JPH09110704A - 免疫異常性疾患予防治療用経口投与剤 - Google Patents

免疫異常性疾患予防治療用経口投与剤

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JPH09110704A
JPH09110704A JP7297548A JP29754895A JPH09110704A JP H09110704 A JPH09110704 A JP H09110704A JP 7297548 A JP7297548 A JP 7297548A JP 29754895 A JP29754895 A JP 29754895A JP H09110704 A JPH09110704 A JP H09110704A
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seb
cells
ses
treatment
administered
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JP7297548A
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Takumi Sasaki
巧 佐々木
Toshio Ide
敏雄 井手
Takeshi Moriyama
毅 森山
Kenji Komori
健治 小森
Yoshitaka Imagawa
義孝 今川
Yukio Tokiyoshi
幸男 時吉
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Chemo Sero Therapeutic Research Institute Kaketsuken
Original Assignee
Chemo Sero Therapeutic Research Institute Kaketsuken
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 慢性関節リウマチおよび潰瘍性大腸炎等の免
疫異常性疾患に対する新規な予防治療用経口投与剤を提
供することを目的とする。 【構成】 高度に精製されたSE群外毒素を主要構成成
分とし、必要に応じゼラチン、塩、糖またはアミノ酸な
どの好適な安定化剤、賦形剤を添加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、新規な免疫異常性疾
患予防治療用薬剤に関する。さらに詳細には、SE群外
毒素(Staphylococcal enterotoxins、以下SEsと称す
ることがある)もしくはその誘導体を本態とする慢性関
節リウマチあるいは難治性炎症性腸疾患等のアレルギー
疾患、免疫異常性疾患予防治療用の経口投与薬剤に関す
る。
【0002】
【従来の技術並びに発明が解決しようとする課題】慢性
関節リウマチ(Rheumatoid Arthritis、以下RAと称す
ることがある)等の臓器非特異的自己免疫疾患並びに潰
瘍性大腸炎(Ulcerative Colitis、以下UCと称するこ
とがある)あるいはクローン病のような難治性炎症性大
腸炎等の臓器特異的自己免疫疾患は、通常は免疫学的寛
容の状態にある自己の抗原に対して応答するT細胞が、
何らかの原因で自己の組織内で活性化され自己の抗原と
応答するようになり、これが持続的な炎症反応となって
組織に障害を与えることに起因する。この場合、抗原は
自己の関節の構成成分であるII型コラーゲンや消化管粘
膜の構成成分である。これらの疾患の患者数は毎年微増
の傾向にあるにもかかわらず、有効な治療薬や予防治療
方法は見出されていない。現在これらの疾患の治療に
は、サラゾピリン、5-アミノサリチル酸、アザチオプ
リン、6-MP、胸腺摘出術、トラニラスト、7S-免疫
グロブリン大量療法、成分栄養、シクロスポリンAおよ
びメトロニダゾール等の免疫抑制剤の薬物療法が対症療
法的に行なわれている。しかしながら、これらは根治的
な療法とは言えず、むしろ長期連用による重篤な副作用
の原因ともなり、より有効な予防治療薬・治療法の開発
が望まれている。
【0003】SEsは、1989年、White J.らによっ
て発見された細菌性スーパー抗原である(White J. et a
l.,Cell,56,p27-35,(1989))。通常の抗原が、抗原提示
細胞に取り込まれクラスII主要組織適合遺伝子複合体(M
ajor Histocompatibility Complex、以下MHCと称す
ることがある)と複合体を形成した状態でT細胞上のT
細胞抗原受容体(T Cell Antigen Receptor、以下TCR
と称することがある)に認識され、しかもその認識はク
ラスIIMHCのハプロタイプに限定される(これをMH
C拘束性という)のに対して、スーパー抗原はクラスII
MHC分子にハプロタイプに関係なく結合し、さらに特
定のTCRのβ鎖可変領域(Vβ鎖)に結合する。このよ
うな結合が生じると、スーパー抗原が結合したT細胞は
一時的に活性化され分裂増殖を引き起こし、炎症性のサ
イトカインを産生する。
【0004】スーパー抗原を新生マウスに静脈内あるい
は腹腔内投与すると、これに応答するVβTCRを持っ
たT細胞亜集団が除去され、同じスーパー抗原に対して
応答しなくなるトレランスの状態になる。一方、成体の
マウスに投与した場合、そのスーパー抗原に結合するV
βTCRを持つT細胞が再びスーパー抗原の刺激に対し
て応答しなくなる状態、即ちアナジーの状態が誘導され
トレランスになる。このようなスーパー抗原の特徴は通
常の抗原の認識とは異なっている。
【0005】ところで、SEsはスーパー抗原としての
機能を有する一方で、ブドウ球菌の食中毒を起こす毒素
エンテロトキシンでもある。エンテロトキシンとしての
病原性は、エンテロトキシンが消化管内へ入ったのち腸
管へ取り込まれることによって発現される。症状として
は悪心、吐き気、下痢、発熱および筋肉痛などが含まれ
るが、このうちのいくつかは、スーパー抗原によって活
性化されたT細胞や抗原提示細胞から急激にかつ大量に
生じる炎症性のサイトカインを介して発現されると考え
られている。事実、SEsの一種である黄色ブドウ球菌
エンテロトキシンB(Staphylococcal Enterotoxin B、
以下SEBと称することがある)を静脈内投与した場
合、食中毒と同様の症状が観られたことが報告されてい
る(Seminarsin Immunology,5;3,(1993))。in vivo で投
与した場合、最初にこのようなT細胞及び抗原提示細胞
の活性化が起こり、結果的に体重減少などの症状が認め
られ、1〜2週後にトレランスが成立する。トレランス
が成立した動物では、再び同じエンテロトキシンの侵入
があっても食中毒様の症状は認められない。このように
スーパー抗原は生体内に投与された場合、いったんT細
胞や抗原提示細胞を活性化して炎症を惹起した後トレラ
ンスを誘導する。
【0006】特定のVβTCRを持つT細胞にトレラン
スを誘導するという性質は、ある種の免疫学的疾患、特
にI型アレルギー性疾患や自己免疫疾患の予防もしくは
治療に応用できる可能性を示唆している。事実、疾患モ
デルマウスの系を用いてSEBを投与することで発症抑
制が可能になったという報告がなされている。Kim Cら
は、全身性エリテマトーデス(Systemic lupus erythema
tosus、以下SLEと称することがある)のモデルマウス
であるMRL/lprマウスのループス腎炎がSEBを予め投
与しておくことにより発症を抑制できることを報告した
(J.EXP.Med.,174,p.1131,(1991))。また、Rott O.らは
実験的アレルギー性脳脊髄膜炎(Experimental Allergic
Encephromyelitis、以下EAEと称することがある)の
系で前もってSEBを投与し、SEB応答性のVβ8T
CRT細胞をトレランスにしておくことで発症が抑制で
きたことを報告した(Int. Natl. Immunology, 4:p.347,
(1991))。これらの結果は、SEBをワクチン的に用い
ることで特定の自己免疫疾患の発症を予防できる可能性
を示唆するものである。
【0007】しかしながら、これらの実験ではSEBの
投与方法は静脈内もしくは腹腔内であり、投与量も1匹
当たり100μg前後とかなり多い。このような投与量
ではマウスに対して無視できない程度の病原性をもたら
すことは必至であり、このままヒトの疾患に応用するこ
とは不可能である。また、現状では免疫異常性疾患には
その発症の可能性を予見させる様な診断法はなく、従っ
て発症を予防できるような方法はない。一方、免疫異常
性の疾患の患者数はここ5年間を見ても殆ど減少せず、
また患者の大半は労働可能な若年層から中年層に多く、
社会的に重大な問題となっている。スーパー抗原によっ
て誘導されるトレランスは、前述した免疫抑制剤がリン
パ球全般もしくはT細胞またはB細胞に作用し広範な免
疫抑制を引き起こすのに対して、特定のVβ亜集団を持
つT細胞にのみ作用する。従って、失われる免疫応答は
限られた範囲(約1〜15%)に留まるので、免疫抑制剤
を使用した場合のように免疫応答全般が失われることは
少なく、原因となっているT細胞のみを標的とした原因
療法に近い方法になり得るものである。しかしながら、
スーパー抗原の大量投与は、前述のごとく一時的なT細
胞や抗原提示細胞の活性化を引き起こし、体内に急激な
炎症状態を惹起するという毒性の問題点がある。本願発
明は、従来のスーパー抗原投与の問題点を克服し、免疫
異常性の疾患、特にI型アレルギー、RAやUCを始め
とする難治性炎症性腸疾患の予防もしくは原因療法的治
療薬を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本願発明は前述した問題
点を解決するもので、本願発明者が免疫異常性の疾患、
特にRAのような臓器非特異的自己免疫疾患、UCやク
ローン病のような難治性炎症性腸疾患を予防及び治療す
る手段を提供すべく鋭意研究を重ねた結果達成されたも
のである。先ず、本願発明者らは、SEBに代表される
SEsが腸管に到達したときに病原性が発現され、しか
もその病原性はスーパー抗原活性を介していることに着
目し、SEBを経口的に投与することでスーパー抗原活
性の1つであるトレランスの誘導が可能かどうか検討し
た。鋭意研究の結果、高度に精製したSEBを病原性を
与えない投与量で連続的に長期間経口投与することによ
り、より有効にトレランスを誘導し得るという知見を見
いだし、この知見に基づいて、高度に精製したSEBを
本態としこれを少量含有する新規な免疫異常性疾患予防
治療用経口投与剤を供する本願発明を達成するに至っ
た。本願発明の免疫異常性疾患予防治療用経口投与剤を
用いた場合、生体に病原性を与えることなくトレランス
のみ有効に誘導することができる。従って、前述したI
型アレルギー性疾患や自己免疫疾患の予防だけでなく治
療にも応用できる可能性が考えられ、原因療法的免疫異
常性の疾患の予防及び治療用薬剤としての新たな有用性
が開拓された。
【0009】すなわち、本願発明は、RAやUCのよう
な疾患を持つ患者の原因となっているT細胞にトレラン
スを誘導し得る高度に精製されたSEsもしくはその誘
導体を本態とする経口投与薬剤に関するものである。本
願発明でもたらされる経口投与用薬剤を使用した場合、
免疫抑制剤を投与した時に観られる広範な免疫抑制、例
えばT細胞のマイトジェンに対する増殖応答の低下、B
細胞のマイトジェンに対する増殖応答の低下、特定の抗
原に対する増殖応答の低下は認められない。しかしなが
ら、RAやUCの発症に関与すると考えられるVβ8T
CR陽性T細胞にトレランスを誘導することができる。
Vβ8TCR陽性T細胞は、他の疾患、例えば前述した
EAEやSLEにも関与していることが指摘されている
ので、これらの疾患に関連しているT細胞にトレランス
を誘導することも可能である。
【0010】本願発明によれば、静脈内や腹腔内にスー
パー抗原として機能し得るSEsを投与することによっ
て引き起こされる病原性、例えば10〜20%に及ぶ体
重減少は認められない。すなわち、このような病原性の
原因となっている全身に及ぶT細胞及び抗原提示細胞と
してのマクロファージあるいはB細胞の急激な活性化、
それに伴う炎症性のサイトカイン例えば、IL-1、IL
-2、IL-4、TNF-α、TNF-β、INF-γ等の大
量の産生が認められないので細菌性スーパー抗原の有す
る病原性を生体に影響を及ぼさないレベルまで著しく低
減することを可能にする。
【0011】本願発明の免疫異常性疾患予防治療用の経
口投与用薬剤は、その本態として高度に精製された上述
のSEsもしくはその誘導体を他の投与形態の薬剤に比
較して極めて少量含有することを特徴とする。薬剤の本
態として、好適な態様であるSEBに限らず他のVβT
CR結合性を持つ細菌性スーパー抗原、例えばSEA、
SEC1、C2、C3、D、E等の他のSEsを使用した場
合についても同様の効果をもたらすものである。また、
それらの誘導体も好適に使用し得る。つまり、これらは
他のVβTCRを持つT細胞亜集団に特異的にトレラン
スを誘導する。本願発明に使用されるSEsを調製する
方法は特に限定されていないが、例えばSEsを産生す
る細菌を培養しその培養上清より分離調製する方法ある
いは遺伝子組換え技術により得たSEs産生細胞より分
離する方法などによって調製することができる。
【0012】例えば、本願発明の薬剤の本態となるSE
sの好適な態様であるSEBは以下の方法で調製するこ
とができる。Staphylococcus aureus 243株の培養上
清から調製する方法について述べると、まず、4%NZ
アミン、0.01%塩酸チアミン、0.00005%ニコチン
酸を含む培地中で同菌株を好気的に24時間培養し、遠
心分離によって菌体を除去し培養上清を調製する。得ら
れた培養上清を、本願発明者によって独自に作製された
抗SEB単クローン抗体を固相化した担体を充填したカ
ラムに通液し、洗浄後、4M塩化マグネシウムあるいは
3Mチオシアン酸ナトリウム溶液で溶出する。溶出液を
生理食塩水中に2回透析した後、さらにリン酸緩衝生理
食塩水(phosphate buffer saline、 以下PBSと称す
ることがある)に2回透析する。透析後得られた画分を
タンパク質の濃度を測定した後、0.45μm径のメンブ
レンフィルターを用いて無菌濾過する。この濾液を一定
量ずつ分注することでSEBを調製する。また、遺伝子
組換え技術を用いてSEsを調製する方法としては、例
えばJonesC.L.等によって報告された方法がある(Jones
C.L. and Khan S.A.,J.Bacteriol.,1(1),p.29-33,(198
6))。また、遺伝子組換え技術を用いた点突然変異(poin
t mutation)を導入することで、SEsのより好ましい分
子型を創製することも可能である。
【0013】調製されたSEsの活性を最大限に維持す
るために、本願発明のSEsは新鮮であるか、4℃で保
存する場合には保存後約5日以内のものが好ましい。あ
るいは、本願発明のSEsは、ゼラチン、塩、糖、糖ア
ルコールまたはアミノ酸などの好適な安定化剤と共に凍
結乾燥もしくは液体の状況で保存することができるし、
さらには、SEs溶液を凍結し保存することも可能であ
る。本願発明では、かかる有効成分としてのSEsもし
くはその誘導体と公知の適当な賦形剤を組み合わせ、公
知の方法で本願発明の免疫異常性疾患予防治療用経口投
与剤とすることができる。本願発明の免疫異常性疾患予
防治療用経口投与剤の本態となるSEsもしくはその誘
導体は高純度のものが要求され、例えば少なくともゲル
電気泳動において単一バンドを示す程度に精製されてい
ることが望まれる。この意味から、市販の標品をそのま
ま使用することは好ましい態様ではない。また、薬剤の
性質上、本態に夾雑する内毒素(エンドトキシン)が除去
されていることが要求される。本薬剤の最終的な剤型に
ついては、経口投与用の薬剤である限り特別の制約はな
く粉末(固形)状、溶液状あるいはシロップ状のものが考
慮され得る。例えば、SEsもしくはその誘導体を適当
な賦型剤、例えば炭水化物、糖、糖アルコールおよびア
ミノ酸等と共に凍結乾燥し固形状としたものまたはSE
sもしくはその誘導体を生理食塩水および許容し得る張
度のイオン強度を有する適当な緩衝液中に溶解した液状
製剤等は好適な態様である。また、本態となるSEsも
しくはその誘導体を市販の飲料水に溶解し経口的に摂取
することも考えられ得る。薬剤中の含量については、S
Esの毒素としての特性を考慮し低用量に抑えることが
要求されこれを満足する量且つ薬効が発揮される用量、
例えば1回の投与当り0.01〜50μg、好ましくは
0.02〜0.5μgの本態を含有する薬剤が好適であ
る。
【0014】本願発明の高度に精製されたSEsもしく
はその誘導体を本態とする免疫異常性疾患予防治療用経
口投与剤の有効投与量は、例えば投与対象者の年齢、症
状及び重症度などにより変動し、最終的には医師の意図
により変動するものであるが、例えばSEsに換算した
場合、一般に成人一日当り0.05〜5μgであり、好ま
しくは0.05〜0.5μgを1〜2回に分けて経口的に
投与するのがよい。また、場合により例えばアザチオプ
リン、シクロフォスファミド、またTNFα抗体等の高
分子の抗炎症剤等の他の薬剤と併用することも可能であ
る。
【0015】本願発明の経口投与用薬剤を免疫異常性の
疾患の予防及び治療に使用する場合、以下のような機構
が想定され得る。本願発明の薬剤の本態であるSEs
は、もともとプロテアーゼによる加水分解に耐性で、投
与された該タンパク質の一部は小腸もしくは大腸にまで
到達すると考えられる。その後、腸管の粘膜を通じて排
出リンパ管や門脈に吸収され、肝臓を経て体循環に入り
全身を循環するようになる。その過程でMHC classII
分子陽性細胞に結合し、さらに特定のVβTCR陽性T
細胞に結合する。VβTCR陽性T細胞は一過性に活性
化された後に抗原刺激やレクチン刺激に対して応答しな
い状態即ちトレランスになる。SEsの投与が20回以
上になるとトレランスになったVβTCR陽性T細胞も
増加し、in vitro の測定系での測定が可能になる。と
ころで、RAモデルマウスではVβ8TCR陽性T細胞
が疾患の発症に関与していることが知られている。そこ
で、このモデルマウスにSEsを予め経口的に投与しV
β8TCR陽性T細胞をトレランスにしておくと、その
後疾患を発症させるためのコラーゲン免疫を行なっても
疾患は全く発症しないかあるいは発症しても軽度である
と思われる。即ち、RA疾患が予防される。また同様の
効果はUCモデルマウスでも認められる可能性がある。
一方、一旦疾患を発症させたマウスに経口的にSEsを
長期間投与し続けることで体内で活性化され自己抗原と
応答しているVβ8TCR陽性T細胞にトレランスを誘
導し、自己抗原との応答性も低下させることにより疾患
を治療することができる。
【0016】
【本発明の作用並びに効果】本願発明の薬剤の本態であ
るSEsもしくはその誘導体は、経口的に投与された場
合腸管を通じて体内へ取り込まれ、特定のVβTCR陽
性T細胞と結合しこの細胞にトレランスを誘導する。ト
レランスは正常な免疫反応の一つで抗原特異的である。
スーパー抗原によって誘導されるトレランスは特定のV
βTCR特異的であるので、スーパー抗原が結合したT
細胞のみにトレランスが誘導されるが、結果としてこれ
らのT細胞が特異性を持つ抗原に対しても応答しなくな
る。この抗原が免疫異常性の疾患に関連する抗原であっ
た場合、その抗原に対する応答性は失われることにな
る。また本願発明では生体に影響を及ぼさない投与量で
SEsを長期間連続的に投与し、緩やかにかつ最大限に
トレランスを誘導するので、一旦成立したトレランスは
少なくとも数ケ月間は持続する。このような特徴は慢性
化し、疾患が終生持続するような免疫異常性の疾患、特
に自己免疫疾患の予防や治療において正常な細胞を標的
として含まず、できるだけ疾患に関与する細胞を標的と
した画期的な方法であり、原因となっている細胞のみを
標的とした理想的な方法に飛躍的に近づくものである。
また、対象疾患も自己免疫疾患に限らず、I型アレルギ
ーの様な特定のT細胞の特定の外来抗原に対する過敏反
応が発端で起こる抗体仲介性の疾患にも有効であると考
えられる。
【0017】以下、本願発明を実施例に基づき詳細に説
明するが、本願発明は何らこれらに限定されるものでは
ない。
【0018】
【実施例】試験例 (RAの発症抑制及び治療効果)BA/1JマウスにII型コラ
ーゲンを免疫することによって発症するコラーゲン誘導
関節炎(collagen type II、 以下CIAと略す)の系を
評価系として使用した(Trentham D.E., et al.,J.Exp.M
ed.,146,p.857-868(1977))。発症一週間前にPBSに溶
解し希釈したSEBを1μg/マウス/日の投与量で連続し
て3〜4週間の間経口的に投与し、対象としてはPBS
のみ投与した実験群(非投与群)を設定した。関節炎はそ
の重症度に応じて1〜4度のスコア(関節炎スコア)で評
価した。結果は関節炎のスコアをSEB投与群の平均と
非投与群の平均とで比較し、ウイルコクソンの検定法を
用いて検定し有意差があるかどうか検討した。
【0019】その結果、SEB非投与群では発症率は1
00%であったが、SEB投与群では発症率は20%程
度であり、この差は有意であった(P<0.01)。また発
症した個体間で重症度(合計関節炎スコアを発症個体数
で割った値)を比較したところ、SEB投与群が非投与
群に比べて低く、たとえ発症しても症状は軽度であるこ
とが判明した。また、CIAが発症した時にSEBを1
μgの投与量で1日1回90日間連続して経口的に投与
しCIAが治癒するかどうか検討した。その結果、関節
炎のスコアでみたCIAの症状はCIIの2回目の免疫か
ら21日目においてSEB投与群は非投与群と比べて低
い関節炎スコアを示し、しかもその差は統計学的に有意
であった(P<0.01)。これらの結果は、SEBを前も
って経口投与することによりVβ8TCR陽性T細胞に
トレランスが誘導され、その結果発症が抑制されること
を意味し、疾患の発症が予防されたことが明らかとなっ
た。さらにCIAが発症してからSEBの経口投与を開
始しても症状の軽減が観られるので、SEBを本態とす
る薬剤の経口投与でCIAを治癒させることが可能であ
る。
【0020】一方、予めC57BL/6マウスにSEBを0.2
μg、1.0μg、5.0μgの投与量で1日1回10〜2
0日間経口的に投与し、さらに7〜10日間飼育するこ
とでVβ8TCRT細胞に特異的なトレランスを誘導し
た。その後1%の硫酸デキストランナトリウム溶液(dex
tran sulfate sodium salt、以下DSSと称することが
ある)を自由飲水投与しUCを発症させ、その症状につ
いて組織病理学的に比較した。その結果、非投与マウス
及び0.2μg、1.0μgのSEB投与マウスでは全てU
Cが発症したが、5.0μg投与群では僅かに炎症の痕跡
が認められたもののそれは極めて軽度であり、UCには
至っていなかった。この結果は、SEBの経口投与によ
り予めトレランスを誘導することによってUCの発症が
抑制されることを示している。また、SEBの投与量は
5.0μg/mouseに限らずこれ以上の高い投与量を用いた
場合も発症抑制が可能なことは容易に推測できる。
【0021】実施例 1 (高純度SEBの調製)S.aureus243株を4%NZアミ
ン、0.01%塩酸チアミン、0.00005%のニコチン酸
を含有する培地で、24〜36時間培養した。限外濾過
によって菌体を除去し濃縮した。これを出発材料とし、
本願発明者等が独自に作製した抗SEB単クローン抗体
(SA58-2)を結合したセファローズ4Bカラムに通
液してSEBを吸着させ、0.15MNaCl溶液で洗
浄した後、4MMgCl2溶液で溶出した。得られた画
分を0.15MNaCl溶液もしくは0.15MNaCl
を含むPBSに透析したものをSEB標品とした。この
ようにして得られたSEB標品は図1に示すように還元
下でのSDS-PAGE、CBB染色で単一のバンドと
して検出された。一方、従来の市販のSEB(Toxin Tec
hnology社製)は、SEBのバンドの他に夾雑するタンパ
ク質のバンドが検出された。これらの夾雑タンパク質の
成分については現在のところ不明であるが、これらの成
分がSEBの毒性発現に関与している可能性は否定でき
ない。
【0022】実施例 2 (SEBの経口投与によるVβ特異的免疫学的トレラン
スの誘導)DBA/1Jマウスに、S.aureus243株より精製
したSEBをPBSに溶解し、ゾンデを使用して1匹当
たり0.2〜10μgの投与量で1日1回10日〜90日
にわたって経口投与した。先ず、投与開始後10日目に
Vβ8TCR陽性T細胞特異的なトレランスが誘導され
るかどうか確認した。トレランスの誘導はSEBに対す
る増殖応答の測定、抗Vβ8TCR単クローン抗体刺激
に対する応答性低下、フローサイトメトリーによるVβ
8TCR陽性T細胞の増減の測定で評価した。
【0023】i)SEBに対する増殖応答の測定 SEB投与群及び非投与群から抽出したマウスから脾臓
細胞を調製し、抗マウスIgM単クローン抗体及び抗マ
ウスIgG単クローン抗体を固相化したプラスチックプ
レートに加え、37℃で2時間インキュベートしB細胞
を除去した。残りの細胞画分はT細胞画分として以下の
実験に使用した。また他のSEBを投与していない他の
同系のマウスから調製した同系のマウスの脾臓細胞を細
胞分裂を阻害するマイトマイシンCで処理し、抗原提示
細胞として使用した。5x105個マイトマイシンC処理
脾臓細胞を96穴のマイクロプレートに加えた。この
時、刺激物質としてSEBを段階希釈して、37℃、6
6時間インキュベートし66時間目に細胞をトリチウム
チミジンで37℃、6時間でラベル(0.5μCi/well)し
た。ラベル後、セルハーベスターで細胞を収穫し、液体
シンチレーションカウンターで細胞に取り込まれた放射
活性を測定した。なお、培養には刺激物質の対象として
SEA(Staphylococcal enterotoxin A)に対する増殖応
答を観るウェルも設定した。
【0024】このようにしてSEBに対する増殖応答
を、SEB経口投与群と非投与群とで比較した結果、図
2に示すように、測定に用いた全てのSEB濃度におい
てSEB投与群ではトリウムチミジンの取り込みが非投
与群に比べて著しく低下していることが判明した。この
ことはSEBに対する応答性が低下していることを示し
ており、SEB特異的なトレランスが成立している可能
性が考えられた。そこで、次にSEB応答性の抗Vβ8
TCR単クローン抗体を使用して、この細胞の抗Vβ8
TCR単クローン抗体に対する増殖応答が低下している
かどうか検討した。 先ず、予め抗体を96穴プレートに
固相化し、SEB投与マウス及び非投与群から得た脾臓
T細胞の懸濁液(2x106/ml)を加えた。37℃で66
時間インキュベートした後、前述したように[3H]-チミ
ジンで6時間ラベルし、放射活性を比較した。その結
果、図3に示されるようにSEBを経口投与した群では
非投与群に比べて取り込まれた[3H]-チミジンの放射活
性が低く、抗Vβ8TCR単クローン抗体刺激に低応答
性であることが判った。即ち、Vβ8TCRT細胞が部
分的なアナジーになっていることが判明した。
【0025】ii)フローサイトメトリー解析によるclona
l deletionの解析 さらに、SEB経口投与後のVβ8TCR陽性T細胞の
ポピュレーションの増減についてもフローサイトメトリ
ーを用いて解析した。脾臓細胞から調製したT細胞をst
aining buffer(2%ウシ血清アルブミン、0.02%ア
ジ化ナトリウム、PBS)に107個/mlで懸濁し、それ
ぞれエッペンドルフチューブに移した。それぞれのチュ
ーブにFITCラベル抗マウスVβ8TCR単クローン
抗体を1μg/mlで加え、氷中で最低30分間反応させ
た。反応後、staining bufferで3回洗浄し、500μg
/mlのプロピジウムヨーダイド(propidium iodide)溶液
に懸濁してFACScan(Becton Dickinson社製)を用い
て染色度合いを解析した。結果はT細胞全体におけるそ
のポピュレーションの比率で表した。その結果、SEB
を投与していない群由来のT細胞ではVβ8TCRT細
胞が15.4%であったが、SEB経口投与群では11.
0%と約30%程度低い値を示した。この結果、SEB
を連続的に経口投与することによりSEB応答性のVβ
8TCRT細胞が部分的に減少すること、即ちclonal de
letionが認められることが判明した。これらの結果か
ら、SEBを連続的に経口投与することによりVβ8T
CRT細胞の不応答性によるSEB特異的なアナジーと
Vβ8TCRT細胞の部分的なclonal deletionによるト
レランスの誘導が成立していることが示された。
【0026】実施例 3 (SEB経口投与によるCIAの発症抑制)6〜16週齡
のDBA/1J雌のマウスに0.15MのNaClを含む50
mMトリス塩酸(pH8.0)に溶解したウシII型コラー
ゲン(CII、ヤガイ中央研究所社製)をフロイント完全ア
ジュバント(Freund Complete Adjuvant、以下FCAと
称することがある)でエマルジョン化し、1匹当たり2
00μgの投与量で背部に皮内投与した。その3週後に
CII200μgを溶液状態のままで腹腔内に投与した。
以後1週〜3カ月間飼育することでコラーゲン誘導関節
炎(collagen induced arthritis、以下CIAと称する
ことがある)が発症した。CIAの評価については、CI
Iを腹腔内投与した後1週後に四肢の指の関節から発症
し始め、10〜14日目にほぼ100%のマウスが発症
した。CIAの評価は、四肢の関節の関節炎を重症度に
応じて1〜4点でスコア化することにより行なった。最
初の投与から約4週後にヒトのRA様の症状を呈するよ
うになり、その後の重症度は次第に増加していった。こ
の時、マウスにSEBを予め経口投与してVβ8TCR
T細胞にトレランスを誘導しておいた実験群では発症率
は極めて低く全体の約20%であった。これに比べてS
EB非投与群では発症率は100%であったので、SE
Bの経口投与により、明らかにCIAの発症が抑制され
ていることが示された(図4)。
【0027】実施例 4 (SEBの経口投与によるCIAの治療効果)先ず、DBA/
1JマウスにCIIを二度免疫してさらにブースター免疫を
行ないCIAを発症させた。最後の免疫から1週後より
SEBを1μg/マウスの投与量で0.2ml/マウスで1日
1回連続90日間経口的に投与した。関節炎スコアの変
化を、経時的な臨床スコア測定による評価あるいは病理
標本作製・鏡検による評価を行なった。その結果、SE
B非投与群では1匹当たりの関節炎のスコアは高いまま
90日目まで維持され疾患が持続していることが示され
た。一方、SEBを経口的に90日間連続投与した場合
の関節炎スコアは、投与後3週目頃から徐々に下がり始
め90日目にはほぼ0に近い値を示した(図5)。このこ
とは、CIAを一旦発症させた後でもSEBを経口的に
連続して長期間投与し続けることにより関節炎が改善で
きること、即ち治癒できることを示唆している。しか
も、この時使用したSEBの投与量は1μg/マウスと低
く動物に病原性をもたらすような量ではないことから、
安全で経済的な量であると言える。以上のように、本発
明によってもたらされる高純度のSEB本態とする経口
投与用薬剤を1μg/マウス/日の低投与量で長期間投与
することにより、ヒトの慢性関節リウマチのモデルであ
るCIAを治療することが可能であることが明らかにな
った。また0.1μg/マウス/日の経口投与でもVβTC
R陽性T細胞特異的なトレランスが誘導されることが示
されているのでこの投与量でもCIAの治療が可能であ
ることが推測される。
【0028】実施例 5 (DSS誘導UCの発症)前述したように6〜16週齡の
C57BL/6マウスにM.W.40,000の硫酸デキストラン
ナトリウム(Dextran Sulfate Sodium salts, 以下DS
Sと称することがある)を、1%の濃度で自由飲水投与
しながら7〜10日間飼育することで、大腸に慢性的な
炎症を発症する炎症性大腸炎モデルをUCのモデルとし
て適用した(Gastroenterology, 98:p.694-702,(199
0))。飲水投与開始後10日目に飲水投与を終了し、水
のみを引き続き14日〜20日間投与した。経時的に、
マウスから大腸を切除し平滑筋の方向に沿って切開し、
ピンで数カ所をゴム製シートに固定し、そのまま5%中
性ホルマリン液に浸すことで組織を固定した。その後、
組織をエチルアルコール処理により脱水し、パラフィン
ブロックに包埋した後、ミクロトームで約10mmの厚さ
に切断した後、スライドグラスに貼り付け、ヘマトキシ
リン-エオジン染色を行なった。染色後、それぞれを光
学顕微鏡で鏡検し、各実験群での差異を調べた。
【0029】i)経口投与によるトレランスの誘導 C57BL/6マウスは、通常、スーパー抗原に対する応答性
が低い。そこでまずSEBの連続的な経口投与によるV
β8TCR特異的なトレランスが誘導されるかどうかを
調べた。DBA/1マウスの場合より高い投与量(5μg/マウ
ス)で1日1回、14日間にわたって投与した。最終投
与から14日目にマウスから脾臓を摘出し、実施例2の
項で述べた方法に従いT細胞を調製し、同様に同系の正
常マウスの脾臓細胞をMMC処理して抗原提示細胞とし
た。これらの細胞を使用してSEBに対する応答性及び
抗Vβ8TCRモノクローナル抗体刺激に対する増殖応
答を測定した。その結果、図6に示すように、SEBに
対する増殖応答及び抗Vβ8TCRモノクローナル抗体
に対する増殖応答ともSEBを投与していない正常マウ
スのそれと比べて有意に低下しており、Vβ8TCRT
細胞特異的なトレランスが誘導されていることが示され
た。
【0030】ii)SEBの経口投与によるUCの発症抑
先ず、DBA/1Jマウスに予めPBSに溶解したSEBを5
μg/マウス/日の投与量で最低10日間経口投与を行な
いトレランスを誘導した。またPBSのみ投与した実験
群を設定し陽性対象とし、続いて1.0%DSSを10
日間自由飲水投与してUCの発症が抑制されるかどうか
調べた。なお、SEB及びDSSの非投与群を設定し陰
性対象とした。DSS投与終了後18日目にマウスを解
剖して大腸を摘出し、ヘマトキシリン-エオジン染色で
病理切片を作製し、大腸の病変について各実験群で比較
検討した。その結果、図7に示すように陽性対照群では
大腸粘膜上皮の剥離、脱落及び細胞浸潤を伴う大腸炎が
認められ、病変のステージは極期を過ぎ修復期に入った
状態であった。一方、5μg/マウス/日の投与量でSE
Bを経口投与されたマウスでは、直腸上部に炎症像はあ
るものの他に比べて明らかに軽度であり、陰性対照群の
像に近い検鏡像であった。以上のように、SEBを予め
経口投与してVβ8TCRT細胞にトレランスを誘導す
ることにより、DSS誘導UCの発症を抑制できること
が明らかになった。
【0031】これらの結果より、本願発明のもしくはそ
の誘導体を本態とするによりトレランスを誘導し、CI
A及びUCの発症を抑制できるということ、またCIA
を治療できるということは、同様の方法がヒトの慢性関
節リウマチ及び潰瘍性大腸炎或いはこれに類似するクロ
ーン病の予防及び治療に適用できることを示している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明に用いられるSEBの精製方法とそ
れによって得られたSEBの純度の上昇を示す電気泳動
図(図面代用写真)である。
【図2】 本願発明に用いられるSEBの経口投与後の
マウス脾臓T細胞のSEBに対する増殖応答の低下を示
す図である。
【図3】 本願発明に用いられるSEB経口投与後のマ
ウス脾臓T細胞の抗Vβ8TCR単クローン抗体に対す
る増殖応答の低下を示す図である。
【図4】 本願発明に用いられるSEBの経口投与後の
CIAの発症抑制を示す図である。
【図5】 本願発明に用いられるSEBの経口投与によ
るCIAの治療効果を示す図である。
【図6】 C57BL/6マウス脾臓T細胞での本願発明の免
疫異常性疾患予防治療用経口投与剤投与に伴うSEBに
対する増殖応答の低下を示す図である。
【図7】 本願発明の免疫異常性疾患予防予防治療用経
口投与剤投与後のDSS誘導UCの発症抑制を示す生物
(病理切片)の形態図(図面代用写真)である。
フロントページの続き (72)発明者 今川 義孝 熊本県熊本市東町4丁目16番2棟205号 (72)発明者 時吉 幸男 熊本県熊本市若葉3丁目14−19

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 免疫異常性疾患の予防治療に有効量のS
    E群外毒素(Staphylococcal enterotoxins、以下SEs
    と称することがある)もしくはその誘導体を含有する免
    疫異常性疾患予防治療用経口投与剤。
  2. 【請求項2】 含有されるSEsもしくはその誘導体
    が、ゲル電気泳動において単一バンドを示す程度に精製
    されていることを要件とする請求項1記載の免疫異常性
    疾患予防治療用経口投与剤。
  3. 【請求項3】 1回投与当り0.01〜50μg、好まし
    くは0.02〜0.5μgのSEsもしくはその誘導体を含
    有する請求項1もしくは請求項2に記載の免疫異常性疾
    患予防治療用経口投与剤。
  4. 【請求項4】 SEsが、VβT細胞抗原受容体(以下、
    VβTCRと称することがある)に結合性を有する、黄
    色ブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)、黄色ブドウ
    球菌エンテロトキシンA(SEA)、黄色ブドウ球菌エン
    テロトキシンC1(SEC1)、黄色ブドウ球菌エンテロト
    キシンC2(SEC2)、黄色ブドウ球菌エンテロトキシン
    C3(SEC3)、黄色ブドウ球菌エンテロトキシンD(S
    ED)、黄色ブドウ球菌エンテロトキシンE(SEE)お
    よびこれらの誘導体より成る群から選ばれる物質である
    請求項1〜請求項3のいずれかに記載の免疫異常性疾患
    予防治療用経口投与剤。
  5. 【請求項5】 生理学的に許容し得るpHおよび許容し
    得る張度のイオン強度を有する水溶液である請求項1〜
    請求項4のいずれかに記載の免疫異常性疾患予防治療用
    経口投与剤。
  6. 【請求項6】 生理学的に許容し得る張度を溶液に与え
    るに充分な量で、炭水化物、糖、糖アルコールおよびア
    ミノ酸より成る群から選ばれる物質を含有する請求項5
    記載の免疫異常性疾患予防治療用経口投与剤。
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