JPH0881390A - 赤粕から調製された脂質代謝改善剤及びアンジオテンシン変換酵素阻害剤 - Google Patents

赤粕から調製された脂質代謝改善剤及びアンジオテンシン変換酵素阻害剤

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JPH0881390A
JPH0881390A JP6243240A JP24324094A JPH0881390A JP H0881390 A JPH0881390 A JP H0881390A JP 6243240 A JP6243240 A JP 6243240A JP 24324094 A JP24324094 A JP 24324094A JP H0881390 A JPH0881390 A JP H0881390A
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lipid metabolism
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converting enzyme
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Keigo Takeuchi
啓吾 竹内
Hidenori Yamaguchi
秀紀 山口
Naohito Matsushita
尚人 松下
Tominaga Chiaki
富永 千明
Takashi Niinuma
貴 新沼
Naomi Moriyama
直美 森山
Hiroo Sanada
宏夫 真田
Yuko Ayano
雄幸 綾野
Hideyuki Waku
英行 和久
Yasuto Sasaki
康人 佐々木
Takashi Fujio
高志 藤尾
Shojiro Kubota
正二郎 窪田
Yosuke Tamai
洋介 玉井
Miyoko Oka
美与子 岡
Michiko Nakamura
享子 中村
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SHOKUHIN SANGYO ECO PROCESS GI
SHOKUHIN SANGYO ECO PROCESS GIJUTSU KENKYU KUMIAI
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SHOKUHIN SANGYO ECO PROCESS GI
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 小麦澱粉工業において排出される成分であっ
て、有効利用の方法がなかった赤粕から調製される、食
材としても利用可能な、脂質代謝改善剤及びアンジオテ
ンシン変換酵素阻害剤を提供する。 【構成】 赤粕を、蛋白分解酵素及び澱粉分解酵素で処
理した後、比較的低速で遠心分離を行って、沈殿部Aを
分取し、更に高速の遠心分離を行って、沈殿部Bとオー
バーフロー部を分取する。沈殿部A、Bは食物繊維を主
成分とし、オーバーフロー部は水溶性成分からなり、両
者は共に脂質代謝改善効果を有する。また、オーバーフ
ロー部は、アンジオテンシン変換酵素阻害活性を有し、
この有効成分であるペプチドは、必要に応じて更にイオ
ン交換樹脂、ゲル濾過クロマトグラフィー、逆相液体ク
ロマトグラフィーなどで分離、精製することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、小麦澱粉工業において
排出されている成分であって、今まで有効利用法がなか
った赤粕から調製される脂質代謝改善剤及びアンジオテ
ンシン変換酵素阻害剤に関する。
【0002】
【従来の技術】小麦澱粉工業においては、原料小麦粉に
加水し、ドウを混練、洗浄後、生グルテンを除いた懸濁
液を、金属製のスクリーンに通し、このスクリーンを通
過したものを澱粉乳として澱粉の精製工程に進ませる
が、この際に、スクリーンをオーバーした部分は赤粕と
呼ばれている。
【0003】赤粕は、小麦外皮を主成分とするもので、
食物繊維や蛋白等を含有していることは知られているも
のの、従来は有効利用されることはほとんどなく、大半
のものが捨てられ、ごく一部が家畜の飼料として利用さ
れているにすぎなかった。
【0004】近年、赤粕のように有効利用の方法がなか
った食品工業における廃棄物を、廃棄することなく、食
品等に利用することにより、資源を大切にすると共に、
地球環境の悪化を防止しようとする方向にある。
【0005】一方、近年、食物繊維が機能性食品として
注目され、水不溶性及び水溶性の食物繊維の調製法や、
その機能性が種々報告されている。
【0006】また、様々な食品蛋白質由来の生理機能性
ペプチドが見出され、特定の何種類かのペプチドにアン
ジオテンシン変換酵素を阻害する働きがあることが知ら
れている。例えば、特開平4-66594 号、特開平4-91097
号には、小麦グルテンから調製されたペプチドが開示さ
れ、また、大豆蛋白質を酵素分解したもの、小麦グリア
ジンから調製されたペプチドも文献や学会発表で報告さ
れている。
【0007】なお、アンジオテンシン変換酵素は、血圧
調節に関与する酵素であり、この酵素を阻害することに
より、アンジオテンシンIからアンジオテンシンIIに変
換されることが阻止され、血圧の上昇が抑制されること
が知られている。すなわち、アンジオテンシン変換酵素
阻害剤は、血圧の上昇抑制及び降下剤として利用するこ
とが期待されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、赤粕中
には、小麦外皮に由来する食物繊維の他、澱粉、蛋白質
などの各種の成分が混在しており、赤粕から特定の成分
を精製して有効利用するというようなことは、これまで
なされていなかった。また、赤粕中に何らかの生理活性
物質が含まれているという報告もこれまでになされてい
なかった。
【0009】すなわち、赤粕は、工業的にほとんど注目
されることなく、ごく一部が家畜の飼料として利用され
る他は、ほとんど廃棄されていたのである。
【0010】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
ので、その目的は、従来小麦工業において廃棄されてい
た赤粕を有効に利用する方法として、赤粕から調製され
た脂質代謝改善剤及びアンジオテンシン変換酵素阻害剤
を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、赤粕の有
効利用方法を鋭意研究した結果、赤粕から蛋白質及び澱
粉質を除去して得られる食物繊維、及び赤粕を蛋白分解
酵素及び澱粉分解酵素で処理して得られる水溶性の成分
が脂質代謝改善作用を有すること、また、赤粕を蛋白分
解酵素及び澱粉分解酵素で処理して得られるペプチドに
アンジオテンシン変換酵素阻害作用があることを見出
し、本発明を完成させるに至った。
【0012】すなわち、本発明の脂質代謝改善剤の一つ
は、赤粕から蛋白質及び澱粉質を除去して得られる食物
繊維を有効成分とする。
【0013】また、本発明の脂質代謝改善剤のもう一つ
は、赤粕を蛋白分解酵素及び澱粉分解酵素で処理して得
られる水溶性の成分を有効成分とする。
【0014】更に、本発明のアンジオテンシン変換酵素
阻害剤は、赤粕中の蛋白成分を蛋白分解酵素で分解して
得られるペプチドを有効成分とする。
【0015】以下、本発明を好ましい態様を挙げて詳細
に説明する。本発明において、赤粕は、小麦澱粉工業に
おいて、グルテンと澱粉乳を分離する際に排出される成
分で、小麦外皮を主成分とするものである。赤粕を電子
顕微鏡で観察すると、細胞壁のハニカム構造が確認さ
れ、澱粉等の粒子も見られる。赤粕は、例えば表1に示
されるような成分組成を有し、ロットによって多少の変
動はあるものの、50〜65重量%の食物繊維と、10〜20重
量%の粗蛋白とを含んでいる。
【0016】
【表1】
【0017】本発明においては、赤粕を蛋白分解酵素及
び澱粉分解酵素で処理する。まず、赤粕を水に懸濁さ
せ、温度を40〜70℃、pHを4〜8に調整した後、蛋白
分解酵素及び澱粉分解酵素を添加し、撹拌する。酵素処
理が終了後、温度を90〜100 ℃に上げて酵素を失活さ
せ、スキミングしながら、100 〜1000g の条件下に遠心
分離して、沈殿とオーバーフローとに分離する。
【0018】次いで、上記沈殿を水洗し、噴霧乾燥し
て、茶色粉末(以下「沈殿部A」とする)を得る。一
方、オーバーフローは、更に500 〜2000g の条件下に遠
心分離して、沈殿とオーバーフローとに分離する。この
沈殿を水洗し、噴霧乾燥して、白色粉末(以下「沈殿部
B」とする)を得る。また、オーバーフローは、噴霧乾
燥して、粉末(以下「オーバーフロー部」とする)を得
る。
【0019】上記沈殿部Aと、沈殿部Bとが、本発明の
脂質代謝改善剤の一つであって、赤粕から蛋白質及び澱
粉質を除去して得られる食物繊維を有効成分とするもの
である。なお、上記において、特に高速遠心分離で沈殿
する画分である沈殿部Bは、後に実施例で詳しく述べる
ように、セルロースや小麦フスマと比べて、水に対する
膨潤度が大きく、かつ、水に懸濁させると、高い粘度を
有する。したがって、食材としての利用も期待でき、脂
質代謝改善効果を有する食材としての利用が期待でき
る。
【0020】また、上記オーバーフロー部が、本発明の
脂質代謝改善剤のもう一つであって、赤粕を蛋白分解酵
素及び澱粉分解酵素で処理して得られる水溶性の成分を
有効成分とするものである。
【0021】上記において、蛋白分解酵素としては、小
麦蛋白質を分解する酵素であればよく、例えば「プロテ
アーゼN」(商品名、天野製薬株式会社製)、「プロレ
ザー」(商品名、天野製薬株式会社製)等が好ましく使
用される。
【0022】また、澱粉分解酵素も、澱粉を分解できる
酵素であればよく、例えば「アミラーゼAD」(商品
名、天野製薬株式会社製)、「リクイファーゼ」(商品
名、上田化学工業株式会社製)等が好ましく使用され
る。
【0023】このようにして得られる沈殿部A、沈殿部
B、及びオーバーフロー部は、実施例で詳しく示すよう
に、動物実験の結果、いずれも脂質代謝改善効果がある
ことがわかった。なお、動物実験の結果、脂質代謝改善
効果は、オーバーフロー部が最も強い。また、沈殿部A
と沈殿部Bとの比較においては、沈殿部Bのほうが脂質
代謝改善効果が強い。
【0024】上記オーバーフロー部は、赤粕を蛋白分解
酵素及び澱粉分解酵素で処理して得られる水溶性の成分
を有効成分とするものであって、蛋白質と糖が主成分で
あり、蛋白質はプロテアーゼの作用によりペプチドにま
で分解している。本発明のアンジオテンシン変換酵素阻
害剤は、上記オーバーフロー部に含まれるペプチドを有
効成分とするものである。
【0025】ただし、本発明のアンジオテンシン変換酵
素阻害剤は、赤粕中の蛋白成分を蛋白分解酵素で分解し
て得られるペプチドを有効成分とするものなので、赤粕
を蛋白分解酵素だけで処理して得ることもできる。
【0026】アンジオテンシン変換酵素阻害剤として
は、上記オーバーフロー部をそのまま用いることもでき
るが、このオーバーフロー部から有効成分であるペプチ
ドを更に分離、精製して用いることもできる。
【0027】まず、オーバーフロー部からアンジオテン
シン変換酵素阻害剤の有効成分であるペプチドを分離、
精製する方法の一例を説明すると、まず、オーバーフロ
ー部をイオン交換樹脂で分画する。イオン交換樹脂とし
ては強酸性陽イオン交換樹脂を用いるのが好ましく、例
えば、「アンバーライト200 C」(商品名、オルガノ株
式会社製)、「XT−1004」(商品名、オルガノ株式会
社製)等を用いるのが好ましい。強酸性陽イオン交換樹
脂を用いた場合、アンジオテンシン変換酵素阻害活性
は、吸着部に強く認められる。したがって、オーバーフ
ロー部を水等に溶解して、強酸性陽イオン交換樹脂に通
し、その吸着部を例えばアンモニア水で溶出させること
により、高い活性を有する画分を分離することができ
る。
【0028】次いで、上記イオン交換樹脂により分離さ
れた活性画分を、ゲル濾過クロマトグラフィーにより更
に分画し、アンジオテンシン変換酵素阻害活性を有する
画分を採取してもよい。ゲル濾過クロマトグラフィーと
しては、例えば「Sephadex G-10 」(商品名、ファルマ
シアバイオテク株式会社製)等を用いるのが好ましい。
ゲル濾過クロマトグラフィーにより分画すると、ペプチ
ドの平均鎖長6.8 及び2.7 のピークにアンジオテンシン
変換酵素阻害活性が認められる。
【0029】続いて、ゲル濾過クロマトグラフィーによ
り分離した活性画分のうち、好ましくは生体での吸収性
が高い鎖長の短い画分を、逆相液体クロマトグラフィー
で更に分離、精製してもよい。逆相液体クロマトグラフ
ィーのカラムとしては、例えば、「NOVA−PAK
C18」(商品名、ウォーターズ社製)等を用いるのが好
ましい。逆相液体クロマトグラフィーによりカラムに吸
着した成分を、例えばアセトニトリルの濃度を変えて溶
出させて、アンジオテンシン変換酵素阻害効果の強い画
分を分離する。こうして、本発明のアンジオテンシン変
換酵素阻害剤の有効成分をより高純度に分離、精製する
ことができる。
【0030】なお、オーバーフロー部の調製工程におい
て、着色が見られるが、この着色は活性炭により除去す
ることが可能である。活性炭としては、例えば「S−W
50」(商品名、二村化学工業株式会社製)等を用いるの
が好ましい。
【0031】
【作用】本発明の脂質代謝改善剤の一つは、赤粕から蛋
白質及び澱粉質を除去して得られる食物繊維を有効成分
とするものであって、例えば前記沈殿部Aや沈殿部Bか
らなる。これらの沈殿部A、Bは、後述する実施例に示
されるように、不溶性の食物繊維を多く含有し、脂質代
謝改善効果を有している。また、高速遠心分離で沈殿す
る沈殿部Bは、沈殿部Aよりも優れた脂質代謝改善効果
を有している。
【0032】本発明の脂質代謝改善剤のもう一つは、赤
粕を蛋白分解酵素及び澱粉分解酵素で処理して得られる
水溶性の成分を有効成分とするものであって、例えば前
記オーバーフロー部からなる。このオーバーフロー部
は、後述する実施例に示されるように、粗蛋白(ペプチ
ド)と水溶性の食物繊維を多く含み、前記沈殿部Aや沈
殿部Bよりも優れた脂質代謝改善効果を有している。
【0033】また、本発明のアンジオテンシン変換酵素
阻害剤は、赤粕を蛋白分解酵素及び澱粉分解酵素で処理
して得られるペプチドを有効成分とするものであって、
例えば前記オーバーフロー部や、このオーバーフロー部
から更に分離、精製されたペプチドからなる。このペプ
チドは、後述する実施例に示されるように、優れたアン
ジオテンシン変換酵素阻害活性を有している。
【0034】更に、本発明の脂質代謝改善剤の一つであ
る、赤粕から蛋白質及び澱粉質を除去して得られる食物
繊維、特に前記沈殿部Bの食物繊維は、水に対する膨潤
度が高く、食材としても利用可能なものであり、食材と
して利用し、それを食することにより脂質代謝改善効果
を期待することができる。また、本発明の脂質代謝改善
剤のもう一つである、赤粕を蛋白分解酵素及び澱粉分解
酵素で処理して得られる水溶性の成分、例えば前記オー
バーフロー部は、水溶性であるから飲料等に添加するこ
とができる。
【0035】このように今まで大部分が廃棄されていた
赤粕を、脂質代謝改善剤及びアンジオテンシン変換酵素
阻害剤として有効利用することができる。また、本発明
の脂質代謝改善剤及びアンジオテンシン変換酵素阻害剤
は、例えばパン類、菓子類、麺類、飲料など、各種の食
品に添加することができ、これらを含有する食品を摂取
することにより、脂質代謝改善や、血圧上昇抑制などの
効果を期待することができる。
【0036】
【実施例】
製造例(赤粕の酵素処理) 図1に赤粕の酵素処理フローを示す。赤粕に、赤粕に対
してそれぞれ0.1 重量%の「プロテアーゼN」(商品
名、天野製薬株式会社製)と、「アミラーゼAD」(商
品名、天野製薬株式会社製)とを添加し、温度60℃、p
H6.0 の条件下に2時間反応させた後、95℃まで昇温さ
せて酵素を失活させた。
【0037】次いで、スキミングしながら、500gで遠心
分離し、沈殿1と、オーバーフロー1とに分離した。沈
殿1は、水洗し、噴霧乾燥して、茶色粉末からなる沈殿
部Aを得た。
【0038】また、上記オーバーフロー1は、更に1000
g で遠心分離し、沈殿2と、オーバーフロー2とに分離
した。得られた沈殿2は、水洗し、噴霧乾燥して、白色
粉末からなる沈殿部Bを得た。
【0039】そして、オーバーフロー2は噴霧乾燥し
て、オーバーフロー部とした。
【0040】上記3つの画分は、いずれもプロテアーゼ
活性、アミラーゼ活性とも残存せず、それぞれの回収率
は、未処理の赤粕を100 とした場合、沈殿部Aが55、沈
殿部Bが25、オーバーフロー部が20の割合であった。
【0041】また、未処理の赤粕と上記3つの画分の成
分分析をした。その結果を表2に示す。
【0042】
【表2】 表中SDFは水溶性食物繊維、IDFは不溶性食物繊維を表す。
【0043】表2の結果から、沈殿部Aと、沈殿部Bと
は、食物繊維を未処理の赤粕より多く含み、食物繊維の
大部分が水に不溶性のものであることがわかる。また、
オーバーフロー部は、粗蛋白の含量が多く、不溶性食物
繊維は含有しないものの、水溶性食物繊維は含んでいる
ことがわかる。
【0044】更に、未処理の赤粕と上記3つの画分の糖
組成を分析をした。その結果を図2に示す。
【0045】図2から、未処理の赤粕は、アラビノー
ス、キシロース、グルコースを主体として含有している
ことがわかる。これは、アラビノキシラン、セルロース
等の食物繊維の成分と、澱粉とに由来していると推定さ
れる。また、沈殿部A、沈殿部Bの両画分は、アラビノ
ース、キシロースが主体で、類似した組成を有している
ことがわかる。更に、オーバーフロー部はグルコースを
主体としており、これは澱粉が澱粉分解酵素により分解
されて短鎖になったものであると考えられる。
【0046】次に、未処理の赤粕、沈殿部A、沈殿部B
の膨潤度を測定した。未処理の赤粕、沈殿部A、沈殿部
Bを試料とし、小麦フスマ、セルロースを比較試料とし
た。なお、それぞれを粉砕して30メッシュに篩別して使
用した。
【0047】メスシリンダーに試料1gを入れ、水を加
えて100ml とし、泡立てないように混和した後、3 時間
放置し、固相の堆積を測定した。その結果を図3に示
す。
【0048】図3の結果から、未処理の赤粕、沈殿部
A、沈殿部Bは、小麦フスマ、セルロースより、膨潤度
が大きく、中でも沈殿部Bの膨潤度が大きいことがわか
る。また、沈殿部Bは水に懸濁させた場合、高い粘度を
示したが、沈殿部Aにはこの性質は認められなかった。
【0049】実施例1(脂質代謝改善効果) 未処理の赤粕、沈殿部A、沈殿部B、及びオーバーフロ
ー部の、ラットの高トリグリセリド血症に及ぼす効果を
みた。
【0050】表3に示す組成で、未処理の赤粕、沈殿部
A、沈殿部B、及びオーバーフロー部を含有する実験飼
料を調製した。なお、上記各成分の配合割合は表3中で
それぞれ試験標品の欄に記した。また、比較のため、果
糖とココナッツオイルとを配合せず、その代わりにコー
ンオイル5 重量%を配合した標準飼料と、上記試験標品
を含有しない対照飼料も併せて調製した。更に、蛋白質
含量及び食物繊維含量は、一定になるようにカゼイン、
セルロースで調整した。
【0051】
【表3】
【0052】体重35〜45gのSpraque-Dawley系雄ラット
(日本クレア製、3週令)を、標準飼料で、7日間予備
飼育した後、各群8匹ずつの5群に分け、表3に示す実
験飼料を投与して14日間飼育した。飼料及び水は、自由
に摂取させた。なお、それぞれの飼料を摂取させた群を
それぞれ標準群、対照群、赤粕未処理群、沈殿部A群、
沈殿部B群、オーバーフロー部群とする。
【0053】実験飼料投与後、15日目の7 時から14時ま
で、絶食させた後、ペントバルビタールを腹腔内注射し
て麻酔し、開腹して、心臓穿刺により血液を採取すると
ともに、肝臓を摘出した。
【0054】採取した血液は、血清を分離した後、総コ
レステロール、トリグリセリドを測定した。また、摘出
した肝臓は、総コレステロール、トリグリセリド、総脂
質を測定した。なお、これらの測定は、「デタミナTC」
(商品名、協和メディックス製)、 TGS-555(商品名、
協和メディックス製)を用いて行い、有意差検定は、Tu
key 型の多重比較法を用いた。
【0055】これらの測定結果を表4に示す。なお、ラ
ットは各群とも良好な成長をし、成長結果に有意な差は
なかった。
【0056】
【表4】
【0057】表4の結果から、赤粕未処理群は、対照群
に比べて、肝臓中の脂質の蓄積を有意に抑制し、血清中
のトリグリセリドは低下傾向を示した。また、沈殿部
A、沈殿部B、及びオーバーフロー部を添加した飼料を
投与した各群はいずれも脂質の蓄積を抑制する傾向を示
した。これらの3群を詳しく比較すると、沈殿部A群の
効果は比較的弱いが、沈殿部B群及びオーバーフロー部
群はいずれも強い脂質蓄積抑制能を示し、とくにオーバ
ーフロー部群の効果は顕著であった。
【0058】すなわち、赤粕から蛋白質及び澱粉質を除
去して得られる食物繊維を有効成分する沈殿部Aと、沈
殿部Bとは、脂質代謝改善効果を有し、脂質代謝改善剤
として作用することがわかる。また、赤粕を蛋白分解酵
素及び澱粉分解酵素で処理して得られる水溶性の成分を
有効成分とするオーバーフロー部も、脂質代謝改善効果
を有し、脂質代謝改善剤として作用することがわかる。
【0059】実施例2(アンジオテンシン変換酵素阻害
剤の分離、精製) オーバーフロー部には、赤粕中の蛋白が、プロテアーゼ
の作用によりペプチドにまで分解されて含有されている
ことから、オーバーフロー部を更に分離、精製し、その
アンジオテンシン変換酵素阻害活性をみた。
【0060】アンジオテンシン変換酵素阻害活性の測定
は、笠原らの方法に準拠した「ACEカラー」(商品名、
富士レビオ製)を用いて、次のようにして行った。この
測定法は、Cushman 変法との相関が高い。
【0061】アンジオテンシン変換酵素である「シグマ
A-6778」(商品名、シグマ化学製)0.1 ユニットを、1
M 塩化ナトリウムを含む125 mMホウ酸緩衝液(pH8.3 )
1 mlに溶解させたものをアンジオテンシン変換酵素溶液
とした。また、標品を、1 M塩化ナトリウムを含む125 m
Mホウ酸緩衝液(pH8.3 )に4 重量%となるように溶解
させて試験溶液とした。
【0062】こうして得られたアンジオテンシン変換酵
素溶液50μlと、試験溶液50μlとを混和し、37℃で5
分間インキュベーションした。次いで、基質溶液0.5 ml
を加え、混和後、37℃で20分間インキュベーションし
た。その後、反応停止液1.5 mlを加え、混和後、37℃で
3 分間インキュベーションした。
【0063】このようにして得られた溶液の、波長505
nmにおける吸光度を、蒸留水を対照として測定した。
【0064】また、対照として、標品(阻害剤)を添加
せずに緩衝液だけを試験溶液として上記と同様な処理を
行い、吸光度を求めた。また、ブランク1として、標品
(阻害剤)を添加せずに緩衝液だけを試験溶液とし、か
つ、基質溶液として基質を含まない溶液だけを用いて、
上記と同様な処理を行い、吸光度を求めた。更に、ブラ
ンク2として、基質溶液として基質を含まない溶液だけ
を用いて、上記と同様な処理を行い、吸光度を求めた。
【0065】試験標品、対照、ブランク1、ブランク2
の波長505 nmにおける吸光度を、それぞれAS 、AC
B1、AB2とし、阻害率を、以下に示す数1の式により
求めた。
【0066】
【数1】阻害率=[{(AC −AB1)−(AS
B2)}/(AC −AB1)]×100
【0067】まず、アンジオテンシン変換酵素阻害効果
が、赤粕を酵素処理したことに由来しているかどうかを
確認するため、酵素を加えずに処理した対照を調製し
た。すなわち、赤粕を水に懸濁させた後、遠心分離して
得られる上澄を噴霧乾燥したものを対照Iとし、赤粕を
水に懸濁させ、酵素を加えずに、60℃で、2 時間撹拌し
た後、遠心分離して得られる上澄を噴霧乾燥したものを
対照IIとした。
【0068】オーバーフロー部、対照I、及び対照IIの
アンジオテンシン変換酵素阻害活性を測定した。その結
果を図4に示す。
【0069】図4の結果から、赤粕を、蛋白分解酵素及
び澱粉分解酵素で処理したものは、酵素処理しないもの
よりアンジオテンシン変換酵素阻害活性が2 倍近く増強
されることがわかる。
【0070】次に、オーバーフロー部を分離、精製し
て、活性成分の分画を行った。オーバーフロー部を成分
分析した結果、蛋白質と糖が主成分であることから、イ
オン交換樹脂による分画を検討した。イオン交換樹脂と
して、強酸性陽イオン交換ゲル型樹脂である「アンバー
ライトIR-120B 」、「アンバーライトXT-1004」、強酸
性陽イオン交換MR型樹脂である「アンバーライト200
C」、最強塩基性陰イオン交換ゲル型樹脂である「アン
バーライトIRA-400 」、「アンバーライトIRA-458 」、
弱酸性陽イオン交換MR型樹脂である「アンバーライトIR
C-50」、「アンバーライトIRC-76」(以上いずれも商品
名、オルガノ株式会社製)の3種類、8品目を用いた。
【0071】オーバーフロー部の4 %溶液を、予め活性
化した各々のイオン交換樹脂10mlに負荷し、非吸着部を
蒸留水で溶出し、吸着部は、強酸性イオン交換樹脂、弱
酸性陽イオン交換樹脂の場合は2 Nアンモニア水で、強
塩基性陰イオン交換樹脂の場合は1 N塩酸で溶出した。
【0072】非吸着部は、凍結乾燥し、吸着部は、溶媒
を留去した後、凍結乾燥して試験標品とした。これらの
試験標品をそれぞれ4 %溶液としてアンジオテンシン変
換酵素阻害活性を測定した。なお、対照として、オーバ
ーフロー部4%溶液の活性を測定した。
【0073】これらの結果を図5に示す。図5におい
て、斜格子は非吸着部、ベタ塗りは吸着部の阻害率を表
し、イオン交換樹脂の種類は、それぞれの商品名からア
ンバーライトを除いた部分で表した。
【0074】図5から、活性画分を効率的に分離できる
のは、強酸性陽イオン交換樹脂であるアンバーライト20
0Cと、アンバーライトXT-1004 とであり、中でも、巨大
網目構造を有するアンバーライト200Cの吸着部は、高い
阻害活性を有することがわかる。
【0075】そこで、アンバーライト200Cについて、ス
ケールアップして分画を行った。アンバーライト200C 5
00 ml に、オーバーフロー部4 g を負荷し、非吸着部を
蒸留水で溶出し、吸着部を2 Nアンモニア水で溶出し
た。オーバーフロー部、非吸着部、吸着部の固形分総
量、蛋白質量、総糖質量をそれぞれ測定した結果を、表
5に示す。なお、蛋白質はローリー法により、総糖質は
フェノール硫酸法により測定した。
【0076】
【表5】
【0077】表5の結果から、蛋白と糖とが、効率的に
分離され、蛋白は吸着部に多く含まれていることがわか
る。
【0078】蛋白を多く含むアンバーライト200Cの吸着
部された画分を、更に「セファデックスG−10」(商品
名、ファルマシアバイオテック株式会社製)を充填した
カラム(2.6 ×85cm)に、流速150ml/hrの条件で通液
し、水で溶離させることによって、ゲル濾過クロマトグ
ラフィーによる分離、精製を行った。分画された各画分
を凍結乾燥して得られた標品を、4 %溶液に調製して、
アンジオテンシン変換酵素阻害活性を測定した。また、
各画分について、蛋白量の目安である280 nmの吸光度を
測定した。
【0079】ゲル濾過クロマトグラフィーで分画した際
の、フラクション番号と、アンジオテンシン変換酵素阻
害率、280nm における吸光度との関係を図6に示す。図
6において、縦軸左側に280 nmにおける吸光度、縦軸右
側にアンジオテンシン変換酵素の阻害率を取り、吸光度
を●−●で、阻害率を棒グラフで表した。また、溶出パ
ターンは、4つのピークに分かれ、分子量の大きいほう
からG−I、G−II、G−III 、G−IVとした。
【0080】図6の結果から、アンジオテンシン変換酵
素阻害活性は、どの画分にも認められるが、特に、G−
I、G−IIに強い活性があることがわかる。
【0081】次に、セファデックスG−10の各画分の収
量を測定した。また、アンバーライト200Cの吸着部及び
G−II画分について濃度を変えて、アンジオテンシン変
換酵素阻害活性を測定し、50%阻害濃度を求めた。な
お、蛋白の測定は、ローリー法により行った。これらの
結果を表6に示す。
【0082】
【表6】
【0083】表6から、アンバーライト200Cの吸着部の
うちの半分近くがG−I、G−IIに溶出されていること
がわかる。また、アンジオテンシン変換酵素の50%阻害
濃度は、蛋白として、アンバーライト200Cの吸着部は3
1.90 μg /ml、G−IIは7.57μg /mlであることがわ
かる。
【0084】更に、TNBS法により、平均鎖長を調べ
たところ、G−Iは6.8 、G−IIは2.7 だった。生体内
で吸収性が高いのは、ジペプチド、トリペプチドである
ことから、鎖長の短いG−II画分について、更に分離、
精製を行った。
【0085】G−II画分の分離、精製は、逆相液体クロ
マトグラフィーにより行った。カラムは内径4 mm×150
mmの「NOVA−PAK C18」(商品名、ウォーター
ズ社製)を用い、溶離液は、A液として0.1 %TFAを
含む水を、B液として0.1 %TFAを含むアセトニトリ
ルを用いた。吸着成分を、アセトニトリルの濃度を0〜5
0%まで直線的に増加する濃度勾配で溶出させ、アセト
ニトリル濃度が5 %高くなるごとに溶出液を集め、溶媒
を留去させた後、凍結乾燥し、アンジオテンシン変換酵
素阻害活性を測定した。また、波長214 nmにおける吸光
度も測定した。
【0086】これらの結果を図7に示す。図7におい
て、縦軸右側に示すアンジオテンシン変換酵素阻害率は
棒グラフで、溶出液のアセトニトリル濃度は点線で、縦
軸左側に示す波長214nm における吸光度は実線で表し、
横軸に溶出時間を示す。
【0087】図7の結果から、アセトニトリルの濃度が
10〜15%の範囲で溶出される画分に、最も高い阻害活性
があることがわかる。このように、本発明のアンジオテ
ンシン変換酵素阻害剤は、赤粕を蛋白分解酵素及び澱粉
分解酵素で処理した後、イオン交換樹脂、ゲル濾過クロ
マトグラフィー、逆相液体クロマトグラフィーにより分
離、精製することができる。
【0088】実施例3(アンジオテンシン変換酵素阻害
剤の脱色) オーバーフロー部は、工程中でかなり着色することか
ら、活性炭による脱色を検討した。活性炭は、「S−W
50」(商品名、二村化学工業株式会社製)、「K−W5
0」(商品名、二村化学工業株式会社製)、「CL−
H」(商品名、北越炭素工業株式会社製)、「CL−
K」(商品名、北越炭素工業株式会社製)の4種を用い
た。
【0089】オーバーフロー部の4 %溶液に、活性炭1
W/V%を添加し、室温で、1 時間撹拌した後、遠心分
離し、上澄を採取した。活性炭を添加しないものを対照
とし、420 nmにおける吸光度と、蛋白量と、アンジオテ
ンシン変換酵素阻害活性とを測定した。420 nmにおける
吸光度を図8に、蛋白量を図9に、アンジオテンシン変
換酵素阻害活性率を図10に示す。
【0090】図8の結果から、これらの活性炭のうち、
脱色効果が最も優れているのは、S−W50であることが
わかる。ただし、図9、図10の結果から、S−W50は、
蛋白も吸着し、その結果、アンジオテンシン変換酵素阻
害活性も低下することがわかる。しかし、活性炭による
処理により、アンジオテンシン変換酵素阻害活性が低下
するものの、脱色することができることがわかる。
【0091】実施例4(沈殿部Aを用いて製造したウエ
ハース) 前記製造例で得られた沈殿部A20重量部と、澱粉30重量
部と、薄力粉40重量部と、食塩0.5 重量部と、砂糖4.5
重量部とからなるウエハース用ミックス粉に、水180 重
量部を加えて撹拌した後、190 ℃で、4 分30秒間焼成し
てウエハースを製造した。
【0092】また、比較のため、上記沈殿部Aを小麦フ
スマに替え、水の量を生地状態が同等になるように130
重量部にした他は、同様にしてウエハースを製造した。
【0093】なお、沈殿部Aは、小麦フスマよりも膨潤
度が高いので給水量が増加し、沈澱部Aを用いたウエハ
ースでは、上記のように加水量を多くすることができ
た。
【0094】こうして得られた沈殿部Aを用いて製造し
たウエハースと、小麦フスマを用いて製造したウエハー
スとを、経験豊かな10人のパネラーに比較させたとこ
ろ、色相は大差ないが、食感は小麦フスマを用いたウエ
ハースよりも沈殿部Aを用いたウエハースの方がざらつ
きが少ないとの評価を得た。
【0095】また、沈殿部Aを用いて製造したウエハー
スは、前述したような脂質代謝改善効果、及び不溶性の
食物繊維による便秘改善効果等が期待される。
【0096】実施例5(沈殿部Aを用いて製造したうい
ろう) 上新粉100 gと、上白糖140 gと、沈殿部A40gと、水
220 mlとを、鍋に入れ、撹拌しながら加熱して、半流動
状にした後、流し型に入れ、強火で、55分間蒸し、冷却
してういろうを製造した。
【0097】比較のため、上記における沈殿部A40gの
代わりに、白玉粉20gと、くず粉20gとを用い、加水量
を154 mlにした他は、上記と同様にして、ういろうを製
造した。
【0098】なお、沈殿部Aは、膨潤度が高いので給水
量が増加し、沈殿部Aを用いたういろうでは、上記のよ
うに加水量を多くすることができた。
【0099】沈殿部Aを用いて製造したういろうと、白
玉粉と、くず粉とを用いて製造したういろうとを、経験
豊かな10人のパネラーに比較させたところ、沈殿部A
を用いたういろうは色相がくすむが、食感は同等である
との評価を得た。
【0100】したがって、沈殿部Aは、ういろうを製造
する際の食材として使用可能であり、沈殿部Aが配合さ
れたういろうを食することにより、脂質代謝改善効果が
期待される。
【0101】実施例6(沈殿部Bを用いたパンの製造) 表7に示す配合割合で、小麦粉の一部を沈殿部Bに替え
て、パンを製造した。沈殿部Bの小麦粉への配合割合
は、0 、0.5 、1.0 、2.0 重量%とした。
【0102】
【表7】
【0103】沈殿部Bの配合割合を替えて製造したパン
を、AACC試験法により評価した。その結果を表8に示
す。
【0104】
【表8】
【0105】表8の結果から、沈殿部Bの配合割合を増
やすにつれ、生地感は塑性になるが、給水率は増加する
ことがわかる。また、容積は沈殿部Bを配合しないもの
と変わらなかった。
【0106】実施例7(バッターに沈殿部Bを配合した
トンカツの製造) 小麦粉100 重量%と、化工澱粉20重量%と、増粘剤1重
量%とからなるバッターミックス粉400 gに、沈殿部B
40gと、水1000gとを加えて、ジューサーミキサーで3
分間撹拌してバッター液を調製した。このバッター液
に、予め打粉付けした豚ロース肉を浸漬した後、パン粉
を付け、175 ℃で、5 分間フライしてトンカツを製造し
た。
【0107】また、比較のため、上記と同じバッターミ
ックス粉に、沈殿部Bを加えないで調製したバッター液
を用いて、上記と同様にトンカツを製造した。
【0108】沈殿部Bを加えたバッター液を用いて製造
したトンカツと、沈殿部Bを加えないバッター液を用い
て製造したトンカツとを、経験豊かな10人のパネラー
に比較させたところ、沈殿部Bを用いたものの方が衣の
食感がサクサクしているとの評価を得た。
【0109】したがって、バッターの調製に沈殿部Bを
用いることができ、沈殿部Bを配合したバッターを用い
て製造したトンカツを食することにより、脂質代謝改善
効果が期待される。
【0110】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
小麦澱粉工業の排出成分であった赤粕を、有効利用する
ことができる。すなわち、赤粕から蛋白質及び澱粉質を
除去して得られる食物繊維(沈殿部A、B)、又は赤粕
を蛋白分解酵素及び澱粉分解酵素で処理して得られる水
溶性成分(オーバーフロー部)は、脂質代謝改善効果を
有する。また、赤粕を蛋白分解酵素及び澱粉分解酵素で
処理して得られるペプチド(オーバーフロー部又はその
分離、精製物)は、アンジオテンシン変換酵素阻害活性
を有する。したがって、本発明の物質は、医薬品、健康
食品、各種飲食品への添加剤として利用することがで
き、これらを摂取することにより、脂質代謝改善効果、
血圧上昇抑制効果を期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の脂質代謝改善剤及びアンジオテンシン
変換酵素阻害剤を得るための、赤粕の酵素処理工程の一
例を示す工程図である。
【図2】赤粕を酵素処理して得た各成分の糖組成を示す
図表である。
【図3】赤粕を酵素処理して得た各成分の膨潤度を示す
図表である。
【図4】赤粕を酵素処理して得たオーバーフロー部と、
赤粕を酵素処理しないで得た対照品とのアンジオテンシ
ン変換酵素阻害率を示す図表である。
【図5】赤粕を酵素処理して得たオーバーフロー部をイ
オン交換樹脂により分画した際の、イオン交換樹脂の種
類とアンジオテンシン変換酵素阻害率との関係を示す図
表である。
【図6】赤粕を酵素処理して得たオーバーフロー部をイ
オン交換樹脂で分画し、更にゲル濾過クロマトグラフィ
ーで分画した際の、フラクション番号と、アンジオテン
シン変換酵素阻害率、280nm における吸光度との関係を
示す図表である。
【図7】赤粕を酵素処理して得たオーバーフロー部をイ
オン交換樹脂で分画し、次にゲル濾過クロマトグラフィ
ーで分画し、更に逆相液体クロマトグラフィーで分画し
た際の、時間と、アセトニトリル濃度、アンジオテンシ
ン変換酵素阻害率、214nmにおける吸光度との関係を示
す図表である。
【図8】赤粕を酵素処理して得たオーバーフロー部を各
種活性炭で処理した際の活性炭の種類と、420 nmにおけ
る吸光度との関係を示す図表である。
【図9】赤粕を酵素処理して得たオーバーフロー部を各
種活性炭で処理した際の活性炭の種類と、蛋白量との関
係を示す図表である。
【図10】赤粕を酵素処理して得たオーバーフロー部を各
種活性炭で処理した際の活性炭の種類と、アンジオテン
シン変換酵素阻害率との関係を示す図表である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 35/78 U 8217−4C 38/00 ABU // A23L 1/30 B C12N 9/99 (72)発明者 新沼 貴 群馬県渋川市金井1142−12 (72)発明者 森山 直美 群馬県前橋市天川原町224−15 (72)発明者 真田 宏夫 千葉県千葉市稲毛区天台3−3−3−506 (72)発明者 綾野 雄幸 東京都中野区丸山1−5−5 (72)発明者 和久 英行 埼玉県上尾市大字原市3336 原市団地4− 14−107 (72)発明者 佐々木 康人 埼玉県浦和市原山2−33−8,6−101 (72)発明者 藤尾 高志 埼玉県大宮市春野1−6−3−302 (72)発明者 窪田 正二郎 埼玉県北埼玉郡騎西町大字上崎1693−15 (72)発明者 玉井 洋介 埼玉県浦和市常盤3−7−6,日東製粉浦 和寮 (72)発明者 岡 美与子 東京都杉並区高円寺南4−17−12 (72)発明者 中村 享子 千葉県市川市北方1−14−13

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 赤粕から蛋白質及び澱粉質を除去して得
    られる食物繊維を有効成分とする脂質代謝改善剤。
  2. 【請求項2】 赤粕を蛋白分解酵素及び澱粉分解酵素で
    処理して得られる水溶性の成分を有効成分とする脂質代
    謝改善剤。
  3. 【請求項3】 赤粕中の蛋白成分を蛋白分解酵素で分解
    して得られるペプチドを有効成分とするアンジオテンシ
    ン変換酵素阻害剤。
JP6243240A 1994-09-12 1994-09-12 赤粕から調製された脂質代謝改善剤及びアンジオテンシン変換酵素阻害剤 Pending JPH0881390A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004103391A1 (ja) * 2003-05-22 2004-12-02 Fuji Oil Company, Limited 肝臓中の脂質代謝促進剤、肝臓中の脂質代謝促進健康食品及びその有効成分であるペプチド混合物の製造法
JP2008189625A (ja) * 2007-02-07 2008-08-21 Ozeki Corp 植物由来の難消化性成分高含有素材

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