JPH0876133A - 液晶表示板用ガラス基板の貼り合せ装置における定盤構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 上・下のガラス基盤のマーク合せ及び上・下
のガラス基板に傾斜やテーパが付いていても、ガラス基
板間のシール材を均一に潰して、上・下のガラス基板間
のギャップを一定にすることが出来る貼り合せ装置の定
盤を提供することにある。 【構成】 金属製定盤本体19におけるガラス基板と対向
する面に周囲縁20を残して凹部21を穿設し、その凹部の
下面開口を薄板22で閉鎖すると共に、その薄板の周囲を
前記周囲縁に接着固定し、且つその薄板の適宜箇所に吸
着孔23を配設すると共に、各吸着孔は定盤本体に配設し
た真空手段に連絡し、更に定盤本体には前記凹部21への
空気供給手段を装備すると共に、本体の角部にガラス基
板の位置合せマークを透視し得る透視部30を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は液晶表示板を構成するガ
ラス基板（上下電極板）の貼り合せ装置に装備される上
下定盤の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】液晶表示板（ＬＣＤ）は、透明導電性電
極をコートした２枚のガラス基板間に数μｍのスペーサ
を用いて所定の間隔に保ち、シール材で区画した内側の
空間内に液晶を封入したもので、その２枚のガラス基板
は位置合せマークによって狂いなく貼り合せられてい
る。

【０００３】ところで、従来の貼り合せ装置における２
枚のガラス基板の貼り合せは、予じめガラス基板に施こ
されている位置合せマ―クを、Ｘ方向に移動する上定盤
とＹ方向及びθ方向に移動する下定盤を顕微鏡とカメラ
からなるマ―ク検出手段の検出デ―タで駆動し移動調節
して粗合せ及び微合せを行ない、マ―ク合せを完了した
時点で２枚のガラス基板を加圧してシール材を潰し、上
下のガラス基板間のギャップを一定にするものである。

【０００４】上述した従来の貼り合せ装置における上・
下定盤は金属材を加工して表面は平坦に仕上げられてい
るが、上・下定盤の表面の平行度はミクロン単位の傾斜
が付いていたり、貼り合せられる上・下のガラス基板の
厚さにミクロン単位のテーパが付いているため、貼り合
せて形成される液晶表示板のガラス基板間のギャップを
５〜７μの間で一定にしようとしても、上・下のガラス
基板ａ，ｂを加圧してシール材ｃを潰した時、シール材
の潰れ方が不均一となり、上・下のガラス基板間のギャ
ップは不均一になる。ガラス基板間のギャップが不均一
である場合は、液晶表示板として完成したものは例えば
色むらを発生し、不良品となるものである。

【０００５】そこで、上述したような問題点を解決する
為に金属製定盤に代えてエアーバッグ様のものを上・下
定盤の両方又は可動側の定盤に使用し、ガラス基板にテ
ーパがついていても基板間のギャップを一定に確保する
技術が開発されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
たエアーバッグ様のものでは貼り合せに供されるガラス
基板を定盤側に吸着保持することができず、従って上・
下ガラス基板を貼り合せる前に行うマーク合せ作業は上
記のエアーバッグ定盤を備えた貼り合せ装置では出来な
い。その為に、上・下のガラス基板のマーク合せは別の
装置で行い、マーク合せを完了した二枚のガラス基板が
ズレないように樹脂系接着剤等を用いて仮止めし、その
状態で前記した貼り合せ装置に掛けて貼り合せを行うこ
とになる。因って、上記装置ではマーク合せの作業と貼
り合せの作業を別々の装置で行わなければならないとい
う不便があり、しかもマーク合せ工程から次の貼り合せ
工程に移す為に仮止めという作業が必要となるなどの問
題点を有する。

【０００７】本発明は上述したような従来の技術が有す
る問題点に鑑みて成されたもので、その目的とするとこ
ろは、上・下のガラス基盤のマーク合せ及び上・下のガ
ラス基板に傾斜やテーパが付いていても、ガラス基板間
のシール材を均一に潰して、上・下のガラス基板間のギ
ャップを一定にすることが出来る貼り合せ装置の定盤を
提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成する為
に本発明が講じた技術的手段は、下定盤を備えた固定台
板と、上定盤を備えた上下動する可動台板とからなる液
晶表示板用ガラス基板の貼り合せ装置において、上・下
定盤の少なくとも一方を金属製定盤本体におけるガラス
基板と対向する面に周囲縁を残して凹部を穿設し、その
凹部の下面開口を薄板で閉鎖すると共に、その薄板の周
囲を前記周囲縁に接着固定し、且つその薄板の適宜箇所
に吸着孔を配設すると共に、各吸着孔は定盤本体に配設
した真空手段に連絡し、更に定盤本体には前記凹部への
空気供給手段を装備した構成を特徴とする。

【０００９】金属製定盤本体の凹部を閉鎖する薄板とし
ては、板厚が30μ乃至 200μの金属製薄板（例えばステ
ンレス薄板）好ましくは 100μのステンレス薄板、或い
はヤング率の高い合成樹脂製薄板（例えばポリカーボネ
ート製薄板）等が挙げられる。又、その薄板に設ける吸
着孔は該薄板に孔を開け、その孔に金属製の管継手フラ
ンジを嵌合固着すると共に、その管継手フランジにミニ
チュア管継手を接続して構成し、そうしたミニチュア管
継手は金属製定盤本体に配置したマニホールドの接続口
と連絡配管して該吸着孔に真空吸着力が生じるようにし
てある。

【００１０】更に、金属製定板本体の周囲縁の側面には
凹部内と連通させて空気供給手段が接続配管され、その
空気供給手段より送り込まれる空気によって凹部の開口
面を閉鎖する薄板を内部から加圧して膨出させ、ガラス
基板を加圧する時に緩衝作用が生じるようにしてある。
尚、ガラス基板を加圧して貼り合せするが、その加圧は
上記した定盤を備えた可動台板が機械的に上下動して
も、或いは上述したように凹部に送り込む空気圧で薄板
の膨出量を可変させて加圧したり、又は前記した両者を
組み合わせて行うなど何れでもよい。金属製定板本体の
各角部にはガラス基板のマーク合せに供する透視部を設
ける。

【００１１】

【作用】上記の手段によれば、貼り合せ装置における上
・下定盤の少なくとも一方が、金属製定盤本体に周囲縁
を残して凹部が穿設され、その凹部の開口面が薄板で閉
鎖されると共に、その薄板の縁が周囲縁に接着固定さ
れ、更にその薄板に真空吸着手段と連絡する吸着孔が設
けられているため、ガラス基板は吸着孔に発生する真空
吸着力で吸引保持される。従って、ガラス基板に施され
ている位置合せマークの合せ作業が可能となる。

【００１２】しかも、上記定盤における凹部内には空気
供給手段によって空気を送り込み薄板を膨出させること
で太鼓の皮のごとくなり、該定盤は緩衝機能を備えた定
盤となる。従って、ガラス基板は緩衝作用を介して加圧
され、それによりガラス基板のテーパや傾斜は凹部を閉
鎖する薄板の緩衝作用で吸収され、シール材は均一に潰
され、上・下ガラス基板間のギャップは一定となる。

【００１３】

【実施例】以下、本発明に係る定盤を可動台板側の上定
盤に用いた実施例を図面に基づいて説明すると、貼り合
せ装置Ａは、機枠１と、その機枠１内の下側に固定され
た固定台板２と、その固定台板２の上方に配置された可
動台板３とから成り、固定台板２上には下側のガラス基
板ａを載承保持する下定盤４が設けられ、可動台板３の
下には上側のガラス基板ｂを吸着保持する上定盤５が設
けられている。

【００１４】固定台板２の上方に配置される可動台板３
は、機枠１を構成する４本の支柱６に固着したガイドレ
―ル７に係合して上下方向に摺動する係合体８を介して
上下動可能に取付けられ、その可動台板３の上面には２
本の吊下杆９が平面略矩形状に配置起立されると共に、
それら吊下杆９の上端は連結板10で連結し、且つ支柱６
間に渡した横杆11を貫通する吊下杆９には横杆11と連結
板10との間にスプリング12が弾圧装着されて、可動台板
３が自重で最下死点まで降下しないように支持されてい
る。又、可動台板３を強制的に押し下げて加圧するため
の駆動源としてはエアシリンダ13が用いられ、そのエア
シリンダ13は横杆11に垂下固定されて伸縮ロッド13’の
先端で可動台板３を押圧するようになっている。

【００１５】固定台板２上に取付けられる下定盤４は、
固定台板２上をＹ方向に摺動する下部材14と、その下部
材14上に取付けられて水平回動する上部材15とで構成さ
れ、下部材14は固定台板２上に起立固定された２本の平
行なガイドレ―ル16と係合する係合体17を介して摺動可
能に支持されている。又、下部材14に対して回転可能に
支持される上部材15はベアリング18を介在して支持され
ている。

【００１６】可動台板３の下側にＸ方向に移動調節可能
に取り付けられる上定盤５は、平面形状が矩形状をした
金属製定盤本体19のガラス基板ｂと対向する面に周囲縁
20をのこして所定深さの凹部21を穿設し、その凹部21の
下面開口を薄板22で閉鎖すると共に、その薄板22の周囲
は前記周囲縁20に接着固定する。又、その薄板22の表面
には上下左右方向に等間隔をおいて吸着孔23を配設する
と共に、各吸着孔23は定盤本体に配設したマニホールド
24を介して真空手段に連絡されている。更に定盤本体19
の周囲縁20の側面にはには前記凹部21内部と連絡する通
孔25が開設され、その通孔25は空気供給手段に連結し、
密閉状の凹部21に空気を送り込んで前記薄板22を膨出し
得るようになっている。

【００１７】凹部21を閉鎖する薄板22は板厚が30μ〜 2
00μ、好ましくは 100μのステンレス製薄板を用い、金
属製定盤本体19と略同形状に成形し、その薄板22の周縁
を定盤本体19の周囲縁20上面に接着剤で固定される。そ
して、その薄板22に対する吸着孔23の形成は、該薄板22
に開けた孔に管継手フランジ26を固定し、その管継手フ
ランジ26にミニチュア管継手27を接続固定して構成され
ている。そして、各吸着孔23のミニチュア管継手27は金
属製定盤本体19の肉厚内に穿設し真空連絡孔28と連通さ
せて取り付けたマニホールド24の接続口29に耐圧ホース
等を介して連結され、それによって吸着孔23に真空吸着
力が発生するように構成されている。尚、図示したマニ
ホールド24は４個の接続口29を備えて４個の吸着孔23に
１個のマニホールド24が対応しているが、該接続口の個
数は図示のものに限られるものではなく、３個或いは５
個等任意であり、要は薄板22に設けられる吸着孔の個数
との関係で決定される。勿論、吸着孔23の配置は薄板22
の表面に均等に吸着力が生じるように設定する。

【００１８】又、上記の上定盤５には各角部に上・下ガ
ラス基板ａ，ｂのマーク合せを行うための透視部30が設
けられている。その透視部30は、金属製定盤本体19の下
面に張設した薄板22の上下方向への撓み移動に追従する
ようにするために金属製定盤本体19側にネジ止め固定す
るベローズサポータ31にベローズ接続金具32を嵌合組み
付けし、他方薄板22には所定の口径の孔を開設し、薄板
22の内側面には前記孔の中心と合致させてベローズ接続
金具33が接着固定され、そのベローズ接続金具33と前記
のベローズ接続金具32とに亘ってベローズ34が架設され
ている。尚、前記した合計４個の透視部30は夫々対角線
上に位置する２個づつが対を成し、１組は粗合せマーク
用、もう１組は微合せマーク用として使用される。

【００１９】次に上記した定盤を備えた貼り合せ装置Ａ
によるガラス基板の貼り合せに付いて説明すると、下定
盤の上に下側のガラス基板ａを載せ、上定盤５の下面に
上側のガラス基板ｂを薄板22に配設した吸着孔に生じる
吸着力によって吸着保持し、上定盤５が取り付けられた
可動台板３をエアーシリンダ13の作用によって押し下げ
上側のガラス基板ｂを下定盤４上の下側のガラス基板ａ
表面に接触させ、その状態で顕微鏡とカメラからなるマ
ーク検出手段の検出データによって上定盤５をＸ方向、
下定盤４をＹ方向及びθ方向に移動調節して上・下ガラ
ス基板の粗合せ、及び微合せを行う。上記のマーク合せ
は上定盤５の角部に設けた透視部30によって行われる。

【００２０】以上の如くしてマーク合せを完了した時点
で、可動台板３を更に下方に押し下げて上・下のガラス
基板を加圧してシール材ｃを潰し、両者を貼り合せる
が、この時上定盤５は上記したように凹部の開口面を薄
板22で閉鎖し、且つその凹部に空気が送り込み封入され
た緩衝構造をなしているため、上側のガラス基板ｂはエ
アーバッグで押し付けられるかたちとなり、それにより
上・下ガラス基板に板厚の不揃い（テーパ）があって
も、そのバラ付きは上定盤５の緩衝構造で吸収されて上
のガラス基板ｂには均一な分布荷重が作用し、シール材
ｃは均一に潰され、その結果上下のガラス基板間のギャ
ップは一定に保たれ、高精度な貼り合せが達成される。
（図５参照）

【００２１】

【発明の効果】本発明の液晶表示板用ガラス基板の貼り
合せ装置に使用する定盤構造は以上の如く構成したの
で、上・下のガラス基板は緩衝構造を介して加圧され、
それによりガラス基板の板厚の不揃い（テーパ）を吸収
出来、シール材を均一に潰すことが出来る。従って、上
・下のガラス基板間のギャップが均一である高精度な貼
り合せを実現し得る貼り合せ装置の定盤を提供すること
が可能となる。

【００２２】又、請求項２の如く定盤の各角部に透視部
を設けた場合は、貼り合せ前における上・下のガラス基
板のマーク合せを該定盤によって行うことができ、マー
ク合せ完了後はそのまま加圧することで均一荷重分布で
貼り合せを行うことができる。従って、マーク合せと板
厚の不揃いを吸収しながらの貼り合せを連続して行うこ
とが可能な定盤を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る定盤を装備した貼り合せ装置の一
実施例を示す断面図である。

【図２】貼り合せ装置に装備される定盤を示す一部切欠
平面図である。

【図３】図２の（３）−（３）線に沿える縦断面図であ
る。

【図４】図２の（４）−（４）線に沿える縦断面図であ
る。

【図５】上記の定盤によるガラス基板の貼り合せ動作を
示す説明図である。

【符号の説明】

Ａ…貼り合せ装置 ２…固定台板 ３…可動台板 ４…下定盤 ５…上定盤 19…金属製定盤本体 20…周囲縁 21…凹部 22…薄板 23…吸着孔 30…透視部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 片桐 清男 東京都千代田区神田錦町２丁目９番地 信 越エンジニアリング株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 下定盤を備えた固定台板と、上定盤を備
   えた上下動する可動台板とからなる液晶表示板用ガラス
   基板の貼り合せ装置において、上・下定盤の少なくとも
   一方を金属製定盤本体におけるガラス基板と対向する面
   に周囲縁を残して凹部を穿設し、その凹部の下面開口を
   薄板で閉鎖すると共に、その薄板の周囲を前記周囲縁に
   接着固定し、且つその薄板の適宜箇所に吸着孔を配設す
   ると共に、各吸着孔は定盤本体に配設した真空手段に連
   絡し、更に定盤本体には前記凹部への空気供給手段を装
   備した構成としたことを特徴とする定盤構造。
2. 【請求項２】 上記の矩形状をなした定盤本体の各角部
   に、ガラス基板のマーク合せを行う透視部を設けたこと
   を特徴とする請求項１記載の液晶表示板用ガラス基板の
   貼り合せ装置における定盤構造。