JPH09124653A - 水和物結晶及びその製造方法 - Google Patents
水和物結晶及びその製造方法Info
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- JPH09124653A JPH09124653A JP24132396A JP24132396A JPH09124653A JP H09124653 A JPH09124653 A JP H09124653A JP 24132396 A JP24132396 A JP 24132396A JP 24132396 A JP24132396 A JP 24132396A JP H09124653 A JPH09124653 A JP H09124653A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】抗ヒスタミン作用及び抗アレルギー作用を有
し、気管支喘息，アレルギー性鼻炎，皮膚疾患，蕁麻疹
等の治療剤として有用な３−〔４−（８−フルオロ−
５，１１−ジヒドロベンズ〔ｂ〕オキセピノ〔４，３−
ｂ〕ピリジン−１１−イリデン）ピペリジノ〕プロピオ
ン酸の安定な結晶を得る。 【解決手段】上記化合物の無水物結晶を含む結晶性物質
を含水アセトン処理した後、乾燥処理と加湿処理とを行
うことにより、粉末Ｘ線回折像において回折角２θが約
４．２°，１７．０°，及び２１．３°の位置に強度の
大きい回折ピークを与える安定な上記化合物の２水和物
結晶を得ることができる。
し、気管支喘息，アレルギー性鼻炎，皮膚疾患，蕁麻疹
等の治療剤として有用な３−〔４−（８−フルオロ−
５，１１−ジヒドロベンズ〔ｂ〕オキセピノ〔４，３−
ｂ〕ピリジン−１１−イリデン）ピペリジノ〕プロピオ
ン酸の安定な結晶を得る。 【解決手段】上記化合物の無水物結晶を含む結晶性物質
を含水アセトン処理した後、乾燥処理と加湿処理とを行
うことにより、粉末Ｘ線回折像において回折角２θが約
４．２°，１７．０°，及び２１．３°の位置に強度の
大きい回折ピークを与える安定な上記化合物の２水和物
結晶を得ることができる。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗ヒスタミン作用
及び抗アレルギー作用を有し、気管支喘息，アレルギー
性鼻炎，皮膚疾患，蕁麻疹等の治療及び／又は予防のた
めの医薬の有効成分として有用な両性型三環系化合物：
３−〔４−（８−フルオロ−５，１１−ジヒドロベンズ
〔ｂ〕オキセピノ〔４，３−ｂ〕ピリジン−１１−イリ
デン）ピペリジノ〕プロピオン酸の新規な２水和物結晶
及びその製造方法に関するものである。
及び抗アレルギー作用を有し、気管支喘息，アレルギー
性鼻炎，皮膚疾患，蕁麻疹等の治療及び／又は予防のた
めの医薬の有効成分として有用な両性型三環系化合物：
３−〔４−（８−フルオロ−５，１１−ジヒドロベンズ
〔ｂ〕オキセピノ〔４，３−ｂ〕ピリジン−１１−イリ
デン）ピペリジノ〕プロピオン酸の新規な２水和物結晶
及びその製造方法に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】次式（Ｉ）で示される３−〔４−（８−
フルオロ−５，１１−ジヒドロベンズ〔ｂ〕オキセピノ
〔４，３−ｂ〕ピリジン−１１−イリデン）ピペリジ
ノ〕プロピオン酸は、本発明者らにより初めて見いださ
れた化合物であり、特開平６−１９２２６３号公報の実
施例２に記載されている。この化合物は、抗ヒスタミン
作用及び抗アレルギー作用を有し、気管支喘息，アレル
ギー性鼻炎，皮膚疾患，蕁麻疹等の治療及び／又は予防
のための医薬の有効成分として有用な化合物であること
が明らかにされている。上記の刊行物には、この化合物
の無水物がその物理化学的性状とともに具体的に開示さ
れており、融点は１６０〜１６１℃であると記載されて
いる。
フルオロ−５，１１−ジヒドロベンズ〔ｂ〕オキセピノ
〔４，３−ｂ〕ピリジン−１１−イリデン）ピペリジ
ノ〕プロピオン酸は、本発明者らにより初めて見いださ
れた化合物であり、特開平６−１９２２６３号公報の実
施例２に記載されている。この化合物は、抗ヒスタミン
作用及び抗アレルギー作用を有し、気管支喘息，アレル
ギー性鼻炎，皮膚疾患，蕁麻疹等の治療及び／又は予防
のための医薬の有効成分として有用な化合物であること
が明らかにされている。上記の刊行物には、この化合物
の無水物がその物理化学的性状とともに具体的に開示さ
れており、融点は１６０〜１６１℃であると記載されて
いる。
【化１】
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは前記式
（Ｉ）で示される化合物の結晶性物質の再結晶方法及び
精製方法について鋭意検討するうち、この化合物の結晶
性物質が異種の結晶形（無水物結晶及び２水和物結晶）
として存在することを見いだした。本発明者らは、上記
化合物の無水物が保存時の環境条件によって影響をうけ
易く、安定性の点で問題があることを認識していたが、
上記の２水和物結晶は実質的にこのような問題を有して
おらず、医薬の有効成分として優れたものであることを
確認した。なお、従来、この化合物の結晶性２水和物の
存在については全く知られておらず、特開平６−１９２
２６３号公報にも具体的な開示はない。本発明者らはさ
らに研究を継続するうち、上記化合物の結晶性物質を通
常の方法に従って単離・精製すると、製造条件の微細な
変動によって、これらの異種結晶（無水物結晶及び２水
和物結晶）がそれぞれ単独に析出するか、又はそれらの
混合物として析出してしまい、一定品質の結晶が得られ
ないという問題に直面した。
（Ｉ）で示される化合物の結晶性物質の再結晶方法及び
精製方法について鋭意検討するうち、この化合物の結晶
性物質が異種の結晶形（無水物結晶及び２水和物結晶）
として存在することを見いだした。本発明者らは、上記
化合物の無水物が保存時の環境条件によって影響をうけ
易く、安定性の点で問題があることを認識していたが、
上記の２水和物結晶は実質的にこのような問題を有して
おらず、医薬の有効成分として優れたものであることを
確認した。なお、従来、この化合物の結晶性２水和物の
存在については全く知られておらず、特開平６−１９２
２６３号公報にも具体的な開示はない。本発明者らはさ
らに研究を継続するうち、上記化合物の結晶性物質を通
常の方法に従って単離・精製すると、製造条件の微細な
変動によって、これらの異種結晶（無水物結晶及び２水
和物結晶）がそれぞれ単独に析出するか、又はそれらの
混合物として析出してしまい、一定品質の結晶が得られ
ないという問題に直面した。
【０００４】一つの化合物を含む結晶性物質が無水物や
水和物など複数の形態で存在している場合には、それぞ
れの結晶は異なる物理化学的性質を有しているのが一般
的である。特に、これらを医薬の有効成分として用いる
場合には、それぞれの結晶性物質は吸収性や血中濃度な
どの点で異なった特性を有しており、医薬の作用・効果
を決定する一要因となる生物学的利用性に差を生じるこ
とが多い。従って、常に一定の作用効果を達成できる医
薬を製造するためには、医薬の有効成分として一定品質
の結晶性物質を用いる必要があり、作用・効果や安定性
などの種々の観点から最も医薬に適した形態の結晶性物
質を選出し、その結晶性物質を選択的に製造することが
求められる。
水和物など複数の形態で存在している場合には、それぞ
れの結晶は異なる物理化学的性質を有しているのが一般
的である。特に、これらを医薬の有効成分として用いる
場合には、それぞれの結晶性物質は吸収性や血中濃度な
どの点で異なった特性を有しており、医薬の作用・効果
を決定する一要因となる生物学的利用性に差を生じるこ
とが多い。従って、常に一定の作用効果を達成できる医
薬を製造するためには、医薬の有効成分として一定品質
の結晶性物質を用いる必要があり、作用・効果や安定性
などの種々の観点から最も医薬に適した形態の結晶性物
質を選出し、その結晶性物質を選択的に製造することが
求められる。
【０００５】上述したように、前記式（Ｉ）で示される
化合物には無水物及び２水和物の２種の結晶形が存在し
ており、しかも、製造条件によっては２つの結晶形の混
合物が得られる場合があるので、一定の品質の結晶性物
質を製造することが困難であった。このため、前記式
（Ｉ）で示される化合物の２水和物を選択的かつ簡便に
大量生産する方法を開発する必要があった。
化合物には無水物及び２水和物の２種の結晶形が存在し
ており、しかも、製造条件によっては２つの結晶形の混
合物が得られる場合があるので、一定の品質の結晶性物
質を製造することが困難であった。このため、前記式
（Ｉ）で示される化合物の２水和物を選択的かつ簡便に
大量生産する方法を開発する必要があった。
【０００６】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題を解決すべく鋭意研究した結果、前記式（Ｉ）で示さ
れる化合物の２水和物の結晶が高湿度条件下においても
安定であり、医薬品として極めて有用であること、及
び、この２水和物を特定の方法に従って選択的かつ簡便
に合成できることを見いだし、本発明を完成するにいた
った。
題を解決すべく鋭意研究した結果、前記式（Ｉ）で示さ
れる化合物の２水和物の結晶が高湿度条件下においても
安定であり、医薬品として極めて有用であること、及
び、この２水和物を特定の方法に従って選択的かつ簡便
に合成できることを見いだし、本発明を完成するにいた
った。
【０００７】
【発明の実施の形態】すなわち本発明は、前記式（Ｉ）
で示される化合物の２水和物結晶を提供するものであ
る。この２水和物結晶は、粉末Ｘ線回折像において、回
折角２θが約４．２°，１７．０°，及び２１．３°の
位置に強度の大きい回折ピークを与えることを特徴とし
ている。また、この２水和物結晶は、粉末Ｘ線回折像に
おいて、回折角２θが約１１．５°，１９．２°，及び
２２．４°の位置に強度の大きい回折ピークを実質的に
与えないことを特徴としている。さらに、本発明の２水
和物結晶は、添付の図１に示した粉末Ｘ線回折図と実質
的に同一の粉末Ｘ線回折像を与える。
で示される化合物の２水和物結晶を提供するものであ
る。この２水和物結晶は、粉末Ｘ線回折像において、回
折角２θが約４．２°，１７．０°，及び２１．３°の
位置に強度の大きい回折ピークを与えることを特徴とし
ている。また、この２水和物結晶は、粉末Ｘ線回折像に
おいて、回折角２θが約１１．５°，１９．２°，及び
２２．４°の位置に強度の大きい回折ピークを実質的に
与えないことを特徴としている。さらに、本発明の２水
和物結晶は、添付の図１に示した粉末Ｘ線回折図と実質
的に同一の粉末Ｘ線回折像を与える。
【０００８】本発明の別の態様によれば、上記の２水和
物結晶の製造方法が提供される。この方法では、無水物
結晶を含む前記式（Ｉ）で示される化合物の結晶性物質
を含水アセトンで加熱還流処理した後、得られた結晶を
乾燥して加湿処理することを特徴としている。
物結晶の製造方法が提供される。この方法では、無水物
結晶を含む前記式（Ｉ）で示される化合物の結晶性物質
を含水アセトンで加熱還流処理した後、得られた結晶を
乾燥して加湿処理することを特徴としている。
【０００９】本発明により提供される２水和物結晶は式
（Ｉ）で示される化合物の結晶性物質であり、本明細書
に添付の図１に示される粉末Ｘ線回折図と実質的に同一
の粉末Ｘ線回折像を与える。もっとも、粉末Ｘ線回折像
は測定の条件によって測定誤差を含む場合があることが
知られており、特に、粉末Ｘ線回折像の強度については
一般的に測定条件により変動することが知られている。
従って、本発明の２水和物は、図１に示される粉末Ｘ線
回折図と完全に同一の粉末Ｘ線回折像を与えるものに限
定されることはなく、上記粉末Ｘ線回折図と実質的に同
一の粉末Ｘ線回折像を与える２水和物結晶は本発明の範
囲に包含されるものとして理解されるべきである。粉末
Ｘ線回折像の実質的同一性の判断は、粉末Ｘ線回折の分
野に属する当業者によって容易になされる。
（Ｉ）で示される化合物の結晶性物質であり、本明細書
に添付の図１に示される粉末Ｘ線回折図と実質的に同一
の粉末Ｘ線回折像を与える。もっとも、粉末Ｘ線回折像
は測定の条件によって測定誤差を含む場合があることが
知られており、特に、粉末Ｘ線回折像の強度については
一般的に測定条件により変動することが知られている。
従って、本発明の２水和物は、図１に示される粉末Ｘ線
回折図と完全に同一の粉末Ｘ線回折像を与えるものに限
定されることはなく、上記粉末Ｘ線回折図と実質的に同
一の粉末Ｘ線回折像を与える２水和物結晶は本発明の範
囲に包含されるものとして理解されるべきである。粉末
Ｘ線回折像の実質的同一性の判断は、粉末Ｘ線回折の分
野に属する当業者によって容易になされる。
【００１０】例えば、本発明の２水和物結晶は、粉末Ｘ
線回折像において回折角２θが約４．２°，１７．０
°，及び２１．３°の位置に強度の大きい回折ピークを
与えることを特徴としている。一方、この２水和物結晶
は、粉末Ｘ線回折像において回折角２θが約１１．５
°，１９．２°，及び２２．４°の位置に強度の大きい
回折ピークを実質的に与えないことを特徴としている。
一般的には、通常の粉末Ｘ線回折測定における回折角の
測定誤差は約５％以下であり、上記の回折角についても
この程度の測定誤差を勘案する必要がある。また、上記
のとおり、強度については実験条件による変動があるこ
とを理解すべきであり、前記の３回折ピークについては
その強度の順位を問題にすべきではない。
線回折像において回折角２θが約４．２°，１７．０
°，及び２１．３°の位置に強度の大きい回折ピークを
与えることを特徴としている。一方、この２水和物結晶
は、粉末Ｘ線回折像において回折角２θが約１１．５
°，１９．２°，及び２２．４°の位置に強度の大きい
回折ピークを実質的に与えないことを特徴としている。
一般的には、通常の粉末Ｘ線回折測定における回折角の
測定誤差は約５％以下であり、上記の回折角についても
この程度の測定誤差を勘案する必要がある。また、上記
のとおり、強度については実験条件による変動があるこ
とを理解すべきであり、前記の３回折ピークについては
その強度の順位を問題にすべきではない。
【００１１】本発明の２水和物結晶は、例えば、以下の
様にして製造することができる。前記式（Ｉ）で示され
る化合物の無水物結晶を含む結晶性物質を、必要に応じ
てアセトンで処理してアセトン和物とした後、含水アセ
トンで加熱還流し、さらに５０〜７０℃で乾燥した後に
４０〜８０％ＲＨ（相対湿度）の条件下で加湿処理する
ことにより製造することができる。結晶性物質として
は、実質的に無水物結晶からなる結晶性物質、又は、無
水物結晶と本発明の２水和物結晶との混合物からなる結
晶性物質などを用いることができる。
様にして製造することができる。前記式（Ｉ）で示され
る化合物の無水物結晶を含む結晶性物質を、必要に応じ
てアセトンで処理してアセトン和物とした後、含水アセ
トンで加熱還流し、さらに５０〜７０℃で乾燥した後に
４０〜８０％ＲＨ（相対湿度）の条件下で加湿処理する
ことにより製造することができる。結晶性物質として
は、実質的に無水物結晶からなる結晶性物質、又は、無
水物結晶と本発明の２水和物結晶との混合物からなる結
晶性物質などを用いることができる。
【００１２】上記製造方法において必要に応じて行われ
るアセトン和物の生成工程は、通常用いられる方法で実
施することができる。例えば、上記結晶性物質にアセト
ンを加えて攪拌するか、この混合物を５〜３０分程度加
熱還流することにより行うことができる。次工程の含水
アセトン処理工程において用いられる含水アセトンとし
ては５〜１０％、好ましくは６〜８％程度の水分を含む
アセトンを用いることができる。必要によりアセトン処
理した結晶性物質を、２０重量％程度の割合となるよう
に含水アセトンに懸濁し、５〜６０分程度加熱還流する
ことにより含水アセトンによる処理を行うことができ
る。
るアセトン和物の生成工程は、通常用いられる方法で実
施することができる。例えば、上記結晶性物質にアセト
ンを加えて攪拌するか、この混合物を５〜３０分程度加
熱還流することにより行うことができる。次工程の含水
アセトン処理工程において用いられる含水アセトンとし
ては５〜１０％、好ましくは６〜８％程度の水分を含む
アセトンを用いることができる。必要によりアセトン処
理した結晶性物質を、２０重量％程度の割合となるよう
に含水アセトンに懸濁し、５〜６０分程度加熱還流する
ことにより含水アセトンによる処理を行うことができ
る。
【００１３】なお、本明細書において「アセトン和物」
とは、前記式（Ｉ）で示される化合物の結晶性物質にア
セトン分子が結晶溶媒として取り込まれているものを意
味するが、このような結晶性物質には他の結晶溶媒及び
／又は結晶水が取り込まれていてもよい。前記式（Ｉ）
で示される結晶性物質を有機溶媒（例えば、イソプロピ
ルアルコールやメタノールなど）から再結晶したものを
本発明の方法の原料として用いる場合に、予めアセトン
和物を調製することが好ましい。いかなる理論に拘泥す
るわけではないが、結晶溶媒として結晶格子内に取り込
まれたイソプロピルアルコールなどの結晶溶媒の一部又
は全部がアセトンと置き替わり、以降の工程において２
水和物の調製が容易になる。
とは、前記式（Ｉ）で示される化合物の結晶性物質にア
セトン分子が結晶溶媒として取り込まれているものを意
味するが、このような結晶性物質には他の結晶溶媒及び
／又は結晶水が取り込まれていてもよい。前記式（Ｉ）
で示される結晶性物質を有機溶媒（例えば、イソプロピ
ルアルコールやメタノールなど）から再結晶したものを
本発明の方法の原料として用いる場合に、予めアセトン
和物を調製することが好ましい。いかなる理論に拘泥す
るわけではないが、結晶溶媒として結晶格子内に取り込
まれたイソプロピルアルコールなどの結晶溶媒の一部又
は全部がアセトンと置き替わり、以降の工程において２
水和物の調製が容易になる。
【００１４】次いで、含水アセトン処理工程により得ら
れた結晶を５０〜７０℃で１０〜３０時間程度乾燥した
後、得られた結晶を相対湿度４０〜８０％程度、好まし
くは相対湿度５０〜７０％の条件下に室温で１〜５時間
程度放置することにより本発明の２水和物結晶を製造す
ることができる。なお、本発明の２水和物結晶の出発原
料となる前記式（Ｉ）で示される化合物の無水物は、例
えば、特開平６−１９２２６３号公報に記載の方法によ
り製造することができる。
れた結晶を５０〜７０℃で１０〜３０時間程度乾燥した
後、得られた結晶を相対湿度４０〜８０％程度、好まし
くは相対湿度５０〜７０％の条件下に室温で１〜５時間
程度放置することにより本発明の２水和物結晶を製造す
ることができる。なお、本発明の２水和物結晶の出発原
料となる前記式（Ｉ）で示される化合物の無水物は、例
えば、特開平６−１９２２６３号公報に記載の方法によ
り製造することができる。
【００１５】本発明の２水和物結晶は式（Ｉ）で示され
る化合物を含む結晶性物質であり、抗ヒスタミン剤及び
／又は抗アレルギー剤の有効成分として有用である。特
に、本発明の２水和物結晶は、２５℃，相対湿度３３〜
８４％の加湿条件において実質的に吸湿性を示さず、長
期の保存においても安定であるという特徴があるので、
上記の医薬を製造するために極めて有用である。
る化合物を含む結晶性物質であり、抗ヒスタミン剤及び
／又は抗アレルギー剤の有効成分として有用である。特
に、本発明の２水和物結晶は、２５℃，相対湿度３３〜
８４％の加湿条件において実質的に吸湿性を示さず、長
期の保存においても安定であるという特徴があるので、
上記の医薬を製造するために極めて有用である。
【００１６】本発明の２水和物結晶を含む医薬は、製剤
の製造方法として通常用いられる方法に従って、錠剤，
カプセル剤，散剤，細粒剤，顆粒剤，若しくはシロップ
剤等の経口投与製剤、又は、注射剤，坐剤，点眼剤，若
しくは点耳剤等の非経口投与製剤として調製される。本
発明の２水和物結晶を有効成分として含む医薬は、気管
支喘息，アレルギー性鼻炎，皮膚疾患，蕁麻疹等の治療
及び／又は予防剤として使用することができる。ヒトに
対する投与量は患者の症状により適宜増減すべきである
が、一般的には、成人に経口投与する場合には１日あた
り１〜５００mg程度である。
の製造方法として通常用いられる方法に従って、錠剤，
カプセル剤，散剤，細粒剤，顆粒剤，若しくはシロップ
剤等の経口投与製剤、又は、注射剤，坐剤，点眼剤，若
しくは点耳剤等の非経口投与製剤として調製される。本
発明の２水和物結晶を有効成分として含む医薬は、気管
支喘息，アレルギー性鼻炎，皮膚疾患，蕁麻疹等の治療
及び／又は予防剤として使用することができる。ヒトに
対する投与量は患者の症状により適宜増減すべきである
が、一般的には、成人に経口投与する場合には１日あた
り１〜５００mg程度である。
【００１７】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定される
ことはない。 製造例１ ３−〔４−（８−フルオロ−５，１１−ジヒドロベンズ
〔ｂ〕オキセピノ〔４，３−ｂ〕ピリジン−１１−イリ
デン）ピペリジノ〕プロピオン酸・２水和物の製造 (1) 遊離形態の化合物の製造 ３−〔４−（８−フルオロ−５，１１−ジヒドロベンズ
〔ｂ〕オキセピノ〔４，３−ｂ〕ピリジン−１１−イリ
デン）ピペリジノ〕プロピオン酸・二臭化水素酸塩・水
和物１０．９kgを水１０リットルに溶解し、室温下で１
０％水酸化ナトリウム水溶液９．９リットルを滴下し
て、溶液のpHを６．６に調整した。この溶液を−３〜−
２℃で２時間攪拌し、析出結晶を濾取した。結晶を水
７．５リットルで洗浄後、３０℃で２４時間乾燥して、
淡桃色結晶７．６２kgを得た。イソプロピルアルコール
から再結晶して淡桃色結晶を得た。 (2) アセトン和物の調製 上記工程(1) で得られた結晶５．０４kgにアセトン３５
リットルを加え、１０分間加熱還流した後、３〜８℃で
２．５時間冷却攪拌した。析出結晶を濾取し、アセトン
和物の淡桃色結晶４．２９kgを得た。 (3) ２水和物の調製 上記工程(2) で得られた結晶２kgを粉砕し、７％含水ア
セトン１０リットルを加えて３０分間加熱還流した後、
８〜１０℃で３０分間冷却攪拌した。析出結晶を濾取
し、６０℃で１７時間乾燥して、無色結晶１．７９kgを
得た。得られた結晶を相対湿度５０〜７０％，室温下で
３時間放置し、融点１５０〜１５１℃の無色結晶１．９
５kgを得た。 ＮＭＲスペクトル δ (DMSO) ppm： 2.14-2.76(12H,
m),4.99(1H,d,J=13Hz),5.51(1H,d,J=13Hz),6.60(1H,dd,
J=10.5,2.5Hz),6.70-6.73(1H,m),7.06(1H,dd,J=8.5,7H
z),7.34(1H,dd,J=7.5,5Hz),7.89(1H,dd,J=7.5,1.5Hz),
8.51(1H,dd,J=5,1.5Hz) 水分測定（カールフィッシャー法） 理論値 ８．９ ％， 実測値 ９．０ ％
説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定される
ことはない。 製造例１ ３−〔４−（８−フルオロ−５，１１−ジヒドロベンズ
〔ｂ〕オキセピノ〔４，３−ｂ〕ピリジン−１１−イリ
デン）ピペリジノ〕プロピオン酸・２水和物の製造 (1) 遊離形態の化合物の製造 ３−〔４−（８−フルオロ−５，１１−ジヒドロベンズ
〔ｂ〕オキセピノ〔４，３−ｂ〕ピリジン−１１−イリ
デン）ピペリジノ〕プロピオン酸・二臭化水素酸塩・水
和物１０．９kgを水１０リットルに溶解し、室温下で１
０％水酸化ナトリウム水溶液９．９リットルを滴下し
て、溶液のpHを６．６に調整した。この溶液を−３〜−
２℃で２時間攪拌し、析出結晶を濾取した。結晶を水
７．５リットルで洗浄後、３０℃で２４時間乾燥して、
淡桃色結晶７．６２kgを得た。イソプロピルアルコール
から再結晶して淡桃色結晶を得た。 (2) アセトン和物の調製 上記工程(1) で得られた結晶５．０４kgにアセトン３５
リットルを加え、１０分間加熱還流した後、３〜８℃で
２．５時間冷却攪拌した。析出結晶を濾取し、アセトン
和物の淡桃色結晶４．２９kgを得た。 (3) ２水和物の調製 上記工程(2) で得られた結晶２kgを粉砕し、７％含水ア
セトン１０リットルを加えて３０分間加熱還流した後、
８〜１０℃で３０分間冷却攪拌した。析出結晶を濾取
し、６０℃で１７時間乾燥して、無色結晶１．７９kgを
得た。得られた結晶を相対湿度５０〜７０％，室温下で
３時間放置し、融点１５０〜１５１℃の無色結晶１．９
５kgを得た。 ＮＭＲスペクトル δ (DMSO) ppm： 2.14-2.76(12H,
m),4.99(1H,d,J=13Hz),5.51(1H,d,J=13Hz),6.60(1H,dd,
J=10.5,2.5Hz),6.70-6.73(1H,m),7.06(1H,dd,J=8.5,7H
z),7.34(1H,dd,J=7.5,5Hz),7.89(1H,dd,J=7.5,1.5Hz),
8.51(1H,dd,J=5,1.5Hz) 水分測定（カールフィッシャー法） 理論値 ８．９ ％， 実測値 ９．０ ％
【００１８】上記により得られた２水和物結晶及び特開
平６−１９２２６３号公報に開示された無水物結晶（融
点１６０〜１６１℃）について、Geigerflex 2013 型
(理学電機製) を用いて粉末Ｘ線回折を測定した（対陰
極：Cu, フィルター：Ni, 管電流：30mA, 管電圧：30k
V）。本発明の２水和物結晶の粉末Ｘ線回折図を図１に
示す。また、特開平６−１９２２６３号公報に開示され
た無水物結晶の粉末Ｘ線回折図を図２に示す。本発明の
２水和物結晶には、強度の大きい特徴的なピークを回折
角（２θ）が約４．２°，８．４°，１２．７°，１
７．０°，及び２１．３°の位置に認めた。一方、無水
物結晶には上記の回折角の位置には強度の大きい特徴的
なピークは認められず、回折角（２θ）が約８．９°，
１１．５°，１２．３°，１９．２°，及び２２．４°
の位置に強度の大きい特徴的なピークを認めた。
平６−１９２２６３号公報に開示された無水物結晶（融
点１６０〜１６１℃）について、Geigerflex 2013 型
(理学電機製) を用いて粉末Ｘ線回折を測定した（対陰
極：Cu, フィルター：Ni, 管電流：30mA, 管電圧：30k
V）。本発明の２水和物結晶の粉末Ｘ線回折図を図１に
示す。また、特開平６−１９２２６３号公報に開示され
た無水物結晶の粉末Ｘ線回折図を図２に示す。本発明の
２水和物結晶には、強度の大きい特徴的なピークを回折
角（２θ）が約４．２°，８．４°，１２．７°，１
７．０°，及び２１．３°の位置に認めた。一方、無水
物結晶には上記の回折角の位置には強度の大きい特徴的
なピークは認められず、回折角（２θ）が約８．９°，
１１．５°，１２．３°，１９．２°，及び２２．４°
の位置に強度の大きい特徴的なピークを認めた。
【００１９】試験例１：安定性試験（吸湿性試験） 製造例１により得られた本発明の２水和物結晶及び特開
平６−１９２２６３号公報に開示された無水物結晶を、
室温２５℃，相対湿度（ＲＨ）３３，６４，７５，８４
％に調湿した密閉容器中に７日間放置した後、重量変化
率を求めて吸湿性の指標とした。結果を表１に示す。無
水物結晶では３３％ＲＨ以外では吸湿性を示し、相対湿
度が上がるに従って吸湿の程度が大きくなったのに対
し、本発明の２水和物結晶では３３〜８４％ＲＨのいず
れの条件でも吸湿性はほとんど認められなかった。
平６−１９２２６３号公報に開示された無水物結晶を、
室温２５℃，相対湿度（ＲＨ）３３，６４，７５，８４
％に調湿した密閉容器中に７日間放置した後、重量変化
率を求めて吸湿性の指標とした。結果を表１に示す。無
水物結晶では３３％ＲＨ以外では吸湿性を示し、相対湿
度が上がるに従って吸湿の程度が大きくなったのに対
し、本発明の２水和物結晶では３３〜８４％ＲＨのいず
れの条件でも吸湿性はほとんど認められなかった。
【００２０】
【表１】
【００２１】
【発明の効果】本発明の２水和物結晶に含まれる式
（Ｉ）の化合物は、優れた抗ヒスタミン作用及び抗アレ
ルギー作用等を有しており、しかも中枢抑制作用等の副
作用が少ないという特徴を有している。本発明の２水和
物結晶は実質的に吸湿性がなく、長期保存後でも安定な
ので、上記化合物を有効成分として含む医薬の製造に極
めて有用である。また、本発明の方法に従えば、上記２
水和物結晶を選択的かつ簡便に製造することができるの
で、上記化合物を有効成分として含む一定品質の医薬の
製造が可能になる。
（Ｉ）の化合物は、優れた抗ヒスタミン作用及び抗アレ
ルギー作用等を有しており、しかも中枢抑制作用等の副
作用が少ないという特徴を有している。本発明の２水和
物結晶は実質的に吸湿性がなく、長期保存後でも安定な
ので、上記化合物を有効成分として含む医薬の製造に極
めて有用である。また、本発明の方法に従えば、上記２
水和物結晶を選択的かつ簡便に製造することができるの
で、上記化合物を有効成分として含む一定品質の医薬の
製造が可能になる。
【００２２】
【図１】本発明の２水和物結晶の粉末Ｘ線回折図を示
す。
す。
【図２】特開平６−１９２２６３号公報に開示された無
水物結晶の粉末Ｘ線回折図を示す。
水物結晶の粉末Ｘ線回折図を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西野 博幸 福井県勝山市荒土町松田23−14 (72)発明者 竹下 真 福井県勝山市立川町１丁目３−14
Claims (7)
- 【請求項１】３−〔４−（８−フルオロ−５，１１−ジ
ヒドロベンズ〔ｂ〕オキセピノ〔４，３−ｂ〕ピリジン
−１１−イリデン）ピペリジノ〕プロピオン酸・２水和
物結晶。 - 【請求項２】粉末Ｘ線回折像において図１に示した粉末
Ｘ線回折図と実質的に同一の粉末Ｘ線回折像を与える請
求項１に記載の２水和物結晶。 - 【請求項３】粉末Ｘ線回折像において回折角２θが約
４．２°，１７．０°，及び２１．３°の位置に強度の
大きい回折ピークを与える請求項１又は２に記載の２水
和物結晶。 - 【請求項４】粉末Ｘ線回折像において回折角２θが約１
１．５°，１９．２°，及び２２．４°の位置に強度の
大きい回折ピークを実質的に与えない請求項１〜３のい
ずれか１項に記載の２水和物結晶。 - 【請求項５】請求項１〜４のいずれか１項に記載の２水
和物結晶を含む医薬。 - 【請求項６】３−〔４−（８−フルオロ−５，１１−ジ
ヒドロベンズ〔ｂ〕オキセピノ〔４，３−ｂ〕ピリジン
−１１−イリデン）ピペリジノ〕プロピオン酸を有効成
分として含む医薬の製造のための請求項１〜４のいずれ
か１項に記載の２水和物結晶の使用。 - 【請求項７】３−〔４−（８−フルオロ−５，１１−ジ
ヒドロベンズ〔ｂ〕オキセピノ〔４，３−ｂ〕ピリジン
−１１−イリデン）ピペリジノ〕プロピオン酸の無水物
結晶を含む結晶性物質を含水アセトン処理した後、乾燥
処理と加湿処理とを行うことを特徴とする請求項１〜４
のいずれか１項に記載の２水和物結晶の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP24132396A JP3182685B2 (ja) | 1995-09-01 | 1996-08-23 | 水和物結晶及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP24859195 | 1995-09-01 | ||
| JP7-248591 | 1995-09-01 | ||
| JP24132396A JP3182685B2 (ja) | 1995-09-01 | 1996-08-23 | 水和物結晶及びその製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH09124653A true JPH09124653A (ja) | 1997-05-13 |
| JP3182685B2 JP3182685B2 (ja) | 2001-07-03 |
Family
ID=26535201
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP24132396A Expired - Fee Related JP3182685B2 (ja) | 1995-09-01 | 1996-08-23 | 水和物結晶及びその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3182685B2 (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2003503508A (ja) * | 1999-07-02 | 2003-01-28 | アストラゼネカ アクチボラグ | メラガトランの実質的結晶形 |
| WO2004092178A1 (ja) * | 2003-04-15 | 2004-10-28 | Fujiyakuhin Co. Ltd. | ベンゾオキセピノ－１１－ピペリジリデン化合物及びその製造方法 |
| JP2005533836A (ja) * | 2002-07-16 | 2005-11-10 | バイエル・ヘルスケア・アクチェンゲゼルシャフト | バルデナフィル塩酸塩三水和物を含む薬剤 |
-
1996
- 1996-08-23 JP JP24132396A patent/JP3182685B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2003503508A (ja) * | 1999-07-02 | 2003-01-28 | アストラゼネカ アクチボラグ | メラガトランの実質的結晶形 |
| JP2005533836A (ja) * | 2002-07-16 | 2005-11-10 | バイエル・ヘルスケア・アクチェンゲゼルシャフト | バルデナフィル塩酸塩三水和物を含む薬剤 |
| JP2013063982A (ja) * | 2002-07-16 | 2013-04-11 | Bayer Pharma AG | バルデナフィル塩酸塩三水和物を含む薬剤 |
| WO2004092178A1 (ja) * | 2003-04-15 | 2004-10-28 | Fujiyakuhin Co. Ltd. | ベンゾオキセピノ－１１－ピペリジリデン化合物及びその製造方法 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP3182685B2 (ja) | 2001-07-03 |
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