
が相互に干渉し複雑な電界分布となる。従って,イオン
の透過率の高い偏向器を作成するためには,電界の干渉
の効果を検討しなければならないが,複雑な形状を有す
る電極を複数使用する偏向器において干渉の効果を正確
に把握することは困難であった。図2に示した二重円筒
型の静電レンズでは,内筒電極に設けられた開口部から
内筒電極内に浸透する電界によりイオンを偏向,集束さ
せるが,各々の開口部は独立しており,開口部から浸透
した電界が相互に干渉することはない。従って,二重円
筒型の静電レンズは,イオンビームを偏向,集束させる
効果を容易に予測することができる点において,従来の
偏向器よりも優れている。
【0032】
【発明の効果】大気圧あるいはそれに準じる圧力下で試
料溶液から帯電液滴あるいはイオンを生成させるイオン
化部と、それを高真空下の質量分析部に導入するための
差動排気部と、イオンを取り込み質量分析し検出しデー
タ処理を行う質量分析部を有する質量分析計において、
差動排気部と質量分析部との間に設けたスリットによる
微小液滴、中性粒子、あるいは光子のカットと、質量分
析部導入直前でのイオンの小幅な偏向の組み合わせによ
り、シグナルを低下させることなくノイズを大幅に低減
し、検出下限の指標となるシグナルのノイズに対する比
を大幅に改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す装置の構成図。
【図2】スリット部分の拡大図。
【図3】スリットの意味を説明した概念図。
【図4】スリットの意味を説明した概念図。
【図5】スリットの意味を説明した概念図。
【図6】二重円筒静電レンズの概略図。
【図7】スリットがない場合の,イオンの偏向量とイオ
ン強度及びノイズレベルとの関係。
【図8】スリットを設けた場合の,イオンの偏向量とイ
オン強度及びノイズレベルとの関係。
【図9】本発明の効果を示す,ステロイドのトータルイ
オンクロマトグラム。
【図10】静電噴霧法を用いた本発明の一実施例を示す
装置の構成図。
【図11】本発明の効果を示す,ペプチドのトータルイ
オンクロマトグラム。
【図12】本発明の一実施例を示す装置の構成図。
【図13】本発明の一実施例を示す装置の構成図。
【図14】本発明の一実施例を示す装置の構成図。
【図15】本発明の一実施例を示す装置の構成図。
【図16】従来の装置の構成図。
【図17】従来の装置の構成図。
【図18】従来の装置の構成図。
【図19】イオントラップ質量分析計におけるリング電
極及びゲート電極に印加される電圧を示す図。
【符号の説明】
1−−−液体クロマトグラフ、2−−−配管、3−−−
霧化器、4−−−気化器、5−−−針電極、6−−−差
動排気部のイオン取り込み細孔、7−−−差動排気部の
イオン取り出し細孔、8−−−静電レンズ、9−−−ス
リット、10−−−内筒電極、11−−−外筒電極、1
2−−−質量分析部への取り込み口、13−−−質量分
析部、14−−−検出器、15−−−増幅器、16−−
−データ処理装置、17−−−荒引きポンプ、18−−
−高真空ポンプ、19−−−引き出しレンズ、20−−
−偏向器、21−−−エンドキャップ電極のイオン取り
込み細孔、22−−−エンドキャップ電極、23−−−
リング電極、24−−−イオン源、25−−−レンズ、
26−−−1組めの四重極、27−−−2組めの四重
極、28−−−3組めの四重極、29−−−金属製キャ
ピラリー、30−−−ゲート電極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鍋島 貴之 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 小泉 英明 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内

Claims (63)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶液試料を供給する試料供給器と,該試料
    溶液を霧化する霧化器と,霧化された該試料溶液中の所
    定の物質をイオン化し,電荷を帯びた粒子と中性粒子と
    からなる粒子流を形成するイオン発生器と,該粒子流を
    真空分析部へ導くための細孔と該細孔に電圧を印加する
    ための電源とからなる差動排気部と,該粒子流に含まれ
    る該電荷を帯びた粒子を集束するための集束レンズと,
    該電荷を帯びた粒子を偏向するための偏向器と,偏向さ
    れた該電荷を帯びた粒子の物理量を測定する質量分析器
    からなる質量分析装置であって,該集束レンズと該質量
    分析器との間に該粒子流の流路を制限する制限板を設け
    たことを特徴とする質量分析装置。
  2. 【請求項2】該制限板が該集束レンズに付加されて配置
    されたことを特徴とする請求項1記載の質量分析装置。
  3. 【請求項3】該制限板が該偏向器の内部に配置されたこ
    とを特徴とする請求項1記載の質量分析装置。
  4. 【請求項4】上記制限板が,上記集束レンズの焦点位置
    に設けられたことを特徴とする請求項1記載の質量分析
    装置。
  5. 【請求項5】上記制限板が,開口部を有する金属板であ
    ることを特徴とする請求項1記載の質量分析装置。
  6. 【請求項6】上記開口部が円形で,かつ内径が0.5ミリ
    メートルから5ミリメートルであることを特徴とする請
    求項5記載の質量分析装置。
  7. 【請求項7】上記制限板が,少なくとも一枚の金属板で
    あることを特徴とする請求項1記載の質量分析装置。
  8. 【請求項8】上記質量分析器が四重極型であることを特
    徴とする請求項1記載の質量分析装置。
  9. 【請求項9】上記質量分析器がイオントラップ型である
    ことを特徴とする請求項1記載の質量分析装置。
  10. 【請求項10】上記偏光器が上記電荷を帯びた粒子を重
    力とは異なる方向に偏向させることを特徴とする請求項
    1に記載の質量分析装置。
  11. 【請求項11】上記偏向器が,上記電荷を帯びた粒子を
    集束させる効果を有する静電レンズであることを特徴と
    する請求項1に記載の質量分析装置。
  12. 【請求項12】上記偏向器が上記電荷を帯びた粒子を集
    束させる効果を有する静電レンズであり,該静電レンズ
    が円筒形状を有する内側電極とその外部に配置された外
    側電極より構成され、該内側電極が該外側電極の電界を
    浸透させるための開口部を有することを特徴とする請求
    項1に記載の質量分析装置。
  13. 【請求項13】上記偏向器が上記電荷を帯びた粒子を集
    束させる効果を有する静電レンズであり,該静電レンズ
    が円筒形状を有する内側電極とその外部に配置された外
    側電極より構成され、該内側電極が該外側電極の電界を
    浸透させるための開口部を有し,かつ該外側電極が該内
    側電極の内部を排気するための開口部を有することを特
    徴とする請求項1に記載の質量分析装置。
  14. 【請求項14】溶液試料を供給する試料供給器と,該試
    料溶液を霧化する霧化器と,霧化された該試料溶液中の
    所定の物質をイオン化し,電荷を帯びた粒子と中性粒子
    とからなる粒子流を形成するイオン発生器と,該粒子流
    を真空分析部へ導くための細孔と該細孔に電圧を印加す
    るための電源とからなる差動排気部と,該粒子流に含ま
    れる該電荷を帯びた粒子を集束するための集束レンズ
    と,該電荷を帯びた粒子を偏向するための偏向器と,偏
    向された該電荷を帯びた粒子の物理量を測定するイオン
    トラップ質量分析器からなる質量分析装置であって,該
    集束レンズと該イオントラップ質量分析器との間に該粒
    子流の流路を制限する制限板を設けたことを特徴とする
    質量分析装置。
  15. 【請求項15】該制限板が該集束レンズに付加されて配
    置されたことを特徴とする請求項14記載の質量分析装
    置。
  16. 【請求項16】該制限板が該偏向器の内部に配置された
    ことを特徴とする請求項14記載の質量分析装置。
  17. 【請求項17】上記制限板が,上記集束レンズの焦点位
    置に設けられたことを特徴とする請求項14記載の質量
    分析装置。
  18. 【請求項18】上記制限板が,開口部を有する金属板で
    あることを特徴とする請求項14記載の質量分析装置。
  19. 【請求項19】上記開口部が円形で,かつの内径が0.5
    ミリメートルから5ミリメートルであることを特徴とす
    る請求項18記載の質量分析装置。
  20. 【請求項20】上記制限板が,少なくとも一枚の金属板
    であることを特徴とする請求項14記載の質量分析装
    置。
  21. 【請求項21】上記偏光器が上記電荷を帯びた粒子を重
    力とは異なる方向に偏向させることを特徴とする請求項
    14に記載の質量分析装置。
  22. 【請求項22】上記偏向器が,上記電荷を帯びた粒子を
    集束させる効果を有する静電レンズであることを特徴と
    する請求項14に記載の質量分析装置。
  23. 【請求項23】上記偏向器が上記電荷を帯びた粒子を集
    束させる効果を有する静電レンズであり,該静電レンズ
    が円筒形状を有する内側電極とその外部に配置された外
    側電極より構成され、該内側電極が該外側電極の電界を
    浸透させるための開口部を有することを特徴とする請求
    項14に記載の質量分析装置。
  24. 【請求項24】上記偏向器が上記電荷を帯びた粒子を集
    束させる効果を有する静電レンズであり,該静電レンズ
    が円筒形状を有する内側電極とその外部に配置された外
    側電極より構成され、該内側電極が該外側電極の電界を
    浸透させるための開口部を有し,かつ該外側電極が該内
    側電極の内部を排気するための開口部を有することを特
    徴とする請求項14に記載の質量分析装置。
  25. 【請求項25】溶液試料に含まれる物質を分離する液体
    クロマトグラフと,該液体クロマトグラフからの溶液を
    霧化する霧化器と,霧化された該試料溶液中の所定の物
    質をイオン化し,電荷を帯びた粒子と中性粒子とからな
    る粒子流を形成するイオン発生器と,該粒子流を真空分
    析部へ導くための細孔と該細孔に電圧を印加するための
    電源とからなる差動排気部と,該粒子流に含まれる該電
    荷を帯びた粒子を集束するための集束レンズと,該電荷
    を帯びた粒子を偏向するための偏向器と,偏向された該
    電荷を帯びた粒子の物理量を測定する質量分析器からな
    る液体クロマトグラフ/質量分析装置であって,該集束
    レンズと該質量分析器との間に該粒子流の流路を制限す
    る制限板を設けたことを特徴とする液体クロマトグラフ
    /質量分析装置。
  26. 【請求項26】該制限板が該集束レンズに付加されて配
    置されたことを特徴とする請求項25記載の液体クロマ
    トグラフ/質量分析装置。
  27. 【請求項27】該制限板が該偏向器の内部に配置された
    ことを特徴とする請求項25記載の液体クロマトグラフ
    /質量分析装置。
  28. 【請求項28】上記制限板が,上記集束レンズの焦点位
    置に設けられたことを特徴とする請求項25記載の液体
    クロマトグラフ/質量分析装置。
  29. 【請求項29】上記制限板が,開口部を有する金属板で
    あることを特徴とする請求項25記載の液体クロマトグ
    ラフ/質量分析装置。
  30. 【請求項30】上記開口部が円形で,かつの内径が0.5
    ミリメートルから5ミリメートルであることを特徴とす
    る請求項29記載の液体クロマトグラフ/質量分析装
    置。
  31. 【請求項31】上記制限板が,少なくとも一枚の金属板
    であることを特徴とする請求項25記載の液体クロマト
    グラフ/質量分析装置。
  32. 【請求項32】上記質量分析器が四重極型であることを
    特徴とする請求項25記載の液体クロマトグラフ/質量
    分析装置。
  33. 【請求項33】上記質量分析器がイオントラップ型であ
    ることを特徴とする請求項25記載の液体クロマトグラ
    フ/質量分析装置。
  34. 【請求項34】上記偏光器が上記電荷を帯びた粒子を重
    力とは異なる方向に偏向させることを特徴とする請求項
    25記載の液体クロマトグラフ/質量分析装置。
  35. 【請求項35】上記偏向器が,上記電荷を帯びた粒子を
    集束させる効果を有する静電レンズであることを特徴と
    する請求項25記載の液体クロマトグラフ/質量分析装
    置。
  36. 【請求項36】上記偏向器が上記電荷を帯びた粒子を集
    束させる効果を有する静電レンズであり,該静電レンズ
    が円筒形状を有する内側電極とその外部に配置された外
    側電極より構成され、該内側電極が該外側電極の電界を
    浸透させるための開口部を有することを特徴とする請求
    項25記載の液体クロマトグラフ/質量分析装置。
  37. 【請求項37】上記偏向器が上記電荷を帯びた粒子を集
    束させる効果を有する静電レンズであり,該静電レンズ
    が円筒形状を有する内側電極とその外部に配置された外
    側電極より構成され、該内側電極が該外側電極の電界を
    浸透させるための開口部を有し,かつ該外側電極が該内
    側電極の内部を排気するための開口部を有することを特
    徴とする請求項25記載の液体クロマトグラフ/質量分
    析装置。
  38. 【請求項38】溶液試料に含まれる物質を分離するキャ
    ピラリー泳動装置と,該キャピラリー泳動装置からの溶
    液を霧化する霧化器と,霧化された該試料溶液中の所定
    の物質をイオン化し,電荷を帯びた粒子と中性粒子とか
    らなる粒子流を形成するイオン発生器と,該粒子流を真
    空分析部へ導くための細孔と該細孔に電圧を印加するた
    めの電源とからなる差動排気部と,該粒子流に含まれる
    該電荷を帯びた粒子を集束するための集束レンズと,該
    電荷を帯びた粒子を偏向するための偏向器と,偏向され
    た該電荷を帯びた粒子の物理量を測定する質量分析器か
    らなるキャピラリー泳動/質量分析装置であって,該集
    束レンズと該質量分析器との間に該粒子流の流路を制限
    する制限板を設けたことを特徴とするキャピラリー泳動
    /質量分析装置。
  39. 【請求項39】該制限板が該集束レンズに付加されて配
    置されたことを特徴とする請求項38記載のキャピラリ
    ー泳動/質量分析装置。
  40. 【請求項40】該制限板が該偏向器の内部に配置された
    ことを特徴とする請求項38記載のキャピラリー泳動/
    質量分析装置。
  41. 【請求項41】上記制限板が,上記集束レンズの焦点位
    置に設けられたことを特徴とする請求項38記載のキャ
    ピラリー泳動/質量分析装置。
  42. 【請求項42】上記制限板が,開口部を有する金属板で
    あることを特徴とする請求項38記載のキャピラリー泳
    動/質量分析装置。
  43. 【請求項43】上記開口部が円形で,かつの内径が0.5
    ミリメートルから5ミリメートルであることを特徴とす
    る請求項42記載のキャピラリー泳動/質量分析装置。
  44. 【請求項44】上記制限板が,少なくとも一枚の金属板
    であることを特徴とする請求項38記載のキャピラリー
    泳動/質量分析装置。
  45. 【請求項45】上記質量分析器が四重極型であることを
    特徴とする請求項38記載のキャピラリー泳動/質量分
    析装置。
  46. 【請求項46】上記質量分析器がイオントラップ型であ
    ることを特徴とする請求項38記載のキャピラリー泳動
    /質量分析装置。
  47. 【請求項47】上記偏光器が上記電荷を帯びた粒子を重
    力とは異なる方向に偏向させることを特徴とする請求項
    38記載のキャピラリー泳動/質量分析装置。
  48. 【請求項48】上記偏向器が,上記電荷を帯びた粒子を
    集束させる効果を有する静電レンズであることを特徴と
    する請求項38記載のキャピラリー泳動/質量分析装
    置。
  49. 【請求項49】上記偏向器が上記電荷を帯びた粒子を集
    束させる効果を有する静電レンズであり,該静電レンズ
    が円筒形状を有する内側電極とその外部に配置された外
    側電極より構成され、該内側電極が該外側電極の電界を
    浸透させるための開口部を有することを特徴とする請求
    項38記載のキャピラリー泳動/質量分析装置。
  50. 【請求項50】上記偏向器が上記電荷を帯びた粒子を集
    束させる効果を有する静電レンズであり,該静電レンズ
    が円筒形状を有する内側電極とその外部に配置された外
    側電極より構成され、該内側電極が該外側電極の電界を
    浸透させるための開口部を有し,かつ該外側電極が該内
    側電極の内部を排気するための開口部を有することを特
    徴とする請求項38記載のキャピラリー泳動/質量分析
    装置。
  51. 【請求項51】溶液試料を供給する試料供給器と,該試
    料溶液を霧化する霧化器と,霧化された該試料溶液中の
    所定の物質をイオン化し,電荷を帯びた粒子と中性粒子
    とからなる粒子流を形成するイオン発生器と,該粒子流
    を真空分析部へ導くための細孔と該細孔に電圧を印加す
    るための電源とからなる差動排気部と,該粒子流に含ま
    れる該電荷を帯びた粒子を集束するための集束レンズ
    と,該電荷を帯びた粒子を偏向するための偏向器と,偏
    向された該電荷を帯びた粒子の物理量を測定するイオン
    トラップ質量分析器からなる質量分析装置であって,該
    集束レンズと該イオントラップ質量分析器との間に該粒
    子流の流路を制限する制限板を設け,かつ該偏光器と該
    イオントラップ質量分析器との間に電荷を帯びた粒子を
    制御するためのゲート電極を設けたことを特徴とする質
    量分析装置。
  52. 【請求項52】該制限板が該集束レンズに付加されて配
    置されたことを特徴とする請求項51記載の質量分析装
    置。
  53. 【請求項53】該制限板が該偏向器の内部に配置された
    ことを特徴とする請求項51記載の質量分析装置。
  54. 【請求項54】溶液試料を供給する試料供給器と,該試
    料溶液を霧化する霧化器と,霧化された該試料溶液中の
    所定の物質をイオン化し,電荷を帯びた粒子と中性粒子
    とからなる粒子流を形成するイオン発生器と,該粒子流
    を真空分析部へ導くための細孔と該細孔に電圧を印加す
    るための電源とからなる差動排気部と,該粒子流に含ま
    れる該電荷を帯びた粒子を集束するための集束レンズ
    と,該電荷を帯びた粒子を偏向するための偏向器と,偏
    向された該電荷を帯びた粒子の物理量を測定する質量分
    析器からなる質量分析装置であって,該集束レンズと該
    偏向器との間に該粒子流の流路を制限する制限板を設
    け,該制限板を所定の電位に保つ電源を有することを特
    徴とする質量分析装置。
  55. 【請求項55】該制限板が該集束レンズに付加されて配
    置されたことを特徴とする請求項54記載の質量分析装
    置。
  56. 【請求項56】該制限板が該偏向器の内部に配置された
    ことを特徴とする請求項54記載の質量分析装置。
  57. 【請求項57】試料溶液中の所定の物質をイオン化する
    イオン源と,該所定物質のイオンを偏向させ集束させる
    ための静電レンズと,該イオンの流路を制限する制限板
    と,該イオンを質量分析する質量分析器とからなる質量
    分析装置。
  58. 【請求項58】上記イオン源が,プラズマにより上記所
    定の物質をイオン化するイオン源であることを特徴とす
    る請求項57記載の質量分析装置。
  59. 【請求項59】上記イオン源が,化学反応により上記所
    定の物質をイオン化するイオン源であることを特徴とす
    る請求項57記載の質量分析装置。
  60. 【請求項60】上記イオン源が,上記試料溶液を霧化さ
    せることにより上記所定の物質をイオン化するイオン源
    であることを特徴とする請求項57記載の質量分析装
    置。
  61. 【請求項61】試料をイオン化するイオン生成器と,生
    成された該試料のイオンを偏向させ集束させる静電レン
    ズと,該イオンの流路を制限する制限板と,該イオンを
    質量分析する質量分析器からなる質量分析装置。
  62. 【請求項62】試料をイオン化する工程と,静電レンズ
    を用いて該イオンを偏向させ集束させる工程と,該イオ
    ンの流路を制限する工程と,該イオンを質量分析する工
    程とからなる分析方法。
  63. 【請求項63】溶液試料を準備する工程と,該試料溶液
    中の所定の物質を分離する工程と,分離された該所定物
    質を含む溶液を霧化する工程と,霧化された該所定物質
    のイオンを含む粒子流を形成する工程と,該粒子流に含
    まれる該イオンを集束させる工程と,該粒子流の流路を
    制限する工程と,該イオンの軌道を偏向する工程と,該
    イオンを質量分析する工程とからなることを特徴とする
    分析方法。
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