JPH0885766A - 陶磁器用顔料およびその製造方法 - Google Patents
陶磁器用顔料およびその製造方法Info
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- JPH0885766A JPH0885766A JP25990894A JP25990894A JPH0885766A JP H0885766 A JPH0885766 A JP H0885766A JP 25990894 A JP25990894 A JP 25990894A JP 25990894 A JP25990894 A JP 25990894A JP H0885766 A JPH0885766 A JP H0885766A
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- alkoxide
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- inorganic pigment
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 無鉛フリット中においても安定に鮮やかな発
色をし、食酢、コーヒー、ジュース等への有害重金属の
溶出の少ない、優れた化学的耐久性を持つ陶磁器用顔料
およびその製造方法を提供する。 【構成】 部分加水分解したケイ素アルコキシドと安定
剤を加えたジルコニウムアルコキシドの混合溶液から、
無機顔料を含む前駆体溶液を調製し、これを無極性溶媒
中に分散することにより、SiO2およびZrO2から
構成される球状の透明ガラス体に内包された陶磁器用顔
料を製造する。
色をし、食酢、コーヒー、ジュース等への有害重金属の
溶出の少ない、優れた化学的耐久性を持つ陶磁器用顔料
およびその製造方法を提供する。 【構成】 部分加水分解したケイ素アルコキシドと安定
剤を加えたジルコニウムアルコキシドの混合溶液から、
無機顔料を含む前駆体溶液を調製し、これを無極性溶媒
中に分散することにより、SiO2およびZrO2から
構成される球状の透明ガラス体に内包された陶磁器用顔
料を製造する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、安定に鮮明な発色を
し、優れた化学的耐久性を持つ陶磁器用顔料およびその
製造法に関するものである。
し、優れた化学的耐久性を持つ陶磁器用顔料およびその
製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、陶磁器用顔料は、食卓用・厨
房用陶磁器、陶磁器製置物等に美的外観を付与する目的
で使用される上絵具、色釉等の着色成分として配合され
る酸化物、複合酸化物、ケイ酸塩等の無機物である。ま
た、こうした陶磁器用顔料は金属酸化物、金属塩、アル
カリ塩等を混合したものを焼成し、その後粉砕すること
により製造されている。
房用陶磁器、陶磁器製置物等に美的外観を付与する目的
で使用される上絵具、色釉等の着色成分として配合され
る酸化物、複合酸化物、ケイ酸塩等の無機物である。ま
た、こうした陶磁器用顔料は金属酸化物、金属塩、アル
カリ塩等を混合したものを焼成し、その後粉砕すること
により製造されている。
【0003】上絵具、色釉は10〜30重量%の陶磁器
用顔料をフリットと呼ばれる微粉砕されたガラスに物理
的に混合したものてある。上絵具は、転写紙、スタンプ
印刷、手書き等の手法により、また色釉は浸せきやスプ
レー掛け等の手法により陶磁器に付着される。これら
は、絵付け焼成または釉焼成することにより、フリット
が溶融して陶磁器表面に固着し、陶磁器用顔料が発色す
ることにより装飾が行われる。
用顔料をフリットと呼ばれる微粉砕されたガラスに物理
的に混合したものてある。上絵具は、転写紙、スタンプ
印刷、手書き等の手法により、また色釉は浸せきやスプ
レー掛け等の手法により陶磁器に付着される。これら
は、絵付け焼成または釉焼成することにより、フリット
が溶融して陶磁器表面に固着し、陶磁器用顔料が発色す
ることにより装飾が行われる。
【0004】陶磁器用顔料が鮮明な発色をするために
は、顔料に適した構成成分のフリットが必要である。従
来、屈折率が大きく、光沢度の高い皮膜を形成するほ
か、焼成中に顔料と反応せず顔料を変色させないため、
PbOを含んだ有鉛フリットが使用されてきた。
は、顔料に適した構成成分のフリットが必要である。従
来、屈折率が大きく、光沢度の高い皮膜を形成するほ
か、焼成中に顔料と反応せず顔料を変色させないため、
PbOを含んだ有鉛フリットが使用されてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、近年、鉛が人
体の健康に与える悪影響および環境汚染が大きな問題と
なり、有鉛フリットを使うことは困難となってきた。鉛
を含まない無鉛フリットの研究も進み、市販されている
ものもあるが、陶磁器用顔料の中には無鉛フリットと反
応を起こすことにより色が消えたり、薄くなったりする
ものや本来の発色をせず変色するものがある。
体の健康に与える悪影響および環境汚染が大きな問題と
なり、有鉛フリットを使うことは困難となってきた。鉛
を含まない無鉛フリットの研究も進み、市販されている
ものもあるが、陶磁器用顔料の中には無鉛フリットと反
応を起こすことにより色が消えたり、薄くなったりする
ものや本来の発色をせず変色するものがある。
【0006】また、陶磁器用顔料のなかには人体の健康
に悪影響を及ぼすCd、Cr、Pb等の有害な重金属を
含有しているものもあるが、これらは陶磁器に入れた食
酢、コーヒー、ジュース類の中に溶け出してくる問題が
ある。とりわけ無鉛フリットを用いた場合には、重金属
の溶出量は大きくなる傾向がある。
に悪影響を及ぼすCd、Cr、Pb等の有害な重金属を
含有しているものもあるが、これらは陶磁器に入れた食
酢、コーヒー、ジュース類の中に溶け出してくる問題が
ある。とりわけ無鉛フリットを用いた場合には、重金属
の溶出量は大きくなる傾向がある。
【0007】前記した問題の対策としては、陶磁器用顔
料自体の改良より、陶磁器製品の製造工程の改良が行わ
れている。
料自体の改良より、陶磁器製品の製造工程の改良が行わ
れている。
【0008】たとえば、上絵具における陶磁器用顔料の
変色に対する対策としては、有鉛フリットを使用して着
色した部分をさらに無鉛フリットでカバーするマスキン
グという方法がとられている。しかし、マスキングは製
造工程を増やし、エネルギー消費も多くなる等の問題が
ある。
変色に対する対策としては、有鉛フリットを使用して着
色した部分をさらに無鉛フリットでカバーするマスキン
グという方法がとられている。しかし、マスキングは製
造工程を増やし、エネルギー消費も多くなる等の問題が
ある。
【0009】また、上絵具、色釉の陶磁器用顔料から重
金属が溶出する問題に対しては、重金属の溶出量を減ら
す有効な方法は知られていないため、Cd、Cr、Pb
等有害な重金属の使用を避ける方法がとられているが、
色数が少なくなるため美的外観を付与する上で大きな制
約となっている。
金属が溶出する問題に対しては、重金属の溶出量を減ら
す有効な方法は知られていないため、Cd、Cr、Pb
等有害な重金属の使用を避ける方法がとられているが、
色数が少なくなるため美的外観を付与する上で大きな制
約となっている。
【0010】本発明は、無鉛フリットに対しても色が消
えたり、薄くなったり、変色したりせずに鮮明な発色を
し、また食酢、コーヒー、ジュース類への顔料成分の溶
出のない優れた化学的耐久性を持つ陶磁器用顔料および
その製造方法の提供を目的とする。
えたり、薄くなったり、変色したりせずに鮮明な発色を
し、また食酢、コーヒー、ジュース類への顔料成分の溶
出のない優れた化学的耐久性を持つ陶磁器用顔料および
その製造方法の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の問題点を解決する
ため、本発明ではSiO250〜90モル%とZrO2
50〜10モル%とからなる球状の透明ガラス体中に無
機顔料を内包させる。そして、本発明に係わる球状の透
明ガラス体中に無機顔料が内包された陶磁器用顔料の製
造方法は、下記の各工程を有することを特徴とするもの
である。 (イ)水を溶解することができ、かつ無極性有機溶媒と
均一に混合しない溶媒中でケイ素アルコキシドを部分的
に加水分解し、部分加水分解ケイ素アルコキシドを調製
する第1の工程。 (ロ)第1の工程の前又は後に行われ、ポリアルキレン
グリコール、カルボン酸のうちから選ばれた少くとも1
種およびアセチルアセトンから構成される安定剤を添加
し、安定化したジルコニウムアルコキシドを調製する第
2の工程。 (ハ)部分加水分解ケイ素アルコキシドを安定化したジ
ルコニウムアルコキシドに添加し、アルコキシド混合溶
液を調製する第3の工程。 (ニ)アルコキシド混合溶液に水および無機顔料を加
え、無機顔料を含有した前駆体溶液を調製する第4の工
程。 (ホ)非イオン性界面活性剤を添加した無極性有機溶媒
中に、無機顔料を含有した前駆体溶液を分散し、球状ゲ
ル体を得る第5の工程。 (ヘ)球状ゲル体を加熱処理する第6の工程。 ならびに、ケイ素アルコキシド1モルに対し0.5モル
以上1モル以下の水により部分に加水分解を行う上述し
た陶磁器用顔料の製造方法、さらに、非イオン性界面活
性剤を添加した無極性有機溶媒に、水が分散されている
上述した陶磁器用顔料の製造方法をそれぞれ提供するも
のである。
ため、本発明ではSiO250〜90モル%とZrO2
50〜10モル%とからなる球状の透明ガラス体中に無
機顔料を内包させる。そして、本発明に係わる球状の透
明ガラス体中に無機顔料が内包された陶磁器用顔料の製
造方法は、下記の各工程を有することを特徴とするもの
である。 (イ)水を溶解することができ、かつ無極性有機溶媒と
均一に混合しない溶媒中でケイ素アルコキシドを部分的
に加水分解し、部分加水分解ケイ素アルコキシドを調製
する第1の工程。 (ロ)第1の工程の前又は後に行われ、ポリアルキレン
グリコール、カルボン酸のうちから選ばれた少くとも1
種およびアセチルアセトンから構成される安定剤を添加
し、安定化したジルコニウムアルコキシドを調製する第
2の工程。 (ハ)部分加水分解ケイ素アルコキシドを安定化したジ
ルコニウムアルコキシドに添加し、アルコキシド混合溶
液を調製する第3の工程。 (ニ)アルコキシド混合溶液に水および無機顔料を加
え、無機顔料を含有した前駆体溶液を調製する第4の工
程。 (ホ)非イオン性界面活性剤を添加した無極性有機溶媒
中に、無機顔料を含有した前駆体溶液を分散し、球状ゲ
ル体を得る第5の工程。 (ヘ)球状ゲル体を加熱処理する第6の工程。 ならびに、ケイ素アルコキシド1モルに対し0.5モル
以上1モル以下の水により部分に加水分解を行う上述し
た陶磁器用顔料の製造方法、さらに、非イオン性界面活
性剤を添加した無極性有機溶媒に、水が分散されている
上述した陶磁器用顔料の製造方法をそれぞれ提供するも
のである。
【0012】まず、本発明に使用される原料成分につい
て説明する。
て説明する。
【0013】ケイ素アルコキシドとしては、シリコンテ
トラメトキシド(メチルシリケート)、シリコンテトラ
エトキシド(エチルシリケート)、シリコンテトラプロ
ポキシド、シリコンテトラブトキシド等を単独または2
つ以上組み合わせて使用できる。このうちシリコンテト
ラメトキシド(メチルシリケート)、シリコンテトラエ
トキシド(エチルシリケート)が好ましく用いられる。
アルコキシ基の炭素数が3より大きくなると加水分解速
度が遅くなるため、反応時間が長くなる。
トラメトキシド(メチルシリケート)、シリコンテトラ
エトキシド(エチルシリケート)、シリコンテトラプロ
ポキシド、シリコンテトラブトキシド等を単独または2
つ以上組み合わせて使用できる。このうちシリコンテト
ラメトキシド(メチルシリケート)、シリコンテトラエ
トキシド(エチルシリケート)が好ましく用いられる。
アルコキシ基の炭素数が3より大きくなると加水分解速
度が遅くなるため、反応時間が長くなる。
【0014】本発明で用いられる水を溶解することがで
き、かつ無極性有機溶媒と均一に混合しない溶媒は、ケ
イ素アルコキシドを溶解する溶媒として使用される。具
体的にはメタノール、エチレングリコール、1,4−ブ
タンジオール、グリセリン、アセトニトリル等を単独で
または組み合わせて用いることができる。また、無機顔
料を含有した前駆体溶液が無極性有機溶媒に均一に混合
しない範囲で、前記の溶媒にエタノール、プロピルアル
コール、イソプロピルアルコールなどの水を溶解するこ
とができ、かつ無極性有機溶媒と混合する溶媒を加える
ことも可能である。
き、かつ無極性有機溶媒と均一に混合しない溶媒は、ケ
イ素アルコキシドを溶解する溶媒として使用される。具
体的にはメタノール、エチレングリコール、1,4−ブ
タンジオール、グリセリン、アセトニトリル等を単独で
または組み合わせて用いることができる。また、無機顔
料を含有した前駆体溶液が無極性有機溶媒に均一に混合
しない範囲で、前記の溶媒にエタノール、プロピルアル
コール、イソプロピルアルコールなどの水を溶解するこ
とができ、かつ無極性有機溶媒と混合する溶媒を加える
ことも可能である。
【0015】ジルコニウムアルコキシドとしては、ジル
コニウムテトラメトキシド、ジルコニウムテトラエトキ
シド、ジルコニウムテトラプロポキシド、ジルコウムテ
トラブトキシド等を単独または組み合わせて用いること
ができるが、このうちジルコニウムテトラプロポキシ
ド、ジルコニウムテトラブトキシドが好ましく用いられ
る。アルコキシ基の炭素数が2より小さいと反応が速い
ため、操作中に空気中の水分によりジルコニウムアルコ
キシドの白色沈澱を生じ、透明なガラス体を形成するこ
とができない。また、アルコキシ基の炭素数が5より大
きいとジルコニウムアルコキシド溶液の粘度が大きくな
り取り扱いが困難となる。
コニウムテトラメトキシド、ジルコニウムテトラエトキ
シド、ジルコニウムテトラプロポキシド、ジルコウムテ
トラブトキシド等を単独または組み合わせて用いること
ができるが、このうちジルコニウムテトラプロポキシ
ド、ジルコニウムテトラブトキシドが好ましく用いられ
る。アルコキシ基の炭素数が2より小さいと反応が速い
ため、操作中に空気中の水分によりジルコニウムアルコ
キシドの白色沈澱を生じ、透明なガラス体を形成するこ
とができない。また、アルコキシ基の炭素数が5より大
きいとジルコニウムアルコキシド溶液の粘度が大きくな
り取り扱いが困難となる。
【0016】また、ジルコニウムアルコキシドの希釈溶
媒としては、前記のメタノール、エチレングリコール、
1,4−ブタンジオール、グリセリン、アセトニトリル
などの水を溶解することができ、かつ無極性有機溶媒と
均一に混合しない溶媒を使用することができる。また、
エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコ
ールなどの水を溶解することができ、かつ無極性有機溶
媒と混合する溶媒を、無機顔料を含有した前駆体溶液が
無極性溶媒に均一に混合しない範囲で用いることも可能
である。
媒としては、前記のメタノール、エチレングリコール、
1,4−ブタンジオール、グリセリン、アセトニトリル
などの水を溶解することができ、かつ無極性有機溶媒と
均一に混合しない溶媒を使用することができる。また、
エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコ
ールなどの水を溶解することができ、かつ無極性有機溶
媒と混合する溶媒を、無機顔料を含有した前駆体溶液が
無極性溶媒に均一に混合しない範囲で用いることも可能
である。
【0017】上記のケイ素アルコキシドとジルコニウム
アルコキシドの配合量は、SiO2およびZrO2に換
算して、SiO2が50〜90モル%、ZrO2が50
〜10モル%になるようにすることが必要である。Si
O2が50モル%未満で、ZrO2が50モル%を越え
るように配合された場合、無機顔料を内包するガラスが
結晶化しやすくなり、白色の粒が生じ、着色成分として
使用不能となる。また、SiO2が90モル%を越え、
ZrO2が10モル%未満になるように配合された場合
は、充分な化学的耐久性を得ることができない。
アルコキシドの配合量は、SiO2およびZrO2に換
算して、SiO2が50〜90モル%、ZrO2が50
〜10モル%になるようにすることが必要である。Si
O2が50モル%未満で、ZrO2が50モル%を越え
るように配合された場合、無機顔料を内包するガラスが
結晶化しやすくなり、白色の粒が生じ、着色成分として
使用不能となる。また、SiO2が90モル%を越え、
ZrO2が10モル%未満になるように配合された場合
は、充分な化学的耐久性を得ることができない。
【0018】本発明の安定剤はジルコニウムアルコキシ
ドの加水分解反応速度を遅くし、安定化するために使用
される。すなわち、ジルコニウムアルコキシドは、加水
分解速度が、ケイ素アルコキシドに比べ極めて速いた
め、アルコキシド混合溶液に少量の水を添加した場合で
も瞬間的に加水分解を起こし、ジルコニウムアルコキシ
ドの白色沈澱を生じる。本発明においては、ジルコニウ
ムアルコキシドを安定化させるために、ポリアルキレン
グリコール、カルボン酸から選ばれた少なくとも1種お
よびアセチルアセトンから構成される安定剤をジルコニ
ウムアルコキシドに添加することが必要である。
ドの加水分解反応速度を遅くし、安定化するために使用
される。すなわち、ジルコニウムアルコキシドは、加水
分解速度が、ケイ素アルコキシドに比べ極めて速いた
め、アルコキシド混合溶液に少量の水を添加した場合で
も瞬間的に加水分解を起こし、ジルコニウムアルコキシ
ドの白色沈澱を生じる。本発明においては、ジルコニウ
ムアルコキシドを安定化させるために、ポリアルキレン
グリコール、カルボン酸から選ばれた少なくとも1種お
よびアセチルアセトンから構成される安定剤をジルコニ
ウムアルコキシドに添加することが必要である。
【0019】ポリアルキレングリコールとしては、ジエ
チレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチ
レングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチ
レングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレン
グリコールとプロピレングリコールの共重合体などを用
いることができる。
チレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチ
レングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチ
レングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレン
グリコールとプロピレングリコールの共重合体などを用
いることができる。
【0020】また、カルボン酸としては酢酸、プロピオ
ン酸などを使用することができる。
ン酸などを使用することができる。
【0021】前記した安定剤の添加量は、アセチルアセ
トンは、ジルコニウムアルコキシド1モルに対し0.5
モル以上1モル以下であり、かつポリアルキレングリコ
ール、カルボン酸から選ばれた少なくとも1種およびア
セチルアセトンから構成される安定剤の総和は、ジルコ
ニウムアルコキシド1モルに対し1モル以上であること
が適切である。アセチルアセトンの添加量がジルコニウ
ムアルコキシド1モルに対し、0.5モル未満であると
ジルコニウムアルコキシドの加水分解速度を遅くするこ
とができず、ジルコニウムアルコキシドが単独でゲルを
形成するため、アルコキシド混合溶液に水を添加する時
に、白色沈澱を生じたり、溶液全体がゲル化したりし
て、以後の操作が不能になる。また、アセチルアセトン
の添加量がジルコニウムアルコキシド1モルに対し1モ
ルを越えると、ジルコニウムアルコキシドが加水分解し
にくくなるため、球状ゲル体を得るために要する時間が
長くなる。さらに、ジルコニウムアルコキシド1モルに
対し、ポリアルキレングリコール、カルボン酸から選ば
れた少なくとも1種およびアセチルアセトンから構成さ
れる安定剤の総和が1モル未満である場合は、ジルコニ
ウムアルコキシドの加水分解速度を遅くすることができ
ず、アルコキシド混合溶液に水を添加する時に、ジルコ
ニウムアルコキシドが単独でゲルを形成するため、アル
コキシド混合溶液がゲル化し、以後の操作が不能にな
る。
トンは、ジルコニウムアルコキシド1モルに対し0.5
モル以上1モル以下であり、かつポリアルキレングリコ
ール、カルボン酸から選ばれた少なくとも1種およびア
セチルアセトンから構成される安定剤の総和は、ジルコ
ニウムアルコキシド1モルに対し1モル以上であること
が適切である。アセチルアセトンの添加量がジルコニウ
ムアルコキシド1モルに対し、0.5モル未満であると
ジルコニウムアルコキシドの加水分解速度を遅くするこ
とができず、ジルコニウムアルコキシドが単独でゲルを
形成するため、アルコキシド混合溶液に水を添加する時
に、白色沈澱を生じたり、溶液全体がゲル化したりし
て、以後の操作が不能になる。また、アセチルアセトン
の添加量がジルコニウムアルコキシド1モルに対し1モ
ルを越えると、ジルコニウムアルコキシドが加水分解し
にくくなるため、球状ゲル体を得るために要する時間が
長くなる。さらに、ジルコニウムアルコキシド1モルに
対し、ポリアルキレングリコール、カルボン酸から選ば
れた少なくとも1種およびアセチルアセトンから構成さ
れる安定剤の総和が1モル未満である場合は、ジルコニ
ウムアルコキシドの加水分解速度を遅くすることができ
ず、アルコキシド混合溶液に水を添加する時に、ジルコ
ニウムアルコキシドが単独でゲルを形成するため、アル
コキシド混合溶液がゲル化し、以後の操作が不能にな
る。
【0022】本発明における無機顔料とは、陶磁器用に
使用される無機顔料をいう。具体的には、ベンガラ(F
e2O3)、クロム緑(Cr2O3)、ピーコック(C
oCr2O4)、釉上赤((Fe,Al)2O3)、バ
ナジウムスズ黄(( Sn,V)O2)、プラセオジム
黄((Zr,Pr)SiO4)、海碧((Co,Zn)
Al2O4)、アンチモン黄(Pb2(Sb,Fe)2
O7)、セレン赤((Se,Cd)S)等をあげること
ができる。
使用される無機顔料をいう。具体的には、ベンガラ(F
e2O3)、クロム緑(Cr2O3)、ピーコック(C
oCr2O4)、釉上赤((Fe,Al)2O3)、バ
ナジウムスズ黄(( Sn,V)O2)、プラセオジム
黄((Zr,Pr)SiO4)、海碧((Co,Zn)
Al2O4)、アンチモン黄(Pb2(Sb,Fe)2
O7)、セレン赤((Se,Cd)S)等をあげること
ができる。
【0023】前記の無機顔料の添加量は、特に限定はな
いが、形成されるガラス体に対し重量で0.1〜4倍で
あること、すなわち無機顔料の含有量が9重量%〜80
重量%になるようにすることが好ましい。無機顔料の添
加量が、0.1倍未満である場合は、フリットと混ぜ合
わせ上絵具等を調製した時、色が薄くなり、濃い色を出
せなくなる。また、5倍を越える場合は、形成されるS
iO2−ZrO2系ガラス体が無機顔料に対し少ないた
め、無機顔料を完全には内包できず、その結果無機顔料
とフリットが接触する確率が大きくなり、変色や無機顔
料からの重金属類の溶出を充分防ぐことができなくな
る。
いが、形成されるガラス体に対し重量で0.1〜4倍で
あること、すなわち無機顔料の含有量が9重量%〜80
重量%になるようにすることが好ましい。無機顔料の添
加量が、0.1倍未満である場合は、フリットと混ぜ合
わせ上絵具等を調製した時、色が薄くなり、濃い色を出
せなくなる。また、5倍を越える場合は、形成されるS
iO2−ZrO2系ガラス体が無機顔料に対し少ないた
め、無機顔料を完全には内包できず、その結果無機顔料
とフリットが接触する確率が大きくなり、変色や無機顔
料からの重金属類の溶出を充分防ぐことができなくな
る。
【0024】無機顔料を含有した前駆体溶液を分散する
溶媒には、無極性の有機溶媒を用いる。具体的にはn−
ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロヘキサ
ン、デカリン、ケロシンなどを単独または2つ以上混合
して用いることができる。
溶媒には、無極性の有機溶媒を用いる。具体的にはn−
ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロヘキサ
ン、デカリン、ケロシンなどを単独または2つ以上混合
して用いることができる。
【0025】非イオン性界面活性剤は、無機顔料を含有
した前駆体溶液、水、形成された球状ゲル体を安定な分
散状態に保つため使用される。好ましく用いることがで
きる界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキル
フェノールエーテル、ポリオキエチレンソルビタン脂肪
酸エステル、ポリオキエチレン脂肪酸エステル等を単独
または2種以上組み合わせて用いることがてきる。安定
な分散状態を得るためには、界面活性剤のHLBは、2
以上7以下であることが望ましい。
した前駆体溶液、水、形成された球状ゲル体を安定な分
散状態に保つため使用される。好ましく用いることがで
きる界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキル
フェノールエーテル、ポリオキエチレンソルビタン脂肪
酸エステル、ポリオキエチレン脂肪酸エステル等を単独
または2種以上組み合わせて用いることがてきる。安定
な分散状態を得るためには、界面活性剤のHLBは、2
以上7以下であることが望ましい。
【0026】次に、製造方法について詳述する。
【0027】水を溶解することができ、かつ無極性有機
溶媒と均一に混合しない溶媒にケイ素アルコキシドを溶
解し、水を加えてケイ素アルコキシドのアルコキシ基の
一部を加水分解し、部分加水分解ケイ素アルコキシドを
調製する。この加水分解は、ケイ素アルコキシド1モル
に対し0.5モル以上1モル以下の水で部分的に行うこ
とが好ましい。0.5モル未満で加水分解を行うと、熱
処理により形成されたガラス体に含まれるSiO2は出
発組成より少なくなり、1モルを越えると安定化したジ
ルコニウムアルコキシドと混合した時、アルコキシド混
合溶液がゲル化しやすくなる。
溶媒と均一に混合しない溶媒にケイ素アルコキシドを溶
解し、水を加えてケイ素アルコキシドのアルコキシ基の
一部を加水分解し、部分加水分解ケイ素アルコキシドを
調製する。この加水分解は、ケイ素アルコキシド1モル
に対し0.5モル以上1モル以下の水で部分的に行うこ
とが好ましい。0.5モル未満で加水分解を行うと、熱
処理により形成されたガラス体に含まれるSiO2は出
発組成より少なくなり、1モルを越えると安定化したジ
ルコニウムアルコキシドと混合した時、アルコキシド混
合溶液がゲル化しやすくなる。
【0028】ケイ素アルコキシドの部分加水分解におい
て、塩酸、硝酸などの鉱酸を触媒として加えることは、
反応を促進する上で好ましく行われる。
て、塩酸、硝酸などの鉱酸を触媒として加えることは、
反応を促進する上で好ましく行われる。
【0029】部分加水分解ケイ素アルコキシドの調製を
行った前または後で、ジルコニウムアルコキシドに、ポ
リアルキレングリコール、カルボン酸から選ばれた少な
くとも1種およびアセチルアセトンから構成される安定
剤を添加し、安定化したジルコニウムアルコキシドを調
製する。
行った前または後で、ジルコニウムアルコキシドに、ポ
リアルキレングリコール、カルボン酸から選ばれた少な
くとも1種およびアセチルアセトンから構成される安定
剤を添加し、安定化したジルコニウムアルコキシドを調
製する。
【0030】次いで、部分加水分解ケイ素アルコキシド
を安定したジルコニウムアルコキシドに徐々に加え、ア
ルコキシド混合溶液を調製する。
を安定したジルコニウムアルコキシドに徐々に加え、ア
ルコキシド混合溶液を調製する。
【0031】さらにアルコキシド混合溶液に水を添加し
ケイ素アルコキシドとジルコニウムアルコキシドの縮合
・重合を行い、前駆体溶液を調製する。この前駆体溶液
に無機顔料を加え、無機顔料を含有した前駆体溶液を調
製する。この場合、無機顔料は水を添加する前に加える
ことも可能である。アルコキシド混合溶液に添加する水
は、ケイ素アルコキシドの部分加水分解に使用した水を
含めて、ケイ素アルコキシドとジルコニウムアルコキシ
ドの合計の4倍モル以下であることが好ましい。これを
越える量の水を添加した場合、アルコキシド混合溶液の
ゲル化が早くなり、以後の操作が困難となりやすい。
ケイ素アルコキシドとジルコニウムアルコキシドの縮合
・重合を行い、前駆体溶液を調製する。この前駆体溶液
に無機顔料を加え、無機顔料を含有した前駆体溶液を調
製する。この場合、無機顔料は水を添加する前に加える
ことも可能である。アルコキシド混合溶液に添加する水
は、ケイ素アルコキシドの部分加水分解に使用した水を
含めて、ケイ素アルコキシドとジルコニウムアルコキシ
ドの合計の4倍モル以下であることが好ましい。これを
越える量の水を添加した場合、アルコキシド混合溶液の
ゲル化が早くなり、以後の操作が困難となりやすい。
【0032】無機顔料を含有した前駆体溶液を非イオン
性界面活性剤を添加した無極性有機溶媒中に分散する。
分散は、無極性有機溶媒を攪拌しながら前駆体溶液を徐
々に添加することにより行い、攪拌速度を変化すること
により球状ゲル体の粒子径を調節できる。攪拌速度を速
くすると粒子径は小さくなる。
性界面活性剤を添加した無極性有機溶媒中に分散する。
分散は、無極性有機溶媒を攪拌しながら前駆体溶液を徐
々に添加することにより行い、攪拌速度を変化すること
により球状ゲル体の粒子径を調節できる。攪拌速度を速
くすると粒子径は小さくなる。
【0033】無機顔料を含有した前駆体溶液を非イオン
性界面活性剤を添加した無極性有機溶媒中に分散する
時、反応器にガラス壁を持つものを使用した場合、アル
コキシドはゲル化に至る過程でガラスの器壁に吸着する
傾向があり、収率の低下や形成される球状ゲル体を不規
則な形にする原因となる。反応容器として、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、塩
化ビニルなど表面に活性な水酸基等を持たない樹脂製の
ものを用いることは、前記問題を解決する上で望まし
い。
性界面活性剤を添加した無極性有機溶媒中に分散する
時、反応器にガラス壁を持つものを使用した場合、アル
コキシドはゲル化に至る過程でガラスの器壁に吸着する
傾向があり、収率の低下や形成される球状ゲル体を不規
則な形にする原因となる。反応容器として、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、塩
化ビニルなど表面に活性な水酸基等を持たない樹脂製の
ものを用いることは、前記問題を解決する上で望まし
い。
【0034】また、非イオン性界面活性剤を用いて無極
性有機溶媒に水を予め分散しておき、これに無機顔料を
含有した前駆体溶液を添加することにより、球状ゲル体
の形成速度を速くすることも可能である。添加する水
は、部分加水分解およびアルコキシド混合溶液に使用し
た水を含めて、ケイ素アルコキシドとジルコニウムアル
コキシドの合計の8倍モル以下が好ましい。これを越え
る量の水を添加すると、形成された球状ゲル体が凝集を
起こしやすくなる。
性有機溶媒に水を予め分散しておき、これに無機顔料を
含有した前駆体溶液を添加することにより、球状ゲル体
の形成速度を速くすることも可能である。添加する水
は、部分加水分解およびアルコキシド混合溶液に使用し
た水を含めて、ケイ素アルコキシドとジルコニウムアル
コキシドの合計の8倍モル以下が好ましい。これを越え
る量の水を添加すると、形成された球状ゲル体が凝集を
起こしやすくなる。
【0035】無機顔料を含有した前駆体溶液を分散後、
30分〜1時間程度攪拌を続けると無機顔料を内包した
球状ゲル体が形成される。以上の工程は、すべて室温付
近で行うことができ、また不活性雰囲気などを必要とし
ない。
30分〜1時間程度攪拌を続けると無機顔料を内包した
球状ゲル体が形成される。以上の工程は、すべて室温付
近で行うことができ、また不活性雰囲気などを必要とし
ない。
【0036】形成された球状ゲル体を濾過し、600℃
〜900℃で加熱処理することにより球状の透明ガラス
体に無機顔料が内包された陶磁器用顔料が形成される。
600℃未満で加熱処理を行うと、残留有機物が炭化物
として残りやすく、また900℃を超える温度で行う
と、ガラス体が結晶化を起こす場合がある。また、加熱
処理前に、ゲル体に100℃前後の水蒸気を吹き付ける
ことは透明なガラス体を得るために好ましく行われる。
〜900℃で加熱処理することにより球状の透明ガラス
体に無機顔料が内包された陶磁器用顔料が形成される。
600℃未満で加熱処理を行うと、残留有機物が炭化物
として残りやすく、また900℃を超える温度で行う
と、ガラス体が結晶化を起こす場合がある。また、加熱
処理前に、ゲル体に100℃前後の水蒸気を吹き付ける
ことは透明なガラス体を得るために好ましく行われる。
【0037】
【作用】本発明の陶磁器用顔料は、無機顔料が化学的に
安定なSiO2−ZrO2系ガラス体に内包されている
ため、直接マトリックス成分のフリットと接触する機会
が減少するため、フリット構成成分と反応する確率が小
さくなる。
安定なSiO2−ZrO2系ガラス体に内包されている
ため、直接マトリックス成分のフリットと接触する機会
が減少するため、フリット構成成分と反応する確率が小
さくなる。
【0038】また、本発明に係わる製造法は、加水分解
速度の遅いケイ素アルコキシドを部分加水分解し、加水
分解速度の速いジルコニウムアルコキシドを安定剤によ
り加水分解速度を遅くすることにより、Si−O−Zr
の結合を形成し、SiO2−ZrO2系の透明ガラス体
を提供するものと推定される。さらに、加水分解により
極性を有した前駆体溶液は、親水性の表面を持つ無機顔
料を含んだ微小な球となって無極性有機溶媒中に分散
し、ゲル化するため、無機顔料は球状のガラス体に内包
されるものと推定される。
速度の遅いケイ素アルコキシドを部分加水分解し、加水
分解速度の速いジルコニウムアルコキシドを安定剤によ
り加水分解速度を遅くすることにより、Si−O−Zr
の結合を形成し、SiO2−ZrO2系の透明ガラス体
を提供するものと推定される。さらに、加水分解により
極性を有した前駆体溶液は、親水性の表面を持つ無機顔
料を含んだ微小な球となって無極性有機溶媒中に分散
し、ゲル化するため、無機顔料は球状のガラス体に内包
されるものと推定される。
【0039】
【実施例】以下実施例および比較例により本発明を具体
的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。各例で行った分析方法、試験方法は以下のとおり
である。 1)平均粒子径 走査型電子顕微鏡(日立製S−2360型)により写真
撮影を行い、写真より100個の調製した透明ガラス体
に無機顔料が内包された陶磁器用顔料の粒子を無作為に
抽出し計測した。 2)粒子の組成分析 エネルギー分散型X線分析装置(堀場製EMAX−57
70型)を用い、調製した透明ガラス体に無機顔料が内
包された陶磁器用顔料の粒子の組成を分析した。粒子中
の無機顔料含有量は、粒子10個の平均で求めた。 3)顔料の発色試験および溶出試験 調製した透明ガラス体に内包された陶磁器用顔料あるい
は市販の陶磁器用顔料を市販の無鉛フリット(Na
2O:K2O:CaO:MgO:Al2O3:Si
O2:B2O3=0.55:0.3:0.05:0.
1:0.6:4:1モル)と混合し、無機顔料の含有量
が10重量%である上絵具を調製した。この上絵具を用
いて、磁器に内部を塗りつぶした直径20mmの円を描
き、750℃で1時間焼成し、発色を目視で調べた。さ
らに、上記の試験体を200mlの4%酢酸水溶液に2
4時間浸し、試料を取り出した後、無機顔料から酢酸水
溶液中に溶け出た金属元素の濃度をフレームレス原子吸
光分析装置(日立製Z−8200型)で測定した。
的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。各例で行った分析方法、試験方法は以下のとおり
である。 1)平均粒子径 走査型電子顕微鏡(日立製S−2360型)により写真
撮影を行い、写真より100個の調製した透明ガラス体
に無機顔料が内包された陶磁器用顔料の粒子を無作為に
抽出し計測した。 2)粒子の組成分析 エネルギー分散型X線分析装置(堀場製EMAX−57
70型)を用い、調製した透明ガラス体に無機顔料が内
包された陶磁器用顔料の粒子の組成を分析した。粒子中
の無機顔料含有量は、粒子10個の平均で求めた。 3)顔料の発色試験および溶出試験 調製した透明ガラス体に内包された陶磁器用顔料あるい
は市販の陶磁器用顔料を市販の無鉛フリット(Na
2O:K2O:CaO:MgO:Al2O3:Si
O2:B2O3=0.55:0.3:0.05:0.
1:0.6:4:1モル)と混合し、無機顔料の含有量
が10重量%である上絵具を調製した。この上絵具を用
いて、磁器に内部を塗りつぶした直径20mmの円を描
き、750℃で1時間焼成し、発色を目視で調べた。さ
らに、上記の試験体を200mlの4%酢酸水溶液に2
4時間浸し、試料を取り出した後、無機顔料から酢酸水
溶液中に溶け出た金属元素の濃度をフレームレス原子吸
光分析装置(日立製Z−8200型)で測定した。
【0040】(実施例1)エチルシリケート(米山薬品
工業製)10ミリモル(2.08g)をメタノール5m
lに溶解し、35%塩酸0.1mlを触媒とし水10ミ
リモル(0.18ml)で約30分間加水分解をした。
ジルコニウムプロポキシド(アルドリッチ社製、70重
量%イソプロパノール溶液)10ミリモル(4.68
g)を攪拌しながら、アセチルアセトン5ミリモル
(0.5g)を滴下し、続いてジエチレングリコール5
ミリモル(0.53g)を添加した。上記の安定化した
ジルコニウムプロポキシド溶液を攪拌しながら、部分加
水分解したエチルシリケートをゆっくり加えた後、水1
0ミリモル(0.18ml)を添加し、30分間攪拌を
続けた。これに、市販のベンガラ(Fe2O3)0.6
gを加えよく混合した。
工業製)10ミリモル(2.08g)をメタノール5m
lに溶解し、35%塩酸0.1mlを触媒とし水10ミ
リモル(0.18ml)で約30分間加水分解をした。
ジルコニウムプロポキシド(アルドリッチ社製、70重
量%イソプロパノール溶液)10ミリモル(4.68
g)を攪拌しながら、アセチルアセトン5ミリモル
(0.5g)を滴下し、続いてジエチレングリコール5
ミリモル(0.53g)を添加した。上記の安定化した
ジルコニウムプロポキシド溶液を攪拌しながら、部分加
水分解したエチルシリケートをゆっくり加えた後、水1
0ミリモル(0.18ml)を添加し、30分間攪拌を
続けた。これに、市販のベンガラ(Fe2O3)0.6
gを加えよく混合した。
【0041】非イオン性界面活性剤としてソルビタンオ
レイン酸トリエステル(ICI社製、商品名Span8
5)0.7gとソルビタンオレイン酸トリエステルのエ
チレンオキサイド付加物(ICI社製、商品名Twee
n20)0.3gを混合し、HLBを約4.6としたも
のを用いて、ポリエチレンビーカー中で水60ミリモル
(1.08ml)をn−ヘキサンを500mlに分散し
た。この分散液を攪拌しながら、ベンガラを混合したア
ルコキシド溶液を添加した。さらに30分間攪拌を続け
た後、濾過したところ、ベンガラを内包した球状の透明
ゲル体を得た。以上の操作や反応はすべて常温で空気中
雰囲気で行った。
レイン酸トリエステル(ICI社製、商品名Span8
5)0.7gとソルビタンオレイン酸トリエステルのエ
チレンオキサイド付加物(ICI社製、商品名Twee
n20)0.3gを混合し、HLBを約4.6としたも
のを用いて、ポリエチレンビーカー中で水60ミリモル
(1.08ml)をn−ヘキサンを500mlに分散し
た。この分散液を攪拌しながら、ベンガラを混合したア
ルコキシド溶液を添加した。さらに30分間攪拌を続け
た後、濾過したところ、ベンガラを内包した球状の透明
ゲル体を得た。以上の操作や反応はすべて常温で空気中
雰囲気で行った。
【0042】形成されたゲル体に85〜95℃の水蒸気
を20分間吹き付け、750度で3時間焼成したとこ
ろ、球状の透明ガラス体にベンガラを内包した陶磁器用
顔料を得た。図1に得られた球状の透明ガラス体にベン
ガラを内包した陶磁器用顔料の走査電子顕微鏡(日立製
S−2360型)で撮影した写真の一例を示した。
を20分間吹き付け、750度で3時間焼成したとこ
ろ、球状の透明ガラス体にベンガラを内包した陶磁器用
顔料を得た。図1に得られた球状の透明ガラス体にベン
ガラを内包した陶磁器用顔料の走査電子顕微鏡(日立製
S−2360型)で撮影した写真の一例を示した。
【0043】平均粒子径は約25μmであった。また、
エネルギー分散型X線分析装置(堀場製EMAX−57
70型)で組成分析をしたところ、SiO2とZrO2
の成分比は、50モル%:50モル%であり、粒子中に
含まれるFe2O3は平均で25重量%であった。
エネルギー分散型X線分析装置(堀場製EMAX−57
70型)で組成分析をしたところ、SiO2とZrO2
の成分比は、50モル%:50モル%であり、粒子中に
含まれるFe2O3は平均で25重量%であった。
【0044】得られた球状の透明ガラス体にベンガラを
内包した陶磁器用顔料を用いベンガラの含有量が10重
量%である上絵具を調製し、発色試験を行ったところ、
ベンガラは本来の赤茶色の発色を呈した。また、4%酢
酸水溶液への溶出試験を行い、ベンガラから溶け出たF
eの濃度を測定したところ、16ppbであった。
内包した陶磁器用顔料を用いベンガラの含有量が10重
量%である上絵具を調製し、発色試験を行ったところ、
ベンガラは本来の赤茶色の発色を呈した。また、4%酢
酸水溶液への溶出試験を行い、ベンガラから溶け出たF
eの濃度を測定したところ、16ppbであった。
【0045】(実施例2)実施例1におけるジエチレン
グリコールを5ミリモル(0.3g)の酢酸に置き換
え、また無機顔料としてベンガラに換えてクロム緑(C
r2O3)を0.6g用いた他は実施例1と同様の方法
で製造を行い、球状の透明ガラス体にクロム緑を内包し
た陶磁器用顔料を得た。平均粒子径は約20μmであ
り、SiO2とZrO2の成分比は、50モル%:50
モル%であり、粒子中に含まれるCr2O3は平均で2
5重量%であった。
グリコールを5ミリモル(0.3g)の酢酸に置き換
え、また無機顔料としてベンガラに換えてクロム緑(C
r2O3)を0.6g用いた他は実施例1と同様の方法
で製造を行い、球状の透明ガラス体にクロム緑を内包し
た陶磁器用顔料を得た。平均粒子径は約20μmであ
り、SiO2とZrO2の成分比は、50モル%:50
モル%であり、粒子中に含まれるCr2O3は平均で2
5重量%であった。
【0046】得られた透明の球状ガラス体にクロム緑を
内包した陶磁器用顔料を用い、実施例1と同様の方法で
発色試験を行ったところ、クロム緑は本来の緑色の発色
を呈した。また、実施例1と同様の方法で溶出試験を行
い、酢酸水溶液中に溶け出たCrの濃度を測定したとこ
ろ、58ppbであった。
内包した陶磁器用顔料を用い、実施例1と同様の方法で
発色試験を行ったところ、クロム緑は本来の緑色の発色
を呈した。また、実施例1と同様の方法で溶出試験を行
い、酢酸水溶液中に溶け出たCrの濃度を測定したとこ
ろ、58ppbであった。
【0047】(実施例3)エチルシリケート18ミリモ
ル(3.74g)をメタノール5mlに溶解し、35%
塩酸0.1mlを触媒とし水18ミリモル(0.32m
l)で約30分間加水分解をした。ジルコニウムプロポ
キシド2ミリモル(0.94g)を攪拌しながら、アセ
チルアセトン1ミリモル(0.1g)を滴下し、続いて
ジエチレングリコール2ミリモル(0.21g)を添加
した。上記の安定化したジルコニウムプロポキシド溶液
を攪拌しながら、部分加水分解したエチルシリケートを
ゆっくり加えた後、水2ミリモル(0.036ml)を
添加し、30分攪拌を続けた。これに、市販の海碧
((Co,Zn)Al2O4)0.6gを加えよく混合
した。これ以降は、実施例1と同様の方法で製造を行
い、球状の透明ガラス体に海碧を内包した陶磁器用顔料
を得た。平均粒子径は約25μmであり、SiO2とZ
rO2の成分比は、90モル%:10モル%であり、粒
子中に含まれる海碧は平均で31重量%であった。
ル(3.74g)をメタノール5mlに溶解し、35%
塩酸0.1mlを触媒とし水18ミリモル(0.32m
l)で約30分間加水分解をした。ジルコニウムプロポ
キシド2ミリモル(0.94g)を攪拌しながら、アセ
チルアセトン1ミリモル(0.1g)を滴下し、続いて
ジエチレングリコール2ミリモル(0.21g)を添加
した。上記の安定化したジルコニウムプロポキシド溶液
を攪拌しながら、部分加水分解したエチルシリケートを
ゆっくり加えた後、水2ミリモル(0.036ml)を
添加し、30分攪拌を続けた。これに、市販の海碧
((Co,Zn)Al2O4)0.6gを加えよく混合
した。これ以降は、実施例1と同様の方法で製造を行
い、球状の透明ガラス体に海碧を内包した陶磁器用顔料
を得た。平均粒子径は約25μmであり、SiO2とZ
rO2の成分比は、90モル%:10モル%であり、粒
子中に含まれる海碧は平均で31重量%であった。
【0048】得られた透明の球状ガラス体に海碧を内包
した陶磁器用顔料を、実施例1と同様の方法で発色試験
を行ったところ、海碧は本来の青色を呈した。また、実
施例1と同様の方法で溶出試験を行い、酢酸水溶液中に
溶け出たCoの湯度を測定したところ、19ppbであ
った。
した陶磁器用顔料を、実施例1と同様の方法で発色試験
を行ったところ、海碧は本来の青色を呈した。また、実
施例1と同様の方法で溶出試験を行い、酢酸水溶液中に
溶け出たCoの湯度を測定したところ、19ppbであ
った。
【0049】(実施例4)エチリシリケート10ミリモ
ル(2.08g)をメタノール5mlに溶解し、35%
塩酸0.1mlを触媒とし水10ミリモル(0.18m
l)で約30分加水分解をした。ジルコニウムプロポキ
シド10ミリモル(4.68g)を攪拌しながら、アセ
チルアセトン5ミリモル(0.5g)を滴下し続いてジ
エチレングリコール5ミリモル(0.53g)を添加し
た。上記の安定化したジルコニウムプロポキシド溶液を
攪拌しながら、部分加水分解したエチルシリケートをゆ
っくり加えた後、水10ミリモル(0.18ml)を添
加し、30分攪拌を続けた。これに、市販のベンガラ
0.7gを加えよく混合した。
ル(2.08g)をメタノール5mlに溶解し、35%
塩酸0.1mlを触媒とし水10ミリモル(0.18m
l)で約30分加水分解をした。ジルコニウムプロポキ
シド10ミリモル(4.68g)を攪拌しながら、アセ
チルアセトン5ミリモル(0.5g)を滴下し続いてジ
エチレングリコール5ミリモル(0.53g)を添加し
た。上記の安定化したジルコニウムプロポキシド溶液を
攪拌しながら、部分加水分解したエチルシリケートをゆ
っくり加えた後、水10ミリモル(0.18ml)を添
加し、30分攪拌を続けた。これに、市販のベンガラ
0.7gを加えよく混合した。
【0050】非イオン性界面活性剤としてソルビタンオ
レイン酸トリエステル0.7gとポリオキシエチレンノ
ニルフェニルエーテル(花王製、商品名エマルゲン93
5)0.3gを混合し、HLBを約6.4としたもの
を、n−ヘキサン500mlに添加した。この溶液を攪
拌しながら、ベンガラを混合したアルコキシド溶液を添
加した。さらに約1時間攪拌を続けた後、濾過したとこ
ろ、ベンガラを内包した球状の透明ゲル体を得た。以上
の操作や反応はすべて常温で空気中雰囲気で行った。こ
れ以降は、実施例1と同様の方法で製造を行い、球状の
透明ガラス体にベンガラを内包した陶磁器用顔料を得
た。平均粒子径は約35μmであり、SiO2とZrO
2の成分比は、50モル%:50モル%であり、粒子中
に含まれるFe2O3は平均で28重量%であった。
レイン酸トリエステル0.7gとポリオキシエチレンノ
ニルフェニルエーテル(花王製、商品名エマルゲン93
5)0.3gを混合し、HLBを約6.4としたもの
を、n−ヘキサン500mlに添加した。この溶液を攪
拌しながら、ベンガラを混合したアルコキシド溶液を添
加した。さらに約1時間攪拌を続けた後、濾過したとこ
ろ、ベンガラを内包した球状の透明ゲル体を得た。以上
の操作や反応はすべて常温で空気中雰囲気で行った。こ
れ以降は、実施例1と同様の方法で製造を行い、球状の
透明ガラス体にベンガラを内包した陶磁器用顔料を得
た。平均粒子径は約35μmであり、SiO2とZrO
2の成分比は、50モル%:50モル%であり、粒子中
に含まれるFe2O3は平均で28重量%であった。
【0051】得られた球状の透明ガラス体にベンガラを
内包した陶磁器用顔料を用い、実施例1と同様の方法で
発色試験を行ったところ、ベンガラは本来の赤茶色の発
色を呈した。また、実施例1と同様の方法で溶出試験を
行い、酢酸水溶液中に溶け出たFeの濃度を測定したと
ころ、20ppbであった。
内包した陶磁器用顔料を用い、実施例1と同様の方法で
発色試験を行ったところ、ベンガラは本来の赤茶色の発
色を呈した。また、実施例1と同様の方法で溶出試験を
行い、酢酸水溶液中に溶け出たFeの濃度を測定したと
ころ、20ppbであった。
【0052】(比較例1)エチルシリケート6ミリモル
(1.25g)をメタノール5mlに溶解し、35%塩
酸0.1mlを触媒とし水6ミリモル(0.11ml)
で約30分間加水分解をした。ジルコニウムプロポキシ
ド14ミリモル(6.55g)を攪拌しながら、アセチ
ルアセトン7ミリモル(0.7g)を滴下し、続いてジ
エチレングリコール7ミリモル(0.74g)を添加し
た。上記の安定化したジルコニウムプロポキシド溶液を
攪拌しながら、部分加水分解したエチルシリケートをゆ
っくり加えた後、水14ミリモル(0.25ml)を添
加し、30分攪拌を続けた。これに、市販のベンガラ
0.6gを加えよく混合した。これ以降は、実施例1と
同様の方法で製造を行い、球状の透明ガラス体にベンガ
ラを内包した陶磁器用顔料を得た。平均粒子径は約25
μmであり、SiO2とZrO2の成分比は、30モル
%:70モル%であり、粒子中に含まれるFe2O3は
平均で23重量%であった。
(1.25g)をメタノール5mlに溶解し、35%塩
酸0.1mlを触媒とし水6ミリモル(0.11ml)
で約30分間加水分解をした。ジルコニウムプロポキシ
ド14ミリモル(6.55g)を攪拌しながら、アセチ
ルアセトン7ミリモル(0.7g)を滴下し、続いてジ
エチレングリコール7ミリモル(0.74g)を添加し
た。上記の安定化したジルコニウムプロポキシド溶液を
攪拌しながら、部分加水分解したエチルシリケートをゆ
っくり加えた後、水14ミリモル(0.25ml)を添
加し、30分攪拌を続けた。これに、市販のベンガラ
0.6gを加えよく混合した。これ以降は、実施例1と
同様の方法で製造を行い、球状の透明ガラス体にベンガ
ラを内包した陶磁器用顔料を得た。平均粒子径は約25
μmであり、SiO2とZrO2の成分比は、30モル
%:70モル%であり、粒子中に含まれるFe2O3は
平均で23重量%であった。
【0053】得られた球状の透明ガラス体にベンガラを
内包した陶磁器用顔料を用い、実施例1と同様の方法で
発色試験を行ったところ、ベンガラは本来の赤茶色の発
色を呈したが、ところどころに白色の結晶が見受けられ
た。また、実施例1と同様の方法で溶出試験を行い、酢
酸水溶液中に溶け出たFeの濃度を測定したところ、1
8ppbであった。
内包した陶磁器用顔料を用い、実施例1と同様の方法で
発色試験を行ったところ、ベンガラは本来の赤茶色の発
色を呈したが、ところどころに白色の結晶が見受けられ
た。また、実施例1と同様の方法で溶出試験を行い、酢
酸水溶液中に溶け出たFeの濃度を測定したところ、1
8ppbであった。
【0054】(比較例2)エチルシリケート19ミリモ
ル(3.95g)をメタノール5mlに溶解し、35%
塩酸0.1mlを触媒とし水19ミリモル(0.34m
l)で約30分間加水分解をした。ジルコニウムプロポ
キシド1ミリモル(0.47g)を攪拌しながら、アセ
チルアセトン1ミリモル(0.1g)を滴下し、続いて
ジエチレングリコール1ミリモル(0.11g)を添加
した。上記の安定化したジルコニウムプロポキシド溶液
を攪拌しながら、部分加水分解したエチルシリケートを
ゆっくり加えた後、水1ミリモル(0.018ml)を
添加し、30分攪拌を続けた。これに、市販の海碧0.
6gを加えよく混合した。これ以降は、実施例1と同様
の方法で製造を行い、球状の透明ガラス体に海碧を内包
した陶磁器用顔料を得た。平均粒子径は約25μmであ
り、SiO2ZrO2の成分比は、95モル%:5モル
%であり、粒子中に含まれる海碧は平均で32重量%で
あった。
ル(3.95g)をメタノール5mlに溶解し、35%
塩酸0.1mlを触媒とし水19ミリモル(0.34m
l)で約30分間加水分解をした。ジルコニウムプロポ
キシド1ミリモル(0.47g)を攪拌しながら、アセ
チルアセトン1ミリモル(0.1g)を滴下し、続いて
ジエチレングリコール1ミリモル(0.11g)を添加
した。上記の安定化したジルコニウムプロポキシド溶液
を攪拌しながら、部分加水分解したエチルシリケートを
ゆっくり加えた後、水1ミリモル(0.018ml)を
添加し、30分攪拌を続けた。これに、市販の海碧0.
6gを加えよく混合した。これ以降は、実施例1と同様
の方法で製造を行い、球状の透明ガラス体に海碧を内包
した陶磁器用顔料を得た。平均粒子径は約25μmであ
り、SiO2ZrO2の成分比は、95モル%:5モル
%であり、粒子中に含まれる海碧は平均で32重量%で
あった。
【0055】得られた透明の球状ガラス体に海碧を内包
した陶磁器用顔料を用い、実施例1と同様の方法で発色
試験を行ったところ、海碧は本来の青色を呈した。ま
た、実施例1と同様の方法で溶出試験を行い、酢酸水溶
液中に溶け出たCoの濃度を測定したところ、108p
pbであった。
した陶磁器用顔料を用い、実施例1と同様の方法で発色
試験を行ったところ、海碧は本来の青色を呈した。ま
た、実施例1と同様の方法で溶出試験を行い、酢酸水溶
液中に溶け出たCoの濃度を測定したところ、108p
pbであった。
【0056】(比較例3)実施例1における透明の球状
ガラス体にベンガラを内包した陶磁器用顔料を、ベンガ
ラに置き換え、他は実施例1と同様にして発色試験を行
ったところ、ベンガラの色は消え、薄いネズミ色となっ
た。また、実施例1と同様にして溶出試験を行い、酢酸
水溶液中に溶け出たFeの濃度を測定したところ、56
4ppbであった。
ガラス体にベンガラを内包した陶磁器用顔料を、ベンガ
ラに置き換え、他は実施例1と同様にして発色試験を行
ったところ、ベンガラの色は消え、薄いネズミ色となっ
た。また、実施例1と同様にして溶出試験を行い、酢酸
水溶液中に溶け出たFeの濃度を測定したところ、56
4ppbであった。
【0057】(比較例4)実施例1における透明の球状
ガラス体にベンガラを内包した陶磁器用顔料を、クロム
緑に置き換え、他は実施例1と同様にして発色試験を行
ったところ、クロム緑は本来の緑色を呈したが、円の周
囲に黄緑色のにじみを生じた。また、実施例1と同様に
して溶出試験を行い、酢酸水溶液中に溶け出たCrの濃
度を測定したところ、738ppbであった。
ガラス体にベンガラを内包した陶磁器用顔料を、クロム
緑に置き換え、他は実施例1と同様にして発色試験を行
ったところ、クロム緑は本来の緑色を呈したが、円の周
囲に黄緑色のにじみを生じた。また、実施例1と同様に
して溶出試験を行い、酢酸水溶液中に溶け出たCrの濃
度を測定したところ、738ppbであった。
【0058】(比較例5)実施例1における透明の球状
ガラス体にベンガラを内包した陶磁器用顔料を、海碧に
置き換え、他は実施例1と同様にして発色試験を行った
ところ、海碧は青色を呈したが、分解しフリットに溶解
した。実施例1と同様にして溶出試験を行い、酢酸水溶
液中に溶け出たCoの濃度を測定したところ、730p
pbであった。
ガラス体にベンガラを内包した陶磁器用顔料を、海碧に
置き換え、他は実施例1と同様にして発色試験を行った
ところ、海碧は青色を呈したが、分解しフリットに溶解
した。実施例1と同様にして溶出試験を行い、酢酸水溶
液中に溶け出たCoの濃度を測定したところ、730p
pbであった。
【0059】以上の実施例1〜4の原料組成と分析結果
を表1に、実施例および比較例の発色試験と溶出試験の
結果を表2に示す。
を表1に、実施例および比較例の発色試験と溶出試験の
結果を表2に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の陶磁器用
顔料は、従来の陶磁器用顔料と比べ無鉛フリットを用い
ても色が消えたり、薄くなったり、また変色することが
ないため、従来と同じ製造工程で使用でき、製造工程や
エネルギー消費を増やすことなく、陶磁器の装飾を行う
ことが可能である。また、食酢、コーヒー、ジュース類
への有害な重金属の溶出が抑制できるため、安全であ
り、かつ使用できる色数の制限を受けないため、美的外
観を付与する上で有用である。さらに、無機顔料が化学
的に安定なガラスに内包されているために、顔料同士の
反応による色の変化を考える必要がなく、色の混ぜ合わ
せが簡単に行うことができる。
顔料は、従来の陶磁器用顔料と比べ無鉛フリットを用い
ても色が消えたり、薄くなったり、また変色することが
ないため、従来と同じ製造工程で使用でき、製造工程や
エネルギー消費を増やすことなく、陶磁器の装飾を行う
ことが可能である。また、食酢、コーヒー、ジュース類
への有害な重金属の溶出が抑制できるため、安全であ
り、かつ使用できる色数の制限を受けないため、美的外
観を付与する上で有用である。さらに、無機顔料が化学
的に安定なガラスに内包されているために、顔料同士の
反応による色の変化を考える必要がなく、色の混ぜ合わ
せが簡単に行うことができる。
【0063】また、本発明の製造法によれば、不活性な
雰囲気等を必要としない簡易な装置により球状の透明ガ
ラス体に無機顔料を内包した陶磁器用顔料を製造するこ
とができる。
雰囲気等を必要としない簡易な装置により球状の透明ガ
ラス体に無機顔料を内包した陶磁器用顔料を製造するこ
とができる。
【図1】実施例1により製造された球状の透明ガラス体
にベンガラを内包した陶磁器用顔料の800倍の電子顕
微鏡写真である。
にベンガラを内包した陶磁器用顔料の800倍の電子顕
微鏡写真である。
Claims (4)
- 【請求項1】 SiO250〜90モル%とZrO25
0〜10モル%とからなる球状の透明ガラス体中に無機
顔料が内包された陶磁器用顔料。 - 【請求項2】 次の各工程を有する請求項1記載の陶磁
器用顔料の製造方法。 (イ)水を溶解することができ、かつ無極性有機溶媒と
均一に混合しない溶媒中でケイ素アルコキシドを部分的
に加水分解し、部分加水分解ケイ素アルコキシドを調製
する第1の工程。 (ロ)第1の工程の前又は後に行われ、ポリアルキレン
グリコール、カルボン酸のうちから選ばれた少くとも1
種およびアセチルアセトンから構成される安定剤を添加
し、安定化したジルコニウムアルコキシドを調製する第
2の工程。 (ハ)部分加水分解ケイ素アルコキシドを安定化したジ
ルコニウムアルコキシドに添加し、アルコキシド混合溶
液を調製する第3の工程。 (ニ)アルコキシド混合溶液に水および無機顔料を加
え、無機顔料を含有した前駆体溶液を調製する第4の工
程。 (ホ)非イオン性界面活性剤を添加した無極性有機溶媒
中に、無機顔料を含有した前駆体溶液を分散し、球状ゲ
ル体を得る第5の工程。 (ヘ)球状ゲル体を加熱処理する第6の工程。 - 【請求項3】 ケイ素アルコキシド1モルに対し0.5
モル以上1モル以下の水により部分的に加水分解を行う
請求項2記載の陶磁器用顔料の製造方法。 - 【請求項4】 非イオン性界面活性剤を添加した無極性
有機溶媒に、水が分散されている請求項2又は3記載の
陶磁器用顔料の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25990894A JPH0885766A (ja) | 1994-09-16 | 1994-09-16 | 陶磁器用顔料およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25990894A JPH0885766A (ja) | 1994-09-16 | 1994-09-16 | 陶磁器用顔料およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0885766A true JPH0885766A (ja) | 1996-04-02 |
Family
ID=17340610
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25990894A Pending JPH0885766A (ja) | 1994-09-16 | 1994-09-16 | 陶磁器用顔料およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0885766A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010260935A (ja) * | 2009-05-01 | 2010-11-18 | Okayama Prefecture Industrial Promotion Foundation | 複合粒子を含む粉体及びその製造方法 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS63112665A (ja) * | 1986-10-29 | 1988-05-17 | Mitsubishi Metal Corp | 不活性液状有機フツ素化合物を用いる耐熱性無機顔料の製造方法 |
JPS63113080A (ja) * | 1986-06-20 | 1988-05-18 | Mitsubishi Metal Corp | 被覆顔料の製造方法 |
JPH01275667A (ja) * | 1988-04-27 | 1989-11-06 | Mitsui Toatsu Chem Inc | 金属アルコキシド法による願料粉末の表面改質方法 |
JPH02253837A (ja) * | 1989-03-28 | 1990-10-12 | Agency Of Ind Science & Technol | 不活性粒状体表面の被覆方法 |
-
1994
- 1994-09-16 JP JP25990894A patent/JPH0885766A/ja active Pending
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS63113080A (ja) * | 1986-06-20 | 1988-05-18 | Mitsubishi Metal Corp | 被覆顔料の製造方法 |
JPS63112665A (ja) * | 1986-10-29 | 1988-05-17 | Mitsubishi Metal Corp | 不活性液状有機フツ素化合物を用いる耐熱性無機顔料の製造方法 |
JPH01275667A (ja) * | 1988-04-27 | 1989-11-06 | Mitsui Toatsu Chem Inc | 金属アルコキシド法による願料粉末の表面改質方法 |
JPH02253837A (ja) * | 1989-03-28 | 1990-10-12 | Agency Of Ind Science & Technol | 不活性粒状体表面の被覆方法 |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010260935A (ja) * | 2009-05-01 | 2010-11-18 | Okayama Prefecture Industrial Promotion Foundation | 複合粒子を含む粉体及びその製造方法 |
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