JPH0881773A - 高周波スパッタリング装置 - Google Patents

高周波スパッタリング装置

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JPH0881773A
JPH0881773A JP6244878A JP24487894A JPH0881773A JP H0881773 A JPH0881773 A JP H0881773A JP 6244878 A JP6244878 A JP 6244878A JP 24487894 A JP24487894 A JP 24487894A JP H0881773 A JPH0881773 A JP H0881773A
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JP
Japan
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film
sputtering
film formation
power source
multilayer film
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JP6244878A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Nakamura
浩 中村
Masayuki Otani
正之 大谷
Shinichi Hiraki
信一 平木
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 バッチ間及びバッチ内ばらつきの小さい高精
度の薄膜を作製できる高周波スパッタリング装置を得
る。 【構成】 高周波スパッタリング装置において、モニタ
ー手段によって放電中の高周波電源の直流成分値をモニ
ターし、該モニター手段からの出力に基づいて、制御手
段により、高周波電源の直流成分がスパッタリング中予
め定められた設定値に維持されるように、高周波電源の
出力電位を制御することによって、バッチ間およびバッ
チ内のばらつきを抑えて高精度な薄膜の作製を可能とし
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高周波スパッタリング
法によって基板に薄膜を形成する高周波スパッタリング
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高周波スパッタリング装置、所謂rf
(radio-frequency )スパッタリング装置は、イオン衝
撃によってスパッタ源から物質が放出されるスパッタリ
ングを利用して、基板上に、放出された物質による薄膜
を形成するのに用いられている。例えば、反射防止や反
射増加等の機能を有する光学薄膜を基板上に形成すると
きに使用されている。
【0003】このような光学薄膜の1つに、X線多層膜
反射鏡に用いられる薄膜がある。X線多層膜は、基板上
に2種類もしくはそれ以上の物質を1層を数nmの膜厚
で交互に数十から数百層積層したものであり、スパッタ
リング装置で作製されている。
【0004】X線多層膜反射鏡は、多層膜の各界面で反
射した光の干渉効果を利用したものである。即ち、X線
の波長をλ、多層膜の1周期の長さ(周期長)をd、X
線の斜入射角をθ、回折次数をmとしたとき、以下の
(1)式で表されるブラッグの条件を満足させることによ
って高いX線反射率を持たせたものである。この条件か
らはずれたところではX線はほとんど反射しない。 2d・sinθ=mλ … (1)式
【0005】X線多層膜反射鏡は、まず光学設計により
波長及び斜入射角が決められる。この決められた波長と
斜入射角から (1)式のブラッグの条件を満たすように多
層膜の周期長が決められる。X線の波長はnmオーダー
であるため、 (1)式からもわかるように多層膜の周期長
も数nm程度になる。例えば、斜入射角θ=30°で波
長λ=3. 4nmのX線を反射させるNi/V25
層膜の周期長はd=3. 4nmであり、理想的な多層膜
では19%の反射率が期待される。
【0006】しかし、この多層膜の周期長が0. 1nm
ずれると反射率が1%に低下する。このように、X線多
層膜反射鏡用の多層膜は、設計値からの周期長のずれを
0.1nm以下の精度で製作しなければならない。この
ため、成膜装置の膜厚の制御性と再現性、即ちバッチ間
でのばらつきにもこの精度が要求される。
【0007】さらに通常、rfスパッタリング装置を使
用してX線多層膜反射鏡を製作する場合には、設計した
周期長を得るために予備成膜を数バッチ行い、得られた
成膜速度等のデータから周期長の調整を行う。この方法
で周期長を調整するためにも、装置のバッチ間のばらつ
き、再現性は0. 1nm(周期長に対して2%)以下で
なければならない。
【0008】また、X線多層膜は多数の界面の干渉を利
用してX線を反射させるために、多層膜の各層の膜厚の
ばらつき、即ちバッチ内ばらつきも反射率の低下の原因
になる。前述と同様の計算から、バッチ内ばらつきも
0. 1nm、周期長に対して2%以下の精度にしなけれ
ばならないことがわかる。
【0009】従来のrfスパッタリング装置では、上記
のようなバッチ間及びバッチ内でのばらつきを小さくす
るために次の2つの方法が用いられてきた。第1に、毎
回、バッチ毎にrf電力、即ちrf電源の出力電位を同
一に設定し、また成膜中もこの出力電位を一定に保つよ
うモニターしフィードバックして制御を行なう方法であ
る。この時、膜厚は成膜時間で制御する。
【0010】第2に、膜厚モニターで成膜速度と膜厚を
モニターして、膜厚を制御する方法である。しかし、第
2の方法では、成膜速度及び膜厚のモニターは水晶振動
子を用いて行なっており、これは、ノイズに弱く、さら
に熱及び堆積物によりドリフトを起こしてしまうため
に、X線多層膜を作製するために必要な精度で膜厚のモ
ニター及び制御することができない。したがって、通常
は第1の方法が使用されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
如く、各バッチ毎にrf電源の出力電位を同じに設定し
ても、バッチ間で多層膜の周期長が5%程度ばらつき、
多層膜反射鏡用の多層膜に必要な精度を満たすことがで
きないことが実験から明らかになった。これはスパッタ
リングが行なわれる真空チャンバー内の汚れ等により、
プラズマの状態が各バッチで異なっているために、成膜
速度が変化したと推定される。
【0012】また、従来の装置で作製した多層膜のX線
回折図形(波長λ=0. 154nm)を測定したとこ
ろ、理想的な多層膜の場合の計算値に比べて回折ピーク
の半値幅が広く、反射率も低いことが明らかになった。
多層膜の回折ピークの半値幅は、多層膜の周期性、即ち
各層の膜厚のばらつきに対応しており、周期性が悪くば
らつきの大きいほど回折ピークの半値幅が広くなる。し
たがって、従来の装置で作製した多層膜は、周期性が悪
くバッチ内ばらつきが大きいことを示している。
【0013】以上のように、従来のrfスパッタリング
装置の膜厚制御方法では、バッチ間及びバッチ内ばらつ
きをX線多層膜の要求精度内に抑えることができないと
いう問題点があった。本発明は、上記問題点を鑑み、バ
ッチ間およびバッチ内ばらつきがX線多層膜反射鏡の許
容誤差内であるrfスパッタリング装置を提供すること
を目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明に係る高周波スパッタリング
装置では、高周波電源からの高周波により、スパッタ源
にプラズマを発生させてスパッタリングをひき起こし、
基板上に前記スパッタ源から放出された物質の薄膜を形
成する高周波スパッタリング装置において、放電中の前
記高周波電源の直流成分値をモニターするモニター手段
と、該モニター手段からの出力に基づいて、前記高周波
電源の直流成分がスパッタリング中予め定められた設定
値に維持されるように、前記高周波電源の出力電位を制
御する制御手段と、を備えたものである。
【0015】
【作用】本発明のrfスパッタリング装置は、基板上に
スパッタ源から放出された物質の薄膜を形成する際に、
モニター手段によって、放電中の高周波電源の直流成分
値をモニターし、該モニター手段からの出力に基づい
て、制御手段によって高周波電源の直流成分がスパッタ
リング中予め定められた設定値に維持されるように、高
周波電源の出力電位を制御するものである。
【0016】rfスパッタリング装置による薄膜形成で
は、スパッタ源、所謂ターゲットに高周波をかけて生じ
るプラズマの状態が成膜速度に大きく影響することが知
られている。rfプラズマのバイアスは、プラズマ中の
イオンがターゲットに衝突する際のエネルギーに対応し
ている。イオンの衝突エネルギーの変化は、スパッタリ
ング収率(入射イオン1個に対して放出される原子の
数)の変化を引き起こす。したがって、バイアスが異な
ると、成膜速度が異なることになる。
【0017】このように、rfプラズマのバイアスに相
当するrf電源の直流成分は成膜速度と密接な関係を持
っている。この直流成分は、投入するrf電力、即ちr
f電源の出力電位を同じに設定しても、チャンバーの汚
れ、雰囲気等によってバッチ間で異なることが実験から
確かめられた。前述のように、rf電源の出力電位を同
一に設定する従来のrfスパッタリング装置では、バッ
チ間で直流成分が異なり、従って成膜速度がバッチ間で
異なるために、時間で膜厚を制御する方法ではバッチ間
ばらつきが大きくなってまう。以上のことから、まず、
バッチ間で直流成分を同一に設定することによって、バ
ッチ間ばらつきを小さくすることができる。
【0018】また、rf電源の出力電位を一定にして、
直流成分の時間的変化を測定したところ、時間と共に直
流成分が減少し、2時間程度で初期設定値から2%程度
小さくなることが判明した。X線の多層膜の作製には、
通常、2時間以上の時間が掛かるために、従来のスパッ
タリング装置で作製した多層膜では、基板側から最上層
に向かって次第に周期が小さくなっていると推測され
る。これで、従来の装置で作製した多層膜の周期性の悪
さ、バッチ内ばらつきが説明される。
【0019】本発明は、以上のように、rf電源の出力
電位を同一に設定し、これを一定に保っても、常に、同
じ直流成分は得られないということを見出した結果、こ
の、成膜速度を左右するプラズマのバイアスに相当する
直流成分自体を制御することによってバッチ間、および
バッチ内のばらつきをなくそうとしたものである。
【0020】即ち、本発明のrfスパッタリング装置
は、基板上にスパッタ源から放出された物質の薄膜を形
成する際に、モニター手段によって、放電中の高周波電
源の直流成分値をモニターし、該モニター手段からの出
力に基づいて、制御手段によって高周波電源の直流成分
がスパッタリング中予め定められた設定値に維持される
ように、高周波電源の出力電位を制御するものである。
【0021】従って、本発明のrfスパッタリング装置
によれば、以上のことから、まず、バッチ毎に成膜開始
直前に直流成分を同一に設定し、成膜中、直流成分が一
定になるようにrf電源の出力電位を制御することによ
って、成膜速度を一定に維持できるので、X線多層膜形
成などの薄膜形成において周期性を良くし、バッチ内の
ばらつきを従来に比べて非常に小さくできると同時に、
成膜の再現性が良好でバッチ間ばらつきも従来に比べ非
常に小さくすることができる。
【0022】本発明のrfスパッタリング装置の作用を
図4に概略構成図を示した装置を例に以下に説明する。
本装置は、真空チャンバー18内にスパッタ源であるタ
ーゲット14と、薄膜が積層される基板を保持する基板
ホルダー16と、ターゲット14と基板との間に開閉可
能に設けられたシャッタ15が備えられており、装置全
体がパソコン等の制御システム10によって制御される
ものである。従って、rf電源13は、制御システム1
0の指令に従って、モニター機構11による直流成分V
dcのモニター結果に基づき、コントローラ12を通して
出力電位が制御される。
【0023】このような構成において、制御システム1
0に、直流成分値Vdc、成膜時間、チャンバー内ガス
圧、基板回転機構17による基板ホルダーの回転速度な
どの成膜条件を入力し、装置の作動を開始する。まず、
制御システム10の指令に従い、コントローラ12を通
してrf電源13を調整し放電を開始させ、モニター機
構11によって直流成分値Vdcをモニターしつつ、シャ
ッタ15を閉じて基板をカバーした状態でプレスパッタ
リングを行ない、ターゲット表面を清浄化してスパッタ
析出物が純粋なものになる状態にする。このとき、直流
成分値Vdcが設定値になるようモニター機構11からの
結果に基づいてコントローラ12を通してrf電源の出
力電位を制御する。プレスパッタリングが終了すると共
に、直流成分値Vdcを含む成膜条件が全て整った時点
で、シャッタ15を開けて、基板上への成膜を開始す
る。
【0024】成膜中も、モニター機構11による直流成
分値Vdcのモニターを続け、直流成分値Vdcが設定値よ
り予め定められた変位量以上に変化した場合、モニター
結果に基づいて、制御システム10はコントローラ12
に信号を出力し、rf電源の出力電位を変化させ、直流
成分値Vdcが設置値を維持するように制御する。この制
御を成膜終了まで繰返し、成膜時間に達した時点でシャ
ッタ15を閉じて放電を終了させる。
【0025】なお、複数種類の薄膜の積層を繰返して形
成し、積層膜の周期性に精度が要求される成膜の場合に
は、成膜中の直流成分値を設定値に維持し、成膜速度を
一定に保つことが重要であり、これにより、周期性を良
好にし、バッチ内でのばらつきが小さくできるので、作
成された多層膜は精度の高いものとなる。特に光学部材
用の多層膜に有効であり、例えばX線多層膜反射鏡用の
多層膜では、反射率の低下の原因となる周期長のばらつ
きを極力小さくし、反射率の低下を、従来では不可能で
あった許容範囲内(例えば1%以内)に抑えることが可
能となる。
【0026】しかしながら、このような多層膜と異な
り、積層膜の周期性に精度を要求する必要がない薄層、
単層成膜など、バッチ間の再現性のみが問題となるよう
な薄膜形成の場合には、直流成分値のモニターしてこの
直流成分値を設定値に保つようにrf電源の出力電位を
制御するのは、成膜開始直前までの上記プレスパッタリ
ングの間だけでよく、バッチ毎に、成膜開始直前に直流
成分値が設定値になるよう調整すれば良い。
【0027】このように、本発明にかかるrfスパッタ
リング装置により精度良く成膜できる薄膜は、X線多層
膜反射鏡用の多層膜に限定されるものではなく、他の波
長域の光学薄膜や人工超格子等の、膜厚を精度良く制御
する必要のある全ての薄膜に適用できるものであること
は言うまでもない。
【0028】なお、直流成分のモニターおよびその結果
に基づくrf電源の出力電位の制御は、スパッタリング
中連続的に行なってもよいが、特に成膜中の制御の際、
直流成分の単位時間当りの変動が直線的で比較的緩やか
な場合など、直流成分の最大変動量を所望の範囲内にし
得る適当な時間間隔、例えば5秒間隔など、を設定して
定期的にモニターして出力電位を制御するようにしても
良い。
【0029】また、rf電源の出力電位に対する制御が
作動する基準となる直流成分の設定値からの変動量の上
限は、形成される多層膜の周期性に求められる精度、即
ち許容される周期長のずれ量に応じて、例えば1%な
ど、適宜設定すれば良い。
【0030】
【実施例】以下に、本発明を実施例をもって詳細に説明
する。 (実施例1)まず、本発明の第1の実施例として、図1
に概略構成図で示した2つのrf電源、2つのスパッタ
源を備えたrfスパッタリング装置を用い、基板上にM
oとSiの2種類の薄膜を順次積層してなるX線多層膜
反射鏡用の多層膜の形成を5バッチ行なう場合を以下に
説明する。本実施例は、rf電源の直流成分値のモニタ
ーおよびモニター結果に基づく出力電位の制御をバッチ
毎に成膜開始直前まで(例えばプレスパッタリング中)
に行ない、成膜中は直流成分値およびrf電力のモニタ
ーのみを行なって出力電位の制御を行なわないで主にバ
ッチ間のばらつきを検討したものである。
【0031】図1の装置において、真空チャンバー9
(ここでは、気体:アルゴンガス導入系、および真空排
気系の表示は省略した)内には、第1のスパッタ源とし
てのMoターゲット5Mo、第2のスパッタ源としてのS
iターゲット5Siが設置されており、基板回転機構8に
より回転速度が調整される基板ホルダー7にSiウエハ
基板が保持されており、各ターゲットと基板との間に
は、それぞれ第1のシャッタ6a、第2のシャッタ6b
が備えられている。
【0032】また、Moターゲット5Mo、Siターゲッ
ト5Siにはそれぞれ独立した第1のrf電源4aおよび
第2のrf電源4bが接続されている。第1のrf電源
4aには、直流成分値をモニターするモニター手段とし
ての第1のモニター機構2aが設けられており、このモ
ニター結果に基づき、パソコンなどの制御システム1か
らの指令に従って、第1のrf電源4aの出力電位を変
化させる出力電位制御手段としての第1のコントローラ
3aが備えられている。第2のrf電源4bについても
同様に、第2のモニター機構2bおよび第2のコントロ
ーラ3bが設けられている。
【0033】以上のような構成において、まず、制御シ
ステム1に成膜条件を入力する。本実施例では、多層膜
のMo薄膜長dMo=5nm,Si薄膜長dSi=5nmの
周期長d=10nmで積層数20ペアとした。また、ア
ルゴンガス圧4mTorrとし、基板ホルダー7の回転速度
は、Mo成膜時は7回転/20min 、Si成膜時は13
回転/20min に設定した。なお、本実施例の制御動作
は図2(a)のフローチャート図に示した。
【0034】成膜条件入力後、第1のシャッタ6aおよ
び第2のシャッタ6bを閉じて基板をカバーした状態
で、制御システム1の指令に従い、第1のコントローラ
3aおよび第2のコントローラ3bを通してそれぞれ第
1のrf電源4aおよび第2のrf電源4bを調整し放
電を開始させ、第1のモニター機構2aおよび第2のモ
ニター機構2bによって各直流成分値をモニターしつ
つ、プレスパッタリングを行ない、各rf電源の直流成
分値を設定値に調整する(101)。ここでは、第1の
rf電源4aの直流成分値を200V、第2のrf電源
4bの直流成分値を290Vに設定した。この時、両r
f電源の電力は0.3kWであった。
【0035】各rf電源の直流成分値を含む成膜条件が
全て整った時点で、基板ホルダー7を回転させた状態で
の第1のシャッタ6aと第2のシャッタ6bとを交互に
開け(102)、成膜を開始する(103)。即ち、M
o成膜時には、制御システム1からの指令により第1の
シャッタ6aを開け、第2のシャッタ6bを閉じると共
に、基板ホルダー7の回転速度をMo成膜用に基板回転
機構8を制御する。また、Si成膜時には、逆に第1の
シャッタ6aを閉じ、第2のシャッタ6bを開ける共
に、基板ホルダー7の回転速度をSi成膜用に切り換え
るよう基板回転機構8を制御する。
【0036】Mo,Si成膜を交互に行ない、成膜中は
制御システム1において、所定の成膜時間に達したかど
うかが判断され(104)、所定成膜時間に達した時点
で、成膜時間に達した時点で第1のシャッタ6aおよび
第2のシャッタ6bを閉じて(105)、第1のコント
ローラ3aおよび第2のコントローラ3bを通して各r
f電源に放電を終了させ、成膜を終了する(106)。
【0037】以上の1バッチ目が終了した後、Siウエ
ハ基板を取り換えて同じ成膜条件で2バッチ目の成膜を
行なった。1バッチ目の成膜終了時点で第1のrf電源
4aの直流成分値は195Vに低下していた(rf電力
は0.3kWのまま)。従って、2バッチ目の成膜開始
直前に、第1のrf電源4aおよび第2のrf電源4b
の出力電位をそれぞれ第1のコントローラ3aおよび第
2のコントローラ3bを通して変化させ、各直流成分値
を設定値に調整し、1バッチ目と同じ成膜条件が整った
後に成膜を開始し、Mo・Siの20ペア多層膜を作製
する。
【0038】以下同様に、成膜開始前毎に直流成分値を
含む成膜条件を全て、3、4、5バッチと整えた後、M
o・Siの20ペア多層膜を作製した。作製した5つ多
層膜について、X線回折装置を使用して各多層膜の周期
長を測定し、平均周期長を得た。測定した結果、5つの
多層膜の周期長の平均値は10. 1nm±0. 05nm
であり各バッチ間のばらつきは1%以内に入っていた。
【0039】ここで比較のために、上記5バッチと同じ
仕様の多層膜を、従来のrf電力を一定に保って成膜す
る方法により図1のrfスパッタリング装置を用いて作
製した。即ち、1バッチ目で周期長10nmになるよう
に成膜条件を調整しておき、2バッチ目以降は、全く1
バッチ目で設定したrf電力(出力電位)を変化させる
ことなく5バッチの多層膜作製を行った。この従来方法
で作製した5つの多層膜について、X線回折装置を使用
して各多層膜の周期長を測定し、平均周期長を求めたと
ころ、周期長は9. 5±0. 3nmであり、バッチ間で
6%のばらつきを持っていた。さらに、各多層膜の周期
長はバッチ回数の増加に対して逆比例して小さくなり、
平均値も設計値より0. 5nm小さくなっていた。
【0040】このように、従来方法で作製した多層膜
は、X線多層膜に要求される精度をはるかに越えている
のに対して、本実施例の装置では要求精度内の精度でX
線多層膜反射鏡用の多層膜を作製できることが明らかと
なった。
【0041】(実施例2)次に、本発明の第2の実施例
として、実施例1と同じ図1に示したrfスパッタリン
グ装置を用いて、成膜開始直前のプレスパッタリングに
おいてだけでなく、成膜中にも、rf電源の直流成分値
をモニターし、モニター結果に基いて出力電位を制御
し、成膜終了まで直流成分値が設定値を維持した状態
で、基板上にMoとSiの薄膜を順次積層してなるX線
多層膜反射鏡用の多層膜の形成を行なった場合を以下に
説明する。本実施例では、主にバッチ内のばらつき、即
ち周期長のばらつきを検討したものである。
【0042】まず、制御システム1に成膜条件を入力す
る。本実施例では、多層膜のMo薄膜長dMo=2.5n
m,Si薄膜長dSi=5nmの周期長d=7nmで積層
数20ペアとした。また、アルゴンガス圧4mTorrと
し、基板ホルダー7の回転速度は、Mo成膜時は5回転
/20min 、Si成膜時は13回転/20min に設定し
た。また、各直流成分値が成膜開始前に調整された設定
値を維持するように、rf電源の出力電位を変化させる
基準となる直流成分値の変動許容範囲の上限を1%に設
定した。本実施例の制御動作は図2(b)のフローチャ
ート図に示した。
【0043】成膜条件入力後、第1のシャッタ6aおよ
び第2のシャッタ6bを閉じて基板をカバーした状態
で、制御システム1の指令に従い、第1のコントローラ
3aおよび第2のコントローラ3bを通してそれぞれ第
1のrf電源4aおよび第2のrf電源4bを調整し放
電を開始させ、第1のモニター機構2aおよび第2のモ
ニター機構2bによって各直流成分値をモニターしつ
つ、プレスパッタリングを行ない、各rf電源の直流成
分値を設定値に調整する(111)。ここでは、第1の
rf電源4aの直流成分値を200V、第2のrf電源
4bの直流成分値を290Vに設定した。この時、両r
f電源の電力は0.3kWであった。
【0044】各rf電源の直流成分値を含む成膜条件が
全て整った時点で、制御システム1からの指令により基
板ホルダー7の回転速度を適宜切り換えながら回転させ
た状態での第1のシャッタ6aと第2のシャッタ6bと
を交互に開け(112)、成膜を開始する(113)。
【0045】Mo,Si成膜を交互に行ない、成膜中
は、第1のモニター機構2aおよび第2のモニター機構
2bによりそれぞれ第1のrf電源4aおよび第2のr
f電源4bの各直流成分値をモニターし、制御システム
1において、所定の成膜時間に達したかどうかが判断さ
れ(115)、所定成膜時間に達していなければ、さら
に各直流成分値の変動量が1%に達しているどうかを判
断する(116)。1%に達していなければそのままの
状態で成膜を続行し、達していた場合は、そのrf電源
の出力電位を変化させるようにコントローラに指令を出
力し、変動量が1%に達していた直流成分値を設定値に
なるよう調整する(117)。
【0046】成膜時間内において、上記の制御を繰り返
し、常に直流成分値がほぼ設定値を保つように、即ち変
動量が1%以内を維持するようにする。所定の成膜時間
に達し時点で、第1のシャッタ6aおよび第2のシャッ
タ6bを閉じて(118)、第1のコントローラ3aお
よび第2のコントローラ3bを通して各rf電源に放電
を終了させ、成膜を終了する(119)。
【0047】以上の操作によって作製した多層膜につい
て、X線回折装置を使用して周期長と回折図形を測定し
た。測定した多層膜の周期長は7. 5nmで設計値と一
致していた。また、X線回折図形を図3(a)に示す。
【0048】比較のために、従来のrf電力(rf電源
の出力電位)を一定に保って成膜する方法により、本実
施例のrfスパッタリング装置を用いて本実施例と同じ
仕様の多層膜を作製した。即ち、成膜開成前に周期長
7.5nmになるように成膜条件を調整しておき、成膜
開始以降、全くrf電力(出力電位)を変化させること
なく多層膜作製を行った。この従来法で作製した多層膜
について、X線回折装置を使用して周期長と回折図形を
測定した。多層膜の周期は6. 9nmであった。さら
に、X線回折図形を図3(b)に示す。
【0049】図3の(a)と(b)に示したのX線回折
図形の回折ピークに注目すると、本第2の実施例で作製
した多層膜(a)の方が、比較のために従来方法で作製
した多層膜(b)よりもピークの半値幅が狭いことがわ
かる。したがって、本実施例で作製した多層膜の方が多
層膜の周期性が優れており、バッチ内ばらつきが改善さ
れていることがわかる。
【0050】また、これらの2つの多層膜を波長13n
mのX線で反射率を測定したところ、本実施例で作製し
た多層膜は67%の反射率が得られたのに対して、従来
方法で作製した多層膜の場合には60%の反射率しか得
られなかった。このように、周期性を改善することによ
って多層膜の反射率も高くなった。
【0051】なお、以上の実施例では、異なる膜厚のも
のを積層するに当って、基板ホルダー7の回転速度を変
化させることによって成膜種毎の成膜速度の調整を行な
っている。rf電力を変化させることによっても膜種毎
に成膜速度をそれ用に切り換えることは可能であるが、
この方法では、rf電力、即ち出力電位を大きく変化さ
せることになるため、出力電位の微妙な制御によって成
膜中の直流成分、成膜速度を一定に制御する本願発明の
スパッタリングでは、出力電位の大きな変化を避けた方
が好ましい。
【0052】また、以上の実施例では、2種類の薄膜を
積層する場合を示したが、本願発明によるrfスパッタ
リング装置では、3種類以上、あるいは単層の薄膜形成
の場合にも有効であることは言うまでもない。
【0053】
【発明の効果】以上のように、本発明の高周波スパッタ
リング装置によれば、バッチ間及びバッチ内ばらつきの
小さい高精度の薄膜を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例によるrfスパッタリン
グ装置の概略構成図である。
【図2】rfスパッタリング装置の制御動作を示すフロ
ーチャート図であり、(a)は第1の実施例による多層
膜形成時のフローチャート図、(b)は第2の実施例に
よる多層膜形成時のフローチャート図である。
【図3】X線多層膜反射鏡のX線回折図形で、縦軸に反
射率%(但し、対数関数表示)、横軸にかすめ入射角
(deg.)を示したものであり、(a)は第2の実施
例で作製した多層膜のX線回折図形で、(b)は比較の
ために従来法で作製した多層膜のX線回折図形である。
【図4】本発明によるrfスパッタリング装置の作用機
構を説明するための概略構成図である。
【符号の説明】
1,10:制御システム(パソコン) 2a,2b,11:モニター機構 3a,3b,12:(rf出力電位制御)コントローラ 4a,4b,13:rf電源 5Mo,5Si,14:ターゲット(スパッタ源) 6a,6b,15:シャッタ 7,16:基板ホルダー 8,17:基板回転機構 9,18:真空チャンバー

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高周波電源からの高周波により、スパッ
    タ源にプラズマを発生させてスパッタリングをひき起こ
    し、基板上に前記スパッタ源から放出された物質の薄膜
    を形成する高周波スパッタリング装置において、 放電中の前記高周波電源の直流成分値をモニターするモ
    ニター手段と、 該モニター手段からの出力に基づいて、前記高周波電源
    の直流成分がスパッタリング中予め定められた設定値に
    維持されるように、前記高周波電源の出力電位を制御す
    る制御手段と、を備えたことを特徴とする高周波スパッ
    タリング装置。
JP6244878A 1994-09-14 1994-09-14 高周波スパッタリング装置 Pending JPH0881773A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003029798A1 (fr) * 2001-09-27 2003-04-10 Rigaku Corporation Instrument de mesure des rayons x, et systeme et procede de mesure et de formation de couches minces

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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