JPH0899277A - けがき線及びポンチ穴の形成方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 けがき線とポンチ穴を同一の工具で自動的に
形成する。 【構成】 加工へッドに固定される基体部２と、該基体
部２の軸線にそって往復動可能に保持され、先端部が突
出したけがきポンチ針Ｐと、該けがきポンチ針Ｐを該基
体部２より突出させる方向に付勢するバネ部材７と、該
バネ部材７が所定量押圧圧縮されたときに該けがきポン
チ針Ｐに衝撃力を加えるハンマー部６とを具備するポン
チけがき工具１を、ＮＣ制御される汎用工作機械の加工
ヘッドに装着して、けがき線とポンチ穴の加工を自動的
に行う。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、被加工物の表面にけが
き線及びポンチ穴を形成する方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】自動車関連部品等の量産品を加工するた
めの治具を製作する場合、一般には、碁盤目状に番線と
呼ぶけがき線が引かれ、且つ特定点に位置決め用ポール
を立設した定盤を作製し、該定盤に加工材を位置決め固
定して種々の加工を行う。このような定盤となる原材
（以下、被加工物という）に、番線を引きかつポール立
設用のポンチ穴を形成するには、まずＮＣ制御された工
作機械にけがき工具を取り付けて番線を引き、その後セ
ンタードリルと称する工具にてドリルのガイドとなるべ
き穴を形成していた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】番線加工とドリルガイ
ド用穴加工を異なる工具で加工しているため段取り時間
がそれぞれの加工に対して必要になるとともに、加工時
間が長くなるという問題がある。本発明は番線加工とポ
ンチ穴加工を同時に実施できる加工方法を提供すること
を課題とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】発明者はけがき線加工に
使用するけがき工具とポンチ穴加工に使用するポンチ工
具が形態的に類似していることに気がついた。けがき工
具は工作機械の加工ヘッドに固定される基部とこの基部
の軸孔に摺動自在に保持され先端が尖ったけがき針とけ
がき針を軸孔より先端側に付勢するバネとで構成されて
いる。そしてけがき針の先端はその先端に横方向の力が
作用しても基部の軸芯からずれないようにけがき針は基
部の軸孔に精度よく保持されている。

【０００５】一方、ポンチ工具は、手に保持される基部
とこの基部の軸孔に摺動自在に保持され先端が尖ったポ
ンチ針とポンチ針を軸孔より先端側に付勢するバネとポ
ンチ針を叩くハンマとポンチ針がバネの付勢力に抗して
所定位置まで押し込まれた時にトリガが外れてハンマで
ポンチ針を叩くトリガ機構とをもつ。このポンチ工具は
ポンチ針が基部の軸孔に大きなクリアランチをもって保
持されているためポンチ針の先端に横方向の力が作用す
るとポンチ針の先端は基部の軸芯からずれる。このため
従来のポンチ工具をけがき工具として使用することはで
きなかった。

【０００６】そこで発明者は、従来のポンチ工具を改良
し、ポンチ工具としてのハンマおよびトリガ機構をその
まま採用するとともに、ポンチ針を基部の軸孔に精度よ
く保持させ、ポンチ針の先端に横方向の力が作用して
も、ポンチ針の先端が基部の軸芯からずれない、けがき
工具としても使用できるポンチけがき工具を開発した。
このポンチけがき工具によりポンチ穴加工とけがき線を
引く番線加工が同時に可能となり、本発明を完成したも
のである。

【０００７】すなわち、本発明のけがき線及びポンチ穴
の形成方法は、加工へッドと、けがき線及びポンチ穴の
位置を記憶する記憶部と、該記憶部の情報により該加工
ヘッドを駆動するアクュチエータとをもつ自動加工装置
に加工すべき被加工物を取付け、該記憶部に形成すべき
けがき線及びポンチ穴の位置を記憶させ、かつ該加工ヘ
ッドにポンチ機能とけがき機能を兼備するポンチけがき
工具を取付ける準備工程と、該記憶部に記憶されたけが
き線及びポンチ穴の位置情報に従って該アクュチエータ
を駆動し、該ポンチけがき工具で該被加工物の表面にけ
がき線及びポンチ穴を形成する加工工程とを含むことを
特徴とする。

【０００８】本発明のけがき線及びポンチ穴の形成方法
で使用する自動加工装置としてコンピュータ制御工作機
械を用いることができる。また、ポンチけがき工具とし
ては、加工へッドに固定される基体部と、該基体部の軸
孔にそって往復動可能に保持され、先端部が該軸孔の軸
芯にそって移動するけがきポンチ針と、該けがきポンチ
針を該基体部より突出させる方向に付勢するバネ部材
と、該バネ部材が所定量押圧圧縮されたときに該けがき
ポンチ針に衝撃力を加えるハンマー部とで構成すること
ができる。

【０００９】

【作用、効果】記憶部にけがき線及びポンチ穴の位置を
記憶させ、加工ヘッドにポンチけがき工具を取付ける準
備工程を実施し、記憶部に記憶されたけがき線及びポン
チ穴の位置情報に従ってアクュチエータを駆動する。な
お、けがき加工にあっては、加工ヘッドによりポンチけ
がき工具を被加工物に近ずけ、そのポンチけがき針の先
端を被加工物に当接させる。この状態でけがき線位置情
報に従ってアクュチエータを駆動し、被加工物の表面に
けがき線を引く。ポンチ穴加工はポンチけがき針を被加
工物から離した状態でポンチ穴位置情報に従ってアクュ
チエータを駆動し、ポンチ穴加工位置の上方にポンチけ
がき針を運ぶ。この状態で軸芯にそって加工ヘッドを被
加工物に近づけ、ポンチけがき針の先端を被加工物に当
接させ、さらにその基部を被加工物に近づける。ポンチ
けがき針が基部の軸孔に所定量押し込まれるとハンマー
部が働き、ポンチけがき針に衝撃力が加わり、ポンチけ
がき針の先端が被加工物の表面部を押圧してポンチ穴が
形成される。

【００１０】このように、極めて簡単に、けがき加工と
ポンチ穴加工ができる。

【００１１】

【実施例】以下、本発明のけがき線及びポンチ穴の形成
方法を図面を参照して説明する。本けがき線及びポンチ
穴の形成方法は、コンピュータ制御される自動加工装置
（図示略）の加工へッドに、図１に示すようなけがきポ
ンチ工具１を装着して工作を行う。

【００１２】上記自動加工装置の制御部には、けがき線
及びポンチ穴の位置を記憶する記憶部と、該記憶部の情
報により該加工ヘッドを駆動するアクュチエータとを有
する。自動加工装置としては、ＮＣ装置によって制御可
能であればフライス盤等の汎用工作機械でよい。けがき
ポンチ工具１は、図１に示すように、工作機械の加工ヘ
ッドへのシャンクとなる基体部２と、該基体部２の下方
開口に嵌合されるキャップ３とをケースとして構成さ
れ、該キャップ３よりけがき線及びポンチ穴を形成する
ためのけがきポンチ針Ｐを軸線にそって往復動可能に突
出するように保持している。

【００１３】本けがきポンチ工具１の特徴は、けがきポ
ンチ針Ｐの保持構造が、キャップ３に嵌挿されたリニヤ
ボールベアリング９にけがきポンチ針Ｐを挿通している
ことである。このリニヤボールベアリング９は、けがき
ポンチ針Ｐを４方で支持し、該けがきポンチ針Ｐの軸線
にそった姿勢を維持させる機能を果たしている。これに
より、けがき線を形成する場合のけがきポンチ針Ｐ先端
へかかる加工負荷によりけがきポンチ針Ｐが軸線からず
れることがないようにすることができる。

【００１４】次に、けがきポンチ針Ｐに対しけがき線を
形成する際の軸線下方向への付勢力を付与するための構
成及びポンチ穴を形成するために衝撃力を与える構成
は、けがきポンチ針Ｐの基部Ｐａ側が挿通され、外周が
基体部２の内壁と摺接するセンタガイド４と、該センタ
ガイド４から突出するけがきポンチ針Ｐの基部Ｐａに係
合したカム部５をもち上記センタガイド４に当接したハ
ンマー材６と、該ハンマー材６を介してけがきポンチ針
Ｐにけがき線形成時の軸線下方向への付勢力（以下、け
がき力という）を付与し、かつポンチ穴形成時の軸線下
方向への衝撃力を付与する主バネ部材７と、上記ハンマ
ー材６によるポンチ穴加工時にキャップ３からの突出量
が少なくなる位置（以下、ポンチ位置という）に後退し
たけがきポンチ針Ｐを同キャップ３からの突出量が多く
なる位置（以下、基準位置という）へ戻す復帰バネ８と
からなる。

【００１５】更に詳述すると、けがきポンチ針Ｐの中間
部には、ストッパ１０が止着され、該ストッパ１０がリ
ニヤボールベアリング９に当接した状態で、けがきポン
チ針Ｐは基準位置まで突出する。上記主バネ部材７は、
基体部３の底部とハンマー材６との間に介装され、復帰
バネ８は上記ストッパ１０と上記センタガイド４との間
に介装されている。

【００１６】ハンマー材６は、頭部６ａと、本体部６ｂ
と、これら頭部６ａ及び本体部６ｂとの間でカム部５を
構成する中間部６ｃとから構成され、例えば円筒形状を
なしている。しかして、カム部５は、ハンマー材６の頭
部６ａと本体部６ｂとの間の中間部６ｃに形成された軸
直交孔１１と、該軸直交孔１１の一方開口を閉塞するよ
うに該円筒部６ｃの外周ほぼ２７０°の範囲に嵌合され
た板バネ１２と、本体部６ｂの外周面より突出した半球
状のカム面１３ａ及び軸線方向の通孔１３ｂを有し、カ
ム部５の非作用時に頭部６ａから突出したけがきポンチ
針Ｐの基部先端と当接してけがきポンチ針Ｐの基準位置
維持のためのストッパ機能を果たすカム扞１３とから構
成され、カム扞１３のカム面１３ａが基体部２の内周に
形成された突起部２ｂと干渉するようになっている。ま
た、本体部６ｂには、カム扞１３の通孔１３ｂと連通す
る軸線方向に延びる凹部６ｄが形成されている。

【００１７】このようなけがきポンチ工具１は、けがき
線を形成する場合、けがきポンチ針Ｐが軸線と直交する
方向、すなわち、被加工物表面に平行な方向に移動する
ように移動してけがき線を形成する。この場合、けがき
ポンチ針Ｐへ所定の加工負荷が加わるように、加工ヘッ
ドを被加工物表面に近接して、主バネ部材７が所定の圧
縮状態となるようにする。

【００１８】ポンチ穴を形成する場合、けがき線形成時
より大きな圧力が主バネ部材７に加わるように加工へッ
ドを更に被加工物表面に近接させる。そして、この大き
な圧力により主バネ部材の収縮量が多くなり、カム扞１
３のカム面１３ａが基端部２の突起部２ｂと干渉する
と、カム面１３ａ側が軸直交孔１１内へ没し、その反対
側が板バネ１２を外方向に押し出すように、カム扞１３
が軸直交孔１１内を移動する。これにより、けがきポン
チ針Ｐの基部Ｐａとカム扞１３との係合が解除される。
該基部Ｐａとカム扞１３との係合が解除すると、主バネ
部材１３に蓄積された伸長力により、ハンマー材６は瞬
時に下方へ押圧移動され、センタガイド４を介してけが
きポンチ針Ｐに衝撃力を付与する。この衝撃力によりけ
がきポンチ針Ｐは被加工物表面にポンチ穴を形成するこ
とができる。

【００１９】ポンチ穴を形成した後、加工ヘッドを被加
工物表面から離間すると、けがきポンチ針Ｐは、復帰バ
ネ８の力によって基準位置に戻される。上記けがきポン
チ工具１を自動加工装置に装着して定盤１４（図２参
照）にけがき線及びポンチ孔を形成するには以下のよう
にして行う。先ず、準備工程として、加工ヘッドが定盤
１４に対して遠近する方向をＺ軸とし、該Ｚ軸に直交す
るＸＹ平面を設定する。このＸＹ平面に定盤１４の表面
を一致して固定する。この場合、定盤１４の表面は凹凸
を有していてもかまわない。

【００２０】次に、例えばアブソリュート／インクリメ
ント方式でＸＹ平面上への工具の移動指令をプログラム
する。このプログラムは、けがき線に対応した加工ヘッ
ドの移動軌跡、ポンチ穴に対応した特定点の位置情報及
び特定点間移動軌跡及び定盤表面の凹凸に対応したＺ軸
方向の運動量を主とする。上記プログラムを自動加工装
置の制御部に読み込ませることにより、準備工程を終了
する。

【００２１】次に、加工工程では、上記記憶部に書き込
まれたプログラムに基づき加工ヘッドを駆動する各アク
チュエータを数値制御（例えばパルス数制御）する。加
工ヘッドは、Ｘ軸アクチュエータ、Ｙ軸アクチュエータ
及びＺ軸アクチュエータによって駆動され、自動加工装
置は、図２に示すように、Ｘ軸方向のけがき線Ｌを形成
する場合はＸ軸アクチュエータとＺ軸アクチュエータと
を作動させ、Ｙ軸方向のけがき線Ｍを形成する場合はＹ
軸アクチュエータとＺ軸アクチュエータとを作動させ
る。

【００２２】また、ポンチ穴を形成する場合は、ポンチ
穴を形成すべき特定点Ｎへの移動にはＸ軸アクュチエー
タ及びＹ軸アクュチエータを作動させ、特定点Ｎにおい
てＺ軸アクュチエータを作動させる。ここで、Ｚ軸アク
チュエータは、けがき線及びポンチ穴の形成に適したＺ
軸移動量のパルスが供給される。すなわち、けがき線の
場合、けがきポンチ針Ｐに上記けがき力を付与すべく、
所定のＺ軸移動量を設定してけがきポンチ針Ｐに加工負
荷がかかるように主バネ部材７を圧縮させる。また、ポ
ンチ穴の場合、ポンチ位置までけがきポンチ針Ｐが没入
するように、けがき線の場合より大きなＺ軸移動量を設
定して主バネ部材７を圧縮させる。

【００２３】更に、定盤１３の表面に凹凸がある条件で
は、その凹凸量に応じたＺ軸移動量を付加する。かくし
て、既述したけがきポンチ工具１の作用によって、けが
き線及びポンチ穴を自動加工することができる。本方法
に使用するけがきポンチ工具では、けがきポンチ針をけ
がき線を引く方向に往復動自在とする構成を含まない
が、けがきポンチ針Ｐがリニアボールベアリングによっ
て軸線方向に支持されているため、加工負荷にかかわら
ず、正確なけがき線を形成することができる。同時に、
けがき線に対するポンチ穴の位置も正確になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に使用するけがきポンチ工具を示す断
面図である。

【図２】 本発明によりけがき線及びポンチ穴を形成す
る工程を説明するための定盤を示す説明図である。

【符号の説明】

１けがきポンチ工具、２は基体部、５はカム部、６はハ
ンマー材、７は主バネ部材、９はリニアボールべアリン
グ、Ｐはけがきポンチ針、Ｌ，Ｍはけがき線、Ｎはポン
チ穴である。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 加工へッドと、けがき線及びポンチ穴の
   位置を記憶する記憶部と、該記憶部の情報により該加工
   ヘッドを駆動するアクュチエータとをもつ自動加工装置
   を用い、該自動加工装置に加工すべき被加工物を取付
   け、該記憶部に形成すべきけがき線及びポンチ穴の位置
   を記憶させ、かつ該加工ヘッドにポンチ機能とけがき機
   能を兼備するポンチけがき工具を取付ける準備工程と、 該記憶部に記憶されたけがき線及びポンチ穴の位置情報
   に従って該アクュチエータを駆動し、該ポンチけがき工
   具で該被加工物の表面にけがき線及びポンチ穴を形成す
   る加工工程と、 を含むことを特徴とするけがき線及びポンチ穴の形成方
   法。
2. 【請求項２】 自動加工装置はコンピュータ制御工作機
   械であり、ポンチけがき工具は、加工へッドに固定され
   る基体部と、該基体部の軸孔にそって往復動可能に保持
   され、先端部が該軸孔の軸芯にそって移動するけがきポ
   ンチ針と、該けがきポンチ針を該基体部より突出させる
   方向に付勢するバネ部材と、該バネ部材が所定量押圧圧
   縮されたときに該けがきポンチ針に衝撃力を加えるハン
   マー部とを具備する請求項１記載のけがき線及びポンチ
   穴の形成方法。