JPH0890944A - 受像紙とその製造法 - Google Patents

受像紙とその製造法

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JPH0890944A
JPH0890944A JP6254632A JP25463294A JPH0890944A JP H0890944 A JPH0890944 A JP H0890944A JP 6254632 A JP6254632 A JP 6254632A JP 25463294 A JP25463294 A JP 25463294A JP H0890944 A JPH0890944 A JP H0890944A
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尚史 三原
Takashi Yamamura
隆 山村
Hideo Sugawara
英男 菅原
Hiroshi Shibata
浩 芝田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ドツト再現性、とくに高精細ドツトの再現性
にすぐれ、また記録濃度の高い良好なプリント物が得ら
れる受像紙を提供する。 【構成】 基材の表面に、高分子素材の溶剤溶液を薄膜
状に塗布し、この塗布膜に、上記溶液の溶剤と相溶する
が高分子素材は溶解しない凝固用溶剤を微粒子状態で接
触させて、平均孔径が0.3〜5.0μm、最大孔径が
10μm以下、孔の密度が1×106 個以上/cm2 の高
分子多孔質層を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、たとえば、熱溶融型プ
リンタ、熱昇華型プリンタ、インクジエツトプリンタな
どの各種プリンタ用の受像紙のほか、ラベル用受像紙や
印刷用プラスチツク原反としての印刷用紙などにも利用
できる、広範囲の用途目的を持つた受像紙と、その製造
法とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱溶融型プリンタでは、受像紙として上
質紙が広く用いられてきた。しかし、高画質化に伴い、
表面を平滑化して小さなドツトの定着性をアツプするこ
と、また最近とくに高精細フルカラ―プリンタとしてバ
リアブルドツトサイズのサ―マルヘツドを用いた極めて
高い階調性が得られる方式が採用されはじめ、より小さ
なドツトを再現させるために、受像紙の表面に多孔質層
を設け、インクの吸収性や転写性を向上させる方法が提
案されている。
【0003】たとえば、特開昭62−79237号公報
では、ポリアミド樹脂やポリウレタン樹脂を他の添加剤
とともに親水性有機溶剤に溶解し、この塗布液を支持体
表面に塗布して湿式方法で製膜してインク吸収性にすぐ
れた受像層を形成することが提案されている。また、特
開昭62−197183号公報では、塩化ビニルの単独
または共重合物と、これと相溶性の悪いアクリロニトリ
ルの単独または共重合物の組み合わせを用い、それらを
溶媒に溶解して基材上に塗布したのち、上記溶媒は溶解
するがプラスチツクは溶解しない液中に通して凝固さ
せ、乾燥して、表面多孔性プラスチツクシ―トを作製す
る方法が提案されている。
【0004】さらに、特開平2−41287号公報に
は、上記の特開昭62−197183号公報で得られた
プラスチツクシ―トの表面を平滑化して光沢性にすぐれ
た熱転写プリンタ受像紙を製造する方法が提案されてい
る。また、特開平6−171250号公報には、シ―ト
状支持体上にスチレン−ブタジエンラテツクスなどのバ
インダ樹脂および顔料を主成分とするインク受像層を形
成するにあたり、上記のインク受像層にあらかじめ固体
可塑剤を含有させておき、その後このインク受像層を固
体可塑剤の溶媒中に浸漬して、固体可塑剤を溶出させる
ことにより、多孔質化した受像シ―トを得る方法が提案
されている。
【0005】また、熱昇華型プリンタにおいても、受像
紙へのクツシヨン層の形成により、サ―マルヘツドのあ
たりを改善し、また多孔質層によるサ―マルヘツドの蓄
熱性を活用して記録濃度の高いプリント物を得る方法が
各種提案されている。また、インクジエツトプリンタに
おいても、受像紙を多孔質化してインクの吸収性を向上
させる方法が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】これらの提案による
と、ドツト再現性や記録濃度などのある程度の改良効果
は認められる。しかし、熱溶融型プリンタにより熱昇華
型プリンタなみの高階調性を得るにはまだ不十分で、た
とえば50μm径以下の極めて小さなドツトを形成する
と、そのドツト再現性に問題があつた。また、いずれの
プリンタ受像紙にあつても、記録濃度の面でなお十分に
満足できるものではなかつた。
【0007】本発明は、上記従来技術の欠点を解消し、
良好なインク定着性を有して、ドツト再現性、とくに高
精細ドツトの再現性にすぐれる受像紙を提供することを
目的としている。また、記録濃度の高い良好なプリント
物の得られる受像紙として、各種プリンタ用受像紙、ラ
ベル受像紙さらには印刷用プラスチツク原反などを提供
することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するため、鋭意検討した結果、基材の表面にイ
ンク受像層として特定の孔構造を有する高分子多孔質層
を設けることにより、またこの高分子多孔質層を特定手
法で形成することにより、高精細ドツトの再現性にすぐ
れ、また記録濃度の改善をも図れる受像紙が得られるこ
とを見い出し、本発明を完成するに至つたものである。
【0009】すなわち、本発明の第1は、基材の表面
に、平均孔径が0.3〜5.0μm、最大孔径が10μ
m以下、孔の密度が1×106 個以上/cm2 の高分子多
孔質層が形成されていることを特徴とする受像紙に係る
ものである。また、この受像紙において、高分子多孔質
層の孔が厚さ方向に独立しておらず、それぞれの孔が連
続している構成や、高分子多孔質層の厚さが2〜100
μmである構成を、とくに好ましい態様とするものであ
る。また、このような受像紙において、基材の背面側に
粘着剤層とセパレ―タをこの順に設けることにより、ラ
ベル用受像紙を構成させることもできるものである。
【0010】また、本発明の第2は、上記受像紙の製造
法として、基材の表面に、高分子素材の溶剤溶液を薄膜
状に塗布し、この塗布膜に、上記溶液の溶剤と相溶する
が高分子素材は溶解しない凝固用溶剤を微粒子状態で接
触させることにより、基材の表面に高分子多孔質層を形
成することを特徴とする受像紙の製造法に係るものであ
る。また、この製造法には、基材の表面に上記の如く形
成した高分子多孔質層に、さらに加熱加圧処理を施し
て、表面平滑性にすぐれ、プリンタ印画後でも表面光沢
を有する受像紙を得る方法も含まれるものである。
【0011】
【発明の構成・作用】本発明における基材としては、受
像紙として公知のものをすべて使用できる。通常は、上
質紙、コ―ト紙、ア―ト紙、グラシン紙などの紙のほ
か、ポリエステルフイルム、ポリプロピレン合成紙など
のプラスチツクフイルムが用いられる。プラスチツクフ
イルムの場合、高分子多孔質層の密着性を向上させるた
めに、アンカ―コ―ト剤を適宜塗布したものであつても
よい。基材の厚さとしても、用途目的に応じて任意に選
択できるものである。
【0012】本発明においては、上記基材の表面に特定
孔構造の高分子多孔質層を形成するに際し、高分子素材
の溶剤溶液、つまり高分子素材を単一または混合の溶解
用溶剤に溶解してなる溶液と、この溶液を薄膜状とした
うえで液中の高分子素材を凝固させるための凝固用溶剤
とが用いられる。
【0013】高分子素材の溶剤溶液は、高分子素材とこ
れを溶解する溶剤のほかに、薄膜状に塗布加工する際の
加工性を向上させるため、たとえば、溶液を増粘させた
り、親水性を付与させるための適宜の材料を添加しても
よい。また、溶液中の高分子素材の濃度としては、塗布
加工しやすい溶液粘度が得られるように、また高分子多
孔質層の所望の厚さ、孔径、孔密度、孔径分布、孔の厚
さ方向の連続性などに応じて、適宜選択されるが、一般
的には、3〜50重量%、好ましくは5〜30重量%で
あるのがよい。
【0014】高分子素材としては、たとえば、ポリウレ
タン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステ
ル、ポリメチルメタクリレ―ト、ポリビニルブチラ―
ル、ポリビニルホルマ―ル、ポリビニルアセタ―ル、酢
酸セルロ―ス、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエ
チレン水酸化ビニル、ポリアクリレ―ト、ポリスチレ
ン、ナイロン、スチレン−イソプレン共重合体、ポリプ
ロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアセタ―ル、ポリ酢酸
ビニル、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、ポ
リブタジエン、ポリスルフオンなどの中から、その1種
または2種以上の混合物が用いられる。とくに、ポリウ
レタン、ポリビニルブチラ―ル、ポリビニルアセタ―
ル、酢酸セルロ―スなどが、好ましく用いられる。
【0015】この高分子素材の溶解用溶剤は、凝固用溶
剤と相溶して高分子素材が不溶となる溶剤であり、たと
えば、ジメチルホルムアミド、ヘキサン、ヘプタン、シ
クロヘキサン、シクロヘプタン、ベンゼン、トルエン、
キシレンなどの炭化水素が用いられるが、この中でもと
くにジメチルホルムアミドが好ましい。この溶剤は、1
種であつても、2種以上の混合溶剤であつてもよい。
【0016】このような高分子素材の溶剤溶液に対し、
上記素材を凝固させるための凝固用溶剤としては、たと
えば、水、メタノ―ル、エタノ―ル、プロパノ―ル、エ
チレングリコ―ル、プロピレングリコ―ルなどの極性溶
剤の中から、上記溶液の溶解用溶剤に応じた、適宜のも
のが選択される。
【0017】なお、本発明では、高分子素材がポリビニ
ルアセタ―ルまたはポリビニルブチラ―ルであつて、そ
の溶解用溶剤がジメチルホルムアミドであり、また凝固
用溶剤が水である場合が、とくに好ましい。
【0018】本発明において、上記の基材、高分子素材
の溶剤溶液および凝固用溶剤を用いて高分子多孔質層を
形成するには、以下の如く行えばよい。まず、基材の表
面に高分子素材の溶剤溶液を薄膜状に塗布する。塗布厚
は、通常10〜500μm、好ましくは20〜100μ
mであり、また塗布膜中の溶剤量は、通常50〜97重
量%、好ましくは70〜95重量%である。
【0019】つぎに、この塗布膜に、凝固用溶剤を微粒
子状態で接触させる。この接触は、凝固用溶剤の蒸気槽
内に塗布膜を通すか、塗布膜面に凝固用溶剤を噴霧する
などの方式で行われる。微粒子状態とは、粒径が0.5
mm以下、好ましくは0.1mm以下、さらに好ましくは
0.01mm以下とされたものである。接触時間は通常1
〜10分、処理温度は通常0〜80℃、好ましくは0〜
40℃である。凝固用溶剤の量は、塗布膜の単位当たり
の塗布量に対し、通常30〜200重量%、好ましくは
30〜50重量%となる量であるのがよい。
【0020】このように接触させると、凝固用溶剤の微
粒子は、塗布膜に接触、吸収され、塗布膜内の溶剤中に
拡散混和する。溶解していた高分子素材は不溶性溶剤の
混入により凝固をはじめ、表面から内部に向かつて凝固
が進行していく。一方、高分子素材の凝固により行き場
を失つた凝固用溶剤は凝固していく高分子素材の隙間に
たまり、その分子間凝集力により球状になろうとする。
【0021】この現象が塗布膜の表面層からはじまり、
次第に内部に進行することにより、球状の溶剤層が凝固
していく高分子素材内に次々に発生する。この球状の溶
剤層は、その膨脹圧が溶剤層の表面張力を超えた時点
で、その一部からはじけ、塗布膜内部側の隣接する球状
の溶剤層と互いに連結する。このように球状の溶剤層が
連結して凝固用溶剤接触側から反対側まで到達し、凝固
した高分子素材の塗布膜には無数の球状の微細孔が連結
して均一状態で形成される。
【0022】このような凝固用溶剤の接触による凝固、
多孔質化ののちに、基材ごと乾燥、たとえば加熱処理す
ることにより、基材表面に目的とする高分子多孔質層が
形成される。なお、基材が上質紙、コ―ト紙、ア―ト
紙、グラシン紙などの紙である場合は、乾燥時にテンシ
ヨンをかけながら乾かすことにより、製品としての受像
紙に皺が生じないように工夫するのが望ましい。
【0023】このようにして得られる本発明の受像紙
は、基材表面に形成された高分子多孔質層が、平均孔径
が0.3〜5.0μm、好ましくは0.5〜3μm、最
大孔径が10μm以下、好ましくは5μm以下、孔の密
度が1×106 個以上/cm2 、好ましくは1×107
〜1×109 個となる特定の孔構造を有するものであ
り、また、孔径分布が通常0.1〜10μmの範囲にあ
る、比較的狭い孔径分布を有するものである。
【0024】この高分子多孔質層のさらに別の特徴点と
して、その孔が厚さ方向に連結した構造をとる、つま
り、厚さ方向に独立しておらず、それぞれの孔が連続し
た構造をとつていることが挙げられる。このような高分
子多孔質層の厚さとしては、2〜100μm、好ましく
は5〜50μmである。
【0025】このような特徴的構成を有する受像紙を用
いて、たとえば、熱溶融型プリンタによつてバリアブル
ドツトサイズのサ―マルヘツドにより階調性のあるパタ
―ンを印画すると、とくに低階調部のドツト再現性にす
ぐれた、極めて良好な画像が得られる。また、上記高分
子多孔質層の孔構造がサ―マルヘツドの蓄熱性を向上さ
せるためか、感度が極めて高くなる。これらは、厚さ方
向に連続した孔の中に溶融したインクが毛細管現象によ
り浸透し、小さなドツトの定着性がアツプしたこと、孔
の大きさと密度がある範囲にあることにより、極めて小
さなドツトの再現性にすぐれたものとなるためと推測さ
れる。
【0026】このように、本発明の受像紙は、小ドツト
再現性にすぐれ、また感度が良好で高濃度の印画が可能
であり、さらに水溶性インクに対する吸収性にもすぐれ
るため、各種プリンタ用の受像紙として極めて有用であ
る。また、印刷インクの定着性も良好で、印刷用プラス
チツク原反としても有用である。
【0027】また、本発明の受像紙は、基材の背面側に
粘着剤層とセパレ―タをこの順に設けることにより、ラ
ベル用受像紙として利用することもできる。さらに、基
材表面に前記の如く形成した高分子多孔質層に、適宜の
加熱加圧処理、たとえばカレンダ―処理を施すことによ
り、表面平滑性にすぐれ、プリンタ印画後でも表面光沢
を有する上記各種の受像紙を得ることもできる。
【0028】
【発明の効果】以上のように、本発明により、ドツト再
現性、とくに高精細ドツトの再現性にすぐれ、また記録
濃度の改善も図れる受像紙を提供できる。とくに、熱溶
融型プリンタには、ドツト再現性が極めて良好で、記録
濃度の高いすぐれたプリント画像が得られる受像紙を、
また熱昇華型プリンタには、染色性にすぐれ、高い記録
濃度が得られる受像紙を、さらにインクジエツトプリン
タには、インク吸収性にすぐれ、即乾性が得られる受像
紙を、それぞれ提供できる。また、印刷用プラスチツク
原反としては、印刷インクの定着性が良好でドツト再現
性にすぐれる高画質な印刷が可能である印刷用紙を提供
できる。
【0029】
【実施例】つぎに、本発明の実施例を記載して、より具
体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定
されるものではない。
【0030】実施例1 ポリビニルアセタ―ル樹脂〔積水化学工業(株)製エス
レツクKS−5〕をジメチルホルムアミドに濃度が7.
5重量%となるように溶解し、この溶剤溶液を、白色の
PET(ポリエチレンテレフタレ―ト)フイルム上に、
約80μmの塗布厚となるようにアプリケ―タで塗布し
たのち、蒸気槽に導入した。蒸気槽内は、蒸気発生装置
により、湿度80%以上、温度2〜6℃に保たれてい
る。蒸気槽内の通過速度は約10分とした。その後、さ
らに約10分間室温にて水洗したのち、乾燥を行つた。
【0031】このようにして作製した受像紙は、約20
μm厚の高分子多孔質層を有し、この層の平均孔径は2
μm、最大孔径は5μm、孔密度は2×107 個/cm2
で、孔径分布は0.5〜5μmであつた。また、この多
孔質層の孔は、厚さ方向に独立しておらず、それぞれの
孔が連続するものであつた。図1は、この受像紙の高分
子多孔質層表面の電子顕微鏡写真(倍率2,000倍)
であり、図2は、同受像紙の断面の電子顕微鏡写真(倍
率2,000倍)である。
【0032】比較例1 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体をジメチルホルムアミ
ドに濃度が25重量%となるように溶解した。別に、ア
クリロニトリル−アクリル酸メチル共重合体をジメチル
ホルムアミドに濃度が25重量%となるように溶解し
た。前者の溶剤溶液と後者の溶剤溶液とを、重量比が1
0:4となる比率で混合して、塗布液を調製した。この
塗布液を、不飽和ポリエステル樹脂を薄く塗布したポリ
エステルフイルム上にコ―テイングし、20℃の水に1
分間浸漬したのち、90℃の湯の中に5秒間浸漬して、
約25μm厚の高分子多孔質層を形成した。
【0033】このようにして作製した受像紙は、高分子
多孔質層の平均孔径が5μm、最大孔径が15μm、孔
密度が1×107 個/cm2 で、孔径分布が0.5〜15
μmであり、実施例1に比べて、平均孔径および最大孔
径が大きく、かつ孔の密度が低く、しかも孔径分布がか
なり広いものであることが確認された。図3は、この受
像紙の高分子多孔質層表面の電子顕微鏡写真(倍率2,
000倍)であり、図4は、同受像紙の断面の電子顕微
鏡写真(倍率2,000倍)である。
【0034】上記の実施例1および比較例1の受像紙に
ついて、市販の熱溶融カラ―プリンタにより、Y(イエ
ロ―)、M(マゼンタ)、C(シアン)3色の感度特性
を、マクベス光学濃度計RD−920を用いて調べた。
図5はY色感度特性、図6はM色感度特性、図7はC色
感度特性で、図5〜7中の各符号aは実施例1の結果、
各符号bは比較例1の結果である。
【0035】つぎに、上記の実施例1および比較例1の
受像紙について、市販の熱溶融カラ―プリンタを用い
て、20段の濃度階調パタ―ンを印画して、ドツト再現
性を調べた。図8,図9は実施例1の結果、図10,図
11は比較例1の結果である。なお、図8,図10は印
字階調が低濃度側から3段目の光学顕微鏡写真、図9,
図11は同10段目の光学顕微鏡写真である。
【0036】これらの図5〜図11の結果から、実施例
1の受像紙は、比較例1の受像紙に比べ、ドツト再現性
にすぐれ、かつ感度が良好で高い記録濃度が得られるこ
とが明らかである。実際、両受像紙を用いて、高精細熱
溶融カラ―プリンタで階調性のあるパタ―ンを印画した
ところ、実施例1の受像紙では、4色重ね部のインク浸
透性も十分で、低階調、中間調においてすぐれたドツト
再現性が得られ、大幅な感度アツプが得られた。これに
対し、比較例1の受像紙では、一見、階調性にすぐれた
画像が得られたが、低階調でのドツト再現性が不十分で
あり、ドツト抜けの発生がみられ、小さなドツトの定着
性に劣つていた。
【0037】実施例2 ポリビニルブチラ―ル樹脂〔積水化学工業(株)製エス
レツクBX−1〕をジメチルホルムアミドに濃度が15
重量%となるように溶解し、この溶剤溶液を、白色のP
ETフイルム上に、約35μmの塗布厚となるようにア
プリケ―タで塗布したのち、蒸気槽に導入した。蒸気槽
内は、蒸気発生装置により、湿度80%以上、温度23
℃に保たれている。蒸気槽内の通過速度は約10分とし
た。その後、さらに約10分間水洗したのち、乾燥を行
つた。
【0038】このようにして作製した受像紙は、約20
μm厚の高分子多孔質層を有し、この層の平均孔径は2
μm、最大孔径は5μm、孔密度は1×107 個/cm2
で、孔径分布は0.5〜5μmであつた。また、この多
孔質層の孔は、厚さ方向に独立しておらず、それぞれの
孔が連続するものであつた。つぎに、この受像紙を用い
て、高精細熱溶融カラ―プリンタである階調性のあるパ
タ―ンを印画したところ、3色重ね部のインク浸透性は
不十分であつたが、低階調、中間調において、すぐれた
ドツト再現性が得られた。
【0039】実施例3 ポリビニルブチラ―ル樹脂〔積水化学工業(株)製エス
レツクBX−5〕をジメチルホルムアミドに濃度が7.
5重量%となるように溶解し、この溶剤溶液を、白色の
PETフイルム上に、約70μmの塗布厚となるように
アプリケ―タで塗布したのち、蒸気槽に導入した。蒸気
槽内は、蒸気発生装置により、湿度80%以上、温度2
3℃に保たれている。蒸気槽内の通過速度は約10分と
した。その後、さらに約10分間水洗したのち、乾燥を
行つた。
【0040】このようにして作製した受像紙は、約15
μm厚の高分子多孔質層を有し、この層の平均孔径は2
μm、最大孔径は5μm、孔密度は1×107 個/cm2
で、孔径分布は0.5〜5μmであつた。また、この多
孔質層の孔は、厚さ方向に独立しておらず、それぞれの
孔が連続するものであつた。つぎに、この受像紙を用い
て、高精細熱溶融カラ―プリンタである階調性のあるパ
タ―ンを印画したところ、3色重ね部のインク浸透性は
不十分であつたが、低階調、中間調において、すぐれた
ドツト再現性が得られた。
【0041】実施例4 酢酸セルロ―ス樹脂〔ダイセル(株)製酢酸綿L−4
0〕をジメチルホルムアミドに濃度が15重量%となる
ように溶解し、この溶剤溶液を坪量90g/m2のグラ
シン紙上に約35μmの塗布厚となるようにアプリケ―
タで塗布したのち、蒸気槽に導入した。蒸気槽内は、蒸
気発生装置により、湿度80%以上、温度23℃に保た
れている。蒸気槽内の通過速度は約10分とした。その
後、さらに約10分間水洗したのち、乾燥を行つた。
【0042】このようにして作製した受像紙は、約20
μm厚の高分子多孔質層を有し、この層の平均孔径は1
μm、最大孔径は3μm、孔密度は5×107 個/cm2
で、孔径分布は0.2〜3μmであつた。また、この多
孔質層の孔は、厚さ方向に独立しておらず、それぞれの
孔が連続するものであつた。つぎに、この受像紙を用
い、高精細熱溶融カラ―プリンタである階調性のあるパ
タ―ンを印画したところ、全体に白ぬけが目立つ(これ
は多孔質層の表面に発生する高分子素材の突起物の影響
によるものと推測される)ものの、非常に高感度の画像
が得られた。この受像紙の特徴としては全体に光沢があ
ることである。インク浸透性は十分であり、低階調にお
いてすぐれたドツト再現性が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の受像紙における高分子多孔質層表面
の電子顕微鏡写真(倍率2,000倍)である。
【図2】同受像紙の断面の電子顕微鏡写真(倍率2,0
00倍)である。
【図3】比較例1の受像紙における高分子多孔質層表面
の電子顕微鏡写真(倍率2,000倍)である。
【図4】同受像紙の断面の電子顕微鏡写真(倍率2,0
00倍)である。
【図5】実施例1および比較例1の受像紙のY色感度特
性を示す特性図である。
【図6】同受像紙のM色感度特性を示す特性図である。
【図7】同受像紙のC色感度特性を示す特性図である。
【図8】実施例1の受像紙のドツト再現性を示す印字階
調が低濃度側から3段目の光学顕微鏡写真(倍率150
倍)である。
【図9】同10段目の光学顕微鏡写真(倍率150倍)
である。
【図10】比較例1の受像紙のドツト再現性を示す印字
階調が低濃度側から3段目の光学顕微鏡写真(倍率15
0倍)である。
【図11】同10段目の光学顕微鏡写真(倍率150
倍)である。
【符号の説明】
a 実施例1の感度特性曲線 b 比較例1の感度特性曲線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菅原 英男 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 芝田 浩 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材の表面に、平均孔径が0.3〜5.
    0μm、最大孔径が10μm以下、孔の密度が1×10
    6 個以上/cm2 の高分子多孔質層が形成されていること
    を特徴とする受像紙。
  2. 【請求項2】 高分子多孔質層の孔が厚さ方向に独立し
    ておらず、それぞれの孔が連続している請求項1に記載
    の受像紙。
  3. 【請求項3】 高分子多孔質層の厚さが2〜100μm
    である請求項1または請求項2に記載の受像紙。
  4. 【請求項4】 基材の背面側に、粘着剤層とセパレ―タ
    がこの順に設けられている請求項1〜3のいずれかに記
    載のラベル用受像紙。
  5. 【請求項5】 基材の表面に、高分子素材の溶剤溶液を
    薄膜状に塗布し、この塗布膜に、上記溶液の溶剤と相溶
    するが高分子素材は溶解しない凝固用溶剤を微粒子状態
    で接触させることにより、基材の表面に高分子多孔質層
    を形成することを特徴とする受像紙の製造法。
  6. 【請求項6】 基材の表面に形成した高分子多孔質層
    に、さらに加熱加圧処理を施して、表面平滑性にすぐ
    れ、プリンタ印画後でも表面光沢を有する受像紙を製造
    する請求項5に記載の受像紙の製造法。
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CN1083914C (zh) * 1997-09-24 2002-05-01 可乐丽股份有限公司 皮革状片材

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