JPH09101807A - カオス制御装置 - Google Patents

カオス制御装置

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Publication number
JPH09101807A
JPH09101807A JP7259763A JP25976395A JPH09101807A JP H09101807 A JPH09101807 A JP H09101807A JP 7259763 A JP7259763 A JP 7259763A JP 25976395 A JP25976395 A JP 25976395A JP H09101807 A JPH09101807 A JP H09101807A
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JP
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signal
fractal
function
brown
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Application number
JP7259763A
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English (en)
Inventor
Hiroyoshi Nomura
博義 野村
Hiroshi Kuzumi
洋 九津見
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 自然界に見られるゆらぎや不規則な変化を模
倣した制御を行う。 【解決手段】 自然界に見られるゆらぎや不規則な変化
の多くは,フラクタル構造や1/f特性を持つことが知
られている。フラクタル・ブラウン関数は,フラクタル
次元を指定することにより,その次元値に応じた構造を
持つ信号を生成することができ,さらにその信号は1/
f特性を持つ。この信号に基づいて制御を行うことによ
り,自然界のゆらぎを機器に取り込むことができ,薪や
炭を用いたような加熱調理や,快適空調が実現できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,家電,映像,FA
機器等に用いられる制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年,非線形制御技術のひとつとして,
カオス理論やフラクタル理論に基づく制御が注目を集め
ている。これらは,自然界や生体にあるようなゆらぎを
積極的に機器に取り込み,さらなる機能向上を目指すも
のである。
【0003】カオス制御装置の従来技術の一例として扇
風機を取り上げ,従来技術の説明をする。従来のカオス
制御装置を用いた扇風機の制御回路の概略を図8に示
す。101はゆらぎ信号を発生するカオス信号発生回
路,102はカオス信号発生回路101から出力された
信号にしたがってモータを駆動するファンモータ駆動回
路,103は扇風機のプロペラを回転させるファンモー
タである。
【0004】以上のような構成により,カオス信号発生
回路101から発生した信号にしたがって,ファンモー
タ駆動回路102はファンモータ103を回転させる。
【0005】カオス信号発生回路101の構成として
は,以下の数式を計算する電気回路がよく用いられる。
【0006】
【数1】
【0007】ただし,ここでの x(i) は i 番目の出力
信号を示す。この数式の計算を繰り返すことによりカオ
ス信号 x(i) が発生できる。ただし,初期値 x(0) は適
当に与える。(数1)の関数はロジスティック関数と呼
ばれる関数であり,カオスを発生する基本的な関数とし
てよく知られている。(文献:長島弘幸,馬場良和:
「カオス入門 現象の解析と数理」,培風館 参照)カ
オス信号を発生する関数はこれ以外にも,テント写像や
ベルヌーイシフトなど多く知られており,これらのいず
れかを使うことにより,比較的小さい規模の演算回路で
カオス信号を発生できる。
【0008】なお,カオス信号発生回路101として,
メモリ(ROM)が用いられることもある。これは,工場出
荷前に適当なカオス信号を(数1)等の数式で発生さ
せ,そのパターンをメモリ内に記憶させておく方式であ
り,メモリ内にあらかじめ記憶されているパターンを繰
り返し読み出し,出力する事により,カオス信号を発生
する。 このような構成により,従来のカオス制御装置
では扇風機のプロペラの回転速度を不規則にゆらがせる
ことができ,一定回転速度でプロペラを回転させる扇風
機よりも,高い快適性を得ることができると言われてい
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,このよ
うな従来のカオス制御装置では,必ずしも十分に適当な
ゆらぎを生成しているとはいえない。
【0010】一般に,人間が快適であると言われている
自然界中の風量や温度変化は,フラクタル構造を持ち,
そのパワースペクトラムが1/f特性を持つことが知ら
れている。ここでの1/f特性とは,対象とする信号の
パワースペクトラムが周波数の逆数にほぼ比例する関係
のことを示しており,1/f特性のfとは周波数のこと
を指している。
【0011】しかし,上述したロジスティック関数(数
1)や,テント写像,ベルヌーイシフト等は,ランダム
に近い信号しか出力できず,自然界のゆらぎが持つよう
なフラクタル構造を持たない。また,これらの信号のパ
ワースペクトラムは,基本的に1/f特性と異なる周波
数特性を持つ。これらのことより,従来のカオス制御装
置では,自然界にあるようなゆらぎ信号を発生すること
ができないとういう課題も有していた。
【0012】本発明は,上記した従来の課題を解決する
もので,比較的簡単な構成で,1/f特性を持つ信号を
発生し,かつ,フラクタル構造の大きさ(ゆらぎの大き
さや粗さ)を直接設定できるようなカオス制御装置を提
供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】フラクタル・ブラウン関
数もしくはブラウン関数にしたがって時系列信号を発生
するフラクタル信号発生部を備え,フラクタル信号発生
部からの出力信号に基づき対象を制御する。
【0014】
【発明の実施の形態】自然界に見られるゆらぎや不規則
な変化の多くは,フラクタル構造や1/f特性を持つこ
とが知られている。フラクタル・ブラウン関数やブラウ
ン関数を計算し,それに基づいて制御を行うことによ
り,自然界のゆらぎを機器に取り込むことができ,薪や
炭を用いたような加熱調理や,快適空調などが実現でき
る。
【0015】(実施例1)図1は,本発明の第一の実施
例におけるカオス制御装置の構成図を示すものである。
図1において,1はフラクタル・ブラウン関数に基づき
ゆらぎ信号を発生するフラクタル信号発生部,2は信号
のトレンドを生成する目標値設定部,3はフラクタル信
号発生部1での演算に必要な計算用メモリ,4は計算用
メモリ3の内容を一時的に蓄えかつ所定の時間間隔でそ
の内容を順に出力するバッファである。以上のように構
成されたカオス制御装置について,その動作を説明す
る。
【0016】自然界に見られるゆらぎや不規則にみえる
変化の多くは,フラクタル構造や1/f特性を持つこと
が知られている。フラクタル構造とは,ある図形や信号
の一部を拡大したものが,その全体に類似しているよう
な構造(自己相似構造)のことを指す。例えば,海岸線
や雲などの形状や,心地よいとされる自然中の風の強さ
や温度変化等は,フラクタル構造を持つことが知られて
いる。
【0017】本発明では,このような自然界に存在する
フラクタル構造を持つゆらぎを,機器制御に取り込むた
めに,フラクタルブラウン関数を用いる。フラクタルブ
ラウン関数は,確率的規則の反復によって生成されるラ
ンダムフラクタルの一種であり,フラクタル次元の値を
指定することにより,その値に応じた構造のフラクタル
信号を生成でき,さらに生成された信号は1/f特性を
持つ。(文献 H. Peitgen, H. Jurgens, D. Saupe : "C
haos and Fractals New frontiers of science", Sprin
ger-Verlag, 1992 参照)ここでのフラクタル次元と
は,対象システムのフラクタル構造を定量的に示す値で
ある。一般にフラクタル構造をもつゆらぎは,非整数の
フラクタル次元値を持ち,その値が大きくなるほど複雑
な構造を持つと言われている(上記文献参照)。
【0018】本実施例の構成でフラクタル・ブラウン関
数を発生する時の手順を以下に示す。今,発生する信号
を X(t) と表し,まず,時刻 0 から時刻 T までの信号
X(t) をフラクタルブラウン関数で生成することを考え
る。これらの信号の値,X(t), t=0,...,T は計算用メモ
リ3に記憶する。
【0019】まず,目標値設定部2で初期設定として,
X(0) と X(T) の値を設定する。これらの値は入力され
た制御目標値 r やセンサ入力 r' にしたがって設定す
る。例えば,センサから得られる現在の状態 r' が制御
目標値 r よりも下回っている場合,信号のトレンドを
増加傾向にし,X(0)<X(T) に設定する。また,センサか
ら得られる現在の状態 r' が制御目標値 r よりも上回
っている場合,信号のトレンドを減少方向にするため,
X(0)>X(T) と設定する。さらに,X(T)-X(0) をr-r' に
比例させるように設定しても良い(ただし,ここでのト
レンドとは,発生する信号の持つゆらぎ成分の周期と比
較して十分長い,比較的長期的で持続的な変化のことを
指す。)。
【0020】次に,フラクタル信号発生部1により,デ
ータの間に新たにデータを追加する操作を繰り返し行
い,ゆらぎ信号を計算用メモリ3内に生成する。具体的
には,まず,X(0) と X(T)の初期設定の後,図2(a)
のように X(0) と X(T) の間にX(T/2) を追加する。X(T
/2) の値は次のように計算する。
【0021】
【数2】
【0022】ただし,D1 = S1 * R であり,S1 はスケ
ーリングファクタ,R は正規乱数である。S1 は例えば
次のように設定する。
【0023】
【数3】
【0024】ただし,sqr(・)は平方根演算を示す。ま
た,H は Hurst exponent と呼ばれる変数であり,あら
かじめ指定しておくフラクタル次元の値 FD から,H =
2 -FD で求める。
【0025】この計算の後,次に,X(0), X(T/2),X(T)
それぞれの間に,X(T/4), X(3T/4)を追加する。計算方
法は上記した方法とほぼ同じであり,以下の式で計算す
る。
【0026】
【数4】
【0027】ただし,D21 = S2 * R, D22 = S2 * R で
あり,S2 は S2 = 1/2H * S1 とする。
【0028】さらに,次に,新規データ X(T/8), X(3T/
8), X(5T/8), X(7T/8) を計算し,データの間に追加し
ていく。
【0029】
【数5】
【0030】ただし,D31 = S3 * R, ..., D34 = S3 *
R であり,S3 = 1/2H * S2 である。
【0031】このような計算を,例えば8回数繰り返す
と,28+1=257個のデータからなる信号が計算用メモリ3
内に生成されることになる。ただし,ここでの計算回数
は,信号発生のサンプルタイム等を考慮して事前に決定
しておく必要がある。図2(b)にこの計算を8回繰り
返した時の,信号の生成過程を示す。
【0032】このような手順によりフラクタル信号発生
部1により生成された計算用メモリ3内のデータ列(信
号)は,指定したフラクタル次元 FD に対応する構造を
持ち,かつ1/f特性を持つ。
【0033】フラクタル信号計算部1で以上のような演
算を所定回数繰り返し行った後(ここでは8回とす
る),フラクタル信号計算部1は,計算用メモリ3の内
容(257個のデータ)をすべてバッファ4に転送する。
バッファ4は,フラクタル信号計算部1で生成した信号
を,一定の時間間隔で途切れなく出力させるための一時
的な記憶回路であり,計算用メモリ3と同様にRAMとそ
の入出力回路で構成されている。バッファ4はデータが
転送された後,一定の時間間隔でデータを一つずつ出力
する。
【0034】フラクタル信号計算部1は,データのバッ
ファ4への転送後,X(0),X(T)の初期設定の演算に戻
り,上述した演算を繰り返し行い,計算用メモリ3に信
号を再度生成する。そして,バッファ4内のデータがす
べて出力されてしまった時に,計算用メモリ3の計算結
果をバッファ4に再度転送するような動作を繰り返す。
この動作により,途切れなくバッファ4から信号を出力
させることができる。
【0035】以上のように,本実施例によれば,フラク
タル信号発生部1を用いてフラクタル・ブラウン関数を
発生させることにより,指定したフラクタル次元に対応
する構造をもち,さらに1/f特性を持つような信号を
連続的に出力することができる。この装置を用いること
により,自然界にあるようなゆらぎと同様な信号を発生
させることができ,例えば,この信号に従って空調機器
の目標温度やファンの回転速度などを変化させることに
より,従来よりも快適な空調が実現される。
【0036】(実施例2)図3は,本発明の第二の実施
例におけるカオス制御装置の構成図を示すものである。
図3において,11はブラウン関数に基づきゆらぎ信号
を発生するブラウン信号発生部,12はブラウン信号発
生部11の出力にトレンドを持たせるためのトレンド付
加部である。以上のように構成されたカオス制御装置に
ついて,その動作を説明する。
【0037】上述したように自然界に見られるゆらぎや
不規則にみえる変化の多くは,フラクタル構造や1/f
特性を持つことが知られている。この自然界のゆらぎを
機器に行わせるために,フラクタル・ブラウン関数を用
いる方法を実施例1で述べた。しかし,実施例1の信号
発生装置は,信号生成アルゴリズムが一定量の信号をま
とめて作る方式であるため,計算用メモリやバッファを
用いなければ,信号を時間的に連続して発生することが
できない。また,その計算用メモリやバッファの容量を
小さくしすぎると,発生する信号に周期的な成分が大き
くなり,周波数特性が1/f特性でなくなるという問題
点が発生する。したがって,計算用メモリやバッファな
どをなくすことや,それらのメモリ容量を小さくするこ
ともできず,コスト面での問題があった。
【0038】この問題を解決するための方法として,本
実施例では,ブラウン関数を用いて信号を発生する装置
を説明する。ブラウン関数とは,フラクタル次元値が
1.5の時のフラクタル・ブラウン関数のことである。ブ
ラウン関数は信号発生のアルゴリズムが非常に簡単であ
り,簡単な回路構成で,フラクタル構造を持ちさらに1
/f特性を持つような信号を生成できる。
【0039】以下,図3を用いて本実施例の動作を詳細
に説明する。図3のブラウン関数生成部11では,以下
の式に基づいて信号を発生する。
【0040】
【数6】
【0041】ただし,R は正規乱数を示す。この式によ
り,任意の長さの時系列信号を発生できる。ただし,X
の初期値 X(0) は事前に適当な値に設定する。
【0042】しかし,この式だけによる演算では,信号
にトレンドを持たせることができず,また,場合によっ
ては望ましくないトレンドが発生することがある。これ
を回避するためにトレンド付加部12を用いる。トレン
ド付加部12では,入力された目標値 r やセンサ出力
r' およびブラウン信号発生部11にしたがって,トレ
ンドを信号に付加する。例えば,センサから得られる現
在の状態 r' が目標値r よりも下回っている場合,ブラ
ウン信号発生部11の出力に所定量 ΔT(>0)を一定の時
間間隔毎に付加し,トレンドを増加傾向にする。また,
センサから得られる現在の状態 r' が目標値 r よりも
上回っている場合,信号のトレンドを減少方向にするた
め,ΔT'(<0) を付加する。また,ブラウン信号発生部
11の出力が所定の範囲外になったときは,信号に適切
でないトレンドが発生したと判断し,X の値を強制的に
所定値(例えば X=0)に設定する。
【0043】本実施例の構成により発生した信号を,図
4(a)に示す。図4(a)の信号は簡単のためトレンドをゼ
ロ(ΔT=0)としたときの波形である。本実施例によりゆ
らぎ信号が生成できていることがわかる。また,図4
(b)は,この信号のパワースペクトラムを示したもので
ある。図4(b)は両対数のグラフにプロットしたもの
で,すこしばらつきはあるもの,直線近似が可能であ
り,Log(パワー) と Log(周波数)が比例関係にあること
がわかる。この比例関係の比例定数は図よりほとんどー
1であり,このことより,パワースペクトラムがほぼ完
全な1/f特性を持つことがわかる。
【0044】以上のように,ブラウン信号発生部11と
トレンド付加部12を用いてブラウン関数を発生させる
ことにより,フラクタル次元値 1.5 で1/f特性を持
つような信号を出力することができる。本発明を用いる
ことにより,簡単な構成で,自然界にあるゆらぎと同様
な信号を発生させることができ,この信号にしたがって
空調機器の目標温度やファンの回転速度などを変化させ
ることにより,従来よりも快適な空調が実現される。た
だし,本実施例の構成ではフラクタル次元の値が 1.5
と固定であるため,実施例1と比較して自由度が低く,
必ずしもすべての自然界のゆらぎを模倣できるとはいえ
ない。しかし,発生回路の構成が簡単になるという利点
がある。
【0045】(実施例3)図5は,本発明の第三の実施
例におけるカオス制御装置の構成図を示すものである。
本実施例は,フラクタル・ブラウン信号を利用した加熱
調理装置を示しており,加熱調理にゆらぎ制御を用いる
点と,調理プロセスに応じて加熱のゆらぎを変化させる
点がポイントである。
【0046】図5において,1はフラクタル・ブラウン
関数に基づきゆらぎ信号を発生するフラクタル信号発生
部,2は信号のトレンドを生成する目標値設定部,3は
フラクタル信号発生部1での演算に必要な計算用メモ
リ,4は計算用メモリ3の内容を一時的に蓄えかつ所定
の時間間隔でその内容を順に出力するバッファであり,
以上は,図1の構成と同様なものである。図1の構成と
異なるのは,食品を加熱するヒータ21と,バッファ4
の出力に応じてヒータ21の発熱量を制御するヒータ駆
動回路22と,食品あるいは食品近傍の温度を測定する
温度センサ23と,温度センサ23の出力や制御目標値
に基づき,発生する信号のフラクタル次元を変化させる
ゆらぎ制御部24を備えた点である。
【0047】上述したように,自然界に見られるゆらぎ
や不規則にみえる変化の多くは,フラクタル構造や1/
f特性を持つことが知られている。加熱調理に関する自
然界の熱源についても同様であり,ゆらぎが発生する熱
源は少なくない。特に,薪や炭などの発熱には,比較的
大きなカオス的ゆらぎが発生することが知られている。
【0048】食味評価に関するいくつかの実験では,炊
飯においては,炊飯器よりはかまどで薪をくべて炊いた
方が美味しいという結果や,焼魚などの焼き物において
は,オーブンレンジよりは炭火で焼いた方が美味しいと
いう結果が出ている。これらの知見に従うと,炊飯器や
オーブンレンジ等の加熱調理装置においても,自然界に
ある熱源の特徴を模倣した加熱をすることにより,優れ
た調理結果を得ることができると考えられる。本実施例
では,フラクタル・ブラウン関数を用いてヒータを制御
することにより,自然界にある熱源に近い加熱を実現す
る。ただし,薪や炭などの発熱のゆらぎは,時間的に変
動する要素が多く,実施例1の構成をそのまま用いるだ
けでは十分でない場合もある。本実施例では,加熱調理
装置の加熱プロセスに応じてゆらぎの度合いを制御する
装置を示す。
【0049】図5を用いて,本実施例の動作を詳細に説
明する。図5の点線で囲まれた部分(フラクタル信号発
生部1,目標値設定部2,計算用メモリ3,バッファ
4)は,図1の構成と同様の動作を行う。異なる部分
は,まず,バッファ4から出力された信号の電力をヒー
タ駆動回路22で増幅し,ヒータ21を制御する部分
と,ヒータ21によって加熱される食品(あるいは食品
近傍)の温度を検出する温度センサ23の出力結果に応
じて,ゆらぎの度合いを変化させるゆらぎ制御部24で
ある。
【0050】薪や炭などの発熱は,火力が大きくなるほ
ど,ゆらぎが激しくなる傾向がある。したがって,本実
施例では,ヒータの出力に対応する「目標値(目標温
度)と温度センサ23の出力」から,ゆらぎ制御部24
によりゆらぎの度合いを決定する。ゆらぎ制御部24の
出力はフラクタル次元の値 FD である。実施例1では,
発生する信号のフラクタル次元値を固定の値として設定
していたが,本実施例では,ゆらぎ制御部24により,
加熱調理中に可変となる。
【0051】具体的な変化方法としては,調理プロセス
の最初の段階のように,目標温度と温度センサ23の検
出結果の差が大きい状態ならば,実施例1で述べたよう
にヒータの出力は目標設定部2により増加傾向になるた
め,ゆらぎ制御部24は出力するフラクタル次元値を大
きくする。逆に,調理プロセスの後半の段階のような,
目標温度と検出結果の値が近い状態ではヒータの出力は
あまり大きくならないので,ゆらぎ制御部24は小さな
フラクタル次元値を出力する。ただし,ここでのフラク
タル次元の値域は [1,2] であり,図6のように次元値
FD が大きいほどゆらぎが荒く大きくなる。
【0052】この制御により,調理プロセスの最初の段
階(食品が十分に加熱されていない状態で,ヒータ出力
も大きい)では,ゆらぎを大きくし(例えば図6 フラク
タル次元 FD=1.7),調理プロセスの後半(食品がかなり
調理されている状態で,ヒータ出力が小さい)では,ゆ
らぎを小さく(例えば図6 フラクタル次元 FD=1.3),な
めらかな温度変化にするような制御が実現できる。
【0053】以上のように,本実施例によれば,フラク
タル信号発生部1とゆらぎ制御部24を設けることによ
り,センサ出力や制御目標値などからフラクタル次元を
決定し,その値に応じたフラクタル・ブラウン関数を生
成できる。これにより,制御のプロセスや制御対象の状
態に応じて,ゆらぎの大きさを制御する事ができ,例え
ば,加熱調理機器などにおいては,調理プロセスの前半
はゆらぎを粗く大きくし,後半においては,ゆらぎをな
めらかにするような制御ができる。これにより,薪や炭
などのような加熱が炊飯器やオーブンレンジなどでも実
現できる。
【0054】なお,本発明でのカオス制御装置は,加熱
調理機器だけでなく,扇風機やエアコンなどの空調機器
へも応用可能である。例えば,扇風機の場合。図7よう
な構成にして,ファンモータ駆動回路102とファンモ
ータ103を接続することにより,ユーザの入力した風
量の目標値とゆらぎの度合いに基づき,適したゆらぎを
持つ送風が可能となる。この扇風機の場合でも,室温セ
ンサを用いて,上述した加熱調理機器と同様に,センサ
の検出結果によりゆらぎを変化させるようにしても良
い。
【0055】
【発明の効果】自然界に見られるゆらぎや不規則な変化
の多くは,フラクタル構造や1/f特性を持つことが知
られている。以上説明したように,フラクタル・ブラウ
ン関数やブラウン関数を計算し,それに基づいて制御を
行うことにより,自然界のゆらぎと同様な制御を機器に
取り込むことができ,薪や炭を用いたような加熱調理
や,快適空調が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の実施例におけるカオス制御装置の構成を
示す図
【図2】フラクタル・ブラウン信号の作成手順を示す図
【図3】第二の実施例におけるカオス制御装置の構成を
示す図
【図4】ブラウン信号の一例とそのパワースペクトラム
を示す図
【図5】第三の実施例におけるカオス制御装置の構成を
示す図
【図6】フラクタル次元の値を変化させたときの信号を
示す図
【図7】カオス制御装置を空調機器へ応用したときの構
成を示した図
【図8】従来の構成を示した図
【符号の説明】
1 フラクタル信号発生部 2 目標値設定部 3 計算用メモリ 4 バッファ 11 ブラウン信号発生部 12 トレンド付加部 21 ヒータ 22 ヒータ駆動回路 23 温度センサ 24 ゆらぎ制御部
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H05B 3/68 H05B 3/68

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フラクタル・ブラウン関数もしくはブラウ
    ン関数にしたがって時系列信号を発生するフラクタル信
    号発生部を備え,前記フラクタル信号発生部からの出力
    信号にしたがって対象を制御することを特徴とするカオ
    ス制御装置。
  2. 【請求項2】制御対象の状態を観測するセンサと,フラ
    クタル・ブラウン関数にしたがって所定の長さの時系列
    信号を発生するフラクタル信号発生部と,前記フラクタ
    ル信号発生部により作成される時系列信号の初期値と終
    了値を前記センサの出力と制御目標値の少なくとも一方
    にしたがって決定する目標値設定部と,前記フラクタル
    信号発生部から出力された時系列信号を記憶するメモリ
    と,前記メモリ中の時系列信号が所定量に達したときに
    前記メモリ中の全信号を読み込み,一定の時間間隔でそ
    の信号を順次出力するバッファを備えたことを特徴とす
    るカオス制御装置。
  3. 【請求項3】ブラウン関数にしたがって時系列信号を発
    生するブラウン信号発生部と,前記ブラウン信号発生部
    の出力が所定の範囲を超えたときに前記ブラウン信号発
    生部の動作特性を変更するトレンド制御部を備えたこと
    を特徴とするカオス制御装置。
  4. 【請求項4】フラクタル・ブラウン関数により所定の長
    さの時系列信号を発生するフラクタル信号発生部と,前
    記フラクタル信号発生部から出力される時系列信号を記
    憶するメモリと,前記メモリ中の時系列信号が所定量に
    達したときに前記メモリ中の全内容を読み込み,一定の
    時間間隔でその信号を順次出力するバッファと,制御対
    象の状態を観測するセンサと,前記センサの出力と前記
    バッファの出力と制御目標値の少なくともひとつにした
    がって前記フラクタル信号発生部の動作特性を変化させ
    るゆらぎ制御部を備えたことを特徴とするカオス制御装
    置。
  5. 【請求項5】食品を加熱するヒータと,フラクタル・ブ
    ラウン関数もしくはブラウン関数にしたがって時系列信
    号を発生するフラクタル信号発生部と,前記フラクタル
    信号発生部からの出力信号にしたがって前記ヒータの出
    力特性を制御するヒータ制御部を備えたことを特徴とす
    る加熱調理装置。
  6. 【請求項6】フラクタル・ブラウン関数もしくはブラウ
    ン関数にしたがって時系列信号を発生するフラクタル信
    号発生部と,前記フラクタル信号発生部からの出力信号
    にしたがって室温の目標値あるいは送風特性を変化させ
    る空調制御部を備えたことを特徴とする空調装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH1071822A (ja) * 1996-08-30 1998-03-17 Matsushita Electric Ind Co Ltd 自動車用空調装置
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