JPH09107984A - 酵素触媒を用いるポリフェニレンオキシドの製造方法 - Google Patents

酵素触媒を用いるポリフェニレンオキシドの製造方法

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JPH09107984A
JPH09107984A JP26657395A JP26657395A JPH09107984A JP H09107984 A JPH09107984 A JP H09107984A JP 26657395 A JP26657395 A JP 26657395A JP 26657395 A JP26657395 A JP 26657395A JP H09107984 A JPH09107984 A JP H09107984A
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phenol derivative
reaction
solvent
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JP26657395A
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Shiro Kobayashi
四郎 小林
Hiroshi Uyama
浩 宇山
Ryohei Ikeda
良平 池田
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Toyo Ink Mfg Co Ltd
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Toyo Ink Mfg Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ポリフェニレンオキシドを有用な酵素触媒によ
る合成方法を提供する。 【解決手段】フェノール誘導体を酵素触媒の存在下、有
機溶媒対水の体積比が1対10以上の有機溶媒- 水混合
溶媒中で反応させることを特徴とするポリフェニレンオ
キシドの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、機械的強度、熱
的特性、電気的特性、耐熱水性に優れたエンジニアリン
グプラスチックの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】 ポリフェニレンオキシド(PPO)
は、A. S.Hayらによる銅アミン錯体を用いる酸化カップ
リング(J. Am. Chem. Soc. 81, 6335 (1959) )によっ
てはじめて合成され(J. Polymer Sci., 58, 581 (196
2) )、1965年にGeneral Electric社により実用化され
た。本方法以外の代表的な合成法として、p−ハロフェ
ノール法(例えば、J. Polymer Sci., 49, 267 (1961)
参照)がある。しかしながら、いずれの合成方法も酵素
触媒を用いるものではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、エン
ジニアリングプラスチックとして有用なPPOの酵素触
媒による合成方法を提供することである。本発明による
PPOは、好ましくはラッカーゼ酵素系、ペルオキシダ
ーゼ酵素系を使用したフェノール誘導体のラジカルカッ
プリングにより調製される。以前は、シリンガ酸の酵素
触媒重合はラッカーゼを用いて水系あるいは極めて少量
の親水性有機溶媒を含む水系においておこなわれた(例
えば、Soil Sci. Soc. Am. J., 45, 1100 (1981)参照)
が、このような系に対する供試モノマーの低い溶解度の
ためにオリゴマー(DP≦6)しか生成せず、かつ低収
率であった。しかしながら、もしこの方法が、有機溶媒
中で、さらに好ましくは有機溶媒−水混合溶媒中で行わ
れたならば、反応はより高い収率で進み、そしてより高
分子量の生成物を与えることが可能となる。また、PP
Oの製造にペルオキシダーゼを用いる手法は過去に見ら
れず、工業的に安価に市販されているペルオキシダーゼ
が使用可能ならば、有益である。さらに、シリンガ酸以
外のモノマーから酵素触媒を用いてPPOを合成した例
は見られない。
【0004】
【課題を解決するための手段】 本発明は、フェノール
誘導体を酵素触媒の存在下、有機溶媒対水の体積比が1
対10以上の有機溶媒- 水混合溶媒中で反応させること
を特徴とするポリフェニレンオキシドの製造方法であ
る。
【0005】
【発明の実施形態】本発明に係わるフェノール誘導体
は、下記の一般式(1)で表されるものが挙げられる。 一般式(1)
【0006】
【化1】
【0007】[式中nは2または3であり、Rは、水酸
基、カルボキシル基、アルキル基、アルケニル基、アル
キニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ
基、ハロゲン基、ニトロ基、シアノ基、アシル基、スル
ホニル基、置換アミノ基、アシルオキシ基、スルホニル
オキシ基等を表し、Rのいずれかが連結し環を形成して
いても良い。]
【0008】上記一般式(1)中、Rで表される具体例
としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル
基、ノニル基、デシル基、1−メチルブチル基、2−エ
チルブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブ
チル基、tert- ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチ
ル基、tert- ペンチル基、イソヘキシル基、エチニル
基、1−プロペニル基、1,3−ブタジエニル基、2−
ペンテン−4−イニル基、3−メチル−2−ブテニル
基、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、シクロペ
ンチル基、2−シクロヘキセン−1−イル基、トリル
基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、フェニル
基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミ
ル基、ベンズヒドリル基、 インデニル基、ナフチル
基、フルオロ基、クロロ基、クロロシル基、クロリル
基、ペルクロリル基、ブロモ基、ヨード基、ヨードシル
基、ヨージル基、ニトロソ基、ニトロ基、メトキシ基、
エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、フェノキシ
基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ
基、tert- ブトキシ基、エトキシフェニル基、エトキシ
フェノキシ基、エトキシカルボニル基、ペンチロキシ
基、ベンジロキシ基、ヒドロペルオキシ基、カルボキシ
ル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、
ホルミルオキシ基、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ
基、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリ
ル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、
ピバロイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、ラウ
ロイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オレイル
基、アクリロイル基、メタクリロイル基、クロロホルミ
ル基、ピルボイル基、シクロヘキサンカルボニル基、ベ
ンゾイル基、アセトニル基、フェナシル基、サリチル
基、サリチロイル基、アニシル基、アニソイル基、メル
カプト基、メチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ
基、チオホルミル基、チオカルボキシル基、チオカルバ
モイル基、スルフィノ基、メシル基、フェニルスルホニ
ル基、トリルスルホニル基、トシル基、スルホモイル
基、スルホアミノ基、アミノ基、メチルアミノ基、ジメ
チルアミノ基、アニリノ基、トルイジノ基、キシリジノ
基、シアノ基、シアナート基、イソシアナート基、チオ
シアナート基、イソチオシアナート基、ヒドロキシアミ
ノ基、アセトアミド基、ベンゾアミド基、サクシイミド
基、カルバモイル基、ニトロソ基、ニトロ基、ヒドラジ
ノ基、フェニルアゾ基、ナフチルアゾ基、アジド基、ウ
レイド基、アミジノ基、グアニジノ基、2−フリル基、
フルフリル基、2−チエニル基、2−テニル基、2−テ
ノイル基、2−ピロリル基、2−ピリジル基、ピペリジ
ノ基、4−ピペリジル基、モルホリノ基、2−モルホリ
ニル基、2−キノリル基、フェニルスルホニル基、メチ
ルアミノ基等が挙げられる。
【0009】上記一般式(1)で表される具体的なフェ
ノール誘導体の例としては、3,4−ジメチルフェノー
ル、3,5−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフ
ェノール、2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメ
チルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、3,4
−ジエチルフェノール、3,5−ジエチルフェノール、
2,5−ジエチルフェノール、2,3−ジエチルフェノ
ール、2,4−ジエチルフェノール、2,6−ジエチル
フェノール、2,6−ジイソプロピルフェノール、2,
6−ジメトキシフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル
フェノール、2,6−ジフェニルフェノール、2,6−
ジクロロフェノール、2−メトキシ−6−メチルフェノ
ール、2−フルオロ−6−メチルフェノール、4−ヒド
ロキシ−3,5−ジメチル安息香酸、4−ヒドロキシ−
2,5−ジメチル安息香酸、4−ヒドロキシ−2,3−
ジメチル安息香酸、4−ヒドロキシ−2,6−ジメチル
安息香酸、4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシ安息香
酸、4−ヒドロキシ−2,5−ジメトキシ安息香酸、4
−ヒドロキシ−2,3−ジメトキシ安息香酸、4−ヒド
ロキシ−2,6−ジメチル安息香酸、4−ヒドロキシ−
3,5−ジフェニル安息香酸等が挙げられる。
【0010】本発明に係わるラッカーゼは、種々の起源
のラッカーゼが使用でき、特に制限はなく全てのラッカ
ーゼが含まれるが、好ましいものとして植物由来、細菌
由来、坦子菌類由来のものが挙げられ、例えばウルシの
木から得られるラッカーゼ、Pyricularia 、Pleurotus
、Pycnoporus、Polystictus 、Coriolus、Bjerkandera
、Neurospora属の微生物から得られるラッカーゼ類を
挙げることができる。とくに、Pyricularia oryzae、Py
cnoporus coccineus、Coriolus vercicolor 、Pleurotu
sostreates起源のラッカーゼを好ましく使用できる。
【0011】本発明に係わるペルオキシダーゼは、種々
の起源のペルオキシダーゼが使用でき、特に制限はなく
全てのペルオキシダーゼが含まれるが、好ましいものと
して植物由来、細菌由来、坦子菌類由来のものが挙げら
れ、とくに好ましいものとして西洋わさび由来、大豆由
来のものが挙げられる。
【0012】本発明による製造方法において、酵素触媒
にペルオキシダーゼを使用する場合、ペルオキシダーゼ
の基質としてフェノール誘導体の他に過酸化物を使用し
なければならない。使用する過酸化物は、好ましくは過
酸化水素、過酸化水素メチル、過酸化水素エチルである
が、とくに好ましくは過酸化水素が挙げられる。このと
き、過酸化物はフェノール誘導体と等モル量必要であ
り、過酸化物の少量をフェノール誘導体を溶解した有機
溶媒−水混合溶液中に徐々に添加することで反応を行う
方法が好ましい。
【0013】本発明による製造方法は、有機溶媒を用い
ることを特徴とし、親水性有機溶媒、疎水性有機溶媒の
いずれも使用することができる。親水性有機溶媒の代表
例としては、メタノール、エタノール、ジオキサン、テ
トラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド
(DMF)、アセトン、メチルエチルケトン(ME
K)、n- プロパノール、イソプロパノール、tert- ブ
チルアルコールが挙げられる。また、疎水性有機溶媒の
代表例としては、ベンゼン、トルエン、酢酸エチル、ク
ロロホルムが挙げられる。
【0014】本発明による製造方法において、反応溶媒
として使用される有機溶媒- 水混合溶媒中の水溶媒は、
水でもよいが、酵素反応がpHの影響を受けることから
緩衝液を採用することが好ましい。pHの範囲は、4〜
12の範囲が好ましく、このpH範囲であれば、例えば
化学便覧に記載の全ての緩衝液を用いることができる
が、とくに酢酸塩緩衝液、リン酸塩緩衝液、炭酸塩緩衝
液が有用である。
【0015】本発明による製造方法において、反応溶媒
として使用される有機溶媒−水混合溶媒中の有機溶媒と
水溶媒との体積比は、1:10〜10:1、好ましく
は、1:2〜2:1である。最適な体積比は、フェノー
ル誘導体の種類、使用する有機溶媒の種類、使用する緩
衝液のpHと緩衝液の塩の種類により異なる。
【0016】本発明による製造方法において、有機溶媒
に親水性有機溶媒と疎水性有機溶媒の両方を使用すると
きは、親水性有機溶媒と疎水性有機溶媒との体積比は、
1:10〜10:1、好ましくは、1:2〜2:1であ
る。このとき、水−親水性有機溶媒ー疎水性有機溶媒か
らなる混合溶媒が2層に分離するとしても本反応にはな
んら問題はない。また、親水性有機溶媒と疎水性有機溶
媒の最適な体積比は、フェノール誘導体の種類、使用す
る有機溶媒の種類、使用する緩衝液のpHと緩衝液の塩
の種類により異なる。
【0017】本発明による製造方法において、反応系へ
の酵素触媒の添加量は、用いる酵素触媒の酵素活性によ
り適宜加減すればよいが、好ましくは、一般式(1)で
表される化合物に対して、0.1〜100重量%程度、
さらに好ましくは、0.5〜10重量%とすればよい。
【0018】本発明によるフェノール誘導体の反応に
は、多くの異なる方法を利用することができる。例え
ば、フェノール、酵素の溶液を個々に調製した後に同一
容器中に注入してもよいし、フェノール誘導体の溶解液
に酵素を添加してもよい。この他にも種々の組み合わせ
が可能であるが、酵素が不活性化するような方法は好ま
しくない。
【0019】本発明によるフェノール誘導体の反応温度
は、本反応が酵素反応に基づくことから、酵素の活性を
不活性化しない温度であることが望ましい。反応温度
は、−10〜100℃が好ましく、とくに好ましくは、
10〜60℃が好ましい。酵素は、反応温度が高すぎる
と活性を失う。しかしながら、使用される溶剤により反
応温度の許容範囲が異なり、溶剤によっては酵素を安定
化するので高い反応温度の採用が可能となる。
【0020】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明の範囲が、これらの実施例によって限定され
るものではない。 実施例−1 反応溶媒にアセトン10ミリリットル、酢酸緩衝液(p
H5)20ミリリットルを用い、4−ヒドロキシ−3,
5−ジメトキシ安息香酸0.496gを溶解した。この
溶液をマグネティックスターラーでかき混ぜ、Pycnopor
us coccineus由来のラッカーゼ水溶液250マイクロリ
ットル(3mgのタンパク質を含む)を添加した。溶液
は、かき混ぜを継続し、大気中、室温にて重合を行っ
た。24時間後、反応液をエバポレ−タ−で濃縮除去
し、メタノールを加えてろ過することでメタノール不溶
物を得た。メタノール不溶物は、水洗後、再度メタノー
ルで洗浄して乾燥した。得られた試料は0.304gで
あった。13C−NMR分析、電解脱離イオン化−マスス
ペクトル(FD−MS)分析の結果、得られたポリマー
試料は片末端がカルボキシル基、片末端が水酸基である
オキシ−1,4−フェニレン構造であることを確認し
た。また、GPC分析より求めた分子量はポリスチレン
換算で8,000であった。
【0021】実施例−2 有機溶媒12.5ミリリットル、酢酸緩衝液(pH5)
12.5ミリリットルの混合液を反応溶媒として用いた
以外は、実施例−1同様の操作を行った。有機溶媒に
1,4−ジオキサンを用いた場合、ポリマー試料は0.
325g得られ、分子量は2,700であった。有機溶
媒にメタノールを用いた場合、ポリマー試料は0.23
7g得られ、分子量は2,400であった。有機溶媒に
エタノールを用いた場合、ポリマー試料は0.243g
得られ、分子量は2,800であった。有機溶媒にアセ
トニトリルを用いた場合、ポリマー試料は0.306g
得られ、分子量は3,800であった。有機溶媒にTH
Fを用いた場合、ポリマー試料は0.319g得られ、
分子量は3,700であった。有機溶媒にMEKを用い
た場合、ポリマー試料は0.235g得られ、分子量は
3,400であった。
【0022】実施例−3 酵素として西洋ワサビペルオキシダーゼ5mgを用い、
30%過酸化水素水溶液283マイクロリットルを6時
間かけて添加した以外は、実施例−1同様の操作を行っ
た。得られたポリマー試料は0.232g、分子量は
2,400であった。
【0023】実施例−4 反応溶媒としてアセトン10ミリリットル、クロロホル
ム15ミリリットル、酢酸緩衝液(pH5)20ミリリ
ットルを添加した以外は、実施例−1と同様の操作を行
った。得られたポリマー試料は0.312g、分子量は
18,000であった。
【0024】実施例−5 4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル安息香酸0.166
gをアセトンと酢酸緩衝液(pH5)の混合溶媒10ミ
リリットル(体積比1対1)に溶解した。この溶液をマ
グネティックスターラーでかき混ぜ、Pycnoporus cocci
neus由来のラッカーゼ水溶液100マイクロリットル
(1.2mgのタンパク質を含む)を添加した。以下、
実施例−1と同様の操作をおこなってポリマー試料0.
108gを得た。13C−NMR分析、FD−MS分析の
結果、得られたポリマー試料は片末端がカルボキシル
基、片末端が水酸基であるオキシ−1,4−フェニレン
構造であることを確認した。また、分子量は1,800
であった。
【0025】実施例−6 4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル安息香酸0.166
gをアセトンと酢酸緩衝液(pH5)の混合溶媒10ミ
リリットル(体積比4対6)に溶解した。この溶液をマ
グネティックスターラーでかき混ぜ、Pyricularia oryz
ae由来のラッカーゼ2mgを添加した。以下、実施例−
1と同様の操作をおこなってポリマー試料0.108g
を得た。分子量は3,900であった。
【0026】実施例−7 2,6−キシレノール0.305gをアセトンと酢酸緩
衝液(pH5)の混合溶媒25ミリリットル(体積比4
対6)に溶解した。この溶液をマグネティックスターラ
ーでかき混ぜ、Pycnoporus coccineus由来のラッカーゼ
水溶液250マイクロリットル(3mgのタンパク質を
含む)を添加した。溶液は、かき混ぜを継続し、大気
中、室温にて重合を行った。24時間後、反応液をエバ
ポレーターで濃縮除去し、残さをクロロホルムに溶解し
た。クロロホルム溶液を大量のメタノールに滴下してポ
リマーを沈澱として分離した。得られたポリマー試料は
0.174g、分子量は2,700であった。
【0027】実施例−8 有機溶媒としてアセトニトリル、1,4−ジオキサン、
エタノール、メタノールを使用した以外は、実施例−7
同様の操作を行った。有機溶媒にアセトニトリルを用い
た場合、ポリマー試料は0.140g得られ、分子量は
3,700であった。有機溶媒に1,4−ジオキサンを
用いた場合、ポリマー試料は0.186g得られ、分子
量は3,000であった。有機溶媒にエタノールを用い
た場合、ポリマー試料は0.146g得られ、分子量は
3,300であった。有機溶媒にメタノールを用いた場
合、ポリマー試料は0.070g得られ、分子量は3,
300であった。
【0028】実施例−9 酵素として西洋ワサビペルオキシダーゼ5mg、30%
過酸化水素水溶液283マイクロリットルを6時間かけ
て添加した以外は、実施例−7と同様の操作を行った。
得られたポリマー試料は0.085g、分子量は2,9
00であった。
【0029】実施例−10 4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシ安息香酸0.24
8g、4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル安息香酸0.
166gをアセトンと酢酸緩衝液(pH5)の混合溶媒
20ミリリットル(体積比1対1)に溶解した。この溶
液をマグネティックスターラーでかき混ぜ、Pycnoporus
coccineus由来のラッカーゼ水溶液200マイクロリッ
トル(2.4mgのタンパク質を含む)を添加した。以
下、実施例−1と同様の操作をおこなってポリマー試料
0.229gを得た。分子量は4,600であった。13
C−NMR分析の結果、得られたポリマー試料はランダ
ム共重合体であることを確認した。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、フェノール誘導体を酵
素触媒の存在下有機溶媒−水混合溶媒中で反応させるこ
とによりポリフェニレンオキシドを製造することができ
る。反応溶媒に有機溶媒−水の混合溶媒を使用すること
で反応は高収率で進行し、水を溶媒として使用する従来
法に比べて優れている。また、酵素を触媒とすることに
より、従来法に見られるように金属塩のごとき化合物を
使用せずにすみ、省エネルギー、無公害という点で優れ
ている。また、有機溶媒種や有機溶媒- 水混合溶媒の比
率などの反応条件を変化させることで様々な分子量のポ
リマーを簡単に製造することが可能である点で優れてい
る。さらに、4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシ安息
香酸や4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル安息香酸等か
ら得られるポリマーは、片末端がカルボキシル基、片末
端が水酸基の構造を有しており、例えば、アルコール性
化合物とのエステル化反応や、分子内縮合による環状化
など反応性ポリマーとして有用である。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェノール誘導体を酵素触媒の存在下、
    有機溶媒対水の体積比が1対10以上の有機溶媒- 水混
    合溶媒中で反応させることを特徴とするポリフェニレン
    オキシドの製造方法。
  2. 【請求項2】酵素触媒がラッカーゼである請求項1記載
    の製造方法。
  3. 【請求項3】酵素触媒がペルオキシダーゼである請求項
    1記載の製造方法。
  4. 【請求項4】フェノール誘導体とペルオキシダーゼとを
    混合し、徐々に過酸化物を添加する請求項3記載の製造
    方法。
  5. 【請求項5】過酸化物が過酸化水素である請求項4記載
    の製造方法。
  6. 【請求項6】フェノール誘導体の置換基がヒドロキシ
    基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン
    原子、ニトロ基、シアノ基、アシル基、スルホニル基、
    置換アミノ基、アシルオキシ基、スルホニルオキシ基か
    ら選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 フェノール誘導体が、シリンガ酸、4−
    ヒドロキシ−3,5−ジメチル安息香酸、2,6- キシ
    レノールから選ばれる少なくとも1種である請求項1記
    載の製造方法。
  8. 【請求項8】有機溶媒が親水性有機溶媒である請求項1
    記載の製造方法。
  9. 【請求項9】有機溶媒が疎水性有機溶媒である請求項1
    記載の製造方法。
  10. 【請求項10】有機溶媒が親水性有機溶媒と疎水性有機
    溶媒の混合溶液である請求項1記載の製造方法。
  11. 【請求項11】反応がpH4から12の範囲で行われる
    請求項1記載の製造方法。
  12. 【請求項12】製造されるPPOの分子量が、1,00
    0から20,000の範囲である請求項1記載の製造方
    法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006290989A (ja) * 2005-04-08 2006-10-26 Dainippon Ink & Chem Inc エポキシ樹脂硬化剤及びエポキシ樹脂硬化物、並びにポリフェノールの製造方法

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JP2006290989A (ja) * 2005-04-08 2006-10-26 Dainippon Ink & Chem Inc エポキシ樹脂硬化剤及びエポキシ樹脂硬化物、並びにポリフェノールの製造方法

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