JP2009056551A - 工具位置決め方法および工具位置決め装置 - Google Patents

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【課題】 簡易な構成で、一般の工具とワークとの高精度な相対位置決めを可能とする工具位置決め方法および工具位置決め装置を提供する。
【解決手段】 工具1およびワーク2に接続するための電極3a,3bと、該電極3a,3bの間に直列に接続される電源4および制限抵抗5と、該制限抵抗5の両端の電位差を増幅する差動増幅器6と、該差動増幅器6から出力される電圧を判定基準電圧と比較するコンパレータ7と、を備える工具位置決め装置を用いて、電極3a,3bを工具1およびワーク2に接続し、電源4により工具1およびワーク2の間に電圧を印加し、工具1をワーク2に接近させ、工具1とワーク2との間に流れるトンネル電流が検出された位置を基準位置として、位置決めを行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、工作機械において工具とワークの相対位置決めをするための工具位置決め方法および工具位置決め装置に関する。
旋盤などによる切削加工や、放電加工機による放電加工に際して、あらかじめ、切削工具や放電加工用の電極と、加工対象物(ワーク)との相対位置を定めることが必要になる。また、加工途中で工具を交換する場合にも、再度位置決めが必要となる。従来、切削加工の場合は、この位置決めのための特別のジグがあり、工具とジグの接触位置やジグとワークとの位置関係などから工具の移動開始点を定めていた。また、放電加工では、ジグを用いず、工具電極とワークの直接接触を感知して位置決めする場合が多かった。このような接触感知法としては、接触時に加わる力を検出する方式や、導電性工具と、ジグまたはワークに数ボルトの電圧を印加し、接触により両物体間にかかる電圧が低下することを検知する方式が用いられている。しかし、いずれの方式においても、現状では1〜0.1μmの繰返し精度が得られるに過ぎない。また、工具とワークが接触する際に、ワーク表面を傷付けてしまうおそれがある。さらに、工具やワークが絶縁性の素材からなる場合、電圧を印加する方式は用いることができなかった。
そこで、本願発明者らが着目したのが、走査型トンネル顕微鏡(STM)の動作原理である。通常、二つの導電性物体間に電圧を印加した場合、二物体が接触していなければ電流が流れることはないが、二物体をごく近い距離(およそ1nm以下)まで接近させると、トンネル電流が流れる。このトンネル電流の大きさは、二物体間の距離が小さくなるにつれて指数関数的に増大する。STMはこのようなトンネル現象を利用したものであり、探針と試料との間に電圧を印加し、トンネル電流の大きさが一定値を保つようにしながら探針で試料上を走査することで、試料の表面形状を明らかにするものである。
このSTMの原理を、試料表面の観察だけではなく、加工に応用するものとして、文献1の発明が提案されている。これは、先端の鋭利な探針を用いて加工基板上に微細溝を加工する微細溝加工装置において、探針と加工基板表面間に流れるトンネル電流を検出し、トンネル電流を用いて探針と加工基板表面の距離を一定に保持して探針を移動させ、所望加工部位の形状を計測、記憶し、次に探針を上下し、左右に移動しながら微細溝を加工するものであり、STMの探針をそのまま加工にも用いたものといえる。
特開平6−119901号公報
しかしながら、文献1の発明は、あくまでもSTMに用いられるような探針により、高密度記録媒体などの表面形状の計測とトラック溝加工を行うものであり、工作機械の一般の工具と一般のワークの相対位置決めを行うものではない。また、装置は複雑な回路構成を有し、費用も高くならざるを得ない。
本発明は、上記事情を鑑みたものであり、簡易な構成で、一般の工具とワークとの高精度な相対位置決めを可能とする工具位置決め方法および工具位置決め装置を提供することを目的とする。
本発明のうち請求項1の発明は、工作機械において工具とワークの相対位置決めをするための工具位置決め方法であって、前記工具および前記ワークの間に電圧を印加し、前記工具を前記ワークに接近させ、前記工具と前記ワークとの間に流れるトンネル電流が検出された位置を基準位置とすることを特徴とする。ここで工作機械とは、旋盤、フライス盤や放電加工機など、切削刃や工具電極(これらを総称して工具とする)を備え、加工対象であるワークに種々の加工を施すものをいう。ただし、旋盤やフライス盤による加工において切削液を用いる場合や、放電加工機において工具およびワークを加工液中に浸して加工を行う場合、漏れ電流が発生して検出を不安定にするため、不向きである。また、相対位置決めとは、工具とワークとの間の距離を求める絶対的な位置決めではなく、最初にワークに対する工具の基準位置を定め、次回以降の位置決めで工具をその基準位置に合わせることをいう。本発明の方法により位置決めが可能となる理由は、以下のとおりである。すなわち、工具およびワークに電圧を印加した状態で、工具をワークに接近させていくと、両者間にトンネル電流が流れる。このトンネル電流が検出された位置が、ワークに対する工具の相対的な基準位置となる。以後、たとえば工具を交換し、改めて位置決めをする際には、同様の条件でトンネル電流を検出することで、工具を基準位置に位置させることができる。
本発明のうち請求項2の発明は、前記印加電圧の電圧値を2.0V以下とし、かつ前記トンネル電流の電流値を15nA以下とすることを特徴とする。ただし、本発明は、工具およびワークに電圧を印加してトンネル電流が流れることを前提としているのであるから、電圧値が0である場合や、トンネル電流の電流値が0である場合が除かれることは当然である。
本発明のうち請求項3の発明は、工作機械において工具とワークの相対位置決めをするための工具位置決め装置であって、前記工具および前記ワークに接続するための電極と、該電極の間に直列に接続される電源および制限抵抗と、該制限抵抗の両端の電位差を増幅する差動増幅器と、該差動増幅器から出力される電圧を判定基準電圧と比較するコンパレータと、を備えることを特徴とする。装置の各構成要素は、すべて一般的な電子回路に用いられる素子である。このうち、電源は、直流電源のほか、交流電源やパルス電源であってもよい。また、上記以外に増幅器や絶縁増幅器およびフィルタなどを備えていてもよい。本発明の装置により、以下のとおり位置決めを実施することができる。すなわち、電極を工具およびワークに接続し、電源により電圧を印加した状態で工具をワークに接近させていくと、両者間にトンネル電流が流れる。すると、工具およびワークと直列に接続された制限抵抗にも電流が流れ、その両端に電位差が生じる。この電位差を差動増幅器により増幅し、差動増幅器から出力される電圧をコンパレータにより判定基準電圧と比較して、出力電圧が判定基準電圧を超えたことをもってトンネル電流を検出する。このトンネル電流が検出された位置が、ワークに対する工具の相対的な基準位置となる。
本発明のうち請求項4の発明は、前記電源による印加電圧の電圧値を2.0V以下とし、かつ前記制限抵抗の抵抗値を0.8MΩ以上とすることを特徴とする。ただし、本発明は、工具およびワークに電圧を印加してトンネル電流が流れることを前提としているのであるから、電圧値が0である場合や、制限抵抗の抵抗値が限りなく大きく絶縁体とみなせる場合が除かれることは当然である。
本発明のうち請求項5の発明は、前記工具および/または前記ワークが絶縁性の素材からなる場合において、前記工具および/または前記ワークの表面に金属を蒸着して導電性を付与することを特徴とする。本発明の装置は、工具およびワークに電流を流すのであるから、両者は導電性を有していなければならない。そこで、絶縁性の工具やワークに本発明の方法を適用する場合、金属を表面に蒸着させ導電性を付与する。なお、蒸着する金属は、導電率の高いものが望ましく、さらに安定性の点から、金が最も望ましい。
本発明のうち請求項1の発明によれば、一般の工具およびワークについて、容易に相対位置決めを行うことができる。従来の工具とワークを直接接触させる位置決め方法では、1〜0.1μm程度の繰り返し精度が限界であったが、本発明の方法によれば、理論上1nm程度の繰り返し精度が得られる。トンネル電流の電流値は、工具とワークの距離が近付くにつれて指数関数的に増加するので、トンネル電流をある程度の精度で検出すれば、非常に高い精度で位置決めを行うことができるのである。また、工具とワークを直接接触させないので、ワーク表面が傷付けられることがない。
本発明のうち請求項2の発明によれば、とくに印加電圧の電圧値およびトンネル電流の電流値を限定することで、高い精度で工具およびワークの位置決めをすることができる。
本発明のうち請求項3の発明によれば、簡易な回路構成の装置により工具とワークの相対位置決めが可能となる。本装置は、旋盤、フライス盤や放電加工機など、種々の工作機械に適用することができる。また、本発明の装置を、従来用いられている位置決め用ジグの中に組み込むこともできる。
本発明のうち請求項4の発明によれば、とくに印加電圧の電圧値および制限抵抗の抵抗値を限定することで、高い精度で工具およびワークの位置決めをすることができる。
本発明のうち請求項5の発明によれば、絶縁性の工具やワークであっても相対位置決めが可能となる。工具の切削刃などには絶縁体であるダイヤモンドが多く用いられており、また、ワークとして絶縁体であるガラスなどの加工も行われているため、本発明によれば、実際に使用される多くの種類の工具およびワークに対応することができる。
本発明の工具位置決め装置の具体的な構成について、各図面に基づいて説明する。図1は、工具位置決め装置の構成を示す回路図である。工具1には電極3aが、ワーク2には電極3bが接続され、電極3a,3bの間には直列に電源4および制限抵抗5が接続される。電源4は直流電源であり、制限抵抗5は固定抵抗であって、電源4により、制限抵抗5を介して、工具1とワーク2との間に所望の電圧が印加される。制限抵抗5の両端には増幅器8a,8bを介して差動増幅器6が接続され、制限抵抗5の両端の電位差が増幅され出力される。差動増幅器6の出力は、絶縁増幅器9およびフィルタ10を介してコンパレータ7へ入力され、判定基準電源11から入力される判定基準電圧と比較される。コンパレータ7へ入力された電圧が判定基準電圧を上回れば、コンパレータ7は検出感知信号12を出力する。ここで、増幅器8a,8bは制限抵抗5よりも充分大きな抵抗値を有する高入力インピーダンスのものを用いる。また、絶縁増幅器9は、検出部と増幅部のアース電位変動の影響を避けるために用いる。さらに、フィルタ10は、商用周波数信号および高周波信号をカットして外部ノイズの影響を小さくするために用いられる。電源4の電圧値、制限抵抗5の抵抗値および判定基準電源11の電圧値については後述する。
本発明が適用される工作機械は、旋盤、フライス盤や放電加工機など、種々のものが考えられるが、ここでは旋盤を例にとり、図2にその構成を示す。工具1は計算機の指令によりX軸およびZ軸方向に移動し、ワーク2はモータにより回転する。工具1とワーク2は導電体(または表面に金属を蒸着させて導電性を付与した絶縁体)であるが、工具1は刃物台22上に設置された絶縁板21により絶縁され固定されている。位置決めの際には、ワーク2が静止した状態で、工具1をワーク2の方向に移動させ、トンネル電流を検知する。
次に、本発明の工具位置決め装置に関する予備実験について説明する。この予備実験は、判定基準電圧の電圧値、電源の電圧値および制限抵抗の抵抗値について検討するために行ったもので、工具とワークの代わりに直径3mmのSUS丸棒二本を直交して接近させ、その際の判定基準電圧の電圧値、電源の電圧値および制限抵抗の抵抗値を変えて、位置決めの精度を確認した。なお、以下の実験において、差動増幅器の倍率は4倍とした。
まず、第一の予備実験として、位置決め精度に対する判定基準電圧の影響を調べるため、判定基準電圧の電圧値を変化させた。ここでは判定基準電圧の電圧値を50mV、250mV、500mVとし、それぞれ20回の位置決めを繰り返し行った。なお、電源の電圧値は1.5V、制限抵抗の抵抗値は1MΩとした。図3は、その実験結果を示すグラフである。それぞれ1回目の位置決めでトンネル電流が検出された位置を基準位置(接触距離0nm)とし、2回目以降は基準位置に対するズレを示す。グラフより、判定基準電圧が500mVおよび250mVの場合に20nm程度であった基準位置からのズレのばらつきが、50mVの場合では10nm程度に改善されている。この理由は、図4に示した、二本のSUS丸棒を漸次接近させたときの差動増幅器の出力波形例から理解できる(電源の電圧値1.5V、制限抵抗の抵抗値1MΩ、丸棒の接近速度9nm/sの場合であり、グラフの縦軸は1V/div、横軸は1s/div)。ここでは(a)および(b)の2つの例を示しているが、丸棒が接近するとき、検出電圧は徐々に増加し、その波形は毎回異なる。したがって、判定基準電圧が高ければ、判定位置が毎回変化し、位置決め精度が安定しないことになる。よって、判定基準電圧はできるだけ低い値にすべきである。また、本実験において、判定時にギャップ(二本の丸棒間の空隙)に流れるトンネル電流の電流値は、以下のように求められる。すなわち、差動増幅器の倍率が4倍であるから、判定基準電圧の電圧値を500mV、250mV、50mVとした場合の、判定時の制限抵抗両端の電位差は、それぞれ125mV、62.5mV、12.5mVである。よって、これらの電位差と抵抗値の商がトンネル電流の電流値となる。本実験において、判定基準電圧を500mV、250mV、50mVとした場合の判定時のトンネル電流の電流値は、それぞれ12.5nA、6.25nA、1.25nAとなる。電流値が小さいと、通電による工具やワークの表面の損傷が少なくなるため、位置決め精度は向上すると考えられ、この点からも判定基準電圧は小さいほうがよいといえる。ただし、値が小さすぎるとノイズの影響を受けやすくなるため、50mV程度が望ましいと考えられる。
次に、第二の予備実験として、位置決め精度に対する印加電圧の影響を調べるため、電源の電圧値を変化させた。ここでは電源の電圧値を0.1V、1.5V、4.5Vとし、それぞれ10回の位置決めを繰り返し行った。なお、制限抵抗の抵抗値は10MΩ、判定基準電圧の電圧値は50mVとした。図5は、その実験結果を示すグラフである。グラフより、電源の電圧値が4.5Vの場合に60nm程度であったばらつきが、1.5Vの場合では20nm程度、0.1Vの場合では10nm程度に改善されており、電圧値が小さくなるほど精度が向上することがわかる。これは、印加電圧の減少によって、狭いギャップで検出が行われたためと考えられる。なお、本実験では直流電圧を印加したが、交流電圧やパルス電圧を印加してもよい。
さらに、第三の予備実験として、位置決め精度に対する制限抵抗の影響を調べるため、制限抵抗の抵抗値を変化させた。ここでは制限抵抗の抵抗値を12kΩ、100kΩ、1MΩ、10MΩ、100MΩとし、それぞれ10回の位置決めを繰り返し行った。なお、電源の電圧値は0.1V、判定基準電圧の電圧値は50mVとした。図6は、その実験結果を示すグラフである。グラフより、制限抵抗の抵抗値が12kΩの場合に70nm程度であったばらつきが、100kΩの場合では30nm程度、1MΩの場合では20nm、10MΩの場合では10nm、100MΩの場合では5nm程度に改善されており、抵抗値が大きくなるほど精度が向上することがわかる。これは、抵抗値を大きくするほどトンネル電流の電流値が小さくなり、通電による工具やワークの表面の損傷が少なくなるためであると考えられる。なお、制限抵抗の抵抗値を12kΩ、100kΩ、1MΩ、10MΩ、100MΩとした場合の判定時のトンネル電流の電流値は、それぞれ1.04μA、125nA、12.5nA、1.25nA、0.125nAとなる。
上記の第二、第三の予備実験から、電源の電圧値および制限抵抗の抵抗値の最適範囲を検討する。図7は、電源の電圧値および制限抵抗の抵抗値の組み合わせと、位置決め精度のばらつきの関係を示すグラフである。ただし、判定基準電圧の電圧値は50mVとし、測定点は先の予備実験よりさらに追加されている。グラフより、電源の電圧値が小さく、かつ制限抵抗の抵抗値が大きいほど、位置決めの精度が高くなることがわかる。そして、とくに電源の電圧値を2.0V以下、好ましくは1.5V以下かつ制限抵抗の抵抗値を0.8MΩ以上、好ましくは1MΩ以上とすれば、位置決めのばらつきを20〜10nm以下にすることができるため望ましい。グラフ中の点線は、2.0Vおよび0.8MΩを示す。また、抵抗値については、0.8MΩの場合の判定時のトンネル電流の電流値が15.6nA、1MΩの場合の判定時のトンネル電流の電流値が12.5nAであるから、電流値をおよそ15nA以下、好ましくは10nA以下にすることが望ましいと換言できる。なお、理論上は、電源の電圧値は小さいほど位置決めの精度が向上するが、実際には、電圧値が小さくなりすぎると回路技術上の困難が生じ、またノイズの影響を受けやすくなるため、下限は1μV程度にすべきである。同様に、理論上は、制限抵抗の抵抗値は大きいほど位置決めの精度が向上するが、実際には、高抵抗になるほどノイズが入りやすくなること、また抵抗値が湿度の影響などで変化しやすくなること、さらに増幅器の入力インピーダンスの値に限界があることから、上限は1000MΩ程度にすべきである。この場合のトンネル電流の下限値は、およそ0.01nAである。
なお、本発明の方法は、工具およびワークに電流を流すのであるから、両者は導電性を有していなければならない。しかし、工具の切削刃などには絶縁体であるダイヤモンドが多く用いられており、また、ワークとして絶縁体であるガラスなどの加工も行われている。こうした工具やワークに本発明の方法を適用する場合、何らかの方法で導電性を付与する必要がある。たとえばダイヤモンドの工具については、従来ドーピングにより導電性を付与する方法が知られているが、この方法では工具が非常に高価になる上、内部歪みが増加して工具寿命が縮まるという問題があった。そこで、本発明においては、これらの絶縁物に対して金属を表面に蒸着させ導電性を付与する。
蒸着は、たとえば図8に示す装置により行う。真空に引いた容器31の中に、工具などの被蒸着物32が設置され、その下方には皿33が設置され、蒸着金属34が載せられている。さらに皿33の下方には、ヒーター35が設置されている。ヒーター35により蒸着金属34を加熱すると、蒸着金属34から金属粒子が飛び出し、被蒸着物32に付着し蒸着層を形成する。蒸着金属34としては、導電率が高く安定性に優れた金が望ましく、その蒸着厚さは20nm程度が適切である。なお、蒸着層は切削によって容易にはがれてしまうが、電流の導通は位置決め時にのみ必要なので、その後の切削ではがれても、トンネル電流の検出については問題ない。しかし、蒸着層の厚さは位置決めの誤差となる。よって、あらかじめその厚さを見込んで補正するべきであるが、精度上問題にならない場合は無視してもよい。このような蒸着は、ドーピングなどと比べて極めて安価に実施できる上、工具寿命にも影響しない。
本発明の工具位置決め方法および工具位置決め装置は、上記実施例に限定されない。たとえば、工具位置決め装置の回路構成は、一部の要素を省略したものであってもよいし、他の要素を追加したものであってもよい。また、本発明の方法および装置は、旋盤、フライス盤や放電加工機などのほか、種々の工作機械に適用される。さらに、蒸着についても種々の公知の方法を用いることができる。
本発明の工具位置決め装置の構成を示す回路図。 工具およびワークの例を示す模式図。 第一予備実験(判定基準電圧)の結果を示すグラフ。 差動増幅器の出力波形の例を示すグラフ。 第二予備実験(電源電圧)の結果を示すグラフ。 第三予備実験(制限抵抗)の結果を示すグラフ。 電源電圧および制限抵抗と位置決め精度のばらつきとの関係を示すグラフ。 蒸着装置の例を示す模式図。
符号の説明
1 工具
2 ワーク
3a,3b 電極
4 電源
5 制限抵抗
6 差動増幅器
7 コンパレータ

Claims (5)

  1. 工作機械において工具とワークの相対位置決めをするための工具位置決め方法であって、
    前記工具および前記ワークの間に電圧を印加し、前記工具を前記ワークに接近させ、前記工具と前記ワークとの間に流れるトンネル電流が検出された位置を基準位置とすることを特徴とする工具位置決め方法。
  2. 前記印加電圧の電圧値を2.0V以下とし、かつ前記トンネル電流の電流値を15nA以下とすることを特徴とする請求項1記載の工具位置決め方法。
  3. 工作機械において工具(1)とワーク(2)の相対位置決めをするための工具位置決め装置であって、
    前記工具(1)および前記ワーク(2)に接続するための電極(3a,3b)と、該電極(3a,3b)の間に直列に接続される電源(4)および制限抵抗(5)と、該制限抵抗(5)の両端の電位差を増幅する差動増幅器(6)と、該差動増幅器(6)から出力される電圧を判定基準電圧と比較するコンパレータ(7)と、を備えることを特徴とする工具位置決め装置。
  4. 前記電源(4)による印加電圧の電圧値を2.0V以下とし、かつ前記制限抵抗(5)の抵抗値を0.8MΩ以上とすることを特徴とする請求項3記載の工具位置決め装置。
  5. 前記工具(1)および/または前記ワーク(2)が絶縁性の素材からなる場合において、前記工具(1)および/または前記ワーク(2)の表面に金属を蒸着して導電性を付与することを特徴とする請求項3または4記載の工具位置決め装置。
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