JPH09125335A - 水中生物付着防止構成体及び管更生部材 - Google Patents

水中生物付着防止構成体及び管更生部材

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JPH09125335A
JPH09125335A JP28031095A JP28031095A JPH09125335A JP H09125335 A JPH09125335 A JP H09125335A JP 28031095 A JP28031095 A JP 28031095A JP 28031095 A JP28031095 A JP 28031095A JP H09125335 A JPH09125335 A JP H09125335A
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resin
resin layer
stain
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antifouling
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JP28031095A
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Keisuke Hashimoto
圭祐 橋本
Taisuke Nose
泰祐 能勢
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水中で長期間、効率の良い防汚効果を有する
水中生物付着防止構成体及びこれを利用した管更生部材
を提供する。 【解決手段】 エチレンとエチレン性不飽和結合を有す
る有機カルボン酸エステル誘導体との共重合体樹脂に防
汚剤を配合した第一の樹脂層の表面に、主鎖に酸アミド
結合を有する第二の樹脂層が前記防汚剤の溶出量を制御
するために積層してなる水中生物付着防止構成体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、長期にわたって持
続的な防汚効果を有する水中生物付着防止構成体及びこ
れを利用した管更生部材に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄橋、桟橋、ブイ、海水の吸水管、下水
管等の長期にわたって水と接する状態にある建造物、構
築物等においては、フジツボ、ムラサキイガイ等の海洋
生物等が付着するのを防止するために、亜酸化銅、有機
錫化合物等の金属化合物を水中防汚剤として使用する技
術が広く行われてきた。
【0003】これらの金属化合物のうちで、特に有機錫
化合物には強い殺菌力があり、長期間にわたって生物を
寄せ付けない効果があった。しかし、有機錫化合物は毒
性が強く、また海水中に放出された場合、微生物による
分解が容易に進まず海洋汚染を引き起こしやすいので、
「日経ビジネス」1993年4月26日号、53〜56
頁に記載されているように、現在ではその使用に対する
法的規制が強まりつつある。
【0004】特開昭53−12937号公報、特開昭5
4−115386号公報、特開昭46−35934号公
報には、3−置換イソチアゾリン、トリアジン誘導体等
が、このような問題のない有機系水中防汚剤として開示
されている。
【0005】これら有機系防汚剤は常温で粉体のものが
多く、実際に使用されるときは、メチルエチルケトン
(MEK)やキシレン等の溶剤に溶かした後、樹脂、可
塑剤、顔料等を加え塗料として用いられる。また、水中
での防汚効果を長期にわたり持続するために、厚塗り、
配合量増加等の方法が採られている。
【0006】しかし、厚塗りは粘度等の塗料物性の限界
や作業性等に問題があり、配合量を増加する方法は、防
汚剤が単位時間あたりに水中で溶出する量が多くなるこ
とから、初期の防汚効果は向上するものの、長期的な効
果は得られない等の問題があり防汚塗料の有効期間はお
おむね1〜2年程度とされ、効果がなくなるたびに多額
の費用を投じて再塗装する必要が生じる。
【0007】特開昭50−21034号公報には、防汚
剤と高分子化合物を主とする混合物をフィルム、シート
状にした構造物も提案されているが、防汚剤の海水中へ
の溶出を制御することができず、やはり、長期間にわた
り防汚効果を持続することができない。そこで、水中で
長期間、効率の良い防汚効果を有する水中生物付着防止
構成体の提供が望まれている。
【0008】ところで、従来より、筒状に編み込んだ補
強材に樹脂成分を含浸させた状態で、この補強材及び樹
脂成分がインナーフィルムとアウターフィルムとによっ
て内包された管更生部材が知られている。この管更生部
材は、管路の更生部分に挿入後、紫外線照射等によって
管路の形状に即応した形で硬化させることにより、耐久
性、耐薬品性、水密性等に優れた管路を更生するように
なされてきた。
【0009】しかし、上記の管更生部材は、防汚処理を
したものではなかったので、更生しようとする管路が、
海水の輸送管等のようにフジツボ、ムラサキイガイ等の
水中生物が付着するのを防止するための防汚処理をした
ものでない場合、更生した部分に水中生物が付着するこ
ととなり、この水中生物によって管路が閉塞され、流体
の流れが悪化するといった不都合を生じることとなる。
【0010】そのため、更生後にこの更生部分に防汚塗
料の塗布等の防汚処理を行うことが考えられるが、この
場合、作業が煩わしいという不都合を生じることとな
る。このような問題を解決する手段として、管更生部材
のインナーフィルムに防汚剤を添加した管更生部材等が
提案されている(特願平6−307464号公報)。し
かしこの場合、添加した防汚剤の過剰な溶出が初期にみ
られ、防汚剤の無駄や防汚効果を長期化することが困難
となる問題点があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑
み、水中で長期間、効率の良い防汚効果を有する水中生
物付着防止構成体及びこれを利用した管更生部材を提供
することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、水中生
物付着防止構成体を、エチレンとエチレン性不飽和結合
を有する有機カルボン酸エステル誘導体との共重合体樹
脂に防汚剤を配合した第一の樹脂層の表面に、主鎖に酸
アミド結合を有する第二の樹脂層を前記防汚剤の溶出量
を制御するために積層して構成するところに存する。以
下に本発明を詳述する。
【0013】本発明の水中生物付着防止構成体は、鉄
橋、桟橋、ブイ、海水の吸水管、下水管等の長期にわた
って水と接する状態にある建造物、構築物等に適用され
る。本明細書において、「第一の樹脂層」とは、上記建
造物、構築物等の基体の表面に形成される層を意味する
場合もあるし、上記基体そのものを意味する場合もあ
る。更に、本明細書において、「第一の樹脂層」と「第
二の樹脂層」とを積層することにより得られる積層体
が、上記基体そのものを意味する場合もある。
【0014】また、本発明の水中生物付着防止構成体
は、上記「第一の樹脂層」と「第二の樹脂層」とからな
る積層体が1組のみ設けられたものであってもよく、上
記積層体が複数組積層して形成されていてもよい。この
場合には、表層の積層体の第一の樹脂層の防汚効果が失
効したときに、表層の積層体を剥離することにより、本
発明の水中生物付着防止構成体の防汚効果を更新するこ
とができる。
【0015】本発明で用いられる第一の樹脂層を構成す
る樹脂としては特に限定されず、例えば、エチレン−酢
酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共
重合体樹脂、エチレン−グリシジルメタクリレート共重
合体樹脂、エチレン−マレイン酸共重合体樹脂等が挙げ
られる。上記樹脂は配合した防汚剤の溶出性が高いの
で、防汚剤を無駄なく溶出させることができる。
【0016】本発明における防汚剤の第一の樹脂層への
配合量は、防汚効果が必要とされる期間に応じて任意に
配合することができるが、シート又はフィルムへの成形
性を考慮すると、好ましくは上記第一の樹脂層を構成す
る樹脂100重量部に対して、5〜70重量部である。
【0017】本発明で使用される防汚剤としては特に限
定されず、例えば、有機窒素系、脂肪酸系、有機窒素硫
黄系等が挙げられ、具体的には、例えば、2−メチルチ
オ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ
−s−トリアジン、2,4,5,6−テトラクロロイソ
フタロニトリル、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿
素、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−3(2H)
イソチアゾロン、N−(フルオロジクロロメチルチオ)
フタルイミド、N,N′−ジメチル−N′−フェニル−
(N−フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、2
−ピリジンチオール−1−オキシド亜鉛塩、テトラメチ
ルチウラムジサルファイド、2,4,6−トリクロロフ
ェニルマレイミド、2,3,5,6−テトラクロロ−4
−(メチルスルホニル)ピリジン、ピリジン−トリフェ
ニルボラン、3′−イソプロピル−2−メチルベンズア
ニリド等の防汚効果を有する公知の防汚剤等が挙げられ
る。
【0018】上記防汚剤は単独で使用することもできる
し、複数を組み合わせて使用することもできる。上記防
汚剤を配合する本発明の第一の樹脂層の厚みは特に限定
されないが、通常は、0.01〜10mm程度が好まし
い。
【0019】本発明においては、防汚剤の過度の溶出を
制御するために、主鎖に酸アミド結合を有する樹脂から
なる第二の樹脂層が積層される。上記樹脂は、防汚剤の
透過性が付着する水中生物に対して防汚性を示すのに充
分な有効量程度であり、かつ、長期間にわたって実質的
に一定の速度で防汚剤を溶出させることができるので、
防汚効果は非常に安定している。また、浸漬初期に無駄
になってしまう過度の防汚剤の溶出を抑制するので、配
合した防汚剤を有効に使用することができる。
【0020】上記主鎖に酸アミド結合を有する樹脂とし
ては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6
10、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、
ナイロンMXD6、ナイロン46、共重合ナイロン等が
挙げられる。
【0021】上記第二の樹脂層の厚みは特に限定されな
いが、通常は、0.01〜5mm程度が好ましい。ま
た、上記第二の樹脂層は、必要に応じて、他の樹脂との
多層構造を有していてもよい。
【0022】本発明において、上記第一の樹脂層と上記
第二の樹脂層との積層は、これらの樹脂を同時に共押出
成形することにより積層することもできるし、これらの
樹脂層を別々に成形しフィルム状、シート状にした後、
接着剤や粘着剤等を使用して張り合わせるか、又は、熱
圧着する方法等により積層することもできる。
【0023】本発明2においては、防汚剤の過度の溶出
を制御するために、上記主鎖に酸アミド結合を有する樹
脂に代えて、エチレンとエチレン性不飽和結合を有する
有機カルボン酸との共重合体樹脂又はその金属イオン架
橋樹脂からなる第二の樹脂層が積層される。
【0024】上記エチレンとエチレン性不飽和結合を有
する有機カルボン酸との共重合体樹脂又はその金属イオ
ン架橋樹脂もまた、防汚剤の透過性が付着する水中生物
に対して防汚性を示すのに充分な有効量程度であり、か
つ、長期間にわたって実質的に一定の速度で防汚剤を溶
出させることができるので、防汚効果は非常に安定して
いる。また、浸漬初期に無駄になってしまう過度の防汚
剤の溶出を抑制するので、配合した防汚剤を有効に使用
することができる。
【0025】上記エチレンとエチレン性不飽和結合を有
する有機カルボン酸との共重合体樹脂又はその金属イオ
ン架橋樹脂としては、例えば、エチレン−アクリル酸共
重合体樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂、エ
チレン−メタクリル酸共重合体樹脂の金属イオン架橋体
等が挙げられる。エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂
の架橋金属イオンとしては、例えば、ナトリウム、亜鉛
等が挙げられる。
【0026】本発明3の管更生部材は、樹脂成分を含浸
させて筒状に編み込んだ補強材の内面にフィルムが積層
された管更生部材であって、前記フィルムが、請求項1
又は2記載の水中生物付着防止構成体よりなるものであ
る。
【0027】本発明3の管更生部材においては、本発明
1又は本発明2の水中生物付着防止構成体が適用され
る。この場合において、本発明1又は本発明2の「第一
の樹脂層」は、上記樹脂成分を含浸させて筒状に編み込
んだ補強材そのものであってもよいし、上記樹脂成分を
含浸させて筒状に編み込んだ補強材の内面に積層したフ
ィルムであってもよい。
【0028】上記管更生部材において、上記樹脂成分を
含浸させて筒状に編み込んだ補強材が上記第一の樹脂層
に相当する場合には、上記樹脂成分を含浸させて筒状に
編み込んだ補強材の内面に積層されるフィルムが、上記
第二の樹脂層に相当するものとなる。
【0029】また、上記管更生部材においては、上記樹
脂成分を含浸させて筒状に編み込んだ補強材の外面に、
上記内面に積層されたフィルムではないフィルムが積層
され、補強材及び樹脂成分が上記2種のフィルムによっ
て内包された形態としてもよい。この場合、上記内面に
積層されたフィルムをインナーフィルムといい、上記内
面に積層されたフィルムではないフィルムをアウターフ
ィルムと称する。
【0030】上記管更生部材は、あらかじめ防汚剤が添
加された層に、さらに表面に防汚剤溶出速度を制御する
層が配してあるので、上記管更生部材によって通常に管
路を更生した状態で、上記フィルムが管内周面に貼設さ
れた状態になることとなる。
【0031】上記管更生部材は、管内周面が防汚剤溶出
速度を制御する層に覆われているので、防汚剤溶出速度
が過剰にならず、長期の防汚効果を発揮する。また、接
着性の向上等必要に応じて、フィルムに、上記第一の樹
脂層と上記第二の樹脂層との2層以外に、その他の層を
設けても良い。
【0032】上記防汚機能を付与したフィルムは1枚だ
けで使用しても良いし、複数枚を積層して使用しても良
い。この場合、管内周面の表層のフィルムの防汚期間が
過ぎて生物の付着が始まれば、表層フィルムを付着生物
とともに剥がし、新たな次層のフィルムを露出させるこ
とで、そのまま防汚管として使用できる利点がある。
【0033】
【発明の実施の形態】本発明3の管更生部材の具体例
を、図面を参照しながら説明する。図3は、本発明3の
管更生部材1の全体構造の概略を示し、図4は、同管更
生部材のインナーフィルム13の構造を示し、図5は、
同管更生部材1による輸送管2の更生状態を示してい
る。
【0034】上記管更生部材1は、筒状に編み込んだ特
殊ガラス繊維11に、光硬化性不飽和ポリエステル樹脂
12を含浸させた状態で、この特殊ガラス繊維11及び
光硬化性不飽和ポリエステル樹脂12がインナーフィル
ム13とアウターフィルム14とによって内包されたも
のであって、インナーフィルム13は、防汚剤を添加し
た第一の樹脂層111と、防汚剤の溶出速度を制御する
第二の樹脂層112を含む構成である。
【0035】この管更生部材1によって、防汚処理のさ
れた海水輸送管を更生する場合には、まず、更生する輸
送管2の部分の洗浄を行う(a)。この洗浄は、例え
ば、高圧散水装置3等によって行うことができる。つい
で、この洗浄した部分に管更生部材1を装着する
(b)。この装着方法としては、空気圧等によって、膨
張する圧接部材によって、管更生部材1を更生部分の内
面に圧接状態で装着しても良いし、あらかじめインナー
フィルム13が外側となるように反転状態にしておいた
管更生部材1を、インナーフィルム13が内側となる正
規の状態に反転させながら輸送管2の更生部分に装着し
ても良い。
【0036】そして、この管更生部材1の内部に紫外線
照射ランプ4を走行させ、この管更生部材1を輸送管2
の内面に沿った形で硬化させて作業を完了する(c)。
この状態で、防汚効果を発現させるためには、硬化した
光硬化性不飽和ポリエステル樹脂12とインナーフィル
ム13とを強固に接着しておく必要がある。
【0037】そのため、硬化状態で光硬化性不飽和ポリ
エステル樹脂12とインナーフィルム13との接着力が
不足するような場合は、あらかじめ、光硬化性不飽和ポ
リエステル樹脂12とインナーフィルム13との接する
部分に、プライマー(例えば、バイエル社製、デスモジ
ュールRE等)を塗布しておくことが望ましい。又は、
光硬化性不飽和ポリエステル樹脂12とインナーフィル
ム13の間に、別の樹脂層を設けても良い。
【0038】この管更生部材によると、インナーフィル
ム13中の防汚剤添加層111に防汚剤を添加している
ので、通常に海水の輸送管2を更生した状態で、インナ
ーフィルム13が管内周面に貼設された状態となり、施
工後に別途防汚処理を行うことなく簡単に防汚効果が得
られることとなる。
【0039】なお、この実施の形態では、樹脂成分とし
て光硬化性不飽和ポリエステル樹脂12を使用している
ため、紫外線照射ランプ4の照射によって硬化させるよ
うになされているが、この樹脂成分が熱硬化性樹脂の場
合には、ランプ(図示省略)の照射熱や熱風の吹き付
け、熱水の導入等の手段によって硬化させることもでき
る。
【0040】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。
【0041】実施例1 酢酸ビニル含量33重量%のエチレン−酢酸ビニル共重
合体樹脂(三井デュポンポリケミカル社製)100重量
部に、防汚剤として10重量部の3′−イソプロピル−
2−メチルベンズアニリド(イハラケミカル工業社製)
を加え、130℃でミキシングロールにて均一に混練し
た。混練後熱プレス(100kg/cm 2 )で厚さ1m
mのシートを作製した。このシートに厚さ0.03mm
のナイロン6フィルム(東洋紡績社製)を重ね、80
℃、5分間、100kg/cm2 で熱プレス後、急冷
し、目的とする水中生物付着防止構成体を得た。
【0042】この水中生物付着防止構成体を海水中に浸
漬し防汚効果を観察するため、樹脂層と塩化ビニル板を
接着剤を用いて張り合わせ浸漬用サンプルとした。この
サンプルを水深3mの海中に6カ月間浸漬し、表面の生
物の付着度合いの経時的な変化を観察するとともに、サ
ンプルから溶出する防汚剤の量を分析した。評価は2カ
月毎に海中から取り出して行った。この結果を表1及び
図1に示す。
【0043】表1よりサンプル表面には6カ月間生物の
付着は認められないことが判った。また、図1より防汚
剤の溶出量は、2カ月後よりほぼ一定の値を示すことが
判った。
【0044】実施例2 第一の樹脂層として酢酸ビニル含量19重量%のエチレ
ンー酢酸ビニル共重合体樹脂(三井デュポンポリケミカ
ル社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様に浸漬用
サンプルを作製した。また、このサンプルについて、実
施例1と同様に水深3mの海中に6カ月間浸漬し、表面
の生物の付着度合いの経時的な変化を観察した。結果を
表1に示す。表1よりサンプル表面には6カ月間生物の
付着は認められないことが判った。
【0045】実施例3 酢酸ビニル含量33重量%のエチレン−酢酸ビニル共重
合体樹脂(三井デュポンポリケミカル社製)100重量
部に、防汚剤として10重量部の3′−イソプロピル−
2−メチルベンズアニリド(イハラケミカル工業社製)
を加え、130℃でミキシングロールにて均一に混練し
た。混練後熱プレス(100kg/cm 2 )で厚さ1m
mのシートを作製した。このシートに厚さ0.04mm
のアイオノマーフィルム(亜鉛イオンタイプ)(タマポ
リ社製)を重ね、80℃、5分間、100kg/cm2
で熱プレス後、急冷し、目的とする水中生物付着防止構
成体を得た。
【0046】この水中生物付着防止構成体を海水中に浸
漬し防汚効果を観察するため、樹脂層と塩化ビニル板を
接着剤を用いて張り合わせ浸漬用サンプルとした。この
サンプルを水深3mの海中に6カ月間浸漬し、表面の生
物の付着度合いの経時的な変化を観察するとともに、サ
ンプルから溶出する防汚剤の量を分析した。評価は2カ
月毎に海中から取り出して行った。その結果を表1及び
図2に示す。
【0047】表1よりサンプル表面には6カ月間生物の
付着は認められないことが判った。また、図2より防汚
剤の溶出量は浸漬前は高値を示したが、2カ月後よりほ
ぼ一定の値を示すことが判った。
【0048】実施例4 制御層としてアイオノマーフィルム(ナトリウムイオン
タイプ)(タマポリ社製)を用いたこと以外は、実施例
3と同様に浸漬用サンプルを作製した。また、このサン
プルについて、実施例3同様に水深3mの海中に6カ月
間浸漬し、表面の生物の付着度合いの経時的な変化を観
察するとともに、サンプルから溶出する防汚剤の量を分
析した。結果を表1及び図2に示す。
【0049】実施例3と同様、表1よりサンプル表面に
は6カ月間生物の付着は認められないことが判った。ま
た、図2より実施例3と比較すると多少溶出量は低い傾
向を示したが、防汚剤の溶出量は浸漬前は高値であり、
2カ月後よりほぼ一定の値を示すことが判った。
【0050】実施例5 樹脂層として酢酸ビニル含量19重量%のエチレン−酢
酸ビニル共重合体樹脂(三井デュポンポリケミカル社
製)を用いたこと以外は、実施例3と同様に浸漬用サン
プルを作製した。このサンプルについて、実施例3と同
様に水深3mの海中に6カ月間侵漬し、表面の生物の付
着度合いの経時的な変化を観察した。結果を表1に示
す。表1よりサンプル表面には6カ月間生物の付着が認
められないことが判った。
【0051】比較例1 酢酸ビニル含量33重量%のエチレン−酢酸ビニル共重
合体樹脂(三井デュポンポリケミカル社製)100重量
部に、防汚剤として10重量部の3′−イソプロピル−
2−メチルベンズアニリド(イハラケミカル工業社製)
を加え、130℃でミキシングロールにて均一に混練し
た。混練後熱プレス(100kg/cm 2 )で厚さ1m
mのシートを作製した。このシートを海水中に浸漬し防
汚効果を観察するため、樹脂層と塩化ビニル板を接着剤
を用いて張り合わせ浸漬用サンプルとした。このサンプ
ルについて、実施例1と同様に水深3mの海中に6カ月
間浸漬し、表面の生物の付着度合いの経時的な変化を観
察するとともに、サンプルから溶出する防汚剤の量を分
析した。結果を表1及び図1に示す。
【0052】表1より浸漬後2カ月間は防汚性が認めら
れたが、4カ月後には失われたことが判った。図1より
溶出量は実施例1と比べ浸漬後2ヶ月間はかなり高値を
示したが、減衰が速く6カ月後にはほとんど溶出は認め
られず、6カ月間の全溶出量は樹脂に配合した量とほぼ
等しかったことが判った。また、図2より溶出量は実施
例3及び4と比べ浸漬後2ヶ月間はかなり高値を示した
が、減衰が速く6カ月後にはほとんど溶出は認められ
ず、6カ月間の全溶出量は樹脂に配合した量とほぼ等し
かったことが判った。
【0053】比較例2 防汚剤を加えなかったこと以外は実施例1と同様に浸漬
用サンプルを作製した。このサンプルについて、実施例
1と同様に水深3mの海中に6カ月間浸漬し、表面の生
物の付着度合いを評価した。結果を表1に示す。浸漬2
カ月後には浸漬サンプルの全面に生物の付着が認められ
た。
【0054】比較例3 防汚剤を加えなかったこと以外は実施例3と同様にして
浸漬用サンプルを作製した。このサンプルについて、実
施例3と同様に水深3mの海中に6カ月間浸漬し、表面
の生物の付着度合いを評価した。結果を表1に示す。浸
漬2カ月後には浸漬サンプルの全面に生物の付着が認め
られることが判った。
【0055】比較例4 防汚剤を加えなかったこと以外は実施例4と同様にして
浸漬用サンプルを作製した。このサンプルについて、実
施例3と同様に水深3mの海中に6カ月間浸漬し、表面
の生物の付着度合いを評価した。結果を表1に示す。浸
漬2カ月後には浸漬サンプルの全面に生物の付着が認め
られることが判った。
【0056】表1中、評価基準0は、生物の付着面積0
%、評価基準1は、生物の付着面積5%未満、評価基準
2は、生物の付着面積5%以上10%未満、評価基準3
は、生物の付着面積10%以上20%未満、評価基準4
は、生物の付着面積20%以上を、それぞれ表す。
【0057】
【表1】
【0058】
【発明の効果】本発明の水中生物付着防止構成体は、上
述の構成からなるので、防汚剤の有効溶出量を長期間維
持することができ、水中にて長期にわたって防汚効果を
持続することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1、比較例1の浸漬サンプルからの防汚
剤の溶出量と浸漬期間との関係を示す図である。縦軸
は、3′−イソプロピル−2−メチルベンズアニリドの
溶出量(μg/cm2 /day)を表し、横軸は、浸漬
期間(月)を表す。○は、実施例1を、△は、比較例1
を、それぞれ表す。
【図2】実施例3及び4、比較例1の浸漬サンプルから
の防汚剤の溶出量と浸漬期間との関係を示す図である。
縦軸は、3′−イソプロピル−2−メチルベンズアニリ
ドの溶出量(μg/cm2 /day)を表し、横軸は、
浸漬期間(月)を表す。○は、実施例3を、□は、実施
例4を、△は、比較例1を、それぞれ表す。
【図3】管更生部材の全体構成の概路を示す部分破断側
面図である。
【図4】管更生部材のインナーフィルムの構成の概略を
示す部分断面図である。
【図5】管更生部材による管更生状態の概略を説明する
行程図である。
【符号の説明】
1 管更生部材 2 輸送管 3 高圧散水装置 4 紫外線照射ランプ 11 特殊ガラス繊維(補強材) 12 光硬化性不飽和ポリエステル樹脂(樹脂成分) 13 インナーフィルム 14 アウターフィルム 111 防汚剤を添加した第一の樹脂層 112 防汚剤の溶出量を制御する第二の樹脂層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C08K 5/00 KEG C08K 5/00 KEG C08L 23/08 C08L 23/08

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレンとエチレン性不飽和結合を有す
    る有機カルボン酸エステル誘導体との共重合体樹脂に防
    汚剤を配合した第一の樹脂層の表面に、主鎖に酸アミド
    結合を有する第二の樹脂層が前記防汚剤の溶出量を制御
    するために積層されていることを特徴とする水中生物付
    着防止構成体。
  2. 【請求項2】 エチレンとエチレン性不飽和結合を有す
    る有機カルボン酸エステル誘導体との共重合体樹脂に防
    汚剤を配合した第一の樹脂層の表面に、エチレンとエチ
    レン性不飽和結合を有する有機カルボン酸との共重合体
    樹脂又はその金属イオン架橋樹脂からなる第二の樹脂層
    が前記防汚剤の溶出量を制御するために積層されている
    ことを特徴とする水中生物付着防止構成体。
  3. 【請求項3】 樹脂成分を含浸させて筒状に編み込んだ
    補強材の内面にフィルムが積層された管更生部材であっ
    て、前記フィルムが、請求項1又は2記載の水中生物付
    着防止構成体からなることを特徴とする管更生部材。
JP28031095A 1995-10-27 1995-10-27 水中生物付着防止構成体及び管更生部材 Pending JPH09125335A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007301953A (ja) * 2006-05-15 2007-11-22 Yoshika Kk 管更生用ライニング管及び該管更生用ライニング管を用いたライニング工法

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