JPH09111405A - 低歪み型浸炭焼入れ歯車用鋼材 - Google Patents

低歪み型浸炭焼入れ歯車用鋼材

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JPH09111405A
JPH09111405A JP28938395A JP28938395A JPH09111405A JP H09111405 A JPH09111405 A JP H09111405A JP 28938395 A JP28938395 A JP 28938395A JP 28938395 A JP28938395 A JP 28938395A JP H09111405 A JPH09111405 A JP H09111405A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 歪みが極めて小さい歯車用鋼材の化学成分組
成を決定する。 【解決手段】 wt.%でC:0.10〜0.35%,Si:0.01 〜2.5%,M
n:0.20〜2.50%,Cr:0.01〜2.50%,Al:0.01 〜2.5%且つSi
+Al:0.5〜2.6%, 残部:鉄及び不可避不純物で、(1)
式:Ac3 =920-203 √C+44.7Si+31.5Mo-30Mn-11Cr+40Al
-15.2Ni+13.1W+104V+40Ti --- (1) によるAc3 が,850〜
960 ℃、(2) 式:DI =7.95√C(1+0.70Si)(1+3.3Mn)(1
+2.16Cr)(1+3.0Mo)(1+0.36Ni)(1+5.0V) ----(2) による
I が30〜250mm の成分組成の鋼材に、850 〜1000で浸
炭,800〜950 で焼入れをし、焼戻しをし、鋼材の非浸炭
部が10〜70面積%のフェライトを含むマルテンサイトよ
りなる二相組織の鋼材にする。更に,Mo:0.01〜0.70%,N
i:0.01 〜2.0%,W:0.01 〜0.70%,V:0.01〜1.0%の1 群及
び/又はTi:0.005 〜1.0%,Nb:0.005 〜0.50%,Zr:0.005
〜0.50% の2 群の内1種以上を付加する。またMo,Ni を
削除しSi:0.50 〜2.5%に、Alを2 群に移しAl:0.005〜2.
0%に変更する。望ましくは、DI を30〜150mm にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば、自動
車、建設機械、産業機械等の歯車用鋼材として好適な、
浸炭焼入れ時の歪み量が極めて小さい、低歪み型浸炭焼
入れ歯車用鋼材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、最近の自動車においては、運転
時における静粛性が著しく向上しているが、それにもか
かわらず運転時に騒音が生ずる。これは、主として歯車
から発生するギヤノイズによるものである。ギヤノイズ
は、歯車の噛み合いの不具合によって発生するものであ
り、このような歯車の噛み合いの不具合は、所定形状に
成形された歯車半製品に対し、その表面を硬化するため
に浸炭焼入れまたは浸炭窒化焼入れ(以下、浸炭焼入れ
と総称する)処理を施した時に生ずる歪みの結果発生す
る。
【0003】即ち、歯車用鋼材に対する浸炭焼入れ時
に、マルテンサイトの生成による変態応力、即ち、オー
ステナイト組織からマルテンサイト組織に変態する時に
生ずる体積膨張に起因する応力が発生するため、鋼材に
歪みが生ずることを避けることができず、その結果、歯
車の寸法精度を高く維持することができないためにギア
ノイズが発生する。特に、自動車のトランスミッション
用ギヤにおいては、騒音に対して極めて厳しい制限があ
るにもかかわらず、その形状が小さく且つ肉厚が薄いた
め、ギヤ内部の組織はベイナイトを一部含むマルテンサ
イト主体の組織になっているために、浸炭焼入れ時に歪
みが生じやすく、これが歯車騒音の最大の発生原因にな
っている。
【0004】そこで、歯車の寸法精度の向上を図るため
に、浸炭焼入れされた歯車半成品を機械切削加工して、
浸炭層を部分的に除去し、焼入れ歪み量を低減させる歯
形修正処理を施す方法がある。しかしながら、このよう
な機械研削による歯形修正では、製造工程が増えること
により生産性が大幅に低下するのみならず、機械研削加
工により製造コストが大幅に高騰するうえ、表面硬さや
残留応力にむらが生ずるので、品質上からも問題があ
る。
【0005】上述した点から、歯車用鋼材は、浸炭焼入
れ後、歯形修正処理を施さずに使用されることが多く、
従って、浸炭焼入れされた歯車半成品の寸法精度向上の
ために、焼入れ歪みを低減することが必要とされてい
る。このような浸炭焼入れ歪み量は、鋼材の焼入れ性に
よって大きく影響される。更に、浸炭焼入れは、通常約
920 ℃の高温で行われるので、浸炭中にオーステナイト
結晶粒が粗大化することも、歪み発生原因の一つとされ
ている。更に、最近では、浸炭時間を短縮して生産性を
向上させるために、浸炭温度を高め、これに伴い焼入温
度もたかめる方法が試行されている。
【0006】歯車用鋼材の焼入れ歪み量を低減する方法
については、従来から種々の研究がなされており、例え
ば、焼入れ性がジョミニーバンドの下限になるように鋼
材の化学成分組成を特定の狭い範囲内にコントロールし
て焼入れ性を低く抑える方法が知られ、また、特開平4
−247848号公報および特開昭59−123743
号公報等は、浸炭および保温中の結晶粒粗大化を抑制す
るために、鋼中に、Al、Ti、Nb等の結晶粒微細化元素を
適正量添加することにより結晶粒を微細に調整する方法
( 以下、先行技術1という)を開示している。
【0007】また、特開平5−70925号公報は、S
i、Mn、Cr、MoおよびV 等の化学成分組成を特定範囲に
限定した鋼からなる歯車半成品に対し浸炭窒化処理を施
した後、これを歯表面部即ち浸炭窒化部(以下、同じ)
のAr1変態点以下の温度域まで冷却する。次いで、歯表
面部のAr3変態点以上で且つ歯内部即ち非浸炭部(以
下、同じ)のAr1変態点以下である温度域に保持するこ
とにより、歯表面部をオ−ステナイト状態に保ちつつ歯
内部を微細なフェライト・パーライトにし、次いで、焼
入れをし、そして、焼戻しをすることにより、歯表面部
の浸炭窒化部をマルテンサイトにし、既に変態を終了し
ている歯内部を焼きの入っていないフェライトと微細パ
ーライトに維持するという方法 (以下、先行技術2とい
う)が開示されている。図5に、歯車の歯内部、歯表面
部および歯車芯部を説明する概略斜視図を示す。
【0008】また、例えば特開平3−260048号公
報は、タフトライドやガス窒化、ガス軟窒化などの低温
で行なう窒化処理により熱処理歪みの低減を図る方法
(以下、先行技術3という)を開示している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た各先行技術には、下記問題がある。先行技術1は、結
晶粒を微細に調整することにより浸炭および保温中の結
晶粒粗大化を抑制することができるので、歯内部におけ
る焼入れ歪みのバラツキを小さくすることができ、且
つ、焼入れ歪みを均一化することができるという利点を
有する。しかしながら、先行技術1は、マルテンサイト
変態に伴う歪みの発生を抑制するのに限界があり、歪み
を十分に小さくすることができないという問題を有す
る。
【0010】先行技術2は、歯内部をフェライト・パー
ライト組織にすることによりマルテンサイト発生に伴う
体積膨張による焼入れ歪みを軽減することができるとい
う利点を有する。しかしながら、先行技術2は、歯内部
即ち非浸炭部がフェライト・パーライト組織であるため
に、十分な靱性を確保することが困難であり、且つ、熱
処理温度を厳格に管理しなければならないので、熱処理
操作が複雑となり、生産性を阻害するのみならず、コス
ト高になるという問題を有する。
【0011】先行技術3は、表面に硬い窒素化合物層を
形成させることができるので、良好な耐磨耗性を有する
表面硬化層を得ることができ、また、500〜700℃
の低温域で処理するので処理部品の変形が小さいという
利点を有する。しかしながら、先行技術3は、硬化層深
さが浅く、十分な硬化層を得るには50〜100時間に
も及ぶ長時間の窒化処理が必要であるため、生産性を阻
害するのみならず、コスト高になるという欠点を有す
る。
【0012】従って、この発明の目的は、上述した問題
を解決し、通常の効率的な浸炭処理をし、そして、焼入
れおよび焼戻し処理をした後の歪みの発生量が極めて小
さく、従って、寸法精度の高い歯車が得られ、その結
果、使用時にギヤノイズが発生しない、自動車、建設機
械、産業機械等の歯車を、容易に且つ効率的に熱処理を
行ない経済的に製造することができる、低歪み型浸炭焼
入れ歯車用鋼を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述した
問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記知見を得
た。
【0014】歯車用鋼材の浸炭焼入れ歪み量に影響を及
ぼす主要因子は、オーステナイト組織がマルテンサイト
組織に変態するときに生ずる体積膨張に起因する歪みに
あることから、本発明者等は、焼入れ前の加熱時にオー
ステナイト組織中にフェライトを10〜70%混在さ
せ、浸炭焼入れ後の組織をフェライト・マルテンサイト
二相組織とすることにより、焼入れ歪み量が劇的に低減
することを見出した。
【0015】この発明においては、容易で且つ経済的な
浸炭焼入れの熱処理条件で歯車を製造することができる
鋼材を提供することも重要な目標の一つである。しか
も、この発明の鋼材は、浸炭焼入れにより、マルテンサ
イト組織中にフェライトが混在する組織になることが必
須要件である。従って、この発明の鋼材のAc3 変態温度
は、通常の浸炭焼入れ温度領域よりも高くなっているこ
とが必要である。
【0016】そこで、鋼中Si、Mn、Cr、Mo、Al、V 等の
元素の、Ac3変態温度に及ぼす影響について詳細に検討
した結果、これらの元素の含有量を適正に限定すること
により、通常の浸炭条件でも容易にフェライト・マルテ
ンサイト二相組織が得られ、且つ、フェライト強化元素
を適正量添加することにより、歯内部即ち非浸炭部が強
化され、且つ、歯表面部の疲労強度が向上するので、歯
元の疲労強度を低下させることなく焼入れ歪み量を劇的
に低減し得ることを知見した。
【0017】本発明の内、請求項1に記載の低歪み型浸
炭焼入れ歯車用鋼材は、上記知見に基づいてなされたも
のであって、C:0.10〜0.35wt.%、Si:0.01〜2.5 w
t.%、Mn:0.20〜2.50wt.%、Al:0.01〜2.5 wt.%、
および、Cr:0.01〜2.50wt.%を含有し、且つ、Si+
Al:0.5 〜2.6 wt.%の関係を満たし、残部:鉄および
不可避不純物からなる化学成分組成を有し、しかも、下
記(1) 式によって算出されるAc3 点パラメーターが、85
0 〜960 ℃の範囲内にあり、下記(2) 式によって算出さ
れる理想臨界直径 (DI ) が30〜250mm の範囲内にある
化学成分組成を有する鋼材であって、上記鋼材に対し
て、温度850〜1000℃の範囲内で浸炭処理を施
し、次いで、温度800〜950℃の範囲内で焼入れ処
理を施し、そして、次いで、焼戻し処理を施し、このよ
うにして得られた上記鋼材の非浸炭部の組織が、フェラ
イトを10〜70面積%含むマルテンサイトよりなる二
相組織であることに特徴を有するものである。なお、こ
の発明において、下記(1)式および(2)式によりAc
3 点パラメーターおよび理想臨界直径 (DI ) を算出す
るとき、(1)式および(2)式の右辺には所定の成分
元素に係る項があるが、化学成分組成については限定の
ない成分元素であるNi、Mo、W、VおよびTiの含
有量は0(零)であるとして算定するものとする。以
下、請求項2〜10記載の発明についてもこれと同様と
する。また、後述する実施例での比較鋼および従来鋼に
ついてもこれと同様とする。 Ac3 =920-203 √C+44.7Si+31.5Mo-30Mn-11Cr+40Al-15.2Ni+13.1W+104V+40Ti ------------ (1) DI =7.95√C(1+0.70Si)(1+3.3Mn)(1+2.16Cr)(1+3.0Mo)(1+0.36Ni)(1+5.0V) ------------ (2)
【0018】また、請求項1に記載された発明の歯車用
鋼材の化学成分組成に、更に、Mo:0.01〜0.70wt.%、
Ni:0.01〜2.0 wt.%、W:0.01〜0.70wt.%、および、
V:0.01〜1.0 wt.%からなる群から選んだ少なくとも1
つの元素を付加して含有していることに特徴を有するも
の、請求項1に記載された発明に更に、Ti:0.005〜
1.0 wt.%、Nb:0.005 〜0.50wt.%、および、Zr:0.
005 〜0.50wt.%からなる群から選んだ少なくとも1つの
元素を付加して含有していることに特徴を有するもの、
または、請求項1に記載された発明に更に、Mo:0.01
〜0.70wt.%、Ni:0.01〜2.0 wt.%、W:0.01〜0.70w
t.%、および、V:0.01〜1.0 wt.%からなる群から選ん
だ少なくとも1つの元素、並びに、Ti:0.005 〜1.0
wt.%、Nb:0.005 〜0.50wt.%、および、Zr:0.005
〜0.50wt.%からなる群から選んだ少なくとも1つの元素
を付加して含有していることに特徴を有するもの、のい
ずれかであれば一層望ましい。
【0019】本発明の内、請求項5に記載の低歪み型浸
炭焼入れ歯車用鋼材も、上記知見に基づいてなされたも
のであって、C:0.10〜0.35wt.%、Si:0.50〜2.5 w
t.%、Mn:0.20〜2.50wt.%、および、Cr:0.01〜2.5
0wt.%を含有し、残部:鉄および不可避不純物からなる
化学成分組成を有し、しかも、上記(1) 式によって算出
されるAc3 点パラメーターが、850 〜960 ℃の範囲内に
あり、上記(2) 式によって算出される理想臨界直径 (D
I ) が30〜250mm の範囲内にある化学成分組成を有する
鋼材であって、上記鋼材に対して、温度850〜100
0℃の範囲内で浸炭処理を施し、次いで、温度800〜
950℃の範囲内で焼入れ処理を施し、そして、次い
で、焼戻し処理を施し、このようにして得られた上記鋼
材の非浸炭部の組織が、フェライトを10〜70面積%
含むマルテンサイトよりなる二相組織であることに特徴
を有するものである。
【0020】また、請求項5に記載された発明の歯車用
鋼材の化学成分組成に、更に、W:0.01〜0.70wt.%、
および、V:0.01〜1.0 wt.%からなる群から選んだ少な
くとも1つの元素を付加して含有していることに特徴を
有するもの、請求項5に記載された発明に更に、A
l:0.005 〜2.0 wt.%、Ti:0.005 〜1.0 wt.%、N
b:0.005 〜0.50wt.%、および、Zr:0.005 〜0.50w
t.%からなる群から選んだ少なくとも1つの元素を付加
して含有していることに特徴を有するもの、または、
請求項5に記載された発明に更に、W:0.01〜0.70wt.
%、および、V:0.01〜1.0 wt.%からなる群から選んだ
少なくとも1つの元素、並びに、Al:0.005 〜2.0 w
t.%、Ti:0.005 〜1.0 wt.%、Nb:0.005 〜0.50wt.
%、および、Zr:0.005 〜0.50wt.%からなる群から選
んだ少なくとも1つの元素を付加して含有していること
に特徴を有するもの、のいずれかであれば一層望まし
い。
【0021】
【発明の実施の形態】この発明によれば、Ac3変態温度
を高め、且つ焼入れ性を向上させる元素であるSi、Moお
よびV 、並びに、Ac3変態温度を高めるAl、TiおよびW
の含有量を増加させることによって、浸炭焼入れ処理に
より容易にフェライト・マルテンサイト二相組織とする
ことができ、フェライトがマルテンサイトの膨張歪みを
吸収することによって、焼入れ歪み量が大幅に減少し、
更に、焼入れ時の歯車の芯部(以下、「歯車芯部」とい
う。図5参照)の硬さも十分に確保できるので、従来鋼
と遜色のない疲労強度が得られる。
【0022】また、自動車の歯車においては、歯元疲労
強度の向上を目的として、ショットピーニング処理が施
されることが多いが、本発明鋼材によれば、表面の粒界
酸化層の形成が抑制され、且つ、焼入れ不良組織が発生
しないので、ショットピーニング処理を施した場合、表
面粗さが劣化することなく歯元疲労強度が増加する。更
に、Si、Mo、W 、V によって焼戻し軟化抵抗が増大して
面疲労強度が向上する。
【0023】このように、この発明においては、鋼材中
の各元素は種々の作用効果を発揮すし、鋼材に含有され
るべき化学成分元素は必須成分と選択成分からなる。そ
して、選択成分を2グループに分けた。選択成分として
のWおよびVの作用効果の内、焼入れ性向上において共
通するので第1のグループにし、また、Al、Ti、N
bおよびZrを結晶粒微細化による焼入れ歪み抑制にお
いて共通するので第2のグループにした。
【0024】次に、この発明の浸炭焼入れ歯車用鋼材の
化学成分組成を、上述した範囲内に限定した理由につい
て、以下に述べる。 (1) 炭素(C) 炭素は、浸炭焼入れによる歯車芯部の強度を保証する上
で必要な基本的元素であり、その作用を発揮させるため
には、0.10 wt.%以上含有していることが必要であり、
0.10 wt.%未満では、有効な浸炭硬化層深さを得るため
には長時間を要するので工業的には不可である。しかし
ながら、炭素含有量が0.35 wt.%を超えると靱性の劣化
および被削性の低下を招く。従って、炭素含有量を、0.
10〜0.35%の範囲内に限定すべきである。
【0025】この発明においては、請求項1〜4および
9記載の発明と、請求項5〜8および10記載の発明と
では、シリコンおよびアルミニウムの化学成分組成を、
一部分で重複しているものの他の部分で異なった組成範
囲を限定した。これは、この発明におけるシリコンおよ
びアルミニウムのそれぞれの作用効果において、異なる
特徴部分を適用したので、これに基づき一部分で重複し
ているものの他の部分で異なる組成範囲を限定すること
が必要となったためである。
【0026】(2) シリコン(Si) はじめに、シリコン含有量の下限値について述べる。請
求項1〜4および9記載の発明においては、シリコンは
脱酸剤として重要な作用をする元素であり、このために
は、0.01wt.%以上の添加を必要とし、更に、浸炭処
理における歯車表面の粒界酸化の進行を抑制するため
に、アルミニウム含有量とシリコン含有量との和(Al
+Si含有量)で0.50wt.%以上を必要とする(後述
する)。ここで、浸炭処理の粒界酸化の進行原因は、浸
炭処理時に浸炭ガス中に不可避的に存在する微量酸素と
結合することによって、上記微量酸素が鋼材の深部まで
侵入するのを防止することができないからである。この
場合には、粒界酸化が著しく深くなり、歯車の歯元疲労
強度の低下を招く。これに対して、請求項5〜8および
10記載の発明は、上記粒界酸化の進行による歯元疲労
強度の低下を、シリコン単独で抑制しよとする場合であ
り、このためには、シリコン含有量が0.50wt.%未満
では不十分である。但し、Si+Al含有量の下限を限
定しない場合である。一方、シリコンは、フェライト形
成元素であり、Ac3変態点を高めるのに有効であり、且
つ、比較的安価な元素である。更に、焼戻し軟化抵抗を
増大させて、面疲労強度を向上させる。しかしながら、
シリコン含有量が2.5wt.%を超えて過剰になると、フ
ェライト量が多くなり過ぎて、強度および靱性が低下す
るのみならず、SiO2 系の非金属介在物が増加する結
果、逆に疲労強度の低下を招く。従って、シリコン含有
量は、2.5wt.%以下にしなければなない。以上によ
り、請求項1〜4および9記載の発明においては、シリ
コン含有量を、0.01〜2.5wt.%の範囲内に限定す
べきであり、一方、請求項5〜8および10記載の発明
においては、シリコン含有量を、0.50〜2.5wt.%
の範囲内に限定すべきである。
【0027】(3) アルミニウム(Al) アルミニウムは窒素と結合してAlN を生成し、結晶粒を
微細化させることにより、焼入れ時の歪みを小さくする
上、靱性および疲労強度を向上させるのに有効な元素で
ある。このために必要なアルミニウム含有量の下限値
は、請求項1〜4および9記載の発明においては、0.
01wt.%以上であり、一方、請求項5〜8および10記
載の発明においては、0.005wt.%以上である。この
ように、請求項5〜8および10記載の発明における方
が少量のアルミニウム含有量でよい理由は、シリコン含
有量の下限を0.50wt.%以上と、請求項1〜4および
9記載の発明の場合(0.01wt.%以上)よりも多目に
限定しているので、このシリコンが上述した粒界酸化に
よりアルミニウムが消費されるを守ってくれるから、そ
の分だけ少なくて良いからである。また、アルミニウム
はシリコンと同様にフェライト形成元素であり、経済的
にAc3変態点を大きく高めることができる。しかしなが
ら、アルミニウム含有量が所定量を超えて多量になると
アルミナ系介在物が増加して、靱性および疲労強度の低
下を招く。この所定量の値は、請求項1〜4および9記
載の発明の場合には、2.5wt.%であり、一方、請求項
5〜8および10記載の発明においては、2.0wt.%で
ある。このように、請求項5〜8および10記載の発明
における方が少量のアルミニウム含有量でよい理由は、
シリコン含有量の下限を0.50wt.%以上と、請求項1
〜4および9記載の発明の場合(0.01wt.%以上)よ
りも多目に限定しているので、け少なくて良いからであ
る。以上により、請求項1〜4および9記載の発明にお
いては、アルミニウム含有量を、0.01〜2.5wt.%
の範囲内に限定すべきであり、一方、請求項5〜8およ
び10記載の発明においては、アルミニウム含有量を、
0.005〜2.0wt.%の範囲内に限定すべきである。
また、シリコンとアルミニウムを併用する場合には、鋼
の清浄性、靱性を確保するため、その総量は2.6wt.%以
下に規制することが望ましい。
【0028】(4) シリコン(Si)+アルミニウム(Al) 請求項1〜4および9記載の発明においては、Si+A
l含有量が0.5wt.%未満では、浸炭処理時に浸炭ガス
中の微量酸素と結合する表層のSi濃度が低いために、
上記微量酸素が歯車半製品の深部まで侵入して、粒界酸
化層が著しく深くなる結果、歯元疲労強度の低下を招
く。一方、Si+Al含有量が2.6wt.%を超えると、
鋼材の清浄性および靱性が低下しはじめる。従って、S
i+Al含有量を、0.5〜2.6wt.%の範囲内に限定
すべきである。一方、請求項5〜8および10記載の発
明においては、Si含有量が0.50wt.%以上であるか
ら、Si+Al含有量の下限値限定は不要である。ま
た、Si+Al含有量が2.6wt.%以下であることが望
ましいが、鋼材の清浄性および靱性の許容水準を低目側
に広くとることを図るために、必須条件とはしない。
【0029】(5) マンガン(Mn) マンガンは、焼入れ性を向上させ、そして歯車芯部の強
度を確保するのに有効な元素であり、その作用を発揮さ
せるためには、0.20wt.%以上含有させることが必要
である。しかしながら、マンガンにはAc3変態点を大き
く低下させる作用があるので、その含有量が2.50w
t.%を超えて多量になると、マルテンサイトおよびフェ
ライトの二相組織が得られなくなるだけでなく、硬度が
高くなり過ぎ、被削性の劣化を招く。従って、マンガン
含有量を、0.20〜2.50wt.%の範囲内に限定すべ
きである。
【0030】(6) クロム(Cr) クロムは、マンガンと同様に焼入れ性を向上させるのに
有効な元素であり、その作用を発揮させるためには0.01
wt.%以上含有させることが必要である。しかしなが
ら、クロムにはマンガンと同様にAc3変態点を低下させ
る作用があるので、その含有量が2.50 wt.%を超えて多
量になると、マルテンサイトおよびフェライトの二相組
織が得られなくなるだけでなく、硬度が高くなり過ぎ、
被削性の劣化を招く。従って、クロム含有量を、0.01〜
2.50 wt.%の範囲内に限定すべきである。
【0031】(7) モリブデン(Mo) 請求項1〜4および9記載の発明においては、モリブデ
ンはAc3変態点を高めてフェライト生成に有効であり、
更に、焼入れ性、焼戻し軟化抵抗性、靱性および疲労強
度を向上させるのに有効な元素であり、その作用を発揮
させるためには0.01 wt.%以上含有させることが必要で
ある。しかしながら、モリブデンは極めて高価な元素で
あり、その含有量が0.70 wt.%を超えて添加しても上記
効果は飽和して経済的な不利を招く。従って、モリブデ
ン含有量を、0.01〜0.70 wt.%の範囲内に限定すべきで
ある。
【0032】(8) ニッケル(Ni) 請求項1〜4および9記載の発明においては、ニッケル
は、焼入れ性および靱性を高めるのに有効な元素であ
り、その作用を発揮させるためには、0.01 wt.%以上含
有させることが必要である。しかしながら、ニッケル含
有量が2.0 wt.%を超えて多量になると硬度が高くなり
過ぎ、被削性が劣化する上、ニッケルは高価な元素であ
るために経済的な不利を招く。従って、ニッケル含有量
を、0.01〜2.0 wt.%の範囲内に限定すべきである。
【0033】(9) タングステン(W) タングステンは、モリブデンと同様にAc3変態点を高め
てフェライト生成に有効であり、また、焼戻し軟化抵抗
を増大させて、面疲労強度を向上させ、更に、靱性およ
び歯元疲労強度を向上させるのに有効な元素であり、そ
の作用を発揮させるためには、0.01 wt.%以上含有させ
ることが必要である。しかしながら、タングステンも高
価な元素であり、その含有量が0.70 wt.%を超えて添加
しても、効果の割りには経済的な不利を招く。従って、
タングステン含有量を、0.01〜0.70 wt.%の範囲内に限
定すべきである。なおタングステンとモリブデンを併用
して添加する場合にはその総量は0.70 wt.%以下とする
のが望ましい。0.70 wt.%を超える場合には浸炭焼入れ
歪みが大きくなって好ましくない。
【0034】(10)バナジウム(V) バナジウムは、Ac3変態点を高める作用が大きく、また
焼入れ性を高め歯元疲労強度を向上させ、焼戻し軟化抵
抗を増大させて、面疲労強度を向上させるのに有効な元
素であり、且つ、炭窒化物を生成し結晶粒を微細化さ
せ、焼入れ歪みを小さく抑える作用を有しており、その
作用を発揮させるためには0.01 wt.%以上含有させるこ
とが必要である。しかしながら、バナジウム含有量が1.
0 wt.%を超えると、その効果が飽和し経済的な不利を
招くばかりか、炭窒化物の量が多くなって靱性の低下を
招く。従って、バナジウム含有量を、0.01〜1.0 wt.%
の範囲内に限定すべきである。
【0035】(11)チタン(Ti) チタンもフェライト形成元素であり、Ac3変態点を高め
る作用が大きく、またオーステナイト結晶粒を微細化す
るのに有効な元素であり、且つ、浸炭部および歯内部の
降伏強度を高めて、疲労強度の向上に寄与する作用を有
しており、その効果を発揮させるためには、0.005wt.%
以上含有させることが必要である。しかしながら、チタ
ン含有量が1.0wt.%を超えると、その効果が飽和し経済
的な不利を招くばかりか、炭窒化物の量が多くなり過ぎ
て靱性の低下を招く。従って、チタン含有量を、0.005
〜1.0wt.%の範囲内に限定すべきである。
【0036】(12)ニオブ(Nb) ニオブもオーステナイト結晶粒を微細化するのに有効な
元素であり、その作用を発揮させるためには0.005wt.%
以上含有させることが必要である。しかしながら、ニオ
ブ含有量が 0.50wt. %を超えると、その効果が飽和し
経済的な不利を招くばかりか、炭窒化物の量が多くなっ
て靱性の低下を招く。従って、ニオブ含有量を、0.005
〜0.50wt. %の範囲内に限定すべきである。
【0037】(13)ジルコニウム(Zr) ジルコニウムもチタン、ニオブと同様にオーステナイト
結晶粒を微細化するのに有効な元素であり、その作用を
発揮させるためには0.005wt.%以上含有させることが必
要である。しかしながら、ジルコニウム含有量が0.50w
t. %を超えると、その効果が飽和し経済的な不利を招
くばかりか、炭窒化物の量が多くなって靱性の低下を招
く。従ってジルコニウム含有量を、0.005 〜0.50 wt.%
の範囲内に限定すべきである。
【0038】なお、本発明鋼中には、不可避不純物とし
てのP、CuおよびO含有量は、できるだけ低い方が望
ましい。また、Nは結晶粒を微細化させる目的で、必要
に応じて、0.20wt. %までは添加が許される。また被削
性を向上させるために、必要に応じて、S、Pb、Ca
およびSe等の快削元素を含有させてもよい。
【0039】(14)Ac3点パラメーター: 従来の常法によ
る浸炭処理における熱処理パターン例を、図6に示す。
歯車用鋼材を920℃で浸炭し、炭素を鋼の内部に拡散
させた後、歪みを低減するため浸炭温度より低温の85
0℃に保持し、次いで、オイル等で急冷して焼入れをす
る。従って、歯車用鋼材の下記(1) 式によって算出され
るAc3点パラメーターが850 ℃未満では、浸炭後に85
0℃に保持しても、オーステナイト中にフェライトを確
保することができない。一方、上記Ac3点パラメーター
が960 ℃を超えると、オ−ステナイト中のフェライト量
が過剰になり、歯車芯部の強度が不足する。従って、本
発明鋼の下記(1) 式: Ac3 =920-203 √C+44.7Si+31.5Mo-30Mn-11Cr+40Al-15.2Ni+13.1W+104V+40Ti ------------ (1) によって算出されるAc3点パラメーターを、850 〜960
℃の範囲内に限定すべきである。
【0040】(15)理想臨界直径 (DI ):理想臨界直径
(DI ) は鋼の焼入れ性を表わす値である。一般的に、
鋼材が鋼材製品として使用されるときに要求される鋼材
製品のオーステナイト粒度番号は、8番であり、浸炭焼
入れ歯車においても同じである。所望の疲労強度を確保
するためには、オーステナイト粒度番号が8番のときの
鋼材の理想臨界直径 (DI) の算出式である下記(2)
式: DI =7.95√C(1+0.70Si)(1+3.3Mn)(1+2.16Cr)(1+3.0Mo)(1+0.36Ni)(1+5.0V) ------------ (2) により算出される理想臨界直径 (DI ) 値が30mm以上で
あることを必要とする。一方、上記理想臨界直径
(DI ) 値が250mm を超えると、オーステナイト組織中
に混在しているフェライトによるマルテンサイトの変態
歪みの吸収効果が無くなり、焼入れ歪みが大きくなる。
従って、オーステナイト粒度番号を8番として、上記
(2) 式により算出される理想臨界直径 (DI ) 値が、30
〜250 mmの範囲内になるように歯車の化学成分組成を限
定すべきである。そして、焼入れ歪みを更に小さくする
ためには、その値を30〜150mm の範囲内に限定すること
が望ましい。なお、オーステナイト粒度番号が8番以外
のときには、その粒度番号に応じて上記(2)式の右辺
の係数が定まるので、オーステナイト粒度番号に応じた
Iの算出式を用いた算定値が、上述した範囲内になる
ように歯車の化学成分組成を限定すべきである。
【0041】浸炭焼入れ温度について 次に、鋼材に対する浸炭温度は、容易に、且つ、効率的
に浸炭処理を行なうことができる温度にすべきである。
浸炭温度が850℃未満では、Cの拡散速度が遅く、所
望の浸炭深さを得るのに長時間を要する。一方、浸炭温
度が1000℃を超えると、結晶粒が粗大化し易く、且
つ、鋼材表面の酸化が著しくなる結果、面疲労特性が低
下する。従って、浸炭温度を、850〜1000℃の範
囲内に限定すべきである。
【0042】浸炭処理後に行なう焼入れ温度が、800
℃未満では、上記浸炭炉の炉温をその温度まで低下させ
るのに長時間を要する。一方、焼入れ温度が950℃を
超えると、焼入れ後に得られるマルテンサイト組織中の
フェライト面積%を所望の値に確保することが困難とな
り、また、焼入れ歪み量も大きくなる。従って、焼入れ
温度は、800〜950℃の範囲内に限定すべきであ
る。
【0043】歯内部の組織 (非浸炭部の組織) のフェラ
イト量について 浸炭焼入れ・焼戻し後の非浸炭部である歯内部の組織の
フェライト量が、10%未満ではマルテンサイトの変態歪
みを十分に吸収することができず、焼入れ歪み量を小さ
く抑制することができない。一方、上記フェライト量が
70%を超えると、歯内部において所望の強度および靱性
を確保することが困難になる。従って、歯内部の組織の
フェライト量を、10〜70%の範囲内に限定すべきであ
る。なお、この時、マルテンサイトは残留オーステナイ
トおよび/またはベイナイトを一部含んでいてもよい。
【0044】
【実施例】次に、この発明を、実施例により比較例と対
比しながら説明する。 [実施例1]請求項1〜4および9に対応する本発明の
実施例を説明する。表1および2に示す本発明の条件
(化学成分組成、Ac3点パラメーター、理想臨界直径
(DI )、浸炭温度、焼入れ温度、および、浸炭焼入れ
・焼戻し後の非浸炭部のフェライト面積%)の範囲内で
ある本発明鋼No.1〜15、並びに、表3および表4に
示す本発明の範囲外の条件である比較鋼のNo.16〜2
3および従来鋼No.24〜27の供試鋼用インゴットを
調製した。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】比較鋼No.16 はCr含有量が本発明の範囲
を超えて多く、Ac3点パラメーターが本発明の範囲より
低く、理想臨界直径(DI )が本発明より大きい鋼、比
較鋼No.17 はC、Mn含有量が本発明の範囲より少な
く、Si含有量が多い、またAc3点パラメーターが本発
明の範囲より高く、理想臨界直径(DI )が本発明より
小さい鋼、比較鋼No.18 はAlおよびMn含有量が本発
明の範囲を超えて多い鋼、比較鋼No.19 はC含有量が本
発明の範囲を超えて多い鋼、比較鋼No.20 はMo含有量
が本発明の範囲を超えて多い鋼、比較鋼No.21 はNiお
よびTi含有量が本発明の範囲を超えて多く、Ac3点パ
ラメーターが本発明の範囲より低い鋼、比較鋼No.22 は
WおよびNb含有量が本発明の範囲を超えて多い鋼、比
較鋼No.23はVおよびZr含有量が本発明の範囲を超え
て多い鋼である。
【0050】従来鋼No.24 〜27は従来のJIS鋼種であ
って、従来鋼No.24 はJIS SMnC420であり、従来鋼No.26
はJIS SCM420であり、従来鋼No.27 はJIS SNCM420 で
あり、従来鋼No.25 はJIS SCM435であって、いずれもS
i含有量およびAc3点パラメーターが本発明の範囲を外
れて少ない鋼である。
【0051】[実施例2]請求項5〜8および10に対
応する本発明の実施例を説明する。表5に示す本発明の
条件(化学成分組成、Ac3点パラメーター、理想臨界直
径(DI )、浸炭温度、焼入れ温度、および、浸炭焼入
れ・焼戻し後の非浸炭部のフェライト面積%)の範囲内
である本発明鋼No.201〜208、並びに、表6およ
び7に示す本発明の範囲外の条件である比較鋼のNo.2
16〜218および従来鋼No.224〜227の供試鋼
用インゴットを調製した。
【0052】
【表5】
【0053】
【表6】
【0054】
【表7】
【0055】比較鋼No. 216はCr含有量が本発明の
範囲を超えて多く、Ac3点パラメーターが850℃未満
で、理想臨界直径(DI )も本発明の範囲を超えて大き
い鋼、比較鋼No. 217はC含有量が本発明の範囲より
少なく、Siが本発明の範囲を超えて多く、Ac3点パラ
メーターが965 ℃と高く、また理想臨界直径(DI )も
小さい鋼、比較鋼No. 218はMn含有量が本発明の範
囲を超えて多く、理想臨界直径(DI )も本発明の範囲
を超えて大きい鋼である。
【0056】従来鋼No. 224〜227は従来のJIS
鋼種であって、従来鋼No. 224はJIS SMnC420 であ
り、従来鋼No. 225はJIS SCM420であり、従来鋼No.
226はJIS SNCM420 であり、従来鋼No. 227はJIS
SCM435であって、いずれもSi含有量およびAc3点パラ
メーターが本発明の範囲を外れて低い鋼である。
【0057】実施例1および2の本発明鋼、比較鋼およ
び従来鋼のインゴットを熱間圧延して、直径20〜90
mmの丸棒鋼を調製し、得られた丸棒鋼に対し焼準処理を
施した。焼準処理後の丸棒鋼から、焼入れ歪み試験片お
よび疲労試験片を採取した。各試験片に対し浸炭焼入れ
・焼戻し処理を施した後、浸炭焼入れ歪み量、回転曲げ
疲労特性および歯車疲労特性を試験した。更に、焼準後
の20mmの丸棒鋼について、浸炭焼入れ・焼戻しを行な
った後、引張試験片および衝撃試験片を採取し、強度お
よび靱性を試験した。なお、焼入れ温度での保持時間は
すべて0.5Hrで油焼入れをし、また、焼戻しはすべ
て160℃×2Hrで行なった。各試験方法は下記の通
りである。
【0058】(1) 浸炭焼入れ歪み量:直径65mmの丸棒鋼
から、ネイビーC試験片を調製した。図1に、ネイビー
C試験片の正面図を、図2に、その側面図を示す。ネイ
ビーC試験片1は、両図に示したように、円盤状体に開
口部2および円形状空間3を有し、試験片各部の寸法
は、次のとおりである。 試験片直径(a):60mm、厚さ(b):12mm、円形状空間の直径
(c):34.8mm、開口部間隔(d):6 mm、試験片中心と開口部
円中心との距離(p):10.2mm。
【0059】浸炭焼入れ・焼戻し後の歪み量の測定は、
ネイビーC試験片の開口部間隔の、浸炭焼入れ前後の変
化率を測定して行なった。ネイビーC試験片による浸炭
焼入れ・焼戻し後の歪み量が、1.0 %を超えるような大
きな歪みを示す歯車用鋼材を用いて、歯車に加工し、こ
れを浸炭焼入れ・焼戻しをした場合には、大きな変形が
生じて、機械研削により歯形修正処理をしなければなら
ず、機械研削を省略することができない。歯形修正研削
を行なわず、浸炭焼入れ・焼戻しのまま歯車として使用
を可能とするためには、ネイビーC試験片における浸炭
焼入れ・焼戻し後の歪み量が、1.0 %以下であることが
必要であり、更に、歯車の形状・寸法等にかかわらず歯
形修正研削を行なわずに使用することができるために
は、0.5 %以下であることが一層望ましい。
【0060】上記形状のネイビーC試験片1を各供試鋼
当たり10個作製し、この試験片1に対し、浸炭・焼入れ
し、次いで、焼戻した後に、この試験片の開口部間隔
(d)の、浸炭焼入れ・焼戻し前後の変化率を測定し、
この値を浸炭焼入れ歪み量と定義した。浸炭焼入れ歪み
量の試験結果を、試験繰り返し数n=10の平均値およ
びそのバラツキで示す。表8〜11に実施例1の試験結
果を、そして、表12〜14に実施例2の試験結果を示
す。なお、以下の他の試験結果も同表に示す。
【0061】
【表8】
【0062】
【表9】
【0063】
【表10】
【0064】
【表11】
【0065】
【表12】
【0066】
【表13】
【0067】
【表14】
【0068】(2) 非浸炭部のフェライト面積%:次に、
浸炭焼入れ歪み量測定済みの試験片を用いて、各供試鋼
の浸炭焼入れ・焼戻し後における非浸炭部のフェライト
−マルテンサイト二相組織のフェライト面積%を検鏡試
験で測定し、歯内部のフェライト面積%と定義し、測定
結果を示した。
【0069】(3) 回転曲げ疲労特性:直径20mmの丸棒鋼
から、平行部直径10mmの試験片を採取し、平行部にこ
れと直角方向の深さ1mmの切り欠き( 応力集中係数α=
1.8)を全円周にわたってつけた、回転曲げ疲労試験片を
調製し、この試験片に対し、ネイビーC試験片に対して
施したと同じ条件で、浸炭焼入れ・焼戻し処理を施した
後、ショットピーニング処理 (アークハイト:0.6mmA 、
カバレージ:300%) をし、このような処理の施された試
験片に対し、小野式回転曲げ疲労試験機を使用して107
回の回転曲げ疲労試験を行い、その回転曲げ疲労強度を
測定し、結果を示した。
【0070】(4) 歯車疲労特性、および、粒界酸化層深
さ、焼入れ不良層深さ、および、有効硬化層深さ:直径
90mmの丸棒鋼から、切削加工によって外径75mm、歯幅10
mm、モジュール2.5 、歯数28枚の試験用歯車を調製し、
上記回転曲げ疲労特性と同じ条件で、浸炭焼入れ・焼戻
しおよびショットピーニング処理を施した後、得られた
試験片に対し、動力循環式歯車疲労試験機を使用し、回
転数:3000rpm で歯車疲労試験を行い、繰り返し数107
回で破損しなかったトルク値を歯車の歯元強度として求
め、歯車疲労耐久トルクの試験結果、および、チッピン
グの有無を示した。更に、歯車疲労試験に供した歯車か
ら歯部を切り出して所定の試験片を調製し、浸炭焼入れ
にともなう粒界酸化層深さ、焼入れ不良層深さ、およ
び、有効硬化層深さを測定し、その結果を示した。
【0071】(5) 強度および衝撃値:浸炭焼入れ・焼戻
し後の25mmφ丸棒からJIS4号引張試験片(平行部
径:14mmφ)、および、JIS3号シャルピー試験片
を調製し、引張試験および衝撃試験を行ない、それぞれ
により歯車芯部の強度、および、歯車芯部の靱性を評価
し、測定結果を示した。
【0072】実施例1の試験条件および結果を示した表
1〜4および8〜11から明らかなように、比較鋼No.1
6 はCr含有量が本発明の範囲を超えて多く、Ac3点パ
ラメーターが本発明の範囲より低く、理想臨界直径(D
I )が本発明より大きい鋼で、このため焼入れ歪みが1
%を超えている。比較鋼No.17 は、CおよびMn含有量
が本発明の範囲より少なく、Si含有量が多い、またA
c3点パラメーターが本発明の範囲より高く、理想臨界直
径(DI)が本発明より小さい鋼で、このためフェライ
ト面積率が高くなって、芯部の強度が低く、回転曲げ疲
労強度、歯車疲労耐久トルクが低い。比較鋼No.18 は、
AlおよびMn含有量が本発明の範囲を超えて多い鋼
で、このため芯部の靱性が低く、且つ焼入れ歪みが1%
を超えて大きい。比較鋼No.19 は、C含有量が本発明の
範囲を超えて高く、このため芯部の靱性が低い。比較鋼
No.20 は、Mo含有量が本発明の範囲を超えて多く、こ
のため焼入れ歪みが1%を超えて大きい。比較鋼No.21
は、NiおよびTi含有量が本発明の範囲を超えて多
く、Ac3点パラメーターが本発明の範囲より低い、この
ため芯部の靱性が低く、且つ焼入れ歪みが1%を超えて
大きい。比較鋼No.22 は、WおよびNb含有量が本発明
の範囲を超えて多く、このため芯部の靱性、回転曲げ疲
労強度、歯車疲労耐久トルクが低い。比較鋼No.23 は、
VおよびZr含有量が本発明の範囲を超えて多く、この
ため芯部の靱性、回転曲げ疲労強度、歯車疲労耐久トル
クが低い。
【0073】また従来鋼No.24 〜27は、フェライト面積
率が5〜8%であって本発明の範囲を外れて少なく、粒
界酸化層深さおよび焼入れ不良層深さが大で、且つ、焼
入れ歪み量が大きい。
【0074】これに対して、本発明鋼No. 1〜15は、従
来鋼に比べ粒界酸化層が大幅に低減し、焼入れ不良層が
全く認められず、且つ、浸炭焼入れ特性である浸炭の有
効硬化層深さおよび芯部強度、並びに、衝撃値は、従来
鋼と同等ないし同等以上であり、更に12〜68%のフェラ
イトが存在するフェライト・マルテンサイト二相組織と
なっているので、焼入れ歪み量は 0〜1 %の間と小さ
く、ロット内のバラツキも少なかった。図3に本発明鋼
および従来鋼の理想臨界直径(DI )と浸炭焼入れ歪み
の関係を示す。これより明らかなように、本発明により
熱処理歪みは著しく低減され、歪み0から従来鋼の40
%程度までに小さくなっているのが判る。
【0075】また、比較鋼No.17 〜22および従来鋼No.2
4 〜27は、低トルク領域で歯面にチッピングが発生し
た。これに対して本発明鋼No.1〜15は、従来鋼よりも優
れた疲労強度および歯元強度を有しており, 且つ, 焼入
れ不良層がなく、Si含有量の増加によって、焼戻し軟
化抵抗が高くなり、チッピングが発生せず、面圧強度も
強化された。
【0076】次に、実施例2の試験条件および結果を示
した表5〜7および表12〜14から明らかなように、
比較鋼No. 216は、Cr含有量が本発明の範囲を超え
て多く、Ac3点パラメーターが低く、理想臨界直径(D
I )が大きいので、焼入れ歪みが1%を超えて大きい。
比較鋼No. 217は、C含有量が本発明の範囲より低
く、Si含有量が本発明の範囲を超えて多く、フェライ
ト面積率が70%を超え、また理想臨界直径(DI )も
小さい。このため十分な強度を確保することができず、
回転曲げ疲労強度、歯車疲労耐久トルクが低い。比較鋼
No. 218は、Mn含有量が本発明の範囲を超えて多い
ので、このため芯部の衝撃値が低い。また理想臨界直径
(DI )も本発明の範囲を外れて大きいので、焼入れ歪
みが大きい。
【0077】また従来鋼No. 224〜227は、フェラ
イト面積率が5〜8%であって本発明の範囲を外れて少
なかったので、粒界酸化層深さおよび焼入れ不良層深さ
が大で、且つ、焼入れ歪み量が大きかった。
【0078】これに対して、本発明鋼No. 201〜20
8は従来鋼に比べ粒界酸化層が大幅に低減し、焼入れ不
良層が全く認められず、且つ浸炭焼入れ特性である, 浸
炭の有効硬化層深さおよび芯部強度、衝撃値は、従来鋼
と同等ないし同等以上であり, 更に12〜68%のフェライ
トが存在するフェライト・マルテンサイト二相組織とな
っているので、焼入れ歪み量は 0〜1 %の間と小さく、
ロット内のばらつきも少なかった。図4に本発明鋼およ
び従来鋼の理想臨界直径(DI )と浸炭焼入れ歪みの関
係を示す。これより明らかなように、本発明により熱処
理歪みは著しく低減され、歪み0から従来鋼の40%程
度までに小さくなっているのが判る。
【0079】また、比較鋼No. 217および218、並
びに、従来鋼No. 224〜227は低トルク領域で歯面
にチッピングが発生した。これに対して本発明鋼No. 2
01〜208は従来鋼よりも優れた疲労強度および歯元
強度を有しており、且つ、焼入れ不良層がなく、Si含
有量の増加によって、焼戻し軟化抵抗が高くなり、チッ
ピングが発生せず、面圧強度も強化された。
【0080】
【発明の効果】この発明は、以上のように構成したの
で、浸炭焼入れ処理による歪み量を、従来鋼の2.3〜
3.5%程度に比べて、0〜1.0%という小さい値に
抑制することが可能であり、且つ、歯元強度に優れた歯
車用鋼材を、通常の浸炭焼入れ処理によって得ることが
でき、歯形修正を施さない自動車用歯車として好適であ
る上、浸炭焼入れ後に歯形修正を必要とする建設機械、
産業機械等の歯車においても、浸炭焼入れ歪み量を減少
し得るので、歯形修正を施す必要がなく、従って、加工
コストの低減および生産性の向上を図ることができる低
歪み型浸炭焼入れ歯車用鋼材を提供することができ、工
業上多くの優れた効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】浸炭焼入れ歪み量を測定するための試験片の一
例(ネイビーC試験片)を示す正面図である。
【図2】図2の側面図である。
【図3】実施例1における本発明鋼および従来鋼の理想
臨界直径(DI )と浸炭焼入れ歪み量との関係を示すグ
ラフである。
【図4】実施例2における本発明鋼および従来鋼の理想
臨界直径(DI )と浸炭焼入れ歪み量との関係を示すグ
ラフである。
【図5】歯車の歯内部およびは表面部を説明する概略斜
視図である。
【図6】従来の常法による浸炭処理および焼入れの熱処
理パターンの例を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ネイビーC試験片 2 開口部 3 円形状空間 4 歯内部(非浸炭部) 5 歯表面部(浸炭部) 6 歯車芯部
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/46 C22C 38/46 38/50 38/50 38/58 38/58 C23C 8/22 C23C 8/22 F16H 55/06 F16H 55/06

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C :0.10〜0.35wt.%、 Si:0.01〜2.5 wt.%、 Mn:0.20〜2.50wt.%、 Al:0.01〜2.5 wt.%、および、 Cr:0.01〜2.50wt.% を含有し、且つ、 Si+Al:0.5 〜2.6 wt.% の関係を満たし、 残部:鉄および不可避不純物 からなる化学成分組成を有し、 しかも、下記(1) 式: Ac3 =920-203 √C+44.7Si+31.5Mo-30Mn-11Cr+40Al-15.2Ni+13.1W+104V+40Ti ------------ (1) によって算出されるAc3 点パラメーターが、850 〜960
    ℃の範囲内にあり、 下記(2) 式: DI =7.95√C(1+0.70Si)(1+3.3Mn)(1+2.16Cr)(1+3.0Mo)(1+0.36Ni)(1+5.0V) ------------ (2) によって算出される理想臨界直径 (DI ) が30〜250mm
    の範囲内にある化学成分組成を有する鋼材であって、 前記鋼材に対して、温度850〜1000℃の範囲内で
    浸炭処理を施し、次いで、温度800〜950℃の範囲
    内で焼入れ処理を施し、そして、次いで、焼戻し処理を
    施し、このようにして得られた前記鋼材の非浸炭部の組
    織が、フェライトを10〜70面積%含むマルテンサイ
    トよりなる二相組織であることを特徴とする、低歪み型
    浸炭焼入れ歯車用鋼材。
  2. 【請求項2】下記化学成分組成からなる群: Mo:0.01〜0.70wt.%、 Ni:0.01〜2.0 wt.%、 W :0.01〜0.70wt.%、および、 V :0.01〜1.0 wt.% から選んだ少なくとも1つの元素を、更に付加して含有
    している、請求項1記載の低歪み型浸炭焼入れ歯車用鋼
    材。
  3. 【請求項3】下記化学成分組成からなる群: Ti:0.005 〜1.0 wt.%、 Nb:0.005 〜0.50wt.%、および、 Zr:0.005 〜0.50wt.% から選んだ少なくとも1つの元素を、更に付加して含有
    している、請求項1記載の低歪み型浸炭焼入れ歯車用鋼
    材。
  4. 【請求項4】下記化学成分組成からなる群: Mo:0.01〜0.70wt.%、 Ni:0.01〜2.0 wt.%、 W :0.01〜0.70wt.%、および、 V :0.01〜1.0 wt.% から選んだ少なくとも1つの元素、並びに、下記化学成
    分組成からなる群: Ti:0.005 〜1.0 wt.%、 Nb:0.005 〜0.50wt.%、および、 Zr:0.005 〜0.50wt.% から選んだ少なくとも1つの元素を、更に付加して含有
    している、請求項1記載の低歪み型浸炭焼入れ歯車用鋼
    材。
  5. 【請求項5】C :0.10〜0.35wt.%、 Si:0.50〜2.5 wt.%、 Mn:0.20〜2.50wt.%、および、 Cr:0.01〜2.50wt.% を含有し、 残部:鉄および不可避不純物からなる化学成分組成を有
    し、 しかも、下記(1) 式: Ac3 =920-203 √C+44.7Si+31.5Mo-30Mn-11Cr+40Al-15.2Ni+13.1W+104V+40Ti ------------ (1) によって算出されるAc3 点パラメーターが、850 〜960
    ℃の範囲内にあり、下記(2) 式: DI =7.95√C(1+0.70Si)(1+3.3Mn)(1+2.16Cr)(1+3.0Mo)(1+0.36Ni)(1+5.0V) ------------ (2) によって算出される理想臨界直径 (DI ) が30〜250mm
    の範囲内にある化学成分組成を有する鋼材であって、 前記鋼材に対して、温度850〜1000℃の範囲内で
    浸炭処理を施し、次いで、温度800〜950℃の範囲
    内で焼入れ処理を施し、そして、次いで、焼戻し処理を
    施し、このようにして得られた前記鋼材の非浸炭部の組
    織が、フェライトを10〜70面積%含むマルテンサイ
    トよりなる二相組織であることを特徴とする、低歪み型
    浸炭焼入れ歯車用鋼材。
  6. 【請求項6】下記化学成分組成からなる群: W :0.01〜0.70wt.%、および、 V :0.01〜1.0 wt.% から選んだ少なくとも1つの元素を、更に付加して含有
    している、請求項5記載の低歪み型浸炭焼入れ歯車用鋼
    材。
  7. 【請求項7】下記化学成分組成からなる群: Al:0.005 〜2.0 wt.%、 Ti:0.005 〜1.0 wt.%、 Nb:0.005 〜0.50wt.%、および、 Zr:0.005 〜0.50wt.% から選んだ少なくとも1つの元素を、更に付加して含有
    している、請求項5記載の低歪み型浸炭焼入れ歯車用鋼
    材。
  8. 【請求項8】下記化学成分組成からなる群: W :0.01〜0.70wt.%、および、 V :0.01〜1.0 wt.% から選んだ少なくとも1つの元素、並びに、 下記化学成分組成からなる群: Al:0.005 〜2.0 wt.%、 Ti:0.005 〜1.0 wt.%、 Nb:0.005 〜0.50wt.%、および、 Zr:0.005 〜0.50wt.% から選んだ少なくとも1つの元素を、更に付加して含有
    している、請求項5記載の低歪み型浸炭焼入れ歯車用鋼
    材。
  9. 【請求項9】前記理想臨界直径 (DI ) は、30〜150 mm
    の範囲内にある、請求項1〜請求項4の内のいずれか1
    つに記載の低歪み型浸炭焼入れ歯車用鋼材。
  10. 【請求項10】前記理想臨界直径 (DI ) は、30〜150
    mmの範囲内にある、請求項5〜請求項8の内のいずれか
    1つに記載の低歪み型浸炭焼入れ歯車用鋼材。
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