JPH09111665A - 捺染用モアレ防止スクリーン型用織物 - Google Patents

捺染用モアレ防止スクリーン型用織物

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JPH09111665A
JPH09111665A JP7290560A JP29056095A JPH09111665A JP H09111665 A JPH09111665 A JP H09111665A JP 7290560 A JP7290560 A JP 7290560A JP 29056095 A JP29056095 A JP 29056095A JP H09111665 A JPH09111665 A JP H09111665A
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moire
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JP7290560A
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Hiroshi Otaka
浩 大高
Hiroshi Fujiki
弘嗣 藤木
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N B C KOGYO KK
Original Assignee
N B C KOGYO KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 スクリーン捺染に際し、モアレの発生を相対
的に抑制することができる省資源化スクリーン型用織物
を提供する。 【構成】 経糸及び/または緯糸の密度比率が1.5か
ら3.0倍の範囲にあるポリエステルモノフィラメント
から構成される1/1平織組織織物にポリエステル樹脂
組成物の水系処理液で目寄れ抑制加工したことを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多品種少量生産の所望
される繊維工業における高付加価値化加工技術の代表例
として位置付けられているハンドスクリーン捺染ならび
にオートスクリーン捺染に欠かすことのできないスクリ
ーン型に採用される1/1平織組織織物から構成される
スクリーン型用織物に関する。さらに詳しくは、捺染の
現行生産工程ならびに製品品位を維持ないし改善しなが
ら、多様化する被捺染布帛の組織に対応して発生するモ
アレを相対的に抑制すると同時に、スクリーン型製造に
際して実質的に消費されるロス分を含有した織物の所要
量を削減し、スクリーン型に占める該織物原価を低減
し、延いては廃棄するポリエステルモノフィラメント量
を節減して、エコロジカル的にも省資源化に大きく寄与
することができる、いわゆるメッシュないし紗織物等と
総括分類されてきた1/1平織組織織物から作成される
捺染用モアレ防止スクリーン型用織物に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】和紙ないし漆紙等を複数枚重ねて柿渋で
張合わせて、漆やニス等を塗布して補強した紙材を調製
し、該紙材に色数に応じて切り抜き図柄を付与した型紙
を用いて手工業的に色材を刷り込み、布帛上に図柄模様
を再生する手法からスタートした型染め技術は、その
後、いわゆるスクリーン型を利用した手捺染技術の合理
化に移行し、生産性の向上を志向したフラット型自動ス
クリーン捺染ないし半自動走行式捺染を経てロータリー
型自動スクリーン捺染へと発展し、さらに最近ではハー
ドコピーと連動したプリンターを応用して、主としてイ
ンクジェット方式で布帛へ図柄を再現する捺染技術の研
究まで顕著な進展が展開されていることは周知である。
【0003】これらの多くの捺染方式の中から、衣生活
の高度化を背景にして繊維市場に高まるアパレルの差別
化商品の要請に応じて産出される多様化された被捺染布
帛に対する捺染は、その製品品位を中心とした消費者の
求める官能特性と多品種小ロット生産を志向する業界ニ
ーズから、手捺染を主体として、半自動走行式捺染及び
フラット型自動捺染方式の、いわゆるスクリーン型を使
用する捺染技術に集約されつつあるのが現状である。何
故ならば、金属性の多孔薄板から構成される円筒状スク
リーンで印捺作業が遂行されるロータリー型自動スクリ
ーン捺染は、重量のある彫刻ロールの型替作業の難点等
から次第に稼働台数の減少しているローラー捺染に準ず
る生産性に着目されて多用され始めながら、半自動走行
式捺染及びフラット型自動スクリーン捺染に対比して捺
染速度から規制される相対的な印捺色糊量の一層の削減
を志向する機構に起因する捺染物品位の低下が指摘さ
れ、同時にその生産機の機構から産出される過大な生産
量が日本の現状からは忌避される傾向が強化されている
からである。一方、インクジェット方式は捺染業界に橋
頭堡を印した段階にあって、今後の展開に関心が集中し
始めた水準であると判断される。
【0004】したがって、高付加価値加工として採用さ
れてきた捺染は、ここ暫くはスクリーン捺染技術に絞り
込まれるとみられている。これらの捺染技術は合成繊維
の出現により飛躍的に向上したことは、他の繊維加工技
術と同様である。特に、スクリーン型に利用されるメッ
シュ織物は大きく変化したこともよく知られている。す
なわち、無数の繊維端末を含有する紡績糸と対比して、
天然繊維として唯一の長繊維として賞用されてきた生糸
は、繊維の太さも比較的均一であり、目寄れ防止対策と
して2本の経糸が緯糸1本ごとに「もじり目」を構成す
る紗と総称される「もじり織」ないし「からみ織」の一
種が多様されていた。
【0005】また、生糸のフィブリル化防止対策とし
て、溶出セリシンによる糊付け効果を目的とした半練り
精練方法とセリシン定着技術の複合化利用等が研究開発
されて実用に供されてきたこともよく知られた事実であ
る。同時に、衣料用布帛に対する樹脂加工技術の発展に
刺激され、熱可塑性樹脂ないし熱硬化性樹脂の単独及び
複合処法が研究され新規加工技術の利用へと発展してい
った。なお、シルクスクリーンはスクリーンラッカーの
塗布性もよく、エラスティック性もよく、長く賞用され
ながら、強度が低く、アルカリ耐性に劣る等の欠点も指
摘され、その後上市されたナイロン糸に置き換えられた
経緯が知られている。
【0006】ナイロンマルチフィラメント糸から構成さ
れた「もじり織」は生糸に比較して、引き裂き強度が
良好 吸湿性が少ない 色糊の透過率が大 エラ
スティック性に優れる 糸の線径が細い等のメリット
が確認され、絹に替わって広く実用に供されてきた。特
に、アパレル用に開発されたナイロンマルチフィラメン
トから産業資材用に供給され始めたナイロンモノフィラ
メント使いにより構成単繊維の集束対策が解消される等
の特徴によりその性能は一段と向上した。しかしなが
ら、ナイロンは他の合成繊維と比較して吸湿により形態
変化率が増し、紫外線による脆化等の問題が潜在されて
いた。さらに、ナイロンモノフィラメントの剛直性は、
「もじり織」の精確なオープニングの構成及び保持に最
大の難点が見出され、例えば経糸に30デニール(以下
dで表示)1本と15d2本の異繊度原糸を繰り返し整
経し、緯糸に15d、20d、30dないし40d等の
繊度の原糸を使用した、いわゆる異繊度原糸使いの特殊
平織組織織物としての量産態勢が確立されてきたことも
周知である。
【0007】その後、ナイロンモノフィラメントはポリ
エステルモノフィラメントに置換され、該繊維の抜群の
熱セット性から構成された経緯ほぼ同密度の1/1平織
組織織物が高温度ファイナルセット条件の採用により形
態安定性を著しく改善し、その優れた耐薬品性、強伸度
特性、耐摩耗強度及び感光乳剤やスクリーンラッカーの
塗布性が良好であること等に着目して広く推奨され、捺
染ないしプリント基板及び一般スクリーン印刷を含めた
スクリーン型の大部分のシェアを占めるに到っている。
【0008】しかしながら、いずれの繊維素材から構成
されるスクリーン型も、該密度と被捺染布帛の組織及び
密度との組み合わせから発生するモアレ現象を回避する
ことは極めて困難であった。中でも布帛の平織、綾織及
び朱子織の三原組織で比較すると、1/1平織組織織物
から構成されるスクリーン型との組み合わせにおいて、
平織組織のアパレル用捺染布帛にモアレの出現する確率
の多いことが経験的に確認されているが、綾織及び朱子
織についても皆無であることは立証されていない。モア
レは捺染品においては致命的な欠点として、一般消費者
によっても容易に認識される欠陥として以前から指摘さ
れてきた。さらに変形された、例えばスポットないし染
色斑等の不揚がりの潜在要因として推測され、色糊のレ
オロジカル特性をいかに改修しても、固着条件の変更に
よっても回避できないことも経験的に知られてきた。
【0009】一般に、高級捺染布帛に多用される平織組
織の代表例を挙げると次のようなものがある。すなわ
ち、キャンブリック(経糸C40/2,緯糸C46/
2,経糸密度67本/インチ,緯糸密度49本/イン
チ,以下括弧内の数値はこれに準ずる)、ポプリン(C
40/2,C40/2,133,71又はW2/52,
W2/52,65,40)、タッサー(C60/2,C
42/3引揃,120,45)、ボイル(C100/2
強撚糸,C100/2強撚糸,65,65)、ローン
(C50/1,C50/1,80,80又は21中×3
本,21中×3本,20,20)、オーガンジー(C8
0/1,C80/1,140,140)、モスリン(C
80/1,C80/1,110,110又はW1/4
6,W1/60,63,61)、プレーントロピカル
(W2/40,W2/40,45,38)、ナイロンタ
フタ(70d,70d,114,114)、ポリエステ
ルシャー(30d,30d,102,102)等が知ら
れている。
【0010】これらの布帛に対して捺染時に適用するス
クリーン型は、一般にほぼ経糸及び緯糸とも近似した密
度の平織組織織物が高い形態安定性の特徴が広く定着
し、70×70メッシュ(経糸密度70本/インチ,緯
糸密度70本/インチ,以下の数値はこれに準ずる)か
ら420×420メッシュの範囲で実用に供されている
ポリエステルモノフィラメント1/1平織組織織物のな
かから、経験的に適用する捺染方式に応じて選出される
色糊の透過性等を配慮して、手捺染の場合、70×70
メッシュから150×150メッシュ程度の範囲が多用
され、半自動及び自動スクリーン捺染機の場合、120
×120メッシュから200×200メッシュが推奨さ
れている。なお、現行の捺染用色糊では200×200
メッシュ以上になると色糊の透過性が著しく低下し、鮮
明で、繊細なシャープな図柄が再生困難になり、使用頻
度が極めて低くなる。もちろん、これらのスクリーン型
は、より高い精度のプリント配線基板の製造ないしは一
般スクリーン印刷等に広く愛用されていることは周知で
ある。
【0011】もともと、規則性のある複数の線や点の模
様を重ね合わせた時に生ずる干渉縞をモアレと呼んでき
たことは公知である。最近に到って、複数の版を重ねる
カラー印刷等で網点が干渉して起こることから、異なっ
たハーフトーン・ドットでのモアレパターン等について
の重ね角度とモアレ縞の発生についての理論的な解明が
急速に展開されているが、これらの理論的機構とは別に
該現象についての実際的利用は古くから繊維加工でよく
採用された技術である。例えば、細線の彫刻された金属
ロールとペーパーロール間で圧縮されたシルク羽二重、
レーヨンないしアセテートタフタ等の長繊維から構成さ
れる薄地平織組織織物に波紋模様を賦形する技術等がそ
の代表例である。該技術はウォーター・マークド仕上な
いしモアレ仕上等として婦人服地ないしフォーマル・ド
レス・ウェア地として賞用されてきたこともよく知られ
ている。
【0012】すなわち、類似した糸使いと密度を所有す
るスクリーン型に適用される範囲の薄地平織組織織物を
重ね合わせると容易にモアレと称する杢目調の模様が観
察される。これは同一組織規格の織物の場合であれば、
精確に重ね合わせた際には理論的に発生しないことにな
るが、実際には同一組織規格の織物とはいえ経緯双方に
可撓性を持つ糸の交錯したフレキシブルな繊維集合体で
あり、特に広幅織物内の経緯糸の微小な湾曲は避けられ
ず、重ね合わせた織物の構成原糸間の微妙なずれが明暗
部(ブライト・アンド・ディム)を形成するものと考え
られる。ここでは、明は白く観察される部分であって糸
が重なり合っている部位、暗は黒く観察される部分で空
間部位であり、実際の捺染品は暗の模様に準じた濃色の
発色になる。したがって、二枚の織物の重ねる角度を0
度から徐々に変化させると明暗部が構成するモアレ模様
が変形し、特定の角度以上になると全体としてハーフト
ーン調に到達してモアレ模様が消滅する。さらに角度が
90度に近づくに従い、またモアレ模様が濃色となって
再現する現象を容易に観察することができる。
【0013】以上の現象が、上記彫刻ロール上の細線と
布帛構成原糸間に形成される干渉縞に該当する部位の繊
維外形の変形による布帛としての反射率の相違に起因す
るモアレ模様の出現要因と考えることができる。したが
って、細線の角度ないしピッチは被仕上布帛の組織によ
って選択されることが必須事項であり、また、発生した
モアレ模様もシルク及びレーヨン等に対比して若干の熱
可塑性を所有するアセテート上で耐久性が認められるこ
ともよく理解できる。また、同様に細番手の高級綿糸か
ら構成されるローンないしサテン地でも繊維素反応型樹
脂とそれらの架橋反応促進に常用される、例えば塩化マ
グネシウム、硝酸亜鉛及び塩化亜鉛等の金属塩の単独な
いし複合化触媒をパッド・ドライした後、キュアーを兼
ねて細線を彫刻したシュライナー仕上することにより独
特の光沢を付与できること等はモアレ模様を消去した特
殊条件下での艶出加工ということができる。
【0014】これらの経過からも類推できるように、繊
維加工業界の長い経験からも捺染時に発生するモアレ防
止を遂行するためには、被捺染布帛上にスクリーン型に
採用される織物を重ね合わせ、実際にモアレの出現しな
い適正角度を選定し、スクリーンを紗張りすることが標
準作業であることも周知である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】以上に詳述したように
捺染用スクリーン型は被捺染布帛の織物規格、特に長繊
維糸、強撚糸及び細番手使いの比較的織目の鮮明に観察
できる平織組織織物に発生し易いことが経験的に認識さ
れてきた。しかも、捺染方式ないし図柄模様から所望さ
れる前記スクリーン型の70から200メッシュに規制
される範囲は、さらに好ましくは135から150メッ
シュが多用されてきたことも長い経験的事実として知ら
れている。これらのスクリーン型と組み合わされる被捺
染布帛の多くは、前述の密度から60から140メッシ
ュの範囲に集中していることが見られる。すなわち、該
メッシュの周辺での干渉縞の発生する確率が潜在的に高
くなっていることから捺染加工におけるモアレ防止対策
が極めて重要であることが理解できる。
【0016】したがって、これらの多用される被捺染布
帛に発生するモアレ防止対策としては、生地組織及び密
度に応じてスクリーン型に採用される特定密度の1/1
平織組織織物の角度を修正使用することで解消できる
が、必要に応じスクリーン型に採用する織物を30ない
し45度のバイアス角度で紗張りすることが求められ
る。すなわち、例えば縦横1m×1mの1m2のスクリ
ーン枠に45度でスクリーン織物を紗張りするためには
約2m2以上のスクリーン織物が必要になる。これに対
してバイアス10度では約1.34m2の使用で良い。
しかしながら、標準的なスクリーン型用織物幅は115
cm、136cm、155cm、203cm等で規制さ
れた市販品を使用することになる。例えば上記1m×1
mのスクリーン枠に必要なスクリーン用織物の所要量を
紗張り時のクランプによる掴み代を両辺5cmずつ入れ
て比較すると、45度のバイアス採りで利用できるスク
リーン織物は少なくとも織物幅151cm以上が必要に
なる。これに対してバイアス10度では織物幅126c
mで良い。すなわち、従来の方法ではスクリーン織物の
ロス分が極めて大きいことが確認できる。
【0017】一方、被捺染布帛は極細ないし超極細繊維
及び特殊異形断面糸等で代表される新規素材の活用、ま
た熱収縮の相違する複数繊維を合糸、合撚及び複合仮撚
等により相互に絡めた異収縮混繊糸等からなる特殊素材
の多様化等と交絡して一段と高級化を志向し、捺染工程
におけるモアレ対策の強化を含めた均染化ないし濃染化
等の技術改善策も次第に絞り込まれてきている。同時に
環境保全対策と併行して生産コストの徹底的削減等が緊
急の課題として取り挙げられている。特に組織に対応し
たスクリーン型のモアレ対策上課せられるスクリーン織
物のバイアス利用は、繊維素材の省資源化の視点からも
改善が所望されている。
【0018】さらに現業的には、例えば複数色から構成
される捺染図柄の作成に対応するスクリーン型は、段落
ちによるぼかし柄等の特殊なケースを除外すれば基本的
には該複数枚数が必要になる。そして、それぞれの部位
に配置される色相毎の図柄に対応する該スクリーン型上
に顕現されるモアレの強弱も必ずしも特定されるもので
はない。すなわち、図柄の形状ないし面積、図柄の配置
される部位、適用される色相及び濃度ないし採用される
配色に依存するモアレ模様の視覚的認知の難易さ等が交
絡する微妙な相関関係から、該スクリーン型の紗張りは
ケースバイケースに応じて正張りから所望角度のバイア
ス張りまでの各種角度での紗張り作業が混在する交錯し
た製版管理が一般常識になっていた。したがって、紗張
りに起因する型枠にかかる応力はバイアスの角度に応じ
て相違し、スクリーン型の大きさに比例した捺染図柄の
ゆがみないしはずれ等の遠因として回避することができ
ない潜在的問題点として専門技術者の間で指摘されてき
た。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記問題点
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリエステルモノ
フィラメントから構成される1/1平織組織織物の経緯
密度比を1.5から3.0倍の範囲で変更することによ
り、従来から捺染において発生したモアレを著しく軽減
する効果のあることを見出し、型コストに占めるスクリ
ーン織物コストを低減し、省資源化の推進できるスクリ
ーン型用織物を完成するに到ったものである。
【0020】すなわち、1/1平織組織織物を構成する
ポリエステルモノフィラメントの経緯糸条のインチ間の
密度比を1.5から3.0倍の範囲で変化させた織物が
対象になる。例えば、経糸密度がインチ間180本の場
合、緯糸密度はインチ間60本から120本までの範囲
がモアレ発生を相対的に抑制することを見出したもので
ある。逆に、緯糸密度をインチ間180本に規定すると
経糸密度はインチ間60本から120本までの範囲が該
当することになる。もちろん、該スクリーン織物の経糸
密度のリッチな織物に比較して、緯糸密度のリッチな織
物が生産性に劣ることは当然であるが、スクリーン型枠
の寸法ないしは紗張り機器の形状及び紗張りの作業性等
から必ずしも特定されるものではない。最も好ましいメ
ッシュは180×90本/インチを中心としたスクリー
ン用織物が各種組織の被捺染布帛に対するモアレ抑制に
相対的に有効に利用されることが確認されている。
【0021】もちろん、該スクリーン用織物から作成さ
れるスクリーン型も、被捺染布帛の組織に応じてバイア
スの紗張りが所望される組み合わせもあるが、モアレ防
止に必要なバイアス角度は最大10度以下で十分その機
能を発揮することができる。例えば、フラット型自動ス
クリーン捺染に適用される大型スクリーン型のサイズ
は、24インチ送りで840×1400〜2000m
m、30インチ送りで1000×1400〜2000m
m、33インチ送りで1000×1400〜2000m
m等がある。該大型スクリーンは紗張りで軽量化志向の
強い型枠が変形する傾向が多くなっている。これらの製
版スクリーン型は、モアレ抑制対策上設定されたバイア
ス角度に応じた歪を内蔵し、図柄毎のスクリーン型のゆ
がみないしずれを誘発する要因になることが知られてい
る。すなわち、従来のスクリーン型用織物のモアレ抑制
に所望されたバイアス角度が10〜45度であるのに対
して、本発明にかかるスクリーン型用織物では0〜10
度のバイアスでモアレ抑制が可能であり、捺染図柄の型
ずれを大幅に改善することができる。
【0022】これらの経緯糸密度の相違するスクリーン
用織物は、経緯均等ないし近似密度から構成される織物
に比較すると、ポリエステルモノフィラメント糸条の熱
セット性を利用しても形態安定性は前者が後者に対して
相対的に低下することは否めない。しかしながら、スク
リーン型のオープニングの保持と伸張弾性度変化の抑制
はモアレ防止以上に所望される特性値であり、該スクリ
ーン型用織物の形態安定加工が極めて重要になる。
【0023】本発明に採用する目寄れ抑制加工は、プレ
セット後、常法で精練したポリエステルモノフィラメン
ト織物を該成分に本質的に近似するポリエステル樹脂組
成物の水分散液が極めて効果的に利用できる。すなわ
ち、該樹脂分散液にスクリーン織物を室温でディッピン
グないしコーティング法で付与した後、真空ないし減圧
吸引して該スクリーン織物の織目に残存した樹脂分散液
を除去し、所定のオープニングを確保する予備操作が求
められる。その後、100℃以下の低温でピンテンター
上で乾燥する。該ポリエステル樹脂含有スクリーン織物
を経緯方向に延伸しながら160℃以上の高温でファイ
ナルセットする。その際のセット時間は20秒以上が必
要である。また、樹脂有効成分量は付着量で0.5ない
し1重量%の範囲が望ましい。0.5重量%以下になる
と目寄れ抑制効果が不足し、1.0重量%以上になると
オープニングに影響が発生するケースが散見される。
【0024】なお、従来から多用される目寄れ抑制加工
に適用される処理薬剤は、本発明の目的に対しては種々
の欠点を所有することが見出され、上記処理条件が好適
であることを確認したものである。すなわち、加工環境
の安全性を前提とした水系加工技術分野から、無機系超
微粒子素材による繊維表面の摩擦係数の改良の範囲で
は、製版工程における紗張り張力による精確なオープニ
ングの維持が極めて困難であり、さらに製版の合理化か
ら補強膜処理を省略することの多い感光乳剤膜の露出す
るスクリーン型の捺染時の印捺耐久性に難点が内包さ
れ、また、スチレン−ブタジエンないしアクリル系共重
合体から構成される熱可塑性樹脂エマルジョン等の単独
ないし複合化処理法による表面樹脂の沈着による経緯糸
条のずれ防止は、効果の確認される水準ではオープニン
グへの影響が表面化して実用化が不可能であることが判
明した。その他、熱硬化型の樹脂も吸水性の極めて低い
ポリエステルモノフィラメントに対して、オープニング
への影響は無視できるものの、目寄れ抑制効果は乏し
く、特に延伸セットで相乗的にその効果の低下すること
も確認されている。
【0025】
【実施例】以下、本発明の詳細を実施例により説明する
が、本発明は実施例に限定されるものではない。 実施例1 ポリエステルモノフィラメントから製織されたスクリー
ン用メッシュ(経緯糸線径、48μm;経糸密度、18
0本/インチ;緯糸密度、90本/インチ;NBC工業
(株)製、TNO.180M09)を常法に準じて、プ
レセット及び精練加工後、ノニオンタイプの軟質高分子
量熱可塑性ポリエステル樹脂の1.5重量%(固形分換
算)水分散液に常温で浸漬し、マングルで搾液した後、
スリット状の真空吸引装置上を走行させ、オープニング
に付着した該樹脂水性分散液を除去した。該メッシュの
絞り率は約40重量%であった。該樹脂液含有メッシュ
を80℃でピンテンター上で乾燥し、さらに経方向に5
%及び緯方向に3%延伸しながら、180℃でファイナ
ルセットし、合わせて樹脂の固着を終結せしめた(乾燥
後のアドオンは約0.6重量%であった)。
【0026】該目寄れ抑制加工したポリエステルモノフ
ィラメントスクリーン用メッシュ織物から、のぼり用ポ
リエステルタフタ(経緯共150dポリエステルマルチ
フィラメント使い、密度145×120本/インチ)の
4色使いの顔料捺染向けフラット型自動スクリーン型
(型サイズ1780×3200mm/印捺面1470×
2200mm)4枚一組を製版するに当たり、モアレの
抑制できる紗張りのバイアス角度をチェックした結果、
複数組の図柄に対して5〜10度のバイアス角度の範囲
でモアレ抑制効果が顕著に観察され、メッシュ織物のロ
スが大幅に削減できた。
【0027】これに対比して、経糸に23dポリエステ
ルモノフィラメント、緯糸に30d/6f(fは構成単
繊維数)ポリエステルマルチフィラメントを使用した経
糸密度135本/インチ、緯糸密度125本/インチの
1/1平織組織織物から構成された従来のスクリーン型
は、モアレ抑制可能と判断される紗張りのバイアス角度
が10〜45度の範囲に介在し、該メッシュ織物のロス
が相対的に大きいことが確認された。
【0028】なお、両者の捺染の仕上り品位を比較する
と、従来のメッシュ織物から作成されたスクリーン型を
適用したものに対して、本発明のメッシュ織物を使用し
た捺染図柄は型ずれの点で著しく優位であることが観察
された。また、発色濃度は両者とも同一水準であること
が確認されたが、従来品使いの特定図柄の1、2種の配
色において、ブルーないしグリーン系部位の一部にモア
レが多発し、レッド系部位にも軽度のモアレが散在する
現象が指摘された。ただし、イエロー系の発色部位のみ
はモアレの発生は観察されなかった。これに対して、本
発明品使いのスクリーン型からの捺染物には各色相とも
モアレの発生は皆無であることが確認された。
【0029】実施例2 実施例1に準じて作成した本発明からなるスクリーン型
と、経緯共48μmポリエステルモノフィラメントから
製織(経緯密度共135本/インチ)された従来品から
のスクリーン型を使用した5色から構成される図柄の半
自動走行式スクリーン捺染によるポリエステルタフタに
対する顔料捺染における比較においても、後者に実施例
1に準ずる欠点が確認され、本発明の優位性が裏付けら
れた。
【0030】実施例3 経緯共48μm線径のポリエステルモノフィラメントか
ら構成されたスクリーン用メッシュ(経糸密度、180
本/インチ;緯糸密度、70本/インチ;NBC工業
(株)製、TNO.180M07)を常法に準じて精練
後、プレセットした後、アニオン型硬質高分子量熱可塑
性ポリエステル樹脂2.0重量%(有効成分換算)分散
水溶液を室温でウエット・ピック・アップ60重量%に
飽充し、そのままスリット型減圧吸引装置上を走行させ
て、織目に残存する樹脂分散液を吸引削除する。該メッ
シュのウエット・ピック・アップは約35重量%であっ
た。該樹脂分散液含有メッシュをピンテンター上で非ブ
ロッキングを維持したまま100℃の該樹脂の融点以下
の温度、90℃で予備乾燥する。この際のアドオンは約
0.7重量%であった。次いでピンテンター上で該樹脂
含有メッシュを経糸方向に5%以上延伸しながら、少な
くとも3%以上幅出した状態で、160℃ゾーンで20
秒間ファイナルセットし、基質の安定化と同時に硬質高
分子量の熱可塑性ポリエステル樹脂による経緯糸条の交
錯点での固定化を完了させる。
【0031】該メッシュの比較対象として従来品(経緯
共48μm線径のポリエステルモノフィラメント使い、
経緯密度共120本/インチ)をとり、手捺染によるポ
リエステルジョーゼット地(経にポリエステルマルチ無
撚糸、緯にポリエステルマルチ強撚糸を使用、経緯密
度、175×120本/インチ)に対する分散染料捺染
を実施した。本捺染に使用したスクリーン型枠は840
×1400mmで、5色から構成される3種の花図柄、
3配色の捺染結果を要約した。
【0032】スクリーン型の製版に際してモアレを回避
するに必要な紗張りのバイアス使いの角度は、本発明の
紗を使用したスクリーン型では0〜10度の範囲に集中
するのに反して、従来品を使用したスクリーン型では1
0〜45度付近までの範囲に分散することが観察され、
本発明のメッシュの製版時点のロス量が大幅に削減でき
ることが確認された。
【0033】また、捺染品の型ずれは、両者とも手捺染
用の小型捺染枠のため比較的類似しているが、厳密に比
較すると相対的に本発明のメッシュを使用したものが優
位であることが観察される。なお、発色色相及び図柄の
品位には大差がみられないが、配色によっては従来品の
メッシュを使用したスクリーン型にモアレの散見される
ケースが残存する。
【0034】
【発明の効果】スクリーン捺染において、従来の捺染製
品の品位を維持ないし改良しながら、所望されるスクリ
ーン型のメッシュと被捺染布帛の組織とが交絡して発生
するモアレ現象を相対的に抑制し、スクリーン型に占め
るスクリーン用織物のコスト比率を低減し、延いては環
境保全ならびに省資源化に大きく寄与するポリエステル
モノフィラメントから構成されるスクリーン用織物を提
供することを可能にした。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 経糸及び/または緯糸の密度比率が1.
    5から3.0倍の範囲にあるポリエステルモノフィラメ
    ントから構成される1/1平織組織織物に目寄れ抑制加
    工したことを特徴とする捺染用モアレ防止スクリーン型
    用織物。
  2. 【請求項2】 ポリエステルモノフィラメントから構成
    される1/1平織組織織物の目寄れ抑制加工にポリエス
    テル樹脂組成物の水系分散液をパッド・ドライした後、
    経緯両方向に延伸しながら160℃以上の高温度でファ
    イナルセットすることを特徴とする請求項1に記載の捺
    染用モアレ防止スクリーン型用織物。
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