JPH09111021A - 樹脂製器具 - Google Patents

樹脂製器具

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JPH09111021A
JPH09111021A JP7267112A JP26711295A JPH09111021A JP H09111021 A JPH09111021 A JP H09111021A JP 7267112 A JP7267112 A JP 7267112A JP 26711295 A JP26711295 A JP 26711295A JP H09111021 A JPH09111021 A JP H09111021A
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film
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂が本来有する柔軟性を損なうことなく、
特定方向の剛性を向上させた樹脂製器具を提供するこ
と。 【解決手段】 バルーンカテーテル1は、バルーン3、
外側チューブ5、内側チューブ7等からなるいわゆるダ
ブルルーメンタイプのもので、内側チューブ7の表面
(図示斜線部)に、イオン蒸着膜19が形成されてい
る。イオン蒸着膜19は、内側チューブ7の曲げに伴っ
て亀裂が入りやすく、イオン蒸着膜19が内側チューブ
7の湾曲を妨げることはない。また、イオン蒸着膜19
は、亀裂は入りやすいものの、亀裂により分割されたブ
ロックは、内側チューブ7の表面において、内側チュー
ブ7の軸方向へ密に詰まった状態で配置されているた
め、イオン蒸着膜19によって内側チューブ7の圧縮に
対する抵抗力は向上し、軸方向への力を有効に伝達でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イオン蒸着膜によ
り表面性状が改質された樹脂製器具に関し、例えば体腔
内に導入して使用される医療用の樹脂製器具に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、様々な分野で樹脂製器具が使
用されているが、器具の用途によっては、十分な柔軟性
が要求されるのと同時に、特定の方向への剛性が要求さ
れる場合がある。
【0003】具体例を挙げれば、例えば、医療用器具と
して周知のバルーンカテーテルにおいては、カテーテル
シャフトは、手元側での操作によって先端側のバルーン
を血管内で押し進めねばならないため、手元側で加えら
れた力を先端側まで伝達できる特性(以下、プッシャビ
リティという)に優れているものが望ましく、それには
軸方向の力に対する剛性が要求される。一方、血管には
大小の曲がりくねった箇所があるため、曲がったところ
をスムーズに通過できる特性(以下、フレキシビリティ
という)に優れているものが望ましく、それには十分な
柔軟性が要求される。
【0004】また、バルーンは、パンピング時のレスポ
ンスが良好なものほど望ましく、それには十分な柔軟性
が要求される。一方、血管内を前進する際に、血管内部
に形成された石灰化部に接触しても損傷しない程度の強
度が要求される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技
術によれば、以下に述べるような問題があった。第1
に、上記プッシャビリティとフレキシビリティとは、互
いに相反する面があり、両者を共に向上させることは困
難で、要求される性能に応じて折衷的な対応をとらざる
を得なかった。
【0006】より詳しく説明すると、プッシャビリティ
は軸方向に力を伝達する性能であるため、これを改善す
るには、少なくとも軸方向への圧縮に対する剛性を高く
せねばならない。一方、フレキシビリティは屈曲箇所を
スムーズに通過する性能であるため、これを改善するに
は、曲げに対する剛性を低くしなくてはならない。しか
し、従来のバルーンカテーテルは、カテーテルシャフト
が均質な材料からなるチューブ材で構成されていたた
め、プッシャビリティとフレキシビリティとを同時に改
善する様な剛性にすることはできず、プッシャビリティ
又はフレキシビリティのどちらかを優先して改善する
か、双方を程々に改善するより仕方がなかった。
【0007】また、第2に、バルーンのパンピング時の
レスポンスの改善と、バルーンの十分な強度の確保と
を、同時に達成することも容易ではなかった。より詳し
く説明すると、バルーンのパンピング時のレスポンスを
改善するには、バルーンをより薄くすることが望まし
い。しかし、バルーンを薄くし過ぎると強度が低下し
て、血管内で石灰化部に接触した様な場合に損傷しやす
くなるため、ある程度以上にバルーンを薄くすることは
できず、それ以上はレスポンスの改善を行うことは困難
であった。
【0008】更に、こうした諸問題は、バルーンカテー
テルに限らず、体腔内に導入して使用される医療用器具
全般に通じる問題でもある。ここでいう体腔内に導入し
て使用される医療用器具とは、樹脂材料を長尺状に形成
してなる柔軟に湾曲可能な器具に限られるが、具体例を
挙げれば、上記バルーンカテーテルの他に、心臓血管カ
テーテル、PTCAカテーテル、ドレンチューブ、IV
Hチューブ(IVH:intravenous hyperalimention) 、内視
鏡用チューブ等を挙げることができる。これらの医療用
器具においても、一般に、プッシャビリティ及びフレキ
シビリティの双方が共に優れている方が望ましく、ま
た、柔軟で且つ強度が高い方が望ましいが、上記の通
り、こうした相反する性質を付与することは容易ではな
かった。
【0009】加えて、医療用器具に限らずとも、樹脂材
料を長尺状又はフィルム状に形成してなる柔軟な樹脂製
器具は、例えば座屈しやすいとか表面が傷つきやすいと
いった問題があっても、柔軟性を維持するには硬度を高
くすることができず、上記同様、相反する性質を付与す
ることは容易ではなかった。
【0010】そこで、本発明は、樹脂が本来有する柔軟
性を損なうことなく、特定方向の剛性を向上させた樹脂
製器具を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、請求項1記載の樹脂製器具は、長尺状又はフィルム
状の柔軟な樹脂製の基材の表面に、該基材よりも硬質な
イオン蒸着膜を形成することにより、曲げには柔軟に変
形する一方、表面に平行な方向には剛性を増したことを
特徴とする。
【0012】次に、請求項2記載の樹脂製器具は、少な
くとも人体血液あるいは体腔組織に接触する部分に、前
記イオン蒸着膜が形成された医療用器具であることを特
徴とする。
【0013】次に、請求項3記載の樹脂製器具は、樹脂
材料を長尺チューブ状に形成してなる柔軟に湾曲可能な
カテーテルシャフトと、樹脂材料を袋状に形成してな
り、前記カテーテルシャフトの先端に設けられた柔軟に
拡張/収縮可能なバルーンとを備えたバルーンカテーテ
ルであって、前記カテーテルシャフト及び/又は前記バ
ルーンの表面の少なくとも一部に、前記イオン蒸着膜が
形成されていることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】上記請求項1記載の樹脂製器具に
よれば、長尺状又はフィルム状の柔軟な樹脂製の基材の
表面に、基材よりも硬質なイオン蒸着膜を形成してある
ため、表面に平行な方向には剛性が増し、樹脂製器具が
圧縮を受けた様な場合であっても、座屈等が発生しにく
くなる。その一方、この膜を曲げる様な方向へ変形させ
ると、膜には簡単に亀裂が生じるため、樹脂本来の曲げ
やすさは損なわれない。
【0015】上記イオン蒸着膜とは、イオン蒸着法によ
り形成される薄膜のことである。このイオン蒸着法と
は、イオン蒸着薄膜形成装置(例えば日新電機株式会社
製等)を使って、金属等を蒸発させて蒸着させると共
に、加速したイオンを照射して薄膜を形成する技術で、
イオン蒸着法によれば、蒸着物質の種類及び量、イオン
の種類、量、及び照射速度等を調整することにより、基
材に対して比較的強く結合した薄膜を形成することがで
きる。
【0016】イオン蒸着膜の厚さについては、同程度の
柔軟性を残す場合でも、蒸着物質の種類によって異な
り、特に、器具の使用目的等のより、そもそも要求され
る柔軟性が異なるため、一概には特定できないが、目安
として1000オングストローム〜10μm程度とすれ
ばよく、イオン蒸着膜を厚くするほど剛性は高くなる傾
向があるので、それを考慮して目的に合わせて適宜厚さ
を調整すればよい。
【0017】イオン蒸着膜形成物質としては、金属系で
は、Au,Ag,Ni,Al,Mo,Pt,Ta,T
i,W、および、その他各種合金類を使うことができ
る。また、セラミックス系では、Al2 3 ,BN,S
2 3 ,TiN,バイオガラス等を使うことができ
る。
【0018】なお、必要箇所にのみイオン蒸着膜を形成
するには、イオン蒸着膜の形成が不要な箇所に予めマス
キングを施しておき、その上で、金属の蒸着等を行えば
よい。ちなみに、イオン蒸着膜を基材よりも硬度の高い
物質で形成した場合には、器具の表面に傷がつきにくく
なるという利点もある。また、イオン蒸着膜を基材より
も摩擦係数の小さい物質で形成した場合には、器具の表
面の滑りが良くなる。また、放射線不透過物質で形成し
た場合には、器具の位置をX線等によって透視すること
ができる。この場合、器具全体にイオン蒸着膜を形成す
れば、その全体をX線等により造影することができる
が、特定部分にイオン蒸着膜を形成し、特定部分の存在
位置や向きの確認等に応用することもできる。また、イ
オン蒸着膜を耐捻れ性の高い物質で形成すれば、長尺材
の手元側から遠位端部へ良好にトルクが伝達される。ま
た、銀等の抗菌性のある物質で形成すれば、抗菌性を付
与することができる。また、イオン蒸着膜を抗血栓性の
ある物質で形成すれば、血管内に導入した時に血栓が生
じにくくなる。これらは、イオン蒸着膜を形成する物質
を適宜選択することにより、いずれか一つの点について
改善することも、複数の点を同時に改善することも可能
である。
【0019】次に、上記請求項2記載の樹脂製器具は、
少なくとも人体血液あるいは体腔組織に接触する部分
に、前記イオン蒸着膜が形成された医療用器具であっ
て、具体例を挙げれば、バルーンカテーテル、心臓血管
カテーテル、PTCAカテーテル、ドレンチューブ、I
VHチューブ、内視鏡用チューブ等を挙げることができ
る。
【0020】この様な医療用器具によれば、体腔内に導
入する際には、軸方向への圧縮に対する抵抗力が強く、
座屈等が起きにくいため、体腔内を容易に前進させるこ
とができる。また、血管内の石灰化部等を通過させる際
には、基材表面が硬質になっているため、基材に対する
食い込み現象が発生せず、よりスムーズに石灰化部等を
通過させることができる。この様なイオン蒸着膜は、厚
さを適宜調整することにより、イオン蒸着膜に亀裂が入
りやすい状態にしておくことができ、基材の伸縮に伴っ
てイオン蒸着膜に適当に亀裂が入れば、長尺部分を自由
に湾曲させることができる。しかも、亀裂は所望の曲率
で曲げるのに最低限必要な箇所にのみ発生しているの
で、それ以外の部分では、イオン蒸着膜の連続性が損な
われておらず、イオン蒸着膜に亀裂が生じた後も、軸方
向への力を有効に伝達できる。
【0021】次に、上記請求項3記載の樹脂製器具は、
カテーテルシャフト及びバルーンを備えたバルーンカテ
ーテルである。まず、カテーテルシャフトの表面にイオ
ン蒸着膜が形成されている場合、本バルーンカテーテル
を血管内で押し進める際には、カテーテルシャフト及び
イオン蒸着膜は圧縮荷重を受けるが、イオン蒸着膜によ
ってカテーテルシャフトの圧縮に対する抵抗力は向上し
ているので、軸方向への力を有効に伝達できる。また、
このイオン蒸着膜は、厚さを適宜調整することにより、
亀裂が入りやすい状態にできるので、カテーテルシャフ
トの湾曲が妨げられることはない。したがって、プッシ
ャビリティ及びフレキシビリティの双方が共に改善され
る。
【0022】更に、カテーテルシャフトの表面が硬質に
なっているため、血管内の石灰化部等を通過させる際に
は、カテーテルシャフトに対する食い込み現象が発生せ
ず、よりスムーズに石灰化部等を通過させることができ
る。また更に、イオン蒸着膜を設けない場合に比べ、手
元側から遠位端部へ良好にトルクが伝達されるので、よ
り屈曲した血管内を容易に誘導することができる。
【0023】なお、イオン蒸着膜に亀裂が入りやすい状
態となっているが、この亀裂はカテーテルシャフトを所
望の曲率で曲げるのに最低限必要な箇所にのみ発生する
ので、それ以外の部分では、イオン蒸着膜の連続性が損
なわれておらず、イオン蒸着膜を設けない場合に比べる
と、イオン蒸着膜に亀裂が生じた後であっても、軸方向
への力を有効に伝達でき、耐捻れ性等も良好である。
【0024】一方、バルーンの表面にイオン蒸着膜が形
成されている場合には、バルーンの表面が硬質になって
いるため、血管内の石灰化部等を通過させる際に、バル
ーンに傷がついたり、破損したりする恐れがなく、より
スムーズに石灰化部等を通過させることができる。ま
た、上記の通り、イオン蒸着膜の厚さを適宜調整すれ
ば、イオン蒸着膜に亀裂が入りやすい状態にできるの
で、イオン蒸着膜がバルーンの拡張・収縮を妨げること
はない。特に、イオン蒸着膜によって損傷が防止される
ので、ベースとなるフィルム自体は薄くすることがで
き、パンピング時のレスポンスは良好になる。
【0025】ところで、カテーテルシャフトにイオン蒸
着膜を形成する場合、カテーテルシャフトが、同軸に配
置された内側チューブ及び外側チューブからなる、いわ
ゆるダブルルーメンタイプのものであれば、イオン蒸着
膜は、外側チューブ又は内側チューブのいずれの表面に
形成されていてもよい。両者を比較すると、外側チュー
ブにイオン蒸着膜を形成すれば、血管中で受ける損傷に
対する強度は高くすることができるものと期待される
が、内側チューブにイオン蒸着膜を形成すれば、イオン
蒸着膜自体が血流中に晒されることがなく、人体に対す
る影響が物理的に皆無となるので、イオン蒸着膜を形成
する物質を選択する際の自由度が高く、対圧縮性の高い
物質や低摩擦係数の物質を選ぶなど、機能本位で材料の
選択ができる。
【0026】また更に、ダブルルーメンタイプのバルー
ンカテーテルで、内側チューブの一部がバルーンの内部
を貫通している場合には、イオン蒸着膜が、内側チュー
ブの表面で、特に、バルーンの内部、及びその前後10
mm以内の範囲についてのみ形成されているとよい。ダ
ブルルーメンタイプのバルーンカテーテルの場合、バル
ーンよりも手元側では、カテーテルシャフトが二重管と
なっているが、バルーンの内部では、内側チューブだけ
となるため、例えば血管内を押し進める際に、二重管と
なっている箇所よりも座屈し易い傾向がある。その点、
この様な箇所にイオン蒸着膜が形成してあれば、バルー
ン部分における内側チューブの座屈等を防止できる。
【0027】更に、イオン蒸着膜をバルーンの表面に形
成するに当たっては、イオン蒸着膜が、バルーンの表面
の内、バルーンが折り畳まれた際に折り目として外部に
突出する箇所に形成されていると、イオン蒸着膜によっ
て最も損傷しやすい部分が補強され、しかも、損傷を受
けにくい部分は、より柔軟に拡張・収縮できるので、更
にパンピング時のレスポンスが優れたものとなる。
【0028】以上、本発明の実施の形態について説明し
たが、本発明はこれに限定されず、本発明の要旨を逸脱
しない範囲内において種々なる変形が可能である。
【0029】
【実施例】次に、本発明の実施の形態をより一層明確に
するため、本発明を適用したバルーンカテーテルの実施
例について、図面に基づいて説明する。なお、以下に説
明する実施例は、本発明の実施の形態の一例に過ぎず、
本発明の実施の形態を、以下に例示する具体的な材料や
形状等に制限するものではない。
【0030】[第1実施例]第1実施例としてのバルー
ンカテーテル1は、図1に示す通り、柔軟なポリウレタ
ン製のフィルムからなる紡錘形の袋状体で、内部に給排
されるヘリウムガスによって拡張・収縮するバルーン3
と、バルーン3に連通させて設けられ、上記ヘリウムガ
スの給排路となる内腔を有する柔軟なポリウレタン製の
チューブからなる外側チューブ5と、バルーン3及び外
側チューブ5の内部に同軸的に配置され、図示しないガ
イドワイヤの挿通路となる内腔を有する内側チューブ7
と、バルーン3の先端側に設けられ、内側チューブ7に
連通する内腔を有し、血管壁を傷つけないように先端側
に丸みがつけられた先端チップ9と、外側チューブ5の
内腔に連通するガス供給用ポート11、および内側チュ
ーブ7の内腔に連通するガイドワイヤ用ポート13を有
するコネクタ15と、バルーン3の内部で内側チューブ
7に固着されたステンレス製の筒状部材であるマーカー
17とを備えている。なお、図1は、バルーンカテーテ
ル1の全体構造の概略を示す図であって、各部の寸法の
縦横比等は実際のものとは異なっている。
【0031】また、このバルーンカテーテル1の特徴的
な構成として、内側チューブ7の表面(図示斜線部)
に、イオン蒸着膜19が形成されている。このイオン蒸
着膜19は、イオン蒸着薄膜形成装置(日新電機株式会
社製)を使って、チタンを蒸着させると共に、アルゴン
イオンを加速して照射することにより形成したもので、
アルゴンイオンによりチタン原子が内側チューブ7の表
面にたたき込まれることにより、イオン蒸着膜19は内
側チューブ7に対して比較的強く結合している。この様
なイオン蒸着膜19は、内側チューブ7の曲げに伴って
亀裂が入りやすく、イオン蒸着膜19が内側チューブ7
の湾曲を妨げることはない。また、イオン蒸着膜19
は、亀裂は入りやすいものの、亀裂により分割されたブ
ロックは、内側チューブ7の表面において、内側チュー
ブ7の軸方向へ密に詰まった状態で配置されているた
め、イオン蒸着膜19によって内側チューブ7の圧縮に
対する抵抗力は向上し、軸方向への力を有効に伝達でき
る。したがって、プッシャビリティ及びフレキシビリテ
ィの双方が共に改善される。
【0032】また、外側チューブ5の内部にイオン蒸着
膜19があるので、イオン蒸着膜19自体が血流中に晒
されることがなく、イオン蒸着膜19による人体に対す
る影響が物理的に皆無となる。したがって、イオン蒸着
膜19を形成する物質の種類によらず、確実に従来のバ
ルーンカテーテルと同等の安全性が確保されるので、イ
オン蒸着膜19を形成する物質を選択する際の自由度が
高い。
【0033】ところで、イオン蒸着膜19を内側チュー
ブ7に設ける場合、特に、バルーン3の内部、及びその
前後10mm以内の範囲についてのみ、イオン蒸着膜1
9を形成してもよい。この様な部分にイオン蒸着膜19
が形成してあれば、比較的強度が不足しやすいバルーン
部分において、内側チューブ7の座屈等を防止できる。
【0034】次に、別の実施例について説明する。な
お、以下の実施例では、イオン蒸着膜の形成箇所以外
は、第1実施例と同様なので、同じ構成には同じ符号を
つけてその説明を省略する。 [第2実施例]第2実施例としてのバルーンカテーテル
21は、図2に示す通り、第1実施例のものとほぼ同様
に構成され、特徴的な構成として、外側チューブ5の表
面(図示斜線部)に、イオン蒸着膜23が形成されてい
る。このイオン蒸着膜23は、第1実施例と同様の方法
で、イオン蒸着薄膜形成装置(日新電機株式会社製)を
使って、シリコンを蒸着させると共に、酸素イオンを加
速して照射することにより形成したものである。なお、
酸素イオンは、シリコンをバルーン3の表面にたたき込
むと同時に、蒸着したシリコンと反応して酸化物を形成
し、シリコンはより化学的に安定な状態となる。
【0035】したがって、第1実施例の場合と同様に、
イオン蒸着膜23が外側チューブ5の湾曲を妨げず、し
かも、イオン蒸着膜23によって外側チューブ5の圧縮
に対する抵抗力は向上し、軸方向への力を有効に伝達で
きる。したがって、プッシャビリティ及びフレキシビリ
ティの双方が共に改善される。
【0036】また、特に、外側チューブ5の表面にイオ
ン蒸着膜23があるので、外側チューブ5自体の血管中
で受ける損傷に対する強度は高くなるものと期待され
る。また、シリコンの酸化物は、化学的に不活性で無害
な物質なので、人体に対する悪い影響もない。
【0037】[第3実施例]第3実施例としてのバルー
ンカテーテル31は、図3に示す通り、第1、第2実施
例のものとほぼ同様に構成され、特徴的な構成として、
バルーン3の表面(図示斜線部)に、イオン蒸着膜33
が形成されている。このイオン蒸着膜33は、第1、第
2実施例と同様の方法で、イオン蒸着薄膜形成装置(日
新電機株式会社製)を使って、銀を蒸着させると共に、
ネオンイオンを加速して照射することにより形成したも
のである。
【0038】この様なイオン蒸着膜33は、バルーン3
の拡張に伴って亀裂が入りやすく、イオン蒸着膜33が
バルーン3の拡張・収縮を妨げることはない。また、イ
オン蒸着膜33は、バルーン3自体を構成するフィルム
に比べて硬度が高く、ベースとなるフィルムを薄くして
も、イオン蒸着膜33によってバルーン3全体の硬度を
高くすることができる。したがって、ベースとなるフィ
ルムを薄くすることにより、パンピング時のレスポンス
は良好となり、イオン蒸着膜33が形成されていること
で、バルーン3の損傷を防止することができる。
【0039】[第4実施例]第4実施例としてのバルー
ンカテーテル41は、図4に示す通り、第1〜第3実施
例のものとほぼ同様に構成され、特徴的な構成として、
バルーン3の表面の内、バルーン3が折り畳まれた際に
折り目として外部に突出する箇所(図示斜線部)に、イ
オン蒸着膜43が形成されている。このイオン蒸着膜4
3も、第1〜第3実施例と同様の方法で、イオン蒸着薄
膜形成装置(日新電機株式会社製)を使って、チタンを
蒸着させると共に、アルゴンイオンを加速して照射する
ことにより形成したものである。
【0040】第3実施例でも説明した通り、イオン蒸着
膜43は、バルーン3の拡張・収縮を妨げることはな
い。また、イオン蒸着膜43は、バルーン3の最も損傷
しやすい部分を補強しているので、ベースとなるフィル
ムを薄くしても、バルーン3の損傷を防止することがで
きる。しかも、損傷を受けにくい部分については、イオ
ン蒸着膜43を設けてないので、バルーン3がより柔軟
に拡張・収縮でき、更にパンピング時のレスポンスが優
れたものとなる。
【0041】[その他の実施例]上記第1〜第4実施例
では、バルーンカテーテルについて説明したが、バルー
ンカテーテルと同様に、体腔内へ導入される長尺部分を
備えた医療用器具であれば、その長尺部分に上記の様な
イオン蒸着膜を形成することにより、種々の効果を得る
ことができる。
【0042】例えば、心臓血管カテーテルの場合、全体
にイオン蒸着膜を形成しておけば、プッシャビリティお
よびフレキシビリティが改善される他、血管内における
滑りが良好となり、また、X線による造影が可能とな
る。また、イオン蒸着膜により、カテーテルが捻れにく
くなるので、手元側の操作によるトルクを遠位端側に良
好に伝達できるようになる。
【0043】また、ドレンチューブの場合、全体あるい
は体内に入る部分に銀を含むイオン蒸着膜を形成してお
けば、抗菌性を付与することができ、しかも、必要な柔
軟性を確保しながら、チューブが折れ曲がりにくくなる
という利点もある。更に、IVH用チューブの場合、体
内に入る部分に抗菌性物質あるいは抗血栓性物質のイオ
ン蒸着膜を形成しておけば、チューブに抗菌性あるいは
抗血栓性を付与できる。
【0044】また更に、内視鏡用チューブの場合でも、
全体にイオン蒸着膜を形成しておけば、柔軟性を損なう
ことなく、プッシャビリティおよびフレキシビリティを
改善できる。加えて、イオン蒸着膜の一部だけをX線不
透過物質で形成すれば、その部分がX線透視した時に、
各位置を示すマーカーとなる。
【0045】以上、本発明の実施例についていくつか説
明したが、本発明の具体的な構成については、上記実施
例以外にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲内の種々な
る態様を採用することができる。例えば、実施例では、
カテーテルシャフト(内側チューブ又は外側チューブ)
の全体にイオン蒸着膜を設けたが、例えば、手前寄りの
1/2の範囲にイオン蒸着膜を設け、先端寄りの1/2
にはイオン蒸着膜を設けない構成としても良い。こうす
ると、手元側にはより高いプッシャビリティを付与する
と共に、先端側では比較的フレキシビリティを高くする
ことができる。
【0046】また、実施例では、カテーテルシャフトの
み、または、バルーンのみにイオン蒸着膜を形成する例
を示したが、カテーテルシャフト及びバルーンの双方に
イオン蒸着膜を形成してもよい。更に、医療用器具以外
にも、各種チューブ類やシート材等といった種々の樹脂
製器具において、基材よりも硬質なイオン蒸着膜を形成
すれば、各種チューブ類やシート材の柔軟性を損なわず
に、座屈等に対する強度を向上させることができるもの
と期待できる。
【0047】
【発明の効果】以上の様に、請求項1記載の樹脂製器具
によれば、樹脂が本来有する柔軟性を損なうことなく、
特定方向の剛性を向上させることができる。また、基材
表面の物理的性質又は化学的性質を、イオン蒸着膜を設
けない場合とは異なるものに改善することができるの
で、例えば抗菌性等を付与することができるといった副
次的な効果もある。
【0048】特に、請求項2又は請求項3記載の樹脂製
器具によれば、人体血液あるいは体腔組織との接触に伴
う抵抗を受けても座屈や損傷等を招きにくく、樹脂本来
の柔軟性は十分に確保されているので、プッシャビリテ
ィ及びフレキシビリティの双方を共に優れたものに改善
できる。
【0049】中でも、請求項3記載の如きバルーンカテ
ーテルは、カテーテルシャフトのプッシャビリティ及び
フレキシビリティの双方が共に優れたものに改善されて
おり、しかも、バルーンの強度が高く、その分バルーン
を形成するフィルムを薄くできるので、バルーン拡張時
のレスポンスも改善される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施例のバルーンカテーテルを示す正面
図である。
【図2】 第2実施例のバルーンカテーテルを示す正面
図である。
【図3】 第3実施例のバルーンカテーテルを示す正面
図である。
【図4】 第4実施例のバルーンカテーテルを示す正面
図である。
【符号の説明】
1,21,31,41・・・バルーンカテーテル、3・
・・バルーン、5・・・外側チューブ、7・・・内側チ
ューブ、9・・・先端チップ、11・・・ガス供給用ポ
ート、13・・・ガイドワイヤ用ポート、15・・・コ
ネクタ、17・・・マーカー、19,23,33,43
・・・イオン蒸着膜。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長尺状又はフィルム状の柔軟な樹脂製の
    基材の表面に、該基材よりも硬質なイオン蒸着膜を形成
    することにより、曲げには柔軟に変形する一方、表面に
    平行な方向には剛性を増したことを特徴とする樹脂製器
    具。
  2. 【請求項2】 少なくとも人体血液あるいは体腔組織に
    接触する部分に、前記イオン蒸着膜が形成された医療用
    器具であることを特徴とする請求項1記載の樹脂製器
    具。
  3. 【請求項3】 樹脂材料を長尺チューブ状に形成してな
    る柔軟に湾曲可能なカテーテルシャフトと、樹脂材料を
    袋状に形成してなり、前記カテーテルシャフトの先端に
    設けられた柔軟に拡張/収縮可能なバルーンとを備えた
    バルーンカテーテルであって、 前記カテーテルシャフト及び/又は前記バルーンの表面
    の少なくとも一部に、前記イオン蒸着膜が形成されてい
    ることを特徴とする請求項2記載の樹脂製器具。
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