JPH0893316A - 引戸クローザ用制動装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 取り付け工事が容易であって、調整作業も殆
ど必要なく、さらに装置の小型化が容易であり、しかも
製造コストが低廉なものを提供する。 【構成】 扉３を取り付ける扉枠１とこの扉枠１に平行
して移動・開閉する扉３との間にラックピニオン機構２
を配設し、扉３の閉鎖動作を利用して電力を発生する発
電機を備えた発電制動手段４を設け、発電機による発電
制動力を利用して扉３の閉じ動作を制動し、扉３の閉鎖
動作に伴い扉の閉じ速度が増大するのを防止する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、扉の開放動作を手に
よる引っ張り動作で行うとともに、扉の閉鎖動作をスプ
リングや重力等の自閉手段を利用して行うように構成し
た引戸クローザに係り、特に扉の閉鎖動作に伴い扉の閉
じ速度が増大するのを防止することができる引戸クロー
ザ用制動装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】扉の開閉操作が容易であって、開閉スペ
ースを殆ど必要とせず、しかも足腰等が不自由な身障者
や老人など車椅子の使用者に好適な引戸が各所に使用・
設置されている。また、この引戸には、扉の開放動作を
手による引っ張り動作で行うとともに、扉の閉鎖動作を
スプリングや重力等の自閉手段を利用して行うように構
成した引戸クローザが提案され・開発されている。

【０００３】このような引戸クローザは、自閉手段とし
て例えばスプリングの復元力を利用したり、重力の作用
を利用したり、より具体的には位置エネルギを利用して
位置的に低い閉鎖位置までに降下するように開閉位置に
僅かな高低差を設ける構成となっているから、閉扉動作
の際、自閉速度が徐々に増大していくという不都合を生
じている。

【０００４】そこで、通常、このような引戸クローザに
は、適宜の制動手段を設置するようになっており、例え
ばこの制動手段として、エアーシリンダ、油圧シリン
ダ、油圧ポンプを利用した構成のものが提案・検討され
ている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
構成の引戸クローザにあっては、例えばエアーシリンダ
方式の制動手段では、引戸側（枠側）にシリンダを固定
するとともに、ピストンロッドを枠側（引戸側）に固定
し、引き戸を開く際に大気からエアーを吸引し、閉じる
場合にはシリンダに閉じ込めたエアーを圧縮させて制動
動作をおこなっている。換言すれば、エアーシリンダ方
式では、速度調整は圧縮した空気をバルブにより大気に
逃がすように構成されているから、制動時に大きな騒音
を発生するとともに、ピストンロッドの引き戻しを何ら
かの手段で行う必要があり、取り付け調整が難しいばか
りか、装置の大型化を招くものである。

【０００６】また、油圧シリンダ方式では、引戸側、枠
側に固定したワイヤ、ベルト、歯付ベルト等でシリンダ
を駆動する構成であって、通常の油圧シリンダとバルブ
とを一体化させた構造のもので制動動作を行うようにな
っている。従って、この油圧シリンダ方式では、配置が
複雑であるばかりか、引戸の開放時に大きな開放力を要
する場合があり、さらに取り付け工事も難しいものであ
る。

【０００７】また、油圧ポンプ方式では、引戸側、枠側
に取り付けたラックとピニオンギアにより、ギアポンプ
を回転させ、油圧吐出側の油の流量を変化させて制動力
を発生しているから、油漏れを起こしやすいばかりか、
製造コストが嵩む虞れもある。

【０００８】そこで、この発明は、上記した事情に鑑
み、取り付け工事が容易であって、調整作業も殆ど必要
なく、さらに装置の小型化が容易であり、しかも製造コ
ストが低廉な引戸クローザ用制動装置を提供することを
目的とするものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】即ち、この請求項１の発
明は、扉の開放動作を手による引っ張り動作で行うとと
もに、扉の閉鎖動作をスプリングや重力等の自閉手段を
利用して行うように構成した引戸クローザであって、前
記扉を取り付ける扉枠とこの扉枠に平行して移動・開閉
する扉との間にラックピニオン機構を配設し、前記扉の
閉鎖動作を利用して電力を発生する発電機を備え、前記
発電機による発電制動力を利用して扉の閉じ動作を制動
し、前記扉の閉鎖動作に伴い扉の閉じ速度が増大するの
を防止するように構成したものである。

【００１０】またこの請求項２の発明は、発電制動手段
として、アウタロータモータを備えたものである。

【００１１】

【作用】この発明では、扉を閉じる際に、その扉の閉鎖
動作を利用して発電機で電力を発生させ、即ちそのとき
の発電機のコイルに発生する電磁力を利用して扉を枠に
対し磁気的吸引力で制動させることができる。

【００１２】

【実施例】次に、本発明について添付図面を参照して詳
細に説明する。図１は、この発明の一実施例を示す斜視
図である。この実施例に係る引戸クローザ用制動装置
は、枠１上面に固着したラック２Ａ及び扉３上面に設け
たピニオン２Ｂからなるラックピニオン機構２と、扉３
のピニオン２Ｂと連結した発電制動手段４とを備えてい
る。なお、この実施例の扉３は、枠１の上面にラック２
Ａと並設するレール１１に係合する一対の戸車（一方の
み示す）３１を回転自在に取り付けており、また自閉手
段として図示外のスプリングが枠１側との間に付設され
ている。

【００１３】発電制動手段４は、扉１をスプリングの弾
性力に抗して手で開放した後に、そのスプリングの弾性
力で自閉しようとする時の動作を利用して起電力を発生
し、そのとき励起される磁力を吸引力として利用してピ
ニオン２Ｂの回転動作を制動させるようになっている。
この実施例の発電制動手段４には、図２に示すようなア
ウタロータモータが使用されている。即ち、このアウタ
ロータモータは、図示外のピニオン２Ｂと回転軸４１を
介して一体に固着されたロータ４２と、このロータ４２
の内周面に適宜間隔を保持して固設された永久磁石４３
と、回転軸４１に軸受４４Ａを介して保持され、かつ扉
３側に固定された吊金具３２の貫通孔３２Ａに固着され
た略円筒軸上のステータ４４と、このステータ４４にお
いて永久磁石４３と対峙して固定された電気鉄板４５
と、この電気鉄板４５に巻装されたコイル４６とから構
成されている。そして、このアウタロータモータは、自
閉動作の際に、電磁誘導によりコイル４６には起電力が
発生するが、そのときこのコイル４６の電気鉄板４５の
各端部に励起される磁気力により、これと対向しながら
ロータ４２と一体に回転する永久磁石４３が強制的に吸
引されて回転動作が制動されるようになっている。

【００１４】なお、この実施例では、発電制動手段とし
てアウタロータモータが使用されているが、勿論これに
限定されるものではなく、例えば、発電機、整流機付直
流モータ、コアレスモータ、直進式電磁ソレノイドなど
の使用が可能である。

【００１５】従って、この実施例によれば、スプリング
による自閉動作の際に、その移動動作で起電力がコイル
４６に発生するとともにそのコイルを巻装する電気鉄板
に磁力が励起され、この電気鉄板４５と永久磁石４３と
の間の磁力の吸引力を利用して制動動作を行うことがで
きる。

【００１６】

【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、扉を閉じる際に、その扉の閉鎖動作を利用して発電
機で電力を発生させ、即ちそのときの発電機のコイルに
発生する電磁力を利用して扉を枠に対し磁気的吸引力で
制動させることができるから、換言すれば静的な磁気吸
引力を利用して制動が行えるから、騒音の発生が極力抑
えられるとともにクリーンなものが得られ、しかも装置
が簡単であるから、小型化、低コストのものが提供でき
る。

【００１７】また、この発明によれば、ラックピニオン
機構に発電制動手段を付設させた単純な構成であるか
ら、取り付け工事が容易であるとともに、複雑・面倒な
調整作業が殆ど必要なく、頗る便利である。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係る引戸クローザ用制動装置を示す
概略斜視図。

【図２】この発明に係る発電制動手段を示す断面図。

【符号の説明】

１ 枠 １１ レール ２ ラックピニオン機構 ３ 扉 ３１ 戸車 ３２ 吊金具 ４ 発電制動手段 ４２ ロータ ４３ 永久磁石 ４４ ステータ ４５ 電気鉄板 ４６ コイル

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 扉の開放動作を手による引っ張り動作で
   行うとともに、扉の閉鎖動作をスプリングや重力等の自
   閉手段を利用して行うように構成した引戸クローザであ
   って、 前記扉を取り付ける扉枠とこの扉枠に平行して移動・開
   閉する扉との間にラックピニオン機構を配設し、 前記扉の閉鎖動作を利用して電力を発生する発電機を備
   えた発電制動手段を設け、 前記発電機による発電制動力を利用して扉の閉じ動作を
   制動し、前記扉の閉鎖動作に伴い扉の閉じ速度が増大す
   るのを防止するように構成したことを特徴とする引戸ク
   ローザ用制動装置。
2. 【請求項２】 発電制動手段として、アウタロータモー
   タを備えたことを特徴とする請求項１に記載の引戸クロ
   ーザ用制動装置。