JPH0881808A - 腕カバー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 装着時に衣服の袖部分にしわを寄せず、また
腕を圧迫することなく作業員に対して良好且つ心地良い
装着感を与えるとともに、装着後においては安定した装
着状態を維持することができ、加えて装着及び着脱作業
が簡単且つ迅速にできるものであり、しかも構造が極め
て簡単であること。 【構成】 カバー部１の一端を腕側広口部２とし、他端
を手首側固定口部３とし、該手首側固定口部３のみを手
首に弾性的に締付け自在とすること。カバー部１を構成
する素材ｍで立ち上がりをもたらす重合部４はカバー部
１の内方側に形成すること。その重合部４の長手方向と
カバー部１の長手方向とは略一致してなること。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は装着時に衣服の袖部分に
しわを寄せず、また腕を圧迫することなく心地良い装着
感を与え、且つ構造が極めて簡単である腕カバーに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来より種々のタイプの腕カバーが存在
している。その多くのものは布で筒状のものとして形成
されており、その両口部はゴムバンド等が装着されて手
首及び腕を締めつけるようにして衣服の袖部分に固定す
るものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従来の腕カバーでは、
手首部分を固定する手首固定口と腕ａ部分を固定する腕
部固定口の両方に締めつけ固定用のゴムバンド等の締め
つけ部材を設けているので手首部分はともかく、腕ａ部
分を締めつけることとなり装着時に腕ａ部に圧迫感を与
えるものであった。特に、従来タイプの腕カバーでは柔
らかい生地で製造されているので、腕ａよりずれ落ちな
いようにするために腕ａの肘付近の固定のために締付け
部が形成され、これが腕に強く食い込むこととなり、図
９（ａ）に示すように、腕ａにアザｂが生じたり、或い
は図９（ｂ）に示すように、腕ａの血管ｖにおける血液
の流れが悪くなり、作業に悪影響を及ぼすこととなる。

【０００４】さらに、図８（ａ）に示すように、カバー
部分の生地が衣服の袖部分を圧迫することで、図８
（ｂ），（ｃ）に示すように、衣服の袖部分に多数のし
わが生じることとなり、腕カバーの装着が煩わしいもの
となる。さらにまた、生地の厚い腕カバーを装着するこ
とで、腕ａの運動能力が低下し、ひいては作業員の作業
効率をも低下させることとなる。また、従来タイプの腕
カバーは装着すると手首及び腕ａ部側で弾性的に締付け
固定するものであるために、腕カバーと衣服の袖或いは
腕ａとの間に空気の流通が極端に少なくなり、それゆえ
に腕カバー内で蒸れる状態となってしまう。従って、従
来タイプの腕カバーを装着した作業員はその蒸れた状態
で不快となり、作業効率も著しく低下することはまぬが
れない。

【０００５】また、上記問題点に加えて、図１０（ａ）
に示すように、従来タイプの腕カバーでは腕ａに装着し
た状態において腕ａを伸ばしたり曲げたりしている間
に、図１０（ｂ）に示すように、腕カバーの腕ａ側の固
定部分が適正位置から次第にずれてしまうことがあっ
た。それを正しい位置に戻そうとすると、腕固定部が弾
性的に締めつけるものであるために衣服の袖になお一層
多くのしわを生じさせてしまうのみならず、何度も位置
を戻している間に腕ａにはより多くの圧迫がかかる等の
欠点もある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】そこで、発明者は上記課
題を解決すべく、鋭意，研究を重ねた結果、本発明をカ
バー部の一端を腕側広口部とし、他端を手首側固定口部
とし、該手首側固定口部のみを手首に弾性的に締付け自
在とし、前記カバー部を構成する素材で立ち上がりをも
たらす重合部はカバー部の内方側に形成し、且つその重
合部の長手方向とカバー部の長手方向とは略一致してな
る腕カバーとしたことにより、作業員に対して良好な装
着感を与え、且つ装着後においても安定した装着状態を
維持することができ、さらに装着、着脱を簡単且つ迅速
に行うことができ、上記課題を解決したものである。

【０００７】

【作用】本発明の腕カバーを装着する際には、まず図７
（ａ）に示すように、腕側広口部２より手に通し始め、
次に、腕側広口部２を徐々に衣服の袖ｓに通し、図７
（ｂ）に示すように、袖ｓの肘部分にまで移動させる。
このときには手首側固定口部３が手首に到達し、手首が
手首側固定口部３の弾性的な締付けにより心地よく固定
される。カバー部１は図２（ａ），図３に示すように、
腕側広口部２と略同等広さであり、腕側広口部２側より
袖ｓに装着する際には腕ａを被覆している衣服の袖ｓ表
面を簡単に移動させることができる。腕側広口部２は腕
ａを圧迫するような締め付けは行わない。且つ重合部４
は、カバー部１の長手方向（腕ａを通す方向）に沿って
形成していることで、カバー部１の長手方向の補強用芯
の役目をなし、腕カバーを安定した状態で装着すること
ができる。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。本発明の腕カバーは、図４に示すように、カバー
部１，腕側広口部２及び手首側固定口部３から構成され
ている。そのカバー部１の一端側に腕側広口部２が形成
され、他端側に手首側固定口部３が形成されている。そ
のカバー部１を略円形状にしたときの広さと腕側広口部
２とは略同等広さを有している。そのカバー部１の具体
的な広さとは、作業員が衣服の袖ｓ部分の上から極めて
容易に通過させることができ、また装着時においても衣
服の袖ｓ部分を外方から緩やかに触れる程度の広さであ
る〔図２（ａ）及び（ｂ）参照〕。

【０００９】そのカバー部１と腕側広口部２とは一体的
に連続しており、腕側広口部２は作業員の腕ａを被覆す
る袖ｓを外方より圧迫することがなく、且つ袖ｓにしわ
を生じさせない程度の広さを有している。この状態を具
体的に示したものが図３であり、袖ｓの自然状態の平均
的な直径Ｄｓは本発明の腕カバーのカバー部１及び腕側
広口部２の自然状態の直径Ｄｃよりも小さくなってい
る。

【００１０】手首側固定口部３は、図１（ａ），（ｂ）
に示すように、腕カバーを袖ｓに装着したときに手首部
分を弾性的に締め付けて固定するものである。その手首
側固定口部３にはゴムバンド或いはギャザー等の輪状締
付け弾性体３ａが内装されており、該輪状締付け弾性体
４の締付け力により手首部分を弾性的に締め付けること
ができるものである。

【００１１】本発明における腕カバーを構成する素材ｍ
は、不織布或いは織布であり、またその他には合成樹脂
素材が使用される。且つ、前記素材ｍは通気性を有する
ものが使用される。その素材ｍは、具体的には極めて薄
い合成樹脂性のシートであり、その素材ｍ面に肉薄状と
なって通気性を有する通気部が存在している。その裏面
には通気性のある繊維状の裏地シート材が設けられた二
層タイプとなっている。このような性質に加えて、元の
形状や位置に戻りやすいいわゆる復元性に優れたもので
あり、また、しわが生じにくいもので、たとえしわが生
じても、そのしわが消滅し易い材質のものであることが
好ましい。また、水に強い防水性を有したり、燃えにく
い材質等にすることもある。

【００１２】その素材ｍから、本発明の腕カバーを製造
するには、一枚のシート状の素材ｍを円筒形状となるよ
うにして、端部同士を重合するものである。本発明で
は、その重合した部分を重合部４と称する。該重合部４
の重合方向は、腕カバーの長手方向、即ち円筒状とした
場合のカバー部１の長手方向に沿って形成されている。
さらに、重合部４はカバー部１の内方、即ち円筒状とし
たカバー部１の円筒状内方側に存在するものである〔図
４（ａ）及び図５参照〕。

【００１３】その重合部４の構成の実施例としては溶着
が用いられる。さらに具体的には、腕カバーを構成する
素材ｍを円筒形状に形成してカバー部１とするときに、
その素材ｍの端部同士をカバー部１の内方側に突出する
ようにして当接し、これを溶着するものである（図５参
照）。その重合部４では上述したように、カバー部１の
端部同士を密着させて溶着するタイプ以外の別のタイプ
が存在する。これらについて述べると、まず図６（ａ）
に示すように、カバー部１の重合部４における一端側の
重合端片４ａに対して他端側の重合端片４ａを折り返し
て使用するものとし、前記一端側の重合端片４ａを他端
側の重合端片４ａに折り返し状に挟み、これらを重合溶
着するものである。

【００１４】さらに、別の実施例としては、図６（ｂ）
に示すように、カバー部１の一端側の重合端片４ａと他
端側の重合端片４ａとを重合するとともに、その重合し
た溶着用端部同士を折り返し、これをさらに外側から溶
着してゆくものである。また、重合部４の構成としては
前述したように溶着すること以外に縫合用糸にて縫い合
わせて行くタイプの実施例も存在するものである。

【００１５】さらに、上記の重合部４はカバー部１の内
面側に重合するように縫い付ける重合部４も存在する
〔図６（ｃ）参照〕。そして、重合部４の重合方向をカ
バー部１の長手方向に沿って形成することにより、重合
部４がカバー部１の補強用の芯材を兼ねることとなる。
それゆえに、重合部４を厚く形成することでカバー部１
の芯材として強固なものにできるし、重合部４を薄く形
成することでカバー部１の腕ａに対する追従性能を良好
にすることができる。このように使用状態に応じて重合
部４を上述したように適宜に形成する。

【００１６】本発明における腕カバーを衣服の袖ｓ部分
に装着するときには、腕側広口部２から作業員の手を入
れ、そのまま腕側広口部２を作業員の肩方向に引き上げ
るようにして引っ張り、そのままカバー部１が袖ｓを被
覆する状態となるまで引き上げる。腕側広口部２及びカ
バー部１は、衣服の袖ｓよりも広く形成してなるため
に、袖ｓを容易に通過させることができ、装着は極めて
容易にできる。

【００１７】

【発明の効果】請求項１においては、カバー部１の一端
を腕側広口部２とし、他端を手首側固定口部３とし、該
手首側固定口部３のみを手首に弾性的に締付け自在と
し、前記カバー部１を構成する素材ｍで立ち上がりをも
たらす重合部４はカバー部１の内方側に形成し、且つそ
の重合部４の長手方向とカバー部１の長手方向とは略一
致してなる腕カバーとしたことにより、まず第１に衣服
の袖ｓに対する装着が簡単にできるし、第２に袖ｓ部分
にしわを寄せることを防止することができるし、第３に
腕ａを圧迫することなく良好な装着感を得ることができ
る等の種々の効果を奏する。

【００１８】上記効果を詳述すると、本発明の腕カバー
では、手首側固定口部３のみを手首に弾性的に締付け自
在とし、その他はカバー部１の一端を腕側広口部２とし
ていることで、衣服の袖ｓに装着を行うときに、抵抗な
く簡単に装着することができる。またカバー部１及び腕
側広口部２は、広く形成されているので袖ｓがカバー部
１及び腕側広口部２から強く押圧されることがなく、そ
れゆえに袖ｓ部分にしわが生じることを防止することが
できる。そして、さらに手首側固定口部３のみが手首部
分を弾性的に固定することで、袖ｓを通して腕ａ部分を
圧迫することがなく作業員は良好な装着感を得ることが
できる。

【００１９】さらに、上述したように腕側広口部２は広
く形成されているので、腕ａや袖ｓを覆うカバー部１内
の空気の流通は腕側広口部２を介して十分に行われるも
のであり、従ってカバー部１内で蒸れることを確実に防
止することができ装着状態は常時快適である。さらに、
腕側広口部２が広く形成されていることから、腕ａ或い
は袖ｓに対して締付け状態とはならず、それゆえに腕ａ
を屈伸するたびに腕側広口部２が適正位置よりずれたと
しても、広く形成した腕側広口部２を元の適正位置に戻
すことは極めて容易であり、しかもその際に袖ｓ等にし
わを生じさせることもなく、この点においても従来タイ
プの腕カバーよりも優れているものである。

【００２０】次に、請求項２においては、請求項１にお
いて、前記カバー部１の重合部４における両重合端片４
ａ，４ａの少なくとも一方の重合端片４ａを折返し状と
し、他方の重合端片４ａを挟持重合してなる腕カバーと
したことにより、カバー部１の芯材としての役目をな
し、カバー部１の形状の復元性能を向上させることがで
きる等の効果を奏する。即ち、重合部４における両重合
端片４ａ，４ａの少なくとも一方の重合端片４ａを折返
し状とし、他方の重合端片４ａを挟持重合することによ
り重合部４を適宜に厚く形成することができ、これが適
当に柔軟性を有し且つ復元性を有する芯材となり、本発
明の腕カバーに適正な復元性を与え、作業状態を良好な
ものとし、さらに装着感も極めて良好となる。

【００２１】次に、請求項３においては、請求項２にお
いて、前記重合部４は両重合端片４ａ，４ａ同士を重合
溶着してなる腕カバーとしたことにより、本発明の腕カ
バーの製造は溶着手段によって極めて簡単にすることが
でき、この溶着手段によれば大量生産に適するものとな
り、ひいては低価格にて提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）は本発明の腕カバーを伸ばした腕に装着
した状態を示す斜視図 （ｂ）は本発明の腕カバーを曲げた腕に装着した状態の
斜視図

【図２】（ａ）は本発明の断面にした腕カバーを伸ばし
た腕に装着した状態を示す斜視図 （ｂ）は本発明の断面にした腕カバーを伸ばした腕に装
着した状態を示す断面図

【図３】本発明の断面にした腕カバーを伸ばした腕に装
着した状態を示す拡大斜視図

【図４】（ａ）は本発明の腕カバーの一部断面にした斜
視図 （ｂ）重合部の拡大斜視図

【図５】腕カバーの断面図

【図６】（ａ）は重合部の実施例の拡大断面図 （ｂ）は重合部の別の実施例の拡大断面図 （ｃ）は重合部をカバー部の内面に縫い付けた実施例を
示す拡大斜視図

【図７】（ａ）及び（ｂ）は本発明の腕カバーを腕に装
着する状態を示す略示図

【図８】（ａ）は従来タイプの腕カバーを装着したこと
により袖にしわが生じた状態の断面図 （ｂ）は従来タイプの腕カバーを装着したことにより袖
に多数のしわが生じた斜視図 （ｃ）は従来タイプの袖カバーにて袖にしわが生じた状
態の断面図

【図９】（ａ）は従来タイプの袖カバーにより腕にアザ
が生じた斜視図 （ｂ）は従来タイプの袖カバーにより血液の流れが悪く
なった状態の略示図

【図１０】（ａ）は従来タイプの袖カバーを装着し腕を
伸ばした状態を示す斜視図 （ｂ）は従来タイプの袖カバーを装着し腕を曲げた状態
を示す斜視図

【符号の説明】

１…カバー部 ２…腕側広口部 ３…手首側固定口部 ４…重合部 ４ａ…重合端片 ｍ…素材

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 カバー部の一端を腕側広口部とし、他端
   を手首側固定口部とし、該手首側固定口部のみを手首に
   弾性的に締付け自在とし、前記カバー部を構成する素材
   で立ち上がりをもたらす重合部はカバー部の内方側に形
   成し、且つその重合部の長手方向とカバー部の長手方向
   とは略一致してなることを特徴とした腕カバー。
2. 【請求項２】 請求項１において、前記カバー部の重合
   部における両重合端片の少なくとも一方の重合端片を折
   返し状とし、他方の重合端片を挟持重合してなることを
   特徴とした腕カバー。
3. 【請求項３】 請求項２において、前記重合部は両重合
   端片同士を重合溶着してなることを特徴とした腕カバ
   ー。