JPH09113800A - レトロフォーカス型レンズ - Google Patents

レトロフォーカス型レンズ

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JPH09113800A
JPH09113800A JP7292112A JP29211295A JPH09113800A JP H09113800 A JPH09113800 A JP H09113800A JP 7292112 A JP7292112 A JP 7292112A JP 29211295 A JP29211295 A JP 29211295A JP H09113800 A JPH09113800 A JP H09113800A
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治夫 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高い結像性能を有するリアフォーカス方式のレ
トロフォーカス型レンズを提供する。 【解決手段】物体側から順に負屈折力の第1レンズ群G
1と正屈折力の第2レンズ群G2を有し、第1レンズ群G
1は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズ成分LA
と、該負メニスカスレンズ成分LAよりも像側に配置さ
れた正レンズ成分LBとを有し、第1レンズ群G1の各レ
ンズ面のうち少なくとも1面は非球面に形成され、近距
離物点への合焦は第2レンズ群G2を物体側に移動する
ことによって行い、全系の焦点距離をfとし、第1レン
ズ群G1と第2レンズ群G2との焦点距離をそれぞれf1
とf2とし、該両レンズ群G1,G2の間の無限遠合焦時
の間隔をD1-2としたとき、0.5≦|f1|/f2
2.4、及び0.3≦D1-2/f≦2.5なる条件を満
足することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はいわゆるリアフォー
カス方式のレトロフォーカス型レンズに関するものであ
る。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】レトロフォーカス型レ
ンズの合焦方式としては、近距離性能の向上および操作
性の向上のために、レンズの後部を移動させて合焦を行
うリアフォーカス方式がある。このうち特開昭59−2
16114号公報に開示されたリアフォーカス方式のレ
トロフォーカス型レンズは、画角が2ω=64°と比較
的小さく、また負の前群と正の後群との色消しや両群の
独立した収差補正が不十分であり、この結果合焦による
後群の移動に伴い、像面湾曲等の軸外収差や倍率色収差
の変動が大きいという欠点を有していた。したがって非
常に大きな画角を有するレトロフォーカス型レンズに使
用すると、各収差の変動がさらに増大し、容易に実用化
できないものであった。
【0003】また特開平4−50910号公報には、最
大画角が2ω=100°程度のリアフォーカス式のレト
ロフォーカス型レンズが開示されている。しかしながら
このレトロフォーカス型レンズにおいては、特に負の前
群の径が大きいという不都合を有していた。また収差的
には下方コマ収差の補正が好ましくなく、上記特開昭5
9−216114号公報に開示されたレトロフォーカス
型レンズと同様に、前群と後群との収差補正上の分離を
さらに明確にする必要があった。また特開平5−345
92号公報には、最大画角が2ω=113°と大画角を
有するリアフォーカス方式のレトロフォーカス型レンズ
が開示されている。しかしながらこのレトロフォーカス
型レンズにおいては、負の前群が非球面を有していても
非常に大型で、かつ構成枚数が多いという不都合があ
り、収差的に見ても近距離合焦時に倍率色収差の変動が
大きく、やはり負の前群と正の後群との収差補正上の分
離が不十分であった。また特開平5−119254号公
報には、物体側の負レンズ成分に非球面を導入し、非常
にコンパクトな超広角レトロフォーカス型レンズが開示
されている。しかしながらこのレトロフォーカス型レン
ズにおいては、像面湾曲と下方コマ収差、倍率色収差の
補正が必ずしも十分とはいえず、倍率色収差の合焦によ
る変動も有していた。さらには、構成枚数も多く構成も
若干複雑で、前玉径も大型化する傾向にあった。
【0004】本発明は上記諸点に鑑みてなされたもので
あり、大画角を有し、比較的大口径を有し、無限遠物点
から近距離物点に至る合焦領域全域で安定した高い結像
性能を有し、特に不自然に不対称なコマ収差や倍率色収
差の発生が非常に少なく、小型で前玉径も小さく、構成
枚数の少ないリアフォーカス方式のレトロフォーカス型
レンズを提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】歴史的に見ると、レトロ
フォーカス型の広角レンズは、テッサータイプのような
マスターレンズに逆ガリレオ式のコンバーターを付けた
ところから発展している。本質的には負の前群と正の後
群とを空気間隔によって十分に分離し、主点を像側に移
動させ、一眼レフに使用できるようにバックフォーカス
を十分に確保するように設計されている。そのためパワ
ー配置の点から見ると、負の前群と正の後群とが十分に
分離され、軸上光線の入射高hと軸外光線の入射高he
とが各レンズ面への入射高において明確な差を有してい
た。したがって、その軸上光線と軸外光線との入射高
h,heの差を十分に利用することで、収差補正の自由
度が増すという要素も有していた。しかしながら前後群
の明確な分離は、全系の大型化や前玉径の増大を生むこ
とになる。また画角が増加すれば、さらなる大型化や前
玉径の増大を招くことになる。したがって近年のレトロ
フォーカス型広角レンズや超広角レンズでは、前後群の
分離を弱め、大きな空気間隔をガラスの厚肉化によって
補い、小型化と小径化を進めてきた。しかしながら収差
的には、像面湾曲収差と倍率色収差の曲がりや、下方コ
マ収差の画角による差の増大を招く等の欠点を生じるこ
ととなる。
【0006】この原因としては、前記した各面での軸上
光線と軸外光線との入射高h,heの分離が不十分であ
ることに起因するものと、前群と後群との間隔を十分に
確保していないために各レンズを強いパワーによって構
成する必要があり、各入射光線、特に軸外光線の偏角α
eが大きくなり、各面での収差発生量が増大することに
起因するものとが考えられる。それらを解決するには、
複数枚のレンズで構成し、できるだけ軸外光線の偏角α
eを小さくすることが必要であり、その結果大型化し、
前群と後群とを分離したタイプのレトロフォーカス型広
角レンズとの差が微小になってしまう。また、特に画角
2ωが94°を越えるような超広角レンズにおいては、
さらにこの現象が顕著に発生するために、現在の超広角
レンズのほとんどは、前玉径が大きすぎて、巨大なフィ
ルターしか取り付かないか、または前玉径が大きすぎて
フィルターの取り付かないレンズが一般的である。これ
らの問題を解決する手段が負の前群に非球面を導入して
薄肉化を図ることと、負、正、2群ズームレンズのパワ
ー配置の決定方法を超広角レンズのパワー配置の決定に
応用することである。また、負、正の2群に前群と後群
とを明確に分離することは、独立して収差補正を行い、
当然色消しも十分行うことでもあり、正の後群を合焦の
ために移動させても、色収差をはじめとする各収差の変
動を極力抑えることが可能になるのである。
【0007】本発明においては、負の前群と正の後群と
を十分な空気間隔によって分離し、各群独立に収差補正
を行うこととした。このとき、前群と後群とのパワーバ
ランスと、前群と後群との間の空気間隔の大小によっ
て、前玉径、全長、バックフォーカス、構成枚数の多
寡、合焦時の移動量や性能劣化などがほぼ決定する。ま
た、超広角化すればするほど軸外光線の入射高heは大
きくなり、負の前群も巨大化、厚肉化する。そのため本
発明では、負正2群ズームレンズの前群の収差構造よ
り、最適な負の前群の構成を見出した。すなわち本発明
の第1レンズ群G1には、負メニスカスレンズ成分L
Aと、それよりも像側の正レンズ成分LBとを設け、両レ
ンズ成分LA,LBの間隔を十分に保ち、且つ第1レンズ
群G1に非球面を導入することによって構成枚数を減ら
し、薄肉化、小型化、小径化を行っている。したがっ
て、第1レンズ群G1がこの必要条件を満たさなけれ
ば、大型化や前玉径の増大は免れず、本発明の目的の1
つを達成できなくなる。
【0008】また本発明においては、第2レンズ群G2
を合焦群として使用し、近距離撮影時に物体側に移動さ
せる方式を採っている。この方式においては前記したと
おり、正の後群である第2レンズ群G2を正のマスター
レンズ群として独立した収差補正を行うことが望まし
く、すなわち、合焦のための移動によって発生する軸外
光線の偏角αeや入射高heの変化による収差変動が極力
少なくなるレンズ構成が望まれる。したがって負、正2
群ズームレンズの正の第2群と同様に、主にエルノスタ
ー等のタイプを採用することも可能であるが、負、正2
群ズームレンズほど可変間隔を取る必要はないために、
明るさに有利で画角的にも比較的有利なガウスタイプや
クセノタータイプ、オルソメータタイプが望ましい。し
たがって、開口絞りは第2レンズ群中かその直前に配置
するレンズ構成が望ましい。
【0009】本発明は以上のような考察に基づいてなさ
れたものであり、すなわち、物体側から順に、負の屈折
力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第
2レンズ群G2とを有し、第1レンズ群G1は、物体側に
凸面を向けた負メニスカスレンズ成分LAと、該負メニ
スカスレンズ成分LAよりも像側に配置された正レンズ
成分LBとを有し、第1レンズ群G1の各レンズ面のうち
少なくとも1面は非球面に形成され、無限遠物点から近
距離物点への合焦は、第2レンズ群G2を物体側に移動
することによって行い、全系の焦点距離をfとし、第1
レンズ群G1と第2レンズ群G2との焦点距離をそれぞれ
1とf2とし、該両レンズ群G1,G2の間の無限遠合焦
時の間隔をD1-2としたとき、 0.5≦|f1|/f2≦ 2.4 ‥‥(1) 0.3≦D1-2/f≦2.5 ‥‥(2) なる条件を満足するレトロフォーカス型レンズである。
【0010】上記条件(1)は、負の前群である第1レ
ンズ群G1と正の後群である第2レンズ群G2とのパワー
のバランスを最適に保つ条件である。条件(1)の下限
を下回ると、第2レンズ群G2に比べて第1レンズ群G1
のパワーが著しく強くなるために、前玉径は小さくなる
が、下方コマ収差、像面湾曲、非点収差が良好に補正で
きなくなるので好ましくない。なお、条件(1)の下限
を0.7とすることにより、より少ないレンズ構成で良
好な収差補正が可能になる。逆に条件(1)の上限を上
回ると、第2レンズ群G2に比べて第1レンズ群G1のパ
ワーが弱くなるために、前玉径の増大につながる。ま
た、第2レンズ群G2のパワーが強まりすぎた場合、球
面収差の補正が悪化する傾向があるばかりか、バックフ
ォーカスが十分に確保できなくなる可能性があり、好ま
しくない。なお、条件(1)の上限を2とし、さらには
1.92とすることによって、さらに小型で良好な収差
補正が可能になる。
【0011】また条件(2)は、前記負の前群である第
1レンズ群G1と正の後群である第2レンズ群G2との間
の空気間隔に対する条件である。条件(2)の下限を下
回ると、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2への軸外光
線の入射高heや傾角αeと、軸上光線の入射高hや傾角
αとの分離が不十分になり、像面湾曲、非点収差、下方
コマ収差が悪化するばかりか、前玉径が増大し好ましく
ない。また、合焦時の移動量を十分に確保できなくなり
好ましくない。なお条件(2)の下限を0.41とし、
さらには0.45にすると、さらに軸外光線に対する収
差補正が有利になる。更に0.5にすると、より前玉径
を小さくし、十分な周辺光量を得ることができる。逆に
条件(2)の上限を上回ると、全長が大きくなりすぎ好
ましくない。また、その値が第1レンズ群G1の薄肉化
により達成されたものであれば、当然、前記のとおり軸
外収差の悪化と、周辺光量不足を招く結果になり好まし
くない。なお、条件(2)の上限を2とし、さらに1.
5にすると、全長を十分短く保つことができ、より好ま
しい。
【0012】次に本発明においては、 1.6≦f2/f≦3 ‥‥(3) なる条件を満足することが好ましい。条件(3)の下限
を下回ると、第2レンズ群G2のパワーが著しく強くな
るため、バックフォーカスが十分に確保できなくなるば
かりか、球面収差や上方コマ収差の補正が困難になる。
また、合焦時の収差変動も増し好ましくない。なお、条
件(3)の下限を1.75にすれば、より良好な収差補
正が可能となる。
【0013】逆に条件(3)の上限を上回る場合、第2
レンズ群G2のパワーが弱くなるため、全長が大きくな
り、また、ペッツバール和も負の方向に変位するため、
非点収差が悪化し、これを良好に補正するためには構成
枚数の増大につながり、好ましくない。また、合焦時に
移動量が増大し、その結果さらなる大型化を招き好まし
くない。なお、条件(3)の上限を2.6にすることに
よって、よりコンパクトで、収差補正が良好なレトロフ
ォーカス型レンズが達成できる。
【0014】次に本発明においては、第1レンズ群G1
中の負メニスカスレンズ成分LAを最も物体側に配置
し、該負メニスカスレンズ成分LAの焦点距離をfAとし
たとき、 0.1≦fA/f1≦1.0 ‥‥(4) なる条件を満足することが好ましい。条件(4)の下限
を下回ると、第1レンズ群G1のパワーに比べて、負メ
ニスカスレンズ成分LAが著しく強いパワーを有するこ
とになる。したがって、軸外光線の入射高heの最も大
きい負レンズが著しく強いパワーを有することになり、
非球面を導入しても十分な歪曲、像面湾曲等の軸外収差
の補正が困難になる。逆に条件(4)の上限を上回る
と、軸外光線の入射高heの最も大きい負レンズのパワ
ーが弱まることを意味し、前玉径の増大、周辺光量の低
下を招き好ましくない。なお、条件(4)の上限を0.
8とし、さらには0.65にすると、さらに本発明の効
果を発揮することができる。
【0015】次に本発明においては、第1レンズ群G1
中の正レンズ成分LBを最も像側に配置し、該正レンズ
成分LBのd線を基準としたアッベ数をνdとしたとき、 νd<45 ‥‥(5) なる条件を満足することが好ましい。本発明の場合、各
群とも単独で十分な収差補正および色消しをするところ
に特徴がある。したがって、第1レンズ群G1が比較的
強いパワーを有する負のレンズ群の場合、十分に色消し
するためには、第1レンズ群G1内の正レンズ成分LB
高分散、すなわちアッベ数の小さいガラスを使用する必
要がある。したがって条件(5)の上限を上回ると、本
発明の場合、第1レンズ群G1の色消しが十分行えず、
結果的に倍率色収差が著しく悪化し好ましくない。な
お、条件(5)の上限を35とし、さらには30にする
ことによって、より良好な色消しが可能になり望まし
い。
【0016】次に本発明においては、第1レンズ群G1
中の正レンズ成分LBを最も像側に配置し、該正レンズ
成分LBの焦点距離をfBとしたとき、 0.3≦fB/|f1|≦2.0 ‥‥(6) なる条件を満足することが好ましい。条件(6)の下限
を下回ると、正レンズ成分LBのパワーが強くなりすぎ
て厚肉化し、レンズのフチ厚がなくなり加工困難にな
る。また、収差補正上の問題が解決できたとしても偏心
に弱く好ましくない。なお、条件(6)の下限を0.5
にすることで、さらに本発明の効果が発揮できる。逆に
条件(6)の上限を上回ると、正レンズ成分LBのパワ
ーが弱くなり、下方コマ収差、像面湾曲の補正を十分に
行うには、結果的に他に複数の正レンズが必要になり、
コストアップと大型化の点で好ましくない。なお、条件
(6)の上限を1.7にすることによって、さらに本発
明の効果が発揮できる。
【0017】次に本発明においては、第2レンズ群G2
が、正レンズと負レンズとの接合よりなる接合レンズを
少なくとも1組有し、該接合レンズの正レンズと負レン
ズとのd線に対する屈折率をそれぞれnpとnnとしたと
き、 0.15≦nn−np≦0.5 ‥‥(7) なる条件を満足することが好ましい。本発明のように、
第1レンズ群G1と第2レンズ群G2が共に比較的に強い
パワーを有したレトロフォーカス型レンズの場合、ペッ
ツバール和を正の値にするために、接合レンズを有する
ことが望ましい。条件(7)の下限を下回ると、接合レ
ンズ中の負レンズと正レンズとの屈折率の差が著しく小
さくなり、ペッツバール和が小さくなりすぎて、結果的
に像面湾曲および非点収差が補正困難になり好ましくな
い。なお、条件(7)の下限を0.2とし、さらには
0.25にすると、より良好な収差補正が可能になる。
逆に条件(7)の上限を上回る場合、現在のガラス材料
においては負レンズの分散が大きくなり過ぎて色消し過
剰になり好ましくない。
【0018】次に本発明においては、第2レンズ群G2
の中に、又は第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間
に、開口絞りを配置することが好ましい。また、さらに
好ましくは、開口絞りを第2レンズ群G2の中に配置
し、開口絞りを挟んだ前後に、少なくとも各1組の正レ
ンズと負レンズとの接合よりなる接合レンズを配置する
ことが望ましい。この場合、両方の接合レンズが条件
(7)を満足することがより望ましい。また本発明にお
いては、第1レンズ群G1中の負メニスカスレンズ成分
Aと正レンズ成分LBとの間に、負レンズ成分を介在さ
せることもできる。
【0019】また、第1レンズ群中に導入された非球面
は、軸外光線の入射高heが比較的大きいところが歪
曲、像面湾曲等の補正に有利なため、負メニスカスレン
ズ成分LAに設けることが望ましく、像面に向かって凹
面を向けた像面側の面に設定することがより望ましい。
また、非球面の形状は、負レンズ成分に設けた場合、中
心部分の曲率より、周辺部分の曲率が緩くなる形状すな
わち中心部分に比べ周辺部分の負の屈折力(度)が弱く
なる形状を有し、また、正レンズ成分に設けた場合、中
心部分の曲率より周辺部分の曲率が強くなる形状、すな
わち中心部分に比べ周辺部分の正の屈折力(度)が強く
なる形状を有することが望ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について説明
する。図1、図5、図9及び図13に、それぞれ本発明
によるレトロフォーカス型レンズの第1〜第4実施例の
レンズ構成図を示す。各実施例は物体側から順に、負の
屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有す
る第2レンズ群G2とを有する。第1レンズ群G1は、物
体側に凸面を向けた負メニスカスレンズ成分LAと、該
負メニスカスレンズ成分LAよりも像側に配置された正
レンズ成分LBとを有し、第1レンズ群G1の各レンズ面
のうち少なくとも1面は非球面に形成されている。この
レトロフォーカス型レンズでは、無限遠物点から近距離
物点への合焦に際して、第2レンズ群G2を物体側に移
動することによってフォーカシングを行っている。
【0021】以下の表1〜表4に、それぞれ第1〜第4
実施例の全体諸元、レンズ諸元、非球面データ、及びフ
ォーカシングデータを示す。各表の全体諸元において、
fは全系の焦点距離、FNOはFナンバー、2ωは画角を
表す。また各表のレンズ諸元において、第1カラムは物
体側からのレンズ面の番号、第2カラムrはレンズ面の
曲率半径、第3カラムdはレンズ面の中心間距離、第4
カラムνdはd線(λ=587.6nm)を基準とした
アッベ数、第5カラムndはd線による屈折率、第6カ
ラムはレンズ群番号を表す。
【0022】レンズ面番号に※印を付したレンズ面は非
球面を表し、非球面のレンズ面における曲率半径rは、
非球面の頂点での曲率半径を表す。いずれの非球面も、
次式で表される回転対称非球面である。 x:非球面の頂点から光軸方向に測った距離 y:非球面の頂点を通る光軸からの高さ C0:1/r(r=非球面の頂点曲率半径) k:円錐定数 C4,C6,C8,C10:4次〜10次の非球面係数
【0023】各表の非球面データにおいて、第1カラム
は非球面のレンズ面の番号、第2カラムkは円錐定数、
第3カラムC4、C6、C8及びC10は非球面係数を表
す。各表のフォーカシングデータにおいて、f/βは焦
点距離又は横倍率、DOは物点距離、D1-2は第1レンズ
群G1と第2レンズ群G2との間の可変空気間隔、Bfは
バックフォーカスを表す。また以下の表5に、各実施例
について、各条件(1)〜(7)におけるパラメータの
値を示す。条件(7)のパラメータnn−npの値は、第
2レンズ群G2中の接合レンズのうち、物体側から順に
存在する接合レンズの個数分だけ示している。
【0024】
【表1】 [全体諸元] f=1.0, FNO=F2.88, 2ω=105.4° [レンズ諸元] No r d νdd 1 3.0760 0.1269 45.37 1.796681 ※2 0.7254 0.7463 3 24.8524 0.1343 49.45 1.772789 4 2.6170 0.2239 5 -12.5136 0.1194 46.54 1.804109 6 1.3827 0.3731 64.10 1.516800 7 94.9470 0.0075 8 2.1886 0.3358 28.56 1.795040 9 -4.1489 d9 10 18.3774 0.1642 65.77 1.464500 11 -2.5065 0.0075 12 1.3969 0.3731 65.77 1.464500 13 -1.2591 0.1493 45.37 1.796681 14 5.1811 0.1493 15 絞り 0.1119 16 5.2047 0.3731 45.37 1.796681 17 1.4335 0.2985 58.90 1.518230 18 -1.6205 0.0075 19 4.0487 0.0746 33.89 1.803840 20 0.9718 0.4030 70.41 1.487490 21 -2.3739 Bf [非球面データ] No k C4 -2.23910×10-2 2 0.4652 C6 1.07920×10-28 7.08100×10-310 -4.55200×10-2 [フォーカシングデータ] 位置1 位置2 位置3 位置4 f/β 1.00000 -0.02500 -0.08900 -0.24080 DO ∞ 39.1645 10.8576 3.3949 d9(D1-2) 0.79702 0.76690 0.69217 0.48909 Bf 2.31321 2.34360 2.42130 2.64850
【0025】
【表2】 [全体諸元] f=1.0, FNO=F3.5, 2ω=105.8° [レンズ諸元] No r d νdd 1 3.2706 0.1269 43.35 1.840421 ※2 0.7073 0.7463 3 -4.9654 0.1194 46.54 1.804109 4 1.0339 0.4478 64.10 1.516800 5 -9.0659 0.0384 6 178.7856 0.1343 49.45 1.772789 7 4.0967 0.2228 8 2.4144 0.3358 28.56 1.795040 9 -4.1672 d9 10 3.7092 0.1642 65.77 1.464500 11 -2.1747 0.0075 12 1.6014 0.3731 65.77 1.464500 13 -1.2749 0.1493 43.35 1.840421 14 37.3317 0.1493 15 絞り 0.1119 16 7.1753 0.3731 43.35 1.840421 17 1.0679 0.2985 58.90 1.518230 18 -1.5358 0.0075 19 -25.2282 0.0746 33.89 1.803840 20 0.9805 0.4030 70.41 1.487490 21 -1.5409 Bf [非球面データ] No k C4 -8.93630×10-2 2 0.4763 C6 4.70920×10-28 -6.22020×10-210 -9.45760×10-2 [フォーカシングデータ] 位置1 位置2 位置3 位置4 f/β 1.00000 -0.02500 -0.09000 -0.26630 DO ∞ 39.2652 10.5819 3.1192 d9(D1-2) 0.74209 0.71006 0.62633 0.37081 Bf 2.30930 2.34161 2.42865 2.71565
【0026】
【表3】 [全体諸元] f=1.0, FNO=F2.87, 2ω=105.6° [レンズ諸元] No r d νdd 1 10.1795 0.1269 45.37 1.796681 ※2 0.7688 0.7463 3 5.5736 0.1343 49.45 1.772789 4 2.0069 0.2353 5 2.1049 0.4104 28.56 1.795040 6 -6.5537 d6 7 1.3145 0.3511 65.77 1.464500 8 -1.0293 0.1088 45.37 1.796681 9 -9.8784 0.0746 10 絞り 0.1866 11 7.4363 0.3723 45.37 1.796681 12 1.2189 0.2985 58.90 1.518230 13 -1.4851 0.0075 14 3.0371 0.0746 33.89 1.803840 15 1.1072 0.3298 70.41 1.487490 16 -2.4042 Bf [非球面データ] No k C4 -8.18250×10-2 2 0.3347 C6 -1.98560×10-28 -6.12160×10-310 -1.14270×10-2 [フォーカシングデータ] 位置1 位置2 位置3 位置4 f/β 1.00000 -0.02500 -0.08500 -0.21225 DO ∞ 39.0601 11.2967 3.8340 d6(D1-2) 1.13372 1.10542 1.04001 0.88379 Bf 2.31330 2.34192 2.41053 2.58854
【0027】
【表4】 [全体諸元] f=1.0, FNO=F2.88, 2ω=94.9° [レンズ諸元] No r d νdd 1 27.6121 0.1062 43.35 1.840421 ※2 0.7047 0.9374 3 3.0865 0.2188 23.01 1.860741 4 -12.0267 d4 5 2.7473 0.2188 65.77 1.464500 6 -1.9382 0.0063 7 1.1586 0.3438 65.77 1.464500 8 -0.9912 0.1250 45.37 1.796681 9 2.5041 0.1250 10 絞り 0.0938 11 -3.9371 0.3125 45.37 1.796681 12 1.3819 0.2500 64.10 1.516800 13 -0.9759 0.0063 14 3.0386 0.0625 33.89 1.803840 15 0.9629 0.3375 70.41 1.487490 16 -1.5346 Bf [非球面データ] No k C4 -9.64400×10-2 2 0.1612 C6 4.59470×10-28 -8.17730×10-210 6.66720×10-2 [フォーカシングデータ] 位置1 位置2 位置3 f/β 1.00000 -0.02500 -0.10000 DO ∞ 39.8304 9.8783 d4(D1-2) 0.56265 0.53193 0.43657 Bf 1.93777 1.96849 2.06385
【0028】
【表5】 実施例番号 1 2 3 4 (1)|f1|/f2 1.048 0.873 1.374 1.198 (2)D1-2/f 0.797 0.742 1.134 0.563 (3)f2/f 2.350 2.477 2.173 1.968 (4)fA/f1 0.496 0.508 0.352 0.366 (5)νd 28.56 28.56 28.56 23.01 (6)fB/|f1| 0.749 0.909 0.686 1.219 (7)nn−np 0.332 0.376 0.332 0.332 0.279 0.322 0.278 0.280 0.316 0.316 0.316 0.316
【0029】図2(DO=∞)、図3(β=−0.02
5)及び図4(β=−0.089)に第1実施例の、図
6(DO=∞)、図7(β=−0.025)及び図8
(β=−0.09)に第2実施例の、図10(DO
∞)、図11(β=−0.025)及び図12(β=−
0.085)に第3実施例の、及び図14(DO
∞)、図15(β=−0.025)及び図16(β=−
0.1)に第4実施例の諸収差を示す。球面収差図中、
点線は正弦条件を示し、非点収差図中、破線はメリジオ
ナル像面を表し、実線はサジタル像面を示す。各図中F
NOはFナンバー、NAは開口数、ωは半画角、HOは近
距離撮影時の入射高を表す。表5及び各収差図より明ら
かなように、各実施例とも所要のレンズ構成と条件
(1)、(2)とを満たすことにより、更には条件
(3)〜(7)を満たすことにより、諸収差が良好に補
正されたレトロフォーカス型レンズが得られたことが分
かる。
【0030】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、Fナンバ
ーがF3.5〜F2.8と明るく、画角が2ω=95°
〜106°に及ぶ超広角レトロフォーカス型レンズにお
いて、小型で前玉径が小さく、かつ合焦時の収差変動が
小さく、特に倍率色収差の変動がほとんどなく、合焦時
の周辺光量低下もほとんどない、リアフォーカス方式の
レトロフォーカス型レンズを実現することができる。
【0031】なお本発明では、第1レンズ群G1に非球
面を導入したが、第2レンズ群G2にさらに非球面を設
けて大口径化することも可能である。また各実施例の第
1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間の空気間隔より
明らかなように、最短撮影距離をさらに短縮することも
できる。また本発明では、第1レンズ群G1と第2レン
ズ群G2とで独立した収差補正および色消しを実現して
いるため、第2レンズ群G2を第1レンズ群G1の光軸に
対してシフトさせたり、フィルム面に対しティルトさせ
ることによって、シフト、ティルトレンズとして発展さ
せることも可能であり、本発明のどの実施例を用いても
良好な収差補正を実現することができる。また同様の機
構により、いわゆる防振レンズとしても使用可能であ
り、このような機構を付加した場合も本発明の範囲内で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の構成図
【図2】第1実施例の収差図(DO=∞)
【図3】第1実施例の収差図(β=−0.025)
【図4】第1実施例の収差図(β=−0.089)
【図5】第2実施例の構成図
【図6】第2実施例の収差図(DO=∞)
【図7】第2実施例の収差図(β=−0.025)
【図8】第2実施例の収差図(β=−0.09)
【図9】第3実施例の構成図
【図10】第3実施例の収差図(DO=∞)
【図11】第3実施例の収差図(β=−0.025)
【図12】第3実施例の収差図(β=−0.085)
【図13】第4実施例の構成図
【図14】第4実施例の収差図(DO=∞)
【図15】第4実施例の収差図(β=−0.025)
【図16】第4実施例の収差図(β=−0.1)
【符号の説明】
1…第1レンズ群 G2…第2レ
ンズ群 LA…負メニスカスレンズ成分 LB…正レン
ズ成分 D1-2…第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間の可
変空気間隔 ※…非球面 S…開口絞

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】物体側から順に、負の屈折力を有する第1
    レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2
    を有し、 前記第1レンズ群G1は、物体側に凸面を向けた負メニ
    スカスレンズ成分LAと、該負メニスカスレンズ成分LA
    よりも像側に配置された正レンズ成分LBとを有し、第
    1レンズ群G1の各レンズ面のうち少なくとも1面は非
    球面に形成され、 無限遠物点から近距離物点への合焦は、前記第2レンズ
    群G2を物体側に移動することによって行い、 全系の焦点距離をfとし、前記第1レンズ群G1と第2
    レンズ群G2との焦点距離をそれぞれf1とf2とし、該
    両レンズ群G1,G2の間の無限遠合焦時の間隔をD1-2
    としたとき、以下の条件を満足するレトロフォーカス型
    レンズ。 0.5≦|f1|/f2≦ 2.4 ‥‥(1) 0.3≦D1-2/f≦2.5 ‥‥(2)
  2. 【請求項2】以下の条件を満足する請求項1記載のレト
    ロフォーカス型レンズ。 1.6≦f2/f≦3 ‥‥(3)
  3. 【請求項3】第1レンズ群G1中の前記負メニスカスレ
    ンズ成分LAは最も物体側に配置され、 該負メニスカスレンズ成分LAの焦点距離をfAとしたと
    き、以下の条件を満足する請求項1又は2記載のレトロ
    フォーカス型レンズ。 0.1≦fA/f1≦1.0 ‥‥(4)
  4. 【請求項4】第1レンズ群G1中の前記正レンズ成分LB
    は最も像側に配置され、 該正レンズ成分LBのd線を基準としたアッベ数をνd
    したとき、以下の条件を満足する請求項1、2又は3記
    載のレトロフォーカス型レンズ。 νd<45 ‥‥(5)
  5. 【請求項5】第1レンズ群G1中の前記正レンズ成分LB
    は最も像側に配置され、 該正レンズ成分LBの焦点距離をfBとしたとき、以下の
    条件を満足する請求項1、2、3又は4記載のレトロフ
    ォーカス型レンズ。 0.3≦fB/|f1|≦2.0 ‥‥(6)
  6. 【請求項6】前記第2レンズ群G2は、正レンズと負レ
    ンズとの接合よりなる接合レンズを少なくとも1組有
    し、 該接合レンズの前記正レンズと負レンズとのd線に対す
    る屈折率をそれぞれnpとnnとしたとき、以下の条件を
    満足する請求項1、2、3、4又は5記載のレトロフォ
    ーカス型レンズ。 0.15≦nn−np≦0.5 ‥‥(7)
  7. 【請求項7】前記第2レンズ群G2の中に、又は前記第
    1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間に、開口絞りを
    配置した請求項1〜6のいずれか1項記載のレトロフォ
    ーカス型レンズ。
  8. 【請求項8】前記開口絞りは前記第2レンズ群G2の中
    に配置され、 該開口絞りを挟んだ前後に、少なくとも各1組の正レン
    ズと負レンズとの接合よりなる接合レンズを配置した請
    求項7記載のレトロフォーカス型レンズ。
  9. 【請求項9】第1レンズ群G1中の前記負メニスカスレ
    ンズ成分LAと正レンズ成分LBとの間に、負レンズ成分
    を介在させた請求項1〜8のいずれか1項記載のレトロ
    フォーカス型レンズ。
  10. 【請求項10】第1レンズ群G1中の前記負メニスカス
    レンズ成分LAの像側レンズ面を、前記非球面とした請
    求項1〜9のいずれか1項記載のレトロフォーカス型レ
    ンズ。
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