JPH09111713A - アスファルト舗装廃材再生用ドライヤ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 加熱制御機構成が簡単で温度管理が容易なド
ラム壁加熱装置を備えた廃材再生用ドライヤを提供する
ことを課題とする。 【解決手段】 廃材再生用ドライヤ１のドラム３の外周
壁に誘導加熱用コイル１５を臨ませると共に、誘導加熱
用コイル１５への電力の供給制御を行なう高周波電力制
御装置１６を配設する一方、ドラム３の外周壁に向けて
放射温度計１７を配設し、放射温度計１７により測定し
たドラム３の外周壁の表面温度に応じて高周波電力制御
装置１６を作動させて誘導加熱用コイル１５への電力の
供給を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、道路工事等により
発生するアスファルト舗装廃材を加熱再生するアスファ
ルト舗装廃材再生用ドライヤに関する。

【０００２】

【従来の技術】道路工事等によって掘り起こされたアス
ファルト舗装廃材（以下「廃材」という）の再生にはア
スファルトプラントの新規骨材加熱用ドライヤとほぼ同
構造のドライヤが採用されている。この再生用ドライヤ
は円筒状ドラムを回転自在に傾斜支持し、ドラムの内周
部に周設した多数の掻き上げ羽根によって廃材を掻き上
げながらドラム内を転動流下させる間に、バーナから送
り込まれる熱風と接触させ、所望の温度まで加熱昇温し
て廃材の再生を行なっている。

【０００３】このドライヤによる廃材の加熱再生におい
ては、廃材が加熱されながらドラム内を転動流下する間
に廃材表面に付着しているアスファルト分が溶融して廃
材が粘着力を有するようになり、この粘着性廃材がドラ
ム内周壁や掻き上げ羽根に徐々に付着成長していき、つ
いには掻き上げ羽根の機能を損なうまで成長することが
ある。

【０００４】その防止策として、例えば実公平３−２４
６４４号公報に示される如く、ドラムの周囲にバーナ付
きの燃焼室を形成し、バーナによって燃焼室内の空気を
加熱してドラム外周壁を加熱し、ドラム内周部に付着成
長する廃材を加熱して剥離を促進させるようにしたもの
がある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例のようにバーナによりドラム外周壁を加熱する方式
では、火炎の着火、消化による熱風温度の制御では加熱
温度の変動が大きくなって温度管理が割合難しい。ま
た、バーナの火炎の温度は非常に高く、加熱温度が高く
なり過ぎ易く付着廃材が炭化して固着し易い。

【０００６】本発明は上記の点に鑑み、ドラム壁の加熱
制御の機構が簡単で温度管理が容易な加熱装置を備えた
アスファルト舗装廃材再生用ドライヤを提供することを
目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を達
成するために、円筒状のドラムを回転自在に傾斜支持
し、ドラム内に熱風と共にアスファルト舗装廃材を供給
し、該廃材を加熱再生するアスファルト舗装廃材再生用
ドライヤにおいて、前記ドラムの外周壁に臨ませて誘導
加熱用コイルを配設する一方、ドラムの外周壁に向けて
ドラムの外周壁の表面温度を測定する放射温度計を備え
ると共に、該放射温度計により測定したドラムの表面温
度に基づいて前記誘導加熱用コイルに供給する高周波電
力を制御する高周波電力制御装置を備えたことを特徴と
している。

【０００８】

【発明の実施の形態】本発明のアスファルト舗装廃材再
生用ドライヤによれば、ドラムの表面温度を常に測定
し、その表面温度の変化からドラム内周部の廃材の付着
成長度合いを判断し、必要に応じて必要に応じて電力制
御装置を制御してドラムの外周壁に周設した誘導加熱用
コイルに通電する。誘導加熱用コイルに通電されると対
向するドラムの外周壁の表面に渦電流が発生し、ドラム
表面のオーム損（電気抵抗）による熱が発生してドラム
の表面が加熱される。そしてその熱がドラム内周部に付
着堆積する廃材に伝わり、付着堆積する廃材が適正な温
度で加熱される。廃材が加熱されると廃材中のアスファ
ルト分が溶融し、粘性が低下してドラム内周部に付着堆
積している廃材はドラム内周部から自然に剥離したり、
わずかな衝撃でも剥離するようになる。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。

【００１０】１は廃材を加熱再生する廃材再生用ドライ
ヤであって、内部に多数の掻き上げ羽根２を周設した円
筒状のドラム３を機台４上に回転自在に傾斜支持し、駆
動装置（図示せず）により回転駆動させている。

【００１１】５はドラム３の下位に配設した熱風発生用
のバーナであって、該バーナ５の前方には火炎を形成す
る燃焼室６を配設している。燃焼室６には熱風用通路７
を接続し、該熱風用通路７は上方に立ち上げると共に、
ドラム３の一端部に配設したホットホッパ８に先端部を
開口させ、バーナ５により発生させた熱風をドラム３内
に送り込むようにしている。

【００１２】ドラム３内を通過した熱風はドラム３の他
端部に配設したコールドホッパ９に連結した排気煙道１
０より導出させ、該排気煙道１０の末端に配設した排風
機（図示せず）により排ガスを吸引してドラム３内を通
過するガス流を維持すると共に、ドラム３より導出する
排ガスはドラム３の下流に配設した図示しない集塵機を
通過して大気に放出される。

【００１３】１１はドラム３内に廃材を投入するための
廃材投入シュートであって、該廃材投入シュート１１か
らドラム３に投入された廃材はドラム３内を転動流下す
る間にドラム３を通過する熱風と接触し、所望の温度に
まで加熱昇温されてコールドホッパ９下部の廃材排出口
１２から排出される。

【００１４】１３はドラム３の外周壁に周設したカバー
体であって、その内側には断熱材１４を周設すると共
に、下方位置には誘導加熱用コイル１５をドラム３の外
周壁に臨ませて配設している。これらの断熱材１４及び
誘導加熱用コイル１５を内装したカバー体１３はドラム
３の回転に支障のないようにドラム３との間に若干の間
隙を有して機台４上に固定している。

【００１５】１６は誘導加熱用コイル１５への高周波電
力を供給制御する高周波電力制御装置であって、ドラム
３の表面に向けて配設した放射温度計１７により測定し
たドラムの表面温度に基づいて高周波電源装置１８を制
御して誘導加熱用コイル１５への高周波電力の供給を制
御するようにしている。このとき、高周波電源装置１８
の出力制御としては、インバータを採用して出力電力を
制御したり、コイル１５に流れる電流を検出して出力電
圧を制御するようにするのも良い。また、放射温度計１
７の取り付け位置は、ドラム３内の長手方向について
は、付着廃材の影響の大きい位置に向けて取り付けると
良い。

【００１６】なお、本実施例では誘導加熱用コイル１５
を材料投入部付近に配設した例を示したが、廃材付着領
域としては、本実施例に制約されることなく、廃材の付
着し易い箇所を経験的に見出して適宜決定すると良い。

【００１７】しかして、廃材再生用ドライヤ１により廃
材を加熱再生する場合、廃材投入部付近に配設した誘導
加熱用コイル１５に通電してドラム３の外周壁を常時加
熱して付着堆積しようとする廃材を軟化させ、廃材の付
着を防止する方法が考えられるが、特に廃材投入部付近
では、運転中、その軟化させた廃材の上に冷たい廃材が
絶えず供給されるために、せっかく軟化させた廃材を押
し固めることが推測され、運転中に加熱して付着堆積を
防止するには、送り込まれる冷たい廃材をも加熱する必
要があってかなりの電力が必要となると予測される。

【００１８】したがって、廃材がドラム３の内周部にあ
る程度付着堆積した時点で廃材の供給を一時停止し、集
中的に加熱する間欠的加熱方式が好ましいと考えられ、
以下その方法について説明する。

【００１９】先ず、廃材の付着堆積度を把握するため
に、廃材の付着堆積度とドラム３の外周壁の温度との関
係を把握しておく。即ち、ドラムの外周壁の温度は、ド
ラム３の内周部に廃材が堆積していない状態ではドラム
３内を通過する高温の熱風により高い温度を示すのに対
して、ドラム３の内周部に廃材が堆積してくるとドラム
３内の熱風温度が堆積する廃材により熱伝導度が低下し
てドラム３の外周壁の表面温度は低くなる。そこで、予
め廃材の付着度とドラム３の外周壁の表面温度の関係を
測定してドラム３の外周壁の加熱を開始するための設定
表面温度を決めておく。

【００２０】そして、運転の前に、高周波電力制御装置
１６に廃材の堆積状態を判断するためのドラム外周壁の
前記設定表面温度を入力しておき、ドラム３への廃材供
給を開始すると、放射温度計１７によってドラム３の外
周壁の表面温度の測定を開始し、その表面温度を高周波
電力制御装置１６に送り込む。高周波電力制御装置１６
では測定されたドラム３の外周壁の表面温度と前記設定
表面温度とを比較し、測定された表面温度が設定温度に
達すると、一時廃材の供給を停止して高周波電力制御装
置１６より誘導加熱用コイル１５に高周波電力の供給を
開始する。

【００２１】誘導加熱用コイル１５に高周波電力が供給
されると、誘導加熱用コイル１５に対向するドラム３の
外周壁の表面に渦電流が発生し、その渦電流がドラム３
の表面を流れることによりドラム３表面のオーム損（電
気抵抗）のために発熱し、ドラム３の外周壁が加熱され
るようになる。

【００２２】ドラム３の外周壁が加熱されてその表面温
度が２００℃付近になるとドラム３内周部では付着する
廃材が溶融する温度となり、廃材は軟化して自然に剥離
するかまたは剥離し易くなってドラム３の回転による振
動や剥離した廃材の衝突等で剥離するようになる。

【００２３】このようにしてドラム３の内周部に付着堆
積した廃材を除去した後、再び廃材の供給を開始して廃
材の加熱再生処理を再開することにより、一時的に廃材
の加熱再生処理を中断するものの、ドラム３の内周部に
付着堆積する廃材を除去しながら効率良く廃材の加熱再
生処理ができる。

【００２４】このように、ドラム３の外周壁の表面温度
を測定しながら誘導加熱用コイル１５により加熱するこ
とで、迅速な加熱が可能で、かつ高温度の火炎で加熱す
るのに比べて加熱し過ぎることも少なくなる。また、制
御も容易であり、バーナでの加熱のような加熱温度の変
動も少なくなる。

【００２５】

【発明の効果】以上のように本発明に係るアスファルト
舗装廃材再生用ドライヤにあっては、廃材再生用ドライ
ヤ１のドラム３の外周壁に臨ませて誘導加熱用コイル１
５を配設し、放射温度計１７により測定したドラム３の
表面温度により高周波電力制御装置１６を制御して誘導
加熱用コイル１５に高周波電力を供給制御するようにし
たので、従来のように高温の火炎で加熱する方式に比べ
て加熱温度の制御も簡単となり、加熱温度の変動も少な
く、加熱し過ぎることもなく、ドラム３の外周壁の温度
を容易に管理できるようになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のアスファルト舗装廃材再生用ドライヤ
の一実施例を示す概略説明図である。

【図２】図１の一部を省略したＡ−Ａ断面図である。

【符号の説明】

１…廃材再生用ドライヤ ３…ドラム １３…カバー体 １５…誘導加熱用コ
イル １６…高周波電力制御装置 １７…放射温度計

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】円筒状のドラムを回転自在に傾斜支持し、
   ドラム内に熱風と共にアスファルト舗装廃材を供給し、
   該廃材を加熱再生するアスファルト舗装廃材再生用ドラ
   イヤにおいて、前記ドラムの外周壁に臨ませて誘導加熱
   用コイルを配設する一方、ドラムの外周壁に向けてドラ
   ムの外周壁の表面温度を測定する放射温度計を備えると
   共に、該放射温度計により測定したドラムの表面温度に
   基づいて前記誘導加熱用コイルに供給する高周波電力を
   制御する高周波電力制御装置を備えたことを特徴とする
   アスファルト舗装廃材再生用ドライヤ。