JPH0889158A - 生地改良剤及びそれを含有する冷凍・冷蔵生地 - Google Patents

生地改良剤及びそれを含有する冷凍・冷蔵生地

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JPH0889158A
JPH0889158A JP25868894A JP25868894A JPH0889158A JP H0889158 A JPH0889158 A JP H0889158A JP 25868894 A JP25868894 A JP 25868894A JP 25868894 A JP25868894 A JP 25868894A JP H0889158 A JPH0889158 A JP H0889158A
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JP
Japan
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dough
fatty acid
bread
acid ester
frozen
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Withdrawn
Application number
JP25868894A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Kaneshige
寛 兼重
Sachiko Sasaya
祥子 笹谷
Toshihiko Nishiyama
敏彦 西山
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
Application filed by Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 アミラーゼ類と乳化剤とを含有することを特
徴とする冷凍・冷蔵生地改良剤。 【効果】 冷凍・冷蔵生地使用の際のパンのボリウムの
減少、梨肌、老化及び風味低下を防止し、高品質のパン
を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生地改良剤及び冷凍・
冷蔵生地に関し、更に詳しくは、冷凍又は冷蔵パン生地
の製造に使用され、特にパンのボリュームの減少、パン
表面の梨肌(フィッシュアイ)の出現、パンの老化及び
パンの風味の低下を防止するパン生地改良剤及びこれを
含有してなる冷凍・冷蔵生地に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、冷凍パン生地を用いる冷凍生地製
パン法として、ベークオフシステムが脚光を浴びてい
る。ベークオフシステムとは、メーカーで製造した生地
を末端小売店に配送し、そこで最終的にパンを焼き上げ
るシステムを言う。これによりメーカーでは最終発酵工
程と焼成工程が省かれ、人件費等の経費の大巾な削減が
期待できる。一方、消費者の立場からは、販売店(オー
ブンフレッシュベーカリーと言われる。)により焼き立
てパンがタイムリーに提供されることにより、常に新鮮
なパンを買うことができる。
【0003】このシステムではメーカーで製造した生地
を末端小売店に配送、あるいは小売店で保存する際に、
常温下では生地の発酵が進むため、生地を冷凍する必要
がある。この冷凍生地による製パン方法は一般に、生地
冷凍法、分割生地冷凍法、成型生地冷凍法、ホイロ後冷
凍法がある。これらの冷凍生地法にはそれぞれメリッ
ト、デメリットがあるが、冷凍生地法の本来の目的であ
る工程の中断をバランス良く行える成型生地冷凍法が多
く用いられている。
【0004】また、同様に製パン工程を省力化、合理化
する目的で、冷蔵生地製パン法が用いられている。冷蔵
生地製パン法とは、作成した生地を数日間保存するのに
際し、冷凍ではなく、生地をイーストの発酵が少ない温
度から凍結前の低温で貯蔵する方法を言う。メーカーで
は必要に応じてこれらの方法を使い分け、省力化、合理
化を進めようとしている。しかしながら、通常の冷凍パ
ン生地や冷蔵パン生地を用いて製パンした場合、パンの
ボリウムの減少、パン表面の梨肌の出現、パン風味低下
などが起こり、商品価値の著しく低下したものとなる。
【0005】冷凍生地に関してはこれらの問題を解決す
るために、従来から多くの方法が提案され、例えば特開
昭63−87933では生地に酵母処理液を加え、冷凍
障害の無い風味の優れた冷凍生地が得られると報告され
ている。また、特開昭63−58536では冷凍耐性酵
母を用いてパンのボリューム減少に効果があったことが
報告されており、特開平5−41では、親水性乳化剤と
糖質を組み合わせたものを有効成分とするパン生地改良
剤が報告されている。
【0006】また、冷蔵生地に関しても改善策が提案さ
れており、例えば特開昭61−195637では、従来
のイーストに比べ低温域での発酵力が低いイーストの利
用により合理化が進むことが報告されている。また、昨
今では低温域において発酵が停止するイーストが開発さ
れ、冷蔵生地を用いて、より合理化が進められることが
期待されている。また、その他には乳化剤を冷凍、冷蔵
生地改良剤として用いた報告が数多くなされている。
【0007】しかし、従来の冷凍生地改良剤は、油脂、
糖、乳製品、卵等を多く含む、すなわちリッチな配合の
パンで多少応用が効くという報告が多く、食パン等のリ
ーンな配合のパンではその効果はまだ不充分である例が
多い。冷蔵生地においても同様であり、いずれにせよ、
これまでの報告では全般的に前述の問題を完全に防止す
る有効な方法は、まだ見つかっていないのが現状であ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
鑑み、冷凍、冷蔵パン生地を用いて製パンする場合のパ
ンのボリュームの減少、パン表面の梨肌の出現、パンの
風味の低下、パンの老化等の問題を解決する冷凍又は冷
蔵パン生地改良剤及びこれを含有してなる冷凍・冷蔵生
地を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記従来技
術の問題点を克服すべく鋭意研究した結果、アミラーゼ
類を乳化剤とともに生地混捏時に添加することによっ
て、ボリューム減少、パン表面の梨肌、風味の低下及び
老化の問題が飛躍的に解決できることを見いだし、本発
明を完成した。即ち、本発明の第1は、アミラーゼ類と
乳化剤とを含有することを特徴とする冷凍・冷蔵生地用
改良剤を、本発明の第2は、上記生地改良剤を含有して
なることを特徴とする冷凍・冷蔵生地を、それぞれ内容
とするものである。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おいて、パン生地とは小麦粉を主原料としてこれに水等
を加え、更に油脂、糖類、乳製品、卵、乳化物、イース
トフード、各種酵素類、各種乳化剤等の原料を必要に応
じて添加し、パン酵母の添加の有無に関わらず、混捏工
程を経て得られた一般的生地を言い、饅頭生地やドーナ
ッツ生地、パイ生地、ピザ生地、ホットーケーキ生地、
スポンジケーキ生地、クレープ生地、餃子生地等を包含
する。更に上記原料の他に小麦粉以外の穀類、例えばラ
イ麦、オーツ麦、大麦、ヒマワリ種子等を混入したもの
をも包含する。
【0011】本発明におけるアミラーゼ類は、α−アミ
ラーゼ、β−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、イソアミ
ラーゼ等を含み、例えば、Aspergillus属、
Rhizopus属由来のグルコアミラーゼ、Baci
llus属由来のβ−アミラーゼ等、通常使用されてい
るアミラーゼ類の大部分であるα−アミラーゼ、植物、
麦芽、Aspergullus属由来のβ−アミラー
ゼ、イソアミラーゼ等が挙げられる。これらのアミラー
ゼ類としては、市販のアミラーゼ剤の何れも使用でき
る。
【0012】α−アミラーゼとしては、天野製薬株式会
社のアミラーゼAD「アマノ」、ナガセ生化学工業株式
会社の「デナチームSA−7」、新日本化学工業株式会
社の「スミチームS」、ノボ・ノルディスクの「ファン
ガミル」、BAN等が、β−アミラーゼとしては、天野
製薬株式会社の「ビオザイムA」、β−アミラーゼ「ア
マノ」、新日本化学工業株式会社の「スミチームL」等
が、グルコアミラーゼとしては、天野製薬株式会社のグ
ルクザイムNL、同AF、新日本化学工業株式会社のス
ミチームAN、同AL、同SG、ノボ・ノルディスクの
AMG等を挙げることができ、これらは1種又は2種以
上を組み合わせて用いられる。上記酵素の名称は、何れ
も商品名である。
【0013】アミラーゼ類の使用範囲は、後記する酵素
活性測定法を用いて測定したpH5.5でのアミラーゼ
活性が、小麦粉1Kgに対して5〜2500単位の範囲が
好ましい。5単位未満では好ましい効果が得られず、2
500単位を越えると生地がべとつくなど作業性が低下
する傾向を示す。以下にアミラーゼ活性測定法を示す。
【0014】「アミラーゼ活性測定法」 1)基質及び試薬 基質 :2重量%可溶性デンプン液又は2重量%アミロ
ペクチン液 緩衝液:N/10酢酸緩衝液 A液 :0.24M CuSO4 ・5H2 O B液 :1.22M ロッシェル塩と2.575M N
aOHの混合液 C液 :30重量% KI溶液 D液 :25重量% H2 SO4 水溶液 滴定液:N/20チオ硫酸ナトリウム液
【0015】
【0016】3)活性算出 アミラーゼ活性(BL−AV)×1.6×F=生成グル
コース(mg) 生成グルコース(mg)×希釈倍率×1/10=力価(μ
/g) 注1)BL:盲検値(B液添加後、酵素溶液を添加した
もの) F :滴定液のファクター 注2)α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、グルコアミラ
ーゼは可溶性デンプンを基質として測定。イソアミラー
ゼはアミロペクチン液を基質として測定。
【0017】本発明における乳化剤としては、グリセリ
ン脂肪酸有機酸エステル等グリセリン脂肪酸エステル、
ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エス
テル、蔗糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪
酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エス
テル、ステアリル有機酸エステル及びそれらの塩等、更
に大豆、卵黄レシチン等のリン脂質及びそれらの化学修
飾物等が挙げられる。これら乳化剤中の脂肪酸として
は、炭素数6〜24の飽和もしくは不飽和脂肪酸であ
る。これらの乳化剤は1種又は2種以上混合して使用さ
れる。これらの乳化剤の中ではグリセリン脂肪酸有機酸
エステル、蔗糖脂肪酸エステルが好ましい。更に好まし
くは、グリセリン脂肪酸有機酸エステルでは、有機酸が
ジアセチル酒石酸であるジアセチル酒石酸モノグリセラ
イドがよく、蔗糖脂肪酸エステルの中ではHLBが高い
ものがよい。乳化剤の添加量は0.02重量%以上3重
量%以下が好ましく、より好ましくは0.1〜1重量%
である。0.02重量%未満の添加量では上述の主成分
であるアミラーゼ類の添加による効果を上回ることはな
く、添加量が3重量%を越える場合はパンの風味が悪く
なる等の弊害がでてくる。
【0018】上記添加物のパン生地への添加形態及び添
加時期は、粉末のままでも良いが、乳化剤が親油性で液
晶を形成するものを一部用いる場合は、液晶状態、α結
晶ゲル状態を形成させ、これにアミラーゼ類等を均一に
分散し、パン混捏の加水時に添加するのが好ましい。ま
た、乳化剤が水溶性のものであれば水にアミラーゼ類等
を溶解、分散した後、乳化剤を加えればよい。更に、こ
れらの成分に添加物として油脂を加え乳化油脂組成物と
して添加してもよい。これらの添加剤をパン混捏の加水
時に添加するのが好ましい。
【0019】なお、ここで言う乳化剤の液晶状態とは、
水溶液中にニート状、もしくはゲル状に分散し、ヘキサ
ゴナル構造、キュービック構造、ラメラ構造または逆ヘ
キサゴナル構造のいずれかの構造を有する乳化剤のこと
であり、α結晶ゲル状態とは水を抱いてα結晶状態でゲ
ル状の乳化剤の形態のことである。また、液晶、α結晶
の安定化のためには、多価アルコール、糖類、有機酸塩
等の安定剤やデンプン類、ゼラチン、ガム類等の増粘剤
や保水剤等の適宜組み合わせて加えてもよい。また、更
にアミラーゼ類以外の各種酵素類、油脂類、抗酸化剤、
色素、調味料、香料等を適宜組み合わせ加えてもよい。
【0020】これらのアミラーゼ類、乳化剤及び水等の
混合割合は特に限定されるものではないが、好適なもの
としてはアミラーゼ類を0.01〜1重量部、乳化剤を
5〜20重量部、水を15〜30重量部混合したものが
例示される。これらの組成物の混合方法は、例えば液晶
状態にする場合、まず、水または温水にアミラーゼ類等
酵素類及び親油性乳化剤を除く、糖類、多価アルコール
等の全ての原料を溶解、分散させた後、ミキサーで攪拌
しながら約60℃まで昇温し、液晶を形成する乳化剤で
あるグリセリン脂肪酸モノエステル、グリセリン有機酸
脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ステアリ
ル乳酸及びその塩、プロピレングリコール脂肪酸エステ
ル、HLB7以下のポリグリセリン脂肪酸エステル等を
添加し、充分に液晶化する(以下、乳化剤水相部と略
す。)。その後、これを冷却し、酵素類を均一に分散さ
せ、目的とする生地改良剤としての組成物を得る。ま
た、生地改良剤を乳化油脂組成物として作成する場合に
は、例えば乳化剤水相部に油脂を徐々に添加し約60℃
で混合乳化することによって調製される。油脂の添加量
は通常、乳化剤水相部100重量部に対し5〜100重
量部が好適である。油脂が5重量部未満では充分な効果
が得られず、100重量部を越えると乳化が困難となる
傾向がある。
【0021】また、酵素の添加方法は、冷却された乳化
剤水相部に粉末のまま添加する方法、冷却した油脂に分
散後添加する方法、組成物に後から粉末のままで、或い
は液糖、糖アルコール等に分散溶解した後、添加する方
法等、何れの添加方法でもよく、特に限定されない。酵
素の添加量は、組成物1Kg中にアミラーゼ活性として1
00〜50000単位になるように添加するのが好適で
ある。100単位未満では組成物中で長期にわたって活
性を維持するのが難しく、50000単位を越えると生
地がべとつき、作業が低下する傾向がある。上記組成物
の添加量は小麦粉に対して1〜10重量%が好ましい
が、より好ましくは2〜5重量%である。この範囲をは
ずれると効果が不充分であったり、生地がべとつく等の
問題が生じる。また、組成物の添加はいかなる方法の場
合においてもミキシング前に添加した方が効果的であ
る。
【0022】パン生地は小麦粉に水を加えミキシングす
ることによって、小麦タンパクのグルテンが伸張し、ネ
ットワークを形成する。更にミキシングの物理的ストレ
スにより生地中に無数の気泡核が生成する。これがイー
スト発酵による二酸化炭素を保持して膨脹し、キメの細
かいパンが得られる。製パン工程を途中で中断し、生地
を保存するためには、イーストの発酵を止める必要があ
り、そのために生地の冷凍もしくは冷蔵を行っている。
一方、生地中の気泡核には製パン工程の初期には主に窒
素ガスが、それ以後は発酵による炭酸ガスが主に含まれ
ているが、冷凍や冷蔵に伴う生地温度の低下により、気
泡核中の炭酸ガスは殆ど生地中の水に溶け込み、気泡核
は減少すると考えられる。気泡核の減少は内相の荒さや
梨肌にもつながり、冷凍、冷蔵生地から得られるパンの
品質が悪いことの1つの原因と考えられる。
【0023】冷凍生地の場合は、更に生地を冷凍保存す
る際に生地中での相変化、すなわち液体としての水から
氷結晶生成が起こる。このような氷結晶生成が原因とな
って以下に述べる多くの副次的変化が生地内部で起こる
ことが考えられる。すなわち、氷結晶構造形成によるグ
ルテンネットワークの機械的破壊、氷結晶生成にともな
う脱水による溶液成分の高濃度化、pH変化、SH−S
S交換反応、脱水和、疎水結合によるタンパク変性、酵
素失活、イースト菌体からの還元性グルタチオン漏洩に
よる生地劣化などである。これに対し詳細は不明である
が、アミラーゼ類を加えることにより小麦粉中の損傷デ
ンプンを分解し、焼成時のカマ伸びを助け、更に、乳化
剤等の併用によりグルテンの変性を防止しネットワーク
を補強することによって上記悪影響を軽減し、その結
果、製パン後のパンのボリューム減少や梨肌を抑制でき
るものと考えられる。
【0024】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて
説明するが、本発明はこれらにより何ら限定を受けるも
のではない。なお、以下の記載において、配合は特に断
らない限り「重量部」である。
【0025】比較例1 アミラーゼ類として、「グルコチームDB」(商品名、
ナガセ生化学工業株式会社製)を生地改良剤aとして使
用した。
【0026】比較例2 コハク酸モノグリセライド(以下、SMGと記す。)
「ポエムB10」(商品名、理研ビタミン株式会社製)
を60℃の湯に添加攪拌し、50重量%のハイドレート
品(以下、SMGゲルと記す。)からなる生地改良剤b
を得た。
【0027】比較例3 蔗糖脂肪酸エステル(以下、SEと記す。)「S−16
70」(商品名、三菱化成食品株式会社製)を冷水に添
加攪拌し、60℃になるまで徐々に昇温した後、冷却し
て10重量%のゲル(以下、SEゲルと記す。)からな
る生地改良剤cを得た。
【0028】実施例1 比較例2で得られたSMGゲルに、アミラーゼ類として
比較例1で用いた「グルコチームDB」を対小麦粉0.
05重量%になるように添加して、本発明の生地改良剤
dを得た。
【0029】実施例2 比較例3で得られたSEゲルに、アミラーゼ類として比
較例1で用いた「グルコチームDB」を対小麦粉0.0
5重量%になるように添加して、本発明の生地改良剤e
を得た。
【0030】実施例3 表1に示した配合のO/W型乳化油脂組成物からなる本
発明の生地改良剤fを得た。
【0031】
【表1】
【0032】水、ソルビトール混合液にSEを添加しホ
モミキサーで攪拌しながら60℃まで昇温しSEをゲル
化した後、SMGを添加し60℃で約10分保持し充分
溶解した。その後60℃に保温した油脂を徐々に添加し
同温で20分乳化した。乳化後徐々に冷却し、組成物の
品温が40℃になったところでアミラーゼを添加し均一
になるまで攪拌混合した。
【0033】比較例4〜7、実施例4〜6 上記比較例及び実施例で得られた生地改良剤a〜fを用
いて製パン試験を行った。さらに比較のために、生地改
良剤を添加しない場合についても同様の試験を行った。
【0034】製パン試験は表2に示すバターロール配合
で、下記の条件で成型生地を作成し、冷凍、冷蔵生地試
験に供試した。冷凍生地試験には冷凍耐性イースト「グ
リーンイースト」(商品名、鐘淵化学工業株式会社製、
以下、グリーンイーストと記す。)を用い、冷蔵生地試
験にはグリーンイーストと低温感受性イースト(鐘淵化
学工業株式会社製、サッカロミセス・セレビシエR−3
230、生命工学工業技術研究所寄託番号 FERM
P−14179、以下、R−3230と記す。)の2種
を用いた。
【0035】冷蔵生地は−30℃のフリーザー中で2週
間冷凍保存した。冷凍した生地を解凍し、ホイロ(38
℃、湿度80%)内で最終発酵を行った後、焼成して得
られたパンについて、比容積、梨肌の程度及び内相を評
価した。
【0036】冷凍生地は−20℃のフリーザー中で30
分急速冷却した後、5℃の冷蔵庫内で3日保存した。冷
蔵した生地は30℃、湿度60%の恒温槽中に1時間放
置により復温した後、ホイロ内で最終発酵を行い、焼成
して得られたパンについて、比容積、梨肌の程度及び内
相を評価した。
【0037】比容積の測定は、ナタネ置換法により1配
合につき12個のパンについて(3個でワンセット)3
回反復、すなわち全部で36個のパンについてそれぞれ
3回分の平均を比容積とした。結果を表3、表4及び表
5に示す。
【0038】なお、表3、表4、表5中の梨肌及び内相
の評価は、それぞれ下記の基準によって行った。 1)梨肌の程度: ××;非常に多い ×;多い 〇;少ない ◎;非常に少ない 2)内相 : ××;非常に荒い ×;荒い 〇;普通 ◎;良好
【0039】
【表2】
【0040】注)1)冷凍生地のイーストはグリーンイ
ースト50gを用いた。 2)( )内は冷蔵生地仕様でグリーンイーストとR−
3230をそれぞれ25g用いた。 3)吸水は対小麦粉で一定になるよう調製した。 4)油脂は鐘淵化学工業株式会社製の練り込みマーガリ
ン(商品名:ノヴァ11)を用いた。 5)SMGゲル(コハク酸モノグリセライド)(対小麦
粉1重量%、乳化剤として、対小麦粉0.5重量%) 6)SEゲル(蔗糖脂肪酸エステル)(対小麦粉5重量
%、乳化剤として、対小麦粉0.5重量%) 7)組成物はO/W型乳化油脂組成物(対小麦粉5重量
%)
【0041】(冷凍生地製パン工程、バターロール配合
ストレート法) ミキシング :低速3分、中速2分、高速1分後、油
脂を加えて更に低速2分、中速3分、高速1分ミキシン
グ(捏上温度20℃) 発酵 :− フロアータイム:− 分割 :50g 成型 :バターロール用モルダーにて成型 冷凍 :−30℃、2週間 解凍 :ホイロ(30℃、湿度60%)内で
1.5時間解凍 発酵 :ホイロ(38℃、湿度80%)内発酵 焼成 :200℃、10分
【0042】(冷蔵生地製パン工程、バターロール配合
ストレート法) ミキシング :低速3分、中速2分、高速1分後、油
脂を加えて更に低速2分、中速3分、高速1分ミキシン
グ(捏上温度25℃) 発酵 :− フロアータイム:− 分割 :50g 成型 :バターロール用モルダーにて成型 冷蔵 :−20℃、30分急冷後、5℃以下、
3日間 発酵 :30℃、湿度60%下で1時間放置
後、ホイロ(38℃、湿度80%)内発酵 焼成 :200℃、10分
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】
【表5】
【0046】表3の結果、アミラーゼ、乳化剤とも、単
独でもある程度冷凍障害を軽減し、梨肌、ボリュームに
効果が認められるが、アミラーゼと乳化剤とを含有する
本発明の生地改良剤では顕著な冷凍生地改良効果が認め
られた。表4、5の結果、イーストの違いに関わらず、
冷凍生地の場合と同様、アミラーゼと乳化剤とを含有す
る本発明の生地改良剤では顕著な冷蔵生地改良効果が認
められた。また、冷凍耐性イーストであるグリーンイー
ストよりもR−3230を用いた方が、全体的に品質の
良いパンが得られ(特に内相が顕著)、冷蔵生地に適し
ていた。
【0047】比較例8〜11、実施例7〜9 表6に示すデニッシュ配合で、下記の条件で成型生地を
作成した他は、比較例4〜7、実施例4〜6と同様にし
て製パン試験を行った。結果を表7、8及び表9に示
す。
【0048】
【表6】
【0049】注)1)冷凍生地のイーストはグリーンイ
ースト60gを用いた。 2)( )内は冷蔵生地仕様でグリーンイーストとR−
3230をそれぞれ30g用いた。 3)吸水は対小麦粉で一定になるよう調製した。 4)油脂は鐘淵化学工業株式会社製の練り込みマーガリ
ン(商品名:ノヴァ11)を用いた。 5)ロールイン油脂は鐘淵化学工業株式会社製のロール
インマーガリン(商品名:エンペラー50)を用いた 6)SMGゲル(コハク酸モノグリセライド)(対小麦
粉1重量%、乳化剤として、対小麦粉0.5重量%) 7)SEゲル(蔗糖脂肪酸エステル)(対小麦粉5重量
%、乳化剤として、対小麦粉0.5重量%) 8)組成物はO/W型乳化油脂組成物(対小麦粉5重量
%)
【0050】(冷凍生地製パン工程、デニッシュ配合ス
トレート法) ミキシング :低速2分、中速5分後、油脂を加えて
更に低速2分、中速5分ミキシング(捏上温度22℃) 発酵 :−30℃の冷凍庫内に30分入れた
後、0℃の冷蔵庫内で30分処理(生地温度0℃) ロールイン :3つ折り3回 フロアータイム:− 分割 :マウンテン生地 50g 成型 :マウンテン生地成型 冷凍 :−30℃、2週間 解凍 :ホイロ(30℃、湿度60%)内で4
5分 発酵 :ホイロ(38℃、湿度80%)内発酵 焼成 :リールオーブン 200℃、10分
【0051】(冷蔵生地製パン工程、デニッシュ配合ス
トレート法) ミキシング :低速2分、中速5分後、油脂を加えて
更に低速2分、中速5ミキシング(捏上温度22℃) 発酵 :−30℃の冷凍庫内に30分入れた
後、0℃の冷蔵庫内で30分処理(生地温度0℃) ロールイン :3つ折り3回 フロアータイム:− 分割 :マウンテン生地 50g 成型 :マウンテン生地成型 冷蔵 :5℃以下、3日間 発酵 :30℃、湿度60%下で1時間放置
後、ホイロ(38℃、湿度80%)内発酵 焼成 :リールオーブン 200℃、10分
【0052】
【表7】
【0053】
【表8】
【0054】
【表9】
【0055】表7の結果、デニッシュ生地においても、
アミラーゼ、乳化剤とも、単独でもある程度冷凍障害を
軽減し、梨肌、ボリュームに効果が認められるが、アミ
ラーゼと乳化剤とを含有する本発明の生地改良剤では顕
著な冷凍生地改良効果が認められた。表8、表9の結
果、イーストの違いに関わらず、冷凍生地の場合と同
様、アミラーゼと乳化剤とを含有する本発明の生地改良
剤では、顕著な冷蔵生地改良効果が認められた。また、
冷凍耐性イーストであるグリーンイーストよりもR−3
230を用いた方が全体的に品質の良いパンが得られ、
冷蔵生地に適していた。バターロール配合とデニッシュ
配合では全体的に同様の傾向が認められ、両者共にアミ
ラーゼと乳化剤との相乗効果により、生地の冷凍、冷蔵
耐性は飛躍的に高められた。特に冷蔵生地に関しては、
R−3230とのマッチングにより、従来品と比べ満足
のゆくパンを得ることができた。
【0056】
【発明の効果】叙上の通り、本発明の冷凍、冷蔵生地改
良剤は、冷凍生地や冷蔵生地を用いる場合の種々の問題
を解決することができる。製パン業界における昨今の流
通や作業効率、慢性的な人手不足等の諸問題を考えた場
合、冷凍、冷蔵生地の需要は今後も大きく伸びることが
予想されるが、本発明はこれに大きく貢献するもので、
その有用性は極めて大である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アミラーゼ類と乳化剤とを含有すること
    を特徴とする冷凍・冷蔵生地改良剤。
  2. 【請求項2】 乳化剤がグリセリン脂肪酸エステル、グ
    リセリン有機酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸
    エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソル
    ビタン脂肪酸エステル及び蔗糖脂肪酸エステルからなる
    群から選ばれる1種又は2種以上の化合物である請求項
    1記載の冷凍・冷蔵生地改良剤。
  3. 【請求項3】 アミラーゼ類をpH5.5でのアミラーゼ
    活性が小麦粉1Kgに対して5〜2500単位、及び乳化
    剤を0.02〜3重量%含有する請求項1又は2記載の
    冷凍・冷蔵生地改良剤。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3記載の冷凍・冷蔵生地改良
    剤を含有してなることを特徴とする冷凍・冷蔵生地。
JP25868894A 1994-09-27 1994-09-27 生地改良剤及びそれを含有する冷凍・冷蔵生地 Withdrawn JPH0889158A (ja)

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