JP3478032B2 - 自動製パン機 - Google Patents

自動製パン機

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由美子 原
哲也 甲田
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信二 近藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パンを焼くときの
パンの温度分布を良好にし、表面の焼き色を濃くするた
めの加熱出力制御を行う自動製パン機に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来から、パンの焼き色を濃くしたソフ
トパンを焼くために、パン焼きプロセスやパンの材料の
配合に工夫していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の方法で
は、パンの表面に焼き色を付けないとパンの内部の火通
りが悪くなったり、パン焼きに時間がかかるという課題
を有していた。
【0004】本発明は、上記課題に鑑み、加熱制御にカ
オスを用い、パンの温度分布を良好にすることによっ
て、パン表面に焼き色を付けず、かつ、内部の火通りの
良いパン焼き調理を行うことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に本発明は、加熱出力のカオス信号による変化を、パン
焼きプロセスに応じて行う自動製パン機としている。こ
れにより、カオス信号により加熱出力を制御し、熱伝導
経路を不規則に変化させ、パン焼き型内の温度を均一に
するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】請求項1記載の発明は、被調理物
であるパン材料を投入してパンを焼くパン焼き型と、パ
ン焼き型を加熱する加熱部と、パン焼き型の温度を測定
する温度測定手段と、時間を測定する計時手段と、パン
焼きプロセスを記憶しているプロセス記憶手段と、プロ
セス記憶手段によるプロセスと温度測定手段による温度
と計時手段による時間から加熱部の加熱出力を決定する
加熱出力決定手段と、カオス信号を発生するカオス信号
発生手段と、前記カオス信号により前記加熱出力決定手
段から出力された加熱出力を変化させる加熱出力合成手
段と、前記加熱出力合成手段の出力に従って前記加熱部
の加熱出力を制御する制御手段とを備え、前記加熱出力
合成手段がパン焼きプロセスの工程に応じて焼成工程の
内の昇温工程では温度揺らぎを与えながら昇温を行い、
焼成工程の内の温度維持工程では目標温度付近の温度で
温度揺らぎを生じさせる自動製パン器とするものであ
る。
【0007】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明に加えて、加熱出力合成手段は、焼成工程の内の昇温
工程では加熱出力決定手段の出力とカオス信号発生手段
の出力からヒータのオン/オフを出力する自動製パン機
とするものである。
【0008】請求項3記載の発明は、請求項1記載の発
明に加えて、加熱出力合成手段は、焼成工程の内の温度
維持工程では温度測定手段により検出された温度とプロ
セス記憶手段による目標温度との差とカオス信号発生手
段の出力からヒータのオン/オフを出力する自動製パン
機とするものである。
【0009】
【実施例】以下に、本発明の実施例について説明する。
図1は本実施例の自動製パン機のブロック図である。
【0010】図1において、本体1はパンの材料を入れ
パンを焼き上げるパン焼き型2と、加熱手段として働く
ヒータ3、パンをこねるための練り羽根4を備えてい
る。制御手段5はヒータ3に供給する電力を変化させ、
ヒータ3の加熱出力を制御する。
【0011】6はパン焼き型2の温度を検出するサーミ
スタ等の温度制御手段である。プロセス記憶手段10は
パン焼きの調理プロセスを記憶している。加熱出力決定
手段7は調理プロセスに従って加熱出力を決定する。8
はカオス信号を発生するカオス信号発生手段で、加算手
段9にカオス信号を出力している。加算手段9は加熱出
力決定手段7による加熱出力をカオス信号により変化さ
せる、いわゆる加熱出力合成手段である。加算手段9か
らの加熱出力により制御手段5が加熱出力を制御する。
【0012】次に、カオス信号発生手段8の一例につき
説明する。カオス信号を作り出す関数の一例として、下
記の(数1)に示す関数がある。
【0013】
【数1】
【0014】上記(数1)を図に示すと、図2のように
なる。この図2のグラフを用いてカオス信号を発生させ
る方法を説明する。すなわち、初期値Aを(数1)にお
けるF(X)のX値として計算すると、F(X)=X1
となる。このX1を再度F(X)のX値として計算す
る。この結果はF(X)=X2となり、このX2を再び
F(X)のX値として計算し、F(X)=X3なる結果
を得る。上記内容の計算をn回繰り返すと、X1、X
2、X3、・・・XNを得ることができる。つまり、上
記計算を繰り返して得られるXnは、カオス的に変化す
るものであることが知られており、そのデータXNをカ
オス信号として用いることができる。
【0015】具体的な構成を図3により説明する。図3
において、30は初期値入力手段で、初期値AをX値と
して関数演算手段31に出力する。関数演算手段31は
X=Aとして上記関数F(X)を演算し、その演算結果
をカオス信号として出力する。関数演算手段31の演算
結果は記憶手段32に記憶され、この記憶された値を再
び関数演算手段32のX値として入力する構成としてい
る。33は発生回数比較手段で、関数演算手段31で演
算した回数が所定値に達すると関数演算手段31の動作
を停止するものである。
【0016】上記カオス信号発生手段の動作を図4によ
り説明する。まず、n=0、関数F(X)の初期値X0
をA、回数Nの初期値をBとする(ステップ41〜4
3)。次に、F(X)の演算をし、この演算結果を次回
のF(X)のX値、すなわちXn+1として記憶する
(ステップ44)。次に、nの値を1加算し(ステップ
45)、このn値が初期に設定した回数Nに達したかど
うかを判断する(ステップ46)。到達していなけれ
ば、上記ステップ44〜46を繰り返し、到達すればプ
ログラムを終了する。
【0017】上記カオス信号発生手段のカオス信号は図
5に示すように変化し、このカオス信号を用いて加熱信
号を制御すれば、加熱部によりパン焼き型中の被調理物
に熱を与える際の熱伝導の経路を変化させるが、カオス
信号は2度と同じ状態とならないといった軌道不安定性
を持つので、カオス信号により加熱出力を制御すれば、
上述したように熱伝導経路を不規則に変化させ、パン焼
き型内の温度を均一にすることができる。
【0018】なお、上記カオス信号発生手段では、(数
1)に示す関数F(X)を用いたが、この関数以外にも
カオス信号を発生させることができる関数、例えばベル
ヌーイ関数を用いてもよく、また、電気回路でカオス信
号を発生させてもよく、要は、カオス信号を発生できる
ものであればよい。
【0019】さらに、関数としてF(X)の代わりに下
記の(数2)に示す関数G(X)を用い、同様の演算を
行うことでカオス信号の中の間欠性カオス信号を発生す
ることができる。間欠性カオスは1/fの周波特性を持
つため、炭火のような自然の揺らぎを実現し、おいしい
パン焼きを実現できる。
【0020】
【数2】
【0021】ただし、(数2)において、u、zは適当
な実数で、Aは0と1との間の実数である。
【0022】次に、上記自動製パン機の具体的回路構成
を図6により説明する。図において、制御手段5はヒー
タ3を動作させるスイッチをオンオフし、ヒータの加熱
出力を制御する。モータ制御手段11はモータ12を動
作させるスイッチング素子をオンオフし、モータ12を
制御する。このモータ12は図1における練り羽根4を
駆動するようになっている。
【0023】マイクロコンピュータ19は、制御手段5
に制御信号をO1から出力し、モータ制御手段11に制
御信号をO2から出力する。このマイクロコンピュータ
19は、図1で示す加熱出力決定手段7、カオス信号発
生手段8、加算手段9を構成している。なお、図6中の
20はマイクロコンピュータ19等の直流電源を必要と
する回路に電力を供給する直流電源回路である。
【0024】次に、加熱出力決定手段7の動作を説明す
る。使用者は図示されていないスイッチを押してパン焼
きを開始する。プロセス記憶手段10は練り時間、練り
の強さ、発酵温度、発酵時間、焼き温度、焼き時間など
のプロセスパラメータを加熱出力決定手段7に出力す
る。加熱出力決定手段7は計時手段13による時間と、
温度測定手段による温度とを入力しながら、プロセスパ
ラメータに従って加熱出力決定を行いながらパン焼きを
行う。パン焼きプロセスは図7に示すように、練り、発
酵、焼成からなり、焼成工程は昇温工程と温度維持工程
に分かれる。図7は温度測定手段6の各工程における温
度変化を、横軸に時間、縦軸に温度をとって示してい
る。
【0025】次に、加算手段9の動作について説明す
る。加算手段9はパン焼きプロセスに応じて加算動作を
行う。図8に示すように、練り、発酵工程では、加算手
段9は加算手段を行わない。焼成工程のうち、昇温工程
では加算方式1で加算を行い、温度維持工程では加算方
式2で加算を行う。
【0026】図9には加算方式1について示す。加算方
式1は加熱出力決定手段7の出力とカオス信号からヒー
タのオンオフを出力するものである。加熱出力決定手段
7の出力であるヒータのオンオフの情報W1は1/0の
数値で表される。加算手段9の出力W2はW1が0のと
きには0、W1が1のときには前述のカオス信号発生手
段8によるカオス信号F(X)を判定値Wthと比較し
て1か0かを出力する。
【0027】加算方式1によれば、温度揺らぎを与えな
がら昇温を行うことができ、昇温工程においてパン表面
の温度を上げすぎることなく内部温度を上げることがで
きる。
【0028】次に、加算方式2について説明する。加算
方式2は、目標温度に温度制御を行う場合に用いる加算
方式である。温度維持工程において、目標温度Tmと測
定した温度Tsの差をdTとする。すなわち、dT=T
m−Tsである。
【0029】このとき、加算手段9はカオス信号に温度
差dTの影響を加えてヒータのオンオフを決定する。加
算手段9の出力W2は(数3)のように決定される。
【0030】
【数3】
【0031】ここで、gはdTの影響の大きさを決める
ためのゲインである。このように、オンオフを決定する
と、dTが大きいほど、すなわち、目標温度に対して測
定温度が低いほど、オンしやすくなり、逆に、dTが小
さいほど、すなわち、目標温度に対して測定温度が高い
ほど、オフしやすくなる。従って、加算方式2を用いる
と、目標温度付近の温度で温度揺らぎを生じさせること
ができ、温度維持工程において、パン表面を焦がしすぎ
ることがなく、パン内部の温度を上げることができる。
【0032】本実施例においては、ヒータをオンオフす
る方式を用いたが、W2として0/1の代わりに0から
1の間の実数を用い、加熱手段のフルパワーを乗じるこ
とで、加熱出力をワットの単位で表すこともできる。ヒ
ータを用いてその加熱出力を変化させる方法としては、
デューティ制御、あるいはヒータ通電量を変化させる位
相制御等が考えられる。
【0033】
【発明の効果】以上の実施例から明らかなとおり、
明によれば、加熱出力のカオス信号による変化を、パン
焼きプロセスに応じて行う自動製パン機としているの
で、加熱出力を揺らがせて焼き色が薄く、かつ火通りの
良い製パンを行えるものである。さらに、加熱出力合成
手段は、焼成プロセスにおいて加熱出力をカオス信号に
より制御する構成としているので、温度揺らぎを与えな
がら昇温を行うことができ、昇温工程においてパン表面
の温度を上げすぎることなく内部温度を上げることがで
きる。さらに、加熱出力合成手段は、焼成プロセスにお
いて温度測定手段により検出された温度とプロセス記憶
手段による目標温度の差に応じてカオス信号の合成を行
う構成としているので、目標温度付近の温度で温度揺ら
ぎを生じさせることができ、温度維持工程において、パ
ン表面を焦がしすぎることがなく、パン内部の温度を上
げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す自動製パン機のブロック
【図2】本発明の自動製パン機におけるカオス信号を発
生させる関数を示す図
【図3】本発明の自動製パン機におけるカオス信号発生
手段のブロック図
【図4】本発明の自動製パン機におけるカオス信号発生
手段の動作を示すフローチャート
【図5】本発明の自動製パン機におけるカオス信号発生
手段の出力波形図
【図6】本発明の自動製パン機における回路図
【図7】本発明の自動製パン機の動作時のパン焼き型内
の温度変化を示す図
【図8】本発明の自動製パン機の加算手段の動作を示す
【図9】本発明の自動製パン機の加算方式1の動作を示
す図
フロントページの続き (72)発明者 近藤 信二 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−115383(JP,A) 特開 平7−85965(JP,A) 特開 平6−284963(JP,A) 特開 平8−112195(JP,A) 特開 平6−89106(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A47J 37/00 301

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被調理物であるパン材料を投入してパン
    を焼くパン焼き型と、パン焼き型を加熱する加熱部と、
    パン焼き型の温度を測定する温度測定手段と、時間を測
    定する計時手段と、パン焼きプロセスを記憶しているプ
    ロセス記憶手段と、プロセス記憶手段によるプロセスと
    温度測定手段による温度と計時手段による時間から加熱
    部の加熱出力を決定する加熱出力決定手段と、カオス信
    号を発生するカオス信号発生手段と、前記カオス信号に
    より前記加熱出力決定手段から出力された加熱出力を変
    化させる加熱出力合成手段と、前記加熱出力合成手段の
    出力に従って前記加熱部の加熱出力を制御する制御手段
    とを備え、前記加熱出力合成手段がパン焼きプロセスの
    工程に応じて焼成工程の内の昇温工程では温度揺らぎを
    与えながら昇温を行い、焼成工程の内の温度維持工程で
    は目標温度付近の温度で温度揺らぎを生じさせる自動製
    パン機。
  2. 【請求項2】 加熱出力合成手段は、焼成工程の内の昇
    温工程では加熱出力決定手段の出力とカオス信号発生手
    段の出力からヒータのオン/オフを出力する請求項1記
    載の自動製パン機。
  3. 【請求項3】 加熱出力合成手段は、焼成工程の内の温
    度維持工程では温度測定手段により検出された温度とプ
    ロセス記憶手段による目標温度との差とカオス信号発生
    手段の出力からヒータのオン/オフを出力する請求項1
    記載の自動製パン機。
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