JP3404346B2 - 光学薄膜の製造方法及び光学薄膜を有する基板の製造方法 - Google Patents

光学薄膜の製造方法及び光学薄膜を有する基板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光学部品等の基板に対
し、光学膜用蒸着材料から光学薄膜を製造する方法及び
光学薄膜を有する基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、レンズ、ミラー、プリズム等の光
学部品の素材として、無機ガラスに代えてプラスチック
が多く用いられるようになってきている。その主な理由
は、軽量かつ低コストにて製作でき、しかも形状の自由
度が大きいという利点があるからである。また、かかる
利点を有することから、最近では光学部品以外の各種部
品にも幅広く利用されつつある。
【0003】ところが、これらプラスチックにて構成し
た部品は、ガラスや金属製の部品に比して耐磨耗性,耐
擦傷性が劣るために、何らかの表面処理を施さなければ
実用上問題が多い。特にプラスチックを光学部品として
使用する場合には、光学ガラスを光学部品として使用す
る場合と同様にその表面に対して光学薄膜を形成する必
要がある。
【0004】プラスチック製光学部品の表面に形成され
る光学薄膜となる光学多層膜としては、主に反射防止膜
に関するものが多く提案されており、従来、例えば特開
昭62−191801号公報に開示されているような反
射防止膜が知られている。これは、空気側からプラスチ
ック製基板側へ順に、SiO,ZrO+TiO
ZrO,SiO又はSiOという4層構成からなる
ものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】広い波長域にわたって
十分な反射防止効果を得る光学薄膜にするためには、低
屈折率物質と高屈折率物質とを組み合わせた構成とする
必要があり、高屈折率物質としては、前記従来技術に見
られるZrOやTiOが用いられる場合が多い。し
かしながら、ZrOやTiO等は融点が高く、通常
のガラス基板上に反射防止膜等の光学薄膜を形成する場
合と同じ装置のセッティング方法では、蒸発源からの輻
射熱の影響で、プラスチック基板が加熱され、基板の表
面がダメージを受けて膜の密着性が劣化したり、あるい
は光学部品にとって最も重要である面精度を劣化させる
おそれがある。これは、特に、熱に弱いアクリル樹脂
(PMMA)を基板に用いた場合に顕著である。その対
策としては、蒸発源から基板までの距離を長くしたり、
蒸発源と基板との間に遮蔽板を設けて、蒸発源からの輻
射熱の影響を少なくする方法が考えられる。
【0006】しかし、上記方法は、いずれもハード上の
大幅な改善が必要となるため、従来のガラス基板上への
反射防止膜等の光学薄膜を形成するための装置をそのま
まプラスチック基板用に使用することができないという
不具合があった。また、上記方法では、各基板に対して
必然的に蒸着時間が長くなり、生産性の点でも好ましく
なかった。
【0007】本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてな
されたもので、従来の装置を用いて容易に生産性良く形
成でき、しかも十分な密着性が得られ、基板の面精度の
劣化もない光学薄膜の製造方法及び光学薄膜を有する基
板の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用】上記問題点
は、蒸発源からの輻射熱の低い材料を用いることができ
れば、前述の装置改造の必要性がなく、生産性の悪さ、
密着性および面精度の劣化等を解決することができるこ
とを見い出した。このような材料として、MoO,W
,CeOの3つを挙げることができる。Mo
,WOは、従来、光学薄膜用材料としてはほとん
ど注目されていなかった材料であるが、完全に酸化した
状態であれば光の吸収の問題も無く、屈折率は1.85
〜2.1程度(蒸着条件によって変化する)であること
を見い出した。したがって、MoO,WOを高屈折
率物質として使用し、広帯域の反射防止膜となる光学薄
膜を形成することが可能である。
【0009】一方、CeOは可視域の短波長側に吸収
があるため、反射防止膜としての光学薄膜には使用上あ
まり好ましくない。特に、撮像系レンズへの適用は不適
である。そこで、MoO,WOを用いた光学薄膜を
基板上に形成することが好ましい。
【0010】
【0011】
【0012】上記に鑑みて本発明は、MoOまたはW
の少なくともいずれか一方の物質に他の誘電体を混
合して光学膜用蒸着材料を作成する工程と、この後、こ
の蒸着材料を真空蒸着装置内に配置する工程と、配置し
た蒸着材料が蒸発源となるように加熱することにより前
記MoOまたはWOの少なくともいずれか一方で形
成される光学薄膜を形成する工程と、を有する光学薄膜
の製造方法とした。
【0013】また、本発明は、MoOまたはWO
少なくともいずれか一方の物質に他の誘電体を混合して
光学膜用蒸着材料を作成する工程と、この後、この蒸着
材料を真空蒸着装置内に配置する工程と、配置した蒸着
材料が蒸発源となるように加熱し、この蒸着材料中のM
oOまたはWOの少なくともいずれか一方で形成さ
れる光学薄膜を形成する工程と、この光学薄膜の上に前
記MoOまたはWO とは異なる誘電体からなる光学
薄膜を形成する工程と、を有する多層の光学薄膜の製造
方法とした。
【0014】また、本発明は、MoOまたはWO
少なくともいずれか一方の物質に他の誘電体を混合して
光学膜用蒸着材料を作成する工程と、この蒸着材料を真
空蒸着装置内に配置する工程と、真空蒸着装置内の前記
蒸着材料との対向位置に、光学薄膜を形成する基板を取
り付ける工程と、前記蒸着材料を加熱して蒸着源とする
とともに、この蒸着材料中のMoOまたはWOの少
なくともいずれか一方と前記誘電体との蒸気圧の差によ
り、前記蒸着材料中のMoOまたはWOの少なくと
もいずれか一方で形成される光学薄膜を前記基板上に形
成する工程と、を有するようにして光学薄膜を有する基
板を製造することにした。
【0015】MoO,WOを蒸着材料として抵抗加
熱法により蒸着を行うことは難しくないのに対して、電
子ビーム法により蒸着を行なおうとした場合、電子ビー
ムが反射してしまって、蒸着材料を加熱することが難し
い。しかし、MoO,WO に他の誘電体を少量混合
することにより、電子ビームの反射を抑制することがで
きる。この場合の混合物としては、後述のSiOの他
に、Al,ZrO,Ta,TiO等を
用いることができる。これらの高融点物質との混合物を
蒸着材料とした場合には、蒸気圧が大幅に異なることか
ら、蒸着膜中にはMoO,WOのみしか存在しない
ことになる。混合物の添加量としては1重量%以上あれ
ば十分である。なお、この光学膜用蒸着材料について
は、プラスチック基板上への光学薄膜としての反射防止
膜に限らず、広範囲に利用できることはもちろんであ
る。
【0016】前述のように、MoO,WOは反射防
止膜等の光学薄膜を構成する高屈折率物質として使用で
きるものであり、基板を加熱せずに成膜した場合の屈折
率はそれぞれ約2.0,1.85である。また、従来の
高屈折率物質であるZrOやTiO等と比較して低
融点であり、さらに、非常に蒸気圧の高い物質であるた
め、蒸発源にて加えるエネルギーを極めて低く設定する
ことができる。その結果、ハード上の改造を何ら加える
ことなく、蒸発源からの輻射熱を低く抑えることがで
き、基板の表面ダメージによる膜の密着性劣化や、面精
度の劣化が生じることもない。
【0017】MoO,WOは、前述のようにいずれ
も光学薄膜用材料としては従来ほとんど注目されていな
かった材料であるが、完全に酸化した状態であれば、波
長420nm以上の光の吸収は全く無く、400nmで
の吸収も2%弱であって、光学特性から見ても実用上、
何ら問題は無い。
【0018】なお、MoO,WOを用いて多層の光
学薄膜を構成する場合、他の誘電体との混合物にして使
用しても良いのはもちろんである。MoOとWO
の混合物でも良いし、MoOと他の誘電体、WO
他の誘電体、あるいはMoO とWOと他の誘電体と
いう混合物も用いることが可能である。この場合、特に
SiOとの混合により、耐ヒートサイクル性や機械的
強度が向上することが確認されている。
【0019】本発明における基板のうちのプラスチック
とは、特に制限は無く、アクリル、ポリカーボネート、
CR−39、エネルギー硬化型樹脂等を含む。実施例に
おけるSiの酸化物層とは、SiO(x=1〜2)の
組成のもののいずれでも良い。この第1層目の光学的膜
厚ndを2nm以上としたのは、2nm未満では、ヒー
トサイクル試験によりクラックが発生するからである。
この点については、実施例にて詳細に説明する。また、
第2層目以降の高屈折率層は、MoOまたはWO
みにて構成しても良いし、他の誘電体との混合物層とし
ても良い。
【0020】
【実施例1】表1に示すような構成で光学薄膜としての
反射防止膜を構成した。すなわち、屈折率n=1.49
のアクリル樹脂(PMMA)からなるプラスチック基板
の表面に、MoOとSiOとを交互に積層したもの
である。
【0021】
【表1】
【0022】上記構成の反射防止膜は、図1に示す真空
蒸着装置を用いて形成した。10は真空チャンバで、真
空チャンバ10内の下方位置には、抵抗加熱蒸発源11
および電子銃蒸発源12がそれぞれ配列されている。1
3は抵抗加熱蒸発源11に取り付けた抵抗加熱用溶融ボ
ートで、14は電子銃蒸発源のハースライナである。真
空チャンバ10内の上方位置には、基板1を取付け可能
にし、軸中心に回転自在の回転ドーム15が配設されて
いる。16は図示を省略した真空ポンプに接続された真
空排気管である。蒸発源から基板1までの距離は、52
0mmである。上記の説明からわかるように、本装置
は、従来のガラス基板上に反射防止膜を形成する装置と
何ら異なる点は無い。
【0023】図1の装置を用いて表1の構成の反射防止
膜を製造する方法を以下に示す。MoO層は、MoO
を顆粒状にしたものをMo製のボート13に入れて、
酸素ガスを全圧が2×10−4Torrになるまで導入
しながら抵抗加熱法により形成した。また、SiO
は、SiOを顆粒状にしたものをハースライナ14に
入れて、電子ビーム法により形成した。
【0024】上記のようにして製造した反射防止膜の分
光反射率を測定したところ、図2のようになっており、
プラスチック基板への反射防止膜として十分な特性を有
していた。また、セロハンテープを用いた剥離試験によ
る密着性評価試験の結果も良好であった。基板の面精度
の変化もなかった。
【0025】本実施例においては、MoOが解離して
酸素欠乏状態になり、可視光を吸収するようになるのを
防止するために、成膜中にOガスを導入したが、その
代わりに酸素プラズマを用いたり、あるいは酸素イオン
ビームを用いたりしても同様の結果が得られた。
【0026】
【実施例2】表2に示す構成の光学薄膜としての反射防
止膜を、図1に示す装置を用いて、WOを原料として
W製のボートを用いる以外は実施例1と全く同様の製造
方法にして形成した。分光反射率は図3のように十分な
特性を有しており、密着性も良好であった。
【0027】
【表2】
【0028】
【実施例3】表3に示す構成の光学薄膜としての反射防
止膜を図1に示す装置を用いて形成した。第2層及び第
4層は、MoO及びWO粉末を重量比で2:1とな
るように混合した顆粒をMo製ボート13に入れて、酸
素ガスを全圧が8×10−5Torrになるまで導入し
ながら、抵抗加熱法により形成した。
【0029】
【表3】
【0030】分光反射率は、図4のように十分な特性を
有しており、密着性も良好であった。MoOとWO
との混合比を変化させることで屈折率を調節することが
可能である。
【0031】
【実施例4】表4に示す構成の光学薄膜としての反射防
止膜を図1に示す装置を用いて形成した。第1層のSi
O層は、SiO原料をMo製のボート13に入れて、酸
素ガスを導入しながら抵抗加熱法により形成した。第2
層のMoO層は、MoO粉末97〜98重量%とA
粉末2〜3重量%とを混合してペレット状に固
めたものを原料としてハースライナ14に載置し、電子
ビーム法により形成した。第3層のSiO層は、Si
顆粒をハースライナ14に載置し、電子ビーム法に
より形成した。
【0032】
【表4】
【0033】上記のようにして形成した反射防止膜の分
光反射率は図5のように十分な特性を有しており、密着
性も良好であった。
【0034】本実施例においては、MoOにAl
を少量添加したものを蒸着材料として用いたために、
電子ビームが反射することなく、蒸着材料を電子銃にて
容易に加熱することができた。なお、Alの代わ
りにZrO,Ta,TiOを混合しても、同
様の効果が得られた。他の多くの高融点酸化物でも同様
の効果が得られる。
【0035】
【実施例5】表5に示す構成で光学薄膜としての反射防
止膜を製造した。すなわち、屈折率n=1.58のポリ
カーボネート樹脂(PC)からなるプラスチック基板の
表面にSiOと、MoOとSiOとの混合物とを
交互に積層したものである。
【0036】MoOとSiOとの混合物層は、以下
のようにして形成した。MoO顆粒とSiO顆粒と
を重量比で4:1となるように混合したものを蒸着材料
とした。これをハースライナ14に入れて、酸素ガスを
1×10−4Torr導入しながら、電子ビーム法によ
り蒸着した。
【0037】
【表5】
【0038】上記のようにして形成した反射防止膜の分
光反射率は、図6のように十分な特性を有しており、密
着性も良好であった。本実施例の反射防止膜は、MoO
にSiOを混合しているために、特にヒートサイク
ルに強く、「20℃1時間→−40℃1時間→20℃1
時間→70℃1時間保持」を1サイクルとして20サイ
クルを繰り返した後も、密着性の劣化やクラックの発生
等の問題は一切生じなかった。
【0039】SiOの混合量は、10重量%以上で、
上記と同様の効果が得られる。混合量を変化させること
で、屈折率を変化させることも可能である。また、WO
とSiOとの混合膜でも、同様に耐ヒートサイクル
性等の耐久性に優れていることを確認した。
【0040】
【実施例6】表6に示す構成で光学薄膜としての反射防
止膜を形成した。すなわち、屈折率n=1.49のアク
リル樹脂(PMMA)からなるプラスチック基板の表面
に、WOとSiOとを交互に積層したものである。
【0041】図1に示す装置を用いて表6に示す構成の
反射防止膜を形成した。WO層は、ペレット状にした
ものを電子銃により加熱して形成した。また、SiO
層はSiOを顆粒状にしたものをハースライナ14に
入れて、電子銃により加熱して形成した。
【0042】
【表6】
【0043】上記のようにして形成した反射防止膜の分
光反射率を測定したところ、図7に示すようになってお
り、プラスチック基板への反射防止膜として十分な特性
を有していた。また、セロハンテープを用いた剥離試験
による密着性評価試験の結果も良好であった。基板の面
精度の変化もなかった。
【0044】さらに、上記のようにして形成した反射防
止膜のヒートサイクル試験を行った。「20℃1時間→
−40℃1時間→20℃1時間→70℃1時間保持」を
1サイクルとして、20サイクル繰り返した後も、密着
性の劣化やクラックの発生等の問題は一切生じなかっ
た。
【0045】
【実施例7】表6の第1〜5層目は実施例6と全く同じ
で、第1層目を無くしたもの、及び第1層目の膜厚を変
えた時の密着性、耐ヒートサイクル性についての評価結
果を表7にまとめて示す。第1層目のSiO層が無い
場合は、目視ではっきりとわかるクラックが全面に発生
するため、不良であるが、SiO層の光学的膜厚が5
nm以上あれば、クラックは全く発生しなくなる。Si
層の光学的膜厚が2nmの場合、クラックの発生は
目視ではわからないが、光学顕微鏡(50倍)で見ると
クラックの発生が確認された。しかし、これは光学特性
上は問題ないレベルのものであった。このように、第1
層目のSiO層の光学的膜厚は、少なくとも2nm以
上、好ましくは5nm以上であることが望ましい。これ
は、本実施例に限らず、他の膜構成、他のプラスチック
基板の場合も同様であった。
【0046】
【表7】
【0047】上記のように、ヒートサイクル試験により
クラックが発生するのは、試験中にプラスチック基板が
膨張、収縮を繰り返すのに対して、MoO,WO
これに追随できずに応力が大きくなり、遂には破壊して
しまうからである。第1層目のSiの酸化物層は、この
応力を緩和する働きを持つので、クラックの発生を防止
することができると考えることができる。
【0048】
【実施例8】表8に示す構成の反射防止膜を図1に示す
装置を用いて形成した。第1層目のSiO層は、SiO
原料をMo製のボート13に入れて、抵抗加熱法により
形成した。第2,4層目のWO層、第3,5層目のS
iO層は、実施例6と同様に電子銃による加熱により
形成した。また、第1〜5層目の成膜中には、酸素を2
×10−4Torr導入した。
【0049】
【表8】
【0050】このようにして形成した反射防止膜の分光
反射率は図8に示すように充分な特性を有しており、密
着性も良好であった。また、ヒートサイクルによるクラ
ックの発生、密着性の劣化もなかった。
【0051】
【実施例9】実施例8のWOをMoOに置き換え
て、同様の実験を行った。その結果、密着性に優れてお
り、ヒートサイクルによるクラックの発生もなかった。
【0052】
【実施例10〜13】上記実施例はアクリル樹脂基板上
への反射膜の例であったが、表9には、他の基板を用い
た例を示す。いずれも密着性が良く、ヒートサイクルに
よるクラックの発生もない。
【0053】
【表9】
【0054】
【発明の効果】以上のように、本発明の光学薄膜の製造
方法及び光学薄膜を有する基板の製造方法によれば、低
融点であり、蒸気圧の高い物質であるMoO,WO
を光学膜用蒸着材料として用いたことにより、蒸発源か
らの輻射熱を低く抑えることができることになり、よっ
て従来の真空蒸着装置に何ら改造を加えることなくMo
,WOを含む光学薄膜あるいはこの光学薄膜を有
する基板を製造することができる。そして、基板がプラ
スチックであっても、表面ダメージによる光学薄膜の密
着性劣化や面粘度の劣化を生じさせない光学薄膜を製造
できる。
【0055】また、MoOまたはWOの少なくとも
いずれか一方の物質に他の誘電体を混合した光学膜用蒸
着材料を用いた場合には、この蒸着材料を蒸発源とする
際に蒸気圧の差により容易に蒸着することができるよう
になるので、MoO,WO を光学薄膜の層を容易に
形成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で用いた真空蒸着装置を示す概
略構成図である。
【図2】本発明の実施例1による反射防止膜の分光反射
率特性を示すグラフである。
【図3】本発明の実施例2による反射防止膜の分光反射
率特性を示すグラフである。
【図4】本発明の実施例3による反射防止膜の分光反射
率特性を示すグラフである。
【図5】本発明の実施例4による反射防止膜の分光反射
率特性を示すグラフである。
【図6】本発明の実施例5による反射防止膜の分光反射
率特性を示すグラフである。
【図7】本発明の実施例6による反射防止膜の分光反射
率特性を示すグラフである。
【図8】本発明の実施例8による反射防止膜の分光反射
率特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1 基板

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 MoOまたはWOの少なくともいず
    れか一方の物質に他の誘電体を混合して光学膜用蒸着材
    料を作成する工程と、 この後、この蒸着材料を真空蒸着装置内に配置する工程
    と、 配置した蒸着材料が蒸発源となるように加熱することに
    より前記MoOまたはWOの少なくともいずれか一
    方で形成される光学薄膜を形成する工程と、を有するこ
    とを特徴とする光学薄膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 MoOまたはWOの少なくともいず
    れか一方の物質に他の誘電体を混合して光学膜用蒸着材
    料を作成する工程と、 この後、この蒸着材料を真空蒸着装置内に配置する工程
    と、 配置した蒸着材料が蒸発源となるように加熱し、この蒸
    着材料中のMoOまたはWOの少なくともいずれか
    一方で形成される光学薄膜を形成する工程と、 この光学薄膜の上に前記MoOまたはWOとは異な
    る誘電体からなる光学薄膜を形成する工程と、を有する
    ことを特徴とする多層の光学薄膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 MoOまたはWOの少なくともいず
    れか一方の物質に他の誘電体を混合して光学膜用蒸着材
    料を作成する工程と、 この蒸着材料を真空蒸着装置内に配置する工程と、 真空蒸着装置内の前記蒸着材料との対向位置に、光学薄
    膜を形成する基板を取り付ける工程と、 前記蒸着材料を加熱して蒸着源とするとともに、この蒸
    着材料中のMoOまたはWOの少なくともいずれか
    一方と前記誘電体との蒸気圧の差により、前記蒸着材料
    中のMoOまたはWOの少なくともいずれか一方で
    形成される光学薄膜を前記基板上に形成する工程と、を
    有することを特徴とする光学薄膜を有する基板の製造方
    法。
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