JPH09116578A - 多値fsk復調回路 - Google Patents

多値fsk復調回路

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JPH09116578A
JPH09116578A JP27294395A JP27294395A JPH09116578A JP H09116578 A JPH09116578 A JP H09116578A JP 27294395 A JP27294395 A JP 27294395A JP 27294395 A JP27294395 A JP 27294395A JP H09116578 A JPH09116578 A JP H09116578A
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circuit
phase
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JP27294395A
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Kenzo Urabe
健三 占部
Hiroki Suzuki
裕樹 鈴木
Morihito Sugiura
守人 杉浦
Motoyasu Tanabe
素尉 田辺
Hideto Yamaguchi
英人 山口
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Kokusai Electric Corp
Original Assignee
Kokusai Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 FSK変調の変調指数の差が小さい場合に、
回転速度の大小の判定出力のジッターやあいまいさが発
生するという問題点を解決し、変調指数の差が小さい場
合でも、復調精度を向上できる多値FSK復調回路を提
供する。 【解決手段】 入力キャリア信号INを零IF検波回路
1で直交検波し、コンパレータ2で2値整形した同相成
分及び直交成分を移動平均回路4で平滑化し、平滑化さ
れた同相成分及び直交成分に対応する位相角と位相角を
遅延した遅延位相角との位相差分を積分放電回路9で積
分放電し、判定回路10で積分放電出力についてその大
小を判定する多値FSK復調回路である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無線受信機等に用
いられる復調回路に係り、特に多値FSK変調されたキ
ャリア信号を変調指数の大小に係わらず適正に復調し、
且つIC化に適する多値FSK復調回路に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、周波数偏移(Frequency Shift
Keying:FSK)変調は、入力信号に応じて、予め定め
られた量だけ出力波の周波数をシフトさせる周波数変調
の一方式で、変調時には出力波中に位相の不連続が生じ
ないようになっている。そして、FSK復調の一つの方
式として、FSK変調されたキャリア信号の受信波につ
いて、その周波数と同一の局部発振周波数を用いてキャ
リア信号を直交検波し、直交ベースバンド信号I(同相
成分)及びQ(直交成分)を得た後にFSK復調を行
う、いわゆる零IF検波方式がある。
【0003】まず、従来の直交検波形(零IF検波方
式)の2値FSK復調回路について図12を使って説明
する。図12は、従来の2値FSK復調回路の構成ブロ
ック図である。従来の2値FSK復調回路は、図12に
示すように、零IF検波回路1と、2つのコンパレータ
2と、位相比較回路20とから構成されている。
【0004】次に、従来の2値FSK復調回路の各部に
ついて具体的に説明する。零IF検波回路1は、FSK
変調されている入力キャリア信号INを入力して、該入
力と同一の周波数を有する局部発振信号を用いて直交検
波し、同相成分Iと直交成分Qを出力するものである。
【0005】コンパレータ2は、零IF検波回路1から
出力された直交検波出力を2値整形するもので、コンパ
レータ2-1は、同相成分Iを2値整形し、コンパレータ
2-2は、直交成分Qを2値整形するようになっている。
具体的には、数式[数8]の2値整形関数sgn(x)
を用いて2値整形し、2値整形された矩形波の信号sg
n(I)及びsgn(Q)を出力する。
【0006】
【数8】
【0007】位相比較回路20は、コンパレータ2-1と
コンパレータ2-2からの出力を比較し、一方が他方に対
して位相が進んでいるか遅れているかを2値判定し、判
定結果の2値(0か1か)を外部へ検波出力DETとし
て出力するものである。具体的には、入力キャリア信号
INと同一の局部発振周波数を基準として、入力キャリ
ア信号INの瞬時周波数が高い場合と低い場合のそれぞ
れで、2値整形された同相成分Iと直交成分Qとで表現
される2次元ベクトルの回転方向が逆になることから、
この回転方向を判別することにより入力キャリア信号I
Nの瞬時周波数の高、低の2値を検波して出力するよう
になっている。
【0008】次に、従来の2値FSK復調回路の動作に
ついて、図12を使って説明する。従来の2値FSK復
調回路は、入力キャリア信号INが入力されると、零I
F検波回路1が入力キャリア信号INと同一の周波数を
有する局部発振信号を用いて直交検波し、同相成分Iと
直交成分Qとを出力し、コンパレータ2-1とコンパレー
タ2-2とがそれぞれ同相成分Iと直交成分Qを2値整形
する。
【0009】そして、位相比較回路20が、コンパレー
タ2で2値整形された同相成分Iと直交成分Qとを入力
し、2値整形された同相成分Iと直交成分Qとで表現さ
れる2次元ベクトルの回転方向を判別することにより入
力キャリア信号INの瞬時周波数の高、低の2値を検波
して出力するようになっている。
【0010】次に、従来の直交検波形(零IF検波方
式)の多値FSK復調回路について説明する。従来の多
値FSK復調回路で使われている復調方法については、
「4値FSK信号のダイレクトコンバージョン受信方
式」斉藤、赤岩,電子情報通信学会技術研究報告RCS94-
124 pp.43 〜48に記載されている復調方法が知られてい
る。
【0011】この復調方法では、同相成分Iと直交成分
Q(但し、いずれも2値整形されている)の2軸で構成
されるIQ平面上の信号点の回転に着目し、信号点の回
転方向と回転速度とを別々に検波し、その検波結果を組
み合わせることで、4値FSK信号を復調している。
【0012】従来の多値FSK復調回路における復調方
法について、図13〜図15を使って具体的に説明す
る。図13は、従来の多値FSK復調方法におけるIQ
平面上の信号点の動きを示す説明図であり、図14は、
従来の多値FSK復調方法における直交検波信号と2値
整形された信号の例を示す説明図であり、図15は、従
来の多値FSK復調方法における2値整形された信号の
IQ平面上の信号点の動きを示す説明図である。
【0013】4値FSKにおいて、4値のシンボル0
0,01,10,11を2つの回転方向と2種類の回転
速度との組み合わせで表現する。ここで、回転方向は、
左回転(回転角がプラス方向)と右回転(回転角がマイ
ナス方向)とであり、回転速度は、数式[数9]で定義
される変調指数mを用いて表す。
【0014】
【数9】
【0015】例えば、大小2種類の変調指数mをm=
1,3としてFSK変調すると、各シンボルをFSK変
調した信号(変調データ)のIQ平面上での動きは、シ
ンボル’00’が左方向、m=1で0.5 回転(図13
(a)の実線)であり、シンボル’01’が左方向、m
=3で1.5 回転(図13(a)の破線)であり、シンボ
ル’10’が右方向、m=1で0.5 回転(図13(b)
の実線)であり、シンボル’11’が右方向、m=3で
1.5 回転(図13(b)の破線)である。つまり、各シ
ンボルの左側のビットと回転方向が対応し、右側のビッ
トと変調指数mの大小が対応しており、且つ回転数はm
/2回である。
【0016】上記のような方法で、シンボル系列00,
01,10を4値FSK変調すると、直交成分Qは図1
4(a)に示すように変化し、同相成分Iは図14
(b)に示すように変化する。即ち、受信した入力キャ
リア信号INを直交検波して得られる直交成分Qと同相
成分Iも、図14(a),(b)に示すような信号にな
る。
【0017】そして、上記の直交成分Qと同相成分Iと
をそれぞれコンパレータ2で2値整形した信号sgn
(Q)とsgn(I)とは、図14(c),(d)のよ
うな+1,−1の2値を持つ信号になる。具体的には、
時間aでsgn(Q)、sgn(I)は共に+1で始ま
り、時間bでsgn(I)が−1に変化し、時間cでs
gn(Q)が−1に変化する。そして、時間dでsgn
(I)が+1に変化し、時間eでsgn(Q)が+1に
変化する。更に、時間fでsgn(I)が−1に変化
し、時間gでsgn(Q)が−1に変化する。そして、
時間hでsgn(I)が+1に変化し、時間iでsgn
(I)が−1に変化する。
【0018】次に、2値整形した信号sgn(Q)とs
gn(I)の動きを、sgn(Q)とsgn(I)の2
軸で表現される信号平面上に示すと、図15のようにな
る。つまり、●印はsgn(Q)とsgn(I)の値の
組み合わせに対応する信号点の位置であり、●印を結ぶ
実線は、信号の値が変化する瞬間の信号点の軌跡を示し
ており、信号の値が変化する際にsgn(Q)軸又はs
gn(I)軸と交差することになる。
【0019】具体的には、時間aから時間bの間は●A
であり、時間bの瞬間に●Bに移動し、時間cの瞬間に
●Cに移動し、時間dの瞬間に●Dに移動する。そし
て、以降同様に、sgn(Q)及びsgn(I)が変化
する瞬間に●印を移動するようになっている。
【0020】そこで、従来の多値FSK復調回路で使わ
れている復調方法では、従来の2値FSK復調と同様に
まずsgn(Q)とsgn(I)の位相関係から回転方
向(右廻り、左廻り)を判定する。そして、次に、1シ
ンボル毎の信号点の回転速度をカウンタを用いてカウン
トする。即ち、図15において、信号点の回転速度が速
いほど1シンボル間にsgn(Q)軸及びsgn(I)
軸と交差する回数も多くなるので、この回数をカウンタ
でカウントし、所定のしきい値との比較で回転速度、即
ち変調指数の大小を判定する。
【0021】例えば、4値FSKの変調指数がm=3,
1の場合、回転速度はそれぞれ1シンボル当たり1.5 回
及び0.5 回の回転であるので、sgn(Q)軸及びsg
n(I)軸と交差する合計回数は、それぞれ(6±1)
回、(2±1)回に相当する。これを図14に示した例
で具体的に説明すると、変調指数がm=3の例はシンボ
ル’01’で、時間c,d,e,f,g,hにおいて計
6回各軸と交差しており、変調指数がm=1の例はシン
ボル’00’で、時間a,bにおいて計2回各軸と交差
している。
【0022】また、各々の±1回の誤差は、信号点の動
作の始点や終点が図15の●印のごく近傍にある場合、
つまり、信号の値が変化する瞬間の状態にあって、タイ
ミングジッターや歪みによるあいまいさにより発生する
ものである。一方、カウントした交差回数の大小判定を
行うしきい値は、明らかに(6+2)/2=4回であ
り、大小判定のマージンは、わずかに±1回のカウント
値の差になる。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の2値FSK復調回路では、2値FSKの復調動作に
限定されており、2値以外の多値FSKにはそのままで
は適用できないという問題点があった。
【0024】また、たとえ2値FSKに適用した場合で
あっても、FSKの変調指数mが小さくなるにつれて、
変調信号の周期を基準としたとき、位相角の回転方向を
判別するタイミングの周期が粗くなるため、判定出力の
ジッターが大きくなり、検波特性が著しく劣化するとい
う問題点があった。
【0025】一方、上記従来の多値FSK復調回路の復
調方法では、変調指数の差が小さくなる程回転速度の大
小を判定するためのマージンが小さくなり、また信号点
の微小な動きが2値量子化によって消去されてしまうの
で、回転速度の大小判定精度が粗くなってしまうという
問題点があった。
【0026】本発明は上記実情に鑑みて為されたもの
で、FSK変調の変調指数の差が小さい場合でも、回転
速度の大小の判定出力のジッターやあいまいさの発生を
軽減し、復調精度を向上できる多値FSK復調回路を提
供することを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】上記従来例の問題点を解
決するための請求項1記載の発明は、多値FSK復調回
路において、入力キャリア信号を直交検波する零IF検
波回路と、前記直交検波した同相成分を2値整形する第
1のコンパレータと、前記直交検波した直交成分を2値
整形する第2のコンパレータと、前記2値整形した同相
成分を平滑化する第1の移動平均回路と、前記2値整形
した直交成分を平滑化する第2の移動平均回路と、前記
平滑化された同相成分と前記平滑化された直交成分に対
応する位相角を出力するテーブルと、前記位相角を遅延
させた遅延位相角を出力する遅延回路と、前記位相角と
前記遅延位相角から位相差分を出力する位相差分回路
と、前記位相差分を特定期間内で積分放電する積分放電
回路と、前記積分放電出力を特定のしきい値と比較して
多値FSKのシンボル判定を行う判定回路とを有するこ
とを特徴としており、入力キャリア信号を直交検波して
2値整形して平滑化し、平滑化された同相成分及び直交
成分に対応する位相角と遅延位相角の位相差分を積分放
電し、その放電値で判定を行うことができ、変調指数の
差が小さい場合でも、復調精度を向上できる。
【0028】上記従来例の問題点を解決するための請求
項2記載の発明は、請求項1記載の多値FSK復調回路
において、第1の移動平均回路、第2の移動平均回路、
遅延回路及び積分放電回路にクロックを供給するクロッ
ク発生回路と、位相差分回路から出力される位相差分に
より位相同期したタイミング信号を前記積分放電回路及
び判定回路に供給するディジタルPLLとを設けたこと
を特徴としており、入力キャリア信号を直交検波して2
値整形して平滑化し、平滑化された同相成分及び直交成
分に対応する位相角と遅延位相角の位相差分を積分放電
し、その放電値で判定を行うことができ、変調指数の差
が小さい場合でも、復調精度を向上できる。
【0029】上記従来例の問題点を解決するための請求
項3記載の発明は、請求項2記載の多値FSK復調回路
において、第1の移動平均回路は、第1のコンパレータ
から入力される2値整形信号sgn(I)をクロック発
生回路から供給されるクロックで特定ビットシフトする
第1のシフトレジスタと、前記2値整形信号sgn
(I)が入力されるアップカウント端子と前記第1のシ
フトレジスタからの特定ビットシフトされた値が入力さ
れるダウンカウント端子とを備え、前記クロックに従っ
て前記アップカウント端子に入力される信号の値が1で
ある毎にカウント値をプラス1し、前記ダウンカウント
端子に入力される信号の値が1である毎にカウント値を
マイナス1してカウント値を出力する第1のアップダウ
ンカウンタとを有する移動平均回路であり、第2の移動
平均回路は、第2のコンパレータから入力される2値整
形信号sgn(Q)を前記クロック発生回路から供給さ
れるクロックで特定ビットシフトする第2のシフトレジ
スタと、前記2値整形信号sgn(Q)が入力されるア
ップカウント端子と前記第2のシフトレジスタからの特
定ビットシフトされた値が入力されるダウンカウント端
子とを備え、前記クロックに従って前記アップカウント
端子に入力される信号の値が1である毎にカウント値を
プラス1し、前記ダウンカウント端子に入力される信号
の値が1である毎にカウント値をマイナス1してカウン
ト値を出力する第2のアップダウンカウンタとを有する
移動平均回路であることを特徴としており、入力キャリ
ア信号を直交検波して2値整形して平滑化し、平滑化さ
れた同相成分及び直交成分に対応する位相角と遅延位相
角の位相差分を積分放電し、その放電値で判定を行うこ
とができ、変調指数の差が小さい場合でも、復調精度を
向上できる。
【0030】上記従来例の問題点を解決するための請求
項4記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の多値F
SK復調回路において、テーブルは、同相成分及び直交
成分に対応する位相角を予め記憶しているテーブル形式
の記憶部であり、第1の移動平均回路からの平滑化され
た同相成分の値と、第2の移動平均回路からの平滑化さ
れた直交成分の値を前記記憶部のアドレスとして入力
し、入力された2つのアドレスに対応する位相角を出力
するものであることを特徴としており、入力キャリア信
号を直交検波して2値整形して平滑化し、平滑化された
同相成分及び直交成分に対応する位相角と遅延位相角の
位相差分を積分放電し、その放電値で判定を行うことが
でき、変調指数の差が小さい場合でも、復調精度を向上
できる。
【0031】上記従来例の問題点を解決するための請求
項5記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の多値F
SK復調回路において、位相差分回路は、テーブルから
入力される位相角から遅延回路から入力される遅延位相
角を減算する第1の加算器と、前記第1の加算器出力に
3πを加算する第2の加算器と、前記第2の加算器出力
を2πで割り算を行ってその余りを求めるモジュロ2π
演算回路と、前記モジュロ2π演算回路出力からπを減
算して位相差分を出力する第3の加算器とを有すること
を特徴としており、入力キャリア信号を直交検波して2
値整形して平滑化し、平滑化された同相成分及び直交成
分に対応する位相角と遅延位相角の位相差分を積分放電
し、その放電値で判定を行うことができ、変調指数の差
が小さい場合でも、復調精度を向上できる。
【0032】上記従来例の問題点を解決するための請求
項6記載の発明は、請求項2記載の多値FSK復調回路
において、積分放電回路は、加算器とレジスタとを備
え、前記加算器が、位相差分回路からの位相差分を一方
に、前記レジスタからの出力を他方に入力して加算結果
を出力する加算器であり、前記レジスタが、クロック発
生回路から供給されるクロックで前記加算器から入力さ
れる値をサンプリングして出力し、ディジタルPLLか
ら入力されるタイミングでリセットされるレジスタであ
ることを特徴としており、入力キャリア信号を直交検波
して2値整形して平滑化し、平滑化された同相成分及び
直交成分に対応する位相角と遅延位相角の位相差分を積
分放電し、その放電値で判定を行うことができ、変調指
数の差が小さい場合でも、復調精度を向上できる。
【0033】上記従来例の問題点を解決するための請求
項7記載の発明は、請求項2記載の多値FSK復調回路
において、判定回路は、予めしきい値を記憶しており、
ディジタルPLLから供給されるタイミングで積分放電
回路からの位相差分の積分放電出力と前記しきい値とを
比較し、前記積分放電出力の値域を判定することによっ
て多値FSKのシンボル判定を行うことを特徴としてお
り、入力キャリア信号を直交検波して2値整形して平滑
化し、平滑化された同相成分及び直交成分に対応する位
相角と遅延位相角の位相差分を積分放電し、その放電値
で判定を行うことができ、変調指数の差が小さい場合で
も、復調精度を向上できる。
【0034】
【発明の実施の形態】請求項に係る発明について、その
実施の形態を図面を参照しながら説明する。本発明に係
る多値FSK復調回路は、入力キャリア信号INを直交
検波して2値整形した同相成分及び直交成分を移動平均
回路で平滑化し、平滑化された同相成分及び直交成分に
対応する位相角と位相角を遅延した遅延位相角との位相
差分を積分放電し、積分放電出力についてその大小を判
定することにより、多値FSKの検波を行うものなの
で、変調指数の差が小さい場合でも、復調精度を向上で
きるものである。
【0035】まず、本発明に係る多値FSK復調回路の
構成について図1を使って説明する。図1は、本発明に
係る多値FSK復調回路の構成ブロック図である。尚、
図12と同様の構成をとる部分については同一の符号を
付して説明する。
【0036】本発明の多値FSK復調回路(本回路)
は、従来の2値FSK復調回路と同様の部分として、零
IF検波回路1と、2つのコンパレータ2とから構成さ
れ、更に本発明の特徴部分として、クロック発生回路3
と、2つの移動平均回路4と、テーブルROM5と、遅
延回路6と、位相差分回路7と、DPLL8と、積分放
電回路9と、判定回路10とが設けられている。
【0037】次に、本回路の各部について具体的に説明
する。零IF検波回路1は、従来と同様に、FSK変調
されている入力キャリア信号INを入力して、該入力と
同一の周波数を有する局部発振信号を用いて直交検波
し、同相成分Iと直交成分Qとを出力するものである。
【0038】ここで、零IF検波回路1の詳細について
図2を使って説明する。図2は、本発明の零IF検波回
路1の内部構成の一例を示す構成ブロック図である。本
発明の零IF検波回路1の一構成例は、LOCAL発振
回路11と、90゜分配回路12と、2つのミキサー回
路13-1,13-2と、2つのLPF14-1,14-2とか
ら構成されている。
【0039】LOCAL発振回路11は、多値FSK変
調され伝送された受信データである入力キャリア信号I
Nと同一の周波数の信号を発振する発振回路である。9
0゜分配回路12は、LOCAL発振回路11からの信
号を同相(0゜)と、90゜位相シフトした直交(90
゜)の2信号に分配してそれぞれ出力する分配回路であ
る。
【0040】ミキサー回路13は、2つの入力信号を乗
算して周波数混合する乗算回路で、ミキサー回路13-1
は、入力キャリア信号INと90゜分配回路12からの
同相(0°)信号とを乗算し、ミキサー回路13-2は、
入力キャリア信号INと90゜分配回路12からの直交
(90°)信号とを乗算するものである。
【0041】LPF14は、高周波成分を除去する低域
ろ波器(Low Pass Filter:LPF)であり、LPF14
-1は、ミキサー回路13-1からの信号の高周波成分を除
去して入力キャリア信号INの同相成分Iを出力し、L
PF14-2は、ミキサー回路13-2からの信号の高周波
成分を除去して入力キャリア信号INの直交成分Qを出
力するものである。
【0042】本発明の零IF検波回路1の動作は、LO
CAL発振回路11から出力される入力キャリア信号I
Nと同一周波数の信号を90゜分配回路12が同相(0
゜)と直交(90゜)の2信号に分配して出力する。そ
して、入力キャリア信号INが入力されると、ミキサー
回路13-1が入力キャリア信号INに90゜分配回路1
2からの同相信号を乗算し、LPF14-1が高周波成分
を除去して同相成分Iを出力する。一方、ミキサー回路
13-2が入力キャリア信号INに90゜分配回路12か
らの直交信号を乗算し、LPF14-2が高周波成分を除
去して直交成分Qを出力するようになっている。
【0043】コンパレータ2は、従来と同様で[数8]
に示した2値整形関数sgn(x)を用いて、零IF検
波回路1から出力された直交検波出力を2値整形するも
ので、コンパレータ2-1は、同相成分Iを2値整形して
2値整形信号sgn(I)を出力し、コンパレータ2-2
は、直交成分Qを2値整形して2値整形信号sgn
(Q)を出力するようになっている。
【0044】クロック発生回路3は、FSK復調回路全
体のディジタル動作クロックCLKを発生し、移動平均
回路4と遅延回路6と積分放電回路9とに供給するもの
である。
【0045】移動平均回路4は、コンパレータ2からの
2値整形出力を入力し、クロック発生回路3から供給さ
れるクロックCLKのタイミングで、特定時間区間のデ
ィジタル移動平均値を算出する移動平均化を行うもので
ある。尚、ここで特定時間区間とは、多値FSK変調信
号の1シンボル長以内の任意の時間区間である。そし
て、移動平均回路4-1は、コンパレータ2-1からの2値
整形信号sgn(I)のディジタル移動平均値〈I〉を
出力し、移動平均回路4-2は、コンパレータ2-2からの
2値整形信号sgn(Q)のディジタル移動平均値
〈Q〉を出力するようになっている。
【0046】ここで、移動平均回路4の詳細について、
図3を使って説明する。図3は、本発明の移動平均回路
4の内部構成の一例を示す構成ブロック図である。本発
明の移動平均回路4の一構成例は、Mビットシフトレジ
スタ41と、アップダウンカウンタ42とから構成され
ている。ここで、Mビットシフトレジスタ41は、クロ
ック発生回路3から供給されるクロックCLKに従って
動作するMビットのシフトレジスタで、その結果、コン
パレータ2-1の出力sgn(I)又はコンパレータ2-2
の出力sgn(Q)を入力データとして入力し、(M+
1)クロック分遅延して出力するようになっている。
【0047】アップダウンカウンタ42は、クロック発
生回路3から供給されるクロックCLKに従って動作す
るカウント回路であり、アップカウント端子(UP端
子)に入力される信号の値が1である毎にカウント値を
プラス1し、ダウンカウント端子(DOWN端子)に入
力される信号の値が1である毎にカウント値をマイナス
1してカウント値を出力するものである。
【0048】そして、本発明においてはアップダウンカ
ウンタ42のUP端子にコンパレータ2-1の出力sgn
(I)(又はコンパレータ2-2の出力sgn(Q))が
入力されて、信号の値が1である毎にカウント値がプラ
ス1され、一方、DOWN端子には、sgn(I)(又
はsgn(Q))がMビットシフトレジスタ41によっ
て(M+1)クロック分遅延された信号が入力されて、
信号の値が1である毎にカウント値がマイナス1される
ようになっている。
【0049】従って、DOWN端子に入力される信号の
値が1である時には、必然的にそれよりも(M+1)ク
ロックだけ前(過去)にUP端子に入力された信号の値
が1であったことになり、UP端子によってプラス1さ
れたカウント値が(M+1)クロック後にDOWN端子
によってマイナス1されて相殺される。結局、このアッ
プダウンカウンタ42は、常に、コンパレータ2からの
信号sgn(I)(又はsgn(Q))に対して過去M
回のサンプリングにおいてサンプル値が1であった頻度
(回数)をディジタル移動平均値〈I〉(又は〈Q〉)
として出力するようになっている。
【0050】テーブルROM5は、2つの値(同相成分
及び直交成分)に対応する位相角θを予め記憶している
テーブル形式の記憶部で、移動平均回路4-1からのディ
ジタル移動平均値〈I〉と、移動平均回路4-2からのデ
ィジタル移動平均値〈Q〉をROMのアドレスとして入
力し、[数1]に示す2つのアドレスに対応する位相角
θ(ラジアン,−π≦θ≦π)を出力するものである。
【0051】
【数1】
【0052】遅延回路6は、クロック発生回路3から供
給されるクロックCLKに従って動作し、テーブルRO
M5から出力される位相角θを入力し、nサンプル(n
=1,2,…自然数)だけ遅延した遅延位相角θ′を出
力するものである。
【0053】位相差分回路7は、テーブルROM5から
の位相角θと遅延回路6からの遅延位相角θ′とを入力
し、それらの位相差分Δθを[数2]に従って求め出力
するものである。
【0054】
【数2】
【0055】ここで、本発明の位相差分回路7の詳細に
ついて、図4を使って説明する。図4は、本発明の位相
差分回路7の内部構成の一例を示す構成ブロック図であ
る。本発明の位相差分回路7は、図4に示すように、3
つの加算器71と、モジュロ2π演算回路(図中では
「モジュロ2π」と記載)72とから構成されている。
【0056】つまり、テーブルROM5からの位相角θ
と、遅延回路6からの遅延位相角θ′とを入力し、加算
器71-1で位相角θから遅延位相角θ′を減算し、加算
器71-2で3πを加算し、モジュロ2π演算回路72で
mod2πの演算を行い、最後に加算器71-3でπを減
算することにより、[数2]に示した位相差分Δθを出
力することになる。
【0057】尚、位相角を2進数で表現する場合、2π
ラジアンを2のn乗(nは自然数)に対応させれば、加
算器71-2の出力のオーバーフロー(2のn乗)を無視
することがモジュロ2π演算と等価となるので、モジュ
ロ2π演算回路72は事実上不要となる。
【0058】DPLL8は、位相差分回路7から出力さ
れる位相差分Δθを入力し、位相差分Δθが0の値を交
差するタイミングに位相同期した受信シンボルタイミン
グRTを出力するディジタルPLL(Digital Phase-Lo
cked Loop:DPLL)であり、出力された受信シンボル
タイミングRTは積分放電回路9及び判定回路10に供
給されるようになっている。
【0059】積分放電回路9は、クロック発生回路3か
ら供給されるクロックCLKに従って動作し、位相差分
回路7から出力される位相差分Δθを入力して、DPL
L8から供給される受信シンボルタイミングRTによっ
て得られる1シンボルの時間周期以内で位相差分Δθを
積分放電するものである。
【0060】ここで、本発明の積分放電回路9の詳細に
ついて、図5を使って説明する。図5は、本発明の積分
放電回路9の内部構成の一例を示す構成ブロック図であ
る。本発明の積分放電回路9は、図5に示すように、加
算器91と、レジスタ92とから構成され、位相差分回
路7からの出力Δθが加算器91の一方に入力され、ク
ロック発生回路3からのクロックCLKと、DPLL8
からの受信シンボルタイミングRTとがレジスタ92に
供給され、レジスタ92からの出力が加算器91のもう
一方の入力となるように接続されている。
【0061】ここで、レジスタ92は、クロック発生回
路3から供給されるクロックCLKのタイミングで動作
し、加算器91からの出力をサンプリングすると共に、
クロック発生回路3から供給される受信シンボルタイミ
ングRTの1周期毎に記憶している内容を零にリセット
するリセット機能付きのレジスタである。
【0062】その結果、積分放電回路9では、クロック
CLKのタイミングで位相差分回路7からの位相差分Δ
θとレジスタ92からの出力とが加算器91で加算され
て再びレジスタ92に蓄積され、この動作をDPLL8
から受信シンボルタイミングRTが与えられるまで繰り
返され、受信シンボルタイミングRTで零クリアされる
ので、リセット機能付きのアキュムレータ、即ち積分放
電回路が実現されるようになっている。
【0063】図6に、積分放電回路9における積分放電
動作の計算機シミュレーション結果を示す。図6に示す
ように、1シンボル区間での積分放電によって、4値パ
ターンが形成されていることが分かる。
【0064】判定回路10は、予め記憶しているしきい
値を用いて多値FSKのシンボル判定を行う判定回路
で、具体的には、DPLL8から供給される受信シンボ
ルタイミングRTのタイミングで、積分放電回路9から
の位相差分Δθの積分放電出力としきい値とを比較し
て、積分放電出力の値域を判定することによって多値F
SKのシンボル判定を行うようになっている。
【0065】尚、判定回路10は、ディジタルコンパレ
ータやデコーダ回路等で容易に実現でき、その内部構成
について、図7を使って説明する。図7は、本発明の判
定回路10の内部構成の一例を示す構成ブロック図であ
る。本発明の判定回路10は、図7に示すように、3つ
のディジタルコンパレータ61,62,63と、デコー
ダ64から構成されている。
【0066】ここで、ディジタルコンパレータ61は、
外部から設定されたしきい値THHと、積分放電回路9
からの放電出力とを入力し、2つの入力のレベル比較を
行って比較結果を出力するものであり、同様にディジタ
ルコンパレータ62は、しきい値THMと積分放電回路
9からの放電出力とのレベル比較を出力し、ディジタル
コンパレータ63は、しきい値THLと積分放電回路9
からの放電出力とのレベル比較を出力するものである。
【0067】また、デコーダ64は、ディジタルコンパ
レータ61,62,63からのレベル比較結果を入力
し、その組み合わせから4値をデコードして2ビットの
値を出力するものである。
【0068】つまり、判定値10の動作は、図6に示し
た積分放電値の4値パターンを判定するためのしきい値
THH,THM,THLを用いて、各ディジタルコンパ
レータ61,62,63で積分放電回路9からの放電出
力としきい値THH,THM,THLとのレベル比較を
行い、デコーダ64がその比較結果から放電出力がしき
い値THH,THM,THLで区切られる4個の領域の
いずれに存在するかをデコードして、2ビットの判定値
を出力するようになっている。
【0069】次に、本発明の多値FSK復調回路の動作
について、図1、図8、図9を使って具体的に説明す
る。図8は、本発明の多値FSK復調回路における移動
平均回路4で移動平均化した信号の例を示す説明図であ
り、図9は、本発明の多値FSK復調回路における
〈I〉〈Q〉平面上の信号点の動きを示す説明図であ
る。
【0070】本発明の多値FSK復調回路では、多値F
SK変調された入力キャリア信号INが入力され、零I
F検波回路1で直交検波されて同相成分I及び直交成分
Qが出力される。そして、同相成分Iは、コンパレータ
2-1で2値整形されてsgn(I)が出力され、移動平
均回路4-1で移動平均化されてディジタル移動平均値
〈I〉が出力される。一方、直交成分Qは、コンパレー
タ2-2で2値整形されてsgn(Q)が出力され、移動
平均回路4-2で移動平均化されてディジタル移動平均値
〈Q〉が出力される。
【0071】ここで、移動平均回路4で行われる移動平
均化について、具体例で説明すると、移動平均回路4-1
及び移動平均回路4-2に入力されるsgn(I)及びs
gn(Q)が図14と同様であるとすると、移動平均化
されたディジタル移動平均値〈I〉及び〈Q〉は、図8
に破線で示すように、sgn(I)及びsgn(Q)の
矩形波が平滑化され滑らかな曲線になる。
【0072】そして、ディジタル移動平均値〈I〉及び
〈Q〉の2軸で表現される信号平面上の〈I〉及び
〈Q〉の組み合わせに対応する信号点の軌跡は、図9の
破線で示すように、sgn(I)及びsgn(Q)の組
み合わせに対応する信号点の軌跡に比べて動きが平滑化
されるので、コンパレータ2による2値量子化で失われ
る信号点の微妙な動きを基本的に回復することができ
る。尚、図9には、図15と同様にsgn(I)及びs
gn(Q)の組み合わせに対応する信号点の位置を参考
までに●印で示してある。
【0073】次に、移動平均回路4-1からのディジタル
移動平均値〈I〉と、移動平均回路4-2からのディジタ
ル移動平均値〈Q〉とがアドレスとしてテーブルROM
5に入力されて対応する位相角θが出力され、その位相
角θと、位相角θが遅延回路6によって遅延された遅延
位相角θ′とが位相差分回路7に入力されて、位相差分
Δθが出力される。
【0074】ここで、入力キャリア信号INの瞬時位相
をφ(t)、FSKによる瞬時周波数変位をfm (t)
(tは時間)とおくと、零IF検波の場合[数3]が成
立する。
【0075】
【数3】
【0076】そして、テーブルROM5から出力される
位相角θは、−π〜+πの範囲でφ(t)の動きを反映
しており、位相差分回路7による位相差分Δθは、θに
現れる見かけ上の±2πラジアンの位相ジャンプを[数
2]によって消去するので、Δθは、[数4]に示すよ
うにφ(t)のnサンプル区間(nは遅延回路6の遅延
サンプル数)の真の差分値となる。
【0077】
【数4】
【0078】更に、[数3]及び[数4]により、Δθ
は、[数5]に示す近似式で表現される。
【0079】
【数5】
【0080】従って、Δθは時系列番号kにおける瞬時
周波数変位fm (k・ΔT)に比例する量であることが
わかる。換言すると、Δθは、時間軸上で離散化された
周波数検波出力となっている。
【0081】次に、位相差分回路7から出力された位相
差分Δθは、積分放電回路9によってDPLL8からの
受信シンボルタイミングRTによって得られる1シンボ
ルの時間周期以内で積分放電されて積分放電出力が為さ
れる。
【0082】ここで、積分放電回路9は、[数5]に示
した位相差分Δθを時系列番号kの刻みで1シンボル周
期以内の時間長T(積分時間)の間蓄積することにな
り、その出力は[数6]に示す式になる。
【0083】
【数6】
【0084】[数6]において、矩形波によるFM変調
と等価であるFSK変調の場合、時系列番号kにおける
瞬時周波数変位fm (k・ΔT)は、任意の1シンボル
周期内ではその当該のシンボルに割り当てられた周波数
偏移ΔF(i)(iはシンボル系列番号)となり、一定
となるので[数6]は[数7]のように変形できる。
【0085】
【数7】
【0086】その結果、積分放電回路9の積分放電出力
からFSKの周波数偏移ΔF(i)に比例した積分値を
得ることができる。そして、積分放電回路9からの積分
放電出力が判定回路10でしきい値と比較され、周波数
偏移ΔF(i)の値域が判定されて、多値FSK復調が
為されるようになっている。
【0087】
【実施例】次に、図1に示した本発明の多値FSK復調
回路を多値FSKの一種である4値FSKに適応した実
施例の効果について、図10、図11を使って説明す
る。まず図10は、本発明の多値FSK復調回路を用い
た場合のI,Qレベルに対するBER(Bit Error Rat
e)の測定結果を示す説明図である。ここで、実測に用
いた回路のパラメータとしては、伝送速度6.4Kbp
s(変調速度:R=3.2Kbaud)、周波数偏移Δ
Fmax =4.8,1.6KHz(m=3.0,1.
0)、遅延サンプル数n=1、積分時間T=1シンボル
長、積分サンプル数T/ΔT=64としている。また、
移動平均回路4-1,4-2のサンプル数M=16とし、こ
れらの出力語長は、4ビットである。
【0088】図10では、本発明の多値FSK復調回路
におけるI,Qレベルに対するBER(Bit Error Rat
e)の測定結果を○印で示しているが、但し、BER<
10-7の場合には全て10-7に記載している。また、比
較のために、図1の構成においてコンパレータ2-1,2
-2と移動平均回路4-1,4-2とを1個のA/D変換器に
置き換えて線形受信を行った場合のBER特性を、図1
0に×印で示した。
【0089】図10に×印で示したように、比較のため
の構成では、A/D変換器の飽和レベルが1Vp-p であ
ったので、I,Qレベル>1.0Vで10-4のオーダー
のエラーフロアが現れている。これは、A/D変換器の
飽和により、従来技術の説明で述べた量子化現象が現
れ、4値の周波数偏移の判定にタイミングジッター等に
よるあいまいさに基づく誤りが発生しているためであ
る。
【0090】一方、本発明の多値FSK復調回路の構成
では、コンパレータ2-1,2-2により当初から2値整形
しているので、I,Qのレベルに特性が依存することな
く、エラーフリー(図10では全て10-7のラインにプ
ロットされている)であり、良好な特性が得られること
がわかる。
【0091】次に、図11は、本発明の多値FSK復調
回路を用いた場合の伝送ビット1ビット当たりのエネル
ギーEbと雑音電力密度Noとの比(対数値dB)に対
するBER特性の計算機シミュレーション結果を示す説
明図である。尚、シミュレーション条件は、図10の実
施例と同一とし、タイミングジッターとして1シンボル
の1/16だけずれた固定長を与えている。
【0092】計算機シミュレーション結果は、図11に
示したように、本発明の構成ではタイミングジッターの
有無でBER特性の差異はなく、いずれも理論値に近接
した結果が得られている。一方、本発明の構成において
移動平均を行わない場合のシミュレーション結果を、参
考として図11に×印で示しているが、この場合Eb/
Noが大きくなるにつれて劣化が大きくなっており、移
動平均回路4の効果が大きいことが分かる。
【0093】本発明の多値FSK復調回路によれば、入
力キャリア信号INを直交検波した同相成分I及び直交
成分Qをそれぞれコンパレータ2で2値整形し、以降は
クロック発生回路3から供給されるクロックに従って、
ディジタル信号処理による周波数検波機能を用いてFS
K復調を行うので、面倒な調整を行わずに多値FSKに
容易に適用でき、変調指数の大小に係わらず復調精度を
向上できる効果がある。
【0094】また、本発明の多値FSK復調回路によれ
ば、コンパレータ2で2値整形した同相成分sgn
(I)及び直交成分sgn(Q)から移動平均回路4で
ディジタル移動平均値を取って平滑化した信号につい
て、信号点の回転速度及び回転方向を判定するので、2
値整形(量子化)で失われる信号点の微妙な動きを回復
することができ、検波特性の劣化を防ぎ、良好な検波特
性が得られ、復調精度を向上できる効果がある。
【0095】更に、本発明の多値FSK復調回路によれ
ば、移動平均回路4の語長を4ビット程度で実現できる
ので、回路の小型化、低消費電力化に有効であり、本回
路のIC化に適するという効果がある。
【0096】
【発明の効果】本発明によれば、入力キャリア信号を直
交検波して2値整形した同相成分及び直交成分を第1,
2の移動平均回路で平滑化し、平滑化された同相成分及
び直交成分に対応する位相角をテーブルで求め、その位
相角を遅延させた遅延位相角を遅延回路で求め、位相角
と遅延位相角との位相差分を位相差分回路で求め、その
位相差分を積分放電回路で積分放電し、積分放電出力に
ついてその大小を判定回路で判定する多値FSK復調回
路としているので、変調指数の差が小さい場合でも、復
調精度を向上できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る多値FSK復調回路の構成ブロッ
ク図である。
【図2】本発明の零IF検波回路の内部構成の一例を示
す構成ブロック図である。
【図3】本発明の移動平均回路の内部構成の一例を示す
構成ブロック図である。
【図4】本発明の位相差分回路の内部構成の一例を示す
構成ブロック図である。
【図5】本発明の積分放電回路の内部構成の一例を示す
構成ブロック図である。
【図6】本発明の積分放電回路における積分放電動作の
計算機シミュレーション結果を示す説明図である。
【図7】本発明の判定回路の内部構成の一例を示す構成
ブロック図である。
【図8】本発明の多値FSK復調回路における移動平均
回路で移動平均化した信号の例を示す説明図である。
【図9】本発明の多値FSK復調回路における〈I〉
〈Q〉平面上の信号点の動きを示す説明図である。
【図10】発明の多値FSK復調回路を用いた場合のB
ER(Bit Error Rate)の測定結果を示す説明図であ
る。
【図11】本発明の多値FSK復調回路を用いた場合の
伝送ビット1ビット当たりのエネルギーEbと雑音電力
密度Noとの比(対数値dB)に対するBER特性の計
算機シミュレーション結果を示す説明図である。
【図12】従来の2値FSK復調回路の構成ブロック図
である。
【図13】従来の多値FSK復調方法におけるIQ平面
上の信号点の動きを示す説明図である。
【図14】従来の多値FSK復調方法における直交検波
信号と2値整形された信号の例を示す説明図である。
【図15】従来の多値FSK復調方法における2値整形
された信号のIQ平面上の信号点の動きを示す説明図で
ある。
【符号の説明】
1…零IF検波回路、 2…コンパレータ、 3…クロ
ック発生回路、 4…移動平均回路、 5…テーブルR
OM、 6…遅延回路、 7…位相差分回路、8…DP
LL、 9…積分放電回路、 10…判定回路、 11
…LOCAL発振回路、 12…90゜分配回路、 1
3…ミキサー回路、 14…LPF、20…位相比較回
路、 41…Mビットシフトレジスタ、 42…アップ
ダウンカウンタ、 61,62,63…ディジタルコン
パレータ、64…デコーダ、71…加算器、 72…モ
ジュロ2π演算回路、 91…加算器、 92…レジス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田辺 素尉 東京都中野区東中野三丁目14番20号 国際 電気株式会社内 (72)発明者 山口 英人 東京都中野区東中野三丁目14番20号 国際 電気株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力キャリア信号を直交検波する零IF
    検波回路と、前記直交検波した同相成分を2値整形する
    第1のコンパレータと、前記直交検波した直交成分を2
    値整形する第2のコンパレータと、前記2値整形した同
    相成分を平滑化する第1の移動平均回路と、前記2値整
    形した直交成分を平滑化する第2の移動平均回路と、前
    記平滑化された同相成分と前記平滑化された直交成分に
    対応する位相角を出力するテーブルと、前記位相角を遅
    延させた遅延位相角を出力する遅延回路と、前記位相角
    と前記遅延位相角から位相差分を出力する位相差分回路
    と、前記位相差分を特定期間内で積分放電する積分放電
    回路と、前記積分放電出力を特定のしきい値と比較して
    多値FSKのシンボル判定を行う判定回路とを有するこ
    とを特徴とする多値FSK復調回路。
  2. 【請求項2】 第1の移動平均回路、第2の移動平均回
    路、遅延回路及び積分放電回路にクロックを供給するク
    ロック発生回路と、位相差分回路から出力される位相差
    分により位相同期したタイミング信号を前記積分放電回
    路及び判定回路に供給するディジタルPLLとを設けた
    ことを特徴とする請求項1記載の多値FSK復調回路。
  3. 【請求項3】 第1の移動平均回路は、第1のコンパレ
    ータから入力される2値整形信号sgn(I)をクロッ
    ク発生回路から供給されるクロックで特定ビットシフト
    する第1のシフトレジスタと、前記2値整形信号sgn
    (I)が入力されるアップカウント端子と前記第1のシ
    フトレジスタからの特定ビットシフトされた値が入力さ
    れるダウンカウント端子とを備え、前記クロックに従っ
    て前記アップカウント端子に入力される信号の値が1で
    ある毎にカウント値をプラス1し、前記ダウンカウント
    端子に入力される信号の値が1である毎にカウント値を
    マイナス1してカウント値を出力する第1のアップダウ
    ンカウンタとを有する移動平均回路であり、第2の移動
    平均回路は、第2のコンパレータから入力される2値整
    形信号sgn(Q)を前記クロック発生回路から供給さ
    れるクロックで特定ビットシフトする第2のシフトレジ
    スタと、前記2値整形信号sgn(Q)が入力されるア
    ップカウント端子と前記第2のシフトレジスタからの特
    定ビットシフトされた値が入力されるダウンカウント端
    子とを備え、前記クロックに従って前記アップカウント
    端子に入力される信号の値が1である毎にカウント値を
    プラス1し、前記ダウンカウント端子に入力される信号
    の値が1である毎にカウント値をマイナス1してカウン
    ト値を出力する第2のアップダウンカウンタとを有する
    移動平均回路であることを特徴とする請求項2記載の多
    値FSK復調回路。
  4. 【請求項4】 テーブルは、同相成分及び直交成分に対
    応する位相角を予め記憶しているテーブル形式の記憶部
    であり、第1の移動平均回路からの平滑化された同相成
    分の値と、第2の移動平均回路からの平滑化された直交
    成分の値を前記記憶部のアドレスとして入力し、入力さ
    れた2つのアドレスに対応する位相角を出力するもので
    あることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の多値
    FSK復調回路。
  5. 【請求項5】 位相差分回路は、テーブルから入力され
    る位相角から遅延回路から入力される遅延位相角を減算
    する第1の加算器と、前記第1の加算器出力に3πを加
    算する第2の加算器と、前記第2の加算器出力を2πで
    割り算を行ってその余りを求めるモジュロ2π演算回路
    と、前記モジュロ2π演算回路出力からπを減算して位
    相差分を出力する第3の加算器とを有することを特徴と
    する請求項1又は請求項2記載の多値FSK復調回路。
  6. 【請求項6】 積分放電回路は、加算器とレジスタとを
    備え、前記加算器が、位相差分回路からの位相差分を一
    方に、前記レジスタからの出力を他方に入力して加算結
    果を出力する加算器であり、前記レジスタが、クロック
    発生回路から供給されるクロックで前記加算器から入力
    される値をサンプリングして出力し、ディジタルPLL
    から入力されるタイミングでリセットされるレジスタで
    あることを特徴とする請求項2記載の多値FSK復調回
    路。
  7. 【請求項7】 判定回路は、予めしきい値を記憶してお
    り、ディジタルPLLから供給されるタイミングで積分
    放電回路からの位相差分の積分放電出力と前記しきい値
    とを比較し、前記積分放電出力の値域を判定することに
    よって多値FSKのシンボル判定を行うことを特徴とす
    る請求項2記載の多値FSK復調回路。
JP27294395A 1995-10-20 1995-10-20 多値fsk復調回路 Pending JPH09116578A (ja)

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