JPH0891109A - 簡易クレーン付荷物運搬用車両 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 小型のバン型車両における荷物の積み降ろし
用として好適なコンパクトにして使い勝手がよく、しか
も常には格納位置に固定することが可能な安全性の高い
簡易クレーン付荷物運搬用車両を提供する。 【構成】 荷室天井に沿って前後方向に延設するレール
部材１を取付け、該レール部材１に前後移動可能に取付
けたブームベース５に旋回ブーム８を旋回可能に取付
け、さらに該旋回ブーム８を固定ブーム９と該固定ブー
ム９に摺動可能な可動ブーム１０とから伸縮自在に構成
する。また、旋回ブーム８を格納位置に固定可能なブー
ムロック３１、旋回ロック４０、ブーム伸縮ロックを設
けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、車両の荷室に対する荷
物の積み降ろし作業に好適な簡易クレーン付荷物運搬用
車両に関する。

【０００２】

【従来の技術】荷物の積み降ろし用のクレーンを備えた
クレーン付車両としては、例えば実開平２−４４５３８
号公報や実開平６−５０９７１号公報等がある。前者の
実開平２−４４５３８号公報のものは、トラックの荷台
上に立設した機枠に沿って前後方向に延在配置した軌条
ビームの基端部を機枠前端側に旋回自在に取付けるとと
もに、その旋回動作を円弧状の案内レールにて案内させ
るようにし、そして軌条ビームに沿って荷物積み降ろし
用の巻上機を走行自在に取付けたものである。また、後
者の実開平６−５０９７１号公報のものは、トラックの
荷台上に立設した方形状の機枠に前後方向に沿って延び
る左右一対の固定梁を設けるとともに、この固定梁間に
は可動梁を摺動自在に横架し、そしてこの可動梁に荷物
積み降ろし用の巻上機を走行自在に取付けたものであ
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上述した従
来のクレーン付車両は、大型トラックに適用したもので
あり、これを乗用室と荷室とが一体に形成され、かつ荷
室後方にバックドアを備えたライトバンやステーション
ワゴンのような小型の屋根付バン型車両の室内に適用す
るにはその構成上無理がある。

【０００４】本発明は、上述の問題点に鑑みてなされた
ものであり、その目的とするところは、小型のバン型車
両における荷物の積み降ろし用として好適なコンパクト
にして使い勝手のよい簡易クレーン付荷物運搬用車両を
提供することにある。また、本発明の他の目的は、常に
は格納位置に固定することが可能な安全性の高い簡易ク
レーン付荷物運搬用車両を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は次のように構成したものである。すなわ
ち、請求項１の発明は、簡易クレーン付荷物運搬用車両
を、荷室天井に沿って前後方向に延設されたレール部材
と、該レール部材に沿って移動可能に取付けられたブー
ムベースと、該ブームベースに旋回可能に取付けられ、
かつ固定ブーム及び該固定ブームに摺動可能な可動ブー
ムから構成された伸縮自在な旋回ブームと、該旋回アー
ムに取付けられた荷物昇降手段とを備えた構成としたこ
とを特徴とする。

【０００６】また、他の目的を達成するために、請求項
２の発明は、請求項１記載の簡易クレーン付荷物運搬用
車両において、前記ブームベースと共に前側に移動され
た前記旋回ブームを前記レール部材に固定可能なブーム
ロックと、前記旋回ブームを旋回端部に固定可能な旋回
ロックと、前記可動ブームを少なくとも縮小位置に固定
可能なブーム伸縮ロックとを備えた構成としたことを特
徴とする。

【０００７】

【作用】上記のように構成された請求項１の発明に係る
簡易クレーン付荷物運搬用車両によれば、旋回ブームの
前後移動、旋回及び伸縮の各動作を適宜に行うことによ
り、旋回ブームに設けられた荷物昇降手段を荷室と荷室
後方の室外との範囲で自由に平面移動させ、荷物の積み
降ろしを行うことができる。

【０００８】また、請求項２の発明に係る簡易クレーン
付荷物運搬用車両によると、旋回ブームを荷室天井の所
定位置に格納した状態で各ロックにて固定することによ
り、走行中における旋回ブームの不測の移動を防止す
る。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体
的に説明する。図１はバン型の荷物運搬用車両、詳しく
は乗用室と荷室とが一体化され、荷室後方にバッグドア
を備えた小型のハイルーフバンに装着された簡易クレー
ンの概要を示す斜視図、図２は同じく平面図である。ま
た、図３は簡易クレーンの全体斜視図、図４は側断面図
であり、さらに図５〜図８は簡易クレーンの部分詳細図
である。荷物Ｗの積み降ろし用クレーンは、車両の荷室
天井面に沿って前後方向に水平に配置される左右２本の
レール部材１と、該レール部材１に沿って移動可能なブ
ームベース５と、該ブームベース５に旋回可能に取付け
られる旋回ブーム８と、該旋回ブーム８の先端部（後端
部）に設けられる荷物昇降手段としての電動式ウインチ
２１とから構成される。

【００１０】左右のレール部材１はその前後端部でバー
２により相互に結合されたＣ型鋼からなり、荷室天井の
一側、例えば右側に配置され、かつ図４及び図５に示す
如く荷室天井の強度部材である前後のアーチ型ルーフフ
レーム３にその前後部をブラケット４を介して固定され
る。なお、レール部材１は図２に示すように、その前端
部がリヤシート５６の上方に至り、かつ後端部が荷室天
井５５の後端近くに至るような前後長さを有している。
図４〜図６に示すように、ブームベース５は左右両端部
に立ち上がり状のフランジ部５ａを有する略方形の平板
からなり、左右のレール部材１間に配置されるととも
に、左右のフランジ部５ａ外面側に備えた回転自在な前
後のローラ６をレール部材１の溝内に嵌入して移動可能
に支持される。なお、ローラ６は左右のフランジ部５ａ
に横架されたローラ軸７に取付けられている。

【００１１】旋回ブーム８はレール部材１の半分よりや
や長い角筒状の固定ブーム９と、該固定ブーム９に摺動
自在に嵌合する角筒状の可動ブーム１０とから構成され
ており、ブームベース５の下面に水平に配置され、かつ
固定ブーム９の基端部上面に突設したスイングピン１１
がブームベース５にベアリング１２を介して旋回可能に
取付けられている。固定ブーム９の基部側面にはブーム
ベース５の下面を転動するローラ１３がローラブラケッ
ト１４を介して回転自在に取付けられ、これにより旋回
ブーム８の旋回動作の安定化が図られている。また、ブ
ームベース５の下面には固定ブーム９の側面と当接する
ことで旋回ブーム８の旋回範囲を規制する２個のストッ
パ１５が突設されており、図６に示す如く本実施例では
旋回範囲が約４５度程度に設定されている。

【００１２】また、図４に示すように、旋回ブーム８に
おける可動ブーム１０の前端側には固定ブーム９の内側
上面を転動するローラ１６が回転自在に取付けられ、固
定ブーム９の後端側には可動ブーム１０の外側下面を転
動するローラ１７がローラブラケット１８を介して回転
自在に取付けられ、これらローラ１６，１７により可動
ブーム１０が上下方向の荷重を支持された状態で伸縮可
能とされている。なお、可動ブーム１０は図示省略のラ
イナーで固定ブーム９に対する横方向のガタツキが規制
されている。また、図４及び図７に示すように、固定ブ
ーム９の後端側の内側上面と、可動ブーム１０の後端側
の外側上面にはそれぞれストッパ１９，２０が設けら
れ、これらストッパ１９，２０の当接により可動ブーム
１０の最大伸長が規制されている。

【００１３】荷物昇降手段としての電動式のウインチ２
１は、そのウインチ本体２２が可動アーム１０の後端部
に固着されている。ウインチ２１は電磁ブレーキ付の正
逆転可能なギヤードモータ２３を駆動源とし、これにて
回転されるドラム２４に幅広のベルト２５が巻付けら
れ、ベルト２５の先端部には荷物吊上げ用のフック２６
が捩じれ防止用としての回転金具２７を介して縦軸回り
に回転可能に取付けられている。そして、旋回ブーム８
における固定ブーム９の後端部及びウインチ本体２２に
はそれぞれブーム操作用のハンドル２８，２９が取付け
られ、ウインチ側のハンドル２９の近傍にはモータ正転
用と逆転用、つまりフック上昇用と下降用の押釦スイッ
チ３０ａ，３０ｂが取付けられている。なお、固定ブー
ム９側のハンドル２８は該固定ブーム９の外面に沿って
固定された中空管３８の後端部に設けられている。

【００１４】また、本実施例のクレーンは前記旋回ブー
ム９を格納位置に固定するために幾つかのロック装置を
備えている。まず、前側に移動された旋回ブーム８をレ
ール部材１に固定するブームロック３１を図９に基づい
て説明する。このブームロック３１は自動車のドアロッ
クと同様の構成であって、レール部材１側に固定のスト
ライカー３２と、ブームベース５に固定されたロックベ
ース３３と、該ロックベース３３にピン３４ａを介して
回動自在に取付けられ、かつストライカー３１に係合可
能なラッチ３４と、ロックベース３３にピン３５ｂを介
して回動自在に取付けられ、かつラッチ３４の一部に係
止することでラッチ３４のストライカー３２との係合状
態を保持するポール３５と、該ポール３５とラッチ３４
間に張架された係止保持用のスプリング３６とから構成
されている。なお、ロックベース３３にはラッチ３４の
ロック解除時の回動を規制するストッパ３３ａが形成さ
れている。

【００１５】そして、ポール３５と一体化されたレバー
３５ａにはロック解除ケーブル３７の一端が連結されて
おり、このロック解除ケーブル３７は図３及び図８に示
すように、旋回ブーム８における固定ブーム９の外面に
沿って固定された中空管３８内を通して該固定ブーム９
の後端部まで延出されるとともに、該中空管３８の横孔
から引き出された延出端部が前記ハンドル２８の近傍に
回動操作可能に取付けられたブームロック解除レバー３
９に連結されている。従って、ロック解除レバー３９を
操作し、図９においてポール３５を矢印方向に回動すれ
ば、図示仮想線の如く該ポール３５とラッチ３４との係
止が解かれるため、スプリング３６を介してラッチ３４
がストライカー３２から外れる方向に回動されてロック
が解除される。

【００１６】次に、旋回ブーム８を旋回端にそれぞれ固
定する旋回ロック４０を図１０に基づいて説明する。こ
の旋回ロック４０はブームベース５に形成された２個の
ロック孔４１と、固定ブーム９に固定された箱形のロッ
クベース４２と、該ロックベース４２内に上下動可能に
収容され、上端部がベース上面に突出可能なロック部材
４３と、該ロック部材４３を突出方向に付勢するスプリ
ング４４と、ロックベース４２にピン４２ａを介して回
動自在に取付けられ、かつロック部材４３とピン４５を
介して係合する略Ｌ字形のロック解除アーム４６とから
構成される。

【００１７】そして、ロック解除アーム４６にはロック
解除ケーブル４７が連結されており、このロック解除ケ
ーブル４７は図３及び図８に示すように、前記中空管３
８内を通して固定ブーム９の後端部まで延出されるとと
もに、該中空管３８の横孔から引き出された延出端部が
前記ハンドル２８の近傍に牽引可能に取付けられたロッ
ク解除ノブ４８に連結されている。従って、ロック解除
ノブ４８を牽引操作し、図１０においてロック解除アー
ム４６を図示矢印方向へ回動すれば、図示仮想線の如く
ロック部材４３がスプリング４４に抗して引き下げられ
るため、ロック孔４１から抜脱されてロックが解除され
る。

【００１８】次に、旋回ブーム８を縮小位置に固定する
ブーム伸縮ロック４９を図４及び図８に基づいて説明す
る。このブーム縮小ロック４９は、可動ブーム１０の前
端部側の下面に形成されたロック孔５０と、固定ブーム
９の後端部側の外側下面にロックブラケット５１を介し
て回動可能に装着され、先端部が固定ブーム９の下面に
形成された開口部９ａを通してロック孔５０に係合可能
なロックレバー５２と、該ロックレバー５２を係合方向
に付勢するスプリング５３とから構成されている。従っ
て、ロックレバー５２の端部を押せば、先端部がロック
孔５０から抜脱されてロックが解除される。

【００１９】本実施例の簡易クレーン付荷物運搬用車両
は、上述のように構成したものであり、取り扱う荷物Ｗ
としては、実際には駐車違反取締りに用いる輪止め装置
を想定しているが、これに限るものではない。しかし
て、クレーンの不使用時には、図２に実線で示すよう
に、旋回ブーム８は縮小され、かつレール部材１に平行
な状態で、しかもブームベース５がレール部材１の最も
奥側に移動された位置に各ロック３１，４０，４９にて
それぞれ固定され、荷室天井の右側に沿って格納されて
いる。

【００２０】以下、荷物Ｗの積み降ろし作業について説
明する。例えば荷室の右側に積載された荷物Ｗを降ろす
場合は、荷室のバックドアを開放後、ブームロック３１
のロック解除レバー３９を操作してロックを解除し、図
２に仮想線で示す如く、ハンドル２８，２９を掴んで旋
回ブーム８をブームベース５と共にレール部材１に沿っ
て手前に移動し、ウインチ２１を荷物Ｗの真上に位置さ
せてから、下降用押釦スイッチを操作してフック２６を
下降させる。

【００２１】つづいて、フック２６を荷物Ｗの取手に掛
けてから上昇用押釦スイッチを操作してフック２６を上
昇させ、荷物Ｗを所定高さまで吊り上げてから旋回ブー
ム８を手前へ移動させて荷物Ｗを荷室の外へ搬出し、そ
の後は、フック２６を下降することにより荷物Ｗを地上
に降ろすことができる。このとき、必要に応じてアーム
伸縮ロック４９を解除して旋回ブーム８の可動アーム１
０を固定アーム９から引き出すことにより、荷物Ｗを外
側へ大きく移動させれば、大型の荷物Ｗであっても車両
に干渉させることなく、降ろすことができる。

【００２２】また、荷室の左側に積載された荷物Ｗを降
ろす場合は、旋回ロック４０のロック解除アーム４６を
操作し、ロック部材４３をロック孔４１から抜脱してロ
ックを解除後、図２に仮想線で示す如く旋回ブーム８を
左側へ旋回する。このとき、ロック解除アーム４６の操
作力を取り去れば、ロック部材４３の先端がブームベー
ス５下面に当接しつつ摺動して旋回アーム８がストッパ
ー１５に当接（図６仮想線参照）する位置で他方のロッ
ク孔４１に突入するため、同位置に旋回ブーム８が自動
的に固定される。その後は、上記と同様の手順で操作
し、左側の荷物Ｗを地上に降ろすことができるが、旋回
ブーム８の旋回が固定されているため、荷物Ｗの引出し
中の横振れが防止され、荷降ろしを安全に行うことがで
きる。

【００２３】なお、地上の荷物Ｗを荷室に積み込む作業
は、クレーンを荷降ろし時と逆の手順で操作することに
より行うことができる。荷物Ｗの積み降ろし作業の終了
後は、旋回ブーム８を格納位置に復帰すれば、旋回ブー
ム８は各ロック３１，４０，４９にて格納位置（図２の
実線位置）に固定される。

【００２４】このように、本実施例によれば、荷物Ｗが
重量物であってもその積み降ろし作業を楽にかつ安全に
行うことが可能となり、作業の省力化が達成される。ま
た、格納状態の旋回ブーム８はロック３１，４０，４９
にて固定されているため、車両の走行中に不測に移動す
ることが防止されて安全である。しかも本実施例では、
旋回ブーム８の前後移動を案内するレール部材１を荷室
天井の一側方に寄せて設置する一方、旋回ブーム８を他
方へ旋回可能とし、その旋回端で固定できる構成として
あるため、ウインチ２１を左右に振り分けて荷物Ｗの積
み降ろしを行うことができる。また、旋回ブーム８の旋
回動作はローラ１３によって案内されるため、円滑にし
てかつ強度的保証も得られる。

【００２５】なお、本実施例では荷物昇降手段としてウ
インチ２１を利用したが、これに限らずチェーンブロッ
クやホイスト等の他の巻上機に変更してもよい。なく、
各ロック３１，４０，４９についても図示の形式に限ら
ず、旋回ブーム８の動きを固定できるものであればよ
い。

【００２６】

【発明の効果】以上詳述したように、本発明は、荷室天
井に沿ってレール部材を配設し、このレール部材に荷物
昇降用手段を備えた旋回ブームを、前後移動及び旋回可
能に取付、かつそれ自体を及び伸縮自在に構成したこと
により、小型のバン型車両に適用することが可能で、か
つコンパクトにして使い勝手のよい簡易クレーン付荷物
運搬用車両を提供でき、重量物の積み降ろし作業の安全
性を向上し、かつ省力化を図ることができる。また、本
発明ではクレーンの不使用時には旋回ブームを格納位置
にロック装置によって固定可能としたことにより、車両
走行時における旋回ブームの不測の動きを防止して安全
性を高めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例に係る簡易クレーン付荷物運搬
用車両としてのハイルーフバンを示す概略斜視図であ
る。

【図２】同じく平面図である。

【図３】簡易クレーンを示す斜視図である。

【図４】同じく簡易クレーンの側断面図である。

【図５】図４のＡ−Ａ線断面図である。

【図６】旋回ブーム基部側の平面図である。

【図７】図４のＣ部詳細図である。

【図８】図３のＢ部詳細図である。

【図９】ブームロックの詳細図である。

【図１０】旋回ロックの詳細図である。

【符号の説明】 １…レール部材 ３…アーチ型ルーフフレーム ５…ブームベース ８…旋回ブーム ９…固定ブーム １０…可動ブーム １１…スイングピン ２１…ウインチ ２６…フック ３１…ブームロック ４０…旋回ロック ４９…ブーム伸縮ロック

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 荷室天井に沿って前後方向に延設された
   レール部材と、該レール部材に沿って移動可能に取付け
   られたブームベースと、該ブームベースに旋回可能に取
   付けられ、かつ固定ブーム及び該固定ブームに摺動可能
   な可動ブームから構成された伸縮自在な旋回ブームと、
   該旋回ブームに取付けられた荷物昇降手段とを備えた簡
   易クレーン付荷物運搬用車両。
2. 【請求項２】 前記ブームベースと共に前側に移動され
   た前記旋回ブームを前記レール部材に固定可能なブーム
   ロックと、前記旋回ブームを旋回端部に固定可能な旋回
   ロックと、前記可動ブームを少なくとも縮小位置に固定
   可能なブーム伸縮ロックとを備えた請求項１記載の簡易
   クレーン付荷物運搬用車両。