JP2000213728A - 電気抵抗式灰溶融炉の昇温制御装置及び昇温制御方法 - Google Patents

電気抵抗式灰溶融炉の昇温制御装置及び昇温制御方法

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JP2000213728A
JP2000213728A JP11014000A JP1400099A JP2000213728A JP 2000213728 A JP2000213728 A JP 2000213728A JP 11014000 A JP11014000 A JP 11014000A JP 1400099 A JP1400099 A JP 1400099A JP 2000213728 A JP2000213728 A JP 2000213728A
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Moritatsu Sato
守樹 佐藤
Nobuhiko Ikeda
信彦 池田
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気抵抗式灰溶融炉の立ち上げにおいて、耐
火物を損傷することなく、自動的に立ち上がる昇温制御
装置及び昇温制御方法を確立する。 【解決手段】 本発明の昇温制御装置は、電極6a、6
b、6cに供給する電力の目標値をプログラム式に設定
する電力設定手段14と、この電力設定手段により設定
された電力の目標値に応じて供給電力を制御する供給電
力制御機構8、13、15と、電極に供給される電力に
より昇温する炉内温度の昇温目標値をプログラム式に設
定する温度設定手段17と、実際の炉内温度を測定する
温度計16と、温度設定手段による昇温目標値と温度計
による炉内温度の実測値との偏差に応じて炉内への焼却
灰1の投入量を制御する投入量制御機構18、20、2
1と、を備えている。又、本発明の昇温制御方法は、炉
内温度の目標値よりも実測値の方が所定値以上高くなっ
た際に、炉内に焼却灰を投入して炉内温度を調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気抵抗式灰溶融
炉の新設時や耐火物の改修時の立ち上げ時における炉内
温度の上昇パターンを制御する制御装置及び制御方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】都市ごみ焼却灰等の焼却灰を溶融するた
めの電気抵抗式灰溶融炉の1例を図4に示す。図4に示
すように、電気抵抗式灰溶融炉は、溶融炉53の上部か
ら挿入された3本の電極58a、b、cに交流電圧を供
給して焼却灰50及び溶融スラグ51に通電し、通電時
のジュール熱による発熱を利用して溶融する、所謂エル
ー式の溶融炉である。この電気抵抗式灰溶融炉は、溶融
炉53と焼却灰の投入装置54と電力供給装置55と溶
融スラグの固化装置56とで構成されている。溶融炉5
3の主構成物である炉本体57の側壁には、出滓ゲート
60にて開閉される排滓口59と溶融金属排出口61
(通常は閉鎖されている)とが設置され、又、投入装置
54は、ホッパー62と切出装置63とシュート64と
投入量設定器65とで構成され、電力供給装置55は、
電力演算器66と電力制御器67と電源トランス68と
電極58a、b、cとで構成されている。
【0003】このように構成された電気抵抗式灰溶融炉
は次のようにして操業される。投入量設定器65により
設定された投入量に基づき、時間当たり一定量の焼却灰
50が炉本体57内に投入される。電力演算器66は、
焼却灰50の投入量に応じた電力を演算して電極58
a、b、cに溶融に必要な電力を供給する。溶融が進
み、炉本体57内の溶融スラグ51の湯面が所定位置ま
で上昇したら、焼却灰50の投入を一旦停止して出滓ゲ
ート60を開き、溶融スラグ51を排出して固化装置5
6で固化させる。溶融スラグ51の排出後、再度焼却灰
50を炉本体57内に投入して通電する。これを繰り返
して焼却灰50を溶融する。この操業中、電力供給量は
排出される溶融スラグ51の温度又は炉本体57の炉内
温度、若しくは炉本体57の冷却水温度等を監視して、
一定温度が維持されるように設定・調整される。このよ
うにして操業することで、溶融スラグ51は適度な温度
に比較的容易に自動制御することができる。尚、炉本体
57内に溶融金属52が所定量以上溜まったら、溶融金
属排出口61を開けて排出させる。
【0004】一方、炉本体を構成する耐火物は消耗品で
あるので、一定期間の操業を行えば、炉本体内の溶融ス
ラグ及び溶融金属を全て排出して、炉内の点検・補修が
必要になる。この場合、炉本体を常温まで冷却した後
に、点検・補修作業が行われるので、再度操業状態に立
ち上げる必要がある。この立ち上げの際には、炉底に敷
かれた炭素粉等の導電性物質の上に電極を下ろし、その
上に焼却灰を被せて通電し、焼却灰の一部を溶融させ
る。その後、電極高さや焼却灰の投入量を調整しながら
連続操業すべき温度・電力値に徐々に上昇する。
【0005】立ち上げ時の温度調整は操作員の手動操作
で行われているので、熱応答の遅れや急速加熱によって
炉内耐火物に熱衝撃が作用し、耐火物の割れや落下等の
損傷が発生して、溶融炉の使用可能期間を低減させる。
【0006】この問題を解決する方法が特開平5−71
717号公報に開示されている。同号公報によれば、溶
融炉の立ち上げ時、予め導電性物質及び焼却灰を装入し
ておいた炉内を熱風乾燥して耐火物を400〜600℃
に昇温した後、降温することなく継続して通電するの
で、耐火物の損傷を防止できるとしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら特開平5
−71717号公報に開示された方法では、炉底耐火物
は熱伝達性の悪い焼却灰で覆われているために、炉壁耐
火物に比べて炉底耐火物の昇温速度は極めて遅く、従っ
て、炉壁耐火物の熱衝撃を抑えつつ炉底耐火物を所定温
度まで昇温しなければならず、昇温時間に長時間を要し
て、電気抵抗式灰溶融炉の可動率を低減させる。又、熱
風乾燥する際に昇温パターンを制御する必要があるが、
具体的な昇温の制御方法が示されておらず、結局、操作
員の経験と感覚による調整のため、適切な昇温パターン
を得ることはできない。
【0008】本発明は上記事情に鑑みなされたもので、
その目的とするところは、電気抵抗式灰溶融炉の新設時
や耐火物の改修時の立ち上げにおいて、耐火物を損傷す
ることなく、自動的に立ち上がる昇温制御装置及び昇温
制御方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る電気抵抗式
灰溶融炉の昇温制御装置は、電極に供給する電力の目標
値をプログラム式に設定する電力設定手段と、この電力
設定手段により設定された電力の目標値に応じて供給電
力を制御する供給電力制御機構と、前記電極に供給され
る電力により昇温する炉内温度の昇温目標値をプログラ
ム式に設定する温度設定手段と、実際の炉内温度を測定
する温度計と、前記温度設定手段による昇温目標値と前
記温度計による炉内温度の実測値との偏差に応じて炉内
への焼却灰の投入量を制御する投入量制御機構と、を備
えたことを特徴とするものである。
【0010】又、本発明に係る電気抵抗式灰溶融炉の昇
温制御方法は、電極に供給する電力の目標値を電力設定
手段によりプログラム式に設定し、この電力目標値にな
るように供給電力を制御しつつ通電すると共に、炉内温
度の昇温目標値を温度設定手段によりプログラム式に設
定して、この昇温目標値よりも炉内温度の実測値の方が
所定値以上高くなった際に、炉内に焼却灰を投入して炉
内温度を制御することを特徴とするものである。
【0011】本発明では、電力設定手段により、起動時
の低い電力から定常操業状態の電力まで徐々に電力が増
加するように、電極に供給する電力パターンを予めプロ
グラム式に設定することができるので、炉内温度を徐々
に上昇させることができる。そして、同時に、温度設定
手段により、起動時から定常操業状態までの炉内温度の
昇温目標値を予めプログラム式に設定し、この昇温目標
値と炉内温度の実測値との偏差に応じて、炉内への焼却
灰の投入量を制御することで、炉内温度を目標値に制御
することができる。これは、炉内へ投入する焼却灰が冷
却剤として作用し、炉内温度を低下させるからである。
【0012】このように本発明では、熱源である供給電
力と炉内温度とを同時に制御することができるので、炉
内耐火物の熱衝撃が抑えられ、耐火物の損傷を未然に防
止することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に基づき説明
する。図1は、本発明の実施の形態の1例を示す図であ
り、電気抵抗式灰溶融炉の概略系統図である。
【0014】図1に示すように、その内部で都市ごみ焼
却灰等の焼却灰1を溶融する炉本体4は、外殻を鉄皮2
8で覆われ、その内部に耐火物29が設置されている。
炉本体4の側壁には、焼却灰1の溶融により生成する溶
融スラグ2を排出するための排滓口23と、焼却灰1の
溶融に伴い生成される溶融金属3を排出するための排出
口25とが設置されており、排滓口23は出滓ゲート2
4により、又、排出口25は出湯ゲート26により、そ
れぞれ開閉されるようになっている。そして炉本体4の
上部開口部は炉蓋5で覆われており、炉蓋5には、集塵
機(図示せず)に連結するダクト27が設置されてい
る。
【0015】炉蓋5を貫通して3本の電極6a、6b、
6cが設置されている。電極6a、6b、6cはそれぞ
れ電極支腕9にて把持されており、電極支腕9に連結す
る油圧シリンダー10を作動させることで、電極6a、
6b、6cを炉本体4内で上下移動させることが可能と
なっている。尚、図1では、電極6b、6cを把持する
電極支腕と、これらの電極支腕に連結する油圧シリンダ
ーとを省略している。
【0016】電極6a、6b、6cは電源トランス7に
接続しており、電源トランス7から3相交流電源が供給
される。電源トランス7の1次側には1次電圧調整装置
8が設置されており、1次電圧調整装置8にて電源トラ
ンス7の1次側電圧を調整することで、電源トランス7
の2次側の電圧が調整され、2次側の電極6a、6b、
6cに供給する電力が調整される。
【0017】電極6a、6b、6cには、それぞれ電流
計11と電圧計12と電力計13とが設置されており、
電流計11及び電圧計12により各電極6a、6b、6
cに供給される電流及び電圧が計測される。計測された
電流値及び電圧値は電力計13に入力されて、各電極6
a、6b、6cに供給される電力が計測される。電極6
a、6b、6cで計測された電力の総和が電力制御盤1
5に入力される。尚、図1では電極6b、6cに供給さ
れる電力を測定するための電流計、電圧計、及び電力計
を省略している。
【0018】電力制御盤15には、電極6a、6b、6
cに供給する電力の目標値をプログラム式に設定する電
力設定手段として、プログラム設定器14が接続されて
いる。このプログラム設定器14は、予め入力された電
力目標値のタイムスケジュールに基づき、通電開始から
の各経過時間における電力目標値を電力制御盤15に出
力する。
【0019】電力制御盤15は、プログラム設定器14
から入力された各経過時間毎の電力の目標値と、電力計
13で計測された電極6a、6b、6cの総和の電力と
を比較して、その偏差に応じて、その偏差が少なくなる
ように、1次電圧調整装置8への制御出力を変更する。
1次電圧調整装置8はこの指令に基づき、電源トランス
7の1次側電圧を調整して、電極6a、6b、6cに供
給する電力を調整する。尚、本実施の形態では、設定さ
れた電力の目標値に応じて供給電力を制御する供給電力
制御機構として、電流計11、電圧計12、電力計1
3、電力制御盤15及び1次電圧調整装置8からなる組
み合せを採用したが、本発明はこれに限るものではな
く、例えば、電力制御盤15の指令を油圧シリンダー1
0に与えて、電極6a、6b、6cの高さを変更して
も、供給電力を制御することができる。
【0020】炉本体4の上方には、内部に焼却灰1を収
納するホッパー19が設置されており、ホッパー19内
の焼却灰1は、ホッパー19の下部に設置した切出装置
21により切出され、炉蓋5を貫通するシュート22を
通って炉本体4内に投入される。ホッパー19はロード
セル20に支持されており、焼却灰1を含むホッパー1
9の重量はロードセル20で測定され、この重量測定値
は、焼却灰1の炉本体4への投入量を制御する投入量制
御盤18に送信される。
【0021】又、投入量制御盤18には、炉内温度を測
定するための温度計16が接続されており、温度計16
による炉内温度の測定値が送信される。温度計16は、
熱電対等で構成されており、炉蓋5を貫通して炉内に設
置されている。測温位置は、投入された焼却灰1や溶融
スラグ2に浸漬されない、炉内空間位置とすることが好
ましい。このようにすることで、投入した直後の温度の
低い焼却灰1や加熱された溶融スラグ2の影響を直接受
けることがなく、安定して炉内温度を制御することが可
能となるからである。
【0022】更に、投入量制御盤18には、電極6a、
6b、6cに供給される電力により昇温する炉内温度の
昇温目標値をプログラム式に設定する温度設定手段とし
て、プログラム設定器17が接続されている。このプロ
グラム設定器17は、予め入力された昇温目標値のタイ
ムスケジュールに基づき、通電開始からの各経過時間に
おける昇温目標値を投入量制御盤18に出力する。
【0023】投入量制御盤18は、プログラム設定器1
7から入力された各経過時間毎の昇温目標値と、温度計
16で測定された炉内温度の実測値とを比較して、その
偏差に応じて、その偏差が少なくなるように、切出装置
21へ指令を送信して、焼却灰1の炉本体4への投入量
を制御し、炉内温度を目標値に制御する。投入した焼却
灰1が冷却剤として作用することにより、電力供給によ
る昇温と焼却灰1の冷却効果により、炉内温度を目標値
に制御することができる。尚、本実施の形態では、設定
された昇温目標値と温度計16による炉内温度の実測値
との偏差に応じて炉内への焼却灰1の投入量を制御する
投入量制御機構として、温度計16、投入量制御盤1
8、ロードセル20、及び切出装置21からなる組み合
せを採用したが、本発明はこれに限るものではなく、そ
の機構が同じであればどのような構成としても良い。
【0024】上記構成の本発明に係る電気抵抗式灰溶融
炉における新設時や耐火物29の改修時の立ち上げ方法
を以下に説明する。
【0025】先ず、立ち上げる前に予め、プログラム設
定器14に供給電力の目標値のタイムスケジュールを入
力すると共に、プログラム設定器17に炉内温度の昇温
目標値のタイムスケジュールを入力しておく。これに前
後して、炉本体4の炉底に炭素粉等の伝導性物質を敷
き、この上に電極6a、6b、6cの先端を接触させ、
その上に焼却灰1を予め装入しておく。焼却灰1の装入
量は炉本体4の深さ150mm程度とする。
【0026】炉内温度の昇温目標値のタイムスケジュー
ルは、熱衝撃により耐火物29が損傷しないように設定
する必要があるが、この熱衝撃は耐火物29の材質や炉
本体4の大きさ等により変化するので、一概に決定する
ことは困難であるので、最初の立ち上げ時は緩やかな昇
温パターンとして試行し、数回の立ち上げを経験して最
適昇温パターンを把握することが重要である。同様に、
供給電力の目標値のタイムスケジュールも炉本体4の大
きさにより異なるので、これも数回の立ち上げを経験し
て最適パターンを把握することが重要である。但し、供
給電力の目標値のタイムスケジュールは、設定した昇温
目標値のタイムスケジュールに対応したものとする必要
がある。
【0027】次いで、電極6a、6b、6cへの通電を
開始する。電極6a、6b、6cへの供給電力の調整
は、上述したように、プログラム設定器14に入力した
電力目標値と電力計13により計測される電力とを比較
して偏差が少なくなるように、1次電圧調整装置8が電
源トランス7の1次側電圧を調整して行う。
【0028】通電開始に伴い炉内温度が上昇する。上述
したように、炉内温度の調整は、プログラム設定器17
に入力された昇温目標値と温度計16で測定された炉内
温度の実測値とを比較して、その偏差が少なくなるよう
に焼却灰1の炉本体4への投入量を制御して行うが、こ
の炉内温度制御方法の例を図2に基づき詳細に説明す
る。尚、図2は、投入量制御盤18に組み込まれた焼却
灰1の投入量制御方法のフローチャートの1例である。
【0029】図2に示すように、温度計16による炉内
温度の実測値と、プログラム設定器17から入力される
各経過時間毎の温度の目標値とを比較して、実測値の方
がα℃以上高いことを確認する。ここで、αは焼却灰1
の切出開始温度偏差と呼び、具体的には1〜10℃程度
の値を設定する。そして、実測値が目標値よりもα℃以
上高い場合には、所定量の焼却灰1を炉本体4内に投入
する。その際、焼却灰1を切出す前に、ホッパー19の
重量をロードセル20にて測定し、切出し前のホッパー
19の重量の現在値(W1 )を把握する。その後、切出
装置21を起動させて焼却灰1の投入を開始する。切出
し中、ロードセル20でホッパーの重量(Wi )を測定
して、焼却灰1の投入量を演算する。焼却灰1の投入量
(Wn )は、切出し開始前のホッパー重量(W1 )から
切出し中のホッパー重量(Wi )を差し引くことで演算
することができる。
【0030】焼却灰1の投入量(Wn )が予め設定した
所定投入量(Ws )を越えたら、切出装置21を停止し
て焼却灰1の投入を中断する。所定投入量(Ws )は、
炉本体4の大きさにもよるが、5〜50kg程度とす
る。その後、予め設定した設定時間(T1 )を経過した
後、スタートに戻り、再度、炉内温度の実測値と目標値
との偏差を比較する。設定時間(T1 )は、切出し制御
の動作間隔を決める時間であり、焼却灰1の投入による
炉内温度変化の応答時間を考慮するため、3〜15分程
度とする。但し、これら切出開始温度偏差(α)、所定
投入量(Ws )、及び設定時間(T1 )は、一方で焼却
灰1の投入が過剰とならぬように、1時間当たり50〜
100kg程度の投入量となるように設定する必要があ
る。
【0031】このような供給電力制御及び炉内温度制御
を継続して行い、炉内温度が所定の温度に達した時点
で、通常の焼却灰1の溶融操業に移行する。
【0032】電気抵抗式灰溶融炉の新設時や耐火物の改
修時の立ち上げにおいて、上記説明のようにして、電力
供給量を自動制御すると共に炉内温度を自動制御するこ
とで、炉内温度の上昇パターンを適正化することがで
き、耐火物29の損傷を防止することが可能となる。
又、電力供給及び炉内温度共に自動制御することができ
るので、立ち上げ時の操業を極めて少数の操作員で行う
ことができる。
【0033】尚、上記説明は3本の電極を具備した電気
抵抗式灰溶融炉について説明したが、これに限るもので
はなく、本発明は2本以上の電極を具備する電気抵抗式
灰溶融炉に適用することができる。
【0034】
【実施例】図1に示す電気抵抗式灰溶融炉において、図
2に示すフローチャートを用い、耐火物を改修した後の
立ち上げ時に本発明を適用した実施例を以下に説明す
る。
【0035】本実施例では耐火物を改修した後の立ち上
げであったので、昇温目標値のタイムスケジュールは比
較的緩やかな昇温パターンとした。具体的には、常温
(25℃)から375℃までを25℃/hrの上昇速度
とし、375℃で48時間保持し、その後375℃から
600℃まで再び25℃/hrの上昇速度とし、600
℃に到達した時点で昇温を完了して、定常操業に移行す
るパターンとした。
【0036】又、供給電力の目標値のタイムスケジュー
ルは、昇温目標値のタイムスケジュールに対応させて、
常温から375℃までの昇温時には150kWから25
0kWまで直線的に増加させ、375℃の保持時には2
50kWの一定値とし、375℃から600℃までの昇
温時には250kWから400kWまで直線的に増加さ
せるパターンとした。
【0037】そして、炉本体内に約150mm厚みの焼
却灰を予め装入して、通電を開始した。その際、炉内温
度制御は、切出開始温度偏差(α)を2℃、焼却灰の所
定投入量(Ws )を10kg、設定時間(T1 )を5分
として行った。
【0038】この立ち上げにおける炉内温度、供給電
力、及び焼却灰の投入量の推移を図3に示す。図3にお
いて、直線aが昇温目標値、曲線bが炉内温度の実測
値、直線cが供給電力の目標値、曲線dが供給電力の実
績値、曲線eが焼却灰の投入量である。図3に示すよう
に、炉内温度はほぼ昇温目標値にそって制御されてお
り、本発明の適用により炉内温度が適性に自動制御され
ることが分かった。尚、図3において、通電開始直後に
は焼却灰の投入がない理由は、通電開始直後は予め装入
されていた焼却灰を加熱するために電力が消費されて炉
内温度が昇温目標値まで達成しないためである。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、電気抵抗式灰溶融炉の
新設時や耐火物の改修時の立ち上げにおいて、供給電力
及び炉内温度を適正値に自動制御することができ、炉内
温度の上昇パターンを抑えて炉内耐火物の損傷を未然に
防止することが可能となる。又、電力及び炉内温度共に
自動制御することができるので、立ち上げ時の操業を極
めて少数の操作員で、且つ熟練した操作員を必要とせず
に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例を示す図であり、電
気抵抗式灰溶融炉の概略系統図である。
【図2】本発明の実施の形態の1例を示す図であり、焼
却灰の投入量制御方法のフローチャートの1例である。
【図3】本発明を適用したときの炉内温度及び供給電力
の推移を示す図である。
【図4】従来の電気抵抗式灰溶融炉の概略系統図であ
る。
【符号の説明】
1 焼却灰 2 溶融スラグ 3 溶融金属 4 炉本体 5 炉蓋 6a、6b、6c 電極 7 電源トランス 8 1次電圧調整装置 9 電極支腕 10 油圧シリンダー 11 電流計 12 電圧計 13 電力計 14 プログラム設定器 15 電力制御盤 16 温度計 17 プログラム設定器 18 投入量制御盤 19 ホッパー 20 ロードセル 21 切出装置 22 シュート 23 排滓口 24 出滓ゲート 25 排出口 26 出湯ゲート 27 ダクト 28 鉄皮 29 耐火物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3K061 NB02 NB10 NB30 4D004 AA36 AB03 CA29 CB50 DA02 DA06 DA11 4K045 AA04 BA07 BA10 DA02 DA04 RB04

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極に供給する電力の目標値をプログラ
    ム式に設定する電力設定手段と、この電力設定手段によ
    り設定された電力の目標値に応じて供給電力を制御する
    供給電力制御機構と、前記電極に供給される電力により
    昇温する炉内温度の昇温目標値をプログラム式に設定す
    る温度設定手段と、実際の炉内温度を測定する温度計
    と、前記温度設定手段による昇温目標値と前記温度計に
    よる炉内温度の実測値との偏差に応じて炉内への焼却灰
    の投入量を制御する投入量制御機構と、を備えたことを
    特徴とする電気抵抗式灰溶融炉の昇温制御装置。
  2. 【請求項2】 電極に供給する電力の目標値を電力設定
    手段によりプログラム式に設定し、この電力目標値にな
    るように供給電力を制御しつつ通電すると共に、炉内温
    度の昇温目標値を温度設定手段によりプログラム式に設
    定して、この昇温目標値よりも炉内温度の実測値の方が
    所定値以上高くなった際に、炉内に焼却灰を投入して炉
    内温度を制御することを特徴とする電気抵抗式灰溶融炉
    の昇温制御方法。
JP11014000A 1999-01-22 1999-01-22 電気抵抗式灰溶融炉の昇温制御装置及び昇温制御方法 Pending JP2000213728A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100481072B1 (ko) * 2002-06-25 2005-04-07 김현상 전기저항 방식을 이용한 용융장치 및 방법
JP2007285671A (ja) * 2006-04-20 2007-11-01 Jfe Engineering Kk 電気抵抗式灰溶融炉の溶融制御方法及びその装置
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CN106918045A (zh) * 2017-03-17 2017-07-04 中国恩菲工程技术有限公司 用于处理飞灰的熔融装置

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