JPH0895099A - 非線形光学積層体の製造方法 - Google Patents

非線形光学積層体の製造方法

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JPH0895099A
JPH0895099A JP6231798A JP23179894A JPH0895099A JP H0895099 A JPH0895099 A JP H0895099A JP 6231798 A JP6231798 A JP 6231798A JP 23179894 A JP23179894 A JP 23179894A JP H0895099 A JPH0895099 A JP H0895099A
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nonlinear optical
thin film
fine particles
optical material
layer
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Application number
JP6231798A
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Inventor
Mitsuru Kuhata
満 久畑
Yasuhiro Hattori
康弘 服部
Takafumi Uemiya
崇文 上宮
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 実用レベルの、十分に強い非線形光学効果を
発現しうる非線形光学積層体を製造する製造方法を提供
する。 【構成】 基板S上に、有機非線形光学材料からなる第
1層の薄膜1を形成し、ついでこの薄膜1上に、金属微
粒子Mと、有機非線形光学材料の連続相とを交互に形成
して、有機非線形光学材料の連続相中に金属微粒子Mが
分散した構造の、第2層以降の薄膜2,3,4を積層す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、高速光スイッチ等へ
の応用が可能な非線形光学積層体の製造方法に関するも
のである。
【0002】
〔式中X(n) はn次の非線形感受率、Eは電場ベクトルを示す。〕
上記式中、2次の項によって発現される2次の非線形光
学効果としては、たとえば第2高調波発生、光整流、光
混合、パラメトリックス増幅およびポッケルス効果があ
り、3次の項によって発現される3次の非線形光学効果
としては、たとえば第3高調波発生、光双安定性、カー
効果等がある。
【0003】このうち3次の非線形光学効果としての光
双安定性を利用すると、高速光スイッチや光双安定素子
等の、将来的な光情報処理システムにおけるキーデバイ
スとなり得る素子が得られるため、近年、その研究開発
が盛んに行われている。たとえばRichard らは、金、
銀、アルミニウム等の金属の微粒子をガラス中に分散す
ると、金属微粒子表面の表面プラズモンによる局在場の
増強効果が生じ、金属の非線形感受率が向上して、非線
形光学効果が強くなることを見出した〔D.Richard, Ph.
Roussignol, and Chr.Flytzanis, OPTICS LETTERS, Vo
l.10, No.10, P 511 (1985)〕。
【0004】また、高分子の有機非線形光学材料である
ポリジアセチレンにおいても、上記金属微粒子の分散に
よって、同様に、非線形光学効果が強くなることが理論
予測されている〔A.E.Neeves and M.H.Birnboim, J. Op
t. Soc. Am. B, Vol.6, No.4, P 787 (1989)〕。さらに
特開平2−8822号公報には、非線形光学応答を示す
高分子に、金属微粒子を分散させた有機−無機複合材料
が示されている。非線形光学応答を示す高分子として
は、通常の高分子の側鎖に、低分子の有機非線形光学材
料に相当する基を置換した化合物等が例示されている。
【0005】上記のようにガラスあるいは有機材料中に
金属微粒子を分散した構造では、金属微粒子の分散量が
多いほど、非線形光学効果が強く現れると考えられる。
しかし金属微粒子は、前述した局所的な電場効果が現れ
る程度に小さいことが必要であり、具体的には、その粒
径が100nm以下であるため、かかる微粒子を多量に
添加した場合には凝集を生じて、ガラスや有機材料中に
均一に分散できないという問題がある。
【0006】上記の問題を解決するものとして、特開平
3−294829号公報には、基板上に、粒状に成長さ
せた金属微粒子と、ガラス等の光学的透明物質の連続相
とを交互に形成して、当該透明物質の連続相中に、金属
微粒子がほぼ均一に分散した構造の薄膜を複数層、積層
した非線形光学積層体が提案されている。かかる積層体
は、気相成長法による金属薄膜形成のごく初期の段階に
おいて、金属が、粒径100nm以下の、ほぼ均一な微
粒子状(粒状あるいは島状)に成長することを利用した
ものである。
【0007】この構造の積層体においては、先のものよ
りも多量の金属微粒子を、透明物質中に均一に分散させ
ることが可能となるので、非線形光学効果の強化が期待
される。また上記積層体において、ガラス等の、それ自
体は非線形光学効果を有さない透明物質に代えて、前述
した有機非線形光学材料を使用すれば、さらに非線形光
学効果を強くできることが予測される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記積層体では、同公
報の図1にみるように、基板の表面にまず、金属微粒子
を粒状に成長させた後、その上に透明物質の連続相を形
成して、第1層の薄膜を形成している。連続相にガラス
等の透明物質を使用する場合には、上記の構造で差し支
えないが、ガラスに代えて有機非線形光学材料を使用す
る場合には、上記構造では、基板と、第1層の連続相を
構成する有機非線形光学材料との接合が悪いため、予期
した程度の非線形光学効果が得られないという問題が生
じる。
【0009】つまり第1層の連続相を構成する有機非線
形光学材料は、基板(たとえば単結晶基板等)との接合
が良好な場合には、たとえば上記単結晶基板の結晶方向
等に応じて、結晶方位が同一方向に配列制御された状態
で結晶成長するが、上記のように、基板の表面に多数の
金属微粒子が存在する場合には、各金属微粒子の影響に
よって、種々の結晶方位に成長する。第2層以降も同様
であり、その結果、積層体の各薄膜の連続相を構成する
有機非線形光学材料は、いずれも、結晶方位が種々の方
向にばらついたものとなる。
【0010】ところが有機非線形光学材料の性能は、一
般に分子レベルでの異方性が高い。たとえはポリジアセ
チレン等の高分子の有機非線形光学材料の場合、高分子
の主鎖方向のπ電子共役系により非線形光学効果を発現
するため、主鎖方向の非線形感受率は高いが、主鎖と直
交する方向の非線形感受率は、主鎖方向の数百分の一程
度にすぎない。
【0011】このため、前記のように結晶方位が同一方
向に配列制御されず、種々の方向にばらついた場合に
は、予期した程度に非線形光学効果を強くできないので
ある。また、前記公報に開示された積層体の製造方法に
おいては、連続相の形成、および金属微粒子の形成に、
いずれもスパッタリング法を採用しているので、連続相
に有機非線形光学材料を使用した場合には、イオンによ
る有機非線形光学材料のダメージが大きくなるおそれが
ある。また上記製造方法では、同一バッチ中で、スパッ
タリング法によって連続相と金属微粒子を形成するた
め、金属微粒子にイオンが拡散して、前述した局所的な
電場効果を妨げるおそれもある。このため、やはり予期
した程度の非線形光学効果が得られない可能性がある。
【0012】この発明の目的は、実用レベルの、十分に
強い非線形光学効果を発現しうる非線形光学積層体を製
造するための、新規な製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段および作用】上記課題を解
決するための、この発明の非線形光学積層体の製造方法
は、基板上に、有機非線形光学材料の連続相からなる、
膜厚が3〜100nmの薄膜を形成し、ついでこの薄膜
上に、粒径が100nm以下の粒状に成長させた金属微
粒子と、有機非線形光学材料の連続相とを交互に形成し
て、当該有機非線形光学材料の連続相中に、上記金属微
粒子が分散した構造の薄膜を複数層、積層することを特
徴とするものである。
【0014】また上記製造方法においては、有機非線形
光学材料の連続相を、溶液塗布法または真空蒸着法によ
って形成し、かつ金属微粒子を、真空蒸着法によって形
成するのが好ましい。ここでいう溶液塗布法とは、有機
非線形光学材料の有機溶媒溶液を、基板上、あるいは先
の薄膜上に塗布し、有機溶媒を乾燥除去して連続相を形
成する方法である。
【0015】上記構成からなる、この発明の非線形光学
積層体の製造方法によれば、基板上に、まず有機非線形
光学材料の連続相からなる、膜厚が3〜100nmの薄
膜(第1層の薄膜)を形成するので、基板と第1層の薄
膜との接合が良好であり、この第1層の薄膜を構成する
有機非線形光学材料は、結晶方位が同一方向に配列制御
された状態で結晶成長する。
【0016】また、上記第1層の薄膜の上に形成され
る、有機非線形光学材料の連続相中に金属微粒子が分散
した構造の、第2層の薄膜においては、第1層の薄膜と
同じ有機非線形光学材料で連続相が構成されるので、第
1層の薄膜との接合が良好であり、当該第2層の薄膜の
連続相を形成する際に、第1層の薄膜の表面には、多数
の金属微粒子が存在しているにも拘らず、その影響によ
って、有機非線形光学材料が種々の結晶方位に成長する
ことはなく、第2層の薄膜の連続相を構成する有機非線
形光学材料は、第1層の薄膜と結晶方位が同一方向に配
列制御された状態で結晶成長する。
【0017】第3層以降についても同様であり、その結
果、この発明の製造方法によって製造された非線形光学
積層体は、各薄膜の連続相を構成する非線形光学材料の
結晶方位が、いずれも同一方向に配列制御されているた
め、第2層以上の各薄膜中にほぼ均一に分散された金属
微粒子による局所的な電場効果と相まって、実用レベル
の十分に強い非線形光学効果を発現しうるものとなる。
【0018】またこの発明の製造方法において、有機非
線形光学材料の連続相を、スパッタリング法を避けて、
溶液塗布法または真空蒸着法によって形成するととも
に、金属微粒子を、スパッタリング法を避けて真空蒸着
法によって形成した場合には、前述した、イオンによる
有機非線形光学材料のダメージや、金属微粒子へのイオ
ンの拡散がないため、製造される非線形光学積層体の非
線形光学効果を、さらに強化することができる。
【0019】なお、上記この発明の製造方法において、
第1層の薄膜の膜厚が3〜100nmの範囲内に限定さ
れるのは、以下の理由による。すなわち第1層の薄膜の
膜厚が3nm未満では、当該第1層の薄膜が連続した膜
として得られないため、その上に形成される第2層以降
の薄膜中の、有機非線形光学材料の結晶方位を十分に配
列制御できなくなる。そして、結晶方位の配列制御に関
しては金属微粒子の影響の方が強くなり、各薄膜の連続
相を構成する有機非線形光学材料は、いずれも、結晶方
位が種々の方向にばらついたものとなってしまい、予期
した程度の非線形光学効果が得られなくなる。
【0020】一方、第1層の薄膜の膜厚が100nmを
超えた場合には、当該第1層の薄膜が金属微粒子を含ま
ないため、積層体全体における金属微粒子の量が少なく
なって、金属微粒子による非線形光学効果の強化作用が
低下する。また、膜厚が100nmを超えるような薄膜
では格子欠陥等が生じやすいので、却って、第2層以降
の薄膜中の、有機非線形光学材料の結晶方位を配列制御
できなくなる。したがって、第1層の薄膜の膜厚が10
0nmを超えた場合にもやはり、予期した程度の非線形
光学効果が得られなくなる。
【0021】なお上記第1層の薄膜の膜厚は、有機非線
形光学材料の結晶の配列制御と、その中に分散される金
属微粒子の分散量の点を考慮すると、上記範囲内でもと
くに5〜70nmであるのが好ましく、5〜50nmで
あるのがさらに好ましい。また、第2層以降の薄膜中に
分散される金属微粒子の粒径は、この発明では100n
m以下に限定される。粒径が100nmを超える金属微
粒子は、前述したように、局所的な電場効果による非線
形光学効果の強化作用が得られないからである。なお、
金属微粒子の粒径は、上記非線形光学効果の強化作用を
考慮すると、上記範囲内でもとくに50nm以下である
のが好ましく、30nm以下であるのがさらに好まし
い。
【0022】上記金属微粒子が分散される、第2層以降
の薄膜の膜厚は、とくに限定されないが、各層間の連続
相の接合を良好に保つには、下地となる薄膜の表面に、
当該薄膜中に分散された金属微粒子が突出していないの
が望ましく、そのために、第2層以降の薄膜の膜厚は、
各薄膜中に分散される金属微粒子の粒径と同じか、ある
いはそれ以上であることが好ましい。
【0023】この発明の製造方法によって製造される非
線形光学積層体の層数や、積層体全体の膜厚等について
はとくに限定されないが、十分な非線形光学効果を得る
ためには、積層体全体の膜厚は、1〜5μmであるのが
好ましい。以下にこの発明を説明する。
【0024】この発明の非線形光学積層体の製造方法に
おいては、まず図1(a) に示すように、基板S上に、有
機非線形光学材料からなる、膜厚が3〜100nmの第
1層の薄膜1を形成する。つぎに図1(b) に示すよう
に、上記第1層の薄膜1の表面に、真空蒸着法によって
金属微粒子Mを形成した後、この上に、上記と同じ有機
非線形光学材料の連続相を形成すると、図1(c) に示す
ように、第1層の薄膜1の上に、有機非線形光学材料の
連続相中に金属微粒子Mが分散した構造の、第2層の薄
膜2が形成される。
【0025】このあと、上記金属微粒子Mの形成と、有
機非線形光学材料の連続相の形成とを交互に繰り返す
と、図1(d) に示すように、第1層の薄膜1上に、有機
非線形光学材料の連続相中に金属微粒子Mが分散した構
造の薄膜2,3,4…が複数層、積層された非線形光学
積層体が得られる。第1層の薄膜1、ならびに第2層以
降の薄膜2,3,4…の連続相を構成する有機非線形光
学材料としては、非線形光学応答を示す種々の化合物が
いずれも使用可能であるが、とくに、一般式(1) :
【0026】
【化1】
【0027】で表されるポリジアセチレン(PDA)系
の高分子が、高い非線形光学応答を示すとともに成膜性
を有するため、好適に使用される。かかるPDA系の高
分子は、上記一般式(1) 中の基R1 ,R2 の種類にもよ
るが、通常は溶媒に不溶であるため、その薄膜を形成す
るには、上記高分子を真空蒸着するか、あるいは上記高
分子の前駆体としての、一般式(2) :
【0028】
【化2】
【0029】で表されるジアセチレン系単量体の薄膜
を、溶液塗布法または真空蒸着法によって形成した後、
下記反応式に示すように、紫外線、γ線あるいは熱によ
って固相重合させて高分子化すればよい。かかる固相重
合反応においては、結晶性を維持しつつ、単量体が高分
子化されるという利点がある。
【0030】
【化3】
【0031】また最近では、前記基R1 ,R2 の種類を
選択することによって、溶媒に可溶なPDA系の高分子
も種々提案されており、それらの薄膜を形成するには、
通常どおり、溶液塗布法または真空蒸着法が採用され
る。なお上記一般式(1) で表されるPDA系の高分子の
具体例としては種々のものがあるが、とくに非線形光学
効果にすぐれたものとしては、一般式(1) 中の基R 1
2 がいずれも式(3) :
【0032】
【化4】
【0033】で表される6,9−ジオキソ−5,10−
ジオキサ−7−アザ−テトラデシル基(4BCMU)で
ある高分子(PDA−4BCMU)や、上記基R1 ,R
2 がいずれも式(4) :
【0034】
【化5】
【0035】で表される2,3,5,6−テトラフルオ
ロ−4−n−ブチルフェニル基(BTFP)である高分
子(PDA−BTFP)等があげられる。このうち前者
のPDA−4BCMUは、溶媒に可溶なものの代表例で
もある。また、上記PDA系の高分子以外の有機非線形
光学材料としては、たとえば2,6−ジ(n−ブチルア
ミノ)−4,8−ジヒドロキシ−1,5−ナフトキノン
〔BAHNQ〕等があげられる。
【0036】第1層の薄膜1や、第2層以降の薄膜2,
3,4…の連続相を形成する方法としては、前述したよ
うに溶液塗布法または真空蒸着法が好適に採用される。
溶液塗布法において、有機非線形光学材料の有機溶媒溶
液を塗布する方法としては、たとえばスピンコート法、
スプレーコート法等の、従来公知の種々の塗布方法が採
用される。
【0037】基板Sとしては、前述したように、有機非
線形光学材料の結晶方位を制御しうる基板が使用され
る。かかる基板としては、石英基板等の単結晶基板が使
用できる他、先に、発明者らのうち久畑と服部が参加し
たグループが提案した、その表面の少なくとも一部に、
有機非線形光学材料の結晶の成長方位を規制し得る、立
体的幾何学構造としての溝格子を形成した基板等を採用
することもできる(特開平5−319999号公報参
照)。
【0038】上記基板としては、その全面に溝格子を形
成したものも使用できるが、溝格子は非線形光学積層
体、ひいては当該積層体を用いた非線形光学素子の構造
を限定してしまうおそれがあるので、この発明では、た
とえば図2に示すように、溝格子S1を形成した領域
と、形成していない平滑面S2の領域とを設けた基板S
を使用するのが好ましい。この基板Sは、まず溝格子S
1の領域で、成長方位が規定された有機非線形光学材料
の薄膜を発生させ、それを、平滑面S2の領域まで結晶
成長させることにより、溝格子S1のない平滑面S2上
に、成長方位が規定された有機非線形光学材料の薄膜、
すなわち第1層の薄膜1を形成できるので、積層体の構
造が限定されないという利点がある。
【0039】溝格子S1を形成した領域で薄膜を発生さ
せて、それを平滑面S2の領域まで結晶成長させるに
は、前述した真空蒸着法あるいは溶液塗布法による薄膜
形成時の基板温度に温度勾配を設定する方法や、溶液塗
布法にて基板表面に塗布された溶液から、有機非線形光
学材料の連続相を成長させる際に、基板上に供給する溶
液の濃度に濃度勾配をつける方法等があげられる。また
溶液塗布法の場合は、基板を傾斜させる方法も有効であ
る。
【0040】第2層以降の薄膜2,3,4…中に分散さ
れる金属微粒子Mを形成する金属としては、たとえば
金、銀、アルミニウム等があげられる。上記金属微粒子
Mの形成は、前述したように、真空蒸着法による金属薄
膜形成のごく初期の段階において、金属がほぼ均一な粒
状に成長することを利用したもので、この方法によって
形成される金属微粒子Mはほぼ球形で、しかも粒径や分
布が揃っているという利点がある。
【0041】
【実施例】以下にこの発明を、実施例に基づいて説明す
る。 実施例1 有機非線形光学材料であるPDA−4BCMUのシクロ
ペンタノン溶液(濃度0.004g/ml)を、石英基
板上に、スピンコート法によって塗布し、室温で乾燥さ
せて、膜厚10nmの第1層の薄膜を形成した。
【0042】つぎに上記基板を、真空蒸着装置のチャン
バー内の、基板ホルダー上にセットし、到達真空度3×
10-6 Torrの条件で、抵抗加熱(30V、2A)
による銀の真空蒸着を行って、前記第1層の薄膜の表面
に銀微粒子を形成した。つぎに、上記基板を真空蒸着装
置のチャンバーから取り出し、その表面に、前記PDA
−4BCMUのアセトン飽和溶液を、スピンコート法に
よって塗布し、室温で乾燥させて、上記PDA−4BC
MUの連続相を形成して、膜厚10nmの第2層の薄膜
を形成した。
【0043】このあと、上記真空蒸着による銀微粒子の
形成と、溶液塗布法によるPDA−4BCMUの連続相
の形成とを、100回繰り返して行って、合計の膜厚が
約2μmの積層体を作製した。銀微粒子の平均粒径は1
0nm、平均粒子間距離は5nmであった。 実施例2 銀に代えて金を使用したこと以外は実施例1と同様にし
て、合計の膜厚が約2μmの積層体を作製した。
【0044】金微粒子の平均粒径は5nm、平均粒子間
距離は2nmであった。 実施例3 銀に代えてアルミニウムを使用したこと以外は実施例1
と同様にして、合計の膜厚が約2μmの積層体を作製し
た。アルミニウム微粒子の平均粒径は10nm、平均粒
子間距離は4nmであった。 実施例4 図3に示す多元真空蒸着装置のチャンバーC内のクヌー
ドセンセル(K−セル)K中に、有機非線形光学材料と
してのPDA−BTFPの前駆体であるジアセチレン系
単量体の粉末を供給し、抵抗加熱用のバスケットB中に
銀を供給するとともに、基板ホルダーH上に石英基板を
セットした。
【0045】つぎに、到達真空度5×10-5Torrの
条件で、まずK−セルKを加熱し、当該K−セルKのシ
ャッタK1を開いて、基板上に、ジアセチレン系単量体
を真空蒸着した。そして、膜厚が20nmになった時点
でK−セルKのシャッタK1を閉じ、K−セルKの加熱
を停止するとともに、基板ホルダーHに内蔵させたヒー
タ(図示せず)に通電して、基板を90℃に加熱するこ
とで、基板上の薄膜を焼鈍した後、UVランプLから紫
外線を照射してジアセチレン系単量体を固相重合させ
て、PDA−BTFPからなる第1層の薄膜を形成し
た。
【0046】つぎに、バスケットBに通電(30V、
1.7A)し、シャッタB1を開いて銀の真空蒸着を行
い、第1層の薄膜の表面に銀微粒子を形成した後、その
上に、前記と同条件で、K−セルKによるジアセチレン
系単量体の堆積、ヒータによる焼鈍、およびUVランプ
Lによる固相重合を行ってPDA−BTFPの連続相を
形成して、膜厚20nmの第2層の薄膜を形成した。
【0047】このあと、上記真空蒸着による銀微粒子の
形成と、PDA−BTFPの連続相の形成とを、100
回繰り返して行って、合計の膜厚が約4μmの積層体を
作製した。銀微粒子の平均粒径は10nm、平均粒子間
距離は5nmであった。 実施例5 銀に代えて金を使用したこと以外は実施例4と同様にし
て、合計の膜厚が約4μmの積層体を作製した。
【0048】金微粒子の平均粒径は5nm、平均粒子間
距離は2nmであった。 実施例6 銀に代えてアルミニウムを使用したこと以外は実施例4
と同様にして、合計の膜厚が約4μmの積層体を作製し
た。アルミニウム微粒子の平均粒径は10nm、平均粒
子間距離は4nmであった。 実施例7 図3に示す多元真空蒸着装置のチャンバーC内のクヌー
ドセンセル(K−セル)K中に、有機非線形光学材料と
してのBAHNQの粉末を供給し、抵抗加熱用のバスケ
ットB中に銀を供給するとともに、基板ホルダーH上に
石英基板をセットした。
【0049】つぎに、到達真空度2×10-5Torrの
条件で、まずK−セルKを加熱し、当該K−セルKのシ
ャッタK1を開いて、基板上にBAHNQを真空蒸着し
た。そして、膜厚が20nmになった時点でK−セルK
のシャッタK1を閉じ、K−セルKの加熱を停止して、
上記BAHNQからなる第1層の薄膜を形成した。
【0050】つぎに、バスケットBに通電(30V、
1.7A)し、シャッタB1を開いて銀の真空蒸着を行
い、第1層の薄膜の表面に銀微粒子を形成した後、その
上に、前記と同条件で、BAHNQの連続相を形成し
て、膜厚20nmの第2層の薄膜を形成した。このあ
と、上記真空蒸着による銀微粒子の形成と、BAHNQ
の連続相の形成とを、100回繰り返して行って、合計
の膜厚が約4μmの積層体を作製した。
【0051】銀微粒子の平均粒径は10nm、平均粒子
間距離は5nmであった。 実施例8 銀に代えて金を使用したこと以外は実施例7と同様にし
て、合計の膜厚が約4μmの積層体を作製した。金微粒
子の平均粒径は5nm、平均粒子間距離は2nmであっ
た。 実施例9 銀に代えてアルミニウムを使用したこと以外は実施例7
と同様にして、合計の膜厚が約4μmの積層体を作製し
た。
【0052】アルミニウム微粒子の平均粒径は10n
m、平均粒子間距離は4nmであった。 実施例10 図2に示す基板Sを、溝格子S1が形成された側の領域
を上にして、溝格子S1が最大傾斜線と平行になるよう
に、水平面に対して25°傾斜させて配置した。
【0053】そして、傾斜した基板Sの表面の上方側の
辺の近傍に、有機非線形光学材料としてのPDA−BT
FPの前駆体であるジアセチレン系単量体のクロロホル
ム溶液を滴下し、傾斜面に沿って流下させつつクロロホ
ルムを蒸発させて、膜厚20nmの、単量体の結晶薄膜
を形成した。そしてこの薄膜に紫外線を照射して固相重
合させて、PDA−BTFPからなる第1層の薄膜を形
成した。
【0054】ついで、上記基板を使用することで、真空
蒸着法による第1層の薄膜の形成工程を省略したこと以
外は実施例4と同様にして、上記基板Sの、平滑面S2
の領域に、合計の膜厚が約4μmの積層体を作製した。
銀微粒子の平均粒径は10nm、平均粒子間距離は5n
mであった。 実施例11 銀に代えて金を使用したこと以外は実施例10と同様に
して、合計の膜厚が約4μmの積層体を作製した。
【0055】金微粒子の平均粒径は5nm、平均粒子間
距離は2nmであった。 実施例12 銀に代えてアルミニウムを使用したこと以外は実施例1
0と同様にして、合計の膜厚が約4μmの積層体を作製
した。アルミニウム微粒子の平均粒径は10nm、平均
粒子間距離は4nmであった。 実施例13 図2に示す基板Sを、溝格子S1が形成された側の領域
を上にして、溝格子S1が最大傾斜線と平行になるよう
に、水平面に対して5°傾斜させて配置した。
【0056】そして、傾斜した基板Sの表面の上方側の
辺の近傍に、有機非線形光学材料としてのPDA−BT
FPの前駆体であるジアセチレン系単量体のクロロホル
ム溶液を滴下し、傾斜面に沿って流下させつつクロロホ
ルムを蒸発させて、膜厚10nmの、単量体の結晶薄膜
を形成した。そしてこの薄膜に紫外線を照射して固相重
合させて、PDA−BTFPからなる第1層の薄膜を形
成した。
【0057】ついで、上記基板を使用することで、真空
蒸着法による第1層の薄膜の形成工程を省略したこと以
外は実施例4と同様にして、合計の膜厚が約4μmの積
層体を作製した。銀微粒子の平均粒径は10nm、平均
粒子間距離は5nmであった。 実施例14 銀に代えて金を使用したこと以外は実施例13と同様に
して、合計の膜厚が約4μmの積層体を作製した。
【0058】金微粒子の平均粒径は5nm、平均粒子間
距離は2nmであった。 実施例15 銀に代えてアルミニウムを使用したこと以外は実施例1
3と同様にして、合計の膜厚が約4μmの積層体を作製
した。アルミニウム微粒子の平均粒径は10nm、平均
粒子間距離は4nmであった。
【0059】
【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、実用レ
ベルの、十分に強い非線形光学効果を発現しうる非線形
光学積層体を製造することができる。したがってこの発
明の製造方法は、高速光スイッチ等への応用が可能な非
線形光学積層体の製造方法として、きわめて有用であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】同図(a) 〜(d) はそれぞれ、この発明の非線形
光学積層体の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図2】この発明の非線形光学積層体の製造方法に使用
される基板の一例を示す斜視図である。
【図3】この発明の非線形光学積層体の製造方法に使用
される多元真空蒸着装置の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
S 基板 1 第1層の薄膜 2 第2層の薄膜 3 第3層の薄膜 4 第4層の薄膜 M 金属微粒子

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に、有機非線形光学材料からなる、
    膜厚が3〜100nmの薄膜を形成し、ついでこの薄膜
    上に、粒径が100nm以下の粒状に成長させた金属微
    粒子と、有機非線形光学材料の連続相とを交互に形成し
    て、当該有機非線形光学材料の連続相中に、上記金属微
    粒子が分散した構造の薄膜を複数層、積層することを特
    徴とする非線形光学積層体の製造方法。
  2. 【請求項2】有機非線形光学材料を、溶液塗布法または
    真空蒸着法によって形成し、かつ金属微粒子を、真空蒸
    着法によって形成する請求項1記載の非線形光学積層体
    の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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