JPH09126012A - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents

内燃機関の空燃比制御装置

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JPH09126012A
JPH09126012A JP29007195A JP29007195A JPH09126012A JP H09126012 A JPH09126012 A JP H09126012A JP 29007195 A JP29007195 A JP 29007195A JP 29007195 A JP29007195 A JP 29007195A JP H09126012 A JPH09126012 A JP H09126012A
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JP
Japan
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fuel ratio
air
control
sensor
catalyst
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JP29007195A
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English (en)
Inventor
Akio Kunimasa
愛生 國政
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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  • Exhaust Gas After Treatment (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ダブルO2 センサシステムにおいて空燃比制
御精度の低下を招く水性ガス還元反応が触媒にて生じた
場合に適切なリカバリ処理を実行する。 【解決手段】 排気系に設けられた触媒の上流側及び下
流側にそれぞれ配設されたO2 センサの出力に基づいて
空燃比をフィードバック制御する内燃機関の空燃比制御
装置において、該触媒で発生するH2 により該下流側O
2 センサの出力が影響を受けるような状況にあることを
検出する手段と、該状況にあることが検出された場合に
2 の減少を早めるように制御するリカバリ制御手段
と、を具備する。前記リカバリ制御手段は、該空燃比フ
ィードバック制御における制御定数を変更して制御空燃
比を理論空燃比よりもリーン側にシフトする制御を行う
ものであるか、又は、該排気系に二次空気を導入する制
御を行うものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関(エンジ
ン)において、吸入空気量に応じて適量の燃料を供給す
ることにより、空気と燃料との混合比(空燃比:A/
F)を所望の値に制御する装置である空燃比制御装置に
関し、より詳細には、ダブルO2 センサシステムを採用
して空燃比フィードバック補正を行う空燃比制御装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、自動車用エンジンにおいて
は、排気ガス浄化対策として、排気ガス中の未燃成分
(HC,CO)の酸化と窒素酸化物(NOx )の還元と
を同時に促進する三元触媒が利用されている。そのよう
な三元触媒による酸化・還元能力を高めるためには、エ
ンジンの燃焼状態を示す空燃比(A/F)を理論空燃比
近傍(ウィンドウ)に制御する必要がある。そのため、
エンジンにおける燃料噴射制御においては、排気ガス中
の残留酸素濃度に基づき空燃比が理論空燃比よりもリッ
チかリーンかを感知するO2 センサ(酸素濃度センサ)
を設け、そのセンサ出力に基づいて燃料量を補正する空
燃比フィードバック制御が行われている。
【0003】かかる空燃比フィードバック制御では、酸
素濃度を検出するO2 センサをできるだけ燃焼室に近い
箇所、すなわち触媒コンバータより上流側に設けている
が、そのO2 センサの出力特性のばらつき(経年変化や
個体差による)を補償するために、触媒コンバータより
下流側に第2のO2 センサを更に設けたダブルO2 セン
サシステムも実現されている。
【0004】すなわち、上流側O2 センサは、燃焼室に
近接して配置されるため、上流側O 2 センサ近辺では、
各気筒からの排気が必ずしも均一に混合していない。ま
た、上流側O2 センサ近辺では、排気温度が高く、O2
センサ自体の劣化が生じやすい。このため、上流側O2
センサが特定の気筒からの排気の影響を強く受けたり、
2 センサが劣化したような場合には、上流側O2 セン
サ出力に基づいて空燃比フィードバック制御を行ってい
ると、正確な空燃比制御ができなくなるおそれがある。
【0005】一方、下流側O2 センサの位置では、排気
は触媒通過時に均一に混合されており、排気温度も低く
なっている。すなわち、触媒下流側では、排気ガスは十
分に攪拌されており、その酸素濃度も三元触媒の作用に
よりほぼ平衡状態にあることにより、下流側O2 センサ
の出力は、上流側O2 センサよりも緩やかに変化し、従
って混合気全体のリッチ/リーン傾向を示す。ダブルO
2 センサシステムは、触媒上流側O2 センサによるメイ
ン空燃比フィードバック制御に加え、触媒下流側O2
ンサによるサブ空燃比フィードバック制御を実施するも
のであり、メイン空燃比フィードバック制御による空燃
比補正係数を、下流側O2 センサの出力に基づいて修正
することにより、上流側O2 センサの出力特性のばらつ
きを吸収し、空燃比制御精度の向上を図っている(特開
昭 61-286550号公報参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ダブルO2 センサシステムにおいて、新品の三元触媒の
使用開始時に問題が生じる場合があることが近年指摘さ
れている。三元触媒は、触媒作用により排気中のHC、
COの酸化とNOX の還元とを同時に行い、これらの有
害成分を同時に浄化するものである。そして、上記酸化
・還元を促進する触媒活性は、触媒が新しいうちは高
く、触媒の使用時間が長くなるにつれて徐々に低下して
行く。
【0007】従って、新品の三元触媒の使用開始時に
は、触媒活性が極めて強い状態になっているため、比較
的排気温度が高い状態では、 H2 O+CO→H2 +CO2 HC+2H2 O→CO2 + (5/2)H2 等の水性ガスの還元反応が生じ、H2 が発生する場合が
ある。このように触媒でH2 が発生するのは、排気温度
が高くかつ触媒の使用開始直後の一定の期間に限られ
る。しかし、触媒でH2 が発生すると、下流側O2 セン
サに到達する排気中にH2 が存在することとなり、この
ことは、次に示されるように、下流側O2 センサの出力
特性に影響を及ぼすのである。
【0008】O2 センサは、ジルコニウム等の固体電解
質の両側に白金電極を配置し、この固体電解質の一方の
電極側に排気を接触させ、他方の電極側に大気を接触さ
せる構成をとっている。排気の酸素成分の濃度が減少し
て、両電極間で酸素濃度の差が生ずると、酸素濃度の高
い大気側電極では、大気中の酸素がイオン化して固体電
解質中を排気側電極へと移動するようになる。そのた
め、大気と排気との酸素濃度差に応じた電流が排気側電
極から大気側電極へ流れることとなり、両電極間には酸
素濃度差に応じた電圧が発生する。O2 センサは、その
電圧を信号として取り出すことにより、排気中の酸素濃
度を検出するものである。
【0009】ところが、排気中にある程度以上の濃度の
2 成分が存在すると、排気中の酸素成分がH2 成分に
より阻止されて排気側電極に到達しにくくなる。このた
め、H2 成分が存在すると、O2 センサ出力は、実際の
酸素濃度より低い酸素濃度信号を出力するようになる。
つまり、O2 センサが、実際よりリッチ空燃比側の出力
信号を発生させるようになり、そのため、O2 センサが
理論空燃比として認識する空燃比が理論空燃比よりリー
ン側にずれた状態、すなわち、O2 センサの出力特性が
全体としてリーン空燃比側にシフトした状態となる(図
1参照)。
【0010】従って、触媒でH2 成分が発生するように
なると、実際に下流側O2 センサに到達する排気空燃比
が理論空燃比である場合でも、下流側O2 センサからは
リッチ空燃比信号が出力されることとなる。そのため、
ダブルO2 センサシステムでは、そのような下流側O2
センサ出力に基づいて空燃比がリーン側に制御されてし
まい、理論空燃比を維持することが困難となり、結果と
してNOx 排出量の増大という問題につながる。
【0011】かかる実情に鑑み、本発明の目的は、空燃
比制御精度の低下を招く水性ガス還元反応が生じた場合
において適切に対応することが可能な空燃比制御装置を
提供することにより、内燃機関の排出ガス浄化性能の向
上を図り、ひいては大気汚染防止に寄与することにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述のような水性ガス還
元反応が起こるのは、HC、COとともにH2 Oが多く
発生する領域であり、これら3成分の発生を抑制すれ
ば、水性ガス還元反応は減少する。本発明は、水性ガス
還元反応発生時にはO2 の供給を増やすことによりH2
の減少を早めてリカバリする、という基本的着想に基づ
き、以下に記載されるような技術構成を採用することに
より、上記目的を達成するものである。
【0013】すなわち、本発明に係る、内燃機関の空燃
比制御装置は、排気系に設けられた触媒の上流側及び下
流側にそれぞれ配設されたO2 センサの出力に基づいて
空燃比をフィードバック制御する内燃機関の空燃比制御
装置において、該触媒で発生するH2 により該下流側O
2 センサの出力が影響を受けるような状況にあることを
検出する手段と、該状況にあることが検出された場合に
2 の減少を早めるように制御するリカバリ制御手段
と、を具備することを特徴とする。
【0014】また、本発明によれば、前記リカバリ制御
手段は、該空燃比フィードバック制御における制御定数
を変更して制御空燃比を理論空燃比よりもリーン側にシ
フトする制御を行うものである。
【0015】また、本発明によれば、前記リカバリ制御
手段は、該排気系に二次空気を導入する制御を行うもの
である。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の実施例を説明する。
【0017】図2は、本発明に係る空燃比制御装置を備
えた電子制御式内燃機関の全体概要図である。図2にお
いて、符号1は内燃機関本体、符号2aは機関1の各気
筒の吸気ポートに接続された吸気マニホルド、符号11
は各気筒の排気ポートに接続された排気マニホルドをそ
れぞれ示している。
【0018】吸気マニホルド2aは、共通のサージタン
ク2bを介して吸気通路2に接続されている。図2に符
号3で示したのは、機関1の吸入空気量を検出するエア
フローメータである。エアフローメータ3は、例えばポ
テンショメータを内蔵した可動ベーン式のものが使用さ
れ、吸入空気量に比例した電圧信号を発生する。また、
吸気通路2には、運転者のアクセルペダルの操作量に応
じた開度をとるスロットル弁16が設けられ、更にスロ
ットル弁16近傍には、スロットル弁16が全閉時にア
イドル状態信号(LL信号)を発生するアイドルスイッ
チ17が設けられている。
【0019】図2に符号7で示すのは、吸気マニホルド
2aの各気筒の吸気ポート近傍に配置された燃料噴射弁
である。燃料噴射弁7は、制御回路10からの信号に応
じて開弁し、加圧燃料を各気筒の吸気ポート毎に噴射す
る。燃料噴射弁7からの燃料噴射制御については後述す
る。
【0020】排気マニホルド11は、共通の排気管を介
して触媒コンバータ12に接続されている。触媒コンバ
ータ12は、三元触媒を内蔵し、排気中のHC、CO、
NO X の3成分を同時に浄化することができる。また、
触媒コンバータ12の上流側、すなわち排気マニホルド
11の排気集合部には上流側空燃比センサ13が、触媒
コンバータ12の下流側排気管14には下流側空燃比セ
ンサ15が、それぞれ設けられている。本実施例では、
空燃比センサ13、15として、排気中の酸素成分濃度
に応じた電圧信号を発生するO2 センサが用いられてい
る。図1は、O 2 センサ13、15の出力特性を示す図
である。図1に実線で示したように、通常のO2 センサ
出力は、理論空燃比を境として急激に変化し、リッチ空
燃比側とリーン空燃比側とで異なる出力電圧を発生す
る。このため、O2 センサ13、15の出力から、現
在、空燃比が理論空燃比よりリッチ側かリーン側かを判
定することができる。
【0021】図2に符号18で示すのは、排気系に二次
空気を導入するための二次空気導入弁である。二次空気
導入弁18は、機関減速時、アイドル運転時等に開弁
し、排気マニホルド11に二次空気を導入して、HC及
びCOエミッションを低減する操作を行う。
【0022】更に、機関1の点火ディストリビュータ4
には、それぞれ機関クランク軸の一定回転毎にパルス信
号を発生する2つのクランク角センサ5及び6が設けら
れている。本実施例では、クランク角センサ5は、例え
ば特定気筒が圧縮上死点に到達する毎に(すなわちクラ
ンク回転角720°毎に)基準位置検出用パルス信号を
出力し、クランク角センサ6は、例えばクランク回転角
30°毎にクランク回転角検出用のパルス信号を出力す
る。
【0023】また、機関1のシリンダブロックのウォー
タジャケット8には、機関冷却水温度に応じたアナログ
電圧を出力する冷却水温度センサ9が設けられている。
【0024】制御回路10は、入出力インタフェース1
02、CPU103、ROM104、RAM105等を
相互に双方向性バスで接続した公知の構成のマイクロコ
ンピュータシステムであり、更にマルチプレクサ内蔵型
AD変換器101、電源に直接接続され機関イグニッシ
ョンスイッチがオフの状態でも記憶内容を保持可能なバ
ックアップRAM106、クロック発生回路107等を
備えている。
【0025】制御回路10は、機関の燃料噴射制御、点
火時期制御等の基本制御を行う他、後述するように、上
流側O2 センサ13及び下流側O2 センサ15の出力に
基づく空燃比フィードバック制御、触媒におけるH2
発生を検出する処理等を行っている。
【0026】これらの制御を実行するため、制御回路1
0には、AD変換器101を介してエアフローメータ3
からの機関吸入空気量信号、冷却水温度センサ9からの
冷却水温度信号、O2 センサ13及び15からの空燃比
信号がそれぞれ入力されている他、入出力インタフェー
ス102を介してクランク回転角センサ5及び6からの
パルス信号、アイドルスイッチ17からのアイドル状態
信号等が入力されている。
【0027】なお、機関吸入空気量信号、冷却水温度信
号は、一定クランク回転角毎に実行されるAD変換ルー
チンによって取り込まれ、RAM105の所定領域にそ
れぞれ機関吸入空気量データQ、冷却水温度データTH
Wとして格納される。また、クランク回転角センサ6の
パルス信号が入力する毎に、そのパルス間隔から図示し
ないルーチンにより機関回転数が算出され、RAM10
5の所定領域に機関回転数データNeとして格納され
る。
【0028】一方、制御回路10は、入出力インタフェ
ース102を介して燃料噴射弁7に接続され、燃料噴射
弁7による燃料噴射を制御している。図2に108、1
09、及び110で示したのは、それぞれ燃料噴射弁7
からの燃料噴射量を制御するためのダウンカウンタ、フ
リップフロップ、及び駆動回路である。すなわち、後述
するルーチンにおいて燃料噴射量(時間)TAUが算出
されると、燃料噴射時間TAUがダウンカウンタ108
にプリセットされるとともに、フリップフロップ109
がセットされ、駆動回路110が燃料噴射弁7の駆動信
号を出力する。これにより燃料噴射弁7が開弁し、燃料
噴射が開始される。ダウンカウンタ108は、クロック
107のクロック信号を計数して、プリセットされた時
間TAUが経過すると、フリップフロップ109にリセ
ット信号を出力する。これにより、フリップフロップ1
09がリセットされるため、駆動回路110は燃料噴射
弁7の駆動信号を停止し、燃料噴射弁7は閉弁する。従
って演算された燃料噴射時間TAUに相当する時間だけ
燃料噴射弁7が開弁し、TAUに相当する量の燃料が燃
料噴射弁7から機関1に噴射されることになる。
【0029】また、制御回路10は、入出力インタフェ
ース102を介して、前述の二次空気導入弁18及びア
ラーム19に接続されている。
【0030】以上のような内燃機関において実行される
燃料噴射量演算の処理手順は、図3のフローチャートに
示される。本ルーチンは、制御回路10により一定クラ
ンク回転角毎(例えば360°毎)に実行される。図3
のルーチンでは、燃料噴射量、すなわち燃料噴射弁7の
燃料噴射時間TAUが、機関1回転当たりの吸入空気量
Q/Neと、後述する空燃比補正係数FAFとに基づい
て算出される。
【0031】すなわち、図3のルーチンでは、吸入空気
量データQ、回転数データNeをRAM105の所定領
域から読み込み、機関1回転当たりの吸入空気量Q/N
eを算出する(ステップ202)とともに、基本燃料噴
射時間TAUPを、 TAUP=α*Q/Ne として算出する(ステップ204)。ここで、基本燃料
噴射時間TAUPは、燃焼室に供給される混合気を理論
空燃比とするために必要とされる燃料噴射時間であり、
αは定数である。
【0032】また、実際の燃料噴射時間TAUは、上記
TAUPを空燃比補正係数FAFで補正した値、 TAU=TAUP*FAF*β+γ として算出される(ステップ206)。ここで、β、γ
はそれぞれ機関運転状態に応じて決定される定数であ
る。また、上記により燃料噴射時間TAUが算出される
と、ステップ208では、時間TAUがダウンカウンタ
108にセットされ、時間TAUに応じた量の燃料が燃
料噴射弁7から噴射される。
【0033】上記空燃比補正係数FAFを求める制御が
空燃比フィードバック制御であり、本実施例に係る空燃
比フィードバック制御においては、上流側O2 センサ1
3の出力に基づいて空燃比がフィードバック制御される
とともに、下流側O2 センサ15の出力に基づいて上流
側O2 センサ13の出力特性のずれ等を補正する制御も
行われる。ところが、前述したように、触媒12の使用
開始後の期間に触媒でH2 成分が発生すると、下流側O
2 センサ15の出力特性が変化するために、下流側O2
センサ15の出力を使用する空燃比制御が影響を受ける
ことになる。
【0034】すなわち、触媒使用開始初期には触媒でH
2 が発生する。また、排気中にH2成分が存在すると、
2 センサの電極への排気中の酸素の到達が阻止される
ためO2 センサの出力特性が変化する。図1の点線は、
排気中にある程度の濃度のH 2 成分が存在する場合のO
2 センサの出力特性を示している。図1に点線で示した
ように、H2 成分の存在下では、O2 センサは実際には
理論空燃比またはリーン空燃比であってもリッチ空燃比
相当電圧を出力するようになるため、出力特性が正常時
(図1実線)に較べて全体的にリーン空燃比側にシフト
した状態になる。このため、下流側O2 センサ15で
は、排気空燃比が理論空燃比よりリーン側の或る値(例
えば、図1にST′で示す空燃比)になったときに理論
空燃比相当出力を発生するようになる。従って、上流側
2 センサ13の出力に基づくメイン空燃比フィードバ
ック制御により実際の排気空燃比が理論空燃比に制御さ
れた場合でも、下流側O2 センサ15はリッチ空燃比相
当出力を発生するため、サブ空燃比フィードバック制御
により機関空燃比は次第に理論空燃比よりリーン側に移
行するようになる。このため、新品の触媒使用開始後の
2 が発生する期間では空燃比のリーン化による機関出
力の低下や、触媒のNOX 浄化能力の低下等が生じやす
くなる。以下、触媒でのH2 発生時においてどのように
空燃比制御を実行するか、について4つの実施例を採り
上げ、詳細に説明する。
【0035】第1実施例は、触媒で発生するH2 により
下流側O2 センサ15の出力が影響を受けるような状況
にあることが検出された場合に、空燃比フィードバック
制御における制御定数の一つである積分定数(KIR,
KIL)を変更して制御空燃比をリーン側にシフトする
ことにより、排気ガスをリーン化してO2 を供給しH 2
の減少を早めようとするものである。具体的処理手順
は、次の通りである。
【0036】図4及び図5は、上流側O2 センサ13の
出力に基づくメイン空燃比フィードバック制御の処理手
順を示すフローチャートである。本ルーチンは、制御回
路10により一定時間毎(例えば4ms毎)に実行され
る。本ルーチンでは、上流側O2 センサ13の出力VO
Mを基準電圧VR1(理論空燃比相当電圧)と比較し、触
媒コンバータ上流側での排気空燃比が理論空燃比よりリ
ッチ(VOM>VR1)のときには空燃比補正係数FAF
を減少させ、リーン(VOM≦VR1)のときにはFAF
を増大させる制御を行う。O2 センサは、排気空燃比が
理論空燃比よりリッチ側のときに例えば0.9ボルトの
電圧信号を出力し、排気空燃比が理論空燃比よりリーン
側のときに例えば0.1ボルト程度の電圧信号を出力す
る。本実施例では、上記基準電圧VR1は0.45ボルト
程度に設定される。上記のように空燃比補正係数FAF
を排気空燃比に応じて増減することにより、エアフロー
メータ3、燃料噴射弁7等の燃料供給系の機器に多少の
誤差が生じている場合でも、機関空燃比は正確に理論空
燃比近傍に修正される。
【0037】具体的には、まず、ステップ302におい
て、フィードバック制御実行条件が成立しているか否か
を判定する。フィードバック制御実行条件は、例えば、
2センサが活性化していること、機関暖機が完了して
いること、燃料カットから復帰後所定時間が経過してい
ること、二次空気導入弁18から二次空気が導入されて
いないこと等であり、実行条件が成立しているときにの
みステップ304以下のFAF算出が行われる。フィー
ドバック制御実行条件が成立していない場合には、ステ
ップ358に進み、フラグXMFBの値を0にセットし
て本ルーチンを終了する。フラグXMFBは、メイン空
燃比フィードバック制御の実行中か否かを示すフラグで
あり、XMFB=0は、メイン空燃比フィードバック制
御が停止されていることを意味する。
【0038】ステップ304〜330においては、空燃
比の判定が行われる。ステップ318及び330に示す
フラグF1は、機関空燃比がリッチ(F1=1)かリー
ン(F1=0)かを表す空燃比フラグであり、F1=0
からF1=1(リーンからリッチ)への切換えは上流側
2 センサ13が所定時間(TDR)以上継続してリッ
チ信号(VOM>VR1)を出力したときに(ステップ3
06,320〜330)、またF1=1からF1=0
(リッチからリーン)への切換えは上流側O2 センサ1
3が所定時間(TDL)以上継続してリーン信号(VO
M≦VR1)を出力したときに行われる(ステップ306
〜318)。CDLYは、空燃比フラグ切換えタイミン
グを判定するためのカウンタである。
【0039】ステップ332〜354では、上記により
設定されたフラグF1の値に応じてFAFの増減を行
う。すなわち、ステップ332では、今回ルーチン実行
時のF1の値と前回ルーチン実行時のF1の値とを比較
して、F1の値が変化したか、すなわち空燃比がリッチ
からリーン、またはリーンからリッチに反転したかを判
断し、反転した場合にはステップ334に進み、反転し
なかった場合にはステップ340に進む。ステップ33
4では、現在のF1の値を判定し、F1=0(リーン)
の場合すなわちF1=1からF1=0(リッチからリー
ン)に変化(反転)した場合であれば、ステップ336
に進み、比較的大きな値RSRだけFAFをスキップ的
に増大させ、一方、F1=1(リッチ)の場合すなわち
F1=0からF1=1(リーンからリッチ)に反転した
場合であれば、ステップ338に進み、比較的大きな値
RSLだけFAFをスキップ的に減少させる。
【0040】F1の反転がなかった場合に実行されるス
テップ340では、H2 発生時におけるサブ空燃比フィ
ードバック制御中であることを示すフラグXSFBHの
値を判定し、XSFBH=1の場合すなわちH2 が発生
している場合にはステップ348に進み、XSFBH=
0の場合すなわちH2 が発生していない場合にはステッ
プ342に進む。なお、このフラグXSFBHは、後述
するサブ空燃比フィードバック制御ルーチンにおいて設
定されている。ステップ342では、F1の値を判定
し、F1=0(リーン)であれば、ステップ344に進
み、比較的小さな値KIRだけFAFを積分的に増大さ
せ、一方、F1=1(リッチ)であれば、ステップ34
6に進み、比較的小さな値KILだけFAFを積分的に
減少させる。
【0041】XSFBH=1の場合すなわちH2 が発生
している場合に実行されるステップ348〜352にお
いても、F1=0(リーン)であればFAFを積分的に
増大させ、F1=1(リッチ)であればFAFを積分的
に減少させる処理がなされるが、その積分定数が異な
る。すなわち、リーン時には、H2 が発生していない通
常の場合よりKIRHだけ少なく増大せしめられ、リッ
チ時には、H2 が発生していない通常の場合よりKIL
Hだけ多く減少せしめられる。従って、H2 が発生して
いる場合には、通常の場合よりもリーン化が図られるこ
ととなる。
【0042】このようにして算出されたFAFは、その
値が最大値(本実施例ではFAF=1.2)と最小値
(本実施例ではFAF=0.8)で定まる範囲を越えな
いようにガードされる(ステップ354)。最後に、フ
ラグXMFBの値を1にセットして(ステップ35
6)、本ルーチンは終了する。
【0043】次に、下流側O2 センサ15の出力に基づ
くサブ空燃比フィードバック制御について説明する。図
6及び図7は、サブ空燃比フィードバック制御ルーチン
の処理手順を示すフローチャートである。本ルーチン
は、制御回路10により、メイン空燃比フィードバック
制御の場合より長い所定間隔(例えば500ms毎)で
実行される。本ルーチンでは、下流側O2 センサ15の
出力VOSを基準電圧V R2(理論空燃比相当電圧、例え
ば0.45ボルト)と比較し、触媒コンバータ下流側で
の排気空燃比が理論空燃比よりリッチ(VOS>VR2
のときには、メイン空燃比フィードバック制御で用いる
補正量RSR(図5のステップ336)を減少させると
ともに、RSL(図5ステップの338)を増大させ
る。また、触媒コンバータ下流側での排気空燃比が理論
空燃比よりリーン(VOS≦VR2)のときには、補正量
RSRを増大させるとともにRSLを減少させる操作を
行う。これにより、触媒コンバータ下流側での排気空燃
比がリッチの場合には、メイン空燃比フィードバック制
御においてFAFの値が全般的に小さく設定されるよう
になり、逆に下流側での排気空燃比がリーンの場合に
は、FAFの値が全般的に大きく設定されるようにな
る。このため、上流側O2 センサ13が劣化したり特定
の気筒の排気の影響を強く受けたために上流側O2 セン
サ13の出力が実際の排気空燃比からずれたような場合
でも、FAFの値が下流側O2 センサ15の出力に基づ
いて補正されるので、機関空燃比は正確に理論空燃比に
維持される。
【0044】まず、ステップ402では、図4のステッ
プ302と同様に、フィードバック制御実行条件が成立
しているか否かを判定し、成立の場合には、さらに、ス
テップ404において、フラグXMFB=1か否かすな
わちメイン空燃比フィードバック制御が実施されている
か否かを判定する。ステップ402又は404の判定結
果がNOの場合には、下流側O2 センサ15の出力に基
づくサブ空燃比フィードバック制御を実行せず、ステッ
プ406でフラグXSFBの値を0にセットして本ルー
チンを終了する。フラグXSFBは、サブ空燃比フィー
ドバック制御の実行中か否かを示すフラグであり、XS
FB=0は、サブ空燃比フィードバック制御が停止され
ていることを意味する。ステップ402及び404の判
定結果がYESの場合には、ステップ408に進む。
【0045】ステップ408では、触媒でのH2 発生の
有無を示すフラグXH2 の値が0か否かを判定する。フ
ラグXH2 の値は、後述するルーチンにより触媒12で
2が発生しているときには1に、H2 が発生していな
いときには0にセットされている。ステップ408にお
いて、フラグXH2 =0すなわち触媒12でH2 が発生
していないと判定された場合には、前記したフラグXS
FBH(図5のステップ340)に0がセットされ(ス
テップ410)、XH2 =1すなわちH2 が発生してい
ると判定された場合には、XSFBHに1がセットされ
る(ステップ412)。ステップ410又は412の次
のステップ414では、フラグXSFBの値を1にし
て、ステップ416以降に進み、下流側O2 センサ15
で検出した排気空燃比がリッチかリーンかにより補正量
RSR及びRSLの値を増減する操作を行う。
【0046】ステップ416では、下流側O2 センサ1
5の出力VOSをAD変換して読み込む。次いで、ステ
ップ418では、VOSがリーン空燃比相当値(VOS
≦V R2)か否かを判定し、VOSの値がリーン空燃比相
当値であった場合には、ステップ420でRSRの値を
一定量ΔRSだけ増大し、増大後のRSRが所定の最大
値MAX(本実施例ではMAX=0.09)を越えない
ようにガードする(ステップ422、424)。また、
ステップ418でVOSの値がリッチ空燃比相当値(V
OS>VR2)であった場合には、ステップ426でRS
Rの値を一定量ΔRSだけ減少させ、減少後のRSRが
所定の最小値MIN(本実施例ではMIN=0.01)
より小さくならないようにガードする(ステップ42
8、430)。
【0047】また、上記により算出されたRSRの値を
用いて、ステップ432では、メイン空燃比フィードバ
ック制御ルーチンで用いるRSL(図5のステップ33
8)の値を、RSL←0.1−RSRとして算出する。
すなわち、RSRとRSLとの和は本実施例では常に一
定値(0.1)に保持されており、RSRが増大すると
RSLが減少し、RSRが減少するとRSLは増大する
ようになっている。最後に、ステップ434において、
RSR及びRSLがRAM105に格納される。
【0048】上記サブ空燃比フィードバック制御ルーチ
ンの実行により、下流側O2 センサ15で検出した排気
空燃比がリッチの場合にはRSRの減少とRSLの増大
とが、また、排気空燃比がリーンの場合にはRSRの増
大とRSLの減少とが同時に行われる。
【0049】図8は、図4及び図5のメイン空燃比フィ
ードバック制御を行った場合の、上流側O2 センサ13
で検出した空燃比(A/F)変化(図8(A) )に対する
カウンタCDLY(同(B) )、フラグF1(同(C) )、
空燃比補正係数FAF(同(D) )の変化を示している。
図8(A) に示すように、A/Fがリーンからリッチに変
化した場合でも、空燃比フラグF1(図8(C) )の値は
直ちに0から1には変化せず、カウンタCDLYの値が
0からTDRに増大するまでの時間(図8(C)T1 )の
間は0のまま保持され、T1 経過後に0から1に変化す
る。また、A/Fがリッチからリーンに変化した場合
も、F1の値はカウンタCDLYの値が0からTDL
(TDLは負の値)に減少するまでの時間(図8(C) T
2 )の間は1のまま保持され、T2 経過後に1から0に
変化する。このため、図8(A) にNで示したように、外
乱等により上流側O2 センサ13の出力が短い周期で変
化したような場合でも、フラグF1の値は追従して変化
しないため、空燃比制御が安定する。
【0050】メイン空燃比フィードバック制御の結果、
空燃比補正係数FAFの値は図8(D) に示すように周期
的に増減を繰り返し、機関空燃比はリッチ空燃比とリー
ン空燃比とに交互に変動する。また、図3で説明したよ
うに、FAFの値が増大すると燃料噴射時間TAUは増
大し、FAFの値が減少すると燃料噴射時間TAUも減
少する。
【0051】また、図8(D) から判るように、サブ空燃
比フィードバック制御(図6、図7)によりRSRが増
大しRSLが減少すると、リッチ空燃比側への振れ幅が
大きくなり、空燃比が全体的にリッチ空燃比側に移行す
る。また、逆にRSRが減少しRSLが増大すると、機
関空燃比のリーン空燃比側への振れ幅が大きくなり、空
燃比が全体的にリーン空燃比側に移行する。
【0052】従って、サブ空燃比フィードバック制御に
よりRSR及びRSLの値が増減されると、機関空燃比
はリッチ側またはリーン側に変化する。なお、本実施例
では、サブ空燃比フィードバック制御でRSR及びRS
Lを設定する場合について説明したが、メイン空燃比制
御における他の補正量をサブ空燃比フィードバック制御
で設定することによっても機関空燃比を変化させること
ができる。例えば、KIR、KIL(図5ステップ34
4、346)の値、またはTDR、TDL(図4ステッ
プ314、326)の値をサブ空燃比フィードバック制
御に基づいて設定することによっても同様に機関空燃比
を変化させることが可能であるし、或いは上流側O2
ンサ13の基準電圧VR1(図4ステップ306)の値を
サブ空燃比フィードバック制御に基づいて設定すること
によっても同様に機関空燃比を変化させることが可能で
ある。
【0053】図9は、サブ空燃比フィードバック制御
(図6及び図7)において使用されるフラグXH2 を設
定する処理、すなわちH2 発生判定処理の手順を示すフ
ローチャートである。本ルーチンは、制御回路10にお
いて一定時間ごとに実行される。このH2 発生判定処理
は、リーン制御中でありながら下流側O2 センサ15の
出力がリッチを示すような場合に、触媒においてH2
発生していると判定するものである。
【0054】まず、ステップ502では、現在の排気温
度が所定の温度以上になっているか否かを判定する。排
気温度の判定は、排気通路に温度センサを設けることに
より直接計測することも可能であるが、本実施例では機
関負荷(すなわち機関1回転当たりの吸入空気量Q/N
e)に基づいて判断するようにしている。すなわち、ス
テップ502では、Q/Neの値が所定値(Q/Ne)
C 以上であった場合に機関排気温度が所定値以上になっ
たと判定するようにしている。現在の機関排気温度が所
定値より低いと判断された場合には、H2 発生なしとみ
なし、ステップ510に進んでフラグXH2 を0とし、
一方、排気温度が所定値以上と判断された場合には、ス
テップ504に進む。
【0055】ステップ504では、リーン制御中である
ことを示すフラグXLの値が1にセットされているか否
かを判定し、XL≠1の場合には、H2 発生なしとみな
し、ステップ510に進んでフラグXH2 を0とし、一
方、XL=1の場合には、ステップ506に進む。な
お、フラグXLは、後述する図10のルーチンにより設
定されている。ステップ506では、下流側O2 センサ
15の出力VOSの値を判定し、VOS>VR2の場合す
なわちリッチ出力の場合には、H2 発生ありとみなし、
ステップ512に進んでフラグXH2 を1とし、VOS
≦VR2の場合すなわちリーン出力の場合には、ステップ
508に進む。ステップ508では、VOSのリーン出
力が所定の時間継続しているか否かを判定し、継続して
いれば、H 2 発生の影響はなくなったとみなし、ステッ
プ510に進んでフラグXH2 を0とし、一方、継続し
ていなければ、H2 発生の影響があるとみなし、ステッ
プ512に進んでフラグXH2 を1とする。
【0056】図10は、上記フラグXLを設定する処理
の手順を示すフローチャートである。本ルーチンは、制
御回路10において一定時間毎に実行される。まず、ス
テップ602では、サブ空燃比フィードバック制御が実
行されているか否かがフラグXSFBの値(図6ステッ
プ406、414参照)から判定される。また、ステッ
プ604では、機関運転開始後、触媒温度が十分に上昇
しているか否かがフラグHCの値から判定される。HC
は、触媒暖機が完了したときに1に設定されるフラグで
ある。本実施例では、別途実行される図示しないルーチ
ンにより、機関始動後の機関吸入空気量の積算値が所定
値以上になったときに触媒暖機が完了したと判断し、フ
ラグHCの値を1に設定するようにしている。機関吸入
空気量は機関で発生する熱量にほぼ比例し、吸入空気量
の積算値は排気から触媒に与えられる熱量に対応してい
るためである。
【0057】また、ステップ606では、図9のステッ
プ502と同様にQ/Neの値から機関排気温度が所定
値以上になっているか否かが判定される。上記ステップ
602〜606の条件のいずれか1つでも成立しない場
合には、ステップ614に進み、XLに0をセットし、
本ルーチンを終了する。上記条件が全て成立している場
合には、ステップ608で、今回の本ルーチン実行時ま
で、下流側O2 センサ15の出力VOSが所定時間以上
連続してリッチ空燃比相当出力を発生しているか否か
(VOS>VR2が所定時間以上成立しているか否か)が
判定される。ステップ608の条件が成立している場合
には、ステップ610に進み、現在の空燃比フィードバ
ック制御におけるスキップ定数RSRが所定値α未満
(RSR<α)(例えば、α=0.045)か否か、す
なわち燃料減量過程(リーン制御中)か否かが判定され
る。ステップ608又は610の条件が不成立の場合に
は、ステップ614に進み、フラグXLに0をセット
し、本ルーチンを終了する。一方、ステップ608及び
610の条件が成立した場合には、ステップ612でフ
ラグXLに1をセットする。
【0058】以上のように、第1実施例においては、触
媒で発生するH2 により下流側O2センサ15の出力が
影響を受けるような状況にあることが検出された場合
に、空燃比フィードバック制御における制御定数の一つ
である積分定数(KIR,KIL)が変更されて制御空
燃比がリーン側にシフトされることにより、排気ガスが
リーン化され、その結果、触媒にO2 が供給されてH2
の減少が促進される。
【0059】次に、第2実施例について説明する。第2
実施例は、触媒で発生するH2 により下流側O2 センサ
15の出力が影響を受けるような状況にあることを、第
1実施例と同様な方法で検出するが、かかる状況が検出
された場合に、第1実施例のように空燃比フィードバッ
ク制御における積分定数(KIR,KIL)を変更する
のではなく、スキップ定数(RSR,RSL)を変更す
ることにより、制御空燃比をリーン側にシフトし、排気
ガスをリーン化してO2 を供給しH2 の減少を早めよう
とするものである。具体的には、メイン空燃比フィード
バック制御ルーチン及びサブ空燃比フィードバック制御
ルーチンが、第1実施例のものに対して次に示すように
変更される。
【0060】図11及び図12は、第2実施例に係るメ
イン空燃比フィードバック制御ルーチンの処理手順を示
すフローチャートである。第1実施例のもの(図4及び
図5)との相違点のみについて説明すると、第1実施例
におけるステップ340、348〜352に相当するス
テップが、第2実施例では削除されている点のみが相違
する。すなわち、第2実施例では、積分定数KIR及び
KILがH2 発生有無にかかわらず設定される。その代
わりに、第2実施例では、サブ空燃比フィードバック制
御ルーチンにおいてスキップ定数RSR及びRSLを設
定するときに、H2 の発生有無が考慮される。
【0061】図13及び図14は、第2実施例に係るサ
ブ空燃比フィードバック制御ルーチンの処理手順を示す
フローチャートである。第1実施例のもの(図6及び図
7)との相違点のみについて説明すると、第2実施例で
は新たにステップ816及び818に示される処理が追
加されている点のみが相違する。すなわち、ステップ8
16においてフラグXSFBH=1すなわちH2 発生中
であると判定されたときには、ステップ818において
スキップ定数RSRが最小ガード値MINに設定される
のである。それに対応して、スキップ定数RSLは最大
値をとる。従って、第2実施例においても、第1実施例
と同様に、H2 発生時に制御空燃比のリーン化が図ら
れ、同一の作用効果が得られることとなる。
【0062】次に、第3実施例について説明する。第3
実施例は、触媒で発生するH2 により下流側O2 センサ
15の出力が影響を受けるような状況にあることを、第
1及び第2実施例と同様な方法で検出するが、かかる状
況が検出された場合に、第1及び第2実施例のように空
燃比フィードバック制御における定数を変更するのでは
なく、上流側O2 センサ13の出力電圧VOMに対する
リッチ/リーン判定基準電圧を変更することにより、制
御空燃比をリーン側にシフトし、排気ガスをリーン化し
てO2 を供給しH2 の減少を早めようとするものであ
る。具体的には、メイン空燃比フィードバック制御ルー
チンが第2実施例のものに対して次に示すように変更さ
れ、他のルーチンは第1実施例のものと同一である。
【0063】図15及び図16は、第3実施例に係るメ
イン空燃比フィードバック制御ルーチンの処理手順を示
すフローチャートである。第2実施例のもの(図11及
び図12)との相違点のみについて説明すると、第3実
施例では新たにステップ906及び908に示される処
理が追加されている点のみが相違する。すなわち、ステ
ップ906においてフラグXSFBH=1すなわちH2
発生中であると判定されたときには、ステップ908に
進み、上流側O2 センサ13の出力電圧VOMを、通常
の判定基準電圧VR1よりも低い基準電圧VR3(すなわち
R3<VR1)と比較することにより、リッチ/リーン判
定を実行するのである。こうして、H2発生中にはリッ
チに判定されやすくなり、その結果、第3実施例におい
ても、第1及び第2実施例と同様に、H2 発生時におけ
る制御空燃比のリーン化が図られ、同一の作用効果が得
られることとなる。
【0064】最後に、第4実施例について説明する。第
4実施例は、触媒で発生するH2 により下流側O2 セン
サ15の出力が影響を受けるような状況にあることを、
第1、第2及び第3実施例と同様な方法で検出するが、
かかる状況が検出された場合に、第1、第2及び第3実
施例のように空燃比フィードバック制御にて対応するの
ではなく、排気系に二次空気を導入することにより、排
気ガスをリーン化してO2 を供給しH2 の減少を早めよ
うとするものである。具体的には、H2 発生判定処理は
前記各実施例のもの(図9及び図10)と同一であり、
メイン空燃比フィードバック制御ルーチンは第2実施例
のもの(図11及び図12)と同一であるが、サブ空燃
比フィードバック制御ルーチンは第1実施例のもの(図
6及び図7)が次のように改造される。
【0065】図17及び図18は、第4実施例に係るサ
ブ空燃比フィードバック制御ルーチンの処理手順を示す
フローチャートである。まず、ステップ1002では、
XH 2 =0が成立するか否か、すなわちH2 の発生有無
を判定する。H2 発生あり(XH2 =1)の場合には、
ステップ1004において二次空気導入実行フラグXA
Sに1をセットし、ステップ1012においてサブ空燃
比フィードバック制御実行フラグXSFBに0をセット
し、本ルーチンを終了する。なお、XAS=1に設定さ
れると、メイン空燃比フィードバック制御実行条件(図
11のステップ702参照)は成立しなくなる。
【0066】一方、H2 発生なし(XH2 =0)の場合
には、ステップ1006において二次空気導入実行フラ
グXASに0をセットし、ステップ1008に進む。ス
テップ1008及び1010では、図6のステップ40
2及び404と同様に、フィードバック制御実行条件が
成立するか否か、及びメイン空燃比フィードバック制御
実行中か否かを判定する。両判定結果がともにYESの
場合には、ステップ1014においてフラグXSFBに
1をセットし、一方、いずれかの判定結果がNOの場合
には、前記したステップ1012に進む。ステップ10
14に続いて実行されるステップ1016以降は、図7
のステップ416以降と同一である。
【0067】このようにサブ空燃比フィードバック制御
ルーチンにおいて設定された二次空気導入実行フラグX
ASに基づく二次空気導入実行処理は、図19のフロー
チャートに示される。本ルーチンは、所定の時間周期で
実行される。まず、ステップ1102では、フラグXA
Sをチェックし、XAS=1のときにはステップ110
4に進み、XAS=0のときにはステップ1110に進
む。ステップ1104では、二次空気導入弁(ASV)
を開弁し、ステップ1106に進む。ステップ1106
では、二次空気導入時間タイマTASをインクリメント
し、ステップ1108に進む。ステップ1108では、
TASの値が所定のガード値GRD未満であるか否かを
判定し、TAS<GRDのときには本ルーチンを終了
し、TAS≧GRDのときにはステップ1110に進
む。ステップ1110、1112及び1114では、二
次空気導入弁(ASV)を閉弁するとともに、フラグX
AS及びタイマTASをクリアして、本ルーチンを終了
する。
【0068】以上、本発明の実施例について述べてきた
が、もちろん本発明はこれに限定されるものではなく、
様々な実施例を案出することは当業者にとって容易なこ
とであろう。
【0069】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
空燃比制御精度の低下を招く水性ガス還元反応が触媒に
おいて生じた場合において、O2 の供給が増大せしめら
れH2の減少が早められるというリカバリ処理が実行さ
れる。従って、本発明は、内燃機関の排出ガス浄化性能
の更なる向上を図り、ひいては大気汚染防止に寄与する
ものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】排気ガス中のH2 成分の影響によるO2 センサ
出力特性の変化を説明するための特性図である。
【図2】本発明の一実施例に係る空燃比制御装置を備え
た電子制御式内燃機関の全体概要図である。
【図3】燃料噴射量演算ルーチンの処理手順を示すフロ
ーチャートである。
【図4】第1実施例に係るメイン空燃比フィードバック
制御ルーチンの処理手順を示すフローチャート(1/
2)である。
【図5】第1実施例に係るメイン空燃比フィードバック
制御ルーチンの処理手順を示すフローチャート(2/
2)である。
【図6】第1実施例に係るサブ空燃比フィードバック制
御ルーチンの処理手順を示すフローチャート(1/2)
である。
【図7】第1実施例に係るサブ空燃比フィードバック制
御ルーチンの処理手順を示すフローチャート(2/2)
である。
【図8】空燃比制御を説明するためのタイムチャートで
ある。
【図9】H2 発生判定処理ルーチンの手順を示すフロー
チャートである。
【図10】フラグXL設定処理ルーチンの手順を示すフ
ローチャートである。
【図11】第2実施例に係るメイン空燃比フィードバッ
ク制御ルーチンの処理手順を示すフローチャート(1/
2)である。
【図12】第2実施例に係るメイン空燃比フィードバッ
ク制御ルーチンの処理手順を示すフローチャート(2/
2)である。
【図13】第2実施例に係るサブ空燃比フィードバック
制御ルーチンの処理手順を示すフローチャート(1/
2)である。
【図14】第2実施例に係るサブ空燃比フィードバック
制御ルーチンの処理手順を示すフローチャート(2/
2)である。
【図15】第3実施例に係るメイン空燃比フィードバッ
ク制御ルーチンの処理手順を示すフローチャート(1/
2)である。
【図16】第3実施例に係るメイン空燃比フィードバッ
ク制御ルーチンの処理手順を示すフローチャート(2/
2)である。
【図17】第4実施例に係るサブ空燃比フィードバック
制御ルーチンの処理手順を示すフローチャート(1/
2)である。
【図18】第4実施例に係るサブ空燃比フィードバック
制御ルーチンの処理手順を示すフローチャート(2/
2)である。
【図19】第4実施例に係る二次空気導入実行処理ルー
チンの手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…機関本体 3…エアフローメータ 4…ディストリビュータ 5、6…クランク回転角センサ 7…燃料噴射弁 10…制御回路 12…触媒コンバータ 13…上流側O2 センサ 15…下流側O2 センサ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 排気系に設けられた触媒の上流側及び下
    流側にそれぞれ配設されたO2 センサの出力に基づいて
    空燃比をフィードバック制御する内燃機関の空燃比制御
    装置において、 該触媒で発生するH2 により該下流側O2 センサの出力
    が影響を受けるような状況にあることを検出する手段
    と、 該状況にあることが検出された場合にH2 の減少を早め
    るように制御するリカバリ制御手段と、 を具備することを特徴とする、内燃機関の空燃比制御装
    置。
  2. 【請求項2】 前記リカバリ制御手段は、該空燃比フィ
    ードバック制御における制御定数を変更して制御空燃比
    を理論空燃比よりもリーン側にシフトする制御を行うも
    のである、請求項1に記載の内燃機関の空燃比制御装
    置。
  3. 【請求項3】 前記リカバリ制御手段は、該排気系に二
    次空気を導入する制御を行うものである、請求項1に記
    載の内燃機関の空燃比制御装置。
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