JPH07130325A - 質量分析装置 - Google Patents

質量分析装置

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JPH07130325A
JPH07130325A JP5272341A JP27234193A JPH07130325A JP H07130325 A JPH07130325 A JP H07130325A JP 5272341 A JP5272341 A JP 5272341A JP 27234193 A JP27234193 A JP 27234193A JP H07130325 A JPH07130325 A JP H07130325A
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JP
Japan
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barrier member
ion
mass spectrometer
sample molecules
lens system
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JP5272341A
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English (en)
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Yasuaki Takada
安章 高田
Minoru Sakairi
実 坂入
Tsudoi Hirabayashi
集 平林
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】信号対雑音比悪化の原因となる雑音粒子(大粒
の帯電液滴や光子など)が質量分析器に入り込むのを防
止すること。 【構成】イオン化試料分子と共に装置本体内に入り込ん
だ雑音粒子のうち、イオン収束用静電レンズ系の光軸付
近を直進する一部の雑音粒子を障壁部材を用いて選択的
に遮断する。障壁部材は、イオン収束用静電レンズ系の
光軸上における試料分子の密度が低い区域に配設する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、質量分析装置、特に生
体関連物質の質量分析等に使用して好適な質量分析装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液体クロマトグラフは、溶液中に混合物
として存在する試料分子の分離機能において優れている
反面、試料分子の同定が困難であるという点で問題があ
る。一方、質量分析装置は、高い感度で試料分子を同定
する機能において優れている反面、溶液中の試料分子の
分離が出来ない点で問題がある。このため、水等の溶媒
中に溶かし込んだ生体関連物質(糖やペプチド、蛋白質
など)を質量分析する場合は、質量分析装置に液体クロ
マトグラフを組み合わせて使用するのが普通である。
【0003】液体クロマトグラフを用いて分離した試料
分子を質量分析装置に掛けるためには、溶液中の試料分
子を何等かの方法でイオン化することが必要であり、そ
のための手段として、静電噴霧法〔「アナリティカル・
ケミストリー」(AnalyticalChemistry)第59巻(1
987年)第2642頁〜第2646頁参照〕、大気圧
化学イオン化法〔同文献の第60巻(1988年)第7
74頁〜第780頁参照〕、大気圧スプレー法〔同文献
の第61巻(1989年)第1159頁〜第1164頁
参照〕などが知られている。
【0004】代表的なイオン化の手段である静電噴霧法
を用いたイオン源の一例を図12に示す。本例では、液
体クロマトグラフLCから溶出した試料溶液を例えば配
管2及びコネクタ10を介して試料溶液供給細管11内
に導入する。細管11の周囲には、適当な間隙を置いて
霧化用ガス供給管13が同軸状に配設されており、同管
に例えば窒素ガスを供給して先端から噴出させることに
よって試料溶液を霧化する。一方、質量分析装置MSの
外壁に設けた対向電極12と試料溶液供給細管11との
間には、数キロボルトの高電圧が印加されており、当該
電圧によって細管11の先端付近に形成された集中電界
を用いて試料分子をイオン化する。イオン化された試料
分子は、イオン通過口14及びイオン導入細孔15を通
って質量分析装置MSの内部に進入する。質量分析装置
MSの外壁と対向電極12との間の空間には、水などの
溶媒の気化を促進するため、例えば窒素ガスを供給して
おくのが普通である。
【0005】この種のイオン源では、霧化不充分な大粒
の帯電液滴が不可避的に派生し、イオン化試料分子と共
に質量分析装置MSの内部に入り込むことを防止するこ
とが出来ない。帯電液滴は、その質量が試料分子に比較
して格段に大きいため、質量分析装置MS内のイオン収
束用静電レンズ系(図示せず)の作用を実質的に受けな
いでその殆どが周囲に拡散する。しかし、拡散しないで
静電レンズ系の光軸付近を直進した一部の帯電液滴は、
そのまま質量分析器(図示せず)に取り込まれて雑音成
分として検出される結果、S/N比(信号対雑音比)を
悪化させる主な原因となる。試料分子のイオン化手段と
して大気圧化学イオン化法又は大気圧スプレー法による
イオン源を用いた場合も、同様である。
【0006】類似の現象は、誘導結合型プラズマイオン
源やマイクロ波プラズマイオン源を用いた質量分析装置
においても起こり得る。プラズマイオン源は、例えばマ
イクロ波放電を用いて発生させたプラズマ中に気体又は
固体の試料分子を送り込んでイオン化するものである
が、プラズマの生成に付随して紫外線等の光子が不可避
的に派生し、当該光子が雑音粒子として質量分析装置内
に入り込むからである。質量分析装置内に入り込んだ光
子は、帯電液滴の場合と同様、イオン収束用静電レンズ
系の作用を実質的に受けないため、その殆どが周囲に拡
散するが、拡散しないで静電レンズ系の光軸付近を直進
した一部の光子は、そのまま質量分析器に取り込まれて
雑音成分として検出され、S/N比を悪化させる主な原
因となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、比較
的簡単な構造により、分析対象でない不所望な雑音粒子
の混入によるS/N比の低下を効率的に防止することが
出来る改良された質量分析装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の前記課題は、イ
オン化試料分子と共に装置本体内に入り込んだ雑音粒子
のうち、イオン収束用静電レンズ系の光軸付近を直進す
る一部の雑音粒子を選択的に遮断するための障壁部材を
採用することによって解決することが可能である。障壁
部材は、分析対象であるイオン化試料分子の進行を妨げ
ないよう、静電レンズ系の光軸上における試料分子の密
度が低い区域に配設することが必要である。
【0009】試料分子の低密度区域は、装置本体内への
イオン導入細孔とイオン収束用静電レンズ系との間や、
質量分析器へのイオン取込口とイオン収束用静電レンズ
系との間に存在するほか、一又は複数の静電レンズをも
ってイオン収束用静電レンズ系を構成した場合は、個々
の静電レンズの内部に存在し、かつ、複数の静電レンズ
をもってイオン収束用静電レンズ系を構成した場合は、
静電レンズの相互間に存在する。障壁部材は、これらの
低密度区域のうち、個々の分析目的に合致した適当な区
域を選んで配設することが可能である。
【0010】障壁部材の有効作動領域は、帯電液滴や光
子などの雑音粒子が直進して質量分析器に入り込むのを
有効に遮断し、かつ、イオン化試料分子の進行を出来る
だけ阻害しないため、イオン導入細孔を頂面、イオン取
込口を底面とする錐体が障壁部材設置場所において形成
する断面のみを遮断する程度の形状及び面積を有するも
のであることが望ましい。
【0011】
【作用】イオン収束用静電レンズ系の光軸上に存在する
試料分子の低密度区域に障壁部材を配設することによ
り、当該静電レンズ系の光軸付近を質量分析器に向かっ
て直進する不所望の雑音粒子をほぼ完全に遮断し、これ
らの雑音粒子によるS/N比の悪化を効率的に防止する
ことが出来る。一方、質量分析の対象であるイオン化試
料分子は、障壁部材を迂回するような形で静電レンズ系
によって収束されるため、障壁部材の設置が質量分析の
感度に実質的な影響を与えることはない。
【0012】もっとも、障壁部材を電気的な浮遊状態で
使用すると、不測の帯電効果等によって電位が不安定と
なり、近傍を通過する試料分子の軌道が不所望に変化す
る可能性があるため、その電位を他の部材と独立して制
御するための手段を設けることが望ましく、かつ、帯電
液滴等の付着による汚染を軽減するため、障壁部材を加
熱するための手段を設け、同部材を加熱して所定の温度
に保持することが望ましい。また、障壁部材は、その電
位制御又は温度制御を容易にするため、金属などの導電
性材料をもって構成することが望ましい。
【0013】本発明の質量分析装置は、液体クロマトグ
ラフ、キャピラリー電気泳動法(内径数10μmの毛細
管中を電気泳動させて試料を分離する方法)、超臨界流
体クロマトグラフ(液相と気相の平衡状態の下で分離を
行う方法)などと組み合わせて使用することが出来るほ
か、誘導結合型プラズマイオン源やマイクロ波プラズマ
イオン源などのイオン源と組み合わせて使用することも
可能である。なお、液体クロマトグラフ等を用いて分離
した試料分子をイオン化する手段としては、静電噴霧
法、大気圧化学イオン化法、大気圧スプレー法などを適
宜選択して使用することが出来る。
【0014】
【実施例】以下、図面に示した実施例を参照して本発明
に係る質量分析装置を更に詳細に説明する。なお、各図
において共通して使用した同一の符号は、原則として同
一物又は類似物を表示するものとする。
【0015】〈実施例1〉図1におけるイオン源3は、
前述の静電噴霧法を用いたものであり、液体クロマトグ
ラフ(図示せず)によって分離処理した試料溶液を霧化
して溶液中の試料分子をイオン化した後、質量分析装置
MSの中間真空室19内に送り込むように機能する。中
間真空室19は、その前後の壁が加速電極29a,29
bとなっており、前段の加速電極29aに設けたイオン
導入細孔15aを通って中間真空室19に送り込まれた
試料分子は、同室内の静電界によって加速され、かつ、
気体分子との衝突によって水などの溶媒が取り除かれた
後、後段の加速電極29bに設けたイオン導入細孔15
bを通って高真空室24(装置本体)内に取り込まれ
る。詳細図示せざるも、イオン導入細孔15a,15b
の汚染を防ぐため、ヒーターによって加速電極29a,
29bを加熱し、その温度を100℃程度に保持した。
【0016】イオン導入細孔15bから装置本体24内
に放射状に進入したイオン化試料分子は、2個の静電レ
ンズ20a,20bからなるイオン収束用静電レンズ系
20を用いて収束され、かつ、イオン取込口22を介し
て四重極型質量分析器6に取り込まれて質量分離された
後、イオン検出器8によって検出される。静電レンズ2
0a,20bは、最適のレンズ作用を実現するため、そ
れぞれ独立した制御回路40a及び40bを有するもの
を使用した。質量分析器6は、外部電磁界による影響を
少なくするため、イオン取込口22を有する電極29c
と金属円筒23をもって遮蔽し、その全体を電気的に接
地した。本実施例の場合、雑音粒子である帯電液滴を遮
断するための障壁部材21は、2個の静電レンズ20
a,20bの相互間の光軸上に配設した。
【0017】装置本体24内に進入したイオン化試料分
子は、静電レンズ20a,20bによるレンズ作用を受
け、障壁部材21を迂回するような軌道(実線50)を
辿って質量分析器8に到達する。試料分子と共に装置本
体24内に入り込んだ帯電液滴は、静電レンズ20a,
20bによるレンズ作用を実質的に受けないため、点線
51で示すように放射状に直進し、その殆どが周囲の空
間に拡散するが、一部の帯電液滴は、静電レンズ系20
の光軸付近を直進し、障壁部材21に衝突して捕捉され
る。なお、帯電液滴の衝突によって生ずる汚染を軽減す
るため、ヒーター45及びヒーター電源4eからなる加
熱手段を設け、当該加熱手段によって障壁部材21を加
熱して所定の温度に保持した。
【0018】障壁部材21の有効作動領域は、イオン導
入細孔15bからイオン取込口22に向かって直進する
帯電液滴を有効に遮断するため、イオン導入細孔15b
を頂面、イオン取込口22を底面とする錐体が障壁部材
設置箇所において有する断面を遮断する形状及び面積と
なるように配慮した。また、障壁部材21は、その近傍
を通過するイオン化試料分子が同部材の電位に影響され
てその軌道が不所望に変化することを防止するため、金
属材料をもって形成するとともに、電源4dに接続し、
質量分析装置の他の構成部材とは独立して電位の制御が
出来るようにした。
【0019】イオン収束用静電レンズ系20は、図2に
示した公知の2個の円筒型静電レンズ(特開平2−78
143号公報参照)を組み合わせて構成した。この静電
レンズは、複数の開口を有する円筒状の内部電極31a
とその外側に配置した同じく円筒状の外部電極31bを
もって構成されており、内部電極31aの開口から浸透
する静電界によってイオン化試料分子を収束するもので
ある。外部電極31bは、必ずしも円筒状である必要は
なく、内部電極31aの開口の外側に任意の形状の電極
を組み合わせて配置することも可能である。また、イオ
ン収束用静電レンズ系を構成する静電レンズとしては、
円筒型静電レンズのほか、図3に示した公知のアインツ
ェルレンズを使用することも可能である。
【0020】本発明の質量分析装置において使用して好
適な障壁部材21の具体例を図4に示す。この障壁部材
は、薄い金属板を放電加工又はエッチング加工すること
によって作製したものであり、有効作動領域として機能
する宙吊りの障壁本体部21aと、装置への取付部材と
して機能するリング部34と、障壁本体部21aをリン
グ部34に連結して保持するための橋絡部33から構成
されている。このような構造を採用すると、リング部3
4に電位を印加することにより、障壁本体部21aの電
位を任意に制御することが可能となる。なお、イオン化
試料分子の進行が阻害されることがないよう、橋絡部3
3は、出来るだけ細く形成することが望ましく、リング
部34も、出来るだけ大口径を有するように形成するこ
とが望ましい。橋絡部33の数は、必要に応じて複数個
設けても良い。
【0021】図5は、図4に示した障壁部材を2個の円
筒型静電レンズの一方に固定することによって構成した
イオン収束用静電レンズ系の具体例を示す。2個の静電
レンズ20a,20bは、内側円筒電極31aと外側円
筒電極31bとが絶縁材35を介して同軸状に連結され
た構造となっており、右側の静電レンズ20bの絶縁材
35の内壁面に障壁部材21のリング部34が装着され
ている。配線100aは、障壁部材21に所定の電位を
付与するためのものであって、その一端は半田付け等に
手段によってリング部34に接続し、その他端は電位制
御電源4d(図1参照)に接続する。図6は、障壁部材
21を加熱するための手段を追加した具体例を示すもの
で、セラミックヒーター45が障壁部材21のリング部
34と絶縁材35との間に介挿されている。配線100
bは、ヒーター45へ電力を供給するためのものであっ
て、その一端は絶縁材35に設けた導孔を介してヒータ
ー45に接続し、その他端は加熱電源4e(図1参照)
に接続する。
【0022】本発明者等は、上記のように障壁部材を配
設した質量分析装置を用いて生体関連物質の分析を実際
に行なった結果、障壁部材を有しない従来構造の質量分
析計に比較し、雑音成分が1/100程度に軽減するこ
と及び質量分析の感度が数十倍向上することを確認し
た。
【0023】〈実施例2〉実施例1では、2個の静電レ
ンズを用いてイオン収束用静電レンズ系を構成したが、
この種の静電レンズ系は、1個又は3個以上の静電レン
ズを用いて構成することも可能である。1個の静電レン
ズを用いてイオン収束用静電レンズ系を構成した場合の
実施例を図7に示す。本実施例では、イオン導入細孔1
5bに面する静電レンズ20の外部に障壁部材21が配
設されている。障壁部材21は、イオン取込口22に面
する静電レンズ20の外部に配設することも可能であ
り、そのような変形例を図8に示す。1個の静電レンズ
を用いてイオン収束用静電レンズ系を構成する場合は、
図7及び図8から推察されるように、静電レンズ20か
らはみ出して障壁部材21を設置した分だけ、障壁部材
21と衝突するイオン化試料分子が多くなり、S/N比
の改善効果が若干減少するが、静電レンズが1個のみで
あるため、装置の構成を簡単にすることが出来る。な
お、障壁部材を静電レンズの内部に配設した構造を採用
すれば、2個の静電レンズの相互間に障壁部材を配設し
た場合と同等のS/N比の改善効果を期待することが可
能である。
【0024】〈実施例3〉図9は、本発明に係る質量分
析装置の別の実施例を示す断面図である。本実施例で
は、第1段のイオン収束用静電レンズ系として機能する
アインツェルレンズ型静電レンズ20cをイオン導入細
孔15bの直後に配置し、その後段に、2個の円筒型静
電レンズ20a,20bからなる第2段のイオン収束用
静電レンズ系20を配置した。障壁部材21は、実施例
1の場合と同様、2個の円筒型静電レンズ20a,20
bの相互間の光軸上に配置した。
【0025】イオン導入細孔15bから進入したイオン
化試料分子は、第1段のイオン収束用静電レンズ系(ア
インツェルレンズ型静電レンズ20c)のレンズ作用に
よって中間収束点32に一旦収束した後、拡散して第2
段のイオン収束用静電レンズ系20に進入し、同静電レ
ンズ系のレンズ作用によって再度収束されて質量分析器
6に到達する。本実施例の場合も、障壁部材21によっ
て静電液滴を効果的に阻止することが可能であり、静電
液滴による雑音の発生を少なくすることが出来た。
【0026】〈実施例4〉イオントラップ型の質量分析
器〔「アナリティカル・ケミストリー」第63巻(19
91年)第375頁〜第360頁参照〕を用いた本発明
の実施例を図10に示す。質量分析器6は、2個のエン
ドキャップ電極27a,27bと、両電極の周囲を囲む
ように配置したリング電極28をもって構成されてお
り、質量分析は、高周波電界によってイオン化試料分子
を狭い空間に閉じ込めて行なう。障壁部材21は、実施
例1の場合と同様、2個の静電レンズ20a,20bの
間に設置した。
【0027】イオントラップ型質量分析器の場合、トラ
ップ内に進入した不所望な帯電液滴は、周囲の電極に当
たって気化して中性ガスを発生させ、真空度を低下させ
る原因となる。トラップ内の真空度が低下すると、試料
分子が中性ガスと衝突して軌道が変化するため、試料分
子の閉じ込め効果が悪くなる。従って、本発明による障
壁部材の設置は、トラップ内の真空度を低下させる原因
を排除する観点からも極めて有利である。
【0028】〈実施例5〉マイクロ波プラズマイオン源
と組み合わせた本発明の別の実施例を図11に示す。こ
の実施例では、発振部25において発生させたマイクロ
波を伝送路26を介してイオン源3に送り、同イオン源
内に設けた共振器内で放電させてプラズマを発生した。
当該プラズマ中に固体状又は気体状の試料分子を導入し
てイオン化し、イオン化試料分子としてイオン導入細孔
15a、15bを通して装置本体の高真空中に導入し
た。プラズマから放射される紫外線等の光子は、2個の
静電レンズの相互間の光軸上に設置した障壁部材21に
よって遮断し、イオン取込口22から質量分析器6に進
入するのを防止した。イオン化試料分子は、静電レンズ
20a、20bのレンズ作用によって障壁21を迂回さ
せ、イオン取込口22から四重極型質量分析器6に導入
し、高周波電界によって質量分離した後、特定の質量を
有する試料分子をイオン検出器8によって検出した。
【0029】本実施例の場合も、障壁部材21を配置す
ることにより、プラズマから放射される紫外線等の光子
が雑音粒子としてイオン検出器8まで到達するのを有効
に防止することが出来た。この種の効果は、誘導結合型
プラズマイオン源を使用した質量分析装置においても、
当然、期待することが可能である。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、障壁部材をイオン収束
用静電レンズの光軸上に配設することにより、S/N比
悪化の原因となる雑音粒子(大粒の帯電液滴や光子)が
質量分析器に入り込むことを効率的に防止し、イオン化
試料分子のみを効率良く質量分析器に導入することが可
能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る質量分析装置の第1の実施例を示
す断面図。
【図2】本発明に係る質量分析装置において使用する静
電レンズの一例(円筒型静電レンズ)を示す断面図。
【図3】本発明に係る質量分析装置において使用する静
電レンズの別の一例(アインツェルレンズ)を示す断面
図。
【図4】本発明に係る質量分析装置において使用する障
壁部材の具体例を示す図。
【図5】図4に示した障壁部材の取付例を示す断面図。
【図6】図4に示した障壁部材の別の取付例を示す断面
図。
【図7】本発明に係る質量分析装置の第2の実施例を示
す断面図。
【図8】前記第2の実施例の変形例を示す断面図。
【図9】本発明の質量分析装置の第3の実施例を示す一
断面図。
【図10】本発明の質量分析装置の第4の実施例を示す
一断面図。
【図11】本発明の質量分析装置の第5の実施例を示す
一断面図。
【図12】従来の質量分析装置を示す断面図。
【符号の説明】
1…液体クロマトグラフ、 3…イオン源、 6…質量分析器、 8…イオン検出器、 15…イオン導入細孔、 20…イオン収束用静電レンズ系、 21…障壁部材、21a…障壁本体部、 22…イオン取込口、 33…橋絡部、 34…リング部。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】分析対象である試料分子をイオン化して装
    置本体内に導入するためのイオン源と、装置本体内に導
    入された試料分子を収束するための静電レンズ系と、収
    束された試料分子を取り込んで分析するための質量分析
    器とを少なくとも備えた質量分析装置において、イオン
    化試料分子と共に装置本体内に入り込んだ雑音粒子のう
    ち、イオン収束用静電レンズ系の光軸付近を直進する一
    部の雑音粒子を選択的に遮断するための障壁部材を静電
    レンズ系の光軸上における試料分子の密度が低い区域に
    配設したことを特徴とする質量分析装置。
  2. 【請求項2】装置本体内へのイオン導入細孔(イオン化
    試料分子を導入するための細孔。以下同じ。)とイオン
    収束用静電レンズ系との間に存在する試料分子の低密度
    区域に前記障壁部材を設置したことを特徴とする請求項
    1に記載の質量分析装置。
  3. 【請求項3】質量分析器へのイオン取込口(イオン化試
    料分子を取り込むための開口。以下同じ。)とイオン収
    束用静電レンズ系との間に存在する試料分子の低密度区
    域に前記障壁部材を設置したことを特徴とする請求項1
    に記載の質量分析装置。
  4. 【請求項4】イオン収束用静電レンズ系を構成する一又
    は複数の静電レンズの内部に存在する試料分子の低密度
    区域に前記障壁部材を設置したことを特徴とする請求項
    1記載の質量分析装置。
  5. 【請求項5】イオン収束用静電レンズ系を構成する複数
    の静電レンズの相互間に存在する試料分子の低密度区域
    に前記障壁部材を設置したことを特徴とする請求項1記
    載の質量分析装置。
  6. 【請求項6】導電性材料をもって前記障壁部材を構成し
    たことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一に
    記載の質量分析装置。
  7. 【請求項7】前記障壁部材を加熱するための手段を設け
    たことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一に
    記載の質量分析装置。
  8. 【請求項8】前記障壁部材の電位を制御するための手段
    を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれ
    か一に記載の質量分析装置。
  9. 【請求項9】前記障壁部材の有効作動領域は、イオン導
    入細孔を頂面、イオン取込口を底面とする錐体が障壁部
    材設置場所において形成する断面を遮断するのに必要な
    形状及び面積を有することを特徴とする請求項1〜請求
    項8のいずれか一に記載の質量分析装置。
  10. 【請求項10】前記障壁部材は、有効作動領域として機
    能する宙吊りの障壁本体部と、装置への取付部材として
    機能するリング部と、障壁本体部を前記リング部に連結
    保持するための一又は複数の橋絡部からなることを特徴
    とする請求項1〜請求項9のいずれか一に記載の質量分
    析装置。
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