JPH0894805A - 光学膜の製造方法及び光学素子 - Google Patents

光学膜の製造方法及び光学素子

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JPH0894805A
JPH0894805A JP6251334A JP25133494A JPH0894805A JP H0894805 A JPH0894805 A JP H0894805A JP 6251334 A JP6251334 A JP 6251334A JP 25133494 A JP25133494 A JP 25133494A JP H0894805 A JPH0894805 A JP H0894805A
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JP
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substrate
refractive index
vibration
film
layer
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Withdrawn
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JP6251334A
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English (en)
Inventor
Yoshiki Nitta
佳樹 新田
Hiroshi Ikeda
浩 池田
Takeshi Kawamata
健 川俣
Nobuaki Mitamura
宣明 三田村
Nobuyoshi Toyohara
延好 豊原
Kazunari Tokuda
一成 徳田
Toshiaki Oimizu
利明 生水
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 スパッタリング法により再現性良く、均質な
膜を得た上で、所望の屈折率を有する光学膜を形成す
る。 【構成】 スパッタリング法により基板を振動させなが
ら光学簿膜を形成する。振動は基板に対して基板とター
ゲットの距離が変化する方向に与えるもので、振動の波
動はその1周期内にて振動速度が変化するものである。
この成膜方法により少なくとも1層以上の膜を形成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光学膜の製造方法及びそ
の製造方法により製造した光学素子に関する。
【0002】
【従来の技術】光学膜は設計上、基板の屈折率に対応し
た最適な屈折率を有する材料を利用して反射防止膜等の
光学膜を形成する必要がある。この光学膜の形成には従
来、一般に真空蒸着法が採用されている。また近年は、
この光学薄膜の成膜方法として基板を加熱することなく
優れた膜の密着性が得られることや、自動化の容易さと
いう利点からスパッタリング法により成膜する技術が検
討されている。
【0003】前記のスパッタリング法による技術として
は、例えば特開昭62−73202号公報に開示された
発明が知られている。同公報記載の技術によれば、異な
る屈折率を有する2種類以上の物質を或る面積比をもっ
て配置したスパッタリングターゲットを高周波スパッタ
リング装置に収容して基板上に光学薄膜を形成すること
が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記真
空蒸着法による方法では膜の充填密度が低く、かつ密着
性が低いものであるとともに、バッチ処理によるために
多品種少量生産や自動化に不向きな点があった。一方ス
パッタリング法による場合は、膜の充填密度が高く密着
性は良好であり、しかも自動化に適している等の利点を
有しているが、この方法では材料が限定されてしまうと
いう問題があった。例えば一般的に低屈折材料として広
く利用されている弗化マグネシウムはスパッタリング法
での成膜は弗素が解離して可視光に吸収が生じるため使
用が困難であった。
【0005】さらに、スパッタリング法においては2種
類以上の物質を或る面積比をもって配置したスパッタリ
ングターゲットによる場合に、ターゲットのエロージョ
ンが位置により異なるために、配置による微小な位置ず
れにて各物質のスパッタ量が異なるとともに再現性が悪
い。また2種類以上の物質を均質に混合したスパッタリ
ングターゲットを用いた場合においては、物質によりス
パッタ量が異なるために成膜初期と成膜終了時には組成
が変化して均質な膜が得られないという問題がある。さ
らに、各々の物質より低い屈折率を有する薄膜や、また
各々の物質より高い屈折率を有する薄膜を形成すること
は不可能であった。
【0006】よって本発明は、かかる問題点を解消し得
る光学膜の製造方法及び光学素子の提供を目的とするも
のである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明はスパッタリング法により光学薄膜を形成す
る方法において、基板を振動させつつ成膜した。そして
基板に与える振動は、図1に示すように横軸に時間T、
縦軸に振幅の大きさAを表した振動特性線図において、
振動1ピッチの時間Tに対する振幅Aの回帰時間tとの
割合である振動比T/tをその成膜の構成に対応して変
化さるものであり、この振動の振幅Aを基板面に対して
矢印で示すターゲットの方向に作用させることにより、
基板とターゲットとの面間距離を変化させる。そして、
この成膜方法により光学素子の面に少なくとも1層以上
の光学膜を形成させる。
【0008】
【作用】本発明によれば、基板に振動を与えつつ成膜す
るために、通常の基板を固定した(振動を与えないで)
方法で成膜した膜の屈折率に比べて所望の低い屈折率や
高い屈折率を有する膜を形成することが可能になる。ま
た本発明では、単一の物質からなるスパッタリングター
ゲットを用いるために再現性がよく、均質な膜が得られ
る。
【0009】
【実施例1】以下、本発明の実施例を図面とともに具体
的に説明する。本実施例においては、表1に示すような
膜構成にて反射防止膜を形成した。即ち屈折率1.52
のBK7基板上に屈折率2.35のTiO2 層をndで
15nmに形成し、さらにその面に屈折率1.40のS
iO2 層を重ねてndで172nmに形成した。
【0010】
【表1】
【0011】この膜形成において、第1層のTiO2
の形成には、Tiターゲットを用いてArガス圧3.6
Pa、酸素ガス圧0.4Paの反応性DCスパッタリン
グ法により行った。この場合、図1の振動線図において
振幅Aをターゲットの方向に対して0.1mm、振動比
t/Tが0.75、周波数が100Hzの振動を基板に
対して与えつつ成膜した。
【0012】第2層のSiO2 層の形成には、SiO2
ターゲットを用いてArガス圧3.86Pa、酸素ガス
圧0.14Paの反応性RFスパッタリング法により行
った。この場合、図1の振動線図において振幅Aをター
ゲットの方向に対して1mm、振動比t/Tが0.2
5、周波数が10Hzの振動を基板に与えつつ行った。
【0013】上記により構成した反射防止膜の分光反射
率を測定した結果は図2に示すように可視域440〜6
50nmにおいて反射率1.5%以下と良好な特性を示
した。また本実施例ではガラス基板にBK7を用いた
が、特にこれに限定するものではなく、他のガラス材に
おいても同様に可能である。
【0014】本実施例によれば、スパッタリング法によ
る光学膜の形成において、2層の薄膜により所望の屈折
率を有する反射防止膜を形成することができる。
【0015】
【実施例2】本実施例においては表2に示すような膜構
成にて反射防止膜を形成した。即ち屈折率1.52のB
K7基板上に屈折率1.40のSiO2 層をndで13
0nmに1層のみを形成した。
【0016】
【表2】
【0017】このSiO2 層の形成には、SiO2 のタ
ーゲットを用いてArガス圧3.86Pa、酸素ガス圧
0.14Paの反応性RFスパッタリング法により行っ
た。この場合、図1の振動線図において振幅Aをターゲ
ットの方向に対して0.02mm、振動比t/Tが0.
08、周波数が1KHzの振動を基板に対して与えつつ
行った。
【0018】上記により構成した反射防止膜の分光反射
率を測定した結果は図3に示すように可視域440〜6
50nmにおいて反射率2.0%以下と良好な特性を示
した。また本実施例ではガラス基板にBK7を用いた
が、特にこれに限定するものではなく、他のガラス材に
おいても同様に可能である。
【0019】本実施例によれば、スパッタリング法によ
る光学膜の形成において、単層の薄膜により所望の屈折
率を有する反射防止膜を形成することができる。
【0020】
【実施例3】本実施例においては表3に示すような膜構
成にて反射防止膜を形成した。即ち屈折率1.52のB
K7基板上に屈折率1.46のSiO2 層をndで13
0nmに形成し、さらにその面に屈折率1.60のアル
ミナ層をndで130nmに形成し、さらにその面に屈
折率2.32のZrO2 とTa25 との混合物層をn
dで260nmに形成し、さらにその面に屈折率1.4
1のSiO2 層をndで130nmに形成した。
【0021】
【表3】
【0022】この第1層のSiO2 の層の形成には、S
iO2 のターゲットを用いてArガス圧3.86Pa、
酸素ガス圧0.14Paの反応性RFスパッタリング法
により成膜した。この場合は基板に振動を与えずに行っ
た。
【0023】第2層のアルミナ層の形成には、アルミナ
ターゲットを用いてArガス圧3.6Pa、酸素ガス圧
0.4Paの反応性RFスパッタリング法により、図1
の振動線図において振幅Aをターゲットの方向に対して
1mm、振動比t/Tが0.6、周波数が100Hzの
振動を基板に対して与えつつ行った。
【0024】第3層のZrO2 、Ta25 混合物層の
形成には、ZrO2 とTa25 を混合して形成したタ
ーゲットを用いてArガス圧3.9Pa、酸素ガス圧
0.1Paの反応性RFスパッタリング法により、図1
の振動線図において振幅Aをターゲットの方向に対して
0.05mm、振動比t/Tが0.97、周波数が10
KHzの振動を基板に対して与えつつ行った。
【0025】第4層のSiO2 層の形成には、SiO2
ターゲットを用いてArガス圧3Pa反応性RFスパッ
タリング法により、図1の振動線図において振幅Aをタ
ーゲットの方向に対して0.1mm、振動比t/Tが
0.25、周波数が1KHzの振動を基板に対して与え
つつ行った。
【0026】上記により構成した反射防止膜の分光反射
率を測定した結果は図4に示すように可視域440〜6
50nmにおいて反射率0.2%以下と良好な特性を示
した。また本実施例ではガラス基板にBK7を用いた
が、特にこれに限定するものではなく、他のガラス材に
おいても同様に可能である。
【0027】本実施例によれば、スパッタリング法によ
る光学膜の形成において、多層の薄膜により所望の屈折
率を有する反射防止膜を形成することができる。
【0028】
【実施例4】本実施例においては表4に示すような膜構
成にて反射防止膜を形成した。即ち屈折率1.81のS
F6基板上に屈折率1.60のアルミナ層をndで13
0nmに形成し、さらにその面に屈折率1.63のアル
ミナ層をndで130nmに形成し、さらにその面に屈
折率2.28のZrO2 層をndで260nmに形成
し、さらにその面に屈折率1.42のSiO2 層をnd
で130nmに形成した。
【0029】
【表4】
【0030】この第1層のアルミナ層の形成には、アル
ミナのターゲットを用いてArガス圧2.5Pa、酸素
ガス圧1.5Paの反応性RFスパッタリング法により
成膜した。この場合は基板に振動を与えずに行った。
【0031】第2層のアルミナ層の形成には、アルミナ
のターゲットを用いてArガス圧2.5PaのRFスパ
ッタリング法により行った。この場合、図1の振動線図
において振幅Aをターゲットの方向に対して1.5m
m、振動比t/Tが0.83、周波数が60Hzの振動
を基板に対して与えつつ行った。
【0032】第3層のZrO2 層の形成には、Zrのタ
ーゲットを用いてArガス圧2.5Pa、酸素ガス圧
0.8Paの反応性DCスパッタリング法により行っ
た。この場合、図1の振動線図において振幅Aをターゲ
ットの方向に対して1.0mm、振動比t/Tが0.9
1、周波数が120Hzの振動を基板に対して与えつつ
行った。
【0033】第4層のSiO2 層の形成には、SiO2
のターゲットを用いてArガス圧2.3Pa、酸素ガス
圧0.7Paの反応性RFスパッタリング法により行っ
た。この場合、図1の振動線図において振幅Aをターゲ
ットの方向に対して0.04mm、振動比t/Tが0.
12、周波数が100KHzの振動を基板に対して与え
つつ行った。
【0034】上記により構成した反射防止膜の分光反射
率を測定した結果は図5に示すように可視域440〜6
50nmにおいて反射率0.25%以下と良好な特性を
示した。また本実施例ではガラス基板にSF6を用いた
が、特にこれに限定するものではなく、他のガラス材に
おいても同様に可能である。
【0035】本実施例によれば、スパッタリング法によ
る光学膜の形成において、多層の薄膜により所望の屈折
率を有する反射防止膜を形成することができる。
【0036】
【実施例5】本実施例においては表5に示すような膜構
成にて反射防止膜を形成した。即ち屈折率1.52のB
K7基板上に屈折率1.40のSiO2 層をndで50
nmに形成し、さらにその面に屈折率2.42のTiO
2 層をndで30nmに形成し、さらにその面に屈折率
1.40のSiO2 層をndで55nmに形成し、さら
にその面に屈折率2.42のTiO2 層をndで275
nmに形成し、さらにその面に屈折率1.40のSiO
2 層をndで130nmに形成した。
【0037】
【表5】
【0038】この第1層のSiO2 層の形成には、Si
2 のターゲットを用いてArガス圧3.86Pa、酸
素ガス圧0.14Paの反応性RFスパッタリング法に
より行った。この場合、図1の振動線図において振幅A
をターゲットの方向に対して0.1mm、振動比t/T
が0.25、周波数が100Hzの振動を基板に対して
与えつつ行った。
【0039】第2層のTiO2 層の形成には、Tiのタ
ーゲットを用いてArガス圧3.0Pa、酸素ガス圧1
Paの反応性DCスパッタリング法により行った。この
場合、図1の振動線図において振幅Aをターゲットの方
向に対して0.01mm、振動比t/Tが0.95、周
波数が1.2MHzの振動を基板に対して与えつつ行っ
た。
【0040】第3層のSiO2 層の形成には、第1層の
SiO2 層と同様な方法にて形成した。また第4層のT
iO2 層は第2層のTiO2 層と同様な方法にて形成し
た。第5層のSiO2 層は第1層のSiO2 層と同様な
方法にて形成した。
【0041】上記により構成した反射防止膜の分光反射
率を測定した結果は図6に示すように可視域440〜6
50nmにおいて反射率0.30%以下と良好な特性を
示した。また本実施例ではガラス基板にBK7を用いた
が、特にこれに限定するものではなく、他のガラス材に
おいても同様に可能である。
【0042】本実施例によれば、スパッタリング法によ
る光学膜の形成において、多層の薄膜により所望の屈折
率を有する反射防止膜を形成することができる。
【0043】
【実施例6】本実施例においては表6に示すような膜構
成で長波長透過フィルターを形成した。即ち基準波長λ
を500nmとして屈折率1.52のBK7基板上に屈
折率2.30のTiO2 層をndで0.7(λ/4)に
形成し、さらにその面に屈折率1.40のSiO2 層を
ndで1(λ/4)に形成し、さらにその面に屈折率
2.30のTiO2 層をndで0.8(λ/4)に形成
し、その後表6に示すようにSiO2 層とTiO2 層を
交互に形成し、ガラス基板上に誘電体層を計20層形成
した。
【0044】
【表6】
【0045】このTiO2 層の形成には、Tiのターゲ
ットを用いてArガス圧3.3Pa、酸素ガス圧1.2
Paの反応性DCスパッタリング法により行った。この
場合、図1の振動線図において振幅Aをターゲットの方
向に対して0.6mm、振動比t/Tが0.85、周波
数が150Hzの振動を基板に対して与えつつ行った。
【0046】またSiO2 層の形成には、SiO2 のタ
ーゲットを用いてArガス圧2.1Pa、酸素ガス圧
0.9Paの反応性RFスパッタリング法により行っ
た。この場合、図1の振動線図において振幅Aをターゲ
ットの方向に対して0.04mm、振動比t/Tが0.
12、周波数が12KHzの振動を基板に対して与えつ
つ行った。
【0047】上記により構成したフィルターの分光透過
率を測定した結果は図7に示すように可視域440〜6
50nmにおいて透過率1%以下で、かつ620nm以
上の波長域において透過率95%以上と良好な特性を示
した。この長波長透過フィルターはRGB色分解フィル
ターとして利用可能である。また本実施例ではガラス基
板にBK7を用いたが、特にこれに限定するものではな
く、他のガラス材においても同様に可能である。
【0048】本実施例によれば、スパッタリング法によ
る光学膜の形成において、多層の薄膜により所望の屈折
率を有するフィルターを形成することができる。
【0049】
【実施例7】本実施例においては表7に示すような膜構
成でミラーを形成した。即ち基準波長λを633nmと
して屈折率1.52のBK7基板上に屈折率2.40の
TiO2 層をndでλ/4に形成し、さらにその面に屈
折率1.40のSiO2 層をndでλ/4に形成し、そ
の後表7に示すようにTiO2 層とSiO2 層を交互に
形成し、ガラス基板上に誘電体層を計9層形成した。
【0050】
【表7】
【0051】このTiO2 層の形成には、Tiのターゲ
ットを用いてArガス圧3.1Pa、酸素ガス圧0.9
Paの反応性DCスパッタリング法により行った。この
場合、図1の振動線図において振幅Aをターゲットの方
向に対して0.6mm、振動比t/Tが0.85、周波
数が150Hzの振動を基板に対して与えつつ行った。
【0052】またSiO2 層の形成には、SiO2 のタ
ーゲットを用いてArガス圧2.1Pa、酸素ガス圧
0.9Paの反応性RFスパッタリング法により行っ
た。この場合、図1の振動線図において振幅Aをターゲ
ットの方向に対して0.04mm、振動比t/Tが0.
12、周波数が12KHzの振動を基板に対して与えつ
つ行った。
【0053】上記により構成したミラーの分光反射率を
測定した結果は図8に示すように基準波長633nmに
おいて反射率98.6%と良好な特性を示した。また本
実施例ではガラス基板にBK7を用いたが、特にこれに
限定するものではなく、他のガラス材においても同様に
可能である。
【0054】本実施例によれば、スパッタリング法によ
る光学膜の形成において、多層の薄膜により所望の屈折
率を有するミラーを形成することができる。
【0055】
【実施例8】本実施例においては表8に示すような膜構
成にて反射防止膜を形成した。即ち屈折率1.52nm
のアモルファスポリオレフィン樹脂基板上に屈折率1.
95のSiO層をndで20nmに形成し、さらにその
面に屈折率1.40のSiO2 層をndで165nmに
形成した。
【0056】
【表8】
【0057】この第1層のSiO層の形成には、Siの
ターゲットを用いてArガス圧3.9Pa、酸素ガス圧
0.04Paの反応性DCスパッタリング法により行っ
た。この場合、図1の振動線図において振幅Aをターゲ
ットの方向に対して1.0mm、振動比t/Tが0.7
5、周波数が100Hzの振動を基板に対して与えつつ
行った。
【0058】第2層のSiO2 層の形成には、SiO2
のターゲットを用いてArガス圧3.86Pa、酸素ガ
ス圧0.14Paの反応性RFスパッタリング法により
行った。この場合、図1の振動線図において振幅Aをタ
ーゲットの方向に対して1.0mm、振動比t/Tが
0.25、周波数が100Hzの振動を基板に対して与
えつつ行った。
【0059】上記により構成した反射防止膜の分光反射
率を測定した結果は図9に示すように可視域440〜6
50nmにおいて反射率1.6%以下と良好な特性を示
した。また本実施例ではアモルファスポリオレフィン樹
脂基板を用いることにより、プラスチック光学素子に薄
膜を形成することを示したが、特にこれに限ることなく
ポリカーボネイト、ポリスチレン、CR−39、TP
X、ウレタンアクリレート系エネルギー硬化型樹脂等の
樹脂においても同様に可能である。
【0060】本実施例によれば、スパッタリング法によ
る光学膜の形成において、多層の薄膜により所望の屈折
率を有する反射防止膜を形成することができる。
【0061】〔比較例〕本発明の比較として、実施例1
と同様の材料を用いて反射防止膜を形成した場合の例を
示す。本比較例は、表9に示すような膜構成で反射防止
膜を形成した。即ち屈折率1,52のBK7基板上に屈
折率2.3のTiO2 層をndで18nmに形成し、さ
らにその面に屈折率1.46のSiO2 層をndで18
0nmに形成した。
【0062】
【表9】
【0063】第1層のTiO2 層の形成には、Tiのタ
ーゲットを用いてArガス圧3.6Pa、酸素ガス圧
0.4Paの反応性DCスパッタリング法により成膜し
た。この場合は基板に振動を与えないで成膜した。第2
層のSiO2 層の形成には、SiO2 のターゲットを用
いてArガス圧3.86Pa、酸素ガス圧0.14Pa
の反応性RFスパッタリング法により成膜した。この場
合も基板に振動を与えないで成膜した。
【0064】本比較例により形成した反射防止膜の分光
反射率を測定した結果は、図10に示すように可視域4
40〜650nmにおいて反射率2.1%以下の特性を
示した。この特性は、本発明の実施例において形成した
反射防止膜の分光特性を示す線図(図2)のような可視
域440〜650nmにおいて反射率1.5%以下を示
した特性と比較すると明らかに本発明の実施例のほうが
反射率が低く特性が良好であることが判る。
【0065】なお、この比較例は屈折率1.46のSi
2 層と屈折率2.3のTiO2 層を用いて、できる限
り良好な特性を得るように設計したものであり、他の設
計でも本発明のような可視域440〜650nmにおい
て反射率1.5%以下の特性は得られなかった。
【0066】
【発明の効果】本発明によれば、従来の問題点を解決し
て、所望の屈折率を有する薄膜を、均質に、かつ再現性
よく形成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による膜構成時に基板に与える振動の特
性線図。
【図2】本発明の実施例1にて形成した光学薄膜の特性
を示す線図。
【図3】本発明の実施例2にて形成した光学薄膜の特性
を示す線図。
【図4】本発明の実施例3にて形成した光学薄膜の特性
を示す線図。
【図5】本発明の実施例4にて形成した光学薄膜の特性
を示す線図。
【図6】本発明の実施例5にて形成した光学薄膜の特性
を示す線図。
【図7】本発明の実施例6にて形成した光学薄膜の特性
を示す線図。
【図8】本発明の実施例7にて形成した光学薄膜の特性
を示す線図。
【図9】本発明の実施例8にて形成した光学薄膜の特性
を示す線図。
【図10】比較例にて形成した光学薄膜の特性を示す線
図。
【符号の説明】
A 振幅 T 振動の1周期 t 振幅の回帰時間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三田村 宣明 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 豊原 延好 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 徳田 一成 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 生水 利明 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スパッタリング法により光学薄膜を形成
    する方法において、基板を振動させながら成膜を行うこ
    とを特徴とする光学膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記基板に与える振動はその振動の振幅
    により基板とターゲットとの距離に変化を与えるもので
    あることを特徴とする請求項1記載の光学膜の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記基板に与える振動は、その振動1ピ
    ッチの時間Tに対する振幅Aの回帰時間tとの割合であ
    る振動比T/tを成膜の構成に対応して変化させること
    を特徴とする請求項1記載の光学膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 スパッタリング法により基板を振動させ
    ながら少なくとも1層以上の光学膜を形成させて成るこ
    とを特徴とする光学素子。
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