JP3660698B2 - 人工格子の作製方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、複数のターゲットをスパッタリングすることによって基板上に人工格子を作製する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
2種類の物質(第1層物質と第2層物質)を、それぞれ厚さλ1,λ2として、合計Λ(=λ1+λ2)の周期長でN周期堆積した多層膜を人工格子あるいは超格子と呼ぶ。各層を構成する物質の例としては、単元素や、合金、化合物(窒化物、酸化物、半導体など)がある。人工格子は天然に存在しない物質なので、特殊な機能が期待できる。最近では、人工格子を構成する物質として、化合物半導体以外の金属や、炭化物、窒化物、酸化物へと研究対象が拡大している。また、応用面からも、それらの人工格子は、超高周波半導体素子以外に、X線顕微鏡、モノクロメータ、ICマスク、超伝導素子、磁気抵抗素子、次世代光磁気ディスク等々の多くの可能性がある。
【0003】
人工格子の作製方法としては、スパッタリング法やレーザーアブレーション法、イオンビームスパッタ法等の種々の方法が試みられている。これらの作製方法の中でスパッタリング法が量産化の観点から注目されている。
【0004】
石井等は2個(MoとSi)のターゲットを用いるスパッタリング法で、周期長6.7nmの「Mo/Si」人工格子を作製し、軟X線で46%の反射率を得ている。この人工格子は、直入射に近い条件で使用する縮小露光用の光学鏡やマスクとして使用可能な反射特性を備えている。(SR Science and Technology Information, Vol.1, No.1, 1991)
【0005】
また、山本等も2個(MoとSi)のターゲットを用いるスパッタリング法で、「Mo/Si」の161周期の人工格子を試作し、60〜80%の高い反射率を得ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
人工格子の作製において重要なポイントは、(1)第1層と第2層の膜厚が、N周期にわたって、それぞれ一定であり、界面の凹凸もないこと。(2)量産化の観点から人工格子を一度に大量に作製できること、の2点である。以下に、これらの点を詳しく説明する。
【0007】
(1)第1層と第2層の膜厚が、N周期にわたって、それぞれ一定であり、界面の凹凸もないこと、について。特に光学用人工格子では、膜厚の誤差や界面の凹凸があると、積層回数の増加に伴って乱れが累積され、反射率が低下する。このような乱れによる界面の位置の不確定性をΔzとすると、人工周期がΛであるとき、反射率の減衰因子はexp(−4π2 Δz2 /Λ2 )となる。例えば、各層の膜厚がすべて2nm(Λ=4nm)と仮定すると、減衰因子を80%にするにはΔzは0.2nmにする必要がある。このように、人工格子の作製プロセスでは、界面の位置の不確定性をできるだけ小さくする必要がある。
【0008】
従来のスパッタリング法による人工格子の作製プロセスでは、第1層堆積用のターゲットと第2層堆積用のターゲットを同時に放電させて、同時にシャッターを開放し、各ターゲットに順に対向するように基板を回転させることにより、基板上に第1層と第2層を交互に積層させている。この方法には次のような問題点がある。それぞれの膜の堆積速度は、まず、各ターゲットに投入する電力に依存する。また、基板がターゲットの対向位置を通過するときに堆積する膜厚は、基板回転速度にも依存する。したがって、基板が1回転する間に所定の膜厚を堆積させようとすれば、投入電力と基板回転速度とを調節する必要があり、この投入電力と基板回転速度は独立して任意の値にすることはできない。また、スパッタリング法では、投入電力によって膜質がかなり変化することが知られている。さらに、堆積速度によっては人工格子中の界面の凹凸が変化することも考えられる。したがって、投入電力の最適条件はかなり限定される。一方、基板回転速度のゆらぎは膜厚誤差を引き起こすことになるが、基板回転機構についても、回転速度のゆらぎを生じにくいような最適な速度条件が存在しうる。つまり、基板が1回転する間に所定の膜厚が堆積できるような投入電力と基板回転速度に調節してみても、その投入電力と基板回転速度は、必ずしも、膜厚誤差や界面凹凸の少ない良質な人工格子を作製するための最適条件とはなっていないという問題がある。
【0009】
特に、光学用人工格子では、第1層と第2層の膜厚がほぼ等しい場合に高い反射率が得られるので、第1層と第2層の膜厚を等しくする、という条件がさらに加わり、プロセスパラメータに対する制約はより大きくなる。例えば、スパッタ率の大きく異なる2種類の材料の組み合わせ(例えば重金属と炭素)で人工格子を作製する場合、基板が1回転する間に第1層と第2層を同じ膜厚だけ堆積しようとすると、スパッタ率の高い方のターゲットの投入電力を、スパッタ率の低い方のターゲットよりも極端に低くする必要がある。このようにすると、投入電力を極端に低くした方のターゲットでは放電が不安定にになりやすく、その堆積層では、膜厚や膜質の再現性が得られなくなる。
【0010】
また、最近、界面の平滑性を高めるために、窒化物や、炭化物、酸化物などからなる人工格子が検討されているが、これらの人工格子では、反応性スパッタリング法が用いられるため、ターゲット投入電力の最適条件に対する制約はさらに大きくなる。
【0011】
(2)量産化の観点から人工格子を一度に大量に作製できること、について。前述したスパッタリング法の文献は、研究試作的なデータだけを述べていて、実際に量産化する場合の問題には触れていない。従来技術では、基板を各ターゲットに順に対向するように回転させながら、2個のターゲットを同時に放電させて、同時にシャッターを開放しており、この状態で、基板上に人工格子を作製している。基板上には第1層と第2層を交互に積層する必要があるが、同時にシャッターを開けた場合には、基板と各ターゲットとの相対位置関係が問題になり、基板ホルダーに取り付け可能な基板の個数が少なくなり、一度に大量に人工格子を作製するのが難しい。この点を、図面を用いて説明する。
【0012】
図11の(A)は、円筒型の回転基板ホルダー10の円筒面上に6枚の基板2a〜2fを取り付けて、2個のターゲット12、14を用いて人工格子を作製する従来方法の平面図である。二つのターゲット12、14を同時に放電させて、二つのシャッター16、18を同時に開くと、基板ホルダー10が1回転する間に、6枚の基板のそれぞれに、ターゲット12による第1層とターゲット14による第2層とが堆積し、N回転すれば、N周期の人工格子が完成する。ところで、この図面に示す基板位置のときに二つのシャッター12、14を同時に開くと、基板2aは最初にターゲット12に対向して第1層の方から堆積が開始するのに対して、基板2dは最初にターゲット14に対向して第2層の方から堆積が開始する。結局、基板2a〜2cの3枚は、基板上に第1層物質から堆積が開始し、基板2d〜2fの3枚は第2層物質から堆積が開始する。すなわち、全く同じ人工格子とはならない。そして、第1層物質と第2層物質のどちらが基板に接触するかによって人工格子の品質が異なる場合があり得る。例えば、基板に接触する膜と基板との相性によって、相互拡散の度合いが異なったり、基板と膜との密着性が異なったりする。このように、二つの層のうちの特定の層を必ず基板に接触させるような要求がある場合、図11の(A)に示すような基板配置ではうまくいかない。同様に、人工格子の最上層(表面層)を特定の層で終わらせるような要求がある場合にも、同時に二つのシャッターを閉じる方法では、やはり、うまくいかない。
【0013】
これに対して、図11の(B)のように、3枚の基板2a〜2cだけにすると、二つのシャッター16、18の同時開閉でも、すべての基板について第1層と第2層の配列を全く同じにすることができる。ただし、基板の処理枚数は少なくならざるを得ない。
【0014】
そこで、この発明の目的は、人工格子を構成する各層の膜厚を精密に制御できて、かつ、一度に大量の人工格子薄膜を作製できるような方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この発明の人工格子の作製方法は、シャッターの開閉制御を主体とすることに特徴がある。すなわち、この発明は、2種類の堆積層が周期的に繰り返す人工格子を、複数のターゲットをスパッタリングすることによって基板上に作製する方法において、まず、複数のターゲットに順番に対向しながら基板が循環して運動するように基板を一定の速度で移動させるとともに、第1層堆積用ターゲットのためのシャッター(以下、第1シャッターという。)と第2層堆積用ターゲットのためのシャッター(以下、第2シャッターという。)とを閉じた状態で、第1層堆積用ターゲットと第2層堆積用ターゲットにそれぞれ所定の電力を投入する。そして、このような状態において、次のようなシャッター開閉制御を実施している。最初に、基板が第1層堆積用ターゲットの対向位置にないときに第1シャッターを開き、基板が第1層堆積用ターゲットの対向位置を所定回数だけ通過したのちに第1シャッターを閉じる。これにより、基板上に第1層が所定の膜厚だけ堆積する。次に、基板が第2層堆積用ターゲットの対向位置にないときに第2シャッターを開き、基板が第2層堆積用ターゲットの対向位置を所定回数だけ通過したのちに第2シャッターを閉じる。これにより、第1層の上に、第2層が所定の膜厚だけ堆積する。これで、1周期分の人工格子が完成する。次に、このようなシャッター開閉制御をN回だけ繰り返すと、N周期の人工格子が完成する。
【0016】
第1層堆積用ターゲットは、1個に限らず、2個以上のこともある。すなわち、同一種類の2個のターゲットを使って堆積速度を増やすこともあるし、異なる種類のターゲットを用いて基板上に複合材質層を形成することも考えられる。第2層堆積用ターゲットについても同様に、1個に限らない。
【0017】
人工格子の作製においては、第1層と第2層からなる周期をN周期だけ繰り返す必要があるので、基板は複数のターゲットに順番に対向しながら循環して運動する必要がある。この循環運動は、典型的には、基板の回転運動で実現できる。例えば、円筒型や円形平板型の基板ホルダーに基板を取り付けて、この基板ホルダーを回転する。
【0018】
シャッターの開閉タイミングは、基板がターゲットに対向していない時点にする必要がある。基板上に膜が堆積する期間というのは、基板の一部がターゲットに対向し始めてから、基板がターゲット対向位置から完全に外れるまでの期間である。したがって、シャッターを開くタイミングは、基板の一部がターゲットに対向し始める以前とする。もし、基板の一部がターゲットに対向し始めてからシャッターを開くと、そのときに堆積し始めた堆積層は、目的の堆積膜厚より小さくなってしまう。シャッターを閉じるタイミングも、同様に、基板が完全にターゲット対向位置を通過したのちである。
【0019】
基板が元の位置に戻るまでの経過時間を、以下、循環所要時間と呼ぶことにすると、回転式の基板ホルダーにあっては、循環所要時間は基板ホルダーが1回転する時間に相当する。以下、回転基板ホルダーを例にとって説明する。基板ホルダーが1回転する間に、基板は第1層ターゲットの対向位置を1回だけ通過し、その間に、所定の膜厚だけ第1層が堆積する。この堆積膜厚が第1層必要膜厚に等しければ、基板ホルダーが1回転したのちに第2層の堆積段階に移行すればよい。もし、1回転する間の第1層堆積膜厚が第1層必要膜厚より小さければ、基板ホルダーを2回転以上させて、必要膜厚に達するまで第1層堆積段階を継続する必要がある。この説明から分かるように、基板ホルダーが1回転する間に堆積する膜厚は、各層の必要膜厚の整数分の1(必要膜厚に等しい場合を含む)にする必要がある。換言すれば、このような条件を満足するように、基板の回転速度とターゲット投入電力を調節する必要がある。基板の回転速度と、ターゲット投入電力と、1回転する間の堆積膜厚、との関係は、あらかじめ実験をして把握しておけばよい。
【0020】
人工格子は、典型的には、2種類の層をN周期だけ繰り返して作製するが、3種類以上の層をN周期だけ繰り返すような人工格子を作製する場合にも、2種類の層の場合と同様の方法で作製できる。
【0021】
【作用】
回転基板ホルダーを使う場合を例にして作用を説明する。まず、すべてのターゲットにそれぞれ所定の電力を投入した状態で、基板ホルダーを一定速度で回転させておく。最初に、第1シャッターを開いて基板ホルダーを1回転または2回転以上させてから第1シャッターを閉じることにより、基板上に所定の膜厚の第1層を堆積する。次に、第2シャッターを開いて基板ホルダーを1回転または2回転以上回転させてから第2シャッターを閉じることにより、基板上に所定の膜厚の第2層を堆積する。これにより、1周期分の人工格子が完成する。このような第1層と第2層の堆積作業を、N回繰り返すことにより、N周期の人工格子が完成する。
【0022】
【実施例】
図1は、この発明の一実施例を示す平面配置図であり、基板とターゲットとシャッターとの配置関係を示している。この実施例は、2.5nmの厚さの窒化バナジウムの層と、2.5nmの厚さの窒化炭素の層からなる1周期を、30周期だけ堆積した人工格子を作製するものである。この人工格子を、[VNx (2.5nm)/CNx (2.5nm)]30と表現することにする。
【0023】
図1の(A)において、円筒型の基板ホルダー10の円筒面上には6個の基板2a〜2fが取り付けられている。この基板ホルダー10は円筒面の中心線の回りを2rpmの回転速度で回転する。第1ターゲット12はバナジウム、第2ターゲット14は炭素であって、窒素ガス雰囲気中でこれらのターゲットをスパッタリングすることによって、基板上に窒化バナジウムと窒化炭素を堆積することができる。まず、100%窒素ガスの圧力を1Paに保って、第1ターゲット12に185Wの高周波電力を投入し、第2ターゲット14に240Wの高周波電力を投入する。二つのシャッター16、18は閉じた状態にある。
【0024】
6個の基板のうちの特定の基板2a(この基板を基準基板と呼ぶことにする。)が、第1ターゲット12に対向し始める手前の位置にきたときに、第1シャッター16を開く。すると、この基板2aがターゲット12の対向位置を通過する間に、基板2aには窒化バナジウムが0.625nmの厚さで堆積する。その次の基板2bがターゲット12の対向位置を通過する間にも、同様に、この基板2bに窒化バナジウムが同じ厚さだけ堆積する。このようにして、基準基板2aが図1の(A)に示す元の位置に戻るまでの間(すなわち基板ホルダー10が1回転する間)に、6枚の基板2a〜2fのそれぞれに0.625nmの厚さの窒化バナジウムが堆積する。
【0025】
このような状態で、基板ホルダー10をさらに3回転(すなわち、合計4回転)させると、6枚の基板のそれぞれに、0.625×4=2.5nmの窒化バナジウムが堆積する。これで第1層の堆積が終了する。そして、基板ホルダー10が4回転して、図1の(A)に示す基板位置(以下、A位置と呼ぶ。)に戻ったときに、第1シャッター16を閉じる。
【0026】
次に、上述のA位置から基板ホルダー10がさらに半回転(180度)だけ回転すると、図1の(B)に示す基板位置(以下、B位置と呼ぶ。)となる。このB位置では、基準基板2aが、第2ターゲット14に対向し始める手前の位置にある。このときに第2シャッター18を開く。基板2aがターゲット14の対向位置を通過する間に、基板2aには窒化炭素が2.5nmの厚さで堆積する。その次の基板2bがターゲット14の対向位置を通過する間にも、この基板2bに窒化炭素が同じ厚さだけ堆積する。このようにして、基準基板2aがB位置に戻るまでの間(すなわち基板ホルダー10が1回転する間)に、6枚の基板2a〜2fのそれぞれに2.5nmの厚さの窒化炭素が堆積する。そして、基準基板2aがB位置に戻ったときに、第2シャッター18を閉じる。これで、第2層の堆積が終了する。
【0027】
第2層の堆積が終了した時点のB位置から、さらに基板ホルダー10が半回転すると、基板位置はA位置に戻る。これで、1周期分の堆積作業が完了して、1サイクルが終了する。1周期分の堆積作業において、基板ホルダーの回転回数は、第1層堆積作業の4回転と、A位置からB位置に移る半回転と、第2層の堆積作業の1回転と、B位置からA位置に戻るまでの半回転、の合計で6回転となる。以上の第1層と第2層の堆積作業を30回繰り返すことにより、目的の人工格子[VNx (2.5nm)/CNx (2.5nm)]30が完成する。
【0028】
図2は、上述した手順をグラフ化したタイミングチャートである。バナジウムターゲットのシャッター(Vシャッター)は基板ホルダーがA位置からA位置まで4回転する間だけ開いており、また、炭素ターゲットのシャッター(Cシャッター)は基板ホルダーがB位置からB位置まで1回転する間だけ開いている。スタートしてから最初の4回転の間に、窒化バナジウムが2.5nmだけ堆積する。また、基板ホルダーが4.5回転目から5.5回転目の間に窒化炭素が2.5nmだけ堆積する。このようにして基板ホルダーが6回転することで1周期分の作業(1サイクル)が終了する。これを30サイクル実施するので、基板ホルダーの回転回数は合計で180回転となる。基板ホルダーの回転速度は2rpmなので、全体の所要時間は90分である。
【0029】
ところで、図2において、膜厚の増加グラフの時間軸は、基準基板2aの膜厚について示してある。その次の基板2bについては、破線20で示すように、基準基板より6分の1回転だけ遅れて膜が堆積していく。いずれにしても、基準基板がA位置からA位置に戻る1回転の間に、6枚の基板すべてについて、いずれかの時点で膜が堆積する。
【0030】
次に、シャッターを開閉するタイミングについて詳しく説明する。図1の(A)において、第1ターゲット12に対向する領域Lでは、ターゲットでスパッタリングされた粒子が多く飛来する。したがって、この領域Lに基板が存在しないような基板位置のときに、第1シャッター16を開閉する必要がある。もし、この領域Lに基板の一部でも入っているときに、第1シャッター16を開いたり閉じたりすると、この基板が第1ターゲット16の対向位置を通過する間に基板上に堆積する窒化バナジウムの膜厚は、予定した0.625nmよりも小さくなってしまう。これは、第2シャッターの開閉タイミングについても同様である。
【0031】
この実施例では、基板ホルダー10に6枚の基板を等配で取り付けているので、どの基板を基準基板としても、A位置とB位置とにおいて、すべての基板がターゲット対向位置に存在しないような配置となる。もし基準基板を特定の基板2aだけに限定すれば、基準基板2aとその手前の基板2fとの間を領域L以上に離しておきさえすれば、その他の基板間隔は領域Lよりも狭くしても構わない。こうすれば、より多くの基板を基板ホルダーに取り付けることができ、量産性が向上する。
【0032】
なお、図1の(A)では領域Lをほぼターゲットの寸法と同程度に描いてあるが、実際には、領域Lはターゲットの寸法よりもある程度大きくする必要がある。スパッタリングされた粒子はターゲットの正面以外の方向にも飛んでいくからである。結局、ターゲット対向位置の領域Lは、膜厚制御に実質的に影響を及ぼすだけの粒子量が飛来する領域、と言うことができる。
【0033】
図3は人工格子作製装置の全体構成を示す平面断面図である。この装置は、いわゆるカルーセル型の回転基板ホルダー10を備えるものであり、基板とターゲットとシャッターとの配置関係は上述の図1に示した通りである。この装置は、直径3インチの円形ターゲット12,14を、円周上の180度離れた位置に、対向して配置している。各ターゲットには、整合回路22と高周波電源24が接続されている。ターゲット12,14と基板ホルダー10の間には、それぞれ独立にシャッター16,18があり、シャッター駆動機構26,28によって駆動されて開閉する。シャッター駆動機構26,28は、5kgf/cm2 の圧縮空気の制御により駆動される。
【0034】
基板2を取り出すときは、基板搬送機構30を用いることにより、処理室すなわち真空容器32を大気にすることなく、基板2を外部に取り出すことができる。スパッタリングガスとしては、2種類のガスを使用できる構造になっており、例えば、アルゴンガスか窒素ガス、または両方の混合ガスを用いることができる。スパッタリングガスは、マスフローメーター(図示せず)で流量制御しながら、リング状パイプ34に供給することができ、このリング状パイプ34の複数のガス吹き出し孔から真空容器32内にガスが導入される。
【0035】
この装置を用いて上述のような人工格子を作製するには、まず、真空容器32内を10-5Pa以下の真空状態に排気してから、100%の窒素ガスを導入し、マスフローメーターと主排気系メインバルブを調整することにより真空容器32内の圧力を1Pに保つ。基板回転速度は2rpmに保つ。この状態で、上述のようなシャッター開閉制御を実施して人工格子を作製する。
【0036】
図4はシャッター開閉制御系を示した分解斜視図である。基板回転モータ36の回転は回転導入機38に伝達され、この回転導入機38の下端に固定された円筒型の基板回転ホルダー10は、矢印38の方向に回転する。この基板ホルダー10には上述のように6枚の基板2が取り付けられている。さらに、回転導入機38には円板40が固定され、この円板40には1本のセンサー棒42が固定されている。したがって、このセンサー棒42も基板ホルダー10と同じ回転速度で回転する。一方、真空容器に固定された中空円板44には、2組のフォトセンサー46,48が、円周上で180度の角度だけ離れて設置されている。センサー棒42がフォトセンサー46,48を通過すると、そのことがフォトセンサーで検知されるようになっている。そして、図1の(A)に示す基板位置(A位置)のときに、ちょうどセンサー棒42が第1のフォトセンサー46を通過するように、センサー棒42と基板ホルダー10の位置関係が定められている。また、図1の(B)に示す基板位置(B位置)のときには、センサー棒42が第2のフォトセンサー48を通過する。
【0037】
フォトセンサー46,48の出力は、基板位置検出装置50に送られて基板位置が検出される。この基板位置検出装置50の出力は、コンピュータ52に送られ、そのディスプレイ上には、センサー棒42の位置が表示されるようになっている。ディスプレイ上の円周上の黒点54はセンサー棒42の位置を示している。基板ホルダー10が回転すると、この黒点54もディスプレイ上を円運動する。また、コンピュータ52は、基板位置検出装置50の出力をもとにして、基板ホルダー10の回転速度と回転回数を計算して、これを表示することができる。
【0038】
コンピュータ52からはシャッター開閉信号がシャッター制御装置56に出力され、このシャッター制御装置56は電磁弁58にオンオフ信号を送っている。これにより、電磁弁58で空気圧制御が実施されて、図3のシャッター駆動機構26,28が開閉制御される。このようにして、基板ホルダー10の回転と、シャッター16,18の開閉とのタイミングが制御される。
【0039】
次に、ターゲット投入電力の決定方法について説明する。3d遷移金属元素の窒化物の層と窒化炭素の層からなる人工格子は、軟X線光学材料への応用が有望視されており、図5のグラフは、この種の人工格子を作製する場合に使われる各種の窒化物の堆積速度を示したものである。スパッタリング条件は、図3に示す装置において、100%窒素ガスの圧力を1Paにして、基板ホルダーの回転速度を2rpmとした。ターゲットとして、Cu,Cr,V,C,Niの5種類について実験をし、回転する基板上にそれぞれの窒化物が堆積するときの堆積速度を測定した。なお、堆積速度は、基板がターゲットに対向しているときと対向していないときのすべての時間を含んだ場合での平均値である。図5の横軸がターゲット投入電力、縦軸が堆積速度である。
【0040】
ところで、人工格子の第1層または第2層として、ある窒化物層を2.5nmだけ堆積させるには、基板の1回転当たりの堆積厚さを、2.5nmか、あるいはその整数分の1にする必要がある。これを堆積速度に換算すると、基板は1分間に2回転するから、堆積速度を5.0nm/minか、あるいはその整数分の1にする必要がある。図5において、堆積速度が5.0nm/minのところに破線を引いてある。窒化物層を2.5nmとする場合には、これより大きい堆積速度は使えないことになる。したがって、5.0nm/minと同じか、その整数分の1の堆積速度となるように、ターゲット電力を選択すればよい。例えば、バナジウムターゲットの場合、185Wの高周波電力を投入すると、1.25nm/minの堆積速度が得られ、これは5.0nm/minの4分の1となる。したがって、このターゲット電力で窒化バナジウムを堆積すると、基板が1回転する間に、0.625nmだけ堆積し、4回転で2.5nmの厚さとなる。また、炭素ターゲットの場合、240Wの高周波電力を投入すると5.0nm/minの堆積速度が得られる。したがって、このターゲット電力で窒化炭素を堆積すると、基板が1回転する間に2.5nmの厚さとなる。このようなターゲット電力を用いて[VNx (2.5nm)/CNx (2.5nm)]30の人工格子を作製したのが、上述の図2に示した実施例である。
【0041】
次に、第2実施例として、[CrNx (2.5nm)/CNx (2.5nm)]30の人工格子を作製する手順を説明する。図1において、ターゲット12をクロムとし、これに190Wの高周波電力を投入して、窒化クロムの堆積速度を2.5nm/minに設定した。また、ターゲット14を炭素として、これに240Wの高周波電力を投入して、窒化炭素の堆積速度を5.0nm/minに設定した。窒素ガスの圧力や基板回転速度は第1実施例と同じである。図6はこの場合の手順を示すタイミングチャートである。A位置でクロムターゲットのシャッターを開き、2回転したらこのシャッターを閉じる。これにより、1回転当たり1.25nmの窒化クロムが堆積し、2回転で合計2.5nmとなる。次に、B位置で炭素ターゲットのシャッターを開き、1回転して元のB位置に戻ったら、このシャッターを閉じる。これにより2.5nmの窒化炭素が堆積する。これで1周期分の人工格子が出来上がる。この作業を30サイクル実施する。この実施例では、基板ホルダーが4回転して1サイクルとなるので、全体の所要時間は60分である。
【0042】
次に、第3実施例として、[Cu3x (2.5nm)/CNx (2.5nm)]30の人工格子を作製する手順を説明する。図1において、ターゲット12を銅とし、これに65Wの高周波電力を投入して、窒化銅の堆積速度を5.0nm/minに設定した。また、ターゲット14を炭素として、これに240Wの高周波電力を投入して、窒化炭素の堆積速度を5.0nm/minに設定した。窒素ガスの圧力や基板回転速度は第1実施例と同じである。図7はこの場合の手順を示すタイミングチャートである。A位置で銅ターゲットのシャッターを開き、1回転して元のA位置に戻ったら、このシャッターを閉じる。これにより、2.5nmの窒化銅が堆積する。次に、B位置で炭素ターゲットのシャッターを開き、1回転して元のB位置に戻ったら、このシャッターを閉じる。これにより2.5nmの窒化炭素が堆積する。これで1周期分の人工格子が出来上がる。この作業を30サイクル実施する。この実施例では、基板ホルダーが3回転して1サイクルとなるので、全体の所要時間は45分である。
【0043】
次に、第4実施例として、[NiNx (2.5nm)/CNx (2.5nm)]30の人工格子を作製する手順を説明する。図1において、ターゲット12をニッケルとし、これに165Wの高周波電力を投入して、窒化ニッケルの堆積速度を5.0nm/minに設定した。また、ターゲット14を炭素として、これに240Wの高周波電力を投入して、窒化炭素の堆積速度を5.0nm/minに設定した。窒素ガスの圧力や基板回転速度は第1実施例と同じである。シャッター開閉手順は図7に示した場合と全く同じになり、A位置からA位置までの1回転で窒化ニッケルが2.5nmだけ堆積し、B位置からB位置までの1回転で窒化炭素が2.5nmだけ堆積する。したがって、全体の所要時間は、第3実施例と同じで45分である。
【0044】
次に、第5実施例として、[CrNx (2.5nm)/CNx (2.5nm)]30の人工格子を作製する手順を説明する。この人工格子は、第2実施例(図6のタイミングチャート)で作製したものと同じであるが、クロムターゲットを2個使う点が異なっている。図8は、第5実施例におけるターゲットと基板とシャッターの配置関係を示す平面図である。図1の配置と異なる点は、2個のターゲット12,14のほかに、第3のターゲット13が配置されている点である。このターゲット13は、ターゲット12に対して円周上で60度だけ離れた位置にある。当然、センサー棒を検出するための第3のフォトセンサーも、A位置を検出するためのフォトセンサーから60度離れた位置に、追加して設置してある。
【0045】
ターゲット12と13はクロムであり、その両方に190Wの高周波電力を投入して、個々のクロムターゲットによる窒化クロムの堆積速度を2.5nm/minに設定した。また、ターゲット14は炭素であり、これに240Wの高周波電力を投入して、窒化炭素の堆積速度を5.0nm/minに設定した。窒素ガスの圧力は1Paであり、基板回転速度は2rpmである。まず、3個のシャッター16,17,18を閉じた状態にしておく。
【0046】
最初に、図8の(A)において、基準基板2aがA位置にきたときに第1シャッター16を開き、この基準基板2aが第1ターゲット12の対向位置を通過する間に、窒化クロムを1.25nmの厚さで堆積する。そして、すぐその後に、(C)に示すように、基準基板2aが第3ターゲット13の手前にきたとき(この位置をC位置と呼ぶことにする。)に第3シャッター17も開いて、この基準基板2aに、引き続いて窒化クロムを1.25nmの厚さで堆積する。これにより、基準基板2aは二つのターゲット12,13の対向位置を通過することにより合計で2.5nmの厚さの窒化クロムが堆積する。その後につづく基板にも同様にして窒化クロムが堆積する。基準基板2aが1回転して元のA位置に戻ったときに、第1シャッター16を閉じ、さらに基準基板2aがC位置に移動したときに第2シャッター17も閉じる。これにより、すべての基板に2.5nmの窒化バナジウムが堆積する。この状態から、基準基板2aがさらに、(B)に示すB位置にきたときに、今度は、第2シャッター18を開く。これにより、基準基板2aが第2ターゲット14の対向位置を通過する間に窒化炭素が2.5nmの厚さで堆積する。そして、基準基板2aがB位置まで戻ってきたときに、第2シャッター18を閉じる。この状態から、さらに基準基板2aがA位置まで戻ったときに、1サイクルが終了する。この1サイクルの間に、基板ホルダー10は合計3回転している。図9は、この1サイクルの手順を示すタイミングチャートである。この作業を30サイクル繰り返すことにより目的の人工格子を作製できる。全体の所要時間は45分である。
【0047】
以上のように、2個のクロムターゲットと1個の炭素ターゲットを使う(図9のタイミングチャート)と、1個のクロムターゲットと1個の炭素ターゲットを使う場合(図6のタイミングチャート)に比べて、全体の所要時間が60分から45分に短縮される。成膜時間の短縮には、このようにターゲットの個数を増やすのが効果的である。また、ターゲット投入電力を増加させることで堆積時間を短縮することも当然可能であり、その場合は、基板ホルダーが1回転することで必要膜厚(またはその整数分の1)が堆積するように、基板ホルダーの回転数の方も増加させればよい。本実施例の装置では、基板回転速度を8rpmまで増加させることができる。
【0048】
上述の各実施例で特徴的なことは、堆積速度の比較的大きいターゲット(銅やニッケルや炭素)では、基板ホルダーの1回転だけで必要膜厚が堆積できるようにターゲット投入電力を設定し、一方、堆積速度の比較的小さいターゲット(バナジウムやクロム)では、基板ホルダーを複数回回転させることによって必要膜厚が堆積できるようにターゲット投入電力を設定している点である。これにより、すべてのターゲットに対して、堆積速度が比較的安定した電力領域を使うことができ、膜厚の精度を0.1nmのレベルで制御することが可能となった。
【0049】
この発明は上述の実施例に限定されず、次のような変更が可能である。
【0050】
(1)センサー棒を検出するためのフォトセンサーを2組または3組設けずに、1組だけとしてもよい。この場合、例えばA位置だけをフォトセンサーで検出して、ほかのB位置またはC位置は、A位置から180度または60度だけ回転した位置にあるものとして、コンピュータで計算する。
【0051】
(2)窒化物の人工格子に限らずに、ほかの材料からなる人工格子の作製方法にも本発明は適用できる。
【0052】
(3)3種類の層からなる人工格子を作製する場合には、上述の第1層と第2層の堆積段階の後に、第3層の堆積段階を加えて、これを1サイクルとすればよい。
【0053】
(4)図10に示すように、円形の平板型基板ホルダーを用いてもよい。この図示の例では、2個のターゲット60,62と基板ホルダー64が平行に対向していて、基板ホルダー64の回転軸が基板面に垂直になる。基板ホルダー64には4個の基板66が取り付けられ、この基板ホルダー64が矢印68の方向に一定速度で回転する。ターゲット60,62と基板ホルダー64の間には個別にシャッター(図示せず)が配置され、これらのシャッターの開閉を制御することによって人工格子を作製することができる。その作製手順は、基本的には、円筒型の基板ホルダーを用いた場合と同様である。
【0054】
【発明の効果】
この発明の人工格子の作製方法は、堆積速度の大きく異なる2種類の層を交互に堆積する場合であっても、シャッターの開閉タイミングを制御することによって、すべてのターゲットについて、堆積速度の安定した投入電力領域が使用でき、精密な膜厚制御が可能となる。また、基板配置に制約が少なくなり、生産性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示す平面配置図である。
【図2】この発明の一実施例の手順を示すタイミングチャート。
【図3】人工格子作製装置の全体構成を示す平面断面図である。
【図4】シャッター開閉制御系を示した分解斜視図である。
【図5】人工格子を構成する各種の窒化物の堆積速度を示すグラフである。
【図6】第2実施例の手順を示すタイミングチャートである。
【図7】第3実施例の手順を示すタイミングチャートである。
【図8】第5実施例におけるターゲットと基板とシャッターの配置関係を示す平面図である。
【図9】第5実施例の手順を示すタイミングチャートである。
【図10】平板型の基板ホルダーを用いる場合の斜視図である。
【図11】従来方法を示す平面配置図である。
【符号の説明】
10 基板ホルダー
12 第1ターゲット
14 第2ターゲット
16 第1シャッター
18 第2シャッター
2a〜2f 基板
L ターゲット対向位置の領域

Claims (9)

  1. 2種類の堆積層が周期的に繰り返す人工格子を、複数のターゲットをスパッタリングすることによって基板上に作製する方法において、
    複数のターゲットに順番に対向しながら基板が循環して運動するように基板を一定の速度で移動させる段階と、
    第1層堆積用ターゲットのためのシャッター(以下、第1シャッターという。)と第2層堆積用ターゲットのためのシャッター(以下、第2シャッターという。)とを閉じた状態で、第1層堆積用ターゲットと第2層堆積用ターゲットにそれぞれ所定の電力を投入する段階と、
    基板が第1層堆積用ターゲットの対向位置にないときに前記第1シャッターを開く段階と、
    基板が第1層堆積用ターゲットの対向位置を所定回数だけ通過したのちに前記第1シャッターを閉じる段階と、
    基板が第2層堆積用ターゲットの対向位置にないときに前記第2シャッターを開く段階と、
    基板が第2層堆積用ターゲットの対向位置を所定回数だけ通過したのちに前記第2シャッターを閉じる段階と、
    前記第1シャッターを開く段階から前記第2シャッターを閉じる段階までを所定回数だけ繰り返す段階とを備えることを特徴とする人工格子の作製方法。
  2. 移動可能な基板ホルダーに複数の基板を取り付けて、この複数の基板上に同時に人工格子を作製することを特徴とする請求項1記載の人工格子の作製方法。
  3. すべての基板がいずれのターゲットにも対向しない状態が可能なように、前記基板ホルダーに複数の基板を取り付けることを特徴とする請求項2記載の人工格子の作製方法。
  4. 基板が元の位置に戻るまでの経過時間(以下、循環所要時間という。)中に第1層堆積用ターゲットによって基板上に堆積できる膜厚が第1層の必要膜厚の整数分の1となるように、かつ、前記循環所要時間中に第2層堆積用ターゲットによって基板上に堆積できる膜厚が第2層の必要膜厚の整数分の1となるように、基板の移動速度と第1層堆積用ターゲットの投入電力と第2層堆積用ターゲットの投入電力とを調節することを特徴とする請求項1記載の人工格子の作製方法。
  5. 前記循環所要時間中における第1層または第2層の堆積膜厚が、その層の必要膜厚と等しくなるように、基板の移動速度と第1層堆積用ターゲットの投入電力と第2層堆積用ターゲットの投入電力とを調節することを特徴とする請求項1記載の人工格子の作製方法。
  6. 円筒型の基板ホルダーの円筒面に基板を取り付けて、この基板ホルダーを前記円筒面の中心線の回りに回転させることを特徴とする請求項1または2に記載の人工格子の作製方法。
  7. 平板型の基板ホルダーに基板を取り付けて、この基板ホルダーをその平面に垂直な軸線の回りに回転させることを特徴とする請求項1または2に記載の人工格子の作製方法。
  8. 第1層堆積用ターゲットと第2層堆積用ターゲットの少なくとも一方が、複数のターゲットであることを特徴とする請求項1記載の人工格子の作製方法。
  9. n(nは3以上の整数)種類の堆積層が周期的に繰り返す人工格子を、複数のターゲットをスパッタリングすることによって基板上に作製する方法において、
    複数のターゲットに順番に対向しながら基板が循環して運動するように基板を一定の速度で移動させる段階と、
    すべてのターゲットに対して、それぞれのシャッターを閉じた状態で、それぞれ所定の電力を投入する段階と、
    基板が第1層堆積用ターゲットの対向位置にないときに第1層堆積用ターゲットのためのシャッター(以下、第1シャッターという。)を開く段階と、
    基板が第1層堆積用ターゲットの対向位置を所定回数だけ通過したのちに前記第1シャッターを閉じる段階と、
    第2層堆積用ターゲットから第n層堆積用ターゲットまでのそれぞれについて、順番に、上述の第1層堆積用ターゲットの場合と同様にシャッターを開く段階から閉じる段階までを実施する段階と、
    前記第1シャッターを開く段階から第n層堆積用ターゲットのためのシャッターを閉じる段階までを所定回数だけ繰り返す段階とを備えることを特徴とする人工格子の作製方法。
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