JPH0883588A - X線分析装置 - Google Patents

X線分析装置

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JPH0883588A
JPH0883588A JP6218453A JP21845394A JPH0883588A JP H0883588 A JPH0883588 A JP H0883588A JP 6218453 A JP6218453 A JP 6218453A JP 21845394 A JP21845394 A JP 21845394A JP H0883588 A JPH0883588 A JP H0883588A
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electron beam
ray
ray detector
detector
shutter
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JP6218453A
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Itsuki Sudo
敬己 須藤
Tokuo Kure
得男 久▲禮▼
Takeshi Ninomiya
健 二宮
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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  • Analysing Materials By The Use Of Radiation (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】表面分析技術に係り、凹凸を有する表面、特
に、コンタクトホ−ル底面の残膜の元素分析に適したX
線分析方法および装置を提供する。 【構成】電子線照射により試料表面より発生したX線を
検出するX線検出機構およびこれに入射する電子を遮断
する機構を非磁性材料で構成する。これらを照射電子線
の中心軸の極近傍に設置することにより、照射電子線の
軌道に悪影響を及ぼすことなく且つX線検出手段を損傷
することなくX線分析を行う。 【効果】本発明によれば、試料表面に形成されたコンタ
クトホ−ル等、アスペクト比の大きい孔の底面の残留物
中の軽元素を高精度に定性、定量分析できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は表面分析技術に係り、特
に、微細コンタクトホ−ル等の深孔底面の残膜分析に適
したX線分析装置を提供する。
【0002】
【従来の技術】半導体素子の高集積化を推進するために
は、ディープサブμm以下のレベルでの微細加工技術を
確立しなければならない。たとえば、1GbDRAMの
製作では、直径0.16μm、深さ2μmのコンタクト
ホールの加工が要求されている。このような高精度加工
技術を確立するためには、微細加工の正確さを計測、検
査する技術が必要である。これら技術のうち、ドライエ
ッチング後のエッチング不足に起因する残膜の種類と膜
厚を分析可能な技術が特に必要とされている。この残膜
分析において留意すべき点は、ウエハ表面上は必ずしも
平坦ではなく、先のコンタクトホールの例に象徴される
ように、起伏が大きい箇所での分析も必要になることで
ある。
【0003】ウェハ表面の元素を非破壊で分析する方法
としては、X線分析法がある。この分析法は、例えば特
開昭63−243855に記載の走査電子顕微鏡にX線
検出器を設けた荷電粒子分析装置を利用して、電子線照
射により試料から発生するX線を、X線を分光結晶で分
光し、波長即ちエネルギー別にX線を検出することで試
料の構成元素を分析するものである。しかし、この装置
では分光結晶やX線検出器が電子線中心軸から離れた位
置に設けられているため、前記コンタクトホール内の残
留物のうち、主成分と予想される軽元素から発生するX
線がコンタクトホールの内壁に吸収されるという問題が
あった。この問題を解決するために、我々は走査型電子
顕微鏡にエネルギー分析機能を持つX線検出器を、X線
の発生位置(コンタクトホールの底面)が直視できる位
置、即ち電子線中心軸近傍に設置したX線分析装置を開
発した(特願平4−257789及び特願平6−910
34)。この装置は、コンタクトホール内部に存在する
炭素、酸素並びにシリコンなどの軽元素からのX線を、
電子線中心軸と20度以内の角度で配置された半導体検
出器により分析するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】半導体素子の集積度が
高まるにつれ、前記コンタクトホールの直径2aと深さ
dで規定されるアスペクト比(2a/d)も増大する。
これに対し、前述のようにコンタクトホール内の軽元素
を分析するには、これを直視できるようにX線検出器を
配置しなければならず、その位置は電子線中心軸に対し
て角度θ=tan-1(a/d)の範囲内にとして規定さ
れる。よって、この角度は半導体素子の高集積化に伴
い、256MbDRAMで3度、1GbDRAMで約2
度、4GbDRAMで1度と狭まるため、X線検出器の
位置も電子線中心軸に近づけざるをえなくなる。例え
ば、検出面の直径が6mmのX線検出器を試料表面より
160mmの距離に配置する場合、256MbDRAM
のコンタクトホール内に残留している軽元素を分析する
にはX線検出器を電子線中心軸に対して半径8mmの円
内に収めなければならい。従って、X線検出器(ハウジ
ングを含めて)と電子線中心軸の間隙は、1mm未満と
狭まる。
【0005】このようにX線検出器を電子線中心軸に接
近させて設置した場合、次の2つの問題が生じる。まず
第1の問題は、試料表面に照射される電子線の軌道がX
線検出器の磁化により曲げられ、所定のコンタクトホー
ル内に正確に照射できなくなることである。これによ
り、電子線照射位置とX線分析データとの対応が取れな
くなるため、コンタクトホール内の残膜分析が不可能と
なる。一方第2の問題として、電子線照射により試料か
ら発生した二次電子又は反射電子がX線検出器に損傷を
与え、X線分析時の雑音レベルを上げることがある。こ
の問題は、照射電子線のエネルギーが高くなるほど深刻
になる。質量数がケイ素以下の元素(軽元素)のX線分
析では照射電子線のエネルギーを5keV以下に設定す
るため、X線分析器の劣化(損傷)も許容できる程度で
済むが、X線分析の対象が質量数の大きい元素(重元
素)になるほど照射X線のエネルギーも高めねばなら
ず、X線分析器の損傷の影響も大きくなる。さらに、X
線分析部分を走査電子顕微鏡像(SEM像)で観察し又
は特定するためには照射電子線のエネルギーを30〜5
0keVに設定するため、損傷の影響は顕著となる。ま
た電子線の光軸調整時において、様々な箇所で反射した
多量の電子がX線分析器に入射することによっても、損
傷の影響は大きくなる。
【0006】第2の問題は、X線検出器の検出面にベリ
リウム薄膜フィルタを設けて入射電子を遮断することに
よる解決が考えられる。ベリリウムは非磁性材料である
ため電子線中心軸に近づけることは可能だが、フィルタ
の厚さで透過可能なX線のエネルギ−と遮断可能な電子
線のエネルギ−が制限される。即ち、高エネルギ−電子
を除去できる厚さのフィルタは、軽元素のX線をも吸収
し(分析不能)、軽元素のX線を透過させる薄さのフィ
ルタは、高エネルギ−電子を透過させ検出器に入射させ
る(検出器損傷)。従って、ベリリウム薄膜フィルタを
検出面に設置するだけでは、第2の問題を解決できな
い。
【0007】本発明の目的は、電子線中心軸に接近して
設置したX線検出器でコンタクトホ−ル底面の残膜を高
精度に定性、定量分析を行うX線分析装置において、X
線検出器による照射電子線の軌道への悪影響を解消し、
また照射電子線エネルギ−を高めてもX線検出器の損傷
を抑制できるX線分析装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的は、電子線中心
軸に接近して設けられたX線検出手段(X線検出器およ
びこの検出面に入射する電子を遮断する手段)を非磁性
材料で構成することにより達成される。
【0009】X線検出手段は、少なくとも電子線中心軸
に面した外壁を非磁性材料で構成する。非磁性材料とし
ては、非透磁率が1に近い材料、例えばアルミニウム、
銅、クロム、又はステンレス鋼を用いる。アルミニウム
や銅は非磁性材料として優れるが、熱伝導率が高いとい
う特徴も有する。X線検出器として半導体検出器を用い
る場合、この特徴を利用して、アルミニウム又は銅で形
成されたX線検出器のハウジングを、コールドフィンガ
ー又はペルチェ素子に接合するすることにより、高感度
検出ができるようにX線検出器を冷却しても良い。ステ
ンレス鋼は、種類により冷間加工時に磁性を持つものも
ある。従って、ステンレス鋼の種類によっては、冷間加
工を避ける必要がある。AISI形式番号で、305、
309、310及び314と分類される種類のステンレ
ス鋼は、冷間加工を行っても非磁性が保たれるので、こ
れらを用いるたほうが、所望の形状のX線検出手段を形
成するのに有利である。
【0010】X線検出器に入射する電子を遮断する手段
としては、X線検出器の検出面(例えば、半導体検出
器)全面を覆い、この検出面に対して装脱着可能なシャ
ッタ又はフィルタ(電子遮断フィルタ)を用いる。これ
らは非磁性材料で形成し、遮断する電子のエネルギーに
応じて厚みを設定する。遮断する電子のエネルギーは、
例えば照射電子線のエネルギーに基づいて求めてもよ
い。電子除去フィルタの材料としては、例えばベリリウ
ムがあるが、X線を透過し且つ非磁性であれば、この限
りでない。
【0011】
【作用】X線検出手段の少なくとも電子線中心軸に面す
る部分を非磁性材料で構成することにより、電子線中心
軸にX線検出器を接近させても照射電子線の軌道への支
障が解消される。
【0012】また、非磁性材料で形成されるシャッタ又
は電子遮断フィルタをX線検出器の検出面(X線検知素
子、例えば、半導体検出器で構成)に全面を覆うように
配置することで、X線検知素子への入射電子は遮断され
る。これにより、電子の入射によるX線検知素子の性能
劣化や損傷が解消される。シャッタは照射電子線のエネ
ルギーを高くした場合又は電子線の光軸調整を行う場合
に閉じ、軽元素のX線分析時に開くことで、コンタクト
ホール底面を含めた試料表面の軽元素のX線分析の雑音
レベルを低減する。膜厚の異なる複数の電子遮断フィル
タを、照射電子線のエネルギー(分析対象元素の質量
数)に応じて切り換えて検出面に装脱着することで、軽
元素のみならず重元素も低い雑音レベルで検出できる。
電子除去フィルタを切り換える手段にシャッタを併設す
れば、SEM像観察時や光軸合わせ時のX線検知素子保
護が確実にでき、且つ如何なる元素も低い雑音レベルで
検出できる。
【0013】電子遮断フィルタの切り換え手段として、
例えば、真空チャンバ外から回転操作又は回転制御が可
能な回転テ−ブルに電子遮断フィルタおよびシャッタを
設置し、シャッタ又は所定の膜厚の電子遮断フィルタの
いずれかを用途に応じてX線検出器の前面に配置すると
よい。切り換え手段を構成する回転テ−ブル、テ−ブル
回転機構は、電子遮断フィルタ及びシャッタ同様、非磁
性材料で形成させるため、電子線中心軸に配置しても照
射電子線軌道に悪影響を及ぼさない。
【0014】以上に述べたように、X線検出器及びこれ
に入射する電子の遮断手段を非磁性材料で構成すること
で、X線検出器を電子線中心軸に接近させて配置でき、
且つX線検出器の損傷及び性能劣化を防止することもで
きる。また、バックグラウンドノイズとなる電子のX線
検出器への入射を完全に抑えることで、高感度のX線分
析が可能である。
【0015】
【実施例】以下、図面に示した実施例を参照して本発明
をさらに詳細に説明する。なお、図1〜6における同一
の記号は同一又は類似物を示す。
【0016】<実施例1>本発明の一実施例を図1に示
した。図1では、加速された電子線1が試料2の表面に
垂直に照射されている。ここで、電子線1のビーム径は
残膜の堆積領域の大きさ(たとえば微細孔の直径)に比
べて十分小さく、電子線1の加速エネルギーは5keV
以下に制御されている。電子線1の集束、加速は対物レ
ンズ3およびコンデンサレンズ4により行われている。
電子線1の照射により、残膜からX線5が発生する。こ
のX線5は、対物レンズ3とコンデンサレンズ4の中間
位置で電子線1の近軸に設けられた検出器6で検出され
る。検出器6は、X線固体検出器(SSD)やハーピコ
ン(撮像管)等に代表される、エネルギー分析機能を有
する検出器である。検出器6の設置位置は、検出器の受
光面の全部もしくは一部にX線5が入射するように、で
きるだけ電子線1に近づけることが重要である。このた
め、検出器6は非磁性材料である銅で構成されたハウジ
ング9に収められ、対物レンズ3とコンデンサレンズ4
の間から、電子線中心軸の極近傍に設置される。又ハウ
ジング9の先端部の側面を通過する電子線1は、軌道に
悪影響を及ぼされることなく、集光される。検出器6で
X線5のエネルギー強度を測定することにより、残膜の
定性、定量分析ができる。
【0017】SiKα線等の高いエネルギーをもつX線
は、数μm程度の厚みを有する物質を透過することがで
きるため、側面に設置されたX線検出器7でも検出が可
能である。検出器7もエネルギー分析機能を備えたX線
固体検出器等である。さらに、このX線検出器6および
7の信号強度を比較することにより、物質内部を透過し
た線の減衰率を求め、これから物質の厚みや試料2表面
上の微細孔の深さを求められる。
【0018】電子線1の照射により、試料2の表面から
2次電子も発生する。検出器8はこの2次電子を検出す
る2次電子検出器である。電子線1を試料2の表面上で
走査しながら2次電子を検出することで、試料2表面の
2次電子像(SEM像)が得られる。この像より、分析
すべき残膜の位置を容易に把握、設定できる。
【0019】ハウジング9は図1に示した矢印の方向に
移動可能である。これにより、電子線1の加速、集光が
異なった状態でX線分析を行う場合でも、電子線1に対
するX線検出器6の距離を常に一定に設定できる。な
お、ハウジング9の移動方向は水平方向のみならず、斜
め方向にも移動できる。
【0020】X線検出器6に高エネルギ−あるいは多量
の反射電子、2次電子が入射すると、X線検出器の性能
が劣化してバックグラウンドノイズが増加したり、最悪
の場合にはX線検出素子が破壊される恐れがある。特
に、電子線の光軸調整を行う場合には、様々な箇所で反
射した電子がX線検出器に多量に入射するため、低エネ
ルギ−電子の場合でも検出器の性能劣化を引き起こし易
い。そこで図1に示すように、X線検出器6の前面に、
真空チャンバ外から開閉操作を行うための開閉機構10
を備えたシャッタ11を設置する。電子線の光軸調整時
などのX線検出器6に高エネルギ−または多量の電子が
入射してこの検出器の性能劣化を招く恐れのある場合
に、開閉機構10でシャッタ11を閉じることにより検
出器への電子の入射を遮断し、したがって検出器の性能
劣化を防ぐことができる。また、X線検出素子の性能劣
化を招くことの無い5keV以下の低エネルギ−電子線
でX線分析を行う場合には、開閉機構10でシャッタ1
1を開ける。なお、シャッタ11も電子線1の直近に設
置するためハウジング9と同様に非磁性材料である銅で
構成され、また、いかなる高エネルギ−電子線でも透過
することの無いように充分な厚み(0.5mm以上)を
持たせている。
【0021】以上に述べたように、本実施例によれば、
低エネルギー電子線の照射により発生したX線を電子線
の近軸方向から観測できるため、試料のコンタクトホ−
ル底面の残膜を非破壊で高精度に定性、定量分析でき
る。従って、分析後に試料(例えばウエハ)を製造プロ
セスに戻すことが可能である。また、非磁性材料で構成
したシャッタをX線検出器の前面に設置することによ
り、X線検出器への高エネルギ−または多量の電子の入
射を防ぐことができるため、検出器の性能劣化を招く恐
れのある場合でもX線検出素子の性能劣化を防止するこ
とができる。また本実施例によれば、X線検出器6を電
子線中心軸に対して3度以下の範囲内に設置できるた
め、例えば、256MbDRAMのコンタクトホール底
面に残留する厚さ20nmの膜の元素を定性、定量分析
できる。
【0022】<実施例2>図2は、X線検出器6の前面
にベリリウム材料により構成した電子除去フィルタ12
を設置した実施例である。実施例1で述べたように、低
エネルギ−電子の場合でも、X線検出器に多量に入射す
ると検出器の性能劣化を招く恐れがある。本実施例は、
X線検出器に有害な電子を効果的に除去し、かつ軽元素
のX線分析を高感度に行うものである。本実施例では、
X線検出器6を非磁性のステンレス鋼(AISI形式番
号310S)で形成されたハウジング9に収め、対物レ
ンズ3内部を貫通させて電子線中心軸の極近傍に設置し
ている。X線検出器6の検出面には、電子線を遮断する
ためのフィルタ12が設けられている。このフィルタ
は、ベリリウム膜で形成され、図示せざるもマニプレー
タで膜厚の異なる別のフィルタに交換できる。
【0023】本実施例においては、X線分析を行う際の
電子線の加速エネルギ−に応じて、電子を完全に吸収し
分析すべきX線を充分に透過できるように、電子遮断フ
ィルタ(ベリリウム膜)12の厚みを適切に設定するこ
とが重要である。ベリリウム膜に電子線を照射した際
の、ベリリウム膜中への電子の進入深さと電子線加速エ
ネルギ−との関係を図3に示す。また、ベリリウム膜の
厚みとX線透過率の関係を図4に示す。図3および4に
記載した値は、理論計算および実測デ−タとして公知で
ある。微細孔底面の残膜分析では、C,O等の軽元素を
検出しなければならない。したがって、電子線の加速エ
ネルギ−は5keV以下で分析を行う必要がある。電子
線の加速エネルギ−が2keVでX線分析を行う場合
は、ベリリウム膜中への電子の進入深さが0.05μm
であるため、ベリリウム材料の厚みは0.1μm程度が
適切である。この場合、軽元素の特性X線、例えばOK
αは、0.1μmの厚みのベリリウム膜を93%透過す
る。電子線の加速エネルギ−が5keVでは、ベリリウ
ム膜中への電子の進入深さは0.5μm、ベリリウム材
料の適切な厚みは0.6μm、OKαの透過率は65%
である。
【0024】本実施例によれば、電子線の光軸調整時な
どの多量の電子がX線検出器に入射する場合でも、X線
分析を行う際の電子線の加速エネルギ−に応じて適切な
厚みを持ったベリリウム電子遮断フィルタを設置するこ
とにより、低エネルギ−(例えば5keV以下)の有害
な電子を完全に除去できるため、X線検出器の性能劣化
を防止できる。また、電子遮断フィルタを設置しない場
合にはX線検出器に入射する電子はバックグラウンドノ
イズとなりX線分析感度の低下を招くが、電子遮断フィ
ルタを設置することによりノイズとなる電子を完全に除
去できるため、X線分析感度を向上できる。
【0025】<実施例3>図5は、X線検出器6の前面
に、真空チャンバ外から回転操作を行うための回転機構
13を備えた回転テ−ブル14を設置した実施例であ
る。回転テ−ブル14の構造の詳細を図6に示す。回転
テ−ブル14の母材は非磁性材料、例えば銅で構成す
る。回転テ−ブル面内にはシャッタ15および2種類の
電子線遮断フィルタ16、17を備えている。回転テ−
ブルは、シャッタもしくは電子線遮断フィルタのいずれ
かをX線検出器6の前面に設置できるよう、テ−ブルを
任意に回転制御できるものである。また図6に示すよう
に、回転テーブル14はシャッタ15およびフィルタ1
6、17の一部のみを固定しているが、これは電子線中
心軸の極近傍に必要以上の部材を配置しないためであ
る。、X線検出器6は、実施例2と同じ材質からなるハ
ウジング9に収められ、コンデンサレンズ4を貫通して
電子線中心軸の極近傍に設置される。
【0026】電子線遮断フィルタ16、17は、実施例
2に述べたように、材質はベリリウムを用い、X線分析
を行う際の電子線の加速エネルギ−に応じて適切な厚み
を持たせている。電子線遮断フィルタ16の厚みは0.
6μmであり、電子線の加速エネルギ−が5keV以下
で軽元素のX線分析を行う場合に用いる。このことは、
実施例2で詳しく述べた通りである。電子線遮断フィル
タ17の厚みは20μmであり、電子線の加速エネルギ
−が5keV以上で重元素のX線分析を行う場合に用い
る。例えば、電子線の加速エネルギ−が30keVでX
線分析を行う場合は、ベリリウム膜中への電子の進入深
さが18μmであるため、ベリリウム材料の厚みは20
μm程度と厚くする必要がある。この場合、軽元素の特
性X線、例えばOKαはほとんど透過しないため軽元素
のX線分析は不可能であるが、SiKαは67%透過す
る。Siよりも重い元素はさらに高い透過率であるた
め、充分な分析感度を得ることが可能である。
【0027】本実施例によれば、回転テ−ブル内のシャ
ッタ15をX線検出器6の前面に設置することにより、
実施例1と同様に、電子線の光軸調整を行う場合などの
X線検出器に高エネルギ−または多量の電子が入射して
検出器の性能劣化を招く恐れのある場合に、検出器への
電子の入射を防ぐことができ、したがって検出器の性能
劣化を防ぐことができる。また、X線分析を行う際の電
子線の加速エネルギ−に応じて電子線遮断フィルタ1
6、17のいずれかを選択的に用いることにより、いか
なるエネルギ−の電子でも完全に除去できるため、X線
検出器の性能劣化を防止でき、さらにX線分析感度を向
上できる。
【0028】なお、本実施例で述べた電子線遮断フィル
タ16、17のそれぞれの厚みは上記実施例に限定する
ものではなく、X線分析を行う際の電子線の加速エネル
ギ−に応じて任意の厚みを持たせることができるものと
する。また、電子線遮断フィルタの枚数も上記実施例の
ごとく2枚に限定するものではなく、何枚備えてもよ
い。本実施例で肝要なのは、厚みの異なる複数枚の電子
線遮断フィルタのいずれかを選択的に用いることによ
り、いかなるエネルギ−の電子線を用いてX線分析を行
っても、検出器への電子の入射を防ぐことにより検出器
の性能劣化を防ぎ、X線分析感度を向上できることにあ
る。
【0029】<実施例4>本実施例では、図7(a)に
示すように中心に電子線透過孔を有するX線検出器6
を、これと同様にステンレス鋼製のハウジング9に収
め、対物レンズ3と試料2が載置される試料台(図示せ
ず)の間に設置したものである。ハウジング9の電子線
透過孔の壁面は、実施例2のハウジング9と同じ種類の
非磁性のステンレス鋼で形成される。シャッタ11は、
検出器6の電子線透過孔を塞がぬよう、カメラの絞りに
類似の構成としてある。即ち、本実施例では図7(b)
に示すようにシャッタ11を4枚の板で構成し、夫々を
ロッド18を介してX線検出器6の外周に配されたリン
グ19と連結させている。このリング19をシャッタ開
閉機構10のロータ(矢印方向に回転)で回転させるこ
とにより、ロッド18はシャッタ11を構成する4枚の
板を夫々外周へ引き、シャッタ11を開く。シャッタ開
閉機構10、シャッタ11、ロッド18、及びリング1
9は、ハウジング9の電子線透過孔壁面と同様の非磁性
のステンレス鋼で形成される。
【0030】本実施例では、他の実施例に比べX線検出
器の検出面の面積を大きくできるため、検出感度をより
高くできるという利点がある。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、収束した電子線を試料
表面に照射し、コンタクトホ−ル底面の残膜から発生す
るX線を電子線の近軸方向から観測する際に、X線検出
器を構成する部品を非磁性材料で構成することにより、
電子線の近軸(電子線中心軸の極近傍)にX線検出器を
設置しても電子線に悪影響を及ぼすことなく、コンタク
トホ−ル底面の残膜を高精度に定性、定量分析可能であ
る。本発明によれば、X線検出器を電子線中心軸に対し
て3度以内の狭い範囲に接近して設置できるため、25
6Mb以上のDRAMのコンタクトホール内の残膜分析
も可能となる。また、X線検出器前面に非磁性材料で構
成したシャッタもしくは電子線遮断フィルタを設置する
ことにより、電子線の近軸に設置されるX線検出器への
電子の入射を遮断するため、検出器の性能劣化を防ぐこ
とができる。
【0032】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す装置構成図であ
る。
【図2】本発明の第2の実施例を示す装置構成図であ
る。
【図3】ベリリウム膜への電子進入深さの電子線加速エ
ネルギー依存性を示す図である。
【図4】ベリリウムの膜厚に対するX線透過率の変化を
示す図である。
【図5】本発明の第3の実施例を示す装置構成図であ
る。
【図6】本発明の第3の実施例の詳細を示す装置構成図
である。
【図7】本発明の第4の実施例を示す装置構成図であ
る。
【符号の説明】
1…電子線、2…試料、3…対物レンズ、4…コンデン
サレンズ、5…X線、6、7…X線検出器、8…2次電
子検出器、9…ハウジング、10…シャッタ開閉機構、
11…シャッタ、12…電子線遮断フィルタ、13…テ
−ブル回転機構、14…回転テ−ブル、15…シャッ
タ、16…電子線遮断フィルタ、17…電子線遮断フィ
ルタ、18…ロッド、19…リング。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】X線分析すべき微細孔の直径もしくは一辺
    の長さを2a、深さをdとした場合、tan(a/d)
    =θで定まる角度をθとすると、試料表面に加速、集束
    した電子線を照射し、電子線照射により発生したX線を
    電子線の中心軸からθの範囲内で定義される領域内にX
    線検出器を設けて試料表面の残膜の定性、定量分析を行
    うX線分析装置において、少なくとも前記X線検出器又
    は該X線検出器のハウジングの電子線の中心軸に面した
    部分が非磁性材料で構成されることを特徴とするX線分
    析装置。
  2. 【請求項2】前記X線検出器は、壁面が非磁性材料で構
    成された電子線貫通孔を備えることを特徴とする請求項
    1記載のX線分析装置。
  3. 【請求項3】前記X線検出器は、電子線を照射するため
    の対物レンズもしくはコンデンサレンズの内部、又は対
    物レンズとコンデンサレンズの間に設けられることを特
    徴とする請求項1又は請求項2に記載のX線分析装置。
  4. 【請求項4】前記X線検出器は、対物レンズと試料を載
    置するための試料台の間に設けたことを特徴とする請求
    項1又は請求項2に記載のX線分析装置。
  5. 【請求項5】前記X線検出器の前面に、真空外から開閉
    操作可能なシャッタを設けたことを特徴とする請求項1
    〜4記載のX線分析装置。
  6. 【請求項6】前記シャッタおよび開閉操作機構が、非磁
    性材料で構成されたことを特徴とする請求項5記載のX
    線分析装置。
  7. 【請求項7】前記X線検出器の前面に、電子線遮断フィ
    ルタを設けたことを特徴とする請求項1〜4記載のX線
    分析装置。
  8. 【請求項8】前記X線検出器の前面に、シャッタ又は電
    子線遮断フィルタを備えた真空外から回転操作可能な回
    転テ−ブルを設けたことを特徴とする請求項1〜4記載
    のX線分析装置。
  9. 【請求項9】前記回転テ−ブルに備えた電子線遮断フィ
    ルタが、複数枚設けられたことを特徴とする請求項8記
    載のX線分析装置。
  10. 【請求項10】前記電子線遮断フィルタが、ベリリウム
    で構成されたことを特徴とする請求項7〜9記載のX線
    分析装置。
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