JPH09113520A - 可動部の支持装置及びその支持方法、並びに原子間力顕微と走査型トンネル顕微鏡との動作を兼ねた複合装置 - Google Patents

可動部の支持装置及びその支持方法、並びに原子間力顕微と走査型トンネル顕微鏡との動作を兼ねた複合装置

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JPH09113520A
JPH09113520A JP29362695A JP29362695A JPH09113520A JP H09113520 A JPH09113520 A JP H09113520A JP 29362695 A JP29362695 A JP 29362695A JP 29362695 A JP29362695 A JP 29362695A JP H09113520 A JPH09113520 A JP H09113520A
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Kyoji Yano
亨治 矢野
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、被支持物の可動部を支持手段によっ
て大きな力を与えずその支持位置で固定するようにした
可動部の支持装置及びその支持方法、並びにその可動部
の支持手段を適用した原子間力顕微と走査型トンネル顕
微鏡との動作を兼ねた複合装置を提供することを目的と
するものである。 【構成】本発明は上記目的を達成するために、被支持物
の可動部とそれを支持する支持手段との距離の制御を、
前記被支持物と前記支持手段との間に流れるトンネル電
流により行うようにして、前記被支持物の可動部を前記
支持手段によって大きな力を与えずその支持位置で固定
するようにしたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、可動部の支持装置及
びその支持方法、並びにその可動部の支持手段を適用し
た原子間力顕微と走査型トンネル顕微鏡との動作を兼ね
た複合装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】物体の動きを抑制するために、従来から
その物体に対して剛体からなる支持手段とを接触させる
ことにより支持するという方法がきわめて一般的に用い
られる。初期状態においてこの被支持物が支持されてい
ない状態から、支持手段により支持しようとする場合
は、両者を接近させ、両者を接触させる。これにより支
持手段により被支持物が支持される。近年、微細加工技
術、微細領域観察技術が急速に発展してきており、この
ような固定技術がきわめて重要になってきている。例え
ば、走査型トンネル顕微鏡(以下STMという)〔G.
Binnig etal.,Physical Rev
iew Letters 第49巻57頁(198
2)〕や、原子間力顕微鏡(以下AFMという)[G.
Binniget al.,Physical Rev
iew Letters 第56巻930頁(198
6)〕等の走査型プローブ顕微鏡(以下SPMという)
等により実空間で原子レベルの観察が可能になってき
た。これらのSPMの技術を用いた応用技術も発達し、
例えば原子間力顕微鏡においてプローブの先端を導電性
とし、試料との間に電圧を印加させながら試料表面を通
常のAFMの動作により走査させながら流れる電流をモ
ニタすることにより、試料の表面の形状と電気的性質を
同時に測定する技術が特開平3−277903号公報に
開示されている。ところがこれによると、AFM動作で
得られる情報と、走査型トンネル顕微鏡で得られる情報
が必ずしも一致しない場合が生じるという問題があっ
た。このような状況をふまえ、特開平5−231859
号公報には原子間力顕微鏡(以下AFMという)のカン
チレバーを吸着機構により固定し、一つのAFMカンチ
レバーで、AFMの動作と走査型トンネル顕微鏡(以下
STMという)の動作を行う技術が開示されている。ま
た、The International Confe
rence on Solid−State Sens
ors and Actuatos(1993年、横
浜)においてJ.B.Sampspe11らにより微細
な可動ミラーを並べ光を反射させて高解像度のディスプ
レーを作成する技術が開示されている。この技術は可動
ミラーを動かすことにより光軸を変化させることにより
ディスプレーを形成するというものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の技術
は、可動部に大きな力をかけることなく確実に固定する
という点において満足なものがなく、その改善が望まれ
ていた。例えば、前述の特開平5−231859号公報
に開示されたSTM動作が可能なAFM装置では、カン
チレバーを固定するのにカンチレバーを電磁力により吸
着させるとい方法を用いている。しかし、この方法によ
ればカンチレバーを吸着させるときにカンチレバーに取
り付けたプローブの先端の位置が微細に移動してしま
う。そのため、AFM動作で観察を行った後、カンチレ
バーを固定してSTM動作させてもその像を取得する位
置は必ずしも同じではなくなってしまう危険性があっ
た。すなわちカンチレバーの位置を動かすことなくカン
チレバーを固定する技術が必要となっている。また、前
述のJ.B.Sampspellらの可動ミラーの技術
の場合、ミラーがしっかりと固定されていない場合、振
動により像が乱れてしまうという危険があった。しかも
その固定の際にはミラーの位置が所定の位置よりずれて
しまうと像に影響が出てしまう。すなわち、振動に対す
るために、ミラ―の位置を動かすことなくミラーを固定
する技術が必要となってくる。
【0004】そこで、本発明は、上記した問題を解決
し、被支持物の可動部を支持手段によって大きな力を与
えずその支持位置で固定するようにした可動部の支持装
置及びその支持方法、並びにその可動部の支持手段を適
用した原子間力顕微と走査型トンネル顕微鏡との動作を
兼ねた複合装置を提供することを目的とするものであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、被支持物の可動部とそれを支持する支持
手段との距離の制御を、前記被支持物と前記支持手段と
の間に流れるトンネル電流により行うようにして、前記
被支持物の可動部を前記支持手段によって大きな力を与
えずその支持位置で確実に固定するようにしたものであ
る。本発明において、前記支持手段は剛体で構成でき、
被支持物に接触させてその動きを制限するものであれ
ば、被支持物の片側乃至は両側に例えば前記被支持物の
可動部を介し相対して複数配置することができる。ま
た、本発明の可動部の支持方法は、前記被支持物と前記
支持手段との距離の制御を前記被支持物と前記支持手段
との間に流れるトンネル電流を用いて、前記被支持物と
前記支持手段とが非接触の状態から前記支持手段を移動
させて前記被支持物と前記支持物とを接触させた後、前
記支持物の移動を停止し、前記被支持物の可動部を固定
するようにしたことを特徴とする。この支持手段を、前
記被支持物の可動部を介し相対して配置した場合には、
前記支持手段と前記可動部の間に流れる電流値が同じと
なるように制御を行いながらこれらの支持手段を可動部
に接近させ固定することができる。さらに、本発明にお
いてはこの可動部の支持手段を原子間力顕微と走査型ト
ンネル顕微鏡との動作を兼ねた複合装置に適用すること
により、前記弾性部材により支持されたプローブの位置
の固定を、前記プローブの弾性部材とそれを支持する支
持手段との間に流れるトンネル電流を用いて、前記弾性
部材と前記支持手段とが非接触の状態から前記支持手段
を移動させて前記弾性部材と前記支持物とを接触させた
後、前記支持物の移動を停止し、前記プローブを固定す
るように構成し、原子間力による観察を行った後、同じ
領域を走査型トンネル顕微鏡によって観察することがで
きる複合装置を実現したものである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明は、以上のように被支持物
の可動部とそれを支持する支持手段との距離の制御を、
前記被支持物と前記支持手段との間に流れるトンネル電
流により行うことにより、被支持物の可動部を支持手段
によって大きな力を与えずその支持位置で固定すること
ができるものである。この点をさらに具体的に説明する
と、本発明においては被支持物および支持手段が接触す
る領域はともに導電性である必要がある。被支持物また
は/および支持物の接触領域が導電性を持たない場合は
例えば金属の蒸着などによりあらかじめ導電性を確保す
る。被支持物および支持手段において両者が接触する領
域は電源に接続されており両者には電位差が与えられて
いる。またこのとき流れる電流はモニタされる。このモ
ニタする電流は両者に流れる電流がトンネル電流でも検
出できる程度の感度、より具体的にはpA〜nAの電流
が検出できるものでなければならない。一般に距離dだ
け離れた金属間に流れるトンネル電流Jtは Jt=a×exp[−b×d] で表され、その大きさは距離dの変化に対して指数関数
的に変化する。したがって、この電流をモニタしながら
物体を接近させると、距離制御をより厳密に行うことが
できる。被支持物に支持手段を接近させるときは両者が
接触する領域に電位差を与え、両者にトンネル電流が流
れた段階で接近を停止させ、支持手段の動きを止める。
このとき両者に流れるトンネル電流値をあらかじめ設定
しておき、その設定値で接近を停止するようにしてもよ
い。このトンネル電流値の設定は、支持手段が被支持物
に接近するときに被支持物に与える力の大きさと接近終
了後の両者の間隙を設定することに対応する。すなわ
ち、トンネル電流値を大きく設定すると支持手段は被支
持物により近く接近し、このとき与える力は大きくなる
が、接近動作終了時の間隙の大きさは小さくなる。ま
た、前記支持手段が可動部を介して相対して例えば2つ
配置された場合について説明すると、この被支持物の可
動部と前記2つの支持手段との間に流れる電流値に基づ
き制御を行いながら前記2つの支持手段を接近させるこ
とにより被支持物の移動量がより少ない状態で被支持物
の動きを制限することが可能となる。この場合、2つの
支持手段は被支持物を挟むように相対向して配置され
る。2つの支持手段において、各支持手段が独立に被支
持物に接近したときに、各支持手段と被支持物に流れる
トンネル電流の大きさと、各支持手段と被支持物に流れ
る力の大きさをあらかじめ測定しておく。被支持物に対
してまず、2つの支持手段を接近させる。接近させる向
きは互いに反対向きで、通常は被支持物を挟み込むよう
に接近させる。2つの支持手段が被支持物に十分接近
し、各々の支持手段と被支持物との間にトンネル電流が
流れるようになると、片方の支持手段と被支持物の間に
働く力と、もう片方の支持手段と被支持物との間に働く
力が同じになるように接近させる。そのためにあらかじ
め測定したトンネル電流と力の大きさの関係に基づき、
2つの力が同じになるトンネル電流となるように制御を
行いながら接近動作を行う。また、支持手段の先端形状
がほぼ等しければ、支持手段と非支持物との間に流れる
トンネル電流の大きさと力の関係はそれほど大きくは異
ならなず、その場合2つの支持手段と被支持物との間に
流れる電流の大きさが共に等しくなるように制御を行っ
ても、おおよそ上記目的は達成される。この場合、あら
かじめトンネル電流と力の大きさの関係を求めておくと
いうことが必要なく、簡便に動作を行うことが可能とな
る。
【0007】また、本発明においては上記可動部の支持
手段を、原子間力顕微と走査型トンネル顕微鏡との動作
を兼ねた複合装置に適用することにより、原子間力によ
る観察を行った後、弾性部材の可動部を上記した可動部
の支持手段によって固体することにより同じ領域を走査
型トンネル顕微鏡によって観察することが可能な複合装
置を実現することができる。すなわち、導電性プローブ
は弾性体に支持されているものであり、この弾性体とし
ては通常の原子間力顕微鏡で用いられるカンチレバーな
どがある。本原子間力顕微鏡はプローブ先端と試料表面
との間に働く力が弾性体に加わり、その際生じる弾性体
の変位量を力検出手段により検出する。この検出される
力が一定になるように移動手段を試料表面に垂直な方向
に制御しながら、移動手段がプローブ先端を試料平面方
向に2次元走査する。このとき、その制御信号から試料
表面の形状を観察するという通常の原子間力顕微鏡像を
得ることが可能である。本原子間力顕微鏡においては原
子間力顕徴鏡像を得た後、プローブを試料に接触したま
ま、支持手段を前記弾性体に接近させる。このとき前記
弾性体と前記支持手段との間に流れるトンネル電流を観
測し、その流れる電流が規定値になったところで接近動
作を停止する。このようにして前記弾性体を固定した
後、走査型トンネル顕微鏡としての動作をつぎのように
開始する。前記プローブと前記試料との間に電圧印加手
段により電圧を印加し、そのとき試料とプローブとの間
に流れる電流を電流検出手段により検出し、この電流検
出手段により検出される電流が一定になるように前記プ
ローブと前記試料の距離を前記移動手段を試料表面に垂
直な方向に制御しながら、移動手段がプローブ先端を試
料平面方向に2次元走査する。このとき、その制御信号
から試料表面の走査型トンネル顕微鏡像を得ることがで
きる。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例を図に基づいて説明す
る。 [実施例1]図1に本発明の実施例1を示す。本実施例
では片側が固定された片持ち梁状の板バネの支持されて
いない側の動きを制限するものである。図1において、
板バネ101は厚さ2ミクロン、長さが300ミクロ
ン、幅が100ミクロンでSiO2でできている。片側
は板バネ支持部材102と固定されており、反対側の端
は自由端となっている。この板バネ101は本実施例に
おいて図示z方向下側への動きを制限しようとするもの
である。また表面はPtがスパッタ法によりコートされ
ており導電性を確保してある。この導電性を有している
表面は電源104と電気的に接続されている。支持棒1
03はIrとPtの合金であり、先端が板バネ101と
接することにより板バネ101を固定する。支持棒10
3は駆動機構107により図示z方向に移動される。ま
た支持棒103は電気的に電流アンプ105に接続され
て、板バネ101と支持棒103に流れる電流が計測で
きるようになっている。電流アンプ105の出力はマイ
クロコンピュータ108とサーボ回路106に送られ、
サーボ回路106は送られてきた電流値とあらかじめ設
定された値とを比較して制御信号を駆動機構107に送
る。駆動機構107はステッピングモータによる粗動機
構とピエゾ素子による微動機構から構成されており、支
持棒103を図示z方向に移動させる。マイクロコンピ
ュータ108は全体の動きを制御するものである。
【0009】板バネ101の動きを制限する実際の動作
は以下のようにして実行される。まず、マイクロコンピ
ュータの指令に基づき電源104により板バネ101に
数mVから数V程度の電圧が印加される。また、マイク
ロコンピュータ108は支持棒103と板バネ101と
の間の距離を設定電流値として定め、サーボ回路106
にその値を送る。この設定電流値は流れる電流値がトン
ネル電流となるように設定する。この状態でマイクロコ
ンピュータ108は駆動機構107に指令してピエゾ素
子の動作を開始して支持棒103を板バネ101に接近
させる動作を開始する。このとき板バネ101と支持棒
103の間に流れる電流値が規定値以下の場合はサーボ
回路106の制御により接近動作を続ける。ピエゾ素子
が動作範囲限界まで動作しても、支持棒103と板バネ
101の間に規定の電流が流れなかった場合はピエゾ素
子を逆に動作させ支持棒103を板バネ101から遠ざ
ける。次にピエゾ素子が動作した分だけ支持棒103と
板バネ101が接近するようにステッピングモータを動
作させる。次にピエゾ素子による接近動作を開始する。
板バネ101と支持棒103の間に流れる電流が規定値
に達するとサーボ回路106の働きにより、接近動作が
終了し、その後はこの支持棒103の位置は固定され
る。この一連の動作が終了した後は、板バネ101は図
示z方向下向きに動こうとしても支持棒103の存在に
より動きが制限される。実際にはあらかじめ設定された
トンネル電流値によりきまる板バネ101と支持棒10
3の距離程度に動きが制限される。設定トンネル電流値
を小さくすることにより支持棒103と板バネ101の
間の距離を短くすることができるが、動作終了までに支
持棒103と板バネ101の間に働く力が大きくなる。
また設定トンネル電流を小さくすることにより動作終了
までに支持棒103と板バネ104の間に働く力を小さ
くすることが可能となるが、動作終了後の支持棒103
と板バネ101の間の距離が大きくなる。この点をふま
えて、状況に応じて設定電流値を定めるとよい。以上の
動作により板バネ101に大きな力を加えることなく、
板バネ101の動きを制限することができた。
【0010】[実施例2]図2に本発明の実施例2を示
す。本実施例では片側が固定された片持ち梁状の板バネ
の支持されていない側を固定するものである。図2にお
いて、板バネ201、板バネ支持部材202は実施例1
で用いた板バネl01、板バネ支持部材102と同様の
ものであり、板バネ201は本実施例において動きを固
定しようとするものである。また、電源205は電源1
04と同様に板バネ201に電圧を印加するものであ
る。支持棒203および支持棒204は実施例1におけ
る支持棒103と同様な材質で板バネ201を固定する
ものである。支持棒203および支持棒204はそれぞ
れ駆動機構210、駆動機構211により図示z方向に
移動する。電流アンプ206、電流アンプ207は板バ
ネ201と支持棒203、板バネ201と支持棒204
の間に流れる電流を検出するものである。電流アンプ2
06で計測された電流値はサーボ回路208とマイクロ
コンピュータ212に、また電流アンプ207で計測さ
れた電流値はサーボ回路209とマイクロコンピュータ
212に送られる。サーボ回路208は電流アンプ20
6から送られてきた電流値とあらかじめ設定された値と
を比較して制御信号を駆動機構210に送る。またサー
ボ回路209は電流アンプ207から送られてきた電流
値とあらかじめ設定された電流値とを比較して制御信号
を駆動機構211に送る。駆動機構210及び駆動機構
211はステッピングモータによる粗動機構とピエゾ素
子による微動機構から構成されており、支持棒203及
び支持棒204を図示z方向に移動させる。マイクロコ
ンピュータ212は全体の動きを制御するものである。
板バネ201を固定する動作は以下のようにして実行さ
れる。まず、マイクロコンピュータ212の指令に基づ
き電源205により板バネ201に数mVから数V程度
の電圧が印加される。また、マイクロコンピュータ21
2は支持棒203と板バネ201との間及び支持棒20
4と板バネ201との間の距離を設定電流値として定
め、サーボ回路208及びサーボ回路209にその値を
送る。この設定電流値は流れる電流値がトンネル電流と
なるように設定する。この状態でマイクロコンピュータ
212は駆動機構210に指令してピエゾ素子の動作を
開始して支持棒203を板バネ201に接近させる動作
を開始する。このとき板バネ201と支持棒203の間
に流れる電流値が規定値以下の場合はサーボ回路208
の制御により接近動作を続ける。ピエゾ素子が動作範囲
限界まで動作しても、支持棒203と板バネ201の間
に規定の電流が流れなかった場合はピエゾ素子を逆に動
作させ支持棒203を板バネ201から遠ざける。次に
ピエゾ素子が動作した分だけ支持棒203と板バネ20
1が接近するようにステッピングモータを動作させる。
次にピエゾ素子による接近動作を開始する。板バネ20
1と支持棒203の間に流れる電流が規定値に達すると
サーボ回路208の働きにより、接近動作が終了し、そ
の後はこの支持棒203の位置は固定される。これらの
動作と同時にマイクロコンピュータ212は駆動機構2
11に指令してピエゾ素子の動作を開始して支持棒20
4を板バネ201に接近させる動作を開始する。電流ア
ンプ207、サーボ回路209、駆動機構211は電流
アンプ206、サーボ回路208、駆動機構210と同
様な動作により支持棒204と板バネ201を接近さ
せ、その後動きを固定する。この一連の動作が終了した
後は、板バネ201は支持棒203及び支持棒204に
より挟み込まれており、固定されている。
【0011】[実施例3]図3に本発明の実施例3を示
す。本実施例に用いる装置は実施例2で用いた装置から
サーボ回路208とサーボ回路209を除去し、新たな
サーボ回路301を付加したものである。図3におい
て、サーボ回路301は電流アンプ206及び電流アン
プ207の値を比較して両者の値が同じになるように駆
動機構210、駆動機構211を制御するものである。
本実施例による板バネ201を固定する動作は以下のよ
うにして実行される。まず、マイクロコンピュータ21
2の指令に基づき電源205により板バネ201に数m
Vから数V程度の電圧が印加される。また、マイクロコ
ンピュータ212は支持棒203と板バネ201との間
及び支持棒204と板バネ201との間の距離を投定電
流値として定め、サーボ回路301にその値を送る。こ
の設定電流値は流れる電流値は支持棒204及び支持棒
204が板バネ201から十分離れているように設定す
る。この状態で実施例2に示した動作と同様に、マイク
ロコンピュータ212は駆動機構210、駆動機構21
1に指令してピエゾ素子の動作を開始して支持棒203
及び支持棒204を板バネ201に接近させる動作を開
始する。板バネ201と支持棒203及び板バネ201
と支持棒204との間に流れる電流が共に設定値となる
とマイクロコンピュータ212の指令によりサーボ回路
301により大きな新たな設定電流値が送られる。サー
ボ回路208は電流アンプ206と電流アンプ207の
出力が同じになるように制御しながら駆動機構210お
よび駆動機構211を制御して支持棒203及び支持棒
204を板バネ201に接近させ、新たな設定電流値に
なったところで接近動作を停止させ固定する。この一連
の動作が終了した後は、板バネ201は支持棒203及
び支持棒204により挟み込まれており、固定されてい
る。しかも本実施例では、接近動作中も支持棒203と
板バネ201の距離、支持棒204と板バネ201との
距離はほぼ同じで、支持棒203と板バネ201との間
に働く力及び支持棒204と板バネ201との間に働く
力がほぼ等しい状態で接近させることができるため、接
近にともなう板バネ201の動きも少なく、また最終的
な位置もより接近させることが可能である。
【0012】[実施例4]図4に本発明の実施例4によ
るAFM/STM装置を示す。図4において、カンチレ
バー402はバネ定数が例えば0.lN/m程度の板バ
ネ状のもので、一般のAFMで用いられるものである。
このカンチレバー402の先端に試料403に接触させ
るプローブ401が形成されている。プローブ401は
スパッタ法によりPtがコートされて導電性を有してお
り電流アンプ405に接続されている。電源404は試
料403に接続され、試料403とプローブ401に観
察のために必要な電圧を印加する。カンチレバー402
の試料の反対側にはレーザ406によりレーザ光が照射
されており、カンチレバー402で反射されたレーザ光
が2分割センサ408に入射する。たわみ量検出装置4
09は2分割センサ408の出力からカンチレバー40
2のたわみを検出する。この方式は通常光てこ方式と呼
ばれている方式である。プロープ401を挟み込むよう
に支持装置416と支持装置417がある。
【0013】図5にカンチレバー402周辺の拡大図を
示す。支持装置416はピエゾ501、ピエゾ502に
支持されており、図示Z方向に移動できる。この支持装
置416はカンチレバー402を上方から接近させ抑え
るものである。また支持装置417はピエゾ503、ビ
エゾ504に支持されており、図示Z方向に移動でき
る。この支持装置417はカンチレバー402を下方か
ら接近させ抑えるものである。支持装置416および支
持装置417はプローブ401と接近したときに電流が
流れるように表面が導電性となっている。この導電性部
分は電流アンプ505、電流アンプ506に接続されて
おり、プローブ401と支持装置416、及びプローブ
401と支持装置417との間に流れる電流を測定する
ことができる。サーボ回路507は電流アンプ505と
電流アンプ506の値が等しくなるように、またその電
流値が次第に大きくなるようにピエゾ501、ピエゾ5
02、ピエゾ503、ピエゾ504を制御する。
【0014】本実施例に示すAFM/STM装置は、以
下に示す動作によりAFM装置として試料を観察し、ま
たSTM装置として観察することができる。まず、マイ
クロコンピュータ415の指令によりサーボ回路507
が信号を発生させ、ピエゾ501、ピエゾ502を縮
め、またピエゾ503、ピエゾ504を延ばし、支持装
置416及び支持装置417をプローブ401から十分
離しておく。この状態でマイクロコンピュータ415の
指令によりX−Y方向位置制御回路412が制御信号を
発生し、試料ステージ駆動機構413を駆動して、プロ
ーブ401先端の図示X−Y方向の位置を、観察しよう
とする位置に移動させる。次にマイクロコンピュータ4
15の信号に基づきZ方向位置制御回路411は試料ス
テージ駆動機構413を駆動させ、試料ステージ414
を動かすことによりプローブ401と試料403を接近
させる。プローブ401と試料403の接触はたわみ量
検出装置409の出力変化で検出される。試料403と
プロープ401の接触が検出されるとマイクロコンピュ
ータ415は試料403とプローブ401の保持すべき
位置をカンチレバー402のたわみ量として規定しその
信号をサーボ回路410に送る。サーボ回路410は、
たわみ量検出装置409の出力がこの規定値になるよう
にZ方向位置制御回路411に信号を送る。Z方向位置
制御回路411はその信号に基づき試料ステージ駆動機
構413をZ方向に駆動する制御信号を発生する。この
ときのZ方向の制御信号はマイクロコンピュータ415
に送られる。この状態でマイクロコンピュータ415が
X−Y方向位置制御回路412に指令を出し、X−Y方
向位置制御回路412はその指令に基づき、試料ステー
ジ駆動機構413を図示X−Y方向に走査させる。この
一連の動作により、プローブ401は試料403表面を
走査するが、このときマイクロコンピュータ415はX
−Y方向の制御信号、Z方向の制御信号から試料表面の
形状を算出する。この像を以下AFM像という。ここま
での動作は通常のAFMの動作である。また、プローブ
401と試料403が接触した後、Z方向の位置を固定
して、X−Y方向の走査を行い、そのときのたわみ量検
出装置409の出力から表面形状を算出する方法など他
のAFM像を得る手段でもよい。また、本実施例のAF
M/STMには以下の方法により、AFM像を取得する
ときに同時に電流に関する情報を得ることができる。そ
のためには、上記方法によりAFM像を取得する最中
に、試料403に電源204により電圧を印加し、プロ
ーブ401から流れる電流を電流アンプ405が検出す
る。この電流値はマイクロコンピュータ415に送ら
れ、マイクロコンピュータ415が前述のAFMの像と
併せて電流値を画像化することにより試料403の表面
形状と電流の流れ方を同時に画像化することができる。
以下電流の像を電流像といい、またAFM像と電流像を
同時取得した像を同時像という。
【0015】上記のようにして、AFM像、または同時
像を取得したのち、以下のようにして支持装置416、
支持装置417の接近動作を開始する。まず、AFM像
または同時像を取得した直後、マイクロコンピュータ4
15の指令に基づき、電源404によりカンチレバー4
02に電圧を印加する。また、マイクロコンピュータ4
15は支持装置416とカンチレバー402との間及び
支持装置417とカンチレバー402との間の距離を設
定電流値として定め、サーボ回路507にその値を送
る。この設定電流値の流れる電流値は流れる電流がトン
ネル電流になるように設定され、かつ支持装置416及
び支持装置417がカンチレバー402から十分離れて
いるように設定する。この状態でマイクロコンピュータ
415はサーボ回路507の動作を開始する。サーボ回
路507の動作により、ピエゾ501、ピエゾ502が
伸びる動作を開始し、またピエゾ503、ピエゾ504
が縮む動作を開始して、支持装置416と支持装置41
7がカンチレバー402に接近する動作を開始する。カ
ンチレバー402と支持装置416及びカンチレバー4
02と支持装置417との間に流れる電流が共に設定値
となるとマイクロコンピュータ415の指令によりサー
ボ回路507により大きな新たな設定電流値が送られ
る。この新たな設定電流に基き、再びサーボ回路507
が動作しピエゾ501、ピエゾ502、ピエゾ503、
ピエゾ504が動作して、支持装置416、支持装置4
17がカンチレバー402にさらに接近する。この動作
を繰り返し、支持装置416と支持装置417がカンチ
レバー402に十分接近したところで、この一連の動作
を中止し、支持装置416、支持装置417の動きを固
定する。この状態でカンチレバー402は支持装置41
6及び支持装置417により挟み込まれており、固定さ
れている。また、支持装置416、支持装置417とカ
ンチレバー402が十分に接近したかどうかの判断は両
者に流れる電流の大きさで判断できる。すなわち、マイ
クロコンピュータ415はあらかじめ、支持装置416
とカンチレバー402に流れる電流値を定めておき、サ
ーボ回路507に送る設定電流値はこのあらかじめ定め
られて電流値になるまで大きくし、このあらかじめ定め
られて電流値に達したところで支持装置416の接近動
作を終了させる。支持装置417も同様な動作を行う。
しかもこの固定を行う過程においてカンチレバー402
が大きく動くことがなく、プローブ401が大きく動く
ことが抑制される。このようにカンチレバー402が固
定された後、電源404により試料403にSTM観察
用の電圧を印加する。この状態でマイクロコンピュータ
415は試料403とプローブ401との間に流れるト
ンネル電流を規定しサーボ回路410に送る。サーボ回
路410は、電流アンプ405の出力がこの規定値にな
るようにZ方向位置制御回路411に信号を送る。Z方
向位置制御回路411はその信号に基づき試料ステージ
駆動機構413をZ方向に駆動する制御信号を発生す
る。このときのZ方向の制御信号はマイクロコンピュー
タ415に送られる。この状態でマイクロコンピュータ
415がX−Y方向位置制御回路412に指令を出し、
X−Y方向位置制御回路412はその指令に基づき、試
料ステージ駆動機構413を図示X−Y方向に走査させ
る。この一連の動作により、プローブ401は試料40
3表面を走査するが、このときマイクロコンピュータ4
15はX−Y方向の制御信号、Z方向の制御信号から試
料表面の形状を算出しディスプレィ216に表示する。
この動作により、通常のSTM像を得ることができる。
このSTM像は、カンチレバー416を固定する際、プ
ローブ401の動きがほとんどないので、AFM像、ま
たは同時像と同じ位置の像を得ることができる。
【0016】
【発明の効果】本発明は、以上のように被支持物の可動
部とそれを支持する支持手段との距離の制御を、この被
支持物と支持手段との間に流れるトンネル電流により行
うことにより、被支持物の可動部を支持手段によって大
きな力を与えずその支持位置で確実に固定することがで
きる。また、本発明においては上記可動部の支持手段
を、原子間力顕微と走査型トンネル顕微鏡との動作を兼
ねた複合装置に適用することにより、原子間力による観
察を行った後、弾性部材の可動部を上記した可動部の支
持手段によって確実に固定することができ、それにより
原子間力顕微鏡と同じ領域を走査型トンネル顕微鏡によ
って観察のできる複合装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施例1を示す図である。
【図2】本発明による実施例2を示す図である。
【図3】本発明による実施例3を示す図である。
【図4】本発明による実施例4のAFM/STM装置を
示す図である。
【図5】本発明の実施例4におけるカンチレバー周辺を
示す拡大図である。
【符号の説明】
101、201 板バネ 102、202 支持部材 103、203、204 支持棒 104、205、404 電源 105、206、207、405、505、506
電流アンプ 106、208、209、301、410、507
サーボ回路 107、210、、211 駆動機構 108、212、415 マイクロコンピュータ 401 プローブ 402 カンチレバー 403 試料 406 レーザー 407 レーザー用電源 408 2分割センサ 409 たわみ量検出装置 411 Z方向位置制御回路 412 X−Y方向位置制御回路 413 試料ステージ駆動機構 414 試料ステージ 416、417 支持装置 501、502、503、504 ピエゾ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被支持物の可動部を支持手段によって大
    きな力を与えずその支持位置で固定するようにした可動
    部の支持装置において、前記被支持物と前記支持手段と
    の距離の制御を前記被支持物と前記支持手段との間に流
    れるトンネル電流により行うようにしたことを特徴とす
    る可動部の支持装置。
  2. 【請求項2】 前記支持手段が、前記被支持物の可動部
    を介し相対して配置されていることを特徴とする請求項
    1に記載の可動部の支持装置。
  3. 【請求項3】 被支持物の可動部を支持手段によって大
    きな力を与えずその支持位置で固定するようにした可動
    部の支持方法において、前記被支持物と前記支持手段と
    の距離の制御を前記被支持物と前記支持手段との間に流
    れるトンネル電流を用いて、前記被支持物と前記支持手
    段とが非接触の状態から前記支持手段を移動させて前記
    被支持物と前記支持物とを接触させた後、前記支持物の
    移動を停止し、前記被支持物の可動部を固定するように
    したことを特徴とする可動部の支持方法。
  4. 【請求項4】 前記支持手段を、前記被支持物の可動部
    を介し相対して配置し、該相対して配置された支持手段
    と可動部間に流れる電流値が同じとなるように制御を行
    いながらこれらの支持手段を可動部に接近させ固定する
    ようにしたことを特徴とする請求項3に記載の可動部の
    支持方法。
  5. 【請求項5】弾性部材に支持されたプローブを有し、原
    子間力により試料表面を観察する原子間力顕微鏡とトン
    ルネ電流により試料表面を観察する走査型トンネル顕微
    鏡の動作とを兼ねた複合装置において、前記弾性部材に
    支持されたプローブの位置の固定を、前記弾性部材とプ
    ローブの位置を固定するための支持手段との間に流れる
    トンネル電流により行うようにした複合装置。
JP29362695A 1995-10-16 1995-10-16 可動部の支持装置及びその支持方法、並びに原子間力顕微と走査型トンネル顕微鏡との動作を兼ねた複合装置 Pending JPH09113520A (ja)

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JP29362695A JPH09113520A (ja) 1995-10-16 1995-10-16 可動部の支持装置及びその支持方法、並びに原子間力顕微と走査型トンネル顕微鏡との動作を兼ねた複合装置

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009056551A (ja) * 2007-08-31 2009-03-19 Toyama Univ 工具位置決め方法および工具位置決め装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009056551A (ja) * 2007-08-31 2009-03-19 Toyama Univ 工具位置決め方法および工具位置決め装置

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