JPH09121763A - 後セット型ハードヨーグルトおよびその製造方法 - Google Patents

後セット型ハードヨーグルトおよびその製造方法

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JPH09121763A
JPH09121763A JP7306791A JP30679195A JPH09121763A JP H09121763 A JPH09121763 A JP H09121763A JP 7306791 A JP7306791 A JP 7306791A JP 30679195 A JP30679195 A JP 30679195A JP H09121763 A JPH09121763 A JP H09121763A
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JP
Japan
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pectin
hard yogurt
yogurt
heat shock
curd
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JP7306791A
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English (en)
Inventor
Ryogo Hirano
了悟 平野
Minoru Ooka
実 大岡
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Snow Brand Milk Products Co Ltd
Original Assignee
Snow Brand Milk Products Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 流通あるいは保存中の酸度上昇やホエー分離
が生ぜず風味のよい後セット型ハードヨーグルトの提
供。 【解決手段】 ペクチン、カルシウム結合剤及びゲル化
剤を含有させ、ヒートショック処理が行なわれている後
セット型ハードヨーグルト。原料乳を発酵処理してカー
ドを形成させ、これを破砕して流動状とし、ペクチン及
びカルシウム結合剤を添加混合し、ヒートショック処理
し、さらにゲル化剤を加えて混合し、容器に充填し、冷
却することよりなる後セット型ハードヨーグルトの製造
法。カルシウム結合剤には、クエン酸カリウムあるいは
二リン酸ナトリウム等が用いられる。ヒートショック処
理は、50〜75℃で 5秒〜30分間加熱処理することによっ
て行なわれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、後セット型ハード
ヨーグルトおよびその製造方法に関する。本発明のハー
ドヨーグルトは、保存中や流通過程での酸度上昇が少な
く、長期にわたって製造直後と同様の風味が維持され組
織も滑らかな後セット型ハードヨーグルトである。
【0002】
【従来の技術】ハードヨーグルトの製造方法には、大別
して二通りある。一つは、原料乳に乳酸菌スターターを
配合してミックスを調製し、このミックスを個食容器に
充填して発酵させて製造する方法で、充填発酵型ハード
ヨーグルトといわれるものである。この充填発酵型ハー
ドヨーグルトの特徴は、組織が滑らかで適度な硬度を有
し、しかも保存中や流通過程でホエー分離(ホエーオ
フ)が少ないといった利点を有している。しかし、保存
中や流通過程における酸度上昇が大きく、製造直後の風
味を維持することが困難であったり、また発酵させる際
に、ミックスを個食容器に充填し、発酵室の温度コント
ロールによって発酵管理を行われなければならないた
め、個々の容器に対する発酵管理が非常に難しく、また
発酵室のスペースも製造量に比較して広範に必要である
といった問題がある。もう一つは、原料乳に乳酸菌スタ
ーターを配合して調製したミックスをタンク内で発酵さ
せた後、カードを砕砕してゲル化剤と共に個食容器に充
填する製造方法で、後セット型ハードヨーグルトといわ
れるものである。このハードヨーグルトの特徴は、ミッ
クスをタンク内で発酵後カードを破砕して個食容器に充
填しているため、充填工程等で種々の果肉や果汁あるい
はフレーバーを添加・混合することができ、風味や色彩
のバラエティー化を図ることができるといった利点があ
る。また製造に際しては、一度に大量のミックスをタン
ク内で発酵させるために発酵温度のコントロール、すな
わち発酵管理が容易である上、省スペース化ができると
いった利点もある。しかし、発酵後にカードを破砕して
流動状にし、これを個食容器に充填してセットしなけれ
ばならないために工程が複雑になることや、充填発酵型
ヨーグルトに比較して組織に滑らかさを欠き、保存中や
流通過程で離水(ホエーオフ)が生じ易いといった問題
がある。
【0003】上記のようにハードヨーグルトには、充填
発酵型ハードヨーグルトと後セット型ハードヨーグルト
があるが、いずれの方法で製造されたハードヨーグルト
であっても乳酸菌の生菌を含有させた状態で保存あるい
は流通させるので、消費するまでの間に酸度の上昇があ
って、製造直後の風味を維持することが困難な食品であ
る。このようなことから保存中や流通過程における酸度
上昇を抑制し、製造直後の風味を維持する方法が種々試
みられ、提案されている。例えば、低酸度型乳酸菌スタ
ーターを使用する方法(特公昭 56-6246号公報)、温度
変異株を用いる方法(特公昭63-65284号公報)、ヨーグ
ルトを加圧処理することによって酸度上昇を抑制する方
法(特開平 4-75555号公報)、あるいはヨーグルトを加
熱してヒートショックを与えた後、容器に寒天溶液と共
に混合・充填してセットさせる固形ヨーグルトの製造方
法(特開昭50-19961号公報、特開昭 60-241846号公報)
等が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の特公昭 56-6246
号公報や特公昭63-65284号公報が開示している方法は、
特殊な乳酸菌を用いて乳を発酵させる方法であるが、こ
のような特殊な乳酸菌を用いて得られたヨーグルトは必
ずしも良好な風味を有しているとは限らず、育種によっ
て好ましい風味を産生できる菌種に改良する必要があっ
たり、ヨーグルトの風味を自由に変更することが難しい
といった問題点がある。また、特開平 4-75555号公報が
開示している方法は、発酵乳を加圧処理することによっ
て酸度の上昇を抑制する方法であるが、比較的多くの菌
種に応用が可能であるという利点がある反面、数百メガ
パスカルといった超高圧で処理しなければならないため
に特殊な加圧装置が必要であり、しかもバッチ式で生産
することを考えあわせれば、実用化には未だ多くの問題
が残されている。
【0005】さらに、特開昭50-19961号公報および特開
昭 60-241846号公報が開示している方法は、後セット型
ハードヨーグルトの製造方法であるが、含有する乳酸菌
が死滅しない程度に発酵乳を加熱し、ヒートショックを
与えて乳酸菌の活性を低下させた後、寒天等のゲル化剤
溶液と一緒に個食容器に充填して冷却しセットさせるも
のである。この方法では、発酵処理してpHが低くなって
いるヨーグルトに対して、何ら前処理をすることなく単
に40℃以上に加熱してヒートショックを与えているため
に、微細なタンパク質の凝集が生じて組織がボロボロに
なるといった欠点がある。この組織不良の原因は、タン
パク質の疎水的凝集に起因するもので、42℃を過ぎた辺
りから急激に凝集度が増加するものである。このような
ことから、上記公開公報が開示する方法で製造した後セ
ット型ハードヨーグルトは、タンパク質の凝集やホエー
分離(ホエーオフ)等が発生して組織の劣化が著しく製
品価値を低下させてしまうといった問題がある。
【0006】本発明者らは上記の問題点に鑑み、特殊な
乳酸菌を用いなくても保存中や流通過程で酸度上昇が抑
制されたハードヨーグルトおよびその製造方法について
検討した。その結果、原料乳を乳酸菌で発酵させて得た
乳カードを破砕した後、これにペクチンとカルシウム結
合剤を添加・混合してからヒートショック処理すること
により、保存中や流通過程で酸度の上昇が抑制され、か
つタンパク質の凝集やホエー分離(ホエーオフ)等の発
生のないハードヨーグルトが得られるとの知見を得て本
発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、充填発
酵型ヨーグルトのような滑らかな組織を有しながら、保
存中あるいは流通過程における酸度の上昇が抑制され
て、製造直後の風味を長期間にわたって保持できる後セ
ット型ハードヨーグルトおよびその製造方法を提供する
ことを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、ペクチン、カ
ルシウム結合剤及びゲル化剤を含有させてなる後セット
型ハードヨーグルトを提供することによって上記目的が
達成される。本発明の後セット型ハードヨーグルトは、
ヒートショック処理が施されているものである。本発明
でいうカルシウム結合剤とは、カゼインのカルシウムと
イオン結合、金属結合、共有結合、あるいは配位結合す
ることにより、カゼインからカルシウムを奪取する能力
を有するものである。本発明において使用されるカルシ
ウム結合剤には、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウ
ム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、二リン酸ナトリウ
ム、ポリリン酸塩、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリ
ウム、リン酸三ナトリウム、およびリン酸三カリウム等
を例示することができる。ポリリン酸塩は、重合度3〜
8のポリリン酸のナトリウム塩またはカリウム塩が望ま
しい。これらは、食品添加物として許容されている等級
のものを用いることは勿論である。 ヒートショック処
理は、50〜75℃で 5秒〜30分間加熱処理することにより
行なわれる。本発明においては、カルシウム結合剤とペ
クチンとは、ヒートショック前に原料に添加し、ゲル化
剤はヒートショック後に原料に添加することが望まし
い。また、本発明は、前記のような後セット型ハードヨ
ーグルトを得るための方法を提供することにある。すな
わち、本発明は、具体的には、原料乳を発酵処理してカ
ードを生成させ、これを破砕して流動状とし、ペクチン
及びカルシウム結合剤を添加混合してヒートショック処
理し、さらにゲル化剤水溶液を加えて混合して容器に充
填後、冷却することよりなる流通あるいは保存中酸度上
昇が抑制された後セット型ヨーグルトの製造法である。
本発明ではペクチンを発酵処理前の原料あるいは発酵処
理中の原料に添加してもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳しく説明する。本
発明のハードヨーグルトは、後セット型ハードヨーグル
トと言われているものであって、先ず常法に従って、牛
乳や糖類等の原料を混合して成分調整後滅菌あるいは殺
菌処理して乳培地とする。この乳培地に乳酸菌スタータ
ー、例えば、ラクトバチルス・ブルガリクス(L. bulgar
icus) 、ラクトバチルス・アシドフィルス(L. acidophi
lus)、ラクトコッカス・ラクチス(L. lactis) 、ストレ
プトコッカス・サーモフィラス(S. thermophilus) 等の
通常ヨーグルトを調製する際に用いられている乳酸菌ス
ターターを乳培地に対して 1〜3 重量%の範囲で配合し
て発酵ミックスを調製する。そしてこの発酵ミックス
を、配合されている乳酸菌に好適な温度(乳酸菌によっ
て異なるが上記の乳酸菌であれば38〜43℃前後)に保持
して発酵タンクで 1〜24時間程度発酵させ、発酵乳とす
る。このようにして得られた発酵乳は、カード状となっ
ており (以下、これをカードという) 、これを撹拌等の
手段により破砕して流動状にし、これにペクチンとカル
シウム結合剤を添加・混合する。このペクチンとカルシ
ウム結合剤の添加方法は、ペクチンとカルシウム結合剤
を同時に水に溶解して 1〜10%程度の濃度の安定溶液の
形態にして10℃程度の低温でカードに添加することが最
も好ましいが、それぞれ個別に溶解して添加してもよ
い。
【0009】ペクチンは、一般的にメトキシル基の多少
によってHMペクチン(high methoyl Pectin) またはL
Mペクチン(low methoyl Pectin)に分類されるが、これ
らの中間の性質のペクチンもある。本発明ではいずれの
ペクチンでも用いることができ、カードに対して 0.2〜
0.5 重量%の範囲で添加する。本発明において、ペクチ
ンは、通常、カードへ添加するが、前記の添加量の範囲
内であれば、その一部を原料の発酵ミックスにあらかじ
め若干量を添加してから発酵するとより滑らかな組織を
有するハードヨーグルトとすることもできる。この発酵
ミックスへのペクチンの添加については、あまり多量に
添加すると最終製品となるヨーグルトの食感が重くなる
ので、ペクチンの全添加量の10%以下にすることが好ま
しい。また、発酵中に添加してもよい。このようにカー
ドにペクチンを添加することにより、負に帯電したペク
チンがカゼインの表面を保護し、カードをヒートショッ
ク処理してもタンパク質の凝集が抑制され、これに伴っ
てホエーの分離も減少する。尚、上記のペクチンの添加
量がカードに対し 0.2重量%未満では、ヒートショック
処理時にタンパク質の凝集防止効果が十分でなく、一方
0.5重量%を超えると得られた製品の食感が重くなり、
また口溶けも悪くなるので上記の範囲内で添加・混合す
ることが望ましい。
【0010】カルシウム結合剤の添加により、カードの
カルシウムとカルシウム結合剤が結合してカゼインの凝
集を防止すると共にカルシウムとカルシウム結合剤が結
合するためにカルシウムとペクチンとの結合が防止され
るので、ペクチンのゲル化を防止することもできる。ペ
クチンのみの添加では、相当食感が重くなってしまう
が、カルシウム結合剤を添加することによって、この欠
点を防止することができる。カルシウム結合剤のカード
に対する添加量は、選択されたカルシウム結合剤の種
類、ペクチンの種類や添加量あるいはカードの無脂乳固
形分の濃度等によって異なるが、おおよそ製品重量に対
して 0.1〜0.3 重量%程度である。0.1 重量%未満で
は、上記効果が発現せず、一方 0.3重量%を超えると風
味に影響を与えるので前記の範囲の添加量が好ましい。
【0011】カードにペクチンとカルシウム結合剤を添
加・混合した後は、ホモジナイザー等により50〜150Kgf
/cm2程度の圧力で均質化処理し、更にヒートショック処
理をする。ヒートショック処理の加熱温度と加熱時間の
条件は、発酵に使用した乳酸菌の熱感受性によって決定
されるが、50〜75℃で、5 秒間〜30分間の範囲で選択さ
れる。このヒートショック処理にプレート式熱交換機を
利用すると、乳酸菌の熱感受性等の特徴に合わせて必要
なだけの熱量を容易に加減できるので、乳酸菌の生残性
を大きく低下させたり、また乳酸菌の損傷が大き過ぎる
ということがなく、正確にしかも迅速に昇温および降温
させることができるために好ましい実施態様の一つであ
る。尚、上記のヒートショック処理において、加熱温度
と加熱時間の条件は、相対的な熱積算量によってその効
果を発現させることができるが、加熱温度が50℃未満で
は、乳酸菌の活性が低下しないために保存中あるいは流
通段階で経時的に酸度上昇がおこり、目的とする効果が
得られない。一方、75℃を超えた場合には、カード中の
乳酸菌が死滅して、得られたヨーグルトの乳酸菌数が
〔乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和26年12
月27日厚生省令第52号)〕(以下乳等省令という)に定
められている菌数(1×107 個/ml以上) を維持できなく
なることがある。従って、50〜75℃で 5秒間〜30分間加
熱処理することが望ましい。
【0012】上記のようにカードにペクチンとカルシウ
ム結合剤を添加混合してヒートショック処理した後、ゲ
ル化剤を添加する。ゲル化剤には、寒天、ゼラチン等を
用いることができるが、好ましくは寒天をカードに対し
て0.01〜0.2 重量%水溶液の状態で添加し、撹拌して均
一に混合し、そして 100〜200 ml程度の個食容器に充填
してから10℃以下に冷却し、目的のヨーグルトを得る。
本発明のハードヨーグルトは、果肉や果汁あるいはフレ
ーバー等の風味物質を含有させることが可能であるが、
これらの風味物質を含有させる場合には、このゲル化剤
を添加する工程で、ゲル化剤と同時にあるいはその前後
で添加するとよい。尚、上記のゲル化剤の添加量は、固
形量やゲル化剤の種類によって異なるが、0.01重量%未
満ではゲル化力が弱くなってセットせず、一方、0.2 重
量%を超えると組織が固くなって食感を悪化させる。
【0013】上記のようにして得られた本発明の後セッ
ト型ハードヨーグルトは、ヒートショック処理に先立
ち、カードにペクチンとカルシウム結合剤を添加してい
るためにタンパク質の凝集やホエー分離がなく、しかも
滑らかな組織を有し、また乳酸菌を含有していながらそ
の活性が低下しているので、保存中や流通過程での酸度
上昇が抑制され、製造直後の風味を長期間にわたって維
持させることができる。しかも、本発明のヨーグルトを
摂取した際には、乳酸菌が乳等省令に定められている以
上に生菌として含有しているために腸内において乳酸菌
の効果を発現させることができるものである。因みに、
充填発酵型ハードヨーグルトは、後セット型ハードヨー
グルトに比較して組織が滑らかでホエー分離が少ないヨ
ーグルトであると言われている。しかし、保存中や流通
過程での酸度上昇が後セット型ハードヨーグルトに比較
して大きく風味が低下し易いヨーグルトである。この点
を解決しようとして充填発酵型ハードヨーグルトにヒー
トショック処理を適用し、保存中や流通過程における酸
度上昇を抑制しようとしても、カードの熱伝導度が低い
ために容器の外周側と中心部との間に熱のかかり方に差
が生じて十分な効果が期待できないばかりでなく、容器
内周壁側の乳酸菌を死滅させてしまい、またタンパク質
も凝集し、ホエー分離が発生するといった問題が発生す
る。このようなことから、本発明では発酵して得たカー
ドにペクチンとカルシウム結合剤を同時に添加してヒー
トショック処理し、さらに寒天等のゲル化剤を混合して
個食容器に充填することにより、充填発酵型ハードヨー
グルトと同様な滑らかな組織となり、しかもホエー分離
がない後セット型ハードヨーグルトを得ることが可能と
なったのである。
【0014】以下に本発明の実施例を示して具体的に説
明すると共に試験例を示して効果をより明確にする。
【実施例1】生乳50kgに、脱脂粉乳4 kg、砂糖4.5 kg、
ペクチン0.2 kg、および水14 kg を添加・混合し、ホモ
ジナイザーにより150 kgf/cm2 の均質圧力で均質化後95
℃で5分間滅菌処理した。この乳培地にラクトバチルス
・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. b
ulgaricus)とストレプトコッカス・サーモフィラス(Str
eptococcus salivarius subsp. thermophilus) からな
る乳酸菌スターターを2.3kg 添加して75kgの発酵ミック
スを調製した。この発酵ミックスを発酵タンクに入れ、
40℃で乳酸酸度が 1.0%になるまで発酵させた後、5℃
まで冷却してカード(発酵乳)を得た。このカードに、
ペクチン 0.2kgおよびクエン酸カリウム0.2kgを水に溶
解した溶液12.5kgを加えて混合し、50kgf/cm2 の均質圧
力で均質処理した。これを75℃で1 分間加熱して45℃ま
で冷却後、寒天 0.135kgおよび砂糖 4.0kgを溶解した溶
液12.5kgを添加した。このヒートショック処理したカー
ドを緩やかに撹拌しながら100 mlの個食用プラスチック
容器に充填して5℃に冷却し、セットさせて乳酸酸度が
0.85%の後セット型ハードヨーグルトを得た。この乳酸
菌数は、8×108 cfu/mlであった。
【0015】
【実施例2】生乳50kgに、脱脂粉乳4 kg、砂糖4.5kg 、
および水14.2kgを添加・混合し、ホモジナイザーにより
150 kgf/cm2 で均質化後 140℃で2 秒間滅菌処理した。
この溶液にラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacill
us delbrueckii subsp. bulgaricus) とストレプトコ
ッカス・サーモフィラス(Streptococcus salivariussu
bsp. thermophilus) からなる乳酸菌スターター 2.3kg
を添加して75kgの発酵ミックスを調製した。この発酵ミ
ックスを発酵タンクに入れ、40℃で乳酸酸度が1.0 %に
なるまで発酵させた後、5 ℃まで冷却してカード(発酵
乳)を得た。このカードに、ペクチン0.4kg 、クエン酸
カリウム0.4kg 、および砂糖4kg を水に溶解した溶液1
2.5kgを加えて混合し、150 kgf/cm2 で均質処理した。
これを65℃で5 分間加熱して45℃まで冷却後、寒天0.13
5 kgを水に溶解した溶液12.5kgを添加した。このヒート
ショック処理したカードを緩やかに撹拌しながら100ml
の個食用プラスチック容器に充填して5 ℃に冷却し、セ
ットさせて乳酸酸度が0.92%の後セット型ハードヨーグ
ルトを得た。この乳酸菌数は、7×108 cfu/mlであっ
た。
【0016】
【比較例】試料の調製 生乳50kgに、脱脂粉乳4kg 、砂糖8.5kg 、ペクチン0.2k
g 、寒天0.135 kgおよび水34.2kgを添加・混合し、ホモ
ジナイザーで均質化後 140℃で 2秒間滅菌処理した。こ
の乳培地にラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacill
us delbrueckii subsp. bulgaricus)とストレプトコ
ッカス・サーモフィラス(Streptococcussalivarius sub
sp. thermophilus)からなる乳酸菌スターターを3 kg添
加して発酵ミックスを調製した。この発酵ミックスを10
0ml の個食用プラスチック容器に充填して、40℃で乳酸
酸度が0.85%になるまで発酵させた後、5 ℃まで冷却し
て充填発酵型ハードヨーグルトを得た。この乳酸菌数
は、7.5 ×108 cfu/mlであった。
【0017】
【試験例】保存中の乳酸菌数の変化と酸度上昇の比較試験 実施例1で得たハードヨーグルトと比較例で得たハード
ヨーグルト(対照)を10℃で約2 週間保存し、その間の
乳酸菌数の変化および酸度上昇の変化について測定し
た。その結果を図1および図2に示す。図1から明らか
なように、乳酸菌数は、実施例1と対照とはほとんど差
がなく、乳等省令の規格を十分満たしている。一方、酸
度上昇の変化については、図2から明らかなように、対
照のハードヨーグルトは、経時的に酸度が上昇し、約2
週間保存後では酸味が強くなり過ぎて風味が損なわれて
いたが、実施例1のハードヨーグルトは、ほとんど酸度
上昇がなく、長期に製造直後の風味を維持していた。
【0018】ホエー分離量の比較評価試験 実施例1および実施例2で得たハードヨーグルトと比較
例で得たハードヨーグルト(対照)のホエー分離量を測
定するために、強制振動試験を行った。試験は、1000Km
の輸送条件を想定し、重力加速度0.75G、周波数10H
Z、縦振動共振なし、振動時間20分の条件で行った。こ
の振動により生じたホエーの分離量は、傾斜法(ヨーグ
ルトの入ったそれぞれの容器を70度に傾斜させ、1 時間
放置した後の離水重量を測定し、試料に対する離水量を
重量百分率で表す方法)で測定した。その測定結果を図
3に示す。図3から明らかなように、実施例1および実
施例2のヨーグルトのホエー分離(離水量)は、非常に
すくない量しか発生していないのに対し、対照のヨーグ
ルトは、かなりの量のホエー分離があり、食感も損なわ
れていた。このことは、本発明のハードヨーグルトは、
ペクチンとカルシウム結合剤を併用しているためにホエ
ー分離も有効に防止されていることが判る。
【0019】
【発明の効果】従来の酸度上昇を抑制したハードヨーグ
ルトは、特殊な乳酸菌を使用したり、カードを単に加熱
してヒートショック処理していたために、風味があまり
良くなく、またタンパク質が凝集して組織が悪かった
り、ホエーの分離量が非常に多くなって食感を悪くして
いるといった問題があった。これに対し、本発明のハー
ドヨーグルトは、カードのヒートショック処理に先立
ち、ペクチンとカルシウム結合剤を添加してからヒート
ショック処理しているためにタンパク質の凝集やホエー
分離がほとんどなく、滑らかな組織を有しているもので
ある。またこのヒートショック処理により乳酸菌を含有
していながら保存中や流通過程での活性が低下している
ので酸度上昇が抑制され、製造直後の風味を長期間にわ
たって維持させることができる。しかも、乳酸菌を死滅
させているのではなく、その活性を単に低下させてヨー
グルトの酸度の上昇を抑制しているだけであるので、こ
れを摂取した際には、腸内において乳酸菌の整腸効果等
を十分に発揮させることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1によって得られたハードヨー
グルトと比較例のハードヨーグルトの保存中の乳酸菌数
の変化を示す。
【図2】本発明の実施例1によって得られたハードヨー
グルトと比較例のハードヨーグルトの保存中の酸度の変
化を示す。
【図3】本発明の実施例1及び実施例2によって得られ
たハードヨーグルトと比較例のハードヨーグルトの離水
量を示す。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペクチン、カルシウム結合剤及びゲル化
    剤が含有されている流通および保存中の酸度上昇が抑制
    された後セット型ハードヨーグルト。
  2. 【請求項2】 ヒートショック処理が施されている請求
    項1記載の後セット型ハードヨーグルト。
  3. 【請求項3】 カルシウム結合剤が、クエン酸ナトリウ
    ム、クエン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、
    二リン酸ナトリウム、ポリリン酸塩、リン酸二ナトリウ
    ム、リン酸二カリウム、リン酸三ナトリウムおよびリン
    酸三カリウムよりなる群から選択される少なくとも1種
    である請求項1又は2記載の後セット型ハードヨーグル
    ト。
  4. 【請求項4】 ヒートショック処理が50〜75℃で 5秒〜
    30分間加熱処理するものである請求項1乃至3記載の後
    セット型ハードヨーグルト。
  5. 【請求項5】 原料乳を発酵処理してカードを生成さ
    せ、これを破砕して流動状とし、ペクチン及びカルシウ
    ム結合剤を添加混合して、ヒートショック処理し、さら
    にゲル化剤水溶液を加えて混合し、容器に充填後、冷却
    することを特徴とする流通および保存中の酸度上昇が抑
    制された、後セット型ハードヨーグルトの製造法。
  6. 【請求項6】 原料乳の発酵処理のさい、あらかじめ原
    料乳にペクチンを加えるか発酵処理工程中にペクチンを
    加える請求項5記載のハードヨーグルトの製造法。
JP7306791A 1995-10-31 1995-10-31 後セット型ハードヨーグルトおよびその製造方法 Pending JPH09121763A (ja)

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