JPH08858Y2 - 両軸受リール - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、両軸受リールに関し、詳しくは、左右のサ
イドケースの間にスプール、及び、このスプールを自由
転動状態に設定する操作具を配置して成る両軸受リール
に関するものである。

〔従来の技術〕

従来、上記の如く構成されたリールとしては、実開昭
61−204479号公報に示されるものが存在し、この引例で
は、操作具をスプール軸の軸芯を中心にした所定の軌跡
で作動させる為に、操作具の右側一端に、右側サイドケ
ースの内側壁体に形成したスプール挿通孔の内面に接す
るリング体を一体的に取り付けていた。尚、操作具の左
右両端においては、ビスで壁体の内面に接触する部材が
取り付けてある。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記構成においては、操作具に左右壁体の内面に接触
する部材が取り付けられているので、この点で操作具を
横振れなく操作することができるのであるが、操作具の
操作軌跡をリング体で設定しているので、リング体が操
作具の左右一端に取り付けられている点と、リング体が
操作具の前面よりも更に前方に突出する離れた状態で設
けてある為に、長期に亘る使用においては、リング体の
スプール挿通孔の内面との接触部に局部的な応力が作用
して、リング体か或いはその挿通孔の縁にダレが生じ易
く、操作具が操作途中で前後方向にガタツキ易くなる欠
点があった。

本考案の目的は、長期使用した場合でも、その姿勢を
安定化させた状態で円滑に操作具の操作を行わせる釣り
用リールを合理的に構成する点にある。

〔課題を解決するための手段〕

本考案による特徴構成は、左右のサイドケースの間に
釣り糸を巻き付けるスプール、及び、スプールを自由転
動状態に設定する操作具を配置すると共に、前記操作具
の左右端部に、左右のサイドケースに属する内側の壁体
の、サイドケース内部側の面に接し、かつ、前記壁体の
後面とこの後面に対向するサイドケースの外壁材内面に
接する保持部を形成してある点にあり、その作用、及
び、効果は次の通りである。

〔作用〕

操作具は、左右壁体のサイドケース内部側の面によっ
て左右方向でのガタツキを規制された状態で案内され、
かつ、前記壁体の後面とこの後面に対向するサイドケー
スの外壁材内面によって、前後方向でのガタツキを規制
された状態で案内される。

〔考案の効果〕

従って、操作具はガタツキを生じることなく、操作移
動する。しかも、操作具の操作軌跡を決定する案内面
が、手指での押し込み操作を受ける操作具自体であるの
で、従来構成のように、操作具とは別に形成されたもの
（例えばリング体）で案内面を形成するものに比べて、
操作具自体の案内作用をガタツキなく長期に亘って行わ
せ得ることができる。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基いて説明する。

第１図乃至第４図に示すように、釣り竿（図示せず）
に取付けて使用する状態において、レベルワインド機構
（Ａ）、スプール（２）、指受け部材としてのサムレス
ト（３）夫々を、左右のサイドケース（４），（５）に
挾み込まれる状態で前部、中央部、後部夫々の位置に配
置すると共に、サムレスト（３）の更に後部位置に対し
て、下方への押し操作によってスプール（２）を自由回
転状態に設定する操作具（６）を備え、右側のサイドケ
ース（５）の外側部に巻き上げ用のハンドル（７）、及
び、星状のドラグ調節具（８）夫々を備えて両軸受リー
ルが構成されている。

第３図に示すように前記左右のサイドケース（４），
（５）は夫々とも、壁体としての板状のサイドプレート
（4a），（5a）と、このサイドプレート（4a），（5a）
の外側を覆う外壁材（4b），（5b）とで成り、右側のサ
イドプレート（5a）と外壁材（5b）との間の空間には、
前記ハンドル（７）と連結する回転軸（９）を貫通させ
てある。

又、この回転軸（９）の外端側に形成されたネジ部
（9a）に対しては前記ドラグ調節具（８）を螺合させて
あり、更に、この回転軸（９）の内端側にはドラグ機構
（Ｂ）、ラチェットホイール（10）、及び、前記レベル
ワインド機構（Ａ）に動力を伝える連動ギヤ（11）夫々
を備えている。

前記レベルワインド機構（Ａ）は、螺軸（12）の回転
作動によりガイド杆（13）に沿って糸ガイド部材（14）
を往復作動させるよう構成して成り、このレベルワイン
ド機構（Ａ）の螺軸（12）の端部に設けたギヤ（15）に
対し、中間ギヤ（16）を介して前記連動ギヤ（11）から
の動力を伝えるよう伝動系が構成されている。

前記ラチェットホイール（10）は、その外周に対し
て、半径方向に突出する歯体（10a）を多数備えて成
り、このラチェットホイール（10）の近傍に歯体（10
a）‥と係合する方向に付勢された爪体（17）を設ける
ことで、このラチェットホイール（10）は回転軸（９）
の逆転を阻止するよう機能する。

前記回転軸（９）には外周に出力ギヤ（18a）を備え
た遊転ディスク（18）が支承され、前記ドラグ機構
（Ｂ）は、この遊転ディスク（18）を挾み込む位置に配
置され、かつ、回転軸（９）にトルク伝動可能に外嵌す
るフリクションプレート（19），（19）で成り、前記ド
ラグ調節具（８）の回動操作による圧接力の調節で摩擦
力を調節できるよう構成されている。

又、前記スプール（２）には、該スプール（２）と一
体回転するスプール軸（20）を有し、このスプール軸
（20）の中間位置には係合部（20a）を形成してあり、
更に、このスプール軸（20）には係合部（20a）と係脱
可能なスライド部材（21）を遊転支持してあり、このス
ライド部材（21）に形成した入力ギヤ（21a）と、前記
遊転ディスク（18）の出力ギヤ（18a）とを咬合させて
あることから、スライド部材（21）を係合部（20a）と
係合させた状態で、前記ハンドル（７）を回動操作した
場合にはスプール（２）を回転させてスプール（２）に
対して釣り糸を巻き込むようになっている。

因みに、レベルワインド機構（Ａ）は、この巻き込み
が行われる際にスプール（２）に対する糸の巻き込み量
を左右方向で均等化し、又、ラチェットホイール（10）
はハンドル（７）の逆方向への操作を阻止することにな
る。

又、前記スライド部材（21）と係合部（20a）とを併
せてクラッチ機構（Ｃ）と称し、釣り糸の投出を行う際
には、このスライド部材（21）を第７図に示す位置、つ
まり、クラッチ機構（Ｃ）を切る位置にセットした後、
釣り竿を振ることで、スプール（２）から釣り糸の張力
によって自由回転する結果、糸が曳き出されるのであ
る。

又、このリールでは、スプール（２）の自由回転状態
への設定、つまり、クラッチ（Ｃ）の切り操作を前記操
作具（６）の押し下げ操作によって行うよう構成してあ
る。

即ち、操作具（６）は前記左右のサイドプレート（4
a），（5a）に上下動自在に支持され、この押圧ノブ
（６）の側端にはピン（22）が突設され、又、前記スプ
ール軸（20）の軸芯と同軸芯周りで回動可能に支持され
たリング状カム（23）のアーム（23a）と、この操作具
（６）のピン（22）とが中間部材（24）を介して連係さ
れ、前記スライド部材（21）には、スプール軸（20）と
平行姿勢で、かつ、スプール軸（20）に対して略上下の
位置に配置された軸（25），（25）に沿って移動可能な
シフタ（26）を係合させ、リング状カム（23）のアーム
部（23b）に揺動片（27）を枢支し、このアーム部（23
b）の姿勢に基いて揺動片（27）を、前記ラチェットホ
イール（10）の歯体（10a）‥に係合させる姿勢と、離
間させる姿勢とに切換えるトッグルバネ（28）を備え、
更に、リング状カム（23）にクラッチ機構（Ｃ）を切り
状態と入り状態とのいずれかに保持するトッグルバネ
（29）を作用させることで、操作具（６）を下方に向け
て操作した際には、スプール（２）が自由回転状態に設
定されるようになっている。

又、前記中間部材（24）は、第１図及び第２図に示す
ように操作具（６）の操作時に、スプール軸（20）の軸
芯（Ｐ）から偏位する軸芯を中心とする円弧軌跡上を案
内移動されるよう、部材そのものが円弧状に成形される
と共に、円弧状の案内部材（30）に接触させてある。

尚、この中間部材（24）の一方の端部はリング状カム
（23）のアーム（23a）に突設したピン（31）に係合さ
せてあり、又、他方の端部は操作具（６）に突設したピ
ン（22）と接当させてある。

そして、このリールでは、操作具（６）を下方の操作
端に設定し状態で前記ハンドル（７）を回動することに
より、前記揺動片（27）が歯体（10a）の回動力によっ
て押し戻され、クラッチを伝動状態に設定する位置ま
で、操作具（６）を復帰させるようになっている。

尚、図中に番号（32）に示したものは遠心ブレーキで
あり、糸の放出に伴うスプールのバックラッシュを防止
する機能を有している。

更に、第５図及び第６図に示すように、このリールで
は操作具（６）は操作軌跡が左右のサイドケース（4
a），（4b）と平行した姿勢で、かつ、上下方向に向か
う姿勢となるよう、その両端部夫々を左右のサイドプレ
ート（4a），（5a）に形成された矩形の案内孔（１），
（１）に挿通させてあり、又、この操作具（６）の両端
部には前方、及び、上下夫々の方向にフランジ状に張出
す保持部（6A），（6A）を形成してあり、この保持部
（6A），（6A）は左右のサイドプレート（4a），（5a）
のサイドケース内部側の面（4s），（5s）を挟み込む状
態で接し、かつ、サイドプレート（4a），（5a）の後面
とこの後面に対向するサイドケース（６）の外壁材（4
b），（5b）内面に接することで、操作具（６）の操作
時の姿勢の安定化を図るようになっている。

〔別実施例〕

本考案は、上記実施例以外に例えば、第７図乃至第９
図に示すように、サイドプレート（4a），（5a）の後部
に縦長姿勢の溝部（Ｇ），（Ｇ）を形成し、この溝部
（Ｇ），（Ｇ）に対して操作具（６）の保持部（6A），
（6A）の突出部を係入させることで、操作具（６）の姿
勢の安定化を一層向上させるよう実施することが可能で
あり、又、保持部（6A），（6A）の形状を同図に示す如
く、操作具（６）から前方にのみ突出するよう設定する
等、保持部（6A），（6A）をフランジ状に形成せずに実
施することも可能である。

又、本考案は、操作具の操作軌跡を、左右の壁体と平
行する姿勢で、かつ、操作時に前後方向に変位させ、例
えば、側面視における動作が円弧状になるよう実施する
ことも可能であり、又、スプールを自由転動状態に設定
するクラッチの構造、及び、この操作具とクラッチとの
連係構造も様々に実施できる。

尚、実用新案登録請求の範囲の項に図面との対照を便
利にする為に符号を記すが、該記入により本考案は添付
図面の構造に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る両軸受リールの実施例を示し、第１
図は該リールの横断平面図、第２図はクラッチを切り操
作した状態での部分断面図、第３図はクラッチ入り状態
での操作系の側面図、第４図はクラッチ切り状態での操
作系の側面図、第５図は操作具の斜視図、第６図は案内
孔の形状等を表す斜視図であり、第７図は別実施例にお
けるリールの断面図、第８図は別実施例における操作具
の斜視図、第９図は別実施例における案内孔の形状等を
表す斜視図である。 （２）……スプール、（４），（５）……サイドケー
ス、（4a），（5a）……壁体、（4b），（5b）……外壁
材、（4s），（5s）……面、（６）……操作具、（6A）
……保持部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】左右のサイドケース（４），（５）の間に
   釣り糸を巻き付けるスプール（２）、及び、スプール
   （２）を自由転動状態に設定する操作具（６）を配置す
   ると共に、前記操作具（６）の左右端部に、左右のサイ
   ドケース（４），（５）に属する内側の壁体（4a），
   （5a）の、サイドケース内部側の面（4s），（5s）に接
   し、かつ、前記壁体（4a），（5a）の後面とこの後面に
   対向するサイドケース（４），（５）の外壁材（4b），
   （5b）内面に接する保持部（6A）を形成してある両軸受
   リール。