JPH09111064A - 樹脂組成物及びそれからなるダイヤフラム並びにそれを用いたアキュムレータ - Google Patents

樹脂組成物及びそれからなるダイヤフラム並びにそれを用いたアキュムレータ

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JPH09111064A
JPH09111064A JP7272815A JP27281595A JPH09111064A JP H09111064 A JPH09111064 A JP H09111064A JP 7272815 A JP7272815 A JP 7272815A JP 27281595 A JP27281595 A JP 27281595A JP H09111064 A JPH09111064 A JP H09111064A
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JP
Japan
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polyamide
ethylene
resin composition
copolymer
component
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Application number
JP7272815A
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English (en)
Inventor
Naruaki Takamatsu
成亮 高松
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Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPH09111064A publication Critical patent/JPH09111064A/ja
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60GVEHICLE SUSPENSION ARRANGEMENTS
    • B60G2206/00Indexing codes related to the manufacturing of suspensions: constructional features, the materials used, procedures or tools
    • B60G2206/01Constructional features of suspension elements, e.g. arms, dampers, springs
    • B60G2206/40Constructional features of dampers and/or springs
    • B60G2206/42Springs
    • B60G2206/422Accumulators for hydropneumatic springs
    • B60G2206/4222Accumulators for hydropneumatic springs with a flexible separating wall; Membrane construction

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  • Supply Devices, Intensifiers, Converters, And Telemotors (AREA)
  • Diaphragms And Bellows (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れたガスバリア性が確保せしめられつつ、
低温下における耐屈曲疲労性が効果的に向上され得る樹
脂組成物及び低温下での耐久性が有効に高められ得るダ
イヤフラム並びにアキュムレータを提供する。 【解決手段】 エチレン含有量が25〜50モル%であ
り、且つ酢酸ビニル成分のけん化度が95モル%以上で
あるエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(A)と、
ポリアミド6及びポリアミド66を含む少なくとも3成
分以上のポリアミド成分から成り、それらポリアミド6
とポリアミド66の2成分が、合計で50〜80重量%
の割合にて含まれたポリアミド多元共重合体(B)と、
無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体
(C)とを、重量基準で、A/B/C=60〜85%/
5〜30%/10〜35%となるように配合して、樹脂
組成物を構成し、また該樹脂組成物にて構成された樹脂
層を含んでダイヤフラムを構成し、更に該ダイヤフラム
を用いて、アキュムレータ本体内部に備えられた可撓性
膜を構成して、アキュムレータを形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂組成物及びそ
れからなるダイヤフラム並びにそれを用いたアキュムレ
ータに係り、特に優れたガスバリア性が有効に確保され
つつ、低温下での屈曲疲労性が効果的に向上され得る樹
脂組成物、及びそのような樹脂組成物からなり、低温下
において、より長期にわたって良好に使用され得るダイ
ヤフラム、並びにかかるダイヤフラムを用いて構成され
た、低温環境下における耐久性に富むアキュムレータに
関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、エチレン−酢酸ビニル共重合体
けん化物は、成形性に富み、その溶融成形物が、透明
で、高度なガスバリア性を有するといった優れた特性を
備えているものの、その反面、耐屈曲疲労性に乏しいと
いった大きな欠点を有しているところから、その用途に
おいて、多大な制限が課せられている。
【0003】そのため、従来より、そのようなエチレン
−酢酸ビニル共重合体けん化物の耐屈曲疲労性を向上せ
しめるべく、種々の提案が為されている。例えば、特公
昭44−24277号公報においては、エチレン含有量
が10〜58モル%で、酢酸ビニル成分のけん化度が9
0モル%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物
50〜95重量%とポリアミド50〜5重量%とからな
る樹脂組成物が明らかにされており、また、特公平5−
23184号公報には、三層構造を有する積層包装材で
あって、表面層の少なくとも片方が、熱可塑性樹脂から
なると共に、中間層が、エチレン含有量が20〜55モ
ル%で、酢酸ビニル成分のけん化度が90モル%以上の
エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物に対して、エチ
レン性不飽和カルボン酸若しくは該カルボン酸無水物を
グラフトしたエチレン−アクリル酸エステルと所定の金
属化合物との配合物を、単独で、若しくはエチレン−ア
クリル酸エステルと共に、全体に対して、5重量%以上
40重量%以下となるような範囲で混合せしめた混合組
成物よりなる積層包装材が、提示されている。そして、
それらの公報には、そのような樹脂組成物や積層包装材
が、何れも、高度なガスバリア性と優れた耐屈曲疲労性
とを兼ね備えており、それによって、気密性が要求され
る食品等のプラスチック容器や包装用フィルム等の材料
として、極めて有利に用いられ得ることが明らかにされ
ている。
【0004】しかしながら、特開昭60−139733
号公報の第4頁左下欄第10〜20行、特開昭60−1
61453号公報の第1頁左欄第14行〜右欄第17
行、及び特開昭62−225535号公報の第2頁左下
欄第5行〜右下欄第5行等に記載される如く、エチレン
−酢酸ビニル共重合体けん化物にポリアミドを配合せし
めてなる樹脂組成物にあっては、かかるポリアミドが、
エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物に対して大きな
反応性を有するために、溶融物中にゲル化物が発生し、
それによって成形加工性や成形物表面の平滑性が損なわ
れることがあり、また、ポリアミドのエチレン−酢酸ビ
ニル共重合体けん化物に対する反応性を低下させる等し
て、溶融物中にゲル化物が発生しないようにすると、今
度は成形物に微小なピンホール等が生じて、そのガスバ
リア性が著しく低下してしまうといった、種々の問題が
内在していた。
【0005】一方、よく知られているように、エチレン
−酢酸ビニル共重合体けん化物に変性オレフィン等を配
合せしめる場合、その配合量が少量、具体的には5容量
%以下では、さほど問題はないが、それを越えると、溶
融成形物に配向性が現れ、溶融時の流動方向に直角の方
向、所謂引裂方向における伸びが著しく低下せしめられ
ることとなる。従って、前記特公平5−23184号公
報に開示された、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化
物に対して、変性オレフィン系重合体である、無水マレ
イン酸等をグラフトしたエチレン−アクリル酸エステル
やエチレン−アクリル酸エステルが比較的多量に混合さ
れた混合組成物からなる中間層を含む積層包装材にあっ
ては、その耐屈曲疲労性の向上効果において、十分に満
足し得るものであるとは、言い難いものであった。
【0006】しかも、本発明者らの多数の実験によれ
ば、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物に対して、
ポリアミドを配合した樹脂組成物や無水マレイン酸をグ
ラフトしたエチレン−アクリル酸エステルをそれぞれ単
独で配合せしめた樹脂組成物からなる溶融成形物にあっ
ては、−30℃以下の低温下において、破断点伸びが極
端に低下し、それによって、柔軟性が著しく損なわれて
しまうことが明らかとなったのであり、また、そのよう
な低温下で、それらの溶融成形物に対して引張試験を実
施すると、何れにおいても、脆化破壊が惹起せしめられ
ることが判明したのである。
【0007】要するに、前記公報に開示された樹脂組成
物や積層包装材にあっては、ガスバリア性を有効に確保
しつつ、耐屈曲疲労性を十分に高めることは困難であっ
たのであり、しかも−30℃以下の低温下では、耐屈曲
疲労性が著しく低下してしまうのである。それ故、それ
らの樹脂組成物や積層包装材は、食品等のプラスチック
容器や包装フィルム等よりも、数段、高度な耐屈曲疲労
性が要求されるダイヤフラムの材料として、或いはより
過酷な低温環境下での耐久性が求められるアキュムレー
タの構成材料として、到底、採用され得るものではなか
ったのであり、また仮に採用され得たとしても、上述の
如き低温下における長期間の使用に、到底、耐え得るも
のではなかったのである。
【0008】
【本発明が解決しようとする課題】ここにおいて、本発
明は、上述の如き事情を背景にして為されたものであっ
て、その解決課題とするところは、優れたガスバリア性
が確保せしめられつつ、耐屈曲疲労性、特に低温下にお
けるそれが効果的に向上され得る樹脂組成物を提供する
ことにある。また、本発明にあっては、低温下におい
て、長期にわたって良好に使用され得るダイヤフラムを
提供することをも、その解決課題とするものである。更
に、本発明においては、低温環境下における耐久性に優
れたアキュムレータを提供することをも、その解決課題
とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】そして、本発明にあって
は、それらの課題の解決のために、エチレン含有量が2
5〜50モル%であり、且つ酢酸ビニル成分のけん化度
が95モル%以上であるエチレン−酢酸ビニル共重合体
けん化物(A)と、ポリアミド6及びポリアミド66を
含む少なくとも3成分以上のポリアミド成分からなる共
重合体であって、それらポリアミド成分のうち、ポリア
ミド6とポリアミド66の2成分が、合計で50〜80
重量%の割合にて含まれたポリアミド多元共重合体
(B)と、無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共
重合体(C)とを、重量基準で、A/B/C=60〜8
5%/5〜30%/10〜35%となるように配合して
なる樹脂組成物を、その特徴とするものである。
【0010】すなわち、そのような本発明に従う樹脂組
成物にあっては、エチレン成分が特定の範囲内の含有割
合にて含有せしめられ、且つ酢酸ビニル成分のけん化度
が所定の値以上とされたエチレン−酢酸ビニル共重合体
けん化物(A)が、第1成分として、所定の範囲の配合
割合で配合されていることから、優れた成形性と高度な
ガスバリア性とが有利に付与せしめられ得るのであり、
また、第2成分として、ポリアミド6とポリアミド66
の2成分を含む少なくとも3成分以上のポリアミド成分
からなるポリアミド多元共重合体が、特定の範囲の配合
割合にて配合されていることによって、配向性(異方
性)を与えることなく、優れた耐屈曲疲労性が具備せし
められ得、しかもかかるポリアミド多元共重合体中に、
それらポリアミド6とポリアミド66の2成分が、特定
の含有割合となる範囲内にて含まれていることから、ポ
リアミド多元共重合体と前記エチレン−酢酸ビニル共重
合体けん化物とが過度に反応して、成形加工性が悪化し
たり、成形物の表面物性が低下したりすることが効果的
に防止され得るのである。そして、かかる樹脂組成物に
おいては、そのような第2成分の含有状態下において、
第3成分として、無水マレイン酸変性エチレン−プロピ
レン共重合体が、所定の範囲の配合割合で配合されてい
ることによって、温度の低下に伴う破断点伸びの劣化が
有利に抑制され得て、低温下における耐屈曲疲労性が効
果的に向上され得るのであり、しかも、そのような所定
の範囲内において、かかる無水マレイン酸変性エチレン
−プロピレン共重合体の配合量を増加せしめても、換言
すれば、前記第1成分たるエチレン−酢酸ビニル共重合
体けん化物の配合量が減少せしめられても、それに伴っ
て、耐屈曲疲労性が低下してしまうようなことが極めて
有利に防止乃至は抑制され得るのである。
【0011】従って、本発明に従う樹脂組成物にあって
は、優れた成形性と高度なガスバリア性が有利に確保さ
れつつ、耐屈曲疲労性、特に低温下における耐屈曲疲労
性が効果的に向上され得るのであり、しかも、配合成分
の組成割合の変化によって、そのような優れた特性にバ
ラツキが生ずるようなことが、極めて有利に回避乃至は
抑制され得るのである。
【0012】なお、そのような本発明に従う樹脂組成物
の好ましい第一の態様によれば、前記ポリアミド多元共
重合体として、融点が150℃以下である低結晶性ナイ
ロンの中より選択され、且つ熱変形温度(4.64kg
/cm2 )が50℃以下、ロックウェル硬さ(Rスケー
ル)が80以下であるものが用いられるのであり、それ
によって、樹脂組成物の成形加工性や成形物の表面物性
を何等低下せしめることなく、より優れた耐屈曲疲労性
が得られることとなるのである。
【0013】また、本発明の望ましい第二の態様によれ
ば、前記無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重
合体として、重量基準で、0.2〜2.0%の無水マレ
イン酸付加量を有し、且つメルトフローレート(JIS
K 7210,230℃,2.162kg)が0.1
〜5.0g/10minであるものが用いられるのであ
り、それによって、溶融成形物における配向性の現出が
より有利に回避され得て、特に成形物における引裂方向
の伸びが有効に確保され得、その結果として、耐屈曲疲
労性が効果的に向上され得るのである。
【0014】さらに、本発明にあっては、上述の如き構
成を有する樹脂組成物にて構成された樹脂層を含んでな
るダイヤフラムをも、その特徴とするものである。
【0015】そのような本発明に従うダイヤフラムにあ
っては、低温下における耐屈曲疲労性が有利に向上され
得て、低温下での脆化破壊等の発生が有効に回避乃至は
抑制され得、その結果として、その使用寿命の延命化が
効果的に図られ得ることとなるのである。
【0016】また、かかる本発明に従うダイヤフラムの
好ましい態様によれば、前記樹脂層を中間層として、そ
の両側に、ポリアミド樹脂を主成分とする、5000kg
/cm 2 以下の曲げ弾性率を有する柔軟層が、一体的に積
層形成されて、構成されるのであり、それによって、よ
り良好な柔軟性が付与され得て、耐屈曲疲労性の向上
が、更に一層有利に図られ得るのである。
【0017】さらに、本発明は、アキュムレータ本体の
内部に備えられ、該内部を、流体密に、二つの空間に仕
切る可撓性膜が、上述の如き構成を有するダイヤフラム
を用いて構成されているアキュムレータをも、その特徴
とするものである。
【0018】そのような本発明に従うアキュムレータに
あっては、高度なガスバリア性が有利に確保されつつ、
低温下での耐屈曲疲労性の向上が効果的に図られ得、そ
の結果として、低温環境下における耐久性が効果的に向
上され得るのである。
【0019】また、かかる本発明に従うアキュムレータ
の好ましい態様によれば、前記ダイヤフラムの表面に、
所定厚さのゴム層が、接着剤層を介して積層形成され
て、前記可撓性膜が構成されることとなるのであり、そ
れによって、耐屈曲疲労性が、更に一層向上され得て、
アキュムレータ自体の使用寿命が、より効果的に延命化
され得るのである。
【0020】
【発明の実施の形態】ところで、本発明に従う樹脂組成
物は、第1成分(基本成分)として、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体けん化物(A)を含むものであるが、この
エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物にあっては、エ
チレン成分が25〜50モル%の割合となる範囲におい
て含有されていなければならない。けだし、このエチレ
ン−酢酸ビニル共重合体けん化物は、前述した如く、優
れた成形性とガスバリア性、更には高度な透明性を有す
るものであるが、エチレン成分が50モル%を越えて含
有されると、ガスバリア性が低下し、またそれが25%
よりも少ないと、成形性が劣化してしまうからである。
なお、そのようなエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化
物においては、より良好なガスバリア性と成形性とを兼
備せしめる上で、エチレン成分が30〜45モル%の範
囲内にて含有されていることが、より望ましい。
【0021】また、よく知られているように、かかるエ
チレン−酢酸ビニル共重合体けん化物にあっては、それ
の有する上述の如き優れた特性が、エチレン成分の含有
量だけでなく、酢酸ビニル成分のけん化度、換言すれば
けん化された酢酸ビニル成分の量が、酢酸ビニル成分の
全量に対して、どれだけの割合を占めるかによって、大
きく左右されることとなる。それ故、本発明に係る樹脂
組成物に含まれるエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化
物においては、ガスバリア性や成形性の悪化を阻止する
上で、酢酸ビニル成分のけん化度が95モル%以上とさ
れている必要があり、また、その意味において、かかる
けん化度が98モル%以上とされていることが、より好
ましい。
【0022】一方、本発明に従う樹脂組成物において、
第2成分として含まれるポリアミド多元共重合体(B)
は、第1成分たるエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化
物に対して、配向性を与えることなく、優れた耐屈曲疲
労性を付与せしめ得るものであるが、そのようなポリア
ミド多元共重合体にあっては、ポリアミド6及びポリア
ミド66を含む少なくとも三つのポリアミド成分からな
り、それらのポリアミド成分のうち、ポリアミド6とポ
リアミド66の二つの成分が、合計で50〜80重量%
の割合となる範囲にて含有せしめられている必要があ
る。何故なら、ポリアミド6とポリアミド66は、何れ
も、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物に対して、
極めて高い相溶性を有するものであり、そのため、その
ようなポリアミド6とポリアミド66とが、ポリアミド
多元共重合体中に80重量%を越えて含有せしめられる
と、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物に対するポ
リアミド多元共重合体の反応性が高くなり過ぎて、溶融
ブレンド時等において、かかるポリアミドの多元共重合
体とエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物とが過度に
反応して、溶融物中にゲル化物が発生し、その結果、成
形加工性が悪化したり、成形物の表面物性が低下する等
といった問題が惹起せしめられることとなるからであ
る。また、かかるポリアミド多元共重合体中における、
それら二つの成分の含有量が50重量%より少ないと、
ポリアミド多元共重合体のエチレン−酢酸ビニル共重合
体けん化物に対する反応性が低下して、かかるけん化物
における耐屈曲疲労性の向上が望めなくなってしまうか
らである。そして、そのような問題が生ぜしめられるこ
となく、かくの如き特性がより良好に発揮され得るよう
に為す上において、それら二つの成分は、ポリアミド多
元共重合体中に、合計で55〜78重量%程度の割合と
なる範囲内にて含有されていることが好ましい。
【0023】なお、かかる第2成分たるポリアミド多元
共重合体中に含有されるポリアミド成分は、ポリアミド
6及びポリアミド66の二つの成分以外、特に限定され
るものではないが、その他のポリアミド成分としては、
例えば、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド
69、ポリアミド610、ポリアミド612等が挙げら
れ、そのようなものの中から一つのものが、或いは二つ
以上のものが、ポリアミド6及びポリアミド66と共
に、ポリアミド多元共重合体の構成成分として、用いら
れることとなるのである。
【0024】さらに、本発明に従う樹脂組成物において
は、そのようなポリアミド多元共重合体と共に、第3成
分として、エチレン−プロピレン共重合体に無水マレイ
ン酸が付加せしめられて成る無水マレイン酸変性エチレ
ン−プロピレン共重合体(C)が含有せしめられてお
り、それによって、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん
化物の耐屈曲疲労性、特に低温環境下でのかかる特性に
対して、大きな影響が及ぼされるようになっている。即
ち、前述した如く、無水マレイン酸変性エチレン−プロ
ピレン共重合体は、オレフィン系重合体であるため、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体けん化物に対して、単独で
且つ多量に配合せしめられる場合、かかるけん化物の耐
屈曲疲労性を十分に向上せしめることが困難となるが、
エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物に対して、ポリ
アミド多元共重合体と共に配合されると、得られる配合
物、即ち樹脂組成物において、温度の低下に伴う破断点
伸びの劣化が、顕著に抑制され得るのであり、その結果
として、該樹脂組成物の低温下における耐屈曲疲労性が
効果的に向上され得ることとなるのである。
【0025】また、そのように、かかる樹脂組成物にあ
っては、その低温特性を高める成分として、特に、無水
マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体が採用さ
れていることによって、樹脂組成物中において、かかる
無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体の配
合量が、所定の範囲内で増加せしめられても、換言すれ
ば、第1成分(基本成分)たるエチレン−酢酸ビニル共
重合体けん化物の含有量が減少せしめられても、それに
伴って、耐屈曲疲労性が低下するようなことが効果的に
回避乃至は抑制され得るようになっているのであり、し
かも、低温下における耐屈曲疲労性については、無水マ
レイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体の配合量の
増加によって、むしろ向上せしめられる傾向にあるので
ある。
【0026】なお、そのような無水マレイン酸変性エチ
レン−プロピレン共重合体は、エチレン−酢酸ビニル共
重合体けん化物に対する相溶性が、ポリアミド6及びポ
リアミド66を含むポリアミド多元共重合体のそれより
も小さいものであるが、かかるポリアミド多元共重合体
が、無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体
に対して高い反応性を示す特徴を有していることから、
本発明に係る樹脂組成物にあっては、それら3つの成分
がブレンドせしめられる際に、エチレン−酢酸ビニル共
重合体けん化物と無水マレイン酸変性エチレン−プロピ
レン共重合体とが、ポリアミドの多元共重合体に対し
て、それぞれ、良好に反応せしめられ得、以て全体とし
て、均一に混和され得るようになっている。また、ここ
で使用される無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン
共重合体においては、そのエチレン成分とプロピレン成
分の組成割合が特に限定されるものではないが、一般に
は、重量基準で、エンチレン/プロピレン=73〜78
/22〜27%となる組成割合(共重合割合)を有する
ものが、用いられることとなる。
【0027】そして、本発明に係る樹脂組成物にあって
は、そのような第1、第2及び第3の三つの成分が、重
量基準で、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物
(A)/ポリアミド多元共重合体(B)/無水マレイン
酸変性エチレン−プロピレン共重合体(C)=60〜8
5%/5〜30%/10〜35%(但し、A+B+C=
100%)となるように配合されて、構成されている。
けだし、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(A)
の配合量が60%未満であると、即ちポリアミド多元共
重合体(B)が30%を越えて配合せしめられると、ま
たは無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体
(C)が35%を越えて配合せしめられると、エチレン
−酢酸ビニル共重合体けん化物の量が少な過ぎて、該け
ん化物の特性が十分に発揮され得ず、ガスバリア性や透
明性が低下してしまうからであり、またエチレン−酢酸
ビニル共重合体けん化物(A)が85%を越えて多量に
配合せしめられると、換言すれば、ポリアミド多元共重
合体(B)の配合量が5%未満となると、または無水マ
レイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体(C)の配
合量が10%未満となると、ポリアミド多元共重合体や
無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体が少
な過ぎて、それらの成分の添加効果、即ち常態や低温下
における耐屈曲疲労性の向上が望めなくなるからであ
る。
【0028】なお、前述の如く、本発明に従う樹脂組成
物にあっては、第2成分たるポリアミド多元共重合体と
して、ポリアミド6及びポリアミド66を、所定の含有
割合で含む少なくとも3成分以上のポリアミド成分から
なるものが用いられるのであるが、その中でも、融点が
150℃以下である低結晶性ナイロンの中より選択さ
れ、且つ熱変形温度(4.64kg/cm2 )が50℃
以下、ロックウェル硬さ(Rスケール)が80以下であ
るものが、特に有利に用いられる。そのようなポリアミ
ド多元共重合体を使用することによって、エチレン−酢
酸ビニル共重合体けん化物との適度な反応性がより有利
に確保され得て、溶融物中でのゲル化物の発生が更に有
効に防止され得、その結果、樹脂組成物の成形加工性や
成形物の表面物性が損なわれるようなことが、更に一層
効果的に防止され得るのであり、また、より優れた耐屈
曲疲労性が得られることとなるのである。
【0029】また、ここにおいて、かかるポリアミド多
元共重合体にあっては、各ポリアミド成分の組成割合に
応じて、その比重が決定される。即ち、一般的には、ポ
リアミド6とポリアミド66とが合計で50〜80重量
%の割合にて含まれる場合において、その比重が1.1
1〜1.13となるのである。従って、本発明に係る樹
脂組成物にあっては、有利には、1.11〜1.13の
比重を有するポリアミド多元共重合体が含有せしめられ
ることとなるのであり、またそれによっても、成形加工
性や成形物の表面物性を何等低下せしめることなく、優
れた耐屈曲疲労性が得られることとなるのである。
【0030】さらに、本発明に従う樹脂組成物にあって
は、有利には、第3成分たる無水マレイン酸変性エチレ
ン−プロピレン共重合体として、無水マレイン酸付加量
が、重量基準で、0.2〜2.0%であるものが用いら
れる。けだし、無水マレイン酸付加量が、0.2%を下
回るものにおいては、ポリアミド多元共重合体との反応
成分たる無水マレイン酸が少な過ぎて、エチレン−酢酸
ビニル共重合体けん化物と均一に混和され得なくなり、
その結果、樹脂組成物の低温下における耐屈曲疲労性の
向上が望めなくなってしまうからであり、またその付加
量が2.0%を越えるものにあっては、今度は逆に無水
マレイン酸が過剰となり、樹脂組成物の溶融成形時にお
いて、ポリアミド多元共重合体と過度に反応して、溶融
物中にゲル化物が発生せしめられ、それによって、該樹
脂組成物の成形加工性が著しく低下せしめられることと
なるからである。
【0031】従って、本発明に係る樹脂組成物におい
て、第3成分として含まれる無水マレイン酸変性エチレ
ン−プロピレン共重合体の無水マレイン酸付加量が、上
述の如き特定の範囲内とされることによって、エチレン
−酢酸ビニル共重合体けん化物とポリアミド多元共重合
体とのブレンド中において均一に微分散して、かかる樹
脂組成物の低温下における耐屈曲疲労性が、より一層有
利に改善され得ることとなるのである。
【0032】また、そのような本発明に従う樹脂組成物
中に含まれる無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン
共重合体が、適度な流動性、具体的には、メルトフロー
レート(JIS K 7210,230℃,2.162
kg)が、0.1〜5.0g/10minの範囲内の値
を有するものであることが、より望ましい。
【0033】ところで、かくの如き本発明に従う樹脂組
成物は、従来と同様な手法により得られることとなる。
即ち、例えば、先ず、前記した如き構成とされたエチレ
ン−酢酸ビニル共重合体けん化物とポリアミド多元共重
合体と無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合
体とを、それぞれ、上述の如き配合割合となる量にて配
合し、常法に従ってドライブレンドを行なって、混合物
を得る。その後、その得られた混合物を単軸押出成形機
や二軸押出成形機に投入して、溶融ブレンドを行なうと
共に、押出成形を実施して、ペレット形状等、所定の形
状に成形せしめられた樹脂組成物を得るのである。な
お、かかる押出成形機による溶融ブレンドにおいては、
160〜250℃程度の温度にて、ブレンド成形が行な
われることが望ましい。何故なら、その温度が160℃
未満である場合には、エチレン−酢酸ビニル共重合体け
ん化物が溶融しないといった問題があるからであり、ま
たその温度が250℃を越える場合には、かかるけん化
物が分解してしまうといった不具合があるからである。
【0034】また、かくしてブレンド成形された樹脂組
成物は、再度押出機等に投入され、フィルムやシート、
或いは所定の容器等に溶融成形されて、所望の形状を有
する成形品が、得られることとなる。
【0035】そして、そのようにして得られた成形品に
あっては、その原料たる樹脂組成物の有する特性によっ
て、高度なガスバリア性と成形性とが具備せしめられ、
更には優れた耐屈曲疲労性をも兼備せしめられ得るので
あり、特に低温下における耐屈曲疲労性が、従来のもの
に比して、飛躍的に向上せしめられ得、以て低温下にお
いて脆化破壊等が惹起せしめられるようなことが、効果
的に回避乃至は抑制され得るのであり、更にはそのよう
な優れた特性が成形品間においてバラツキが生じるよう
なことが、極めて有利に解消乃至抑制され得るのであ
る。
【0036】従って、本発明に従うダイヤフラム、即ち
上述の如き樹脂組成物にて構成された樹脂層を含んでな
るダイヤフラムにあっては、高度なガスバリア性が確保
されつつ、低温下において、従来のものよりも長期にわ
たって有利に使用され得るのであり、しかも安定した品
質性能が良好に発揮され得るのである。
【0037】また、このような本発明に係るダイヤフラ
ムにおいて、前述の如き樹脂組成物に構成された樹脂層
を中間層として、その両側に5000kg/cm2 以下の曲
げ弾性率を有する柔軟層を一体的に積層形成すれば、か
かる柔軟層の存在によって、全体の柔軟性が増し、耐屈
曲疲労性がより効果的に向上せしめられ得ることとな
る。しかも、そのような特性を発揮せしめる柔軟層を、
樹脂層を構成する樹脂組成物中に含まれるエチレン−酢
酸ビニル共重合体けん化物に対する相溶性が高く、また
融点が近似するポリアミド樹脂を主成分として構成する
ことによって、接着層を何等介在せしめることなく、共
押出しによる熱融着によって、それら樹脂層と柔軟層と
を一体的に積層することが可能となり、以て接着層の使
用によって、柔軟性、ひいては耐屈曲疲労性が低下する
ようなことが、効果的に回避され得るのである。
【0038】なお、そのような特定の値以下の曲げ弾性
率を有する、ポリアミド樹脂を主成分とする柔軟層は、
例えば、無水マレイン酸が3重量%程度含有せしめられ
た変性エチレンプロピレンゴムが、ポリアミド6に対し
て、15〜35重量%程度配合せしめられた配合物等に
て構成される。また、勿論、かかる柔軟層を与える材料
は、何等これに限定されるものではなく、例えば、主成
分たるポリアミド樹脂として、ポリアミド66、ポリア
ミド610、ポリアミド612等が、単独で若しくは2
種以上が組み合わされて、ポリアミド6に代わって、或
いはそれに加えて用いられ得るのであり、更にそれらに
各種の混合物が配合せしめられる等して、特定の曲げ弾
性率を有する柔軟層が構成され得るのである。
【0039】次に、本発明に従う構造とされたアキュム
レータを、図1に概略的に示された車両用のアキュムレ
ータを例にとって、具体的に説明することとする。かか
る図からも明らかなように、アキュムレータ10は、略
球形状を呈する本体12を有している。また、この本体
12は、上部分割体14と下部分割体16とから成り、
それらが互いの開口部において突き合わされ、溶接等に
より一体的に接合されて、構成されている。
【0040】そして、この本体12を構成する上部分割
体14の壁部には、ガスプラグ18が取り付けられてお
り、更に下部分割体16の壁部には、オイルプラグ20
が取り付けられている。それによって、本体12が、そ
れらガスプラグ18とオイルプラグ20を通じて、その
上部側と下部側とにおいて、それぞれ、外部に連通せし
められている。
【0041】一方、本体12の内部には、可撓性膜22
が、下部分割体16の内周面の略全面を覆うようにし
て、配されており、その周縁部において、下部分割体1
6の開口部内周面と、該内周面にかしめ固定された円環
状の取付金具24との間で挟持されて、取り付けられて
いる。そして、この可撓性膜22によって、本体12の
内部が、流体密に、二つの空間に仕切られて、該可撓性
膜22と上部分割体14の壁部との間にガス室26が形
成されている一方、該可撓性膜22と下部分割体16の
壁部との間にオイル室28が形成されている。
【0042】かくして、アキュムレータ10にあって
は、本体12の内部に設けられたガス室26内には、前
記ガスプラグ18を通じて窒素ガス等が、またオイル室
28内には、前記オイルプラグ20を通じて所定のオイ
ルが、それぞれ、供給され得るようになっていると共
に、それらの内圧変動等に応じて、排出され得るように
なっているのである。
【0043】そして、図2に示される如く、このような
構造とされたアキュムレータ10にあっては、特に、か
かる可撓性膜22が、中間層30と、その両側に積層形
成された柔軟層32,32、更には各柔軟層32の外側
に、接着剤層34,34を介して積層形成されたゴム層
36,36の7層から成る、一体的な積層構造をもって
構成されている。
【0044】より詳細には、この可撓性膜22において
は、接着剤層34,34とゴム層36,36とが、従来
と同様な材料にて構成されているものの、中間層30
は、前述した本発明に従う樹脂組成物、即ちエチレン成
分を所定の範囲にて含有し、且つ酢酸ビニル成分のけん
化度が特定の範囲とされたエチレン−酢酸ビニル共重合
体けん化物と、ポリアミド6とポリアミド66とを所定
の範囲にて含むポリアミド多元共重合体と、無水マレイ
ン酸変性エチレン−プロピレン共重合体とが、特定の割
合となるように配合された樹脂組成物にて構成された樹
脂層から成っており、また柔軟層32,32は、ポリア
ミド樹脂を主成分とする、5000kg/cm 2 以下の曲げ
弾性率を有する材料にて構成されている。要するに、ア
キュムレータ10においては、可撓性膜22が、前述し
た如き本発明に従う構造とされたダイヤフラムを用い
て、構成されているのである。
【0045】従って、かくの如き本具体例に係るアキュ
ムレータ10にあっては、可撓性膜22が、高度なガス
バリア性と、特に低温下における優れた耐屈曲疲労性と
を兼備し、低温環境下において、良好に且つより長期的
に使用され得るといった優れた特徴を有しているのであ
り、それによって、低温環境下における耐久性が、従来
のものに比して、飛躍的に向上され得ることとなるので
ある。
【0046】なお、前記したアキュムレータ10におい
ては、本体12が略球形状を呈して構成されていたが、
そのようなアキュムレータ本体の形状は、何等これに限
定されるものではなく、例えば、筒形形状や筐形形状で
あっても良い。
【0047】また、かかるアキュムレータにおける可撓
性膜の構成も、前記具体例における如きものに決して限
定されるものではなく、前述した特徴的なダイヤフラム
を用いて構成されるものであれば、如何なる構造のもの
も採用され得るのであって、例えば、中間層30と柔軟
層32,32の3層のみから成る一体的な積層構造とし
ても良いのである。
【0048】さらに、本具体例では、車両用のアキュム
レータに対して、本発明を適用したものの一例を示した
が、本発明は、その他、各種の油圧回路に用いられるア
キュムレータに対しても有利に適用され得ることは、勿
論である。
【0049】
【実施例】以下に、本発明の幾つかの実施例を示し、本
発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明
が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも
受けるものでないことは、言うまでもないところであ
る。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には
上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない
限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更、
修正、改良等を加え得るものであることが、理解される
べきである。
【0050】先ず、エチレン成分が32モル%の割合で
含有され、且つ酢酸ビニル成分のけん化度が98モル%
以上であるエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物〔E
P−F101:(株)クラレ製〕(下記表1、表2及び
表3中、A成分として示す)と、ポリアミド6とポリア
ミド66が、合計で72重量%の割合にて含まれるポリ
アミド多元共重合体〔CM8000:(株)東レ製〕
(同表1、表2及び表3中、B成分として示す)とを、
それぞれ所定量準備した。また、無水マレイン酸変性エ
チレン−プロピレン共重合体として、エチレン:78重
量%、プロピレン:22重量%の組成割合を有し、無水
マレイン酸付加量が0.8重量%で、メルトフローレー
ト(JIS K 7210,230℃,2.162k
g)が2.5g/10minであるもの(同表1、表2
及び表3中、C−1成分として示す)と、それと組成割
合が同じであるものの、無水マレイン酸付加量が0.3
重量%で、メルトフローレート(JIS K 721
0,230℃,2.162kg)が4.0g/10mi
nであるもの(同表1中、C−2成分として示す)と、
それらと組成割合は同じであるものの、無水マレイン酸
付加量が0.3重量%で、メルトフローレート(JIS
K 7210,230℃,2.162kg)が0.4
g/10minであるもの(同表1中、C−3成分とし
て示す)との、3種類のものを、それぞれ所定量準備し
た。
【0051】次いで、それら3種類の無水マレイン酸変
性エチレン−プロピレン共重合体のうちの何れか一つ
と、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物、及びポリ
アミド多元共重合体とを、下記表1に示す割合となるよ
うに秤量して配合し、それらを常法に従ってドライブレ
ンドして、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物とポ
リアミド多元共重合体と無水マレイン酸変性エチレン−
プロピレン共重合体の配合割合が各々異なる6種類の混
合物を得た。引き続き、それら6種類の混合物を、それ
ぞれ所定の押出成形機に投入して、溶融ブレンドを行な
うと共に、押出成形を実施して、ペレット状に成形し
た。かくして、前記した三つの成分の配合割合、若しく
はそれら三つの成分のうち、無水マレイン酸変性エチレ
ン−プロピレン共重合体の種類が、それぞれ異なる6種
類の樹脂組成物を得た。そして、それら6種類の樹脂組
成物を、それぞれ、組成物1〜6とした。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】また、比較のために、エチレン:78重量
%、プロピレン:22重量%の組成割合を有するエチレ
ン−プロピレン共重合体〔EP912P:日本合成ゴム
(株)製〕(表3中、EPRとして示す)を所定量準備
して、かかるエチレン−プロピレン共重合体と、先に準
備した、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物と、ポ
リアミド多元共重合体と、エチレン:78重量%、プロ
ピレン:22重量%の組成割合を有し、無水マレイン酸
付加量が0.8重量%で、メルトフローレート(JIS
K 7210,230℃,2.162kg)が2.5
g/10minである無水マレイン酸変性エチレン−プ
ロピレン共重合体とから、幾つかを選択して、その選択
されたものを下記表3に示す如き割合となるように秤量
して配合して、3種類の配合物を得、それらを樹脂組成
物1〜6と同様にして、ペレット状に成形し、本発明に
規定されるものとは異なる配合組成を有する3種類の樹
脂組成物を得た。そして、それら3種類の樹脂組成物
を、各々組成物7〜9とした。
【0055】
【表3】
【0056】次いで、それら9種類の樹脂組成物を、別
個に押出成形機に投入して、再度、押出成形を行ない、
それぞれ、フィルム状に成形した。かくして、配合成分
やその組成割合が各々異なる樹脂組成物にて構成された
9種類のフィルム状の成形物を得た。この9種類の成形
物において、組成物1〜9から得られたものを、それぞ
れ、成形物1〜9とした。そして、それら成形物1〜9
における常態物性と、−30℃での低温物性と、曲げ弾
性率とを、それぞれ、調べた。その結果を下記表4乃至
表6に示した。
【0057】なお、常態物性と低温物性は、降伏点強度
と破断点強度と破断点伸びとを、常法に従って測定し、
それらの値をもって、評価した。また、曲げ弾性率は、
JIS K 7171に準拠して測定し、その値をもっ
て、評価した。なお、下記表4乃至表6中、MD方向及
びTD方向とは、各フィルムにおける方向を示すもので
あって、MD方向とは、各フィルムの押出成形時におけ
る押出方向に平行な方向(即ち溶融時の流動方向)を、
またTD方向とは、それに直角な方向を、それぞれ表す
ものである。
【0058】
【表4】
【0059】
【表5】
【0060】
【表6】
【0061】それら表4乃至表6の結果から明らかなよ
うに、本発明に従う構成とされた樹脂組成物よりなるフ
ィルム状の成形物1〜6と、本発明に規定されるものと
は異なる配合組成を有する樹脂組成物からなる成形物7
〜9とを比較すると、成形物7〜9の常態における破断
点伸びが、MD方向とTD方向とにおいて、100%程
度の大きさな差があるのに対して、成形物1〜6におい
ては、それらの差が極めて小さくなっている。これは、
本発明とは異なる構成とされた樹脂組成物が異方性(配
向性)を有しているのに対して、本発明に係る樹脂組成
物が、そのような異方性が何等有していないことを、如
実に示しているのである。
【0062】また、成形物1〜6にあっては、−30℃
の低温下における物性において、特に破断点伸びが、成
形物7〜9よりも明らかに高い値となっており、しか
も、それら成形物1〜6の中でも、無水マレイン酸変性
エチレン−プロピレン共重合体が比較的多く含まれ、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体けん化物の含有量が比較的
少ない成形物5及び成形物6が、その他の成形物1〜4
に比して、常態での破断点伸びの値において殆ど差がな
く、低温下での破断点伸びにおいては、むしろその値が
大きくなっており、また曲げ弾性率の値が小さくなって
いる。これらのことから、本発明に従う樹脂組成物が、
低温下における耐屈曲疲労性において、優れた特性を有
するものであり、更には組成割合の変化、具体的には、
無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体の増
加によっても、そのような耐屈曲疲労性が、何等低下せ
しめられるものではないことが、極めて明確に認識され
得るのである。
【0063】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、本発明
に従う樹脂組成物にあっては、エチレン成分が所定の割
合となる範囲内において含有され、且つ酢酸ビニル成分
のけん化度が特定の値以上とされたエチレン−酢酸ビニ
ル共重合体けん化物と、ポリアミド6及びポリアミド6
6を含む少なくとも3成分以上のポリアミド成分から成
り、且つそれらポリアミド6とポリアミド66の合計含
有量が所定の割合の範囲内で含まれるポリアミド多元共
重合体と、無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共
重合体とが、特定の配合割合にて配合されて構成されて
いることによって、優れた成形加工性と高度なガスバリ
ア性とが確保されつつ、耐屈曲疲労性、特に低温下にお
けるそれが効果的に向上され得、しかも組成割合の変化
によって、そのような特性にバラツキが生ずるようなこ
とが極めて有利に解消乃至は抑制され得るのである。
【0064】また、本発明に係るダイヤフラムにおいて
は、そのような優れた特徴を有する樹脂組成物を含んで
構成されているところから、低温下において、脆化破壊
等が惹起されるようなことが有効に回避乃至は抑制され
得て、その使用寿命が、従来のものよりも、効果的に延
命化され得るのである。
【0065】さらに、本発明に従うアキュムレータにあ
っては、可撓性膜が、上述の如く、従来には見られない
優れた特性を有するダイヤフラムが用いられて構成され
ているところから、高度なガスバリア性が確保された状
態で、低温環境下における耐久性が飛躍的に向上され得
るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う構造を有するアキュムレータの一
具体例を示す半截断面説明図である。
【図2】図1に示されたアキュムレータにおいて、その
本体の内部に取り付けられる可撓性膜の要部を拡大して
示す部分断面説明図である。
【符号の説明】
10 アキュムレータ 12 本体 14 上部分割体 16 下部分
割体 18 ガスプラグ 20 オイル
プラグ 22 可撓性膜 24 取付金
具 26 ガス室 28 オイル
室 30 中間層 32 柔軟層 34 接着剤層 36 ゴム層

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン含有量が25〜50モル%であ
    り、且つ酢酸ビニル成分のけん化度が95モル%以上で
    あるエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(A)と、 ポリアミド6及びポリアミド66を含む少なくとも3成
    分以上のポリアミド成分からなる共重合体であって、そ
    れらポリアミド成分のうち、ポリアミド6とポリアミド
    66の2成分が、合計で50〜80重量%の割合にて含
    まれたポリアミド多元共重合体(B)と、 無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体
    (C)とを、重量基準で、A/B/C=60〜85%/
    5〜30%/10〜35%となるように配合してなるこ
    とを特徴とする樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記ポリアミド多元共重合体が、融点が
    150℃以下である低結晶性ナイロンの中より選択さ
    れ、且つ熱変形温度(4.64kg/cm2 )が50℃
    以下、ロックウェル硬さ(Rスケール)が80以下であ
    る請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記無水マレイン酸変性エチレン−プロ
    ピレン共重合体が、重量基準で、0.2〜2.0%の無
    水マレイン酸付加量を有し、且つメルトフローレート
    (JIS K 7210,230℃,2.162kg)
    が0.1〜5.0g/10minである請求項1または
    請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3の何れかに記載の樹脂組
    成物にて構成された樹脂層を含んでなることを特徴とす
    るダイヤフラム。
  5. 【請求項5】 前記樹脂層を中間層として、その両側
    に、ポリアミド樹脂を主成分とする、5000kg/cm2
    以下の曲げ弾性率を有する柔軟層が、一体的に積層形成
    されている請求項4に記載のダイヤフラム。
  6. 【請求項6】 アキュムレータ本体の内部を、流体密
    に、二つの空間に仕切る可撓性膜を備えたアキュムレー
    タにして、該可撓性膜が、請求項4または請求項5に記
    載のダイヤフラムを用いて構成されていることを特徴と
    するアキュムレータ。
  7. 【請求項7】 前記ダイヤフラムの表面に、所定厚さの
    ゴム層が、接着剤層を介して積層形成されて、前記可撓
    性膜が構成されている請求項6に記載のアキュムレー
    タ。
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