JPH0892814A - 耐疲労性に優れた高強力ポリビニルアルコール系繊維の製造法 - Google Patents

耐疲労性に優れた高強力ポリビニルアルコール系繊維の製造法

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JPH0892814A
JPH0892814A JP22642894A JP22642894A JPH0892814A JP H0892814 A JPH0892814 A JP H0892814A JP 22642894 A JP22642894 A JP 22642894A JP 22642894 A JP22642894 A JP 22642894A JP H0892814 A JPH0892814 A JP H0892814A
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yarn
fatigue resistance
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Shiro Murakami
志朗 村上
Naohiko Nagata
直彦 永田
Keisuke Murai
計介 村井
Yoshihiro Akiyama
芳広 秋山
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ゴム補強用などの分野において有用な,耐疲
労性に優れた高強力ポリビニルアルコール(PVA)系
繊維を製造する方法を提供する。 【構成】 重合度3000以上,7000以下のPVAを有機溶
媒に溶解して調製した紡糸原液を,凝固浴中に乾湿式紡
糸して得た凝固糸条を乾熱延伸してPVA系繊維を製造
する。その際に,(a) 乾熱延伸前の凝固糸条に, 脱水反
応促進用触媒とシランカップリング剤を混合した油剤を
付与する,(b) 上記油剤の付与量を, 脱水反応促進用触
媒とシランカップリング剤が凝固糸条に対して,それぞ
れ0.01〜1.0重量%となるようにする,(c) 15倍以上に
乾熱延伸する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は, ゴム補強用などの分野
において有用な,耐疲労性に優れた高強力ポリビニルア
ルコール(以下,PVAと略記する。)系繊維を製造す
る方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】PVA系繊維は,ナイロン繊維やポリエ
ステル繊維に比べ,強度と弾性率が高く,また接着性も
良好であり,産業資材用繊維として極めて優れた特性を
有している。最近は, その強度や弾性率をさらに高めよ
うとする試みが種々なされており,その結果,いわゆる
ゲル紡糸法によるポリエチレン繊維には及ばないもの
の,高強度,高弾性率繊維の代表であるポリパラフェニ
レンテレフタルアミド繊維に匹敵する強度,弾性率を有
する繊維が得られている。
【0003】一方,PVA系繊維の最大の欠点は耐疲労
性であるが,近年,重合度の高いPVAを原料とし,有
機溶剤に溶解した紡糸原液を紡糸して得られるPVA系
繊維は,耐疲労性が改良されていることが明らかになっ
た。
【0004】しかしながら,ブレーキ用ホース,タイ
ヤ,タイミングベルト,コンベヤーベルト用等のゴム補
強用繊維は,高度化する市場の要望に応じて過酷な条件
下で使用されるため,特に耐(屈曲)疲労性や,耐(伸
長・圧縮)疲労性が強く要求されるが,有機溶媒系の高
強度PVA系繊維も耐疲労性は不満足なものであり,そ
の適用分野が限られ,広く普及するには至っていない。
【0005】このような問題点を解決し,PVA系繊維
の耐疲労性を向上させる試みとして,例えば,特公昭46
-33601号公報には,タイヤコードの上撚と下撚を最適化
する方法が記載されている。しかしながら,この方法
は,PVA系繊維自体の耐疲労性を本質的に解決するも
のではなく,また,使用する繊維自体の引張強度も低
く,力学的強度の点で著しく劣ったものであった。
【0006】さらに,特開平2-84587号公報では,PV
A系繊維のコードの耐疲労性を改善するため,アルデヒ
ド,イソシアネート,有機過酸化物,カルボン酸等の有
機化合物や,リン酸,塩酸,チタニウム等の無機化合物
等の架橋剤で15g/d 以上の強度を有するPVA系繊維を
処理することが提案されている。しかし,延伸糸を処理
することから,繊維の強度が低下するとともに製造工程
が複雑になるという問題がある。
【0007】また, 特開平2-133605号公報にあるよう
に,アクリル酸系重合体をブレンド紡糸する方法や,特
開平4-126829号公報にあるように, 脱水反応促進用触媒
(以下,触媒と称する。)を付与した後,熱処理して耐
熱水性と耐疲労性を改良する方法等が提案されている
が,繊維自体の引張強度が不十分であったり,耐熱水性
を改良させることはできても,耐疲労性を十分によくす
ることはできない。
【0008】以上のように,高強度PVA系繊維の耐疲
労性を改良するために種々の提案がなされているが,性
能と生産性の両方を同時に満足する方法は未だ提案され
ていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は,上記の問題
を解決し, ゴム補強用繊維として有用な,高強力で耐疲
労性に優れたPVA系繊維を,生産性よく製造する方法
を提供することを技術的な課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは,上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果,驚くべきこと
に,凝固糸条に触媒とシランカップリング剤を油剤と共
に付与した後,乾熱延伸すると,触媒による脱水反応と
シランカップリング剤による架橋反応が同時に進行し,
繊維の表面に柔軟性の高いポリエン架橋構造が形成さ
れ,繊維の耐疲労性が大きく向上することを知見して本
発明に到達した。
【0011】すなわち,本発明は,重合度3000以上,70
00以下のPVAを有機溶媒に溶解して調製した紡糸原液
を,凝固浴中に乾湿式紡糸して得た凝固糸条を乾熱延伸
してPVA系繊維を製造するに際し,(a) 乾熱延伸前の
凝固糸条に, 触媒とシランカップリング剤を混合した油
剤を付与すること,(b) 上記油剤の付与量を, 触媒とシ
ランカップリング剤が凝固糸条に対して,それぞれ0.01
〜1.0重量%となるようにすること,(c) 15倍以上に乾
熱延伸すること,を特徴とする耐疲労性に優れた高強力
ポリビニルアルコール系繊維の製造法を要旨とするもの
である。
【0012】以下,本発明について詳細に説明する。
【0013】本発明で用いるPVAは,重合度が3000以
上,7000以下であることが必要であり,特に3500以上の
ものが好ましい。重合度が3000よりも小さいと,最終製
品の引張強度や,耐(屈曲)疲労性,耐(伸長・圧縮)
疲労性等が劣るので不適当である。また,重合度の上限
は, ポリマーコストの点から7000以下のものが好まし
い。また,PVAのケン化度は99モル%以上であること
が好ましい。
【0014】本発明においては,まず,PVAを溶媒に
溶解して紡糸原液を調製するが,溶媒としては,ジメチ
ルスルホキシド(以下,DMSOと略記する。),グリ
セリン,エチレングリコール等を用いることができ,中
でもDMSOが好ましい。
【0015】紡糸原液中のPVAの濃度は,その重合度
に応じて適宜調整すればよいが,5〜20重量%に調整す
るのが好ましい。また,この紡糸原液に, 顔料,耐熱剤
等を適宜混入して用いてもよい。
【0016】次に,この紡糸原液をエアギャップを通し
て凝固浴中に乾湿式紡糸する。乾湿式紡糸に用いる紡糸
口金は特に限定されるものではないが,紡糸原液出口側
に突出した形状の吐出孔を有する紡糸口金や,吐出孔を
複数個有する金属製ノズルプレートを用いて,吐出線速
度v(cm/sec),紡糸口金の孔径d(cm),紡糸原液の粘度
μ (g/cm・sec),及び密度ρ(g/cm3) によって下式で定
義されるレイノルズ数(Re)が0.05〜 200となるよう
に孔径と吐出線速度を選択するのが好ましい。
【0017】Re=d・v・ρ/μ 乾湿式紡糸する際のエアギャップは20mm以上,100mm以下
とするのが好ましい。
【0018】凝固浴液としては,メタノール,エタノー
ル,アセトン等を用いることができ,特にメタノールが
好ましい。また,この凝固浴液にPVAの溶媒を混合し
てもよい。
【0019】本発明においては,このようにして形成さ
れた凝固糸条をさらに溶媒で洗浄してから乾燥し,未延
伸糸とする。洗浄に用いる溶媒は,凝固浴液として用い
たものと同じものを使用するが好ましいが,この場合に
はPVAの溶媒を混合していないものを用いるのが好ま
しい。また,洗浄の方法は,溶媒を凝固糸条の進行方向
と逆方向に流し,これに接触させて行うのがよい。
【0020】次いで,洗浄後, 乾熱延伸前の凝固糸条
に,触媒とシランカップリング剤を混合した油剤を付与
する。その際,糸条への浸透性を考えると,糸条の含液
率(糸条全体の重量に対する,糸条中の上記洗浄溶媒の
量の比率)が5〜30重量%の状態で油剤を付与するのが
好ましい。含液率を上記の範囲にするためには,洗浄と
油剤付与との間で乾燥を行うのが好ましく,乾燥方法と
しては,例えば,加熱気体中に糸条を通したり,表面を
加熱したドラムに糸条を接触させる方法を採用すること
ができる。
【0021】油剤に混合する触媒としては,リン酸,塩
酸等の無機酸,パラトルエンスルホン酸,テレフタル酸
等の有機酸が挙げられ,特にリン酸やパラトルエンスル
ホン酸が好適に用いられる。
【0022】次に,シランカップリング剤としては,1
分子中に少なくとも2種の反応性の異なる官能基を有す
るシラン化合物を用いるのが好ましく,このようなシラ
ンカップリング剤としては,例えば,N−β−アミノエ
チル−γ−アミノプロピル−メチルジメトキシシラン,
N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピル−トリメト
キシシラン,γ−アミノプロピル−トリメトキシシラ
ン,γ−アミノプロピル−トリエトキシシラン等があ
る。
【0023】触媒とシランカップリング剤は, 油剤と共
に,すなわち,油剤に触媒とシランカップリング剤を混
合し,これを糸条に付与する必要がある。触媒,シラン
カップリング剤,油剤を別々に付与すると,工程が煩雑
となるばかりか,触媒やシランカップリング剤の糸条へ
の浸透量が少なくなったり,付着斑によって最終製品で
の耐疲労性の発現が不十分となったりし,本発明の目的
を達成することができない。
【0024】触媒とシランカップリング剤を混合する油
剤は特に限定されるものではないが,ポリオキシエチレ
ンソルビタントリオレエート,ポリオキシエチレンオレ
イルエーテル,ポリオキシエチレンラウリルアミノエー
テル等を主成分とし, 鉱物油を希釈剤とする,いわゆる
ストレート油剤が好ましい。
【0025】触媒とシランカップリング剤を混合した油
剤を糸条に付与する方法としては,混合油剤中に糸条を
浸漬する方法,いわゆるオイリングロールで付与する方
法,混合油剤を噴霧する方法等を用いることができ,中
でもオイリングロールで付与する方法が簡便で好まし
い。
【0026】本発明においては,触媒とシランカップリ
ング剤の糸条への付与量が特に重要であり,糸条に対し
それぞれ0.01〜1.0重量%,好ましくは0.05〜0.5重量
%を付与することが必要である。糸条への付与量が0.01
重量%未満では,ポリエン架橋構造の形成が少なく,糸
条の柔軟性が不十分なため,最終製品の耐疲労性を向上
させることができない。一方,糸条への付着量が1.0重
量%を超えると,ポリエン架橋構造が過剰となり,最終
製品の耐疲労性が改善される繊維は得られるものの,引
張強度の低下が著しく,高強力PVA系繊維を得ること
ができない。
【0027】触媒とシランカップリング剤を混合した油
剤が付与された糸条は,未延伸糸として一旦巻き取られ
た後,あるいは巻き取られることなく連続して乾熱延伸
工程に供されるが,乾熱延伸に先立ち,前記したような
方法で再度乾燥するのが好ましい。
【0028】本発明では,この未延伸糸を引き続き乾熱
延伸工程に供給して乾熱延伸すると同時に,脱水反応と
架橋反応を行わせるが,乾熱延伸倍率を15倍以上とする
ことが重要である。乾熱延伸倍率が15倍未満では,本発
明の目的である高強力PVA系繊維を得ることができな
い。
【0029】乾熱延伸での糸条の加熱方法としては,熱
風加熱炉を用いる方法,接触型ヒータを用いる方法,輻
射熱ヒータを用いる方法,加熱ローラを用いる方法等を
採用することができ,また,これらのいくつかを組み合
わせて用いてもよい。延伸速度は20m/分以上とするの
が好ましい。
【0030】また,乾熱延伸時の温度は特に限定される
ものではないが,例えば,熱風加熱炉で延伸する場合,
糸条の入口温度を 150℃以上とし,出口温度を 270℃以
下とするのが好ましい。
【0031】触媒とシランカップリング剤が付与された
糸条を乾熱延伸すると,熱延伸と共に脱水反応と架橋反
応が同時に進行するが,脱水反応と架橋反応を十分に進
行させるために,乾熱延伸後さらに熱処理を行ってもよ
い。熱処理は,乾熱延伸の最高温度より5〜10℃高い温
度で,定長(リラックス率0%)又は10%以下のリラッ
クス率下で行うのが好ましい。
【0032】本発明によれば,耐疲労性に優れた高強力
PVA系繊維を,生産性よく製造することができる。
【0033】
【作用】本発明において,耐疲労性に優れた高強力PV
A系繊維が,生産性よく得られるのは次の理由によるも
のと認められる。まず,触媒とシランカップリング剤を
油剤と混合し,油剤と共に乾熱延伸前の凝固糸条に付与
することにより,触媒とシランカップリング剤が糸条に
極めて均一に浸透する。次いで,乾熱延伸すると,触媒
による脱水反応とシランカップリング剤による架橋反応
が同時に進行し,繊維の表面に柔軟性の高いポリエン架
橋構造が形成され,繊維の耐疲労性が大きく向上する。
【0034】
【実施例】次に,本発明を実施例により具体的に説明す
る。
【0035】なお,実施例において,ゴム補強用繊維と
しての耐(伸長・圧縮)疲労性と耐(屈曲)疲労性の評
価のための前処理と,試験方法は次のとおりである。
【0036】(a) 生コードの作成 リング式撚糸機を用いて,得られたPVA系繊維を,Z
方向に25回/10cmの下撚を施し,得られた下撚糸3本を
合糸してS方向に25回/10cmの上撚をかけ, 生コードを
作成する。
【0037】(b) ディップコードの作成 前記生コードに,次の方法で接着剤処理を施してディッ
プコードを作成する。
【0038】レゾルシン1モルに対し,ホルムアルデヒ
ド(37%溶液)2.5モル%,及び苛性ソーダ0.03モル%
を加えて,室温下で撹拌しながら6時間反応させてRF
液を調製する。次に,モル比15:15:70のビニルピリジ
ン−スチレン−ブタジエン系ターポリマー(商品名ピラ
テックス,住友ノーガタック社製,ターポリマーの含有
量41重量%)5.9部(固形分重量)に対し,RF液1部
(固形分重量)を混合し,20時間熟成して固形分重量濃
度20%のディップ液(RFL液)を調製する。このよう
にして調製されたディップ液を,リッツラー社製シング
ルディップマシンを使用して生コードに5重量%(固形
分重量)付与し,温度 120℃に設定されたドライゾーン
で,走行コード張力を0.5±0.2g/dとして 120秒,
引き続き温度 200℃に設定されたベーキングゾーンを36
秒間,温度 200℃に設定されたノルマライジングゾーン
で36秒間処理してディップコードを得る。
【0039】(c) チューブ耐(伸長・圧縮)疲労試験 JIS−L−1017のグッドイヤー・マロリーチュー
ブテスト法に準じて行い,軸と平行にディップコードを
埋めたゴム製チューブ状試料を作成し,角度60度,回転
速度 850rpmで30分ごとに回転方向を反転させて,チ
ューブが破裂するまでの時間を測定する。
【0040】(d) ベルト耐(屈曲)疲労試験 ディップコードを2層に埋めた,幅25mm,厚さ6.5mm,
長さ50cmのゴム製板状試料を,100kg/cm2 の圧力下,145
℃で45分間加硫して試験片を作成する。この試験片に,
雰囲気温度 100℃で直径20mmのプーリにより,荷重50kg
下で2万回の屈曲疲労を与えた後,プーリ側のコードを
丁寧に取り出して強力(K1)を測定し,疲労試験前のデ
ィップコードの強力(K0)で除して強力保持率を求め
る。 ベルト(屈曲)疲労率(%)= (K1 /K0)×100 (e) コードでの引張り試験 オートグラフを使用し,JIS−L−1017に準じて
測定する。
【0041】実施例1 重合度4100,ケン化度99.9モル%のPVAを濃度15重量
%となるようにDMSOに溶解して紡糸原液を調製し
た。この紡糸原液を,孔径が0.3mmで孔の長さが1.5mm
の吐出孔 300個を有するステンレス製の紡糸口金から,
30mmのエアギャップを通してDMSO15重量%を含むメ
タノール凝固浴中に乾湿式紡糸して凝固糸条を得た。吐
出条件は,レイノルズ数が2となるように選定した。こ
の凝固糸条をメタノールで洗浄した後,加熱ドラムを用
いて乾燥し,糸条の含液率を20重量%としてから,リン
酸5重量%とN−β−アミノエチル−γ−アミノプロピ
ル−メチルジメトキシシラン(信越化学工業社製:商品
名KBM-602)5重量%を混合した,ポリオキシエチレンソ
ルビタントリオレエートを主成分とする混合油剤を1.1
重量%オイリングロールで付与し,さらに80℃で乾燥し
て未延伸糸として巻き取った。次いで, この未延伸糸を
速度10m/分で回転している表面温度80℃の供給ロール
に掛け,入口温度が 160℃,出口温度が 220℃に設定さ
れた,長さ3mの熱風加熱炉を通した後,速度90m/分
で回転している表面温度が 160℃の第1ロールで引き取
り,延伸倍率9.0倍の第1段延伸を行った。引き続き,
第1ロールを出た糸条を,入口温度が 210℃,出口温度
が 240℃に設定された長さ5mの熱風加熱炉を通した
後,速度 190m/分で回転している表面温度が 180℃の
第2ロールで引き取り,延伸倍率2.11倍の第2段延伸を
行った。さらに,第2ロールを出た糸条にポリオキシエ
チレンソルビタントリオレエートを主成分とする混合油
剤を0.5重量%となるようにオイリングロールで付与し
た後,入口温度が 230℃,出口温度が 250℃に設定され
た熱風加熱炉を通した後,速度 185m/分で回転してい
る非加熱型の第3ロールで引き取ることにより,2.7%
のリラックス率下で熱処理してから巻き取った。第1段
延伸からの総延伸倍率は18.5倍で,1500d/300fのPV
A系繊維を得た。次に, 得られたPVA系繊維を用い
て,前記 (a)生コードの作成, (b)ディップコードの作
成を行った後,得られたディップコードでの(c) チュー
ブ疲労試験と (d)ベルト疲労試験を行い,ゴム補強用繊
維としての耐疲労性の評価を行った。その評価結果を表
1に示す。
【0042】比較例1 油剤にリン酸を混合しない以外は実施例1と同様にして
採取した未延伸糸を,実施例1と同様に乾熱延伸してP
VA繊維を得た。この繊維を用いて実施例1と同様の評
価を行った結果を表1に示す。
【0043】比較例2 油剤にシランカップリング剤を混合しない以外は実施例
1と同様にして採取した未延伸糸を,実施例1と同様に
乾熱延伸してPVA繊維を得た。この繊維を用いて実施
例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
【0044】実施例2 重合度5000,ケン化度99.9モル%のPVAを,濃度12重
量%となるようにDMSOに溶解して紡糸原液を調製し
た。この紡糸原液を孔径0.5mm,孔数 210の紡糸口金か
ら,30mmのエアギャップを通してメタノール中に乾湿式
紡糸して凝固糸条を得た。この凝固糸条に, リン酸7重
量%とN−β−アミノエチル−γ−アミノプロピル−メ
チルジメトキシシラン(信越化学工業社製:商品名KBM-
602)6重量%を混合したポリオキシエチレンソルビタン
トリオレエートを主成分とする混合油剤を1.4重量%オ
イリングロールで付与し,さらに乾燥した後, 未延伸糸
として巻き上げた。次いでこの未延伸糸を,入口温度が
190℃,出口温度が 250℃に設定された長さ5mの熱風
加熱炉を通して,乾熱延伸倍率17倍の1段延伸を行った
後,油剤を付与し,1500d/210fのPVA系繊維を得
た。このPVA系繊維を実施例1と同様に処理してディ
ップコードとした後,実施例1と同様に耐疲労性の評価
を行った。その評価結果を表1に示す。
【0045】比較例3 実施例2で得た未延伸糸と,同じ延伸装置を用い, 乾熱
延伸倍率17倍を14.5倍とした以外は実施例2と同様にし
てPVA系繊維を得た。得られた繊維は乾熱延伸倍率が
低かったため,強度は14.1g/dにすぎなかった。
【0046】
【表1】
【0047】表1から明らかなように,実施例1〜2で
得られたPVA系繊維は高強度であり,ゴム補強用繊維
として用いても,耐疲労性に優れたものであった。これ
に対し,比較例1〜2で得られたPVA系繊維は,高強
度ではあるが,ゴム補強用繊維として用いると耐疲労性
が劣り,また,比較例3でで得られたPVA系繊維は,
強度が低いものであった。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば,高強力であるばかり
か,PVA繊維の致命的な欠点とされている耐疲労性が
改良されたPVA繊維を生産性よく製造することができ
るので,PVA系繊維を広範なゴム補強用分野に適用す
ることが可能となり,その有用性は極めて高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 秋山 芳広 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合度3000以上,7000以下のポリビニル
    アルコールを有機溶媒に溶解して調製した紡糸原液を,
    凝固浴中に乾湿式紡糸して得た凝固糸条を乾熱延伸して
    ポリビニルアルコール系繊維を製造するに際し,(a) 乾
    熱延伸前の凝固糸条に, 脱水反応促進用触媒とシランカ
    ップリング剤を混合した油剤を付与すること,(b) 上記
    油剤の付与量を, 脱水反応促進用触媒とシランカップリ
    ング剤が凝固糸条に対して,それぞれ0.01〜1.0重量%
    となるようにすること,(c) 15倍以上に乾熱延伸するこ
    と,を特徴とする耐疲労性に優れた高強力ポリビニルア
    ルコール系繊維の製造法。
JP22642894A 1994-09-21 1994-09-21 耐疲労性に優れた高強力ポリビニルアルコール系繊維の製造法 Pending JPH0892814A (ja)

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