JPH0892377A - 末端にジフェニルエチレン単位を有する重合体、それを製造するために利用するシラン化合物および該重合体からブロック、グラフトまたは星型重合体を製造する方法 - Google Patents

末端にジフェニルエチレン単位を有する重合体、それを製造するために利用するシラン化合物および該重合体からブロック、グラフトまたは星型重合体を製造する方法

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JPH0892377A
JPH0892377A JP6230874A JP23087494A JPH0892377A JP H0892377 A JPH0892377 A JP H0892377A JP 6230874 A JP6230874 A JP 6230874A JP 23087494 A JP23087494 A JP 23087494A JP H0892377 A JPH0892377 A JP H0892377A
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polymer
terminal
anion
carbanion
diphenylethylene
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JP6230874A
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Yoshinobu Isono
善信 五十野
Atsushi Takano
敦志 高野
Yukiatsu Furumiya
行淳 古宮
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 下記の一般式(I) 【化1】 で示されるジフェニルエチレン単位を少なくとも一方の
末端に有する重合体、それを製造するために利用するシ
ラン化合物および該重合体からブロック、グラフトまた
は星型重合体を製造する方法。 【効果】 全体の分子量、分子量分布、ブロックまたは
グラフト単位の鎖長、グラフト点の数、グラフト点間の
鎖長等が制御されたブロック、グラフトまたは星型重合
体を容易に製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、末端にジフェニルエチ
レン単位を有する重合体、それを製造するために利用す
るシラン化合物および該重合体からブロック、グラフト
または星型重合体を製造する方法に関する。末端にジフ
ェニルエチレン単位を有する重合体は、反応性の二重結
合により、直接他の重合体との間でグラフト重合体やブ
ロック重合体を形成することが可能であり、さらには二
重結合を他の官能基に変換することにより、例えば、水
酸基、カルボキシル基、アミノ基等に変換することによ
り縮重合反応に適用可能になるなど工業的に非常に有用
である。 また、本発明により製造されるブロック、グラフトまた
は星型重合体は、それ自体が各種プラスチック、軟質樹
脂およびエラストマーとして有用であるばかりでなく、
ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン;
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレ
ートなどのポリエステル;ナイロン66などのポリアミ
ド;(メタ)アクリル樹脂;スチレンブロック共重合体
等のエラストマー;ポリ塩化ビニルなどに対する改質
剤、またはこれらと異種重合体との相溶化剤としても有
用である。
【0002】
【従来の技術】近年、高分子材料の高機能・高性能化を
目的として、ブロック重合、グラフト重合または反応性
ブレンド等が検討されており、これにより種々の官能基
を末端に有する重合体が得られている。官能基を末端に
有する重合体の製造方法としては、ラジカル重合による
方法とアニオン重合による方法が知られている。 ラジカル重合による方法では、連鎖移動剤を用いて官能
基を末端に導入する。アニオン重合による方法として
は、官能基を有する重合開始剤を用いる方法および停止
剤による方法が報告されている[「マクロモノマーの化
学と工業」、アイピーシー社刊、山下雄也監修、第43
頁、1989年発行参照]。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ラジカル重合による方
法では、得られる重合体の分子量の制御が困難であり、
また、得られる重合体の分子量分布が広いので、これを
グラフト重合またはブロック重合等に適用すると、所望
の物性のポリマーが得られにくい。また、ラジカル重合
では、連鎖移動反応や停止反応が並行して進行するの
で、定量的に官能基を重合体末端に導入することが困難
である。重合体末端への官能基の導入率を上げるため、
連鎖移動定数の大きいチオール系化合物を使用して重合
する方法もあるが、得られる重合体はイオウ−炭素結合
を有しているため、酸化反応を受けやすく不安定であ
る。さらに、ラジカル重合により官能基、特に二重結合
を重合体の末端に導入する場合には、予め別の官能基を
有する重合体を用意し、該重合体と二重結合を有する化
合物をカップリングさせるという二段階の製造工程が必
要になる。
【0004】以上のラジカル重合による方法の欠点を補
うべくアニオン重合による官能基を末端に有する重合体
の製造方法が提案されている。アニオン重合により得ら
れる官能基を末端に有する重合体、いわゆるマクロモノ
マーは、極めて定量的に官能基が末端に導入されている
ばかりでなく、分子量が制御され、分子量分布が狭いた
め、これを原料に用いたグラフト重合体、ジブロックま
たはトリブロック重合体の製造方法では、ラジカル重合
による方法に較べてはるかに精度よく、設計通りの重合
体が得られることが知られている。
【0005】しかしながら、アニオン重合により製造さ
れた官能基を末端に有する重合体を用いても、ブロック
単位またはグラフト単位の鎖長、グラフト点の数、グラ
フト点間の鎖長など構造が制御されたグラフト、ブロッ
クまたは星型重合体の製造は困難である。中でも、(A
−B)n型のブロック重合体は、ブロックの繰り返し単
位の数が低いもの、すなわち、ジブロック重合体または
トリブロック重合体としては製造できるが、テトラブロ
ック重合体以上のマルチブロック重合体として製造する
ことは困難である。一方、単量体をブロック毎に逐次添
加し重合していく方法でも(A−B)n型のブロック重
合体は製造可能であるが、繰り返し単位が増えると極め
て煩雑な工程になるため実用化は難しい。
【0006】今後、高分子は、その用途に対して適切な
性能を持たせることが一層重要になり、アロイ化技術ま
たは改質剤等の技術の発展とともに、分子量、分子量分
布、ブロック単位の鎖長、グラフト単位の鎖長、グラフ
ト単位の数などがより精緻に設計された各種重合体の製
造が、工業化可能なレベルで要求されてくる。
【0007】ところで、ジフェニルエチレンは、自己重
合性がないこと、有機リチウム化合物またはリビングポ
リマー末端と反応してカルボアニオンを生成することお
よび生じたカルボアニオンはそれ自体がバルキーである
ため、これを開始剤として、メチルメタクリレート等の
重合副反応を生じやすい単量体の重合も可能であること
が知られている。このため、ジフェニルエチレンは、重
合体の分子量、分子量分布等のより精緻に設計された重
合体の製造に好適に用いられており、今後益々その重要
性は増すものと考えられる。
【0008】さらに、ジフェニルエチレン単位を末端に
有するマクロモノマーを用いることができれば、重合体
の分子量、分子量分布、ブロック単位またはグラフト単
位の鎖長、グラフト点の数、グラフト点間の鎖長などが
制御されたグラフト、ブロックまたは星型重合体の製
造、中でも、(A−B)n型のブロック重合体の製造へ
の応用範囲、または、エラストマー、プラスチック材
料、樹脂改質剤等への用途展開は格段に拡大することが
予想され、その出現が期待されている。
【0009】本発明の第一の目的は、ジフェニルエチレ
ン単位を少なくとも一方の末端に有する重合体を提供す
ることにある。本発明の第二の目的は、重合体の活性末
端と反応して、ジフェニルエチレン単位を重合体の少な
くとも一方の末端に導入し得る新規なシラン化合物を提
供することにある。本発明の第三の目的は、重合体の分
子量、ブロック単位の分子量、グラフト単位の分子量、
グラフト点の数、グラフト点間の鎖長などが完全に制御
された、ブロック、グラフトまたは星型重合体の製造方
法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成すべく鋭意研究した結果、ジフェニルエチレン
単位を少なくとも一方の末端に有する新規な重合体、そ
れを製造するために利用する新規なシラン化合物、およ
び該重合体を用いることにより、構造が極めて制御され
たグラフト、ブロックまたは星型重合体が製造できるこ
と、中でも、これまでマクロモノマー法では得難かった
(A−B)n型のブロック重合体が製造できることを見
出し本発明を完成するに至った。
【0011】本発明によれば、上記の第一の目的は、下
記の一般式(I)
【化4】 で示されるジフェニルエチレン単位を少なくとも一方の
末端に有する重合体を提供することによって達成され、
第二の目的は、下記の一般式(II)
【化5】 (式中、R1およびR2はアルキル基またはアリール基を
表し、XはCl、BrおよびIよりなる群から選ばれる
ハロゲン原子を表す。)で示されるシラン化合物を提供
することによって達成され、第三の目的は、上記の一般
式(I)で示されるジフェニルエチレン単位を少なくと
も一方の末端に有する重合体とカルボアニオンを末端に
有する重合体とを反応させることを特徴とするブロック
重合体の製造方法、上記の一般式(I)で示されるジフ
ェニルエチレン単位を少なくとも一方の末端に有する重
合体とアニオン重合開始剤とを反応させ、得られる重合
体カルボアニオンにアニオン重合性単量体を重合させる
ことを特徴とするブロック重合体の製造方法、上記の一
般式(I)で示されるジフェニルエチレン単位を少なく
とも一方の末端に有する重合体とカルボアニオンを末端
に有する重合体とを反応させ、得られる重合体カルボア
ニオンにアニオン重合性単量体を重合させることを特徴
とするグラフトまたは星型重合体の製造方法、および上
記の一般式(I)で示されるジフェニルエチレン単位を
少なくとも一方の末端に有する重合体とアルカリ金属と
を反応させ、得られる重合体カルボアニオンにアニオン
重合性単量体を重合させることを特徴とするグラフト重
合体の製造方法を提供することによって達成される。
【0012】一般式(I)において、重合体と結合する
ジフェニルエチレン単位の結合手は1-フェニルエテニル
基に対してベンゼン環のo−、m−またはp−位のいず
れに結合していてもよい。一般式(I)で示されるジフ
ェニルエチレン単位を少なくとも一方の末端に有する重
合体としては、アニオン重合性単量体からなる重合体が
好ましく、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エ
チル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレ
ート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メ
タ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、
t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンテニル(メタ)
アクリレート等を重合単位とするポリ(メタ)アクリル
酸エステル系重合体;(メタ)アクリロニトリルなどを
重合単位とするポリ(メタ)アクリロニトリル系重合体;
1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3
-ブタジエン、2,4-ヘキサジエン、2-フェニル-1,3-ブタ
ジエン、イソプレン等を重合単位とするポリ共役ジエン
系重合体;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチル
スチレン、o−メチルスチレン、p−ブチルスチレン、
メトキシスチレン、1-ビニルナフタレン、3-エチル-1-
ビフェニルナフタレン、p−N,N−ジメチルアミノス
チレンなどを重合単位とする芳香族系重合体等、および
これらの共重合体、たとえば、スチレン−メチルメタク
リレート共重合体、ブタジエン−スチレン共重合体など
を挙げることができる。
【0013】一般式(I)で示されるジフェニルエチレ
ン単位を少なくとも一方の末端に有する重合体は、一般
式(II)で示されるシラン化合物と、カルボアニオンを
末端に有する重合体または活性水素を末端に有する重合
体とを反応させることにより製造することができる。ま
た、一般式(I)で示されるジフェニルエチレン単位を
少なくとも一方の末端に有する重合体は、1,4-ビス(1-
フェニルエテニル)ベンゼンなどのジフェニル型のビニ
リデン基を分子内に2個以上有する化合物とカルボアニ
オンを末端に有する重合体とを反応させることによって
も製造することができる。
【0014】一般式(II)で示されるシラン化合物とカ
ルボアニオンを末端に有する重合体または活性水素を末
端に有する重合体との反応、および1,4-ビス(1-フェニ
ルエテニル)ベンゼンなどのジフェニル型のビニリデン
基を分子内に2個以上有する化合物とカルボアニオンを
末端に有する重合体との反応は、水、空気等の不純物と
の副反応を起こさない限り、−100℃〜150℃の反
応温度範囲内で、好ましくは−78℃〜80℃の範囲内
で、容易かつ極めて定量的に進行する。
【0015】カルボアニオンを末端に有する重合体は、
アニオン重合により、またはハロゲン原子を末端に有す
る重合体を、例えばリチオ化することによって得られ
る。より制御された構造の一般式(I)で示されるジフ
ェニルエチレン単位を少なくとも一方の末端に有する重
合体を得る場合には、アニオンリビング重合によって得
られるカルボアニオンを末端に有する重合体、いわゆる
リビングポリマーを使用するのが好ましい結果を与え
る。
【0016】アニオン重合によりカルボアニオンを片末
端のみに有する重合体を製造する場合には、モノリチオ
化合物等の単官能性の重合開始剤を用い、カルボアニオ
ンを両末端に有する重合体を製造する場合には、ジリチ
オ化合物等の二官能性の重合開始剤を用いてアニオン重
合性単量体を重合する。カルボアニオンを片末端のみに
有する重合体と一般式(II)で示されるシラン化合物ま
たはジフェニル型のビニリデン基を分子内に2個以上有
する化合物との反応により、一般式(I)で示されるジ
フェニルエチレン単位を片末端のみに有する重合体が製
造され、カルボアニオンを両末端に有する重合体と一般
式(II)で示されるシラン化合物またはジフェニル型の
ビニリデン基を分子内に2個以上有する化合物との反応
により、一般式(I)で示されるジフェニルエチレン単
位を両末端に有する重合体が製造される。
【0017】単官能性のアニオン重合開始剤としては、
sec-ブチルリチウム、t-ブチルリチウム等が挙げられ、
二官能性のアニオン重合開始剤としては、1,4-ジリチオ
ブタン、ジリチオブタジエン、ジリチオナフタレン等が
挙げられる。これらは、ジフェニルエチレン、α−メチ
ルスチレンなどと組み合わせて開始剤系として用いても
よい。
【0018】アニオン重合性単量体としては、たとえ
ば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレ
ン、o−メチルスチレン、p−ブチルスチレン、メトキ
シスチレン、1-ビニルナフタレン、3-エチル-1-ビフェ
ニルナフタレン、p−N,N−ジメチルアミノスチレン
等の芳香族化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチ
ル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレー
ト、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メ
タ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、
t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンテニル(メタ)
アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;1,3-
ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブ
タジエン、2,4-ヘキサジエン、2-フェニル-1,3-ブタジ
エン、イソプレン等の共役ジエン類;およびアクリロニ
トリル等のニトリル類が挙げられる。これらの単量体は
単独または2種類以上の組み合わせで用いられる。
【0019】アニオン重合は溶媒の不存在下で行うこと
も可能であるが、適当な有機溶媒の存在下で行うことも
可能である。有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、ト
ルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;n−ヘキ
サン、n−オクタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素
系溶媒;メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、シク
ロオクタン等の脂環式炭化水素系溶媒;テトラヒドロフ
ラン、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶
媒などが挙げられる。
【0020】重合条件としては、通常のアニオン重合で
採用される重合条件を用いることが可能であるが、重合
開始剤および重合体末端のリビングサイトを失活させな
いため、重合系内に酸素、二酸化炭素または水等が混入
しない条件で行うことが好ましい。例えば、高真空下ま
たは水分をほとんど含まない窒素雰囲気下で、脱気・脱
水した溶媒中に重合開始剤を添加した後、前記の単量体
を加えてアニオン重合させる。重合開始剤と単量体の全
量を一度に加えずに、徐々に添加しながら重合させても
よい。
【0021】前記のアニオン重合性単量体を2種類以上
の組み合わせて重合させることにより、任意の単量体組
成の、カルボアニオンを末端に有する共重合体を得るこ
とができる。また、1種類の単量体の重合が終了した
後、引き続き他の種類の単量体と順次重合させることに
より、任意の単量体組成および構造を有する、カルボア
ニオンを末端に有するブロック共重合体(ジブロック共
重合体、トリブロック共重合体またはマルチブロック共
重合体)を得ることができる。
【0022】重合温度は、使用する重合開始剤、単量体
および溶媒等の種類により異なるが、通常−100℃〜
150℃の範囲内が好ましく、−78℃〜80℃の範囲
内がより好ましい。重合時間は、使用する重合開始剤、
単量体、溶媒、反応温度等により異なるが、通常10分
〜10時間の範囲内である。重合反応は、バッチ式また
は連続式のどちらの方法でも行うことができる。
【0023】活性水素を末端に有する重合体としては、
水酸基、アミノ基、カルボキシル基またはメルカプト基
を末端に有する重合体が用いられる。これらの重合体
は、たとえば、アミノ基、水酸基またはカルボキシル基
を有する連鎖移動剤の存在下でスチレン、メチルメタク
リレート等のラジカル重合性単量体をラジカル重合させ
ることにより得られる。また、予め保護された水酸基、
カルボキシル基、アミノ基またはメルカプト基を有する
アニオン重合性開始剤を用いてアニオン重合した後、脱
保護することによっても、通常のアニオン重合開始剤で
アニオン重合を行い、エチレンオキシド、炭酸ガス等で
反応を終了させることによっても製造できる。さらに、
ポリウレタン等の製造で用いられる、ポリエステルジオ
ール、ポリエーテルジオール、ポリブタジエンジオール
等を用いることも可能である。
【0024】本発明の一般式(I)で示されるジフェニ
ルエチレン単位を少なくとも一方の末端に有する重合体
の分子量は、一般式(II)で示されるシラン化合物等と
反応させるカルボアニオンを末端に有する重合体または
活性水素を末端に有する重合体の分子量によって任意に
制御することができる。カルボアニオンを末端に有する
重合体は、上記の如く、例えばアニオン重合によって得
られるが、アニオン重合では、その分子量は、単量体と
重合開始剤とのモル比によって一義的に決まるため、単
量体と重合開始剤との使用量の割合を変えることによっ
て、重合体の分子量を広い範囲にわたって容易に制御す
ることが可能である。したがって、一般式(I)で示さ
れるジフェニルエチレン単位を少なくとも一方の末端に
有する重合体の分子量は、数平均分子量で300〜50
0000の範囲内であり、好ましくは500〜1000
00の範囲内である。また、ゲルパーミエーションクロ
マトグラフィー(GPC)法から求めた重量平均分子量
(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)
は、通常、1.0〜1.3の範囲内であり、好ましくは
1.0〜1.1の範囲内である。
【0025】一般式(II)において、シラン原子は1-フ
ェニルエテニル基に対してベンゼン環のo−、m−また
はp−位のいずれに結合していてもよい。一般式(II)
で示されるシラン化合物において、R1およびR2が表す
アルキル基としては、メチル基、エチル基などが挙げら
れ、アリール基としては、フェニル基などが挙げられ
る。一般式(II)で示されるシラン化合物としては、た
とえば、1-(4-ジメチルクロロシリルフェニル)-1-フェ
ニルエチレン、1-(3-ジメチルクロロシリルフェニル)-1
-フェニルエチレン、1-(2-ジメチルクロロシリルフェニ
ル)-1-フェニルエチレン、1-(4-ジエチルクロロシリル
フェニル)-1-フェニルエチレン、1-(4-メチルエチルク
ロロシリルフェニル)-1-フェニルエチレン、1-(4-ジメ
チルブロモシリルフェニル)-1-フェニルエチレン、1-(4
-ジメチルヨードシリルフェニル)-1-フェニルエチレ
ン、1-(4-ジフェニルクロロシリルフェニル)-1-フェニ
ルエチレン等が挙られる。中でも、合成の容易さ、また
は原料の工業的利便性等の観点から、1-(4-ジメチルク
ロロシリルフェニル)-1-フェニルエチレンが好ましい。
【0026】一般式(II)で示されるシラン化合物は、
例えば、1-(4-ブロモフェニル)-1-フェニルエチレン、1
-(3-ブロモフェニル)-1-フェニルエチレン、1-(4-クロ
ロフェニル)-1-フェニルエチレン等のハロゲン化物から
合成したグリニャール試薬と、過剰のジメチルジクロル
シラン、ジエチルジクロルシラン、ジフェニルジクロル
シラン、ジメチルジブロムシラン等のジハロゲノシラン
化合物を反応させ、未反応のジハロゲノシラン化合物を
真空下で、留去することにより容易に合成することがで
きる。
【0027】本発明のブロック、グラフトまたは星型重
合体の製造方法では、一般式(I)で示されるジフェニ
ルエチレン単位を少なくとも一方の末端に有する重合体
を用いることが必須である。ここでいうブロック重合体
とは、ジブロック、トリブロックおよびマルチブロック
重合体などの総称であり、星型重合体とは、ジブロック
重合体の連結点に、第三の重合体が連結している重合体
をいう。
【0028】ジブロック重合体は、例えば、一般式
(I)で示されるジフェニルエチレン単位を片末端に有
する重合体とカルボアニオンを片末端に有する重合体と
の反応により容易に製造することができる。また、一般
式(I)で示されるジフェニルエチレン単位を片末端に
有する重合体に、sec-ブチルリチウム等のアニオン重合
開始剤を反応させて、カルボアニオンを片末端に生成さ
せた後、これに別のアニオン重合性単量体を重合させる
ことによっても、ジブロック重合体を製造することがで
きる。
【0029】トリブロック重合体は、例えば、一般式
(I)で示されるジフェニルエチレン単位を両末端に有
する重合体とカルボアニオンを片末端に有する重合体と
の反応、または一般式(I)で示されるジフェニルエチ
レン単位を片末端に有する重合体とカルボアニオンを両
末端に有する重合体との反応により容易に製造すること
ができる。また、一般式(I)で示されるジフェニルエ
チレン単位を両末端に有する重合体に、sec-ブチルリチ
ウム等のアニオン重合開始剤を反応させて、カルボアニ
オンを両末端に生成させた後、これに別のアニオン重合
性単量体を重合させることによっても、トリブロック重
合体を製造することができる。
【0030】マルチブロック重合体は、例えば、一般式
(I)で示されるジフェニルエチレン単位を片末端に有
するジブロック、トリブロックまたはマルチブロック重
合体とカルボアニオンを片末端に有するジブロック、ト
リブロックまたはマルチブロック重合体との反応によ
り、または一般式(I)で示されるジフェニルエチレン
単位を片末端に有する重合体とカルボアニオンを片末端
に有するトリブロックまたはマルチブロック重合体との
反応により容易に製造することができる。また、一般式
(I)で示されるジフェニルエチレン単位を少なくとも
一方の末端に有するトリブロック重合体に、sec-ブチル
リチウム等のアニオン重合開始剤を反応させて、カルボ
アニオンを生成させた後、これに別のアニオン重合性単
量体を重合させることによってもマルチブロック重合体
を製造することができる。
【0031】ブロック重合体の中でも、下記の一般式
(III)
【化6】 (式中、nは2以上の整数を表し、AおよびBは互いに
異なる重合体ブロックを表す。)で示されるマルチブロ
ック重合体[以下、これを(A−B)n型ブロック重合
体と略称することがある]は、通常のマクロモノマーを
用いる方法では、ブロックの繰り返し単位の少ない重合
体としてしか得られないが、本発明によれば、ジフェニ
ルエチレン単位を両末端に有する重合体とカルボアニオ
ンを両末端に有する重合体との反応により、ブロックの
繰り返し単位の多いマルチブロック重合体として容易に
製造することができる。該マルチブロック重合体は、分
子量が制御されたブロック重合体単位を有し、かつ完全
な交互ブロック構造を有する。
【0032】グラフト重合体は、例えば、一般式(I)
で示されるジフェニルエチレン単位を両末端に有する重
合体とカルボアニオンを両末端に有する重合体とを反応
させ、得られる等間隔にカルボアニオンを有するマルチ
ブロック重合体に別のアニオン重合性単量体を重合させ
ることによって製造できる。また、一般式(I)で示さ
れるジフェニルエチレン単位を少なくとも一方の末端に
有する重合体と等モル数のアルカリ金属、たとえば、リ
チウム、ナトリウム、カリウム等とを反応させて、分子
内に等間隔にカルボアニオンを有する、一般式(I)で
示されるジフェニルエチレン単位を少なくとも一方の末
端に有する重合体の高分子量化体を生成させた後、該高
分子量化体のカルボアニオンを重合開始点としてアニオ
ン重合性単量体を重合させることによっても、グラフト
重合体が製造できる。上記の製造方法により得られるグ
ラフト重合体は、分子量が制御されたグラフト鎖長、等
間隔のグラフト点、および制御された全体の分子量を持
つ。
【0033】星型重合体は、例えば、一般式(I)で示
されるジフェニルエチレン単位を片末端に有する重合体
とカルボアニオンを片末端に有する重合体との反応によ
り得られる重合体カルボアニオンに、第三のアニオン重
合性単量体を重合させることによって製造できる。本発
明により製造される星型重合体は、極めて制御された構
造を持つ。
【0034】一般式(I)で示されるジフェニルエチレ
ン単位を少なくとも一方の末端に有する重合体とカルボ
アニオンを末端に有する重合体との反応は、一般式
(I)で示されるジフェニルエチレン単位を少なくとも
一方の末端に有する重合体を、該重合体が可溶であり、
かつカルボアニオンを失活させない溶媒に溶解し、カル
ボアニオンを末端に有する重合体の溶液と混合すること
により容易に進行する。一般式(I)で示されるジフェ
ニルエチレン単位を少なくとも一方の末端に有する重合
体が可溶であり、かつカルボアニオンを失活させない溶
媒としては、重合体の種類により異なるが、ベンゼン、
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;テトラヒドロ
フラン(以下、これをTHFと略称することがある)、
ジオキサン等のエーテル;ヘキサン、ヘプタン、シクロ
ヘキサン等の脂肪族炭化水素などが挙げられる。該反応
は、カルボアニオンを失活させないため、系内に酸素、
二酸化炭素または水等が混入しない条件で行うことが好
ましい。例えば、高真空下または水分をほとんど含まな
い窒素雰囲気下で、脱気・脱水した溶媒を用いる。ま
た、反応温度は、−100℃〜150℃の範囲内であ
り、−80℃〜100℃の範囲内が好ましい。反応時間
は、重合体、溶媒、反応温度等により異なるが、通常1
0分〜50時間の範囲内である。反応終了後、メタノ−
ル、エタノール、プロパノールなどの活性水素を有する
化合物で、カルボアニオンを失活させることにより、ブ
ロック重合体が製造され、アニオン重合性単量体を添加
して重合させることにより、グラフトまたは星型重合体
が製造される。アニオン重合性単量体の重合における、
アニオン重合性単量体の種類、溶媒、重合条件、重合温
度等は、アニオン重合によりカルボアニオンを末端に有
する重合体を得る場合と同様のものが採用される。
【0035】一般式(I)で示されるジフェニルエチレ
ン単位を少なくとも一方の末端に有する重合体にアニオ
ン重合開始剤を反応させ、得られる重合体カルボアニオ
ンにアニオン重合性単量体を重合させる場合、一般式
(I)で示されるジフェニルエチレン単位を少なくとも
一方の末端に有する重合体を、該重合体が可溶であり、
かつカルボアニオンを失活させない溶媒に溶解し、sec-
ブチルリチウム等のアニオン重合開始剤を添加した後、
アニオン性単量体を添加して重合させる。アニオン重合
性単量体の重合における、アニオン重合性単量体の種
類、溶媒、重合条件、重合温度等は、アニオン重合によ
りカルボアニオンを末端に有する重合体を得る場合と同
様のものが採用される。
【0036】また、一般式(I)で示されるジフェニル
エチレン単位を少なくとも一方の末端に有する重合体と
アルカリ金属とを反応させ、得られる重合体カルボアニ
オンにアニオン重合性単量体を重合させる場合には、一
般式(I)で示されるジフェニルエチレン単位を少なく
とも一方の末端に有する重合体を、該重合体が可溶であ
り、かつカルボアニオンを失活させない溶媒に溶解し、
アルカリ金属に対して不活性、かつ一般式(I)で示さ
れるジフェニルエチレン単位を少なくとも一方の末端に
有する重合体が可溶な溶媒に分散させた、一般式(I)
で示されるジフェニルエチレン単位を少なくとも一方の
末端に有する重合体と等モル数のアルカリ金属と混合
し、反応させた後、アニオン重合性単量体を添加して重
合させる。アニオン重合性単量体の重合における、アニ
オン重合性単量体の種類、溶媒、重合条件、重合温度等
は、アニオン重合によりカルボアニオンを末端に有する
重合体を得る場合と同様のものが採用される。アルカリ
金属に対して不活性、かつ一般式(I)で示されるジフ
ェニルエチレン単位を少なくとも一方の末端に有する重
合体が可溶な溶媒としては、重合体の種類により異なる
が、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水
素;THF、ジオキサン等のエーテル;ヘキサン、ヘプ
タン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素などが挙げら
れる。また、一般式(I)で示されるジフェニルエチレ
ン単位を少なくとも一方の末端に有する重合体とアルカ
リ金属との反応は、カルボアニオンを失活させないた
め、系内に酸素、二酸化炭素または水等が混入しない条
件で行うことが好ましい。例えば、高真空下または水分
をほとんど含まない窒素雰囲気下で、脱気・脱水した溶
媒を用いる。また、該反応の反応温度は、−100℃〜
150℃の範囲内であり、−80℃〜100℃の範囲内
が好ましい。反応時間は、重合体、溶媒、反応温度等に
より異なるが、通常10分〜100時間の範囲内であ
る。
【0037】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。なお、本発明はこれらの実施例により限定されるも
のではない。高真空下(10-3Pa以下)での反応は、ブレ
ークシール付きガラス製装置を用いて行った。
【0038】実施例1 1-(4-ジメチルクロロシリルフェニル)-1-フェニルエチ
レンの合成 攪拌用モーター、滴下ロート、そして還流冷却器のつい
た2リットル三ツ口フラスコ内を充分に乾燥し、不活性
ガス(N2)で置換した。フラスコ内に削状マグネシウム1
2.0g(0.50モル)を入れ、滴下ロートには、300mlのTHFに溶
解させたブロモベンゼン72g(0.47モル)を入れておき、こ
れを30分かけて滴下し、反応させてグリニャール試薬
(フェニルマグネシウムブロマイド)を合成した。次い
で、滴下ロートに200mlのTHFに溶解させたp-ブロモア
セトフェノン70g(0.35モル)を入れ、これを15分間かけて
滴下し反応させた。反応物を20%-H2SO4で加水分解した
後、エーテルで抽出し、エバポレートすることにより、
(4-ブロモフェニル)フェニルメチルカルビノールを得
た。これを、20%-H2SO4と共に120℃で2時間加熱攪拌を
行うことにより、脱水し、(4-ブロモフェニル)-1-フェ
ニルエチレン(A)を得た。得られた(A)は、減圧蒸留によ
り精製した。(沸点148℃/3.5mmHg)。収量は62gで収
率は68%であった。削状のマグネシウム2.3g(0.96モル)を
反応装置内に入れ、高真空下に保持した後、反応系を密
閉した。予め仕込んでおいた、溶媒のTHF(120ml)と(A)1
5.5gのブレークシールを破って反応釜内に移した。室温
下、6時間攪拌し、(A)のグリニャール試薬を調製した。
得られたグリニャール試薬に対し、真空下で10倍モル量
のジクロロジメチルシラン77g(0.60モル)を加え、反応さ
せた。12時間以上反応させた後、真空系内で溶媒である
THFと、過剰に加えたジクロロジメチルシランを蒸留し
て除去した。反応釜内に残った生成物の収率は、ほぼ10
0%であり、このもののプロトンNMR[CDCl3中、400MH
z、δ 0.10(s,6H,CH3-Si-),5.40(s,2H,CH2=C),7.10(m,9
H,phenyl)]は、目的とする1-(4-ジメチルクロロシリル
-フェニル)-1-フェニルエチレンのものであった。
【0039】実施例2 1,1-ジフェニルエチレン単位を片末端に有するポリスチ
レンの合成-1 ベンゼン中、室温下、sec-ブチルリチウムを開始剤とし
て合成したリビングポリスチレン(Mn=2x103,Mw/Mn=1.0
5) 20g(0.01モル)に対し、1,1-ジフェニルエチレン 1.8g
(0.015モル)を加え、末端をジフェニルメチル型カルボア
ニオンに変えた。これに1-(4-ジメチルクロロシリルフ
ェニル)-1-フェニルエチレン 13.6g(0.05モル)のTHF溶液
を反応させた。反応は即座に進行し、リビングアニオン
の赤色は消滅した。得られた生成物をメタノール中に投
入して再沈を行った。さらにベンゼン溶液とした後、凍
結乾燥を行った。生成物のGPC測定からは、2量化等の副
反応は起こっておらず、またプロトンNMR測定(図1)
により、末端にはほぼ定量的にジフェニルエチレン単位
が導入されていることが確認された。
【0040】実施例3 1,1-ジフェニルエチレン単位を片末端に有するポリスチ
レンの合成-2 ベンゼン中、室温下、sec-ブチルリチウムを開始剤とし
て合成したリビングポリスチレン(Mn=2x103,Mw/Mn=1.0
5) 20g(0.01モル)に対し、1,4-ビス(1-フェニルエテニル)
ベンゼン 28.2g(0.1モル)のベンゼン溶液を反応させた。2
4時間攪拌を行ったところ、反応溶液はジフェニルメチ
ル型カルボアニオンに特有な赤色となった。メタノール
を加えて、リビング末端を失活させた後、生成物をメタ
ノールに投入して再沈を行った。さらにベンゼン溶液と
した後、凍結乾燥を行った。生成物のGPC測定からは、2
量化等の副反応は起こっておらず、またプロトンNMR測
定により、末端にはほぼ定量的にジフェニルエチレン単
位が導入されていることが確認された。
【0041】実施例4 1,1-ジフェニルエチレン単位を片末端に有するポリメチ
ルメタクリレートの合成 THF中、-78℃で、sec-ブチルリチウムとジフェニルエチ
レンからなる開始剤で合成されたリビングポリメチルメ
タクリレート(Mn=4x103,Mw/Mn=1.06) 20g(0.005モル)に対
し、1,1-ジフェニルエチレン 1.4g(0.075モル)を加え、末
端をジフェニルメチル型カルボアニオンに変えた。これ
に1-(4-ジメチルクロロシリルフェニル)-1-フェニルエ
チレン 6.8g(0.0375モル)のTHF溶液を反応させた。反応は
即座に進行し、リビングアニオンの赤色は消滅した。得
られた生成物をメタノール中に投入して再沈を行った。
さらにベンゼン溶液とした後、凍結乾燥を行った。生成
物のGPC測定からは、2量化等の副反応は起こっておら
ず、またプロトンNMR測定により末端にはほぼ定量的
に、ジフェニルエチレン単位が導入されていることが確
認された。
【0042】実施例5 1,1-ジフェニルエチレン単位を片末端に有する重合体を
用いるマルチブロック重合体の合成 ベンゼン中、室温下、sec-ブチルリチウムを開始剤とし
て、スチレン、イソプレン、スチレンを順次重合させ、
リビングポリスチレン末端を有するスチレン−イソプレ
ン−スチレントリブロック重合体を合成した(Mn=5x104,
Mw/Mn=1.15)。このリビングポリマー50g(0.001モル)に対
し、1-(4-ジメチルクロロシリルフェニル)-1-フェニル
エチレン 1.4g(0.005モル)のTHF溶液を反応させた。反応
は即座に進行し、リビングアニオンの赤色は消滅した。
得られた生成物をメタノール中に投入して再沈を行っ
た。さらにベンゼン溶液とした後、凍結乾燥を行った。
生成物のGPC測定からは、2量化等の副反応は起こってお
らず、またプロトンNMR測定により、末端にはほぼ定量
的にジフェニルエチレン単位が導入されていることが確
認された。得られた、1,1-ジフェニルエチレン単位を片
末端に有するスチレン−イソプレン−スチレントリブロ
ック重合体51.0g(ジフェニルエチレン単位は0.001モル)を
THFに溶解し、-78℃で、等モルのsec-ブチルリチウムを
反応させて、ジフェニルメチル型アニオン活性点を生成
させ、メチルメタクリレート 20g(0.2モル)を重合させ
た。メチルメタクリレートが全て消費されたことをガス
クロマトグラフィーで確認した後、得られた生成物をメ
タノール中に投入し、再沈して、取り出した。得られた
重合体は、GPC測定では、Mn=7x105、Mw/Mn=1.2であり、
プロトンNMRにおいても、ポリスチレン、ポリイソプレ
ン、ポリメチルメタクリレートブロックを有しているこ
とが示された。
【0043】実施例6 1,1-ジフェニルエチレン単位を両末端に有するポリスチ
レンの合成 THF中、-78℃で、ジリチオナフタレンを開始剤として合
成したリビングポリスチレン(Mn=5x103,Mw/Mn=1.10) 25
g(0.005モル)に対し、1,1-ジフェニルエチレン 2.7g(0.01
5モル)を加え、両末端をジフェニルメチル型カルボアニオ
ンに変えた。これに 1-(4-ジメチルクロロシリルフェニ
ル)-1-フェニルエチレン 13.7g(0.05モル)のTHF溶液を反
応させた。反応は即座に進行し、リビングアニオンの赤
色は消滅した。得られた生成物をメタノール中に投入し
て再沈を行った。さらにベンゼン溶液とした後、凍結乾
燥を行った。生成物のGPC測定からは、数平均分子量は
5.5x103であり、2量化等の副反応は起こっておらず、ま
たプロトンNMR測定により、両末端にはほぼ定量的に、
ジフェニルエチレン単位が導入されていることが確認さ
れた。
【0044】実施例7 1,1-ジフェニルエチレン単位を両末端に有する重合体を
用いるグラフト重合体の合成 攪拌機を装着した2リットル三ツ口フラスコ内を充分に
乾燥し、不活性ガス(N2)で置換した。実施例6で得られ
た両末端にジフェニルエチレン単位を有するポリスチレ
ン(Mn=5.5x103) 55g(0.01モル)をTHF 500mlに溶解した。
これに対して、THFに分散させた金属ナトリウム 0.46g
(0.02モル)を入れ、攪拌した。溶液は徐々に、ジフェニル
メチル型カルボアニオン特有の赤色を呈した。3日間反
応させることにより、リビングアニオンの赤色は、それ
以上変化しなくなった。この時点で一旦反応溶液の一部
を取り出し、メタノ−ルでリビングアニオンを失活させ
た。メタノ−ル再沈、真空乾燥後、GPC測定を行った結
果、Mn=3.5x104の分子量、Mw/Mn=1.2の分子量分布を有
する重合体が生成していた。さらに、この反応溶液を-7
8℃に冷却し、2-ビニルピリジン 1.05g(0.01モル)のTHF溶
液を加えた。反応溶液は瞬時に2-ビニルピリジンのカル
ボアニオン特有の赤黄色に変化した。3時間後、メタノ
−ルを加えて、反応を停止させた。この反応混合物を、
メタノール−ヘキサン混合溶媒中に投入して再沈を行っ
た。収率は、ほぼ100%であり、スチレン換算でMn=5.5x
104の分子量、Mw/Mn=1.6の分子量分布を有していること
が確認された。また、NMR測定の結果、ポリスチレンな
らびにポリ2-ビニルピリジンの構造に起因するピークの
存在が確認された。
【0045】比較例1 メタクリル型の二重結合を片末端に有するマクロモノマ
ーを用いるグラフト重合体の合成 攪拌機、還流冷却器のついた2リットル三ツ口フラスコ
内を充分に乾燥し、不活性ガス(N2)で置換した。フラス
コ内に、溶媒としてトルエン 500ml、片末端にメタクリ
ル型の二重結合を有するポリスチレン(AS-6、Mn=6,00
0、東亜合成化学工業社製) 180g(0.03モル)、MMA 300g
(3.0モル)、開始剤としてAIBN、連鎖移動剤としてラウリ
ルメルカプタンを入れ、60℃で16時間攪拌した。この混
合物をメタノールに投入し再沈した。得られた重合体
は、グラフト重合体、MMAの単独重合体およびポリスチ
レンマクロモノマーの混合物であった。溶媒による分別
により得られたグラフト重合体の収率は約30%であり、M
MA重合体ブロックとスチレン重合体ブロックの重量比
は、80対20であり、GPCによる分子量分布も、かなりブ
ロード(Mw/Mn=6.1)なものであった。
【0046】実施例8 (A−B)n型ブロック重合体の合成 THF中、-78℃で、ジリチオナフタレンを開始剤として合
成したリビングポリイソプレン(Mn=5x103,Mw/Mn=1.08)
5g(0.001モル)に対し、実施例6で得られた、1,1-ジフェ
ニルエチレン単位を両末端に有するポリスチレン 5.5g
(0.001モル)のTHF溶液を加えた。溶液は、即座にジフェニ
ルメチル型カルボアニオン特有の赤色を呈した。5時間
後、メタノールにより反応を停止させ、メタノール中に
投入することにより再沈し、乾燥した。得られた重合体
は、GPC測定の結果、Mn=1x105、Mw/Mn=1.2であり、プ
ロトンNMRにおいても、ポリイソプレンブロックとポリ
スチレンブロックを有していることが示された。また、
ヘキサン抽出では、ポリイソプレンは検出されなかっ
た。即ち、ポリイソプレンブロックとポリスチレンブロ
ックが交互に複数の連鎖をなした(A−B)n型ブロッ
ク重合体が得られたことが示された。
【0047】比較例2 (A−B)n型ブロック重合体の合成 THF中、-78℃で、ジリチオナフタレンを開始剤として合
成したリビングポリイソプレン(Mn=5x103,Mw/Mn=1.08)
5g(0.001モル)に対し、グリシジル基を両末端に有するポ
リスチレン 5.5g(0.001モル)のTHF溶液を加えた。反応は5
時間行った。反応液をメタノール中に投入することによ
って、再沈し、乾燥した。得られた重合体のGPC測定の
結果、Mn=1x104、Mw/Mn=3であり、得られた重合体が種
々の混合物であることを示唆していた。また、ヘキサン
抽出では、ポリイソプレンの仕込量の約30%が抽出され
た。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、全体の分子量、分子量
分布、ブロックまたはグラフト単位の鎖長、グラフト点
の数、グラフト点間の鎖長等が制御されたブロック、グ
ラフトまたは星型重合体を容易に製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2で得られた1,1-ジフェニルエチレン単
位を片末端に有するポリスチレンのプロトンNMRスペ
クトルを示す図である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の一般式(I) 【化1】 で示されるジフェニルエチレン単位を少なくとも一方の
    末端に有する重合体。
  2. 【請求項2】 下記の一般式(II) 【化2】 (式中、R1およびR2はアルキル基またはアリール基を
    表し、XはCl、BrおよびIよりなる群から選ばれる
    ハロゲン原子を表す。)で示されるシラン化合物。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の重合体とカルボアニオン
    を末端に有する重合体とを反応させることを特徴とする
    ブロック重合体の製造方法。
  4. 【請求項4】 ブロック重合体が、下記の一般式(II
    I) 【化3】 (式中、nは2以上の整数を表し、AおよびBは互いに
    異なる重合体ブロックを表す。)で示されるマルチブロ
    ック重合体であることを特徴とする請求項3記載のブロ
    ック重合体の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の重合体とアニオン重合開
    始剤とを反応させ、得られる重合体カルボアニオンにア
    ニオン重合性単量体を重合させることを特徴とするブロ
    ック重合体の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の重合体とカルボアニオン
    を末端に有する重合体とを反応させ、得られる重合体カ
    ルボアニオンにアニオン重合性単量体を重合させること
    を特徴とするグラフトまたは星型重合体の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の重合体とアルカリ金属と
    を反応させ、得られる重合体カルボアニオンにアニオン
    重合性単量体を重合させることを特徴とするグラフト重
    合体の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012532227A (ja) * 2009-06-30 2012-12-13 株式会社ブリヂストン ヒドロキシル基含有ジフェニルエチレンで官能化されたポリマー
JP2020503406A (ja) * 2016-12-21 2020-01-30 リッジフィールド・アクウィジション ブロックコポリマーの自己組織化のための新規組成物及び方法

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