JPH0893639A - 高温腐食性媒体の給送用ポンプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 腐食性媒体を給送する。 【解決手段】 駆動部分は、供給連結具と排出連結具と
を有する気体流路であって流れによりシール間隙と連絡
する気体通路も備える。ポンプの運転中は、高温気体
は、供給連結具を経て気体流路に入れられそして排出連
結具を経て再び駆動部分から出て行く。供給圧力は、ス
テータリングの上方の気体流路内の気体の静圧がポンプ
本体を部分的に又は完全に満たす給送媒体の圧力より高
いように設定される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、高温の腐食性媒体の給
送用ポンプ及びこのポンプの運転方法に関する。

【０００２】

【従来技術及びその課題】危険な媒体を送るためのポン
プは知られている。この目的に対して通常は不可避な駆
動軸のブシュにおける気密性に関する諸問題を避けるた
め、ほとんどの場合、磁気結合式ポンプが使用される。
この場合、通常は内部作動式磁石の付近に配置された軸
受を潤滑するために実際の給送媒体が使用され、従って
これがポンプの内部全体を満たす。腐食性媒体に関連す
るポンプの内部全体に種々の材料を使用することができ
る。例えば軸方向のリングシールによりポンプ室をポン
プ内部から隔離すること、及び例えば輸送媒体の側流の
手段により内部磁石の付近にある軸受を別に潤滑するこ
ともまた知られる。これらポンプの欠点は、これらが高
度に腐食性の媒体を給送できない点にある。この問題に
加えて、給送すべき高度に腐食性の媒体は、例えば熔融
塩の事例におけるように高温（＞３００℃）であり、シ
ール用材料は、温度と腐食とに対する抵抗に関するこれ
ら２種の要求を満足しない。更に、現在知られている磁
石材料の場合には４００℃以上の温度では徐々に磁性が
なくなり、内部ポンプ磁石が高温ではその磁性を失い、
従ってポンプが使用できなくなる。

【０００３】独国実用新案８７１１５５５．７は、ポン
プを駆動する電動機の冷却風の流れを軸受支持部及び電
磁継手の方に向ける冷却風案内を有する高温媒体給送用
のポンプ装置を説明する。このため、高温媒体の給送の
場合でも、簡単な構造で磁石及び軸受の運転温度が下げ
られ、ポンプは作動状態に留まる。しかし、この種のポ
ンプは、媒体と接触しかつ熔融塩により極めて速やかに
腐食される多数の部品が内部に配置されるので、熔融塩
のような高温かつ極めて腐食性の強い媒体の給送に対し
ては不適当である。

【０００４】ＤＥ−Ａ ４２１２９８２は、高温媒体輸
送用の磁気結合式ポンプを提案する。この発明の目的
も、高温媒体の給送の際に軸受及び磁石の温度を限定す
るように軸受と磁石とを冷却することである。この目的
は、外側磁石支持部用の駆動軸における冷却用流体流入
通路の設置により解決され、この通路は冷却用流体用の
間隙と連通し、更にこの間隙が外側磁石支持部及び外側
ポンプ囲いの内部と連通し、冷却用流体は外側の囲いか
ら再び排出される。この解決方法に従ったポンプにより
温度が２００から３００℃の間の媒体を給送することが
でき、この場合、軸受温度は５０ないし６０℃を越さな
いであろう。しかし、提案されたこのポンプは、ポンプ
のケーシングに最寄りの軸受に直接送られる高度に腐食
性の媒体に対する信頼し得るシールを保証するという要
求を満たすことができず、与えられた構造に要求される
公知のシール用材料で達成することは不可能である。更
に、提供された内側軸受の冷却は軸受内の熔融塩の結晶
化を生じ、その排除の際に腐食そのものだけでなく侵食
さえも直接もたらす。この提案された解決法は、適切な
シール材料が入手できないため、ポンプケーシングから
内側軸受を通りポンプ内部にいたる熔融塩の通過を防止
できない。しかも、このこの種の方法はポンプを非常の
早く破壊させる。

【０００５】従って、目的は、例えば温度４００℃以上
の塩化物又はＣｕ熔融塩のような高度に腐食性でかつ高
温の媒体の給送のできるポンプであってかつ構造が簡単
で信頼性がありかつ運転の費用が少ないポンプ及びこの
ポンプの運転方法を見いだすことである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】駆動部分とポンプ本体と
を有し駆動軸が給送すべき媒体から軸シールにより隔離
されたポンプを与えたとき、この問題は本発明により解
決される。本発明においては、軸シールはポンプ本体内
及び／又は駆動部分内に取り付けられたステータリング
よりなり、そして駆動軸がシール間隙を残してこれを通
過し、媒体と接触するポンプ本体内の総ての部品を含ん
だポンプ本体とステータリングとが腐食及び高温に耐え
る材料より作られ、駆動軸を取り付けるために１個又は
複数個の乾燥走行軸受が駆動部分内に配置され、更に駆
動部分は、供給連結具と排出連結具とを有する気体流路
であって流れによりシール間隙と連絡する気体通路を備
える。

【０００７】好ましい実施例は、駆動部分の回転運動が
電磁継手により駆動軸に伝達されることにある。

【０００８】駆動部分の乾燥走行軸受はセラミックの転
がり軸受よりなることが有利である。乾燥走行軸受の走
行面は滑り摩擦を減らすために、例えば炭素のような無
機物のフィルムでこれを被覆することができる。

【０００９】別の通常の軸シール、例えば軸方向リング
シールをステータリングと駆動部分との間に設けること
もまた適切である。

【００１０】設定された目的は、本発明に従って、高温
気体が供給連結具を経て気体流路に入れられそして排出
連結具を経て再び駆動部分から出て行くこと、及びステ
ータリングの上方の気体流路内の気体の静圧がポンプ本
体を部分的に又は完全に満たす給送媒体の圧力より高い
ように供給圧力が設定されるポンプ運転方法により解決
される。

【００１１】好ましい実施例により、高温気体の温度は
１２０℃以上の値に、かつ流路内の高温気体の静圧は
１．５バール以上の値であるように設定される。

【００１２】高温気体として過熱蒸気の使用が有利であ
る。

【００１３】加えて、高温気体の圧力は、制御回路によ
り、ポンプにより給送される媒体の給送圧力より高い所
望の値に適切に調整される。

【００１４】個々の事例において、過熱蒸気の代わりに
駆動部分の気体通路への進入のために空気、窒素、酸素
又は二酸化炭素のような別の高温の気体状媒体を使用す
ることも認められるであろう。

【００１５】

【実施例】本発明は、以下、図に示された実施例に基づ
いて詳細に説明される。図は、高温及び腐食に耐えかつ
電磁継手式歯車ポンプに基づくポンプの基本構造を示
す。このポンプはポンプ本体１と駆動部分２とに分割さ
れ、ポンプ本体１と駆動部分２とはセラミックのステー
タリング３により分離され、このリングはポンプ本体１
内に取り付けられかつ駆動軸４（ポンプ軸）がこれを通
過する。ポンプ軸４の通過用のステータリング３の開口
はポンプ軸よりやや大きな直径を有し、従ってポンプ軸
４とステータリングの開口の内面との間にシール間隙５
が残る。

【００１６】媒体と接触するすべての部品を含んだポン
プ本体１は、セラミック、せっき等のような高温及び腐
食に耐える材料で構成される。実際のポンプはポンプ軸
を有する歯車ポンプ６よりなり、この歯車ポンプは、ポ
ンプ本体１内に配列されかつこれもセラミック材料より
作られる。給送すべき高温の腐食性媒体は歯車ポンプ６
の取入れ連結具７を通って歯車の方向と直角な方向に流
れ、歯の間で圧縮され、そして歯車ポンプ６の反対側の
対応した圧力連結具を通ってポンプを離れる。ポンプ軸
又は駆動軸４は駆動部分２内で円筒状のかご形ローター
９に確り連結され、このローターは駆動部分２内の適切
な大きさのケーシング開口１０内で自由回転できる。か
ご形ローター９はセラミックの転がり軸受１１の手段に
より取り付けられ、これら軸受はかご形ローター９と円
筒状の軸受シェル１２との間に配列され、このシェルは
ポンプ部分１に確り連結されかつ軸方向に伸びる。

【００１７】駆動軸１４を介して電動機に連結されたポ
ット形ローター１３が、かご形ローター９の回りに同心
状に配置される。ローター１３の内側に磁石の極カラー
１５が配列され、これはかご形ローター９の反対側の磁
石の極カラー１６と共に電磁継手を形成し、電動機軸１
４からの回転運動を駆動軸／ポンプ軸４に伝達するよう
に作動する。しかし、電動機軸１４は、これを駆動軸４
に直結することもできる。ポンプ部分１と駆動部分２と
の間の気密を改良するために、ステータリング３に加え
て別の通常のシール、例えば軸方向のリングシール１７
を設けることができる。

【００１８】重要な構造の特徴は、駆動部分２、特にか
ご形ローター９に気体流路１８が設けられることであ
る。高温の気体又は過熱蒸気が、供給用連結具１９を経
て気体流路１８に入れられる。高温気体は、まず半径方
向の環状部分を通って流れ、次いで軸受シェル１２と平
行な軸方向の間隙を通りセラミックの転がり軸受１１の
回りを流れ、最後に排出連結具２０を通って駆動部分２
から出て行く。気体通路１８は、駆動軸４に平行な環状
の連結通路２１を経てステータリング３と駆動軸４との
間のシール間隙５にも連通する。供給連結具１９におけ
る高温気体の供給圧力の大きさは、連結用間隙２１内の
過熱蒸気の静圧が歯車ポンプ６内の給送媒体の圧力より
高いように選定される。従って、高温の攻撃的な給送媒
体、例えば熔融塩がシール間隙５及び軸方向リングシー
ル１７を通過して駆動部分２内に入ることを防ぐことが
可能である。

【００１９】歯車ポンプ６と駆動軸４とを含んだポンプ
本体１はセラミック材料より作られるが、駆動部分はセ
ラミックの転がり軸受１１を除いて金属で作ることがで
き、これが本発明の肝要な利点である。転がり軸受１１
の走行面は、滑り摩擦を減らすためにカーボン膜で被覆
されることが好ましい。

【００２０】本発明によるポンプは、本発明の方法によ
り、以下の作動原理に基づく。

【００２１】給送媒体、例えば温度５００℃の熔融塩が
歯車ポンプ６の取入れ連結具７を経て取り入れられ、セ
ラミックの歯車間で圧縮され、そして５バールの圧力で
ポンプ本体から出て行く。ポンプ軸４は、僅かの間隙
（シール間隙５）を有してステータリング３を通過す
る。ステータリング３は、ポンプ軸４とポンプ本体１と
に関する僅かな間隙を除いてポンプ本体１とポンプの駆
動軸２とを互いに分離する。このとき、圧力５．１バー
ルに圧力調整された温度１８０℃の蒸気が気体供給連結
具１９を経て駆動部分２に供給され、気体排出連結具２
０を経て再び駆動部分２から出て行く。大気圧より高圧
の駆動部分２内の蒸気により、ステータリング３とポン
プ軸４との間のシール間隙５及びステータリング３とポ
ンプ本体１との間を液状の熔融塩が通過することが防止
される。少量の蒸気が駆動部分２からポンプ本体１内に
配された熔融塩内に流れる。もし熔融塩が化学的に影響
されないならば、熔融塩内に流入した少量の蒸気は、こ
れを許容することができ、歯車ポンプの給送容量は熔融
塩内に含まれる蒸気の泡によっては悪影響を受けない。
この蒸気の流れは、ステータリング３と転がり軸受１１
の前面との間の普通の軸方向リングシール１７により更
に最小にすることができる。駆動部分２を通って流れる
過熱蒸気は重要な第２の機能も持つ。即ち、ポンプ磁石
１６及び乾燥走行軸受１１は３５０℃以下の温度に確実
に直接冷却され、これは重要な要因である。駆動部分２
内の蒸気の障壁作用のため、温度５００℃の熔融塩の駆
動部分２内への侵入は効果的に防止され、ポンプ本体１
から駆動部分２内への熱の流れを取り除くので、ポンプ
磁石１６は冷却されこれらの作用は阻害されない。軸受
１１は過熱蒸気によって同様に冷却される。駆動部分２
内の構成要素で給送媒体と接触するものはなく、従って
セラミックの乾燥走行軸受１１を除いた総てを、例えば
通常の特殊鋼で作ることができる。ポンプの駆動部分２
に使用されかつポンプにおいて加熱された蒸気は続いて
再使用できる。ポンプは、ポンプ本体１が底部にありか
つその上に駆動部分２が配置されるように直立位置で運
転されることが好ましい。全ポンプ本体１は、ポンプを
運転温度に維持しセラミック部品の熱応力を防ぐよう
に、外部から電気的に加熱される。

【００２２】本発明の実施態様は次の通りである。

【００２３】１．駆動部分（２）とポンプ本体（１）と
を有し、駆動軸（４）が軸シールにより給送される媒体
から隔離される高温の腐食性媒体用ポンプにして、 ａ）軸シールはポンプ本体（１）内及び／又は駆動部分
（２）内に取り付けられたステータリング（３）よりな
り、そして駆動軸（４）がシール間隙（５）を残してこ
れを通過していること、 ｂ）媒体と接触するポンプ本体（１）内の総ての部品を
含んだポンプ本体（１）とステータリング（３）とが腐
食及び高温に耐える材料より作られること、 ｃ）駆動軸（４）を取り付けるために１個又は複数個の
乾燥走行軸受（１１）が駆動部分（２）内に配置されて
いること、及び ｄ）駆動部分（２）が、供給連結具（１９）と排出連結
具（２０）とを有する気体流路（１８）であって流れに
よりシール間隙（５）と連絡する気体通路を備えている
ことを特徴とするポンプ。

【００２４】２．駆動軸（４）に回転運動を伝達するた
めに駆動部分（２）内に電磁継手（１５、１６）が設け
られることを特徴とする実施態様１によるポンプ。

【００２５】３．乾燥走行軸受（１１）がセラミックの
転がり軸受であることを特徴とする実施態様１ないし２
によるポンプ。

【００２６】４．乾燥走行軸受（１１）が滑り摩擦係数
を減らすために走行面に被覆を有することを特徴とする
実施態様１ないし３によるポンプ。

【００２７】５．別の軸シール（１７）がステータリン
グ（３）と駆動部分（２）との間に設けられることを特
徴とする実施態様１ないし５によるポンプ。

【００２８】６．高温気体が供給連結具（１９）を経て
気体流路（１８）に入れられそして排出連結具（２０）
を経て再び駆動部分（２）から出て行くこと、及びステ
ータリング（３）の上方の気体流路（１８）内の気体の
静圧がポンプ本体（１）を部分的に又は完全に満たす給
送媒体の圧力より高いように供給圧力が設定されること
を特徴とする実施態様１によるポンプの運転方法。

【００２９】７．高温気体の温度が１２０℃以上であり
かつ気体流路（１８）内の高温気体の静圧が１．５バー
ル以上であることを特徴とする実施態様６による方法。

【００３０】８．高温気体として過熱蒸気が供給される
ことを特徴とする実施態様６ないし７による方法。

【００３１】９．高温気体の圧力がポンプにより給送さ
れる媒体の給送圧力より高い希望値に調整されることを
特徴とする実施態様６ないし８による方法。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によるポンプの垂直方向断面図である。

【符号の説明】

１ ポンプ本体 ２ 駆動部分 ３ ステータリング ４ 駆動軸 ５ シール間隙 １１ 乾燥走行軸受 １７ 軸シール １８ 気体流路

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ヘルムート・バルトマン ドイツ51373レーフエルクーゼン・ヘンリ ー−テイ−ブイ−ベテインガー−シユトラ ーセ15 (72)発明者 ヘルムート・ヘルレ ドイツ51375レーフエルクーゼン・トーマ ス−モルス−シユトラーセ２ (72)発明者 フランツ−ルドルフ・ミンツ ドイツ41542ドルマーゲン・ハンス−ザク ス−シユトラーセ14 (72)発明者 フリツツ・ゲステルマン ドイツ51377レーフエルクーゼン・ベルリ ナーシユトラーセ83

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 駆動部分とポンプ本体とを有し、駆動軸
   が軸シールにより給送される媒体から隔離される高温の
   腐食性媒体用ポンプにして、 ａ）軸シールはポンプ本体内及び／又は駆動部分内に取
   り付けられたステータリングよりなり、そして駆動軸が
   シール間隙を残してこれを通過していること、 ｂ）媒体と接触するポンプ本体内の総ての部品を含んだ
   ポンプ本体とステータリングとが腐食及び高温に耐える
   材料より作られること、 ｃ）駆動軸を取り付けるために１個又は複数個の乾燥走
   行軸受が駆動部分内に配置されていること、及び ｄ）駆動部分が、供給連結具と排出連結具とを有する気
   体流路であって流れによりシール間隙と連絡する気体通
   路を備えていることを特徴とするポンプ。
2. 【請求項２】 高温気体が供給連結具を経て気体流路に
   入れられそして排出連結具を経て再び駆動部分から出て
   行くこと、及びステータリングの上方の気体流路内の気
   体の静圧がポンプ本体を部分的に又は完全に満たす給送
   媒体の圧力より高いように供給圧力が設定されることを
   特徴とする請求項１によるポンプの運転方法。