JPH0912487A - ペンタフルオロエタンと1,1,1−トリフルオロエタンの分離方法 - Google Patents

ペンタフルオロエタンと1,1,1−トリフルオロエタンの分離方法

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JPH0912487A
JPH0912487A JP7163942A JP16394295A JPH0912487A JP H0912487 A JPH0912487 A JP H0912487A JP 7163942 A JP7163942 A JP 7163942A JP 16394295 A JP16394295 A JP 16394295A JP H0912487 A JPH0912487 A JP H0912487A
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pentafluoroethane
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ペンタフルオロエタンと1,1,1−トリフ
ルオロエタンとを分離する。 【構成】 抽剤として、炭素数1〜2の塩化炭素類また
は塩化炭化水素類の一種を用いて抽出蒸留する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はペンタフルオロエタン
(以下,「HFC125」という)と1,1,1−トリ
フルオロエタン(以下,「HFC143a」という)の
混合物からHFC125を効率的に分離する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】流体混合物をその構成成分に分離する方
法の一つとして蒸留法がもっとも一般的である。しか
し,HFC125とHFC143aはその標準沸点が−
48.49℃と−47.23℃と近く,また,HFC1
25に対するHFC143aの比揮発度は1に近い共沸
混合物であることが知られており,単なる蒸留法のみで
分離するのは非常に困難である。そこでHFC125か
らHFC143aを分離する方法として現在までに提案
されているのは,米国特許第3,732,150号があ
り,アンモニアを添加することによりHFC143aと
アンモニアの共沸物をつくりHFC125を分離する共
沸蒸留法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,上記米
国特許第3,732,150号に開示された分離方法で
は共沸剤としてアンモニアを用いているが,アンモニア
は可燃性ガスであり,危険性が大きい。本発明者らはさ
らに実用的な抽剤を探索した結果本発明に到達したもの
であり,従って,本発明はより危険性の少ない実用的な
抽剤を用いてHFC125とHFC143aの混合物か
ら効率的にHFC125を分離する方法を提供すること
にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は,炭素数1ない
し2の塩化炭素類または塩化炭化水素類から選ばれた抽
剤を用いて抽出蒸留法することによりHFC125とH
FC143aの共沸混合物からHFC125を分離する
方法を提供する。炭素数1ないし2の塩化炭素類または
塩化炭化水素類から選ばれた抽剤を用いてHFC125
とHFC143aの混合物を抽出蒸留することにより,
きわめて効率的にHFC125が分離できることがわか
った。特にこの抽剤は,ジクロロメタン,クロロホル
ム,四塩化炭素,トリクロロエチレンおよびパークロロ
エチレンからなる群から選ばれたものであることが好ま
しい。
【0005】これは抽出蒸留系における上記抽剤の存在
によって,HFC125に対するHFC143aの比揮
発度を1より大きくする方向または小さくする方向に変
化させることによってもたらされる効果である。すなわ
ち,一般に比揮発度が1の場合は気液両相の組成が同一
となるため蒸留による分離は不可能である。HFC12
5に対するHFC143aの比揮発度が1より大きくな
ると気相中のHFC143aのモル分率が液相中のモル
分率より大きくなり,HFC143aは気相側に濃縮さ
れ蒸留分離可能となる。また逆に,比揮発度が1より小
さくなると液相中のHFC143aのモル分率が気相中
のモル分率より大きくなり,HFC143aは液相側に
濃縮され,同様に蒸留分離可能となる。
【0006】本発明に用いる好ましい抽剤の標準沸点を
以下に示す。 ジクロロメタン : 40.2℃ クロロホルム : 61.2℃ 四塩化炭素 : 76.6℃ トリクロロエチレン: 86.9℃ パークロロエチレン:121℃ このように,本発明に用いる好ましい抽剤の沸点はHF
C125,HFC143aの沸点に比べ充分に高い。
【0007】一般的に,流体混合物と抽剤との沸点差
は,抽剤を回収することを考慮すると約30℃以上,好
ましくは40℃以上であることが望まれる。本発明の抽
剤として用いられる炭素数1ないし2の塩化炭素類また
は塩化炭化水素類は沸点が比較的高く,上記の要求を満
たしている。本発明に用いる好ましい抽剤の例であるジ
クロロメタン,クロロホルム,四塩化炭素,トリクロロ
エチレンおよびパークロロエチレンはいずれも非引火性
であるので,製造工場で用いる抽剤としてこの観点から
も好適である。また,これらの抽剤はいずれも市場で安
価でかつ容易に入手し得るものであり,さらには冷媒等
に使用されているクロロフルオロカーボン類の製造原料
に使用されていることより,実用性が高い抽剤と言え
る。
【0008】本発明に用いる好ましい抽出蒸留法は,蒸
留塔において供給原料の供給段より上段に抽剤を供給し
蒸留する方法である。蒸留塔としては通常の蒸留に必要
な機能が備えてあればどのようなものでも使用できる
が,充填塔や棚段塔などの精密蒸留塔を使用することが
好ましい。蒸留の操作条件はユーティリティや分離度な
どにより種々の態様が可能であり,限定されるものでは
ない。蒸留塔の塔頂温度が低くなりすぎないように,操
作圧力は約5kg/cm2 abs以上であることが好ま
しい。この場合,塔頂温度は約−10℃以上となる。
【0009】蒸留の際,抽剤がHFC125に対するH
FC143aの比揮発度を1より小さくする場合,塔底
からはHFC143aをより多く含んだHFC125と
抽剤の混合物が缶出し,塔頂から実質的にHFC143
aを含まない高純度のHFC125が得られる。蒸留塔
の塔底からHFC143aおよび若干のHFC125と
の混合物として缶出された抽剤は,HFC125やHF
C143aとの沸点差が大きいため蒸留により容易に混
合物から単離することができる。
【0010】また,場合によっては抽剤としてそのまま
循環再利用も可能である。一般に,抽剤濃度は高いほど
分離対象物質間の比揮発度を1より隔てるのに有利であ
り,本発明における抽剤ではその濃度が20重量%以
上,より好ましくは50〜90重量%の範囲である。ま
た,上記抽剤はそれぞれ単独で使用してもよいが,2種
以上を混合して使用することも可能である。
【0011】
【実施例】本発明を実施例により具体的に説明する。 (実施例1)ステンレス製のオスマー型気液平衡測定装
置に,HFC143aを5重量%含んだHFC125を
供給原料として仕込み,これにそれぞれ抽剤としてジク
ロロメタン,クロロホルム,四塩化炭素,トリクロロエ
チレンおよびパークロロエチレンを添加して気液平衡関
係を測定した。一連の試験結果を表1に示す。
【0012】
【表1】
【0013】どの抽剤においてもHFC125に対する
HFC143aの比揮発度は1から減少している。その
減少量について注目すると、特にトリクロロエチレン及
びジクロロメタンを用いた場合に非常に大きい比揮発度
の減少を示していることが分かる。
【0014】(実施例2)ステンレス製のオスマー型気
液平衡測定装置に,HFC143aを5重量%含んだH
FC125を供給原料として仕込み,これに所定濃度に
なるように抽剤としてトリクロロエチレンを添加して気
液平衡関係を測定した。試験結果を表2に示す。
【0015】
【表2】
【0016】この結果より,HFC125に対するHF
C143aの比揮発度は液相中の抽剤濃度が増加するに
伴い単調に下降し,分離能が向上していることがわか
る。
【0017】(実施例3)塔径65mm,理論段24段
のステンレス製の精密蒸留塔を用い,圧力6kg/cm
2 absで,HFC143aを1重量%含んだHFC1
25を供給原料として塔頂から21段の位置に2kg/
hで供給し,トリクロロエチレンを抽剤として塔頂から
5段の位置に4kg/hで供給した。還流比2で抽出蒸
留を行い,塔頂より留出物を1.7kg/hで留出さ
せ,塔底から4.3kg/hの缶出物を得た。その結果
を表3に示す。
【0018】
【表3】
【0019】この結果より,純度99重量%のHFC1
25を抽出蒸留することにより純度99.99重量%の
HFC125が塔頂留出物として得られた。
【0020】
【発明の効果】以上述べたように,本発明は,従来分離
が困難であるペンタフルオロエタンと1,1,1−トリ
フルオロエタンの共沸混合物を炭素数1ないし2の塩化
炭素類または塩化炭化水素類から選ばれた抽剤を用いて
抽出蒸留することにより,ペンタフルオロエタンを容易
に分離することを可能とした画期的な方法である。この
ような比揮発度を1より小さくする抽剤の例としては四
塩化炭素、トリクロロエチレン、パークロロエチレンな
どをあげることができる。一方、抽剤が比揮発度を1よ
り大きくする場合、塔頂からHFC143aをより多く
含んだHFC125が留出し、塔底からは実質的にHF
C143を含まないHFC125と抽剤の混合物が缶出
する。この缶出物は蒸留することにより高純度のHFC
125を容易に得ることができる。このような比揮発度
を1より大きくする抽剤の例としてはジクロロメタン、
クロロホルムなどをあげることができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペンタフルオロエタンと1,1,1−ト
    リフルオロエタンの混合物を、炭素数1ないし2の塩化
    炭素類または塩化炭化水素類の少なくとも一種から選ば
    れた抽剤を用いて抽出蒸留することを特徴とするペンタ
    フルオロエタンと1,1,1−トリフルオロエタンの分
    離方法。
  2. 【請求項2】 抽剤がジクロロメタン,クロロホルム,
    四塩化炭素,トリクロロエチレン,またはパークロロエ
    チレンからなる群から選ばれたものである請求項1に記
    載の分離方法。
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