JPH0887954A - 電界放出型電子放出素子とその製造方法およびその素子を用いた真空管、整流器と表示装置 - Google Patents

電界放出型電子放出素子とその製造方法およびその素子を用いた真空管、整流器と表示装置

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JPH0887954A
JPH0887954A JP22118794A JP22118794A JPH0887954A JP H0887954 A JPH0887954 A JP H0887954A JP 22118794 A JP22118794 A JP 22118794A JP 22118794 A JP22118794 A JP 22118794A JP H0887954 A JPH0887954 A JP H0887954A
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emitter
emitting device
anode
field emission
single crystal
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JP22118794A
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English (en)
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Kazuo Matsuzaki
一夫 松崎
Takahiko Uematsu
隆彦 植松
Youichi Riyoukai
洋一 了戒
Masato Nishizawa
正人 西澤
Akinori Shimizu
了典 清水
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Fuji Electric Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】電界放出型電子放出素子の電子放出特性の改
善、均一化に有効な構造およびその製造方法を提供す
る。 【構成】単結晶シリコン薄膜、酸化シリコン層、シリコ
ン基板からなるSOIウェハを用い、単結晶シリコン基
板に設けたステップに櫛型または楔型のエミッタを加工
し、酸化シリコン層の上のシリコン薄膜をアノードとす
る。エミッタ−アノード間に電圧を印加しエミッタから
電子を放出させる。エミッタ−アノード間距離が酸化シ
リコン層の厚さで決まるので、均一性、制御性が向上す
る。ステップを結晶方位に沿って環状に形成し、電子放
出電流を増大させる。そのような電子放出素子と対向す
るコレクタとを真空容器中に入れ、真空管、整流器、表
示装置とすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体微細加工技術を
用いて微小にした電界放出型の電子放出素子の構造とそ
の製造方法およびその電子放出素子を用いた真空管、整
流器と表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ディスプレイ、高速スイッチング
素子、各種センサなどへの応用を目的として微小真空管
が作られているが、そこでは、微小な電子源を巧みに形
成する技術がキィテクノロジィとなっている。従来、電
子源としては、加熱されたフィラメント等から放出され
る熱電子を利用する熱陰極型電子放出素子が多く用いら
れていた。しかし、熱陰極型電子放出素子は、加熱によ
るエネルギーの損失が大きい、予備加熱が必要であるな
どの問題点を有している。これらの問題点を解決るた
め、電界放出型(冷陰極型)の電子放出素子が注目され
てきており、幾つかの提案がなされている。
【0003】図14は、電界放出型電子放出素子の一例
を示す部分斜視図である。これを錐体型電子放出素子1
01と呼ぶことにする。図に示すように、シリコン基板
11に、モリブデン(以下Moと略記する)等からなる
円錐状のエミッタ12を設け、このエミッタ12を中心
にして開口部が設けられた酸化シリコン等の絶縁層14
が形成され、更にその上に、前記円錐状のエミッタ12
の先端部の近傍に、その端部が形成されたアノード13
が設けられている。かかる構造の電界放出型電子放出素
子を真空中に置き或いは真空封止して、シリコン基板1
1とアノード13との間に電圧を印加すると、電界強度
の大きいエミッタ12の先端部から電子が放出される。
図14においては、エミッタ12が一つであるが、実際
には多数のエミッタ12を、平面的に展開して使用する
ことが多い。
【0004】図16(a)ないし(e)は、図14の錐
体型電子放出素子101の製造方法を説明するための各
工程における部分断面図を示す。以下に図を参照しなが
ら工程を説明する。シリコン基板11上に絶縁層14を
形成し、更に電子ビーム蒸着法によりアノード13とな
るMo膜131を被着し、フォトレジストを塗布し、露
光現像処理を経て第一パターン161を形成する[図1
6(a)]。次に、フォトレジストのパターン161を
マスクにしてMo膜131、絶縁層14を選択的にエッ
チングして第一の開口部181と第二の開口部182を
形成する。第一の開口部181が設けられたMo膜13
1はアノード13の形になる[同図(b)]。次に、シ
リコン基板11を基板平面内で回転させながら、一定の
角度θだけ傾斜させてアルミニウム(以下Alと略記す
る)をアノード13の上面および第一開口部181の側
面に蒸着してAl層191を形成する[同図(c)]。
次に、シリコン基板11に対して垂直にMoを電子ビー
ム蒸着法により蒸着する。この時、MoはAl層191
の上面およびシリコン基板11上だけでなく、Al層1
91の側面にも堆積するので、第一の開口部181の直
径はMo層192の堆積に伴って段々小さくなって行
く。この第一の開口部181の直径の減少に伴って、シ
リコン基板11上に堆積されるMoの蒸着範囲も次第に
小さくなって行くため、シリコン基板11上には、ほぼ
円錐状のエミッタ12が形成される[同図(d)]。最
後に、堆積したMo層192およびAl層191を除去
することにより、ほぼ円錐状のエミッタ12を有する錐
体型電子放出素子101が形成される[同図(e)]。
【0005】しかし、上記の製造方法による図14の電
界放出型電子放出素子は、円錐状のエミッタ12を蒸着
で形成するため、同じ形状を多数形成した際の再現性が
不十分となりやすい。そのため特に、先の尖ったエミッ
タ12の最先端の曲率半径や、エミッタ12とアノード
13との間の距離に敏感な電子放出特性にバラツキが大
きいという難点がある。
【0006】このような背景において、最近、新しい形
状の電子放出特性の均一性の良い電子放出素子が、金丸
と伊藤によってセミコンダクターワールド誌1992年
3月号62ページに発表された。図15にその電子放出
素子の部分斜視図を示す。これを櫛型電子放出素子10
2とよぶことにする。シリコン基板21の上の絶縁層2
4に絶縁層凸部241と絶縁層凹部242が形成され、
その絶縁層凸部241の上に、一辺に複数のエミッタ先
端部221を有するMoからなるエミッタ22が載置さ
れている。そして、絶縁層凹部242には、エミッタ先
端部221に対向するように、アノード23が形成され
ている。この電子放出素子においても、エミッタ22と
アノード23との間に電圧を印加することにより、電界
強度の大きいエミッタ先端部221の先端から電子が放
出される。この構造は、従来の半導体装置の製造プロセ
スで比較的容易に製造でき、製造工程のバラツキ低減と
いう点では、はるかに改善された製造方法である。
【0007】図17の(a)ないし(d)および図18
の(a)ないし(c)に櫛型電子放出素子102の製造
工程を部分断面図で示した。以下、これを順を追って説
明する。シリコン基板21の上に絶縁層24として例え
ば酸化シリコン層を被着し、更に全面にエミッタとなる
タングステン膜(以下W膜と略す)222をスパッタリ
ングにより堆積する[図17(a)]。次に、W膜22
2の上にフォトレジストを塗布し、図示しないフォトマ
スクによる第一パターン261を形成する。このフォト
レジストのパターン261をマスクとして反応性イオン
エッチング(RIE)により、W膜222をエッチング
する[同図(b)]。更に、レジストパターン261と
W膜222をマスクとして、絶縁層24を約1μmエッ
チングして、絶縁層凸部241と絶縁層凹部242を形
成する[同図(c)]。この基板上にアノード23とな
るニオブ膜(以下Nbと略す)231およびアルミニウ
ム膜(以下Alと略す)Mo膜232を真空蒸着し、絶
縁層凸部241上のAl膜Mo膜232、Nb膜231
はリフトオフにより除去する[同図(d)]。もう一度
フォトレジストを塗布し、図示しない第二マスクによる
第二パターン262を形成する。このフォトレジストの
パターン262をマスクとして反応性イオンエッチング
(RIE)によりAl膜Mo膜232、Nb膜231を
エッチングする[図18(a)]。更にもう一度フォト
レジストを塗布し、図示しない第三マスクによる櫛形の
パターン263を形成する。このフォトレジストのパタ
ーン263をマスクとして反応性イオンエッチング(R
IE)により、櫛型のエミッタ22を形成する。このと
きゲート電極23はマスクされていないが、Al膜が保
護膜となって櫛型に加工されない[同図(b)]。最後
にAl膜Mo膜232をエッチングし、更に緩衝フッ酸
により、絶縁層24の表面をエッチングして、エミッタ
−アノード間の絶縁性を高めて完成する[同図
(c)]。エミッタ、アノード材料の金属としては、電
子の飛び出しやすさを表す仕事関数、プロセス中および
プロセス後の表面の安定性、長期の耐久性等から、W、
Mo、Nb等が用いられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】図15の櫛型電子放出
素子102は、図17、18に製造工程を示したよう
に、図14の錐体型電子放出素子101の構造に比べて
フォトエッチング工程、すなわち、フォトレジストのパ
ターン形成と、それをマスクとしたエッチングの回数が
多い上に、多種類の金属材料が使用されているので、エ
ッチング方法やエッチング液の選定に制約がある。ま
た、多結晶金属薄膜からエミッタを加工するが、その薄
膜中には0.1μm前後の大きさの結晶間に結晶粒界が
存在しており、その粒界内外で例えばドライエッチング
中のエッチング速度が異なるため、エミッタの先端部の
形状が粒界面に沿って形成され易くなり、結果として形
状のばらつきが大きくなってしまうという欠点がある。
エミッタ先端部の形状は、エミッタから放出される電界
放出電流に直接的に影響するので、そのばらつきが大き
いエミッタは実用が困難となる。
【0009】上記のように従来の電界放出型電子放出素
子は、構造と材料との組合せに関する工夫が不十分であ
り、結果として電子放出特性がロット毎にばらつくのは
勿論、同一ロット内の同一基板内においても均一ではな
かった。また、その製造プロセスにおいても、これらの
構造と材料の組合せの不備に起因する欠点を解決する手
段が講じられていない。
【0010】上記の問題に鑑みて、本発明は、再現性お
よび均一性を従来例に比べて格段に向上させるために最
適化された材料とその空間配置を有する電界放出型電子
放出素子を提供するとともに、該電界放出型電子放出素
子の構造を効率的に再現性良く製造するための方法を提
示することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の問題の解決のた
め、本発明は、エミッタと、シリコン基板面上に絶縁層
を介して設けられたアノードとを有し、真空中でエミッ
タ−アノード間に電圧を印加して、エミッタから電子を
放出させる電界放出型電子放出素子において、シリコン
基板表面にステップを設け、エミッタがそのステップを
加工形成してなるものとする。
【0012】シリコン基板が、単結晶シリコンであり、
例えば、主表面として(100)、(111)、(11
0)結晶面を持つシリコン単結晶シリコンからなるもの
とする。そして、前記エミッタの電子を放出する先端部
が、二つ以上の(111)面で構成されているようにす
る。
【0013】また、エミッタが、平面図上で櫛型または
楔型をしており、その櫛型又は楔型の先端部から電子を
放出するようにする。前記絶縁層が酸化シリコンからな
り、また、アノードが単結晶シリコンからなるものとす
る。前記ステップは環状に形成されていてもよい。
【0014】前記アノードはエミッタと対称的に形成さ
れていてもよい。また、前記シリコン基板に対向するコ
レクタを設け、そのコレクタに印加された電圧が形成す
る電位ポテンシャルに導かれて、エミッタから放出され
た電子が、コレクタに到達するようにすることもでき
る。前記の電子放出素子の製法としては、単結晶シリコ
ン基板と、単結晶シリコン薄膜とが熱酸化シリコン層を
介して貼り合わされた形のSOIウェハを使用し、特に
SOIウェハの単結晶シリコン基板を加工してエミッタ
とし、単結晶シリコン薄膜を加工してアノードとする。
【0015】表面に酸化シリコン層を有する単結晶シリ
コン基板に貼り合わされた単結晶シリコン層から、先ず
始めにアノードを加工し、次に、その結果露出した上記
酸化シリコン層をアノードの形状をマスクにしてエッチ
ング除去することによって、該アノードとシリコン基板
との間に凹部を形成し、さらに、酸化シリコン層の形状
をマスクとして、凹部の底部に露出した単結晶シリコン
基板表面を所望の形に加工してエミッタとするものとす
る。
【0016】また、異方性ウェットエッチング法によっ
て上記アノードおよびエミッタ先端部を加工し、先鋭化
するものとする。そして、コレクタを有する上記のよう
な電界放出型電子放出素子を用いて、真空管、整流器、
表示装置とすることができる。
【0017】
【作用】上記の手段を講じて、エミッタと、シリコン基
板表面上に絶縁層を介して設けられたアノードとを有
し、エミッタ−アノード間に電圧を印加して、エミッタ
から電子を放出させる電界放出型電子放出素子におい
て、シリコン基板表面にステップを設け、エミッタがそ
のステップを加工形成してなるものとすることによっ
て、エミッタ形成のための金属膜烝着、パターン形成等
が不要になる。
【0018】エミッタ材料は、図14や図15に示した
ようなMoやW等の高融点金属に限定されるわけではな
く、半導体プロセスによりマッチしたシリコンも対象と
なる材料である。シリコンの電子放出のし易さの目安で
ある仕事関数は、W、Moよりやや小さく、電子放出材
料として、全く問題は無い。そして、シリコン基板が、
単結晶シリコンであれば、以前に述べたような結晶粒界
による不均一が避けられる。
【0019】なお、単結晶シリコン基板が主表面として
(100)、(111)、(110)結晶面をもつもの
とすると、(111)面がもっとも稠密な面であるので
安定であり、異方性エッチングによって制御し易い面で
あるので、エミッタ領域の電子を放出する先端部が二つ
以上の(111)面で構成された鋭い先端部を持つよう
にできる。平面図上で櫛型または楔型のエミッタは、上
記基板の主表面と(111)面とで構成された鋭い先端
部をもつようにできる。
【0020】前記絶縁層が酸化シリコンからなるものと
すれば、単結晶シリコン基板との良質な界面が得られる
とともに、その酸化シリコン層の厚さで、電子放出特性
のもっとも重要な因子の一つであるエミッタ−アノード
間の距離が決まるので、電子放出素子特性の均一化が図
れる。また、アノードが単結晶シリコンからなるものと
すれば、一部のパッド等を除けば、電子放出素子素子が
シリコンと酸化シリコンだけで構成でき、最小限の材料
で済みか、かつ対応するエッチング等の薬品も多種類を
要しない。前記の結晶粒界に基づくアノード形状の不均
一が避けられる。またエミッタと同様の結晶面を利用し
た形状形成が可能になる。
【0021】前記ステップを環状に形成すれば、エミッ
タからの電子放出電流密度が高められる。アノードをエ
ミッタと対称的に形成すれば、同時に同様に形成でき製
造工程が短縮できる。また、アノードとエミッタの機能
に互換性をもたせることが可能になる。
【0022】また、前記シリコン基板に対向するコレク
タを設け、そのコレクタに印加された電圧が形成する電
位ポテンシャルに導かれて、エミッタから放出された電
子が、コレクタに到達するようにすれば、コレクタに集
めた電子を利用できるようになる。次に、上記の電界放
出電子放出素子の製造方法については、単結晶シリコン
基板と、単結晶シリコン薄膜とが酸化シリコン層を介し
て貼り合わされた形のSOIウェハを使用し、特にSO
Iウェハの単結晶シリコン基板を加工してエミッタと
し、単結晶シリコン薄膜を加工してアノードとすれば、
良質の絶縁層とシリコン薄膜とが容易に得られる。しか
も従来必要であったエミッタとアノード形成用の金属膜
をスパッタリング法や、真空烝着法により堆積する工程
が不要となり、その分製造工程を減らすことができる。
そして、従来エミッタとアノード間の距離を再現性良く
制御する方法として必要であったリフトオフ法や、回転
烝着など煩雑かつ微妙な手段が不要になる。
【0023】表面に酸化シリコン層を有する単結晶シリ
コン基板に貼り合わされた単結晶シリコン薄膜から、ア
ノードを加工し、次に、その結果露出した上記酸化シリ
コン層をアノードの形状をマスクにしてエッチング除去
することによって、アノードとシリコン基板との間に凹
部を形成し、さらに、酸化シリコン層の形状をマスクと
して、凹部の底部に露出した単結晶シリコン基板表面を
所望の形に加工してエミッタとすれば、アノードとエミ
ッタとが自己整合的に位置決めされるので、フォトエッ
チング工程およびそのためのマスクが削減できる。
【0024】また、異方性ウェットエッチング法によっ
て上記アノードおよびエミッタ先端部を加工し、先鋭化
すれば、容易に結晶面を利用した鋭角のエミッタ先端が
再現性良く形成できる。そして、コレクタを有する上記
のような電界放出型電子放出素子を用いて、特性ばらつ
きのない、製造方法が容易な効率のよい真空管、整流
器、表示装置とすることができる。
【0025】
【実施例】以下、図を参照しながら、本発明の実施例に
ついて詳細に説明する。図1に本発明の実施例の電界放
出型電子放出素子103の斜視図を示す。主表面として
(100)結晶面を有する単結晶シリコン基板31の一
部表面上に酸化シリコン層34が形成され、その酸化シ
リコン層34の上に単結晶シリコン薄膜からなるアノー
ド33が載置されている。アノード33の上には、Al
からなるアノードパッド373が形成され、配線、配線
抵抗の低下、アノード33の保護等の役割を果たしてい
る。シリコン基板31の酸化シリコン層34が形成され
ていない部分には、鋭角のステップ38が形成され、そ
の端部が櫛型に加工されてエミッタ32となっている。
エミッタ32の先端部321は酸化シリコン層34で覆
われておらず、後述するように異方性エッチングにより
安定な結晶面で構成された鋭角になっている。そして、
エミッタとなるシリコン基板31の裏面にはTi/Ni
/Ag烝着された電極30が設けられている。この電子
放出素子103は,真空中でエミッタ32とアノード3
3との間に電圧を印加して、エミッタ32から電子を放
出するものである。
【0026】図2に、図1のエミッタ32の先端部32
1の拡大図を示す。エミッタ32の単結晶薄膜の結晶方
位が、主表面が(100)面で櫛歯の方向が〈0,1,
−1〉であるとすると、櫛歯の側面及び先端面は後述の
異方性ウェットエッチングによって安定な(111)面
が優先的に現され、基板表面の(100)面に交差する
三つの(111)面すなわち(1,1,1),(1,
1,−1),(1,−1,−1)面で構成される。これ
により、図2に示すように基板面に対して54.7°の
角度で三つの(111)面が交わる鋭いエッジが構成さ
れる。
【0027】上記のようにエミッタ32をシリコン基板
31から加工すると、従来用いられたW、Mo等の金属
膜より遙かに高純度の材質が得られるため、特に微細な
構造を製造する場合に、不純物による不均一化が避けら
れ、加工後の形状再現性が優れる。エミッタの材料は、
図14や図15に示したようなMoやWなどの高融点金
属に限定されるわけではなく、半導体プロセスによりマ
ッチしたシリコンも対象となる材料である。シリコンの
電子放出のし易さの目安である仕事関数は、W、Moよ
りやや小さく、電子放出材料として全く問題はない。
【0028】特に、WやMo等の高融点金属の単結晶は
非常に得るのが困難であるが、シリコンは単結晶が容易
に得られ、以前に述べたような結晶粒界による不均一が
避けられるので、金属のエミッタに比べて先端の先鋭化
が図れるとともに加工後の形状再現性が優れる。そし
て、その単結晶基板が主表面として(100)結晶面を
もつ単結晶シリコンであれば、絶縁層である酸化シリコ
ン層との良質な界面が得られる。
【0029】上記のように、シリコン基板31をエミッ
タ32として加工することにより、エミッタ32として
特別に金属膜などを形成する必要がない。そして、絶縁
層を単結晶シリコン基板を熱酸化して形成した酸化シリ
コン層とすれば、先に述べたようにシリコン薄膜と馴染
みがよいだけでなく、形成が容易にできる。構成が単結
晶シリコン薄膜、シリコン酸化膜、単結晶シリコン基板
と非常に簡単な構成になり、後述するように製造工程が
短くできる。
【0030】電子放出特性については、電子を放出する
エミッタ32の先端部321の形状が結晶面で規定され
るため、非常に再現性良く先鋭化されて、電子放出特性
が向上する。特に、電子放出特性のもっとも重要な因子
であるエミッタ32−アノード33間の距離が酸化シリ
コン層34の厚さで決まるので、特性の均一化および制
御性の点で非常にメリットが大きい。また、電子放出の
ための電界が、エミッタ32のステップ38の上のエッ
ジに集中することも、アノード33との間の電界が均一
になり、電子放出特性の均一化に効果がある。
【0031】このように、図1の構造は、電子放出の再
現性、均一性がよく、特に、上方に電子放出をする場合
の構造としては、非常にすぐれたものである。図3は、
本発明の第二の実施例の電界放出型電子放出素子104
の斜視図を示す。主表面として(100)結晶面を有す
る単結晶シリコン基板41上の一部に酸化シリコン層4
4が形成され、その酸化シリコン層44の上に単結晶シ
リコン薄膜からなるアノード43がある。アノード43
の上には、Alからなるアノードパッド473が形成さ
れている。シリコン基板41の酸化シリコン層44が形
成されていない部分には、鋭角のステップ48が形成さ
れその端部が楔型に加工されて、エミッタ42になって
いる。エミッタ42の先端部421は酸化シリコン層4
4で覆われておらず、後述するように異方性エッチング
により安定な結晶面で構成された鋭角になっている。そ
して、エミッタとなるシリコン基板41の裏面にはTi
/Ni/Ag烝着された電極40が設けられている。図
4は、図3のエミッタ42の楔状の先端部421を拡大
したものである。異方性ウェットエッチングにより、安
定な(111)面が優先的に現れるが、互いに交差する
二つの(111)面とシリコン基板の(100)面とに
より、エミッタ42の先端部421はそれぞれ54.7
°と鋭角化されている。この構造の電子放出素子104
においても、上記の第一の実施例の103と同様な利点
が得られる。
【0032】図5(a)および(b)は、本発明の第三
の実施例の電子放出素子105のエミッタ52の先端部
521の斜視図である。主表面として(111)結晶面
を有する単結晶シリコン基板51を用いて製造した電界
放出型電子放出素子105の全体の斜視図は、ほぼ図3
と同じになる。エミッタ52の先端部521は、異方性
ウェットエッチングにより、優先的に現れる(111)
面によって囲まれた形状となっている。図5(a)で
は、互いに交差する四つの(111)面により、エミッ
タの先端部521はそれぞれ56.3°の先端をもつ四
面からなるピラミッド型をしている。この時対向する面
間の角度は70.5°である。
【0033】図5(b)では、同じく互いに交差する四
つの(111)面によるが、エミッタ52の先端部52
1が幅をもち、櫛型と楔型との混合型になっている。図
6(a)は、本発明の第四の実施例の電子放出素子10
6のエミッタ62の先端部621の斜視図である。主表
面として(110)結晶面を有する単結晶シリコン基板
61を用いて製造した電界放出型電子放出素子106の
全体の斜視図は、ほぼ図3と同じになる。エミッタ62
の先端部621は、基板表面の(110)面と異方性ウ
ェットエッチングにより、優先的に現れる(111)面
によって囲まれた形状となっている。基板表面の(11
0)面と互いに交差する三つの(111)面により、エ
ミッタの先端部621はそれぞれ28.2°の先端をも
つ対向する二面と、56.3°の(111)面と70.
5°の(110)面とからなるピラミッド型をしてい
る。また、図6(b)のように櫛型と楔型との混合型に
することもできる。
【0034】図5、図6の実施例においても、前記の例
と同じ利点を有している。図7は、本発明の第五の実施
例の電界放出型電子放出素子107の斜視図である。こ
の電子放出素子107は、主表面として(100)結晶
面を有する単結晶シリコン基板71を用いて製造したも
ので、シリコン基板71の表面層の一部に、平面図上で
概形がほぼ正方形で、深さが深いほど面積が広くなるよ
うな窪み78が形成されている。窪み78の上端は内側
に向かって鋭く突き出している。そして、その正方形の
各辺は、図1のように先端が櫛型に加工されていて、エ
ミッタ72となっている。窪み78の周辺に設けられた
酸化シリコン層74の上には単結晶シリコン薄膜からな
るアノード73が載置されている。773はAlからな
るアノードパッドである。エミッタ72の形成されたシ
リコン基板71の裏面には、Ti/Ni/Ag膜が烝着
され電極70となっている。エミッタ72の先端部72
1は、異方性ウェットエッチングにより、安定な(11
1)面が優先的に現され、互いに交差する三つの(11
1)面により、図2のように54.7°と鋭角化されて
いる。このように、シリコン基板71に設けた窪み78
の周囲に環状にエミッタ72を形成することにより、上
記の実施例の利点に加えて、電子放出電流の増大が図れ
る。窪みの形状は、正方形に限られるものではなく、長
方形や或いはそれらを組み合わせた複雑な形状にもでき
る。
【0035】図7の構造を参考にすれば、図3、図5、
図6の楔型のエミッタを、結晶方位に従った多角形の窪
みの各辺に沿って環状に配列することにより、図7の実
施例と同様の電子放出素子が得られることは容易に察せ
られる。図8は、本発明の第六の実施例の電界放出型電
子放出素子108の斜視図である。この電子放出素子1
08は、主表面として(100)結晶面を有する単結晶
シリコン基板を用いて製造した図7の第六の実施例の変
形である。シリコン基板81の表面層に平面図上で正方
形の窪みを形成する代わりに、概形が円形の窪み88が
形成されている。この場合は、円周は一定方位の結晶面
をなすことは無い。従って櫛型又は楔型のエミッタを一
列に並べることはできないが、櫛型および楔型のエミッ
タ82を、櫛歯や楔の大きさも変えながら適当に配列す
ることにより、ほぼ円形の窪み88の周囲に沿って並べ
ることができる。83は、窪み88の周辺に設けられた
酸化シリコン層84の上に載置されたアノード、873
はアノードパッドである。
【0036】図9は、本発明の第七の実施例の電界放出
型電子放出素子109の斜視図を示す。主表面が(10
0)面の単結晶シリコン基板91の表面層にほぼ正方形
の窪み98が形成され、その窪み98の上端は内側に向
かって鋭く突き出している。そして、その周辺には、図
7のように先端が櫛型に加工されていて、エミッタ92
となっている。窪み98の周辺に設けられた酸化シリコ
ン層94の上には、図7の例と違って、端部がエミッタ
92と対称的に櫛型に加工された単結晶シリコン薄膜か
らなるアノード93が載置されている。973はAlか
らなるアノードパッドである。エミッタ92の形成され
たシリコン基板91の裏面には、Ti/Ni/Ag膜が
烝着され電極90となっている。エミッタ92の先端部
921およびアノード93の先端部931の櫛の先は、
酸化シリコン層94を挟んで対向しており、異方性ウェ
ットエッチングにより、ともに54.7°と鋭角化され
ている。このように、シリコン基板91とシリコン薄膜
とに対称的に櫛型を形成することにより、エミッタとア
ノードとを上下入れ換えることができて、新しい用途が
開ける。上下の櫛型が対称的であれば、櫛型形成時のマ
スクが1枚ですむが、必ずしも対称的である必要は無
い。また櫛型に限らず楔型でも或いは、他の形状でもよ
く、上記の実施例の利点も得られる。
【0037】次に、図9の電界放出型電子放出素子10
9の製造工程について説明する。図10の(a)ないし
(d)および図11の(a)ないし(d)は図9の電子
放出素子109の製造工程を説明する各工程での断面図
である。面方位(100)のシリコン基板91、酸化シ
リコン層94および面方位(100)のシリコン薄膜9
32からなるSOI(Silicon On Insulator)ウェハ
(シリコン薄膜厚さ:5μm 、酸化シリコン層厚さ:2
μm )のシリコン薄膜932上にAl膜971を1μm
、基板裏面にTi(0.3μm )/Ni(0.3μm
)/Ag(0.3μm からなる裏面電極90をそれぞ
れ電子ビーム烝着で形成する〔図10(a)〕。そのA
l膜971の上にフォトレジストを塗布し、1枚目のフ
ォトマスクを用いて露光・現像して、第一パターン96
1を形成後、そのレジストパターン961をマスクとし
てAl膜932をエッチングし、Alのアノードパッド
973、図示していないが電極に配線するためのパッド
および配線等を形成する〔同図(b)〕。その後、レジ
スト除去したのち、再度フォトレジストを塗布し、第二
のフォトマスクを用いて露光現像して、第二パターン9
62を形成する〔同図(c)〕。その第二パターン96
2をマスクとして、単結晶シリコン薄膜932をエッチ
ングする〔同図(d)〕。単結晶シリコン薄膜932の
エッチングは、三塩化ほう素と塩素を用いた反応性イオ
ンエッチング(RIE)で行い、下層の酸化シリコン層
94を露出させる。次に、引き続き酸化シリコン層94
を市販の緩衝ふっ酸を用い、エッチングしてシリコン薄
膜932が庇状になるようにする。〔図11(a)〕。
さらに、引き続き、この状態で露出した基板シリコン9
1の表面層を1μm エッチングし、窪み98を形成する
〔図11(b)〕。この場合のエッチングも三塩化ほう
素と塩素を用いた反応性イオンエッチング(RIE)で
行う。次に、再度フォトレジストを塗布し、第三のフォ
トマスクを用いて露光現像して、第三パターン963を
形成し、エミッタおよびアノードの櫛型を形成する〔同
図(c)〕。続いて、KOH水溶液で異方性エッチング
を行って(111)結晶面を出し、アノード93および
エミッタ92の先端を先鋭化する〔同図(d)〕。最後
に、エッチング終了後、レジストを除去して製造プロセ
スを完了する。
【0038】第三のフォトマスクの櫛型を楔型に変える
だけで、楔型のエミッタを持つ電子放出素子が、図1
0、11に示した製造方法で製造できる。また、図10
および図11の製造工程では、三枚のマスクを使用した
が、第二のフォトマスクとして、櫛型のパターンを使え
ば、二枚のマスクで済ますことができる。上記の製造方
法において、SOIウェハを使用し、酸化シリコン層9
4上の単結晶シリコン薄膜932、単結晶シリコン基板
91をそれぞれアノード93、エミッタ92に加工し
た。SOIウェハは、近年集積回路内の、半導体素子間
の相互干渉の防止、素子動作の高速化、耐環境化を目的
として、集積回路基板として多用されている。そのよう
な背景もあって、SOIウェハの品質も高まり、その仕
様もかなりの技術水準で得られている。例えば、SOI
ウェハのシリコン薄膜の厚さは50〜300nmでバラ
ツキが±5〜10%、絶縁層である酸化シリコン層の厚
さは1〜2μmでバラツキが±0.3μmのものが得ら
れている。
【0039】単結晶シリコン基板と単結晶シリコン薄膜
とが熱酸化膜を介して張り合わされた形のSOIウェハ
を使用すれば、良質の絶縁層とシリコン薄膜とが容易に
得られ、電子放出素子の作成プロセスが簡略化できる。
電子放出特性の均一化には、エミッタの先端部の形状と
ともに、エミッタ−アノード間距離がもっとも重要な因
子となるが、このような均一性の良いSOIウェハを用
いて、その単結晶シリコン基板からエミッタを、シリコ
ン薄膜からアノードを加工し、酸化シリコン層をエミッ
タ−アノード間のスペーサとすることによって、 (1)単結晶のため結晶面を利用してエミッタの先端の
先鋭化が図れる。 (2)エミッタの先端の形状再現性がよい。 (3)エミッタ−アノード間距離の均一性がよい。 (4)エミッタ−アノード間距離の制御が容易である。 という特長が得られ、品質の安定化に貢献する。
【0040】そして、SOIウェハのシリコン薄膜を、
先ずアノードの形に加工し、次に、そのシリコン薄膜の
形状をマスクにして酸化シリコン層をエッチング除去し
てシリコン基板表面を露出させ、更に酸化シリコン層の
形状をマスクにして、シリコン基板をエッチングし後、
シリコン基板のステップ部に櫛型などのエミッタに加工
する上記の製造方法をとれば、再現性良く安定した品質
の電界放出型電子放出素子が得られる。
【0041】また、水酸化カリウム溶液による異方性ウ
ェットエッチング法を行うことによって、もっとも稠密
な面であり安定である(111)面を現し、少なくとも
二つ以上の(111)面で構成された鋭いエッジをもつ
楔型または櫛型エミッタが形成できる。図12に本発明
にかかる電界放出型電子放出素子を用いた真空管の断面
図を示す。シリコン基板121の表面層にほぼ正方形の
窪み128が形成され、その窪み128の周辺に櫛型の
エミッタ122が形成されている。窪み128の周囲の
シリコン基板121上に、酸化シリコン層124が設け
られ、その酸化シリコン層124の上に単結晶シリコン
薄膜からなるアノード123が載置されている。そし
て、エミッタ122の設けられたシリコン基板121の
裏面にはTi/Ni/Agが烝着された電極120が設
けられ、アノード123の表面上にはAlからなるアノ
ードパッド1273が設けられている。この電子放出素
子112とこれに対向して、タングステンからなるコレ
クタ125とが、例えばガラス製の真空容器129中に
保持されている。真空は、ダイナミックな真空でも真空
封じして保ってもよい。エミッタ122、アノード12
3、コレクタ125からは、真空封止したリード線が、
真空容器129外に取り出され、それぞれ端子E、A、
Cに接続されている。この真空管は、エミッタ122と
アノード123との間に電圧を印加することにより、コ
レクタ125からその電圧に応じた電子電流を得ること
ができる。本発明になる電子放出素子を上記のように用
いれば、非常に簡単な構成の真空管が容易に製造でき
る。
【0042】図13(a)は、本発明にかかる電界放出
型電子放出素子を用いた整流素子の断面図である。図1
3(a)の点線で囲まれた部分は本発明で得られた電界
放出型電子放出素子113である。図12の真空管と同
様に、エミッタ132を形成したシリコン基板131、
酸化シリコン層134、その上のシリコン薄膜からなる
アノード133とから構成される電子放出素子113
と、それに対向した状態でWからなるコレクタ135と
が約5×10-6Paの真空容器139中に保持されてい
る。この真空管から三つの端子、、が出ている。
図12の例と違っているのは、アノード133の先端部
も櫛型に形成されていることである。この場合、アノー
ド133とエミッタ132とは、電極先端の曲率半径に
若干の差はあるものの、電極材料、形状や空間配置の点
でほぼ等価と見なせる。すなわち、今までは、シリコン
基板131側に形成された櫛型を、エミッタ132、シ
リコン薄膜に形成された櫛型をアノードと呼んできた
が、それらがほぼ等価となれば、シリコン薄膜の電圧V
iと、シリコン基板131の電圧Vjの大小関係によっ
て、アノードとエミッタが逆転することになる。すなわ
ち、Vi>Vjの場合は、シリコン基板131がエミッ
タとなり、Vi<Vjの場合は、シリコン薄膜がエミッ
タとなる。すなわち、端子−間に図13(b)に示
す波形の交流電圧を印加し、端子に正の電圧を印加す
れば、端子には図13(c)に示す電流(最大100
μA)が流れる。この点を利用すれば、整流素子ができ
る。電極形状の若干の違いから半周期毎のピーク電流に
若干の差は生じるものの、このことは、全波整流素子と
して利用できることを示している。
【0043】図12の構成の真空管において、コレクタ
のWに代えて例えば銀、銅、金などを含んだ硫化亜鉛
(ZnS)のようなカソードルミネセンスを示す材料を
置いて、表示装置にすることができる。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、単結晶シリコン基
板にステップまたは窪みを設け、結晶面を利用して鋭角
の角を持つ櫛型や楔型のエミッタとし、絶縁層を介して
アノードと対向させた電子放出素子とすることによっ
て、特に上方に電子を放出する電子放出特性の均一な電
界放出型電子放出素子が、従来提案された方法に比べ
て、少ないマスクで簡単に、かつ、ばらつきが少なく製
作できるため、低コスト化が図られる。
【0045】SOIウェハを用いて単ル結晶基板を加工
してエミッタとし、酸化シリコン層上の単結晶シリコン
薄膜をアノードとすることによって、製造工程が一層短
縮でき、特性の均一化も図れる。また、本発明にかかる
電子放出素子を用いて、新しい構成の真空管、整流素
子、表示装置などが、簡略な製造方法で安価にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施例の電子放出素子の部分斜
視図
【図2】図1の電子放出素子のエミッタ先端部の拡大図
【図3】本発明の第二の実施例の電子放出素子の部分斜
視図
【図4】図3の電子放出素子のエミッタ先端部の拡大図
【図5】(a)、(b)は本発明の第三の実施例の電子
放出素子のエミッタ先端部の拡大図
【図6】(a)、(b)は本発明の第四の実施例の電子
放出素子のエミッタ先端部の拡大図
【図7】本発明の第五の実施例の電子放出素子の部分斜
視図
【図8】本発明の第六の実施例の電子放出素子の部分斜
視図
【図9】本発明の第七の実施例の電子放出素子の部分斜
視図
【図10】図9の電子放出素子の製造工程を(a)ない
し(d)の順に示す部分断面図
【図11】図9に続く図9の電子放出素子の製造工程を
(a)ないし(d)の順に示す部分断面図
【図12】本発明にかかる真空管の断面図、
【図13】(a)は本発明にかかる整流器の断面図、
(b)は(a)の整流器の入力電圧波形図、(c)は出
力電流波形図
【図14】従来の電子放出素子の一例の部分斜視図
【図15】従来の電子放出素子の別の例の部分斜視図
【図16】図14の電子放出素子の製造工程を(a)な
いし(e)の順に示す部分断面図
【図17】図15の電子放出素子の製造工程を(a)な
いし(d)の順に示す部分断面図
【図18】図17に続く図15の電子放出素子の製造工
程を(a)ないし(c)の順に示す部分断面図
【符号の説明】
11、21、31、41、71、81、91、121、
131 シリコン基板 12、22、32、42、52、62、72、82、9
2、122、132 エミッタ 13、23、33、43、73、83、93、123、
133 アノード 14、24、34、44、74、84、94、124、
134絶縁層又は酸化シリコン層 131、 Mo膜 161、261、961 第一パターン 181 第一開口 182 第二開口 191 Al層 192 Mo層 221、321、421、521、621、721
エミッタ先端部 222 W膜 231 Nb膜 232 Al/Mo膜 241 絶縁層凸部 242 絶縁層凹部 262、962 第二パターン 263、963 第三パターン 30、40、70、80、90、120、130
電極 332、932、1332 シリコン薄膜 373、473、773、873、973、1273、
1373 アノードパッド 38、48 ステップ 78、88、98、128、138 窪み 971 Al膜 125、135 コレクタ 129、139 真空容器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H02M 7/21 Z 9472−5H (72)発明者 西澤 正人 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内 (72)発明者 清水 了典 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エミッタと、シリコン基板表面上に絶縁層
    を介して設けられたアノードとを有し、真空中でエミッ
    タ−アノード間に電圧を印加して、エミッタから電子を
    放出させるものにおいて、、エミッタがシリコン基板表
    面に設けたステップを加工してなることを特徴とする電
    界放出型電子放出素子。
  2. 【請求項2】前記シリコン基板が単結晶シリコンからな
    ることを特徴とする請求項1に記載の電界放出型電子放
    出素子。
  3. 【請求項3】前記シリコン基板が、主表面として(10
    0)結晶面を持つシリコン単結晶シリコンからなること
    を特徴とする請求項2に記載の電界放出型電子放出素
    子。
  4. 【請求項4】前記単結晶シリコンが、主表面として(1
    11)結晶面を持つシリコン単結晶シリコンからなるこ
    とを特徴とする請求項2に記載の電界放出型電子放出素
    子。
  5. 【請求項5】前記単結晶シリコンが、主表面として(1
    10)結晶面を持つシリコン単結晶シリコンからなるこ
    とを特徴とする請求項2または3に記載の電界放出型電
    子放出素子。
  6. 【請求項6】前記エミッタにおいて、電子を放出する先
    端部が、二つ以上の(111)面で構成されていること
    を特徴とする請求項3ないし5のいずれかに記載の電界
    放出型電子放出素子。
  7. 【請求項7】前記エミッタが、平面図上で櫛型をしてお
    り、その櫛型のエッジ両端に形成される二つの先端部か
    ら電子を放出することを特徴とする請求項6に記載の電
    界放出型電子放出素子。
  8. 【請求項8】前記エミッタが、平面図上で楔型をしてお
    り、その楔型の先端部から電子を放出することを特徴と
    する請求項6に記載の電界放出型電子放出素子。
  9. 【請求項9】前記絶縁層が酸化シリコンからなることを
    特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の電界放
    出型電子放出素子。
  10. 【請求項10】前記アノードが単結晶シリコンからなる
    ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の
    電界放出型電子放出素子。
  11. 【請求項11】前記ステップが環状に形成されているこ
    とを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の
    電界放出型電子放出素子。
  12. 【請求項12】前記アノードがエミッタと対称的に形成
    されていることを特徴とする請求項10または11に記
    載の電界放出型電子放出素子。
  13. 【請求項13】前記シリコン基板に対向するコレクタを
    設け、そのコレクタに電圧を印加することにより、電圧
    が形成する電位ポテンシャルに導かれて、エミッタから
    放出された電子が、コレクタに到達するようにしたこと
    を特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の電
    界放出型電子放出素子
  14. 【請求項14】単結晶シリコン基板と、単結晶シリコン
    薄膜とが熱酸化シリコン層を介して貼り合わされた形の
    SOIウェハを使用することを特徴とする請求項6ない
    し12のいずれかに記載の電界放出型電子放出素子の製
    造方法。
  15. 【請求項15】SOI基板の単結晶シリコン基板を加工
    してエミッタとし、単結晶シリコン薄膜を加工してアノ
    ードとすることを特徴とする請求項14に記載の電界放
    出型電子放出素子の製造方法。
  16. 【請求項16】表面に熱酸化膜を有する単結晶シリコン
    基板に貼り合わされた単結晶シリコン層から、先ず始め
    に櫛型を有する任意の形のアノード概形を加工し、次
    に、その結果露出した上記熱酸化膜をアノード概形をマ
    スクにしてエッチング除去することによって、該アノー
    ドと基板であるエミッタとの間に凹部を形成し、さら
    に、該アノード概形をマスクとして、該凹部の底部に露
    出した単結晶シリコン基板表面を所望の形に加工してエ
    ミッタ端部とすることを特徴とする請求項15に記載の
    電界放出型電子放出素子の製造方法。
  17. 【請求項17】上記単結晶シリコン層および単結晶シリ
    コン基板表面を上から見て櫛形状のアノードおよびエミ
    ッタを加工する際に、異方性ウェットエッチング法によ
    って上記アノードおよびエミッタ先端部を加工し、先鋭
    化することを特徴とする請求項16に記載の電界放出型
    電子放出素子の製造方法。
  18. 【請求項18】請求項1ないし13のいずれかに記載の
    電界放出型電子放出素子および対向電極が、高真空の状
    態で封止されていることを特徴とする真空管。
  19. 【請求項19】エミッタとアノード間に交流電圧を印加
    することによって、対向電極に全波整流された電流が流
    れるようにした請求項13に記載の電界放出型電子放出
    素子を用いた整流器。
  20. 【請求項20】対向電極が電子の衝突により、発光する
    複数の材料で覆われていることを特徴とする請求項18
    に記載の真空管を用いた表示装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008311083A (ja) * 2007-06-14 2008-12-25 Nara Institute Of Science & Technology 電子放出装置
KR101401572B1 (ko) * 2013-02-20 2014-06-03 경희대학교 산학협력단 전자방출의 특성이 향상된 전계방출소자 및 그 제조방법

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