JPH0887127A - 電子写真用トナー組成物及びその製造方法 - Google Patents

電子写真用トナー組成物及びその製造方法

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JPH0887127A
JPH0887127A JP6221592A JP22159294A JPH0887127A JP H0887127 A JPH0887127 A JP H0887127A JP 6221592 A JP6221592 A JP 6221592A JP 22159294 A JP22159294 A JP 22159294A JP H0887127 A JPH0887127 A JP H0887127A
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孝史 今井
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ヒートロール定着方式において、少量のフュ
ーザーオイルの使用又はフューザーオイルを使用せず
に、オフセットを防止して定着させることができ、低温
定着性に優れた電子写真用トナー組成物及びその製造方
法を提供しようとするものである。 【構成】 結着樹脂と着色剤とシリコーンオイルとシリ
コーン変性樹脂を含有することを特徴とする電子写真用
トナー組成物、及び、上記成分を芯物質とし、その周囲
に設けた外殻とからなることを特徴とする電子写真用カ
プセルトナー組成物、その製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真法、静電記録
法等において、静電潜像を現像するために用いられる電
子写真用トナー組成物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子写真法を利用した複写機やプ
リンター等は、デジタル化、カラー化について著しい進
歩を遂げている。フルカラー画像の場合、発色性を良好
にし、低温定着性を実現するために、比較的低分子量の
結着樹脂が用いられている。しかし、低分子量の結着樹
脂を用い、ヒートロール定着方式で定着すると、ヒート
ロールにトナーが付着するオフセット現象が発生し易
く,このオフセット現象を回避するために、シリコーン
オイル等のフューザオイルをヒートロールに供給する方
式が採用されている。しかし、フューザオイルを使用す
る方式は、記録媒体である紙やOHPにフューザオイル
を付着させ、手を汚し、複写物へのボールペン、鉛筆、
サインペンなどの筆記性を低下させる。
【0003】これらの欠点を解決するために、特開昭5
9─197048号公報では、結着樹脂と着色剤とを主
成分とするトナーに対し、特定のシリコーンオイルを含
有させることにより、耐オフセット性を向上させる方法
が提案された。また、特開昭63─271369号公報
では、トナー表皮の軟化点温度を高くして、内核の軟化
点を低くし、さらに、内核にシリコーンオイルを含有さ
せることにより、耐性オフセット性を向上させることが
提案された。しかし、これらの方法は、シリコーンオイ
ルと結着樹脂の相溶性が悪く、シリコーンオイルがトナ
ー表面に移行して経時的にトナーがブロッキングした
り、帯電性が変化して画像を悪化するなどの問題があ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、上
記の問題点を解消し、ヒートロール定着方式において、
少量のフューザーオイルの使用又はフューザーオイルを
使用せずに、オフセットを防止して定着させることがで
きる電子写真用カラートナー組成物を提供しようとする
ものである。
【0005】本発明の他の目的は、低い温度で定着発色
できる電子写真用トナー組成物を提供することにある。
さらにまた、経時的にトナーブロッキンクが生ぜず、帯
電性の良好な電子写真用トナー組成物を提供することに
ある。本発明のもう1つの目的は、上記の物性を備えた
電子写真用トナーの製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、次の構成を採
用することにより、上記の課題の解決を可能にした。 (1) 結着樹脂と着色剤とシリコーンオイルとシリコーン
変性樹脂を含有することを特徴とする電子写真用トナー
組成物。
【0007】(2) 結着樹脂と着色剤とシリコーンオイル
とシリコーン変性樹脂を含有する芯物質と、その周囲に
設けた外殻とからなることを特徴とする電子写真用カプ
セルトナー組成物。
【0008】(3) シリコーン変性樹脂が、ポリエステル
・シリコーン共重合体、シリコーングラフトポリエステ
ル、及び、ポリラクトン変性ポリシロキサンから選択さ
れた1以上の樹脂であることを特徴とする上記(1) 又は
(2) 記載の電子写真用トナー組成物。 (4) シリコーン変性樹脂の重量平均分子量が1000〜
100000の範囲にあることを特徴とする上記(3) 記
載の電子写真用トナー組成物。 (5) シリコーン変性樹脂がシリコーンオイルに対して、
0.1〜50重量%含有することを特徴とする上記(1)
〜(4) のいずれか1つに記載の電子写真用トナー組成
物。
【0009】(6) シリコーンオイルの沸点が150℃以
上であることを特徴とする上記(1)又は(2) 記載の電子
写真用トナー組成物。 (7) シリコーンオイルが、ジメチルシリコーンオイル、
メチルハイドロジェンシリコーンオイル、及び、メチル
フェニルシリコーンオイルから選択された1以上のもの
であることを特徴とする上記(6) 記載の電子写真用トナ
ー組成物。 (8) シリコーンオイルが結着樹脂に対して、1〜30重
量%含有することを特徴とする上記(6) 又は(7) 記載の
電子写真用トナー組成物。
【0010】(9) 外殻が、ポリウレア樹脂及び/又はポ
リウレタン樹脂、又は、エポキシウレア樹脂及び/又は
エポキシウレタン樹脂であることを特徴とする請求項2
記載の電子写真用カプセルトナー組成物。
【0011】(10)結着樹脂、着色剤、シリコーンオイル
及びシリコーン変性樹脂からなる芯物質を溶剤に溶解若
しくは分散した後、第1のカプセル殻形成単量体を添加
して混合物を形成し、該混合物を水性媒体中に分散して
油性液滴を形成し、該油性液滴に存在する溶剤を系外に
追い出すとともに、水中に存在する第2の殻形成単量体
と液滴界面で重合させ、水中に存在する第2の殻形成単
量体と液滴界面で重合させ、外殻を形成することを特徴
とする電子写真用カプセルトナー組成物の製造方法。
【0012】
【作用】ヒートロール定着方式において、少量のフュー
ザーオイルを使用し、又は、フューザーオイルを使用せ
ずに、オフセットなく定着するためには、定着時にトナ
ーからシリコーンオイルがフューザーロールに供給され
る必要がある。しかし、シリコーンオイルは結着樹脂に
対して分散性が悪いため、直接トナー中にシリコーンオ
イルを添加すると、経時的にシリコーンオイルがトナー
表面に滲み出て、帯電特性を変化させたり、トナーのブ
ロッキングを発生させたりする。
【0013】そこで、本発明では、定着時以外における
この滲み出しを防止するために、シリコーン変性樹脂を
用い、結着樹脂へのシリコーンオイルの分散性を改善
し、シリコーンオイルを均一に微分散させ、シリコーン
オイルのトナー表面への滲み出し防止を可能にした。シ
リコーン変性樹脂を用いないと、トナーへのシリコーン
オイルの分散は、直径1〜3μm程度の大きさに制約さ
れるが、シリコーン変性樹脂を用いることにより、サブ
ミクロンの直径0.9μm以下に分散させることができ
る。このような高分散を達成するためには、攪拌速度を
1000rpm以上、好ましくは5000rpm以上に
保持する必要がある。
【0014】また、カプセルトナーにおいては、結着樹
脂にシリコーン変性樹脂とシリコーンオイルを添加した
芯物質を用いることにより、芯物質中でのシリコーンオ
イルの微分散が可能になり、芯物質の表面を樹脂外殻で
完全に被覆することが可能になった。また、シリコーン
オイルがトナー表面にないため、良好な粉体流動性を保
持することができ、経時的な熱的、機械的ストレスに対
して変質しない電子写真用トナーの提供を可能にした。
【0015】本発明で使用するシリコーンオイルとして
は、常温(25℃)で液状を示すもので、ジメチルシリ
コーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイ
ル、メチルフェニルシリコーンオイル等のストレートシ
リコーンオイルや、アミノ変性シリコーンオイル、エポ
キシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコー
ンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、メタク
リル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーン
オイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、メチルス
チリル変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーン
オイル、高級脂肪酸シリコーンオイル、フッ素変性シリ
コーンオイル、高級脂肪酸含有シリコーンオイル等の変
性シリコーンオイル等を挙げることができる。上記のシ
リコーンオイルの中で、ジメチルシリコーンオイル、メ
チルハイドロジェンシリコーンオイル及びメチルフェニ
ルシリコーンオイルは、フューザーロールとの離型性が
優れているので好適である。
【0016】本発明で使用するシリコーンオイルの沸点
は、トナーのブロッキング性に影響するため、沸点が1
50℃以上、特に200℃以上のものが好ましく用いら
れる。150℃未満のものでは、トナー表面にシリコー
ンオイルが移行し易くなる。そして、シリコーンオイル
の添加量は、結着樹脂に対して1〜50重量%、好まし
くは1〜30重量%の範囲が適しており、1重量%を下
回ると、トナーの耐オフセット性が不十分となり、50
重量%を越えると、トナー強度が低下し、複写機内の熱
的、機械的ストレスによりトナーが劣化する場合があ
る。また、シリコーンオイルの粘度は、1〜106 セン
チストークス(25℃における)、好ましくは1〜10
4 センチストークス(25℃における)の範囲である。
【0017】本発明のシリコーン変性樹脂は、常温(2
5℃)において固体状のもので、シリコーンオイルを微
分散させるために用いるものであり、結着樹脂成分と相
溶性の高い樹脂部分と、シリコーンオイルと相溶性の高
い樹脂部分とで構成される。具体的には、ポリエステル
・シリコーン共重合体、シリコーングラフトポリエステ
ル、ポリラクトン変性ポリシロキサン等を挙げることが
できる。
【0018】上記のポリエステル・シリコーン共重合体
は、ポリエステル部分と、ジメチルポリシロキサン部分
を有する共重合体であって、ポリエステル部分が多価カ
ルボン酸及び/又はその誘導体と多価アルコールとの縮
重合により得られるものである。多価カルボン酸及び/
又はその誘導体としては、ナフタレンジカルボン酸、フ
タル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フ
マル酸、シトラコン酸、イタコン酸、コハク酸、アジピ
ン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のジカルボン酸;無
水フタル酸、無水マレイン酸等のジカルボン酸無水物;
テレフタル酸ジメチル、マレイン酸ジメチル、アジピン
酸ジメチル等のジカルボン酸の低級アルキルエステルな
どを挙げることができる。特に、その主成分は、フタル
酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン
酸又はその誘導体が好適である。なお、本発明のシリコ
ーン変性樹脂には、ゲル状物を生成しない程度の1,2,4-
ベンゼントリカルボン酸、2,5,7-ナフタレントリカルボ
ン酸若しくはその無水物、又は、それらの低級アルキル
エステル等を少量使用してもよい。
【0019】上記の多価アルコールとしては、エチレン
グリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオー
ル、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ジエチ
レングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレ
ングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジ
オール、ネオペンチルグリコール、2,2,4-トリメチルペ
ンタン-1,3- ジオール、水素化ビスフェノールA、2,2-
ジ(4-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2-ジ
(4-ヒドロキシプロポキシフェニル)プロパン等のジオ
ール化合物を挙げることができる。
【0020】上記のポリエステル・シリコーン共重合体
のジメチルポリシロキサン部分は、下記〔化1〕式で表
されるものが使用される。
【0021】
【化1】
【0022】式中、nは3〜100、好ましくは6〜5
0の自然数、R1 は炭素原子数1〜4の一価の炭化水素
基、Aはポリエステルとジメチルポリシロキサンを結合
する有機基を表す。nが3未満では離型性、撥水性、滑
り性が不十分となり、100を越えるとポリエステル・
シリコーン共重合体のガラス転移点が低くなったり、被
覆組成物にする場合の溶剤への溶解性が低下する。R1
は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル
基、n-ブチル基、イソブチル基、第3ブチル基等を挙げ
ることができる。
【0023】上記のポリエステル・シリコーン共重合体
の代表的な製造方法として、次の2つの方法を挙げるこ
とができる。第一の方法は、ポリエステルが有する水酸
基にイソシアネート基含有ジメチルポリシロキサンを反
応させる方法である(特開平4─36325号公報、特
開平5─43387号公報参照)。
【0024】第二の方法は、前記の多価カルボン酸及び
/又はその誘導体と多価アルコールとを縮重合させる際
に、片末端の2個のエステル結合を形成することが可能
な官能基を有する、下記〔化2〕式で表されるジメチル
ポリシロキサンを使用して共縮重合させる方法である。
【0025】
【化2】
【0026】式中、Xはエステル結合を2個形成するこ
とが可能な官能基を有する一価の有機基であり、n及び
1 は〔化1〕式と同じである。Xはその種類を問わな
いが、前記官能基としては、ジヒドロキシ基、ジカルボ
キシ基、カルボン酸無水物塩、エポキシ基等が好適であ
る。
【0027】上記のポリエステル・シリコーン共重合体
のポリエステル部分は、ゲルパーミエーションクロマト
グラフィー(GPC)におけるスチレン換算重量平均分
子量が1000〜100000の範囲、好ましくは10
00〜50000の範囲が適している。特に、1000
00を越えると、溶剤への溶解性が低下するので好まし
くない。また、ポリエステル・シリコーン共重合体のジ
メチルポリシロキサン部分の比率は3〜75重量%の範
囲が分散剤に適している。
【0028】また、シリコーングラフトポリエステル
は、幹ポリマーが多価アルコールと多価カルボン酸及び
/又はその誘導体との縮重合により得られるポリエステ
ルであり、枝ポリマーにオルガノポリシロキサンを有す
るものである。ここで、多価アルコールと多価カルボン
酸及び/又はその誘導体は、上記のポリエステル・シリ
コーン共重合体と同様のものを使用することができる。
枝ポリマーを形成するポリエステルは、GPCにおける
ポリエステル換算の重量平均分子量が2000〜100
000の範囲にあることが好ましい。上記の重量平均分
子量が2000未満では、軟化点が低くなりすぎ、10
0000を超えると、結着樹脂との相溶性が低下する。
【0029】枝ポリマーを形成するオルガノポリシロキ
サンは、合成樹脂に離型性、撥水性及び滑性を付与する
という観点から、メチルポリシロキサンが適しており、
特に、GPCにおけるポリスチレン換算の重量平均分子
量が200〜10000の範囲にあるものが好ましい。
上記の重量平均分子量が200未満では、離型性、撥水
性及び滑性を付与する効果が十分でなく、10000を
超えると、結着樹脂との相溶性が低下する。
【0030】上記のシリコーングラフトポリエステルの
代表的な製造方法としては、次の2つの方法を挙げるこ
とができる。第一の方法は、側鎖に水酸基を有するポリ
エステルポリオールに、イソシアネート基含有オルガノ
ポリシロキサンを反応させる方法である(特開平4─3
6325号公報、特開平4─293897号公報及び特
開平5─43387号公報参照)。第二の方法は、前記
の多価アルコールと多価カルボン酸及び/又はその誘導
体とを縮重合させる際に、片末端の2個のエステル結合
を形成することが可能な官能基を有する、オルガノポリ
シロキサンを使用して共縮重合させる方法である。
【0031】上記のオルガノポリシロキサンは、片末端
の2個のエステル結合を形成することが可能な官能基を
有するものであれば、その種類を問わないが、具体的に
は、ジオール、ジカルボン酸、カルボン酸無水物、エポ
キシ等が好適な官能基として挙げることができる。
【0032】シリコーングラフトポリエステルにおける
幹ポリマーを形成するポリエステル成分と枝ポリマーを
形成するオルガノシロキサン成分との比率は、シリコー
ンオイルの分散性を確保するために、重量比で97/3
〜50/50の範囲が適している。
【0033】また、ポリラクトン変性ポリシロキサン
は、下記〔化3〕式で表されるシリコーン変性樹脂であ
る。
【0034】
【化3】
【0035】式中、R2 は炭素数1〜30のアルキル
基、非置換又は置換のフェニル基、及び、非置換又は置
換のフェニル基と炭素数2又は3のアルキレン基からな
るフェニルアルキレン基から選択される同一又は異種の
基であり、R3 は2価の炭化水素基、R4 は水素原子又
は炭素数1〜10のアルキル基、アシル基であり、B及
びCは炭素数1〜4のアルキル基又は下記〔化4〕式で
表される同一又と異種の基であり、aは3〜1000の
整数、bは0〜50の整数、cは5〜500の整数であ
り、bが0のときには、B及びCの少なくとも一方が
〔化4〕式で表される基である。なお、〔化4〕式中、
3 、R4 及びcは〔化3〕式と同じである。
【0036】
【化4】
【0037】上記のポリラクトン変性ポリシロキサンの
合成方法は、特に限定されないが、活性水素基含有ポリ
シロキサンにε−カプロラクトンを開環重合させる方法
が好適である。以上のシリコーン変性樹脂は、シリコー
ンオイル100重量部に対して0.1〜50重量部の範
囲で用いるのが好適である。また、シリコーン変性樹脂
は軟化点(Tm)が40〜120℃の範囲のものが好ま
しい。
【0038】本発明で使用する結着樹脂は、シリコーン
変性樹脂との相溶性を有するものであればその種類を問
わない。具体的には、ポリエステル、ポリウレタン、ポ
リウレア、ポリスチレン、スチレン・メタクリル酸アル
キル共重合体、スチレン・アクリル酸アルキル共重合
体、スチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・
ブタジエン共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合
体、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを挙げることが
できる。また、上記の結着樹脂は単独又は混合状態のい
ずれの状態で含有されるものであってもよい。画像強
度、低温定着性、発色性等の面でポリエステル樹脂が用
いやすい。上記の結着樹脂は、重量平均分子量が300
0〜300000の範囲のものが適している。
【0039】上記のポリエステルとしては、ポリオール
成分と多価カルボン酸又はその酸無水物又は低級アルキ
ルエステルとの縮重合よりなる線状ポリエステルが適し
ている。好ましいポリオール成分としては、次の〔化
5〕式及び〔化6〕式で表されるジオールを挙げること
ができる。
【0040】
【化5】
【0041】
【化6】HO(CH2 m OH (式中、mは2〜6の整数である。)
【0042】上記〔化5〕式で表されるジオールの好ま
しい例としては、ポリオキシプロピレン(2,2)−
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポ
リオキシプロピレン(3,3)−2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン等を挙げることができる。
【0043】また、上記〔化6〕式で表されるジオール
の好ましい例としては、エチレングリコール、1,3−
プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等を挙
げることができる。上記のジオールは、単独で使用して
もよいし、混合状態で使用してもよい。
【0044】一方、多価カルボン酸の好ましい例のう
ち、2価のカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル
酸、テレフタル酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸な
どを挙げることができ、3価のカルボン酸としては、
1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナ
フタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリ
カルボン酸などを挙げることができる。これらの多価カ
ルボン酸は、単独で使用してもよいし、混合状態で使用
してもよい。
【0045】本発明で使用する着色剤は、カーボンブラ
ック、ニグロシン、アニリンブルー、カルコイルブル
ー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポン
オイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロ
リド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーン・オ
キサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピ
グメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122 、
C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロ
ー97、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・
ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3などを挙げる
ことができ、また、磁性粉も使用することができる。
【0046】次に、マイクロカプセルトナーを形成する
ための外殻形成樹脂としては、エポキシ系樹脂、ウレタ
ン系樹脂、ウレア系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチ
レン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステ
ル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、尿素・ホルムアル
デヒド系樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド系樹脂、ス
チレン・(メタ)アクリレート共重合体系樹脂、ゼラチ
ン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等を
挙げることができる。これらの樹脂の中で、縮重合系の
樹脂及び熱硬化性樹脂が好ましく、例えば、ポリウレタ
ン系樹脂、ポリウレア系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ
エステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などが好まし
く、特に、ポリウレタン、ポリウレアが好適である。こ
れらの樹脂は単独でもよいし、二種以上併用してもよ
い。
【0047】外殻を形成する方法としては、界面重合
法、相分離法、in−situ重合法、液中硬化被覆
法、コアセルベーション法等が適用可能である。これら
の方法の中でも、水と非混和性の油性相に含まれる疎水
性モノマーが水性相中に微小滴の形で分散し、この水性
相に親水性モノマーを存在させて、水性相と油性相の界
面で重合させる界面重合法が好ましい。
【0048】界面重合法は、芯物質を水性相中に乳化す
るために、芯物質は有機溶媒に溶解又は分散して水性相
中に添加される。有機溶媒としては、例えば、酢酸エチ
ル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル及びメチレンクロラ
イド等が特に好適である。一方、芯物質に乳化するため
の水性相には、予め、保護コロイドを含有させてもよ
い。保護コロイドとしては、水溶性高分子が使用でき、
公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分
子の中から適宜選択することができるが、ポリビニルア
ルコール、ゼラチン、セルロース誘導体などが特に好ま
しい。
【0049】なお、水性相及び油性相には、界面活性剤
を含有させてもよい。界面活性剤としては、アニオン性
又はノニオン性の界面活性剤の中から、上記保護コロイ
ドと作用して沈殿や凝集を起こさないものを適宜選択し
て使用することができる。好ましい界面活性剤として
は、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ラウリ
ル硫酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ジオクチルナトリ
ウム塩、ポリアルキレングリコールエーテル(例えば、
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)等を挙げ
ることができる。
【0050】外殻の形成は、有機溶媒に溶解若しくは分
散させた芯物質を水性相中に機械力で乳化した後、芯物
質の油滴の周囲に高分子物質の膜を形成してマイクロカ
プセル化して形成される。この場合、高分子物質を生成
する反応成分を油滴の内部及び/又は油滴の外部に添加
する。本発明で好適に使用されるマイクロカプセル化法
は、米国特許第3726504号明細書及び米国特許第
3796696号明細書に詳しく説明されている。
【0051】例えば、外殻としてポリウレタンを形成す
る場合には、第1成分の多価イソシアネート及びこれと
反応する第2成分(例えばポリオール)を水性相又はマ
イクロカプセル化すべき芯物質の油性相中に混合し、水
中に乳化分散した後、昇温して油滴界面で界面重合反応
を生起させて外殻を形成する。上記の第2成分を例えば
ポリアミンに置換すれば、ポリウレアが生成する。ま
た、第2成分として多価ヒドロキシ化合物及びポリアミ
ンを使用すれば、公知の重合反応でウレタンとウレアが
独立して重合した重合体、ウレタン・ウレアランダム共
重合体、そのグラフト共重合体及びブロック共重合体の
少なくとも1種が生成される。
【0052】上記の反応に使用する多価イソシアネート
及びそれと反応する多価ヒドロキシ化合物、ポリアミン
については、米国特許第3281383号明細書、米国
特許第3773695号明細書、米国特許第37932
65号明細書、特公昭48─40347号公報、特公昭
49─24159号公報、特開昭48─80191号公
報、特開昭48─84056号公報に記載のものを使用
することができる。
【0053】第1成分の多価イソシアネートとしては、
例えば、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレン
ジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,
6-トリレンジイソシアネート、ナフタレン-1,4- ジイソ
シアネート、ジフェニルメタン-4,4'-ジイソシアネー
ト、3,3'- ジメトキシ-4,4'-ジフェニルジイソシアネー
ト、3,3'- ジメチルジフェニルメタン-4,4'-ジイソシア
ネート、キシリレン-1,4- ジイソシアネート、4,4'- ジ
フェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイ
ソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロ
ピレン-1,2- ジイソシアネート、ブチレン-1,2- ジイソ
シアネート、シクロヘキシレン-1,2- ジイソシアネー
ト、シクロヘキシレン-1,4- ジイソシアネート等のジイ
ソシアネート類;4,4',4"-トリフェニルメタントリイソ
シアネート、トルエン-2,4,6- トリイソシアネート等の
トリイソシアネート類;4,4'- ジメチルジフェニルメタ
ン-2,2',5,5'- テトライソシアネート等のテトライソシ
アネート類;ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメ
チロールプロパンの付加物、2,4-トリレンジイソシアネ
ートとトリメチロールプロパンの付加物、キシリレンジ
イソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、ト
リレンジイソシアネートとヘキサントリオールの付加物
等のイソシアネートプレポリマーなどを挙げることがで
きる。
【0054】第二成分の多価ヒドロキシ化合物として
は、脂肪族多価アルコール、芳香族多価アルコール、多
価フェノール、ヒドロキシポリエステル、ヒドロキシポ
リアルキレンエーテル等が挙げられる、例えば、特開昭
60─49991号公報に記載された、下記の多価ヒド
ロキシ化合物を使用できる。
【0055】即ち、エチレングリコール、1,3-プロパン
ジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオー
ル、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,
8-オクタンジオール、プロピレンジオール、1,2-ブタン
ジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、
2,2-ジメチル-1,3- プロパンジオール、2,4-ペンタンジ
オール、2,5-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5- ペンタ
ンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,4-ジ
ヒドロキシシクロヘキサン、ジエチレングリコール、グ
リセリン、1,1,1-トリメチロールプロパン、ヘキサント
リオール、ペンタエリスリトール、グリセリンのエチレ
ンオキサイド付加物、ペンタエリスリトールのエチレン
オキサイド付加物、2-フェニルプロピレングリコール、
m-キシリレングリコール、p-キシリレングリコール、
α, α'-ジヒドロキシ-p- ジイソプロピルベンゼン等の
芳香族多価アルコール、1,3-ジ(2- ヒドロキシエトキ
シ) ベンゼン、1,4-ジ(2- ヒドロキシエトキシ) ベンゼ
ン、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビ
スフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等の多価
フェノールのアルキレンオキサイド付加物、4,4-ジヒド
ロキシジフェニルメタン、ビスフェノールA、2-(p,p'-
ジヒドロキシジフェニルメチル) ベンジルアルコール等
の多価フェノールなどが挙げられる。
【0056】第二成分のポリアミンとしては、例えば、
エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチ
レンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレ
ンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジア
ミン、ピペラジン、2-メチルピペラジン、2,5-ジメチル
ピペラジン、2-ヒドロキシトリメチレンジアミン、ジエ
チレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエ
チレンペンタミン、ジエチルアミノエチルアミノプロピ
ルアミン、エポキシ化合物のアミン付加物等を挙げるこ
とができる。なお、第二成分しとて水も使用できる。第
一成分中のイソシアネート基1モルに対し、第二成分中
の水酸基及び/又はアミノ基の割合は0.02〜2モル
で使用するこのが好ましい。
【0057】以上のようにして、マイクロカプセル状の
トナー組成物を調製した後、このトナー組成物を水相か
ら分離し、水洗した後乾燥して熱定着性トナー組成物が
製造される。この分離・乾燥のための操作は、通常マイ
クロカプセル状のトナー組成物を含有するスラリーの乾
燥方法などで行うことができる。
【0058】本発明のトナー組成物には、所望により公
知の帯電制御剤、定着助剤等の添加剤を含有させてもよ
い。また、シリカ、チタニア、アルミナ等の流動化剤や
ポリスチレン微粒子、ポリメチルメタクリレート微粒
子、ポリフッ化ビニリデン微粒子等のクリーニング助剤
等の外添剤を添加することができる。
【0059】本発明のトナー組成物は、キャリアを用い
ない一成分系現像剤であってもよく、また、キャリアを
用いる二成分系現像剤として用いてもよい。特に、二成
分系現像剤として用いるのが好ましい。キャリアを使用
する場合は、公知のキャリアであれば特に制限されるも
のではないが、鉄粉系キャリア、フェライト系キャリ
ア、表面コートフェライトキャリア、磁性粉末分散型キ
ャリアが使用できる。
【0060】
【実施例】
(ポリエステル・シリコーン共重合体の合成例)攪拌装
置、温度計、コンデンサー、エステルアダプター及び減
圧装置を備えた容量1リットルのガラス製フラスコに、
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル7
3.2g(0.3モル)、テレフタル酸ジメチル13
5.8g(0.7モル)、2,2−ジ(4−ヒドロキシ
プロポキシフェニル)プロパン206.4g(0.6モ
ル)、エチレングリコール124.0g(2.0モ
ル)、テトラブチルチタネート0.27g(0.8ミリ
モル)、下記〔化7〕式で表されるエポキシ基含有ジメ
チルポリシロキサン111.4g(0.2モル)を仕込
み、窒素通気下でマントルヒーターで加熱して、160
〜170℃で6時間脱メタノール反応を行った。その際
に、エステルアダプターで留去したメタノールは62.
1gであった。
【0061】
【化7】
【0062】次に、1時間かけて220℃まで昇温した
後、220〜240℃で20mmHgの減圧下で3時間
脱エチレングリコール反応を行った。留去したエチレン
グリコールは71.2gであった。反応が終了した後、
得られたポリマーを室温に冷却し、淡褐色で半透明な固
体386.9gを得た。GPCにおけるポリスチレン換
算の重量平均分子量は20000、DSC(示差熱分析
装置)によって求めたガラス転移点は66℃、環球法に
よる軟化点は115℃であった。また、水酸基価(JI
SK0070)は25.7mgKOH/gであった。ま
た、対応するモノマーの組成は、下記〔化8〕を示すモ
ル比からなる多価カルボン酸、及び、〔化9〕を示すモ
ル比からなる多価アルコールであった。さらに、原子吸
光分析によるジメチルポリシロキサンの定量分析を行っ
たところ、得られたポリマー中の19.9重量%がジメ
チルポリシロキサンであった。
【0063】
【化8】
【0064】
【化9】
【0065】(シリコーングラフトポリエステルの合成
例)攪拌装置、温度計、コンデンサー、エステルアダプ
ター及び減圧装置を備えた容量1リットルのガラス製フ
ラスコに、テレフタル酸ジメチル196.6g、無水フ
タル酸37.5g、2,2-ジ( 4-ヒドロキシプロポキシフ
ェニル)プロパン285.5g、エチレングリコール1
57.1g、グリセリン23.3g及びテトラブチルチ
タネート0.33gを投入し、窒素通気下でマントルヒ
ーターを用いて160〜170℃で6時間脱メタノール
反応を行った。その間、エステルアダプターで留去した
メタノールは61.3gであった。
【0066】次いで、1時間かけて220℃まで昇温し
た後、220〜240℃で20mmHgの減圧下に3時
間脱エチレングリコール反応を行った。留去したエチレ
ングリコールは120.4gであった。反応を終了した
後、得られたポリマーを室温に冷却し、淡褐色で透明な
固体のポリエステルポリオール471.4gを得た。得
られたポリエステルポリオールのGPCにおけるポリエ
ステル換算の重量平均分子量は10260で、環球法に
よる軟化点は122℃であり、DSC(示差熱分析装
置)によって求めたガラス転移点は67℃であった。ま
た、水酸基価(JIS K0070)は38.6mgK
OH/gであった。
【0067】次いで、攪拌装置、温度計及びコンデンサ
ーを備えた容量1リットルのガラス製フラスコに、前記
合成例で得たポリエステルポリオール150gおよびト
ルエン300gを投入して60℃で溶解した。次いで、
ジブチル錫ジラウレート0.17g及び下記〔化10〕
式で表されるイソシアネート基含有オルガノポリシロキ
サン17.8gを添加し、窒素通気下で70℃で5時間
反応させた。得られた反応液のIRスペクトル分析を行
ったところ、反応前に観察されたNCOに起因する22
60cm-1の吸収が消失し、メチルポリシロキサンを表
す800cm-1、1020cm-1、1094cm-1及び
1260cm-1の吸収が観察されたところから、反応に
よって得られた物質は、オルガノポリシロキサンがグラ
フトされたポリエステルであることが確認された。
【0068】
【化10】
【0069】反応液から溶媒であるトルエンをストリッ
ピングして除去したところ、淡褐色で半透明な固体のシ
リコーングラフトポリエステル151.2gを得た。得
られたシリコーングラフトポリエステルの、GPCにお
けるポリスチレン換算の重量平均分子量は11500で
あり、環球法により軟化点は97℃、DSCによるガラ
ス転移点は51℃であった。
【0070】(ポリラクトン変性ポリシロキサンの合成
例)2リットルのフラスコに、〔化11〕に示されるシ
リコーン化合物(水酸価22KOHmg/g)510g
(0.1モル)と、ε−カプロラクトン684g(6.
0モル)を秤取し、これに触媒としてのテトラブチルチ
タネート0.24gを添加した後、窒素ガスを通じなが
ら130〜140℃で10時間攪拌下で反応させたとこ
ろ、融点が54℃の下記〔化12〕で表されるポリカプ
ロラクトン変性ポリシロキサンが1170g得られた。
得られたポリラクトン変性ポリシロキサンのGPCにお
けるポリスチレン換算の重量平均分子量は12000で
あった。
【0071】
【化11】
【0072】
【化12】
【0073】〔実施例1〕線状ポリエステル樹脂(ビス
フェノールA・プロピレンオキサイド付加物/フマル酸
からなるポリエステル(Mn:4000、Mw:900
0、Tg:43℃、Tm:80℃、酸価:2.7、水酸
価:34.4)20部、銅フタロシアニン顔料20部、
及び、酢酸エチル200部を添加し、サンドミルで混合
して分散液を得た。この分散液15部に酢酸エチル20
部を添加し、上記線状ポリエステル19.35部、架橋
型ポリエステル樹脂(ビスフェノールA・エチレンオキ
サイド付加物/ビスフェノールA・プロピレンオキサイ
ド付加物/テレフタル酸/無水トリメリット酸/ドデセ
ニルコハク酸からなるポリエステル(Mn:5600、
Mw:9400、Tg:60℃、Tm:115℃、酸
価:10、水酸価:20)9部、ジメチルシリコーンオ
イル(25℃における粘度:100cSt)1.5部、
及び、上記(ポリエステル・シリコーン共重合体の合成
例)で得た共重合体0.15部を加えて溶解混合した。
さらに、ミキサーで回転速度15000rpmで1分間
攪拌してシリコーンオイルの微分散操作を行った。そし
て、外殻材として、シリルイソシアネート(松本交商社
製、SI310)0.9部、及び、キシリレンジイソシ
アネートを3モルとトリメチロールプロパンを1モルか
らなる付加物(武田薬品工業社製、タケネートD110
N)3部を混合して油性相を調整した。
【0074】次いで、カルボキシメチルセルロース(重
合度:900)の2重量%水溶液120部に、前記油性
相60部をミキサーで混合し、平均粒子サイズ5μmの
水中油型エマルジョンを形成した。このエマルジョンに
0.4重量%のn−プロピルアミン水250部を添加
し、40℃の恒温槽で3時間攪拌しながら界面重合反応
を行うと同時に酢酸エチル脱溶媒を行った。なお、n−
プロピルアミン水は外殻の壁厚制御のために用いた。得
られた界面重合粒子から遠心分離機により水性相を除去
し、その後、洗浄水を加えて攪拌しながらカプセル粒子
を再分散させた。この洗浄操作を6回行った後、凍結乾
燥して粉体状のカプセル粒子を得た。この粉体状のカプ
セル粒子100部に対し、疎水性酸化チタン(日本アエ
ロジル社製、T805)2部を添加し、混合してカプセ
ルトナーを調製した。
【0075】このカプセルトナーを複写機(富士ゼロッ
クス社製、Aカラー)にセットし、フューザーオイルの
供給を止め、実質的にフューザーオイルのない状態で複
写を行ったところ、オフセットの発生はなく、良好な画
像が得られた。また、OHPフィルムに同様に画像を複
写したところ、良好な透明性を有しており、発色も良好
であった。上記の複写試験において、定着開始温度を調
べたところ、130℃であり、低い温度でも定着できる
ことが分かった。さらに、1万枚の複写テストを実施し
たところ、画像劣化もなく、安定した画像が得られた。
【0076】〔実施例2〕実施例1において、(ポリエ
ステル・シリコーン共重合体の合成例)で得た共重合体
の代わりに、(シリコーングラフトポリエステルの合成
例)で得たシリコーングラフトポリエステルを用いた以
外は実施例1と同様にしてカプセルトナーを作成し、実
施例1と同様に評価したところ、オフセットの発生はな
く、良好な画像が得られた。また、OHPフィルムに同
様に画像を複写したところ、良好な透明性を有してお
り、発色も良好であった。上記の複写試験において、定
着開始温度を調べたところ、130℃であり、低い温度
でも定着できることが分かった。さらに、1万枚の複写
テストを実施したところ、画像劣化もなく、安定した画
像が得られた。
【0077】〔実施例3〕実施例1において、(ポリエ
ステル・シリコーン共重合体の合成例)で得た共重合体
の代わりに、(ポリラクトン変性ポリシロキサンの合成
例)で得たポリラクトン変性ポリシロキサンを用いた以
外は実施例1と同様にしてカプセルトナーを作成し、実
施例1と同様に評価したところ、オフセットの発生はな
く、良好な画像が得られた。また、OHPフィルムに同
様に画像を複写したところ、良好な透明性を有してお
り、発色も良好であった。上記の複写試験において、定
着開始温度を調べたところ、130℃であり、低い温度
でも定着できることが分かった。さらに、1万枚の複写
テストを実施したところ、画像劣化もなく、安定した画
像が得られた。
【0078】〔比較例1〕実施例1において、(ポリエ
ステル・シリコーン共重合体の合成例)で得た共重合体
を省略した以外は実施例1と同様にしてカプセルトナー
を作成した。このカプセルトナーを電子顕微鏡で観察し
たところ、トナー表面に穴が開いており、シリコーンオ
イルがトナー外に流出していることが分かった。また、
このカプセルトナーを上記の複写機にセットして複写テ
ストを行ったが、シリコーンオイル流出のために、画像
は全く得られなかった。
【0079】〔実施例4〕実施例4及び実施例3で用い
た結着樹脂(線状若しくは架橋型のポリエステル)の代
わりに、スチレン−n−ブチルアクリレート共重合体
(共重合の重量比80:20、Mn:6000、Mw:
21000、Tg:49.1℃)を用いた以外、全て実
施例3と同様にしてカプセルトナーを作成した。得られ
たカプセルトナーのシリコーンオイルへの分散性をTE
Mで調べたところ、直径約0.5μmと良好であり、4
5℃、50%RHの環境で24時間保存してトナーブロ
ッキング性を調べたところ、ブロッキングの発生は認め
られず、極めて良好な状態を保持していた。
【0080】このカプセルトナーを複写機(富士ゼロッ
クス社製、Aカラー)にセットし、フューザーオイルの
供給を止め、実質的にフューザーオイルのない状態で1
30〜200℃で複写を行ったところ、オフセットの発
生はなく、良好な画像が得られた。また、OHPフィル
ムに同様に画像を複写したところ、良好な透明性を有し
ており、発色も良好であった。上記の複写試験におい
て、定着開始温度を調べたところ、130℃であり、低
い温度でも定着できることが分かった。さらに、1万枚
の複写テストを実施したところ、画像劣化もなく、安定
した画像が得られた。
【0081】〔実施例5〕線状ポリエステル樹脂(ビス
フェノールA・プロピレンオキサイド付加物/フマル酸
からなるポリエステル(Mn:5000、Mw:100
00、Tg:51℃、Tm:100℃、酸価:3、水酸
価:30)70部、架橋ポリエステル樹脂(ビスフェノ
ールAエチレンオキサイド付加物/ビスフェノールAプ
ロピレンオキサイド付加物/テレフタル酸/無水トリメ
リット酸/ドデセニルコハク酸からなり、Tg:60
℃、Tm:115℃、酸価:10、水酸価:20)30
部、ジメチルシリコーンオイル(信越シリコーン社製、
KF96−1000)6部、及び、実施例3で用いたポ
リラクトン変性ポリシロキサン0.12部を混合し、ニ
ーダで混練した後、粉砕分級して平均粒径が7μmのト
ナーを作成した。
【0082】実施例1と同様に評価した。結果は下記の
とおりである。 オイル分散性: 平均直径0.4μm(TEM
観察より) 耐オフセット性: フューザーオイル無しで20
0℃まで良好であった。 トナーブロッキング性: 45℃、50%RHで24時
間トナーブロッキングは生じなかった。 低温定着性: 150℃で定着可能
【0083】
【発明の効果】本発明は、上記の構成を採用し、シリコ
ーン変性樹脂を配合することにより、トナー中にシリコ
ーンオイルを微分散させることができ、トナー表面にシ
リコーンオイルの滲み出しを防止することができ、その
結果、耐オフセット性を向上させることができる。これ
らをカプセルトナーに適用することにより、芯物質中の
シリコーンオイルのブリードを防止することができ、耐
ブロッキング性を改善することができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01J 13/14 G03G 9/087 9342−4D B01J 13/02 B G03G 9/08 384

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結着樹脂と着色剤とシリコーンオイルと
    シリコーン変性樹脂を含有することを特徴とする電子写
    真用トナー組成物。
  2. 【請求項2】 結着樹脂と着色剤とシリコーンオイルと
    シリコーン変性樹脂を含有する芯物質と、その周囲に設
    けた外殻とからなることを特徴とする電子写真用カプセ
    ルトナー組成物。
  3. 【請求項3】 シリコーン変性樹脂が、ポリエステル・
    シリコーン共重合体、シリコーングラフトポリエステ
    ル、及び、ポリラクトン変性ポリシロキサンから選択さ
    れた1以上の樹脂であることを特徴とする請求項1又は
    2記載の電子写真用トナー組成物。
  4. 【請求項4】 シリコーン変性樹脂の重量平均分子量
    が、1000〜100000の範囲にあることを特徴と
    する請求項3記載の電子写真用トナー組成物。
  5. 【請求項5】 シリコーン変性樹脂がシリコーンオイル
    に対して、0.1〜50重量%含有することを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真用トナ
    ー組成物。
  6. 【請求項6】 シリコーンオイルの沸点が150℃以上
    であることを特徴とする請求項1又は2記載の電子写真
    用トナー組成物。
  7. 【請求項7】 シリコーンオイルが、ジメチルシリコー
    ンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、及
    び、メチルフェニルシリコーンオイルから選択された1
    以上のものであることを特徴とする請求項6記載の電子
    写真用トナー組成物。
  8. 【請求項8】 シリコーンオイルが結着樹脂に対して、
    1〜30重量%含有することを特徴とする請求項6又は
    7記載の電子写真用トナー組成物。
  9. 【請求項9】 外殻が、ポリウレア樹脂及び/又はポリ
    ウレタン樹脂、又は、エポキシウレア樹脂及び/又はエ
    ポキシウレタン樹脂であることを特徴とする請求項2記
    載の電子写真用カプセルトナー組成物。
  10. 【請求項10】 結着樹脂、着色剤、シリコーンオイル
    及びシリコーン変性樹脂からなる芯物質を溶剤に溶解若
    しくは分散した後、第1のカプセル殻形成単量体を添加
    して混合物を形成し、該混合物を水性媒体中に分散して
    油性液滴を形成し、該油性液滴に存在する溶剤を系外に
    追い出すとともに、水中に存在する第2の殻形成単量体
    と液滴界面で重合させ、水中に存在する第2の殻形成単
    量体と液滴界面で重合させ、外殻を形成することを特徴
    とする電子写真用カプセルトナー組成物の製造方法。
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